撮像装置、発光装置及びカメラシステム
【課題】 撮像装置と発光装置とで電波による無線通信を行う場合であっても、使用環境や通信レートに依らず、撮像装置の動作と発光装置の発光とを同期させる。
【解決手段】 マスターであるカメラ200と無線接続されたスレーブである閃光装置300は、カメラ200から送信される発光開始信号に対する確認用発光であるACK発光を放電管の発光により行い、そのACK発光をカメラ200と閃光装置300の基準時間とし、予め設定してある所定時間の経過後にカメラ200は撮影動作、閃光装置300は発光動作を開始する。
【解決手段】 マスターであるカメラ200と無線接続されたスレーブである閃光装置300は、カメラ200から送信される発光開始信号に対する確認用発光であるACK発光を放電管の発光により行い、そのACK発光をカメラ200と閃光装置300の基準時間とし、予め設定してある所定時間の経過後にカメラ200は撮影動作、閃光装置300は発光動作を開始する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置と発光装置とが電波による無線通信を行う撮像装置、発光装置及びカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラと発光装置とを電波を利用した無線通信により接続するカメラシステムが開発されている。このカメラシステムでは、撮像装置は発光装置に対して発光の開始コマンドを電波によって送信し、発光装置はそのコマンドを受信して発光を開始する。
【0003】
しかし上記システムでは、障害物や他電波との干渉などの影響により使用環境によっては撮像装置の動作と無線接続された発光装置での発光とのタイミングを合わせることが困難な場合がある。
【0004】
そこで、例えば特許文献1では、ワイヤレス増灯システムのマスターから送信するパケットにタイミングデータを含ませ、撮影に関する処理の開始タイミングでパケットの送信状態を変更することで、リモート閃光装置の発光開始を指示する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−102337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記システムでは、デジタル信号と電波との変調・復調期間等を含む遅延時間が発生するが、特許文献1では、電波送信側の変調期間、電波受信側の復調期間、通信レートにより異なる送信側から受信側への電波受け渡し期間などは考慮されていない。そのため、カメラの動作とリモート閃光装置の発光とを正確に同期させることができない。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、撮像装置と発光装置とで電波による無線通信を行う場合であっても、使用環境や通信レートに依らず、撮像装置の動作と発光装置の発光とを同期させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る撮像装置は、通信手段を介して発光装置と電波による無線通信を行う撮像装置であって、被写体を撮像する撮像手段と、前記発光装置による発光を検知する発光検知手段と、前記発光装置に対する、第1の発光を行い所定時間が経過したら第2の発光を行うように指示する発光開始信号を前記通信手段へ出力する信号出力手段と、前記発光検知手段により前記発光装置による前記発光開始信号に基づく第1の発光を検知したあと前記所定時間に基づいて設定される待機時間が経過したら、前記第2の発光に対応した動作を開始させる制御手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するために本発明に係る発光装置は、発光装置による発光を検知する発光検知手段と、前記発光装置に対する、第1の発光を行い所定時間が経過したら第2の発光を行うように指示する発光開始信号を出力する信号出力手段と、前記発光検知手段により前記発光装置による前記発光開始信号に基づく第1の発光を検知したあと前記所定時間に基づいて設定される待機時間が経過したら、前記第2の発光に対応した動作を開始させる制御手段と、を有する撮像装置と通信手段を介して電波による無線通信を行う発光装置であって、前記撮像装置から送信される前記発光開始信号を前記通信手段を介して受信すると、前記第1の発光を行い前記所定時間が経過したら前記第2の発光を行うことを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するために本発明に係るカメラシステムは、通信手段を介して撮像装置と発光装置とが電波による無線通信を行うカメラシステムであって、前記発光装置による発光を検知する発光検知手段と、前記発光装置に対する発光開始信号を出力する信号出力手段と、前記通信手段を介して受信した前記発光開始信号に基づいて、第1の発光を行い所定時間が経過したら第2の発光を行うように発光制御を行う発光制御手段と、前記発光検知手段により前記発光装置による前記発光開始信号に基づく第1の発光が検知されたあと前記所定時間に基づいて設定される待機時間が経過したら、前記第2の発光に対応した前記撮像装置の動作を開始させる制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撮像装置と発光装置とで電波による無線通信を行う場合であっても、使用環境や通信レートに依らず、撮像装置の動作と発光装置の発光とを同期させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】電波を利用した無線通信を行うカメラシステムを示す概要図である。
