説明

撮像装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】角画像を生成する際における撮像のやり直しが発生する可能性を低減できる撮像装置、画像処理方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】広角撮像モード中にユーザがデジタルカメラ1を移動させると、撮像画像制御部113Aは、当該移動に併せて現在撮像中の撮像画像を表示部19に移動表示し、ルート制御部113Bは、この撮像画像の移動に追従させてルートを撮像方向と直交する方向に移動して表示部19に表示する。このとき、報知部115は、デジタルカメラ1の撮像方向と直交する方向の移動量が不適切である場合には、ユーザに対してその旨を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パノラマ撮像等の広角撮像の生成が可能な撮像装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラや、撮像機能を有する携帯電話等においては、撮像画角の限界はレンズの焦点距離、撮像素子のサイズ等、装置本体が備えるハードスペックに依存している。そこで、ハードスペックを超えるような広角画像を得るためのパノラマ撮像といった技術が従来から知られている。
【0003】
パノラマ撮像を実現するためには、ユーザは、例えば、シャッタスイッチを押下操作した状態を維持しながら、自身の体を軸にして、デジタルカメラを垂直方向にほぼ固定したまま水平方向に回転させるように移動させる。すると、デジタルカメラは、その間に複数回の撮像処理を実行し、当該複数回の撮像処理の各々の結果得られた複数の画像(以下、「撮像画像」と呼ぶ)の画像データを横方向(水平方向)に合成することによって、パノラマ画像の画像データを生成する。
【0004】
パノラマ撮像に関する工夫は、これまで多数なされてきており、例えば、特許文献1(特に図4)には、デジタルカメラが、現在撮像している最中の画像の上にどれくらいパノラマ合成がされているかを表す枠を重畳して表示させることで、パノラマ撮像の進行状態を提示する技術が開示されている。
【0005】
しかしながら、単に進行状態を表示する特許文献1では、ユーザは、パノラマ撮像中にこれまでの撮像の履歴(例えば、パノラマ撮像が開始されてから現在までに撮像された画像の内容)を確認することができなかった。そのため、パノラマ撮像の終了後に画像データとして記録されたパノラマ画像に、必要な画像が欠落している場合や、逆に、余分な画像が混在している場合等があり、ユーザは、所望のパノラマ画像を得るために、何度も撮像操作を繰り返す必要があった。
【0006】
そこで、本出願人は、デジタルカメラの表示部に本デジタルカメラを移動させるべき方向に延びる枠(以下、「ルート」と呼ぶ)を表示するとともに、当該ルート内に撮像の履歴を併せて表示する発明に関する特許出願(特願2010−213657(特に図5))を行っている。
ここで、ルートについて図10を参照して説明する。例えば、図10(1)に示すように、デジタルカメラは、その表示部にルート300を表示する。このとき、図10(2)に示すように、デジタルカメラは、ルート300の内側には撮像画像310を表示する。そして、デジタルカメラは、複数回の撮像処理の結果得られた複数の撮像画像310,311を、デジタルカメラの移動に併せてルート300とともに表示する。これにより、ルート300内には、デジタルカメラの移動に追従して複数の撮像画像310,311が表示されることになり、パノラマ撮像中に必要な画像が撮像されているか否かを把握可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平06−303562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、上記特許文献によりパノラマ撮像を手動で行った場合、即ち、デジタルカメラを垂直方向に固定せずに手に持った状態でパノラマ撮像を行った場合、例えば、デジタルカメラは水平方向だけでなく、垂直方向に移動してしまうことがある。このような場合に、従来の工夫では、デジタルカメラの移動に併せて撮像画像が垂直方向に移動してしまう結果、撮像画像がルート内から外れてしまっていた。
そして、パノラマ撮像中にルート内から外れてしまった場合、合成されたパノラマ画像が不適切なものとなる可能性があるため、所望のパノラマ画像が得られるまでパノラマ撮像を再度行わなければならない虞があった。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、広角画像を生成する際における撮像のやり直しが発生する可能性を低減できる撮像装置、画像処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の撮像装置は、表示手段と、撮像手段と、本撮像装置の所定の移動方向に沿って、前記撮像手段により連続的に撮像された複数の画像から合成画像を生成する合成手段と、本撮像装置の移動方向又は移動量を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された移動方向又は移動量に基づいて、本撮像装置の移動方向が所定の移動方向から外れたことを報知する報知手段と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、広角画像を生成する際における撮像のやり直しが発生することを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る撮像装置の一実施形態としてのデジタルカメラのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】図1のデジタルカメラが、広角撮像処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図2のデジタルカメラの動作モードとして、通常撮像モードと広角撮像モードとが夫々選択された場合における撮像操作を説明する図である。
【図4】図3に示す広角撮像モードによって生成される広角画像の一例を示す図である。
【図5】デジタルカメラの有する機能的構成の具体的な動作例を示す図である。
【図6】ルート、ルートの移動可能領域及びエラー領域の関係を示す図である。
【図7】広角撮像処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【図8】図7の広角撮像処理のうち、連続撮像処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【図9】広角撮像モードにおける撮像方向の一例を示す図である。
【図10】従来のデジタルカメラにおけるパノラマ撮像時の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態について説明する。
図1に、本発明に係る撮像装置の一実施形態としてのデジタルカメラ1のハードウェア構成を示す。