【図2】第1の実施形態におけるマスター装置であるカメラの構成の一部を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態におけるスレーブ装置である閃光装置の構成の一部を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態におけるカメラの撮影動作を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施形態における閃光装置の発光シーケンスを示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態における撮影時のカメラと閃光装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図7】第2の実施形態におけるカメラの撮影動作を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施形態における閃光装置の発光シーケンスを示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態における撮影時のカメラと閃光装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図10】第3の実施形態におけるカメラの撮影動作を示すフローチャートである。
【図11】第3の実施形態における撮影時のカメラと閃光装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態における、撮像装置と発光装置とで電波を利用した無線通信を行うカメラシステムを示す概要図である。カメラシステム100では、撮像装置としてのカメラ200と発光装置としての閃光装置300とが、それぞれに内蔵あるいは接続されたアンテナ201、309を介して無線LANやBluetoothに代表される電波を利用した無線通信で接続されている。なお、以下では、カメラシステム100において、カメラ200をマスター装置とし、閃光装置300をスレーブ装置とする。
【0014】
図2は、本実施形態におけるマスター装置であるカメラの構成の一部を表すブロック図であり、図2を用いてカメラ200の構成について説明する。
【0015】
図2において、201は無線通信用アンテナ、202は電波通信制御を行う電波通信部、203はカメラ200の各部動作の制御を行うマイクロコンピュータ(以下カメラマイコン)である。204は測光センサなどを含む、測光により被写体の輝度を測定する測光部、205は撮像素子などを含む、被写体を撮影するための撮像部である。
【0016】
また、カメラ200には、撮像素子から読み出された画像データに対して、画像データのレベルを減衰あるいは増幅させる不図示のPGA(Programmable Gain Amplifier)回路がある。このPGA回路によって画像データを減衰/増幅させる、すなわち、感度を変更することで、擬似的に画像データの露出を変えることができる。なお、撮像素子から読み出された画像データに対してだけではなく、測光部204の測光センサの出力を減衰/増幅させる、すなわち、測光部204の感度を変更することも可能である。カメラマイコン203は、増幅レベルをPGA回路に伝達することで、増幅量を制御し感度の設定を行う。
【0017】
206は操作部であり、カメラ200の電源のオン/オフを切り換えるための電源スイッチや、撮影準備動作の開始指示や撮影動作の開始指示を行うためのレリーズスイッチなどを含んでいる。
【0018】
図3は、スレーブ装置である閃光装置300の構成の一部を表すブロック図であり、図3を用いて閃光装置300の構成について説明する。
【0019】
図3において301は電源である電池、302は電池301の電圧を数百V昇圧する昇圧回路、303は昇圧回路302で昇圧された電気エネルギーを蓄える(充電する)主コンデンサである。304は放電管305に数KVの高電圧を印加し励起させるための既存のトリガ回路であり、放電管305は主コンデンサ303に蓄えられた電気エネルギーを光エネルギーに変換する。306は放電管305の発光制御を行う発光制御部であり、307は閃光装置300の各部動作を制御するマイクロコンピュータ(以下閃光装置マイコン)である。309は無線通信用アンテナであって、308は接続されたカメラや他の発光装置との電波通信の制御を行う電波通信部である。
【0020】
上記構成を有する閃光装置300において、不図示の電源スイッチがONされると、閃光装置マイコン307は動作を開始し、昇圧回路302の動作を開始させる。昇圧回路302で昇圧された電気エネルギーは主コンデンサ303に蓄えられ、放電管305が発光可能な充電電圧になるまで主コンデンサ303に電気エネルギーが蓄えられる。そして、電波通信部308によりカメラ200からの発光開始信号を受信すると、主コンデンサ303に蓄えられた電気エネルギーを使って放電管305を発光させる。
【0021】
次に、カメラ200の撮影動作について、図4のフローチャートと図6のタイミングチャートを用いて説明する。なお、図6では、上の横軸がカメラの時間軸、下の横軸が閃光装置の時間軸を示している。
【0022】
カメラ200は、操作部206のレリーズスイッチがONされて撮影動作の開始指示がなされると、撮影動作を行うためのルーチンを開始する(ステップS1001)。
【0023】
ステップS1002では、カメラマイコン203は測光部204の測光動作を開始させステップS1003へ進む。ステップS1003では、カメラマイコン203は発光開始信号を電波通信部202へ出力してステップS1004へ進む。この信号出力のタイミングに対応するのが図6のT1201である。
【0024】
ステップS1004では、電波通信部202は、カメラマイコン203から出力された発光開始信号を通信データに変調をかけ、アンテナ201から通信データの送信を開始させる。この送信開始のタイミングに対応するのが図6のT1202である。このとき、後述する待機処理に用いる所定時間Tに関する情報の送信も行う。なお、本実施形態では、所定時間Tに関する情報は、カメラマイコン203から出力される発光開始信号に含まれているものとするが、発光開始信号とは別の信号としてカメラマイコン203から出力されてもよい。発光開始信号と所定時間Tに関する情報の信号が別に出力される場合でも、発光開始信号と所定時間Tに関する情報の信号を合わせて発光開始信号とする。すなわち、発光開始信号は、後述するように、ACK発光(第1の発光)を行い所定時間Tが経過したら所望する発光(第2の発光)を行うように指示する信号である。
【0025】
ステップS1005では、発光開始信号を電波通信部202及びアンテナ201を介して送信した後、カメラマイコン203は測光部204からの発光検知信号が検出されたか否かを判断し、発光検知信号が検出されるとステップS1006へ進む。ここでの測光部204による発光検知信号が検出されるタイミングは、図6のT1203に対応している。なお、測光部204は所定時間内に所定値以上の輝度変化を検知するとカメラマイコン203へ発光検知信号を出力するものとする。
【0026】
ステップS1006では、カメラマイコン203は、内部に持つタイマーを動作させ、予め定められた所定時間Tに応じた待機処理を行う。ここで行う待機処理は、以下で行う本露光を閃光装置300の本発光に同期させるためのものである。なお、本実施形態では、カメラ200の待機時間と閃光装置300の待機時間とを等しい時間に設定する場合を説明するが、所定時間Tだけでなく発光タイミングの設定も考慮してカメラ200の待機時間を設定してもよい。例えば、露光開始直後に本発光を行う、いわゆる先幕シンクロ撮影を行う場合に、後述するACK発光を検知した所定時間T後に本発光が行われると判断して、閃光装置300の待機時間と等しい時間をカメラ200の待機時間として設定してもよい。また、露光終了直前に本発光を行う、いわゆる後幕シンクロ撮影を行う場合に、ACK発光を検知した所定時間T後に本発光が行われると判断して、閃光装置300の待機時間と設定された露光時間とに基づいてカメラ200の待機時間を設定してもよい。なお、ここでの露光開始とは、不図示のシャッタの走行などにより撮像素子の撮像領域全体が露光を開始する時点のことであり、露光終了とは、不図示のシャッタの走行などにより撮像素子の撮像領域の少なくとも一部が露光を終了する時点のことである。
【0027】
待機処理が終了するとステップS1007へ進み、カメラマイコン203は撮像部205を制御して本露光(撮影)を行う。このタイミングに対応するのが図6のT1204である。その後、ステップS1008で撮影動作のルーチンを終了する。
【0028】
なお、本実施形態では、所定時間Tは一定時間として設定されているが、閃光装置300に対する発光開始信号を出力するたびに所定時間Tを設定してもよい。このとき、カメラ200から発光開始信号とともに所定時間Tに関する情報も閃光装置300へ送信するようにすればよい。
【0029】
次に、閃光装置300のアンテナ309と電波通信部308とを介して発光開始信号を受信した時の閃光装置マイコン307の処理を図5のフローチャートと図6のタイミングチャートを用いて説明する。
【0030】
閃光装置の電波送受信部308は、カメラ200からの発光開始信号を変調した通信データをアンテナ309より受信すると、受信した通信データを復調して閃光装置マイコン307へ発光開始信号を送る。このカメラ200から通信データを受信するタイミングは、図6のT1205のタイミングに対応している。このとき、後述する待機処理に用いる所定時間Tに関する情報も受信し閃光装置マイコン307へ送る。
【0031】
電波通信部308からの本発光開始信号を受けると、受け取った本発光開始信号にしたがって閃光装置マイコン307は本発光処理を開始する(S1101)。
【0032】
ステップS1102では、閃光装置マイコン307は発光制御部306にH信号を出力し、これにより発光制御部306は導通状態となり主コンデンサ303の陽極−放電管305−発光制御部306−主コンデンサ303の陰極の放電ループを形成する。
【0033】
ステップS1103では、閃光装置マイコン307はトリガ回路304に所定時間H信号を出力し、これによりトリガ回路304は放電管305に高電圧を印加することにより、放電管305はACK発光を開始する。なお、ACK発光とは、発光開始信号を受信したことを示すための確認用発光であり、カメラ200はこの確認用発光であるACK発光を検知することで発光開始信号の通信が正常に行われたことを認識できる。
【0034】
そして、閃光装置マイコン307は所定時間後に発光制御部306にL信号を出力し、ACK発光を停止させる。このACK発光のタイミングは、図6のT1206に対応しており、閃光装置300がACK発光を行ってからカメラ200がその光を検知するまでにかかる時間にはほぼ遅延が無いため、図6におけるT1203とT1206は同じタイミングとすることができる。
【0035】
ステップS1104では、閃光装置マイコン307は、内部に持つタイマーを動作させ、カメラから送信された所定時間Tに応じた待機処理を行う。ここで行う待機処理は、以下で行う本発光をカメラ200の本露光に同期させるためのものであり、本実施形態では、閃光装置300の待機処理における待機時間は所定時間Tと等しい時間に設定するものとする。
【0036】
また、ステップS1104では、待機処理の間に閃光装置マイコン307は発光制御部306にH信号を出力する。これにより、発光制御部306は導通状態となり主コンデンサ303の陽極−放電管305−発光制御部306−主コンデンサ303の陰極の放電ループを形成する。
【0037】
待機処理が終了するとステップS1105へ進み、閃光装置マイコン307はトリガ回路304に所定時間H信号を出力し、これによりトリガ回路304は放電管305に高電圧を印加することにより、放電管305は本発光を開始する。この本発光のタイミングは、図6のT1207に対応している。なお、本発光における発光量は、カメラマイコン203により決定され、発光開始信号により閃光装置マイコン307へ伝達される。
【0038】
ステップS1106では、閃光装置マイコン307は発光制御部306にL信号を出力し、これにより発光制御部306は遮断状態となり主コンデンサ303の陽極−放電管305−発光制御部306−主コンデンサ303の陰極の放電ループを遮断する。これにより放電管305は本発光を停止し、続くS1107で本発光処理を終了する。
【0039】