図1を参照して、デジタルカメラ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、光学系15と、撮像部16と、画像処理部17と、記憶部18と、表示部19と、操作部20と、通信部21と、センサ部22と、ドライブ23と、を備えている。
【0014】
CPU11は、ROM12に記憶されているプログラム、又は記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って、各種の処理を実行する。ROM12は、CPU11が各種の処理を実行するためのプログラムに加え、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等を適宜記憶している。
【0015】
例えば、本実施形態では、後述する図2のルート生成部111乃至報知部115の各機能や画像取得部171乃至合成部173の各機能を実現するプログラムが、ROM12や記憶部18に記憶されている。したがって、CPU11が、これらのプログラムに従った処理を実行し、後述する画像処理部17と適宜協働することで、本発明にかかる各機能を実現することができる。
【0016】
CPU11、ROM12、及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、光学系15、撮像部16、画像処理部17、記憶部18、表示部19、操作部20、通信部21、センサ部22、及びドライブ23が接続されている。
【0017】
光学系15は、被写体を撮影するために、光を集光するレンズ、例えばフォーカスレンズやズームレンズ等で構成される。フォーカスレンズは、撮像部16の撮像素子の受光面に被写体像を結像させるレンズである。ズームレンズは、焦点距離を一定の範囲で自在に変化させるレンズである。光学系15にはまた、必要に応じて、焦点や、露出等を調整する周辺装置が設けられる。
【0018】
撮像部16は、光電変換素子やAFE(Analog Front End)等から構成されている。光電変換素子は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の光電変換素子から構成される。光電変換素子は、一定時間毎に、その間に入射されて蓄積された被写体像の光信号を光電変換(撮像)して、その結果得られるアナログの電気信号をAFEに順次供給する。
AFEは、当該アナログの電気信号に対して、A/D(Analog/Digital)変換処理等の各種信号処理を施し、その結果得られるデジタル信号を、撮像部16の出力信号として出力する。
なお、以下、撮像部16の出力信号を、「撮像画像の画像データ」と呼ぶ。したがって、撮像部16からは撮像画像の画像データが出力されて、画像処理部17等に適宜供給される。
【0019】
画像処理部17は、DSP(Digital Signal Processor)や、VRAM(Video Random Access Memory)等から構成されている。
画像処理部17は、CPU11と協働して、撮像部16から入力される撮像画像の画像データに対して、ノイズ低減、ホワイトバランス等の画像処理の他、後述する画像取得部171乃至合成部173の各機能の発揮に必要な各種画像処理を施す。
ここで、以下、特に断りのない限り、「画像データ」とは、撮像部16から一定時間毎に出力される撮像画像の画像データ、又は、当該画像データが加工等されたものを呼ぶ。即ち、本実施形態では、当該画像データが処理単位として採用されている。
【0020】
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、画像処理部17から出力された画像データや、後述する簡易合成画像の画像データ等を一時的に記憶する。また、記憶部18は、各種画像処理に必要な各種データ等も記憶する。
【0021】
表示部19は、例えばLCD(Liquid Crystal Device:液晶表示装置)やLCD駆動部からなるフラット・ディスプレイ・パネルとして構成されている。表示部19は、記憶部18等から供給される画像データにより表現される画像、例えば後述する簡易合成画像やルート画像を画像データ単位で表示する。
【0022】
操作部20は、シャッタスイッチ41の他、図示はしないが、電源スイッチ、撮像モードスイッチ、再生スイッチ等の複数のスイッチを有している。操作部20は、これらの複数のスイッチのうち所定のスイッチが押下操作されると、当該所定のスイッチに割り当てられている指令をCPU11に供給する。
【0023】
通信部21は、インターネットを含むネットワークを介する、図示せぬ他の装置との間の通信を制御する。
【0024】
センサ部22は、画像撮像時のユーザの体を軸にした回転に伴う、デジタルカメラ1の水平方向及び垂直方向の移動量を検出し、検出結果を示すデジタル信号(以下、単に「移動量」とする)をCPU11に供給する。より詳細には、センサ部22は、後述する広角撮像モードにおける各撮像時(即ち、撮像部16が画像データを出力したタイミング)のデジタルカメラ1の移動量を検出し、CPU11に出力する。このとき、センサ部22は、基準位置からの撮像時のデジタルカメラ1の移動量を検出する。なお、基準位置については、本発明の目的から逸脱しない範囲のものを採用することができ、例えば、広角撮像モードにおける最初の撮像時のデジタルカメラ1の位置を基準位置としてもよく、また、広角撮像モードにおける直前の撮像時のデジタルカメラ1の位置を基準位置としてもよい。
このようなセンサ部22としては、ジャイロセンサや加速度センサ等の任意のセンサを用いることができる。
なお、センサ部22がデジタルカメラ1の水平方向や垂直方向等の移動方向と移動量を検出する構成について述べたが、移動方向又は移動量だけを検出するようなセンサを本実施形態に適用しても構わない。この場合、センサが検出した移動方向又は移動量に基づいて、後述する報知部115がデジタルカメラ1の移動が不適切であるか否かを報知することになる。
【0025】
ドライブ23には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなるリムーバブルメディア31が適宜装着される。そして、リムーバブルメディア31から読み出されたプログラムが、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア31は、記憶部18に記憶されている画像データ等の各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0026】
図2は、図1のデジタルカメラ1が実行する処理のうち、被写体を撮像し、その結果得られる撮像画像の画像データをリムーバブルメディア31に記録するまでの一連の処理(以下、「撮像処理」と呼ぶ)を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【0027】
ここで、本実施形態のデジタルカメラ1は、動作モードとして、通常撮像モードと、広角撮像モードとを選択的に切り替えることを可能としている。以下、撮像処理を実行するための機能の理解を容易にすべく、機能的構成の説明の前に、図3及び図4を適宜参照して、広角撮像モードについて詳しく説明する。
【0028】
図3は、デジタルカメラ1の動作モードとして、通常撮像モードと広角撮像モードとが夫々選択された場合における撮像操作を説明する図である。詳細には、図3(A)は、通常撮像モードでの撮像操作を説明する図であり、図3(B)は、広角撮像モードでの撮像操作を説明する図である。
【0029】
図3(A)及び図3(B)の夫々において、デジタルカメラ1の奥にある絵は、デジタルカメラ1の被写体を含む実世界の様子を示している。また、図3(B)に示す縦の点線は、デジタルカメラ1の移動方向の各位置a、b、cを示している。デジタルカメラ1の移動方向とは、ユーザが、自身の体を軸にしてデジタルカメラ1の撮像方向(角度)を変化させた場合における、デジタルカメラ1の光軸が移動する方向をいう。デジタルカメラ1の移動量は、センサ部22により水平方向及び垂直方向の移動量として検出される。
【0030】
通常撮像モードとは、デジタルカメラ1の画角に対応するサイズ(解像度)の画像を撮像する場合の動作モードをいう。
通常撮像モードでは、図3(A)に示すように、ユーザは、デジタルカメラ1を固定させた状態で、操作部20のシャッタスイッチ41を下限まで押下する。なお、このように、シャッタスイッチ41を下限まで押下する操作を、以下、「全押し操作」又は単に「全押し」と呼ぶ。
通常撮像モードでは、CPU11及び画像処理部17は、全押し操作がなされた直後に撮像部16から出力された画像データを、記録対象としてリムーバブルメディア31に記録する。
【0031】
一方、広角撮像モードとは、デジタルカメラ1の所定の移動方向に沿った連続的な撮像により得られた複数の画像データを合成することで得られる合成画像の画像データを撮像する場合の動作モードをいう。広角撮像モードにおける撮像動作の好適な一例としては、水平方向に連続的な撮像を行うことでパノラマ画像の画像データを撮像するパノラマ撮像や、水平方向に連続的な撮像を行い、その後レンズ中心を垂直方向に移動させて再度平方向に連続的な撮像を行うことで広角画像の画像データを撮像する広角撮像があげられる。なお、以下、特に断りのない限り、パノラマ画像も広角画像の一種として取り扱い、広角画像の用語で統一して説明する。
何れの撮像動作でも広角撮像モードでは、図3(B)に示すように、ユーザは、シャッタスイッチ41の全押し操作を維持した状態で、デジタルカメラ1を同図中黒矢印の方向(移動方向)に移動させる。
全押し操作が維持されている間、CPU11及び画像処理部17は、センサ部22からの移動量が一定値に達する毎に、その直後に撮像部16から出力された画像データを取得し、記憶部18に一時的に記憶していくことを繰り返す。
その後、CPU11及び画像処理部17は、記憶部18に記憶された隣接する画像データ同士を、デジタルカメラ1の移動方向に順番に合成することによって、連続画像の画像データを生成する。ここで、隣接する画像データとは、広角撮像中に、K回目(Kは1以上の整数値)の撮像により得られた撮像画像の画像データと、K+1回目の撮像により得られた撮像画像の画像データとをいう。なお、画像データの合成については、隣接する2つの画像データの合成に限られず、合成対象となる2以上の任意の数の画像データを取得するたびに行うこととしてもよく、合成対象となる全ての画像データを取得した後に行うこととしてもよい。
その後、ユーザが全押し操作を解除する操作、即ちシャッタスイッチ41から指等を離す操作(以下、このような操作を「リリース操作」と呼ぶ)をすることで、広角撮像の終了を指示されると、CPU11及び画像処理部17は、合成画像の画像データが、記録対象としてリムーバブルメディア31に記録される。
その結果、図4に示す広角画像Pの画像データが生成され、リムーバブルメディア31に記録される。
【0032】
ここで、図3(B)に示すように、本実施形態の広角撮像モード中のデジタルカメラ1は、表示部19の所定の位置にルート200を表示する。詳細については図5で後述するが、ルート200は、枠上の画像であり、ユーザに対してデジタルカメラ1の移動方向を指示し、ユーザの移動操作をアシストする。図3(B)では、ルート200は、水平方向に延びる枠であり、デジタルカメラ1の移動方向が左から右であることを示している。
また、広角撮像モード中では、このルート200と併せて連続的な撮像により得られた複数の画像データの簡易合成画像Gを表示する。簡易合成画像Gは、広角撮像モード中に現在までに撮像された領域を示す画像(途中画像)であり、ユーザは、簡易合成画像Gから広角撮像の状況を把握することができる。
【0033】
また、デジタルカメラ1は、広角撮像モード中に現在撮像中の撮像画像(ライブビュー画像)をルート200と併せて表示する。ユーザは、ルート200内に撮像画像が収まるようにデジタルカメラ1を移動させることで、広角撮像を行うことができる。
ここで、デジタルカメラ1を固定することなく、手動で移動させた場合、移動方向と直交する方向にぶれが生じてしまう場合がある。その結果、撮像画像がルート200から外れてしまうと、ユーザは、撮像画像がルート200内に収まるように修正を行うことになり、円滑な広角撮像を行うことができず、ユーザに強いストレスを感じさせてしまうおそれがある。
そこで、本実施形態のデジタルカメラ1では、広角撮像モード中にデジタルカメラ1の移動に対してルート200を一定範囲追従させることとしている。以下、本実施形態の特徴的な機能である広角撮像モード中のルート200の移動について、図2等を参照して説明する。
【0034】
図2を参照して、本実施形態のデジタルカメラ1の特徴的な機能を発揮するための機能的構成を説明する。本実施形態のデジタルカメラ1では、CPU11において、ルート生成部111と、移動領域設定部112と、表示制御部113と、エラー制御部114と、報知部115と、が機能し、画像処理部17においては、画像取得部171と、簡易合成部172と、合成部173と、が機能する。
なお、ルート生成部111乃至報知部115の機能は、本実施形態のようにCPU11に搭載されている必要は特になく、これらの機能のうち少なくとも一部を、画像処理部17に移譲させることも可能である。同様に、画像取得部171乃至合成部173の各機能は、本実施形態のように画像処理部17に搭載されている必要は特になく、これらの機能のうち少なくとも一部を、CPU11に移譲させることも可能である。
【0035】
初めに、画像処理部17の画像取得部171は、撮像部16が一定時間毎に出力する撮像画像の画像データを取得し、表示制御部113に出力する。また、画像取得部171は、撮像部16から取得した画像データを記憶部18に一時的に記憶する。このとき、画像取得部171は、取得した全ての画像データを記憶部18に記憶するのではなく、一部の画像データのみを記憶部18に記憶することが好ましい。一部の画像データとしては、例えば、前回記憶した画像データの撮像時に対して、デジタルカメラ1が所定以上移動したタイミングで撮像された画像データを採用することができる。デジタルカメラ1が移動していないにも関わらず、複数の画像データを記憶する必要がないためである。