以上のように、閃光装置300が本発光開始信号に基づく本発光の前にACK発光を行い、該ACK発光を行ってから所定時間Tの経過後に本発光を行うことで、カメラ200は本発光の開始タイミングを正確に知ることができる。また、カメラ200は、閃光装置300のACK発光を検知したあと所定時間Tに基づいて設定される待機時間が経過したら本露光を開始させることで、本露光と本発光とを正確に同期させることができる。すなわち、カメラ200は、閃光装置300のACK発光を検知してから所定時間Tの経過後に本発光が行われると判断でき、本露光と本発光とを正確に同期させることができる。
【0040】
〔第2の実施形態〕
本発明における第2の実施形態でのカメラと閃光装置の構成は第1の実施形態の図2、図3と同様であるため、説明を省略する。
【0041】
第2の実施形態では、閃光装置300が発光開始信号を受信したことを示すACK発光を行うとともに、アンテナ309と電波通信部308とを介して発光開始信号を受信したことを示す確認信号であるACK信号を送信する構成としている。そして、カメラ200は、発光を検知するとともに閃光装置300からのACK信号を受信することで閃光装置300からのACK発光を検知したと判断する構成である。これらの構成により、目的の閃光装置とは別の光源による光を検知してACK発光と判断してしまう誤検知を低減することができるとともに、通信エラーの発生などにより正常に電波による無線通信ができない状態であることを検知することができる。
【0042】
第2の実施形態におけるカメラ200の撮影動作について図7のフローチャートと図9のタイミングチャートを用いて説明する。なお図9では、上の横軸がカメラの時間軸、下の横軸が閃光装置の時間軸を示している。また、図7のステップS2001〜ステップS2006は、第1の実施形態で説明した図4のステップS1001〜ステップS1006とそれぞれ同様の処理を行うので、以下では詳細な説明は省略する。
【0043】
ステップS2007では、カメラマイコン203はステップS2006での待機処理の間にアンテナ201と電波通信部202とを介して閃光装置300からのACK信号を受信したか否かを判定する。ACK信号を受信している場合は、カメラマイコン203はステップS2005で検知した発光が閃光装置300によるACK発光であると判断し、ステップS2008へ進み撮影を開始させる。なお、このACK信号の受信タイミングは、図9のT2204のタイミングに対応しており、撮影の開始タイミングは図9のT2205のタイミングに対応している。
【0044】
一方、ACK信号を受信していない場合は、カメラマイコン203はステップS2005で検知した発光が閃光装置300によるACK発光ではないと判断し、ステップS2009へ進みエラー処理を行う。ステップS2009のエラー処理では、エラーフラグを立ててもよいし、カメラマイコン203とは別の不図示の制御ICへエラー通知を出してもよいし、再度ステップS2002あるいはS2003へ戻るシーケンスとしてもよい。また、不図示の報知手段により、ACK信号が受信できなかったことをユーザに報知してもよい。
【0045】
次に、閃光装置のアンテナ309と電波通信部308とを介して発光開始信号を受信した時の閃光装置マイコン307の処理を図8のフローチャートと図9のタイミングチャートを用いて説明する。なお、ステップS2103以外のステップは、第1の実施形態で説明した図6のステップと同様の処理を行うので、以下では詳細な説明は省略する。
【0046】
ステップS2102で発光制御部306を導通状態にした後、ステップS2103では、閃光装置マイコン307は、本発光開始信号を受信したことを示すACK信号をアンテナ309と電波通信部308とを介してカメラ200へ送信する。このACK信号の送信タイミングは図9のT2208に対応している。そして、ACK信号を送信するとステップS2104へ進みACK発光を行う。
【0047】
以上のように、カメラ200は、測光部204により発光を検知してから所定時間内に閃光装置300から送信されたACK信号を受信することで、当該発光を閃光装置300によるACK発光であると判断することができる。そのため、目的の閃光装置とは別の光源による光を検知してACK発光と判断してしまう誤検知を低減することができ、撮影動作と本発光とをより正確に同期させることができる。また、撮影動作の前の待機処理中にACK信号が受信できなかった場合には、通信エラーの発生などにより正常に電波による無線通信ができない状態であることが検知できる。なお、閃光装置300がACK信号の送信を行うタイミングは、図8のフローチャートに示したタイミングでなくてもよく、ステップS2102の前やステップS2104の後であっても構わない。
【0048】
また、ステップS2007において、待機処理の間にACK信号を受信したか否かを判定する構成としたが、待機時間よりも短い時間を判定時間として設定し、発光検知してから設定した判定時間が経過するまでにACK信号を受信したか否かを判定してもよい。あるいは、発光検知した時点を基準とした前後の所定期間を判定期間として設定し、ACK信号を受信したタイミングが設定した判定期間内か(所定期間内)否かを判定してもよい。すなわち、発光検知タイミングとACK信号の受信タイミングの順序によらず、発光検知した時点とACK信号を検知した時点との時間差が所定値内であるか否かを判定してもよい。このように、発光検知した時点とACK信号を検知した時点との時間差が所定値内であるか否かを判定して、所定値以内である場合に検知した発光が閃光装置300のACK発光であると判断することで、ACK発光の誤検知をより低減することができる。
【0049】
〔第3の実施形態〕
本発明における第3の実施形態でのカメラと閃光装置の構成は第1の実施形態の図2、図3と同様であるため、説明を省略する。
【0050】
第3の実施形態では、発光検知制限期間を設定してカメラ200がACK発光を検知する期間を制限する構成としている。このような構成により、目的の閃光装置とは別の光源による光を検知してACK発光と判断してしまう誤検知を低減することができる。また、発光検知制限期間内に発光検知できない場合に、通信エラーの発生などにより発光開始信号を送信しても閃光装置が発光できない状態であることを検知することができる。