【0036】
簡易合成部172は、記憶部18に記憶された画像データを簡易的に合成し、簡易合成画像(簡易合成画像G)の画像データを生成する。簡易合成部172は、例えば、センサ部22から移動量を取得し、当該移動量に基づいて合成対象の画像データの位置合わせを行うことで、簡易合成画像の画像データを生成する。簡易合成部172は、簡易合成画像の画像データを生成すると、当該画像データを表示制御部113に出力するとともに、記憶部18に一時的に記憶する。
【0037】
合成部173は、記憶部18に記憶された隣接する画像データ同士を合成することで合成画像の画像データを生成し、リムーバブルメディア31に記憶する。合成部173による合成は、公知の方法で行うことができ、例えば、画像データ同士の重複部分を検出し、当該重複部分の特徴点(画素)に基づいて位置合わせを行った上で、画像データ同士を合成することができる。
【0038】
続いて、CPU11のルート生成部111は、広角撮像のための撮像方向を指示するルート(ルート200)を生成する。ルートの生成は、任意の方法で行うことができ、例えば、記憶部18に予め記憶されたルートを読み出すことで生成することとしてもよく、また、操作部20から広角撮像による合成画像のサイズ(幅及び高さ)を受け付け、当該サイズに基づいてルートを生成することとしてもよい。また、ルートを生成するタイミングについても、任意のタイミングとすることができ、例えば、操作部20を介して広角撮像モードが選択されたタイミングでルートを生成することとしてもよく、また、広角撮像モード中にシャッタスイッチ41の全押し操作が行われたタイミング、即ち、広角撮像モード中に撮像部16から最初の撮像画像の画像データが出力されたタイミングでルートを生成することとしてもよい。
【0039】
移動領域設定部112は、ルートの外側にある撮像方向と直交する方向の所定の領域を、ルートの移動可能領域として設定する。広角撮像モードでは、複数の画像データを合成することで合成画像の画像データを取得するため、撮像方向と直交する方向にデジタルカメラ1が大きくずれてしまった場合には、適切な合成画像の画像データを得ることができない。そこで、本実施形態では、撮像方向に直交する方向については、所定の領域内に限りデジタルカメラ1の移動を認めることとし、この所定の領域をルートの移動可能領域として設定している。なお、所定の領域は、画像データの合成に影響を与えない範囲であればよく、適宜設定可能である。
【0040】
表示制御部113は、画像取得部171から画像データとして出力された撮像画像とルート生成部111が生成したルートとを、撮像方向の軸を同軸にした状態で表示部19に表示する制御を行う。
ここで、広角撮像モード中では、表示制御部113は、デジタルカメラ1の移動に応じて、撮像画像及びルートの夫々を移動して表示部19に表示する制御を行う。そのため、本実施形態の表示制御部113は、撮像画像制御部113Aと、ルート制御部113Bと、を含むこととしている。
【0041】
撮像画像制御部113Aは、画像取得部171から画像データとして順次出力される撮像画像を、当該撮像画像の撮像時のデジタルカメラ1の移動方向及び移動量に応じて位置合わせして表示部19に表示する制御を行う。即ち、撮像画像制御部113Aは、センサ部22から対象となる撮像画像の撮像時の移動方向及び移動量を取得し、基準位置から移動させることで位置合わせを行う。
【0042】
ルート制御部113Bは、ルート生成部111が生成したルートを、撮像画像制御部113Aが位置合わせを行った撮像画像の位置に追従して表示部19に移動表示する制御を行う。このとき、ルート制御部113Bは、撮像方向と直交する方向についてのみルートを移動させれば足り、撮像方向へルートを移動させる必要はない。また、ルート制御部113Bは、移動領域設定部112が設定した移動可能領域を限度に、ルートを移動表示する。
撮像画像の位置に追従したルートの移動については、任意の方法で行うことができ、例えば、センサ部22から撮像方向と直交する方向への移動量を取得し、当該移動量に応じて位置合わせ、即ち、基準位置から移動させることで実現することができる。
【0043】
エラー制御部114は、ルートの移動が移動可能領域を超えることになる移動量をセンサ部22が所定時間継続して取得することを条件に、広角撮像モードを強制的に終了する。具体的には、エラー制御部114は、撮像画像が移動可能領域を超えて表示されている状態で所定時間が経過すると、広角撮像モードを強制的に終了する。
ここで、図6を参照して、本実施形態では、撮像方向に延びるルート200の撮像方向と直交する方向の外側にルート200の移動可能領域210を設定している。この移動可能領域210を超えてしまった場合には画像データの合成を適切に行うことができなくなるため、移動可能領域210の撮像方向と直交する方向の外側は、エラー領域250と扱うことができる。そこで、エラー制御部114は、撮像画像の一部がエラー領域250内に移動表示されてしまっている状態で所定時間が経過すると、広角撮像モードを強制的に終了する。他方、撮像画像の一部がエラー領域250内に移動表示されたものの、所定時間経過する前にエラー領域250から外れた場合には、エラー制御部114は、広角撮像モードを終了することがない。
【0044】
報知部115は、センサ部22が取得したデジタルカメラ1の移動方向及び移動量に基づいて、デジタルカメラ1の移動が不適切であるか否かを報知する。即ち、報知部115は、ルートの移動が移動可能領域を超えることになる移動量をセンサ部22が取得することを条件に、デジタルカメラ1の移動が不適切であることを報知する。
ここで、報知部115による報知は、任意の方法で行うことができる。例えば、報知部115は、ルートの移動が移動可能領域を超えた旨を表示部19に表示することで、報知を行うこととしてもよく、また、図示しない音声出力部から音声を発することで、報知を行うこととしてもよい。また、報知部115は、ルートをデジタルカメラ1の移動方向及び移動量に応じて表示部19に移動表示することで、報知を行うこととしてもよい。具体的には、報知部115は、ルートを移動可能領域を限度に表示部19に表示することで、デジタルカメラ1の移動が不適切であることを報知する。即ち、撮像画像を移動可能領域に関係なく移動表示する一方で、ルートを移動可能領域を限度に移動表示することで、撮像画像(デジタルカメラ1)の移動にルートが追従することがなくなるため、ユーザに対して、デジタルカメラ1の移動が不適切であることを報知することができる。そのため、本実施形態では、表示制御部113が報知部115として機能する場合がある。これらのような構成を設けることで、ユーザにデジタルカメラ1の移動方向が本来移動させるべき方向(所定の移動方向)から外れたことやデジタルカメラ1が移動可能領域を超えた状態の撮像画像が生成すべき広角画像の要素として不適切となったことを報知することができる。
また、報知部115は、デジタルカメラ1の移動が不適切であることの報知と併せて、「カメラをルート内に収まるように移動させてください」というメッセージを表示部19に表示してもよいし、当該メッセージを音声出力部から発することとしてもよい。これらのようにすることで、ユーザにデジタルカメラ1の撮像画像が移動可能領域に収まるようデジタルカメラ1の移動方向を変更するよう報知することができる。
【0045】
続いて、これら本実施形態の特徴的な機能的構成の動作例について、図5を参照して説明する。図5(A)は広角撮像モード中の時刻t1(広角撮像開始時)における動作例を示し、図5(B)は広角撮像モード中の時刻t2(2枚目撮像時)における動作例を示し、図5(C)は広角撮像モード中の時刻t3(3枚目撮像時)における動作例を示す。
【0046】
図5(A)を参照して、広角撮像が開始されると、ルート生成部111は、ルート200を生成し、移動領域設定部112は、当該ルート200の移動可能領域210を設定する。このとき、画像取得部171が1枚目の撮像画像220の画像データを出力すると、表示制御部113は、ルート200及び撮像画像220を表示部19に表示する制御を行う。具体的には、表示制御部113は、ルート200及び撮像画像220夫々の撮像方向の軸を同軸にした上で、表示部19に表示する。
このとき、撮像開始時でルート200が移動していないため、表示制御部113は、例えば、ルート200及び撮像画像220夫々の撮像方向の中心軸C1を一致させた上で、表示部19に表示する。そのため、図5(A)では、ルート200、移動可能領域210及び撮像画像220の全ての中心軸が中心軸C1で一致することになる。
【0047】
図5(B)を参照して、撮像開始時から所定時間経過した時刻t2では、デジタルカメラ1が撮像方向に所定量移動するとともに、撮像方向と直交する方向(図中上方向)に所定量移動している。ここで、図5(B)では、撮像方向と直交する方向の移動量は、移動可能領域210を超えることのない量であるとする。
このとき、画像取得部171が2枚目の撮像画像221の画像データを出力すると、表示制御部113は、ルート200及び撮像画像221を表示部19に表示する制御を行う。具体的には、表示制御部113(撮像画像制御部113A)は、撮像画像221をデジタルカメラ1の移動量に応じて位置合わせした上で、表示部19に表示する。また、表示制御部113(ルート制御部113B)は、ルート200をデジタルカメラ1の撮像方向に直交する方向の移動量に応じて位置合わせした上で、表示部19に表示する。その結果、ルート200は、撮像画像221の移動に追従して移動することになる。
このように、移動可能領域210内では、ルート200が撮像画像221に追従して移動するため、ルート200及び撮像画像221の中心軸は、中心軸C2で一致することになる。なお、移動可能領域210は、移動することがないため、中心軸は、中心軸C1のままである。
また、表示制御部113は、簡易合成部172が簡易合成した簡易合成画像Gを撮像画像221と併せて表示する。なお、時刻t2は、2枚目の撮像画像221が撮像されたタイミングであるため、簡易合成画像Gは、1枚目の撮像画像220である。このとき、表示制御部113は、現在撮像中の撮像画像と、既に撮像済みの簡易合成画像Gとを区別可能に表示することが好ましく、本実施形態では、現在撮像中の撮像画像と簡易合成画像Gとの明暗を異ならせることとしている。
【0048】
図5(C)を参照して、時刻t2から所定時間経過した時刻t3では、デジタルカメラ1が撮像方向に所定量移動するとともに、撮像方向と直交する方向(図中上方向)に所定量移動している。ここで、図5(C)では、撮像方向と直交する方向の移動量が移動可能領域210を超える量であるとする。
このとき、画像取得部171が3枚目の撮像画像222の画像データを出力すると、表示制御部113は、ルート200及び撮像画像222を表示部19に表示する制御を行う。具体的には、表示制御部113(撮像画像制御部113A)は、撮像画像222をデジタルカメラ1の移動量に応じて位置合わせした上で、表示部19に表示する。また、表示制御部113(ルート制御部113B)は、ルート200をデジタルカメラ1の撮像方向に直交する方向の移動量に応じて位置合わせした上で、表示部19に表示する。ここで、本実施形態では、表示制御部113(ルート制御部113B)は、ルート200を移動可能領域210を限度に移動表示することとしている。図5(C)では、撮像方向と直交する方向の移動量が移動可能領域210を超える量であるため、表示制御部113(ルート制御部113B)は、ルート200の端部(図中上端)が移動可能領域210の端部(図中上端)と一致する位置まで移動した状態で、ルート200を表示する。その結果、ルート200は、撮像画像222の移動に追従することができなくなる。
このように、移動可能領域210外では、ルート200は、撮像画像222に追従することができないため、ルート200の中心軸C3は、撮像画像222の中心軸C4と異なることになる。
また、表示制御部113は、簡易合成部172が簡易合成した簡易合成画像Gを撮像画像221と併せて表示する。なお、時刻t3では、1枚目の撮像画像220と2枚目の撮像画像221とが合成された簡易合成画像Gが表示されることになる。
ここで、図5(C)では、撮像方向と直交する方向の移動量が移動可能領域210を超える量であるため、報知部115は、例えば、報知画像260を表示部19に表示することで、デジタルカメラ1の移動が不適切であることを報知している。
【0049】
以上、本実施形態のデジタルカメラ1の機能的構成について説明した。続いて、図7及び図8を参照して、このような機能的構成を有するデジタルカメラ1が実行する広角撮像処理について説明する。
【0050】
図7は、広角撮像処理の流れの一例を示すフローチャートである。広角撮像処理は、操作部20を介して広角撮像モードが選択された状態になると開始する。
【0051】
ステップS1において、CPU11(ルート生成部111)は、連続撮像のための撮像方向を指示するルートを生成する。また、CPU11(移動領域設定部112)は、ルートの外側の撮像方向と直交する方向の所定の領域を、ルートの移動可能領域として設定する。
【0052】
続いて、ステップS2において、CPU11は、シャッタスイッチ41の状態を監視し、シャッタスイッチ41が半押しされたか否かを判定し、半押しされるまで待機する。ここで、半押しとは、シャッタスイッチ41の途中(下限に至らない所定の位置)まで押下する操作をいう。
【0053】
ステップS3において、シャッタスイッチ41が半押しされると、CPU11は、撮像部16を制御して、いわゆるAF(Auto Focus)処理を実行する。続いて、ステップS4において、CPU11は、シャッタスイッチ41が全押しされたか否かを判定する。
このとき、CPU11は、シャッタスイッチ41が全押しされないとステップS4においてNOであると判定するので、シャッタスイッチ41が全押しされるまでの間、ステップS3及びステップS4のループ処理を繰り返し実行する。
【0054】