【0051】
第3の実施形態におけるカメラ200の撮影動作について図10のフローチャートと図11のタイミングチャートを用いて説明する。
【0052】
なお図11では、上の横軸がカメラの時間軸、下の横軸が閃光装置の時間軸を示している。また、図10のステップS3001〜ステップS3003及びステップS3009〜ステップS3013は、第2の実施形態で説明した図7のステップS2001〜ステップS2003及びステップS2006〜ステップS2010とそれぞれ同様の処理を行う。そのため、以下では詳細な説明は省略する。
【0053】
ステップS3003で発光開始信号を出力すると、ステップS3004では、カメラマイコン203は内部タイマーを作動させて経過時間のカウントを開始する。このタイマーを作動させるタイミングは、図11のT3212に対応している。
【0054】
次に、ステップS3005で発光開始信号をアンテナ201と電波通信部202とを介して閃光装置300へ送信し、ステップS3006では、カメラマイコン203はタイマーを作動させてから所定時間T2が経過したか否かを判定する。具体的には、タイマーを作動させてからの経過時間であるタイマーカウントtが所定時間T2以上であるか否かを判定する。所定時間T2が経過していない場合はステップS3007へ進み、所定時間T2が経過した場合はステップS3012へ進みエラー処理を行う。
【0055】
このように、所定時間T2が経過しても発光検知されない場合には、通信エラーの発生などにより発光開始信号を送信しても閃光装置が発光できない状態であると判断することができる。なお、ステップS3012のエラー処理として、エラーフラグを立ててもよいし、カメラマイコン203とは別の不図示の制御ICへエラー通知を出してもよいし、再度ステップS3002あるいはS3003へ戻るシーケンスとしてもよい。また、不図示の報知手段により、エラーが発生したことをユーザに報知してもよい。
【0056】
ステップS3007では、カメラマイコン203は測光部204により発光が検知されたか否かを判定し、発光が検知された場合はステップS3008へ進む。発光が検知されない場合はステップS3006へ戻る。
【0057】
ステップS3008では、カメラマイコン203はタイマーを作動させてから所定時間T1が経過しているか否かを判定する。所定時間T1が経過している場合はステップS3009へ進み、所定時間T1が経過していない場合は測光部204が誤検知したと判断してステップS3006へ戻る。
【0058】
このように、予め想定したACK発光開始時間よりも早くに測光部204が発光検知した場合には、別の光源による光を検知した誤検知と判断して再度ACK発光が行われるのを待つことで、正確にACK発光を検知することができる。なお、所定時間T1と所定時間T2との関係は、図11に示すようにT1<T2であり、タイマーを作動させてからの経過時間が所定時間T1以上で所定時間T2未満の期間を発光検知制限期間とする。
【0059】
本実施形態における、閃光装置300のアンテナ309と電波通信部308により発光開始信号を受信した時の閃光装置マイコン307の処理については、第2の実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0060】
以上のように、測光部204による発光検知を有効とする期間を制限した発光検知制限期間を設定することで、発光検知制限期間外で検知された発光は目的の閃光装置とは別の光源による光と判断してACK発光の誤検知を低減することができる。そのため、より正確にACK発光を検知することができ、撮像装置の露光と発光装置の発光を正確に同期させることができる。
【0061】
また、発光検知が発光検知制限期間内に行われない場合には、通信エラーの発生などにより発光開始信号を送信しても閃光装置がACK発光できない状態であることを検知することができる。
【0062】
また、発光検知制限期間内で検知された発光であっても、カメラ200が待機処理中にACK信号が受信できなかった場合には、目的の閃光装置とは別の光源による光と判断してACK発光の誤検知をより低減することができる。また、撮影動作の前の待機処理中にACK信号が受信できなかった場合には、通信エラーの発生などにより正常に電波による無線通信ができない状態であることが検知できる。
【0063】
なお、第2の実施形態と同様に、閃光装置300がACK信号の送信を行うタイミングは、図8のフローチャートに示したタイミングでなくてもよく、ステップS2102の前やステップS2104の後であっても構わない。
【0064】
また、ステップS3010において、待機処理の間にACK信号を受信したか否かを判定する構成としたが、待機時間よりも短い時間を判定時間として設定し、発光検知してから設定した判定時間が経過するまでにACK信号を受信したか否かを判定してもよい。あるいは、発光検知した時点を基準とした前後の所定期間を判定期間として設定し、ACK信号を受信したタイミングが設定した判定期間内か否かを判定してもよい。すなわち、発光検知タイミングとACK信号の受信タイミングの順序によらず、発光検知した時点とACK信号を検知した時点との時間差が所定値内であるか否かを判定してもよい。このように、発光検知した時点とACK信号を検知した時点との時間差が所定値内であるか否かを判定して、所定値以内である場合に検知した発光が閃光装置300のACK発光であると判断することで、ACK発光の誤検知をより低減することができる。あるいは、発光検知制限期間をACK信号を受信したか否かを判定する判定期間として設定するようにしてもよい。
【0065】
また、タイマーを作動させるタイミングは、図10のフローチャートに示したタイミングでなくてもよく、ステップS3002の前やステップS3005の後であっても構わない。
【0066】
また、所定時間T1及び所定時間T2はACK発光が開始される可能性が高い期間を予め想定して設定されるので、通信方式や通信レートなどに応じて所定時間T1及び所定時間T2を変更するようにしてもよい。