他方、シャッタスイッチ41が全押しされると、CPU11は、ステップS4においてYESであると判定して、ステップS5において、画像処理部17と協働して連続撮像処理を実行する。なお、連続撮像処理の詳細については、図8を参照して後述するが、連続撮像処理では、CPU11は、連続的な撮像により得られた撮像画像と併せて撮像方向を報知するルートを表示部19に表示する制御を行う。
【0055】
続いて、ステップS6において、CPU11は、処理の終了指示があるか否かを判定する。このとき、処理の終了指示がない場合には、CPU11は、ステップS6においてNOであると判定するので、ステップS5及びステップS6の処理を繰り返し実行する。即ち、処理の終了指示があるまで、CPU11は、連続撮像処理を繰り返す。ここで、処理の終了指示については、任意のものを用いることができ、例えば、シャッタスイッチ41の全押しが解除されたこと(リリース操作がなされたこと)や、デジタルカメラ1が所定量移動したことに加え、エラー制御部114による広角撮像モードの強制的な終了を用いることができる。
【0056】
他方、処理の終了の指示があると、CPU11は、ステップS6においてYESであると判定して、処理をステップS7に進める。ステップS7において、画像処理部17(合成部173)は、連続撮像処理により得られた画像データのうちの隣接する画像データ同士を合成し、合成画像の画像データを生成し、リムーバブルメディア31に記憶し、広角撮像処理を終了する。
【0057】
次に、図8を参照して、図7の広角撮像処理のうち、ステップS5の連続撮像処理の詳細な流れについて説明する。
【0058】
ステップS51において、画像処理部17(画像取得部171)は、撮像部16から画像データを取得し、CPU11(表示制御部113)に出力する。このとき、画像処理部17は、取得した画像データを適宜縮小した上でCPU11(表示制御部113)に出力することとしてもよい。
【0059】
続いて、ステップS52において、CPU11(表示制御部113)は、画像処理部(画像取得部171)から画像データとして出力された撮像画像の簡易位置合わせ処理を行う。この処理では、例えば、1枚目の撮像画像の撮像時には、CPU11(撮像画像制御部113A)は、1枚目の撮像画像の撮像方向の中心軸が図7のステップS1の処理で生成したルートの撮像方向の中心軸と一致するように、当該撮像画像を配置する。また、2枚目以降の撮像画像の撮像時には、CPU11(撮像画像制御部113A)は、センサ部22から取得したデジタルカメラ1の移動量に応じて移動させた位置に、当該撮像画像を配置する。
【0060】
続いて、ステップS53において、CPU11は、センサ部22から取得したデジタルカメラ1の移動量がルートの移動可能領域内の移動量であるか否かを判定する。この判定は、任意の方法で行うことができ、例えば、デジタルカメラ1の撮像方向と直交する方向の移動量の総和が所定の閾値を超える場合に、デジタルカメラ1の移動量がルートの移動可能領域内の移動量であると判定することができる。また、ステップS52の処理で位置合わせを行った撮像画像の位置に応じて、当該判定を行うこととしてもよい。即ち、例えば、撮像画像の撮像方向と直交する方向の端部(上端)が移動可能領域内である場合に、デジタルカメラ1の移動量がルートの移動可能領域内の移動量であると判定することができる。
【0061】
ステップS53においてYESと判定されると、ステップS54において、CPU11(ルート制御部113B)は、ステップS52の簡易位置合わせ結果に合わせてルートを移動表示する。即ち、CPU11(ルート制御部113B)は、デジタルカメラ1の撮像方向と直交する方向の移動に追従してルートを移動する。
【0062】
続いて、ステップS55において、画像処理部17(画像取得部171)は、画像データを保存するか否かを判定する。この判定では、画像処理部17(画像取得部171)は、デジタルカメラ1が所定以上移動したタイミングで撮像された画像データについては、保存すると判定し、デジタルカメラ1が所定以上移動していないタイミングで撮像された画像データについては保存しないと判定する。
【0063】
保存すると判定されると、即ちステップS55においてYESであると判定されると、処理はステップS56に進む。ステップS56において、画像処理部17(画像取得部171)は、当該画像データを記憶部18に一時的に記憶する。また、画像処理部17(簡易合成部172)は、記憶部18に記憶された画像データを読み出し、適宜縮小した上で簡易合成し、CPU11に出力する。このとき、CPU11(表示制御部113)は、出力された簡易合成画像を表示部19に適宜表示する。
他方、記憶しないと判定した場合には、ステップS55においてNOであると判定されるので、ステップS56の処理が実行されることなく、ステップS59の処理に移る。
このように、デジタルカメラ1が所定以上移動したタイミングで撮像された画像データのみを記憶部18に記憶するため、合成のために不要な画像データを記憶することなく、記憶部18のメモリ容量を有効に利用することができる。
【0064】
他方、ステップS53においてNOと判定されると、処理はステップS57に進む。ステップS57において、CPU11(ルート制御部113B)は、移動可能領域内を限度にルートを移動し、表示部19に表示する。即ち、この場合には、CPU11(ルート制御部113B)は、デジタルカメラ1の撮像方向と直交する方向の移動に追従させることなくルートを移動する。続いて、CPU11(報知部115)は、報知処理を行う(ステップS58)。即ち、CPU11(報知部115)は、任意の方法によりデジタルカメラ1の移動が不適切であることを報知する。
【0065】
ここで、図8に示すように、ステップS53においてNOであると判定されると、YESであると判定された場合とは異なり、画像データを記憶部18に記憶することがない(ステップS56参照)。即ち、画像処理部17(画像取得部171)は、デジタルカメラ1の移動量がルートの移動可能領域を超えたタイミングで撮像された撮像画像の画像データを記憶部18に記憶しない。これにより、画像データの合成に影響を与えるほど移動したタイミングで撮像された撮像画像の画像データを記憶部18に記憶することがなく、記憶部18のメモリ容量を有効に利用することができる。
【0066】
ステップS56又はステップS58の後、ステップS59において、CPU11(撮像画像制御部113A)は、ステップS52の簡易位置合わせ結果に合わせて撮像画像を表示し、連続撮像処理を終了する。
【0067】
以上のような本実施形態のデジタルカメラ1によれば、広角撮像モード中にユーザがデジタルカメラ1を移動させると、CPU11(撮像画像制御部113A)は、当該移動に併せて現在撮像中の撮像画像を移動表示する。このとき、撮像画像が撮像方向と直交する方向に移動した場合、即ち、デジタルカメラ1が撮像方向と直交する方向に移動した場合、CPU11(ルート制御部113B)は、この撮像画像(デジタルカメラ1)の移動に追従させてルートを撮像方向と直交する方向に移動表示する。