【0067】
また、電波によるACK信号を用いることでACK発光の誤検知をより低減することができるが、第1の実施形態のようにACK信号の検知を行わない構成であっても発光検知制限期間を設定することでACK発光の誤検知を低減することができる。
【0068】
なお、上記の3つの実施形態において、ACK発光を本発光量を決定するために行われるプリ発光として用いることで、本発光前に主コンデンサ303の充電電圧の低下を抑えることができ、本発光時に充電電圧不足になることを抑えることができる。また、本発光の前に1度しか発光を行わないので、レリーズタイムラグを抑えることができる。
【0069】
また、上記の3つの実施形態では、本発光の前にACK発光を行う構成を説明したが、プリ発光の前にACK発光を行っても構わない。閃光装置300は、カメラ200からのプリ発光開始信号を受信すると、プリ発光開始信号を受信したことを示すACK発光を行う。カメラ200は、このACK発光を検知することで、ACK発光を検知してから所定時間Tの経過後にプリ発光が行われると判断できる。このとき、閃光装置300がACK発光を行った時の測光結果に基づいて、プリ発光時の測光部204の感度あるいはプリ発光の発光量を設定するようにしてもよい。このように、ACK発光時の測光結果に基づいてプリ発光時の測光部204の感度あるいはプリ発光量を設定することで、プリ発光時の測光を正確に行うことができ、より適切な本発光量を決定することができる。
【0070】
また、上記の3つの実施形態では、本発光の前にACK発光を行う構成を説明したが、1度の発光開始信号によってACK発光、プリ発光、本発光を順に行う構成でもよい。その場合、カメラ200と閃光装置300のそれぞれに対して、ACK発光からプリ発光までの第1の待機時間とプリ発光から本発光までの第2の待機時間あるいはACK発光から本発光までの第3の待機時間とをそれぞれ設定するようにすればよい。
【0071】
また、上記の3つの実施形態では、放電管を発光手段とする閃光装置を発光装置として用いた場合を説明したが、LEDなどのその他の発光手段を用いる発光装置であっても適用できる。
【0072】
また、上記の3つの実施形態では、測光部を用いて発光検知を行う構成を説明したが、撮像素子で撮影された画像を用いて発光検知を行う構成でもよい。例えば、閃光装置へ発光開始信号を送信した後に高速で連続撮影を行い、連続撮影された画像の中から発光が行われたと思われる画像を選択し、その画像が撮影された時点を基準にして待機時間を設定するようにすればよい。
【0073】
また、上記の3つの実施形態では、撮像装置が電波通信部およびアンテナを備えた構成を説明したが、発光装置との間で電波による無線通信が可能な通信装置を装着した撮像装置にも適用できる。同様に、発光装置が電波通信部およびアンテナを備えていない構成であって、撮像装置との間で電波による無線通信が可能な通信装置を発光装置が装着した場合にも適用できる。
【0074】
また、スレーブ装置の待機処理に用いる所定時間の設定を、撮像装置ではなく撮像装置に装着された発光装置あるいは通信装置で行う構成であっても構わない。例えば、撮像装置に装着された発光装置のマイコンが、スレーブ装置の待機処理に用いる所定時間を設定して、撮像装置とスレーブ装置の両方に伝えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
100 カメラシステム
200 カメラ
201 アンテナ(カメラ側)
202 電波通信部(カメラ側)
203 カメラマイコン
204 測光部
205 撮像部
300 閃光装置
307 閃光装置マイコン
308 電波通信部(閃光装置側)
309 アンテナ(閃光装置側)
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置と発光装置とが電波による無線通信を行う撮像装置、発光装置及びカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラと発光装置とを電波を利用した無線通信により接続するカメラシステムが開発されている。このカメラシステムでは、撮像装置は発光装置に対して発光の開始コマンドを電波によって送信し、発光装置はそのコマンドを受信して発光を開始する。
【0003】
しかし上記システムでは、障害物や他電波との干渉などの影響により使用環境によっては撮像装置の動作と無線接続された発光装置での発光とのタイミングを合わせることが困難な場合がある。
【0004】
そこで、例えば特許文献1では、ワイヤレス増灯システムのマスターから送信するパケットにタイミングデータを含ませ、撮影に関する処理の開始タイミングでパケットの送信状態を変更することで、リモート閃光装置の発光開始を指示する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−102337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記システムでは、デジタル信号と電波との変調・復調期間等を含む遅延時間が発生するが、特許文献1では、電波送信側の変調期間、電波受信側の復調期間、通信レートにより異なる送信側から受信側への電波受け渡し期間などは考慮されていない。そのため、カメラの動作とリモート閃光装置の発光とを正確に同期させることができない。