これにより、広角撮像モード中にユーザがデジタルカメラ1を撮像方向と直交する方向に移動させてしまった場合であっても、撮像画像とルートとが追従して移動するため、撮像画像がルートから外れてしまうことがない。そのため、ユーザは、撮像方向と直交する方向への調整を試みる必要がなく、ユーザに対してストレスを感じさせることがない。
【0068】
このとき、ルートは、CPU11(移動領域設定部112)が設定した移動可能領域を限度に撮像画像やデジタルカメラ1に追従して移動する。これにより、撮像方向と直交する方向への移動を移動可能領域内に留めることができる。ここで、デジタルカメラ1では、移動可能領域を画像データの合成に影響を与えない範囲に設定しているため、ユーザに対して、撮像方向と直交する方向への移動が合成画像を得るために許容されるものであるか否かを知らせることができる。即ち、ユーザは、ルートが撮像画像に追従している限りは、合成画像を適切に得ることができることを把握し、ルートが撮像画像に追従しなくなった場合には、撮像方向と直交する方向への調整を行う必要があることを把握することができる。
【0069】
また、画像処理部17(画像取得部171)は、デジタルカメラ1の移動量がルートの移動可能領域を超えないタイミングで撮像された撮像画像の画像データについては記憶部18に記憶するが、デジタルカメラ1の移動量がルートの移動可能領域を超えるタイミングで撮像された撮像画像の画像データについては記憶部18に記憶しない。そして、画像処理部17(簡易合成部172)は、記憶部18に記憶された画像データを用いて簡易合成画像の画像データを生成する。これにより、移動可能領域を超えるほど撮像方向と直交する方向に移動した画像データを用いて簡易合成画像を生成することがなく、簡易合成画像の構図を違和感のないものとすることができる。また、不要な画像データを記憶部18に記憶することがなく、記憶部18のメモリ容量を有効に利用することができる。
【0070】
また、CPU11(エラー制御部114)は、ルートの移動可能領域を超えることとなる移動量をセンサ部22が所定時間継続して取得することを条件に、広角撮像モードを強制的に終了する。これにより、画像データの合成に影響を与える状態が継続した場合に、広角撮像モードを強制的に終了することができ、ユーザに対して不要な操作を要求することがない。
【0071】
また、CPU11(報知部115)は、デジタルカメラ1の移動量がルートの移動可能領域を超えることとなる移動量である場合には、デジタルカメラ1の移動が不適切であることを報知する。これにより、ユーザに対して、デジタルカメラ1の移動が本来移動させるべき方向から外れたことやデジタルカメラ1が移動可能領域を超えた状態の撮像画像が生成すべき広角画像の要素として不適切となったことを報知することができる。
【0072】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0073】
図9を参照して、上述の実施形態では、広角撮像モード中の撮像方向を、図9(1)に示すように撮像方向を左から右とすることとしていたが、広角撮像モード中の撮像方向は、これに限られるものではない。例えば、右から左、上から下、下から上等を撮像方向として広角撮像を得ることとしてもよい。また、図9(2)に示すようにコの字状の撮像方向を用いることとしてもよい。この場合においても、ルートは、撮像方向と直交する方向に移動可能に制御される。
【0074】
また、上述の実施形態では、本発明が適用される画像処理装置は、デジタルカメラ1を例として説明したが、特にこれに限定されない。本発明は、広角画像の生成が可能になる機能を有する電子機器一般に適用することができ、例えば、携帯型パーソナルコンピュータ、携帯型ナビゲーション装置、ポータブルゲーム機等に幅広く適用可能である。
【0075】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
【0076】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、画像処理装置又は当該画像処理装置を制御するコンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。ここで、コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。或いはまた、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0077】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディア31により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディア31は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、光磁気ディスク等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されているROM12や記憶部18に含まれるハードディスク等で構成される。
【0078】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0079】
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
表示手段と、
撮像手段と、
本撮像装置の所定の移動方向に沿って、前記撮像手段により連続的に撮像された複数の画像から合成画像を生成する合成手段と、
本撮像装置の移動方向又は移動量を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された移動方向又は移動量に基づいて、本撮像装置の移動方向が所定の移動方向から外れたことを報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
[付記2]
撮像方向を指示するルートを生成するルート生成手段と、
前記撮像手段により撮像される画像と前記ルート生成手段により生成されるルートとを、前記撮像方向の軸を基準として、前記表示手段に表示させるよう制御する第1の表示制御手段と、
前記第1の表示制御手段の制御により表示される画像を前記取得手段により取得された前記移動方向又は前記移動量に応じた位置で表示させるよう制御する第2の表示制御手段と、
前記報知手段は、前記第1の表示制御手段の制御により表示されるルートを前記取得手段により取得された前記撮像方向と直交する方向の移動量に応じた位置で表示させるよう制御することで、本撮像装置の移動方向が所定の移動方向から外れたことを報知する、
ことを特徴とする付記1に記載の撮像装置。
[付記3]
前記報知手段は、前記表示手段による表示又は音声出力手段による音声出力により、撮像装置の移動方向を変更するよう報知することを特徴とする付記1に記載の撮像装置。
[付記4]
前記ルートの外側の前記撮像方向と直交する方向の所定の領域を、前記ルートの移動可能領域として設定する移動領域設定手段とを更に備え、
前記報知手段は、前記移動可能領域を限度に、前記ルートを前記表示手段に表示させることで、本撮像装置の移動方向が所定の移動方向から外れたことを報知する、