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、撮像装置と発光装置とで電波による無線通信を行う場合であっても、使用環境や通信レートに依らず、撮像装置の動作と発光装置の発光とを同期させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る撮像装置は、通信手段を介して発光装置と電波による無線通信を行う撮像装置であって、被写体を撮像する撮像手段と、前記発光装置による発光を検知する発光検知手段と、前記発光装置に対する、第1の発光を行い所定時間が経過したら第2の発光を行うように指示する発光開始信号を前記通信手段へ出力する信号出力手段と、前記発光検知手段により前記発光装置による前記発光開始信号に基づく第1の発光を検知したあと前記所定時間に基づいて設定される待機時間が経過したら、前記第2の発光に対応した動作を開始させる制御手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するために本発明に係る発光装置は、発光装置による発光を検知する発光検知手段と、前記発光装置に対する、第1の発光を行い所定時間が経過したら第2の発光を行うように指示する発光開始信号を出力する信号出力手段と、前記発光検知手段により前記発光装置による前記発光開始信号に基づく第1の発光を検知したあと前記所定時間に基づいて設定される待機時間が経過したら、前記第2の発光に対応した動作を開始させる制御手段と、を有する撮像装置と通信手段を介して電波による無線通信を行う発光装置であって、前記撮像装置から送信される前記発光開始信号を前記通信手段を介して受信すると、前記第1の発光を行い前記所定時間が経過したら前記第2の発光を行うことを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するために本発明に係るカメラシステムは、通信手段を介して撮像装置と発光装置とが電波による無線通信を行うカメラシステムであって、前記発光装置による発光を検知する発光検知手段と、前記発光装置に対する発光開始信号を出力する信号出力手段と、前記通信手段を介して受信した前記発光開始信号に基づいて、第1の発光を行い所定時間が経過したら第2の発光を行うように発光制御を行う発光制御手段と、前記発光検知手段により前記発光装置による前記発光開始信号に基づく第1の発光が検知されたあと前記所定時間に基づいて設定される待機時間が経過したら、前記第2の発光に対応した前記撮像装置の動作を開始させる制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撮像装置と発光装置とで電波による無線通信を行う場合であっても、使用環境や通信レートに依らず、撮像装置の動作と発光装置の発光とを同期させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】電波を利用した無線通信を行うカメラシステムを示す概要図である。
【図2】第1の実施形態におけるマスター装置であるカメラの構成の一部を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態におけるスレーブ装置である閃光装置の構成の一部を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態におけるカメラの撮影動作を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施形態における閃光装置の発光シーケンスを示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態における撮影時のカメラと閃光装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図7】第2の実施形態におけるカメラの撮影動作を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施形態における閃光装置の発光シーケンスを示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態における撮影時のカメラと閃光装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図10】第3の実施形態におけるカメラの撮影動作を示すフローチャートである。
【図11】第3の実施形態における撮影時のカメラと閃光装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態における、撮像装置と発光装置とで電波を利用した無線通信を行うカメラシステムを示す概要図である。カメラシステム100では、撮像装置としてのカメラ200と発光装置としての閃光装置300とが、それぞれに内蔵あるいは接続されたアンテナ201、309を介して無線LANやBluetoothに代表される電波を利用した無線通信で接続されている。なお、以下では、カメラシステム100において、カメラ200をマスター装置とし、閃光装置300をスレーブ装置とする。
【0014】
図2は、本実施形態におけるマスター装置であるカメラの構成の一部を表すブロック図であり、図2を用いてカメラ200の構成について説明する。
【0015】
図2において、201は無線通信用アンテナ、202は電波通信制御を行う電波通信部、203はカメラ200の各部動作の制御を行うマイクロコンピュータ(以下カメラマイコン)である。204は測光センサなどを含む、測光により被写体の輝度を測定する測光部、205は撮像素子などを含む、被写体を撮影するための撮像部である。
【0016】
また、カメラ200には、撮像素子から読み出された画像データに対して、画像データのレベルを減衰あるいは増幅させる不図示のPGA(Programmable Gain Amplifier)回路がある。このPGA回路によって画像データを減衰/増幅させる、すなわち、感度を変更することで、擬似的に画像データの露出を変えることができる。なお、撮像素子から読み出された画像データに対してだけではなく、測光部204の測光センサの出力を減衰/増幅させる、すなわち、測光部204の感度を変更することも可能である。カメラマイコン203は、増幅レベルをPGA回路に伝達することで、増幅量を制御し感度の設定を行う。
【0017】
206は操作部であり、カメラ200の電源のオン/オフを切り換えるための電源スイッチや、撮影準備動作の開始指示や撮影動作の開始指示を行うためのレリーズスイッチなどを含んでいる。
【0018】
図3は、スレーブ装置である閃光装置300の構成の一部を表すブロック図であり、図3を用いて閃光装置300の構成について説明する。