ことを特徴とする付記2に記載の撮像装置。
[付記5]
前記撮像手段により撮像される画像のうち、前記取得手段により取得された前記撮像方向と直交する方向の移動量が前記移動可能領域を超える撮像時に撮像された画像を合成することなく、前記取得手段により取得した前記撮像方向と直交する方向の移動量が前記移動可能領域を超えない画像を順次合成することで簡易合成画像を生成する簡易合成手段、
を備えることを特徴とする付記4に記載の撮像装置。
[付記6]
前記取得手段が前記移動可能領域を超える前記移動量を所定時間継続して取得することを条件に、前記連続的な撮像を終了するエラー制御手段、
を備えることを特徴とする付記4又は5に記載の撮像装置。
[付記7]
表示手段と、撮像手段とを備える撮像装置が実行する画像処理方法であって、
本撮像装置の所定の移動方向に沿って、前記撮像手段により連続的に撮像された複数の画像から合成画像を生成する生成ステップと、
本撮像装置の移動方向又は移動量を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得された移動方向又は移動量に基づいて、本撮像装置の移動方向が所定の移動方向から外れたことを報知する報知ステップと
を含むことを特徴とする画像処理方法。
[付記8]
表示手段と、撮像手段とを備える撮像装置のコンピュータを、
本撮像装置の所定の移動方向に沿って、前記撮像手段により連続的に撮像された複数の画像から合成画像を生成する合成手段、
本撮像装置の移動方向又は移動量を取得する取得手段、
前記取得手段により取得された移動方向又は移動量に基づいて、本撮像装置の移動方向が所定の移動方向から外れたことを報知する報知手段
として機能させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0080】
1・・・デジタルカメラ(撮像装置)、11・・・CPU(報知手段、ルート生成手段、第1の表示制御手段、第2の表示制御手段、移動領域設定手段、エラー制御手段)、12・・・ROM、13・・・RAM、15・・・光学系、16・・・撮像部(撮像手段)、17・・・画像処理部(合成手段、簡易合成手段)、18・・・記憶部、19・・・表示部(表示手段)、20・・・操作部、21・・通信部、22・・・センサ部(取得手段)、23・・・ドライブ、31・・・リムーバブルメディア、41・・・シャッタスイッチ、111・・・ルート生成部、112・・・移動領域設定部、113・・・表示制御部、113A・・・撮像画像制御部、113B・・・ルート制御部、114・・・エラー制御部、115・・・報知部、171・・・画像取得部、172・・・簡易合成部、173・・・合成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、
撮像手段と、
本撮像装置の所定の移動方向に沿って、前記撮像手段により連続的に撮像された複数の画像から合成画像を生成する合成手段と、
本撮像装置の移動方向又は移動量を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された移動方向又は移動量に基づいて、本撮像装置の移動方向が所定の移動方向から外れたことを報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
撮像方向を指示するルートを生成するルート生成手段と、
前記撮像手段により撮像される画像と前記ルート生成手段により生成されるルートとを、前記撮像方向の軸を基準として、前記表示手段に表示させるよう制御する第1の表示制御手段と、
前記第1の表示制御手段の制御により表示される画像を前記取得手段により取得された前記移動方向又は前記移動量に応じた位置で表示させるよう制御する第2の表示制御手段と、
前記報知手段は、前記第1の表示制御手段の制御により表示されるルートを前記取得手段により取得された前記撮像方向と直交する方向の移動量に応じた位置で表示させるよう制御することで、本撮像装置の移動方向が所定の移動方向から外れたことを報知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記報知手段は、前記表示手段による表示又は音声出力手段による音声出力により、撮像装置の移動方向を変更するよう報知することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記ルートの外側の前記撮像方向と直交する方向の所定の領域を、前記ルートの移動可能領域として設定する移動領域設定手段とを更に備え、
前記報知手段は、前記移動可能領域を限度に、前記ルートを前記表示手段に表示させることで、本撮像装置の移動方向が所定の移動方向から外れたことを報知する、
ことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像手段により撮像される画像のうち、前記取得手段により取得された前記撮像方向と直交する方向の移動量が前記移動可能領域を超える撮像時に撮像された画像を合成することなく、前記取得手段により取得した前記撮像方向と直交する方向の移動量が前記移動可能領域を超えない画像を順次合成することで簡易合成画像を生成する簡易合成手段、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記取得手段が前記移動可能領域を超える前記移動量を所定時間継続して取得することを条件に、前記連続的な撮像を終了するエラー制御手段、
を備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の撮像装置。
【請求項7】
表示手段と、撮像手段とを備える撮像装置が実行する画像処理方法であって、
本撮像装置の所定の移動方向に沿って、前記撮像手段により連続的に撮像された複数の画像から合成画像を生成する生成ステップと、
本撮像装置の移動方向又は移動量を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得された移動方向又は移動量に基づいて、本撮像装置の移動方向が所定の移動方向から外れたことを報知する報知ステップと
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
表示手段と、撮像手段とを備える撮像装置のコンピュータを、
本撮像装置の所定の移動方向に沿って、前記撮像手段により連続的に撮像された複数の画像から合成画像を生成する合成手段、
本撮像装置の移動方向又は移動量を取得する取得手段、
前記取得手段により取得された移動方向又は移動量に基づいて、本撮像装置の移動方向が所定の移動方向から外れたことを報知する報知手段
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−70118(P2013−70118A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205075(P2011−205075)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】