【0019】
図3において301は電源である電池、302は電池301の電圧を数百V昇圧する昇圧回路、303は昇圧回路302で昇圧された電気エネルギーを蓄える(充電する)主コンデンサである。304は放電管305に数KVの高電圧を印加し励起させるための既存のトリガ回路であり、放電管305は主コンデンサ303に蓄えられた電気エネルギーを光エネルギーに変換する。306は放電管305の発光制御を行う発光制御部であり、307は閃光装置300の各部動作を制御するマイクロコンピュータ(以下閃光装置マイコン)である。309は無線通信用アンテナであって、308は接続されたカメラや他の発光装置との電波通信の制御を行う電波通信部である。
【0020】
上記構成を有する閃光装置300において、不図示の電源スイッチがONされると、閃光装置マイコン307は動作を開始し、昇圧回路302の動作を開始させる。昇圧回路302で昇圧された電気エネルギーは主コンデンサ303に蓄えられ、放電管305が発光可能な充電電圧になるまで主コンデンサ303に電気エネルギーが蓄えられる。そして、電波通信部308によりカメラ200からの発光開始信号を受信すると、主コンデンサ303に蓄えられた電気エネルギーを使って放電管305を発光させる。
【0021】
次に、カメラ200の撮影動作について、図4のフローチャートと図6のタイミングチャートを用いて説明する。なお、図6では、上の横軸がカメラの時間軸、下の横軸が閃光装置の時間軸を示している。
【0022】
カメラ200は、操作部206のレリーズスイッチがONされて撮影動作の開始指示がなされると、撮影動作を行うためのルーチンを開始する(ステップS1001)。
【0023】
ステップS1002では、カメラマイコン203は測光部204の測光動作を開始させステップS1003へ進む。ステップS1003では、カメラマイコン203は発光開始信号を電波通信部202へ出力してステップS1004へ進む。この信号出力のタイミングに対応するのが図6のT1201である。
【0024】
ステップS1004では、電波通信部202は、カメラマイコン203から出力された発光開始信号を通信データに変調をかけ、アンテナ201から通信データの送信を開始させる。この送信開始のタイミングに対応するのが図6のT1202である。このとき、後述する待機処理に用いる所定時間Tに関する情報の送信も行う。なお、本実施形態では、所定時間Tに関する情報は、カメラマイコン203から出力される発光開始信号に含まれているものとするが、発光開始信号とは別の信号としてカメラマイコン203から出力されてもよい。発光開始信号と所定時間Tに関する情報の信号が別に出力される場合でも、発光開始信号と所定時間Tに関する情報の信号を合わせて発光開始信号とする。すなわち、発光開始信号は、後述するように、ACK発光(第1の発光)を行い所定時間Tが経過したら所望する発光(第2の発光)を行うように指示する信号である。
【0025】
ステップS1005では、発光開始信号を電波通信部202及びアンテナ201を介して送信した後、カメラマイコン203は測光部204からの発光検知信号が検出されたか否かを判断し、発光検知信号が検出されるとステップS1006へ進む。ここでの測光部204による発光検知信号が検出されるタイミングは、図6のT1203に対応している。なお、測光部204は所定時間内に所定値以上の輝度変化を検知するとカメラマイコン203へ発光検知信号を出力するものとする。
【0026】
ステップS1006では、カメラマイコン203は、内部に持つタイマーを動作させ、予め定められた所定時間Tに応じた待機処理を行う。ここで行う待機処理は、以下で行う本露光を閃光装置300の本発光に同期させるためのものである。なお、本実施形態では、カメラ200の待機時間と閃光装置300の待機時間とを等しい時間に設定する場合を説明するが、所定時間Tだけでなく発光タイミングの設定も考慮してカメラ200の待機時間を設定してもよい。例えば、露光開始直後に本発光を行う、いわゆる先幕シンクロ撮影を行う場合に、後述するACK発光を検知した所定時間T後に本発光が行われると判断して、閃光装置300の待機時間と等しい時間をカメラ200の待機時間として設定してもよい。また、露光終了直前に本発光を行う、いわゆる後幕シンクロ撮影を行う場合に、ACK発光を検知した所定時間T後に本発光が行われると判断して、閃光装置300の待機時間と設定された露光時間とに基づいてカメラ200の待機時間を設定してもよい。なお、ここでの露光開始とは、不図示のシャッタの走行などにより撮像素子の撮像領域全体が露光を開始する時点のことであり、露光終了とは、不図示のシャッタの走行などにより撮像素子の撮像領域の少なくとも一部が露光を終了する時点のことである。
【0027】
待機処理が終了するとステップS1007へ進み、カメラマイコン203は撮像部205を制御して本露光(撮影)を行う。このタイミングに対応するのが図6のT1204である。その後、ステップS1008で撮影動作のルーチンを終了する。
【0028】
なお、本実施形態では、所定時間Tは一定時間として設定されているが、閃光装置300に対する発光開始信号を出力するたびに所定時間Tを設定してもよい。このとき、カメラ200から発光開始信号とともに所定時間Tに関する情報も閃光装置300へ送信するようにすればよい。
【0029】
次に、閃光装置300のアンテナ309と電波通信部308とを介して発光開始信号を受信した時の閃光装置マイコン307の処理を図5のフローチャートと図6のタイミングチャートを用いて説明する。
【0030】
閃光装置の電波送受信部308は、カメラ200からの発光開始信号を変調した通信データをアンテナ309より受信すると、受信した通信データを復調して閃光装置マイコン307へ発光開始信号を送る。このカメラ200から通信データを受信するタイミングは、図6のT1205のタイミングに対応している。このとき、後述する待機処理に用いる所定時間Tに関する情報も受信し閃光装置マイコン307へ送る。
【0031】
電波通信部308からの本発光開始信号を受けると、受け取った本発光開始信号にしたがって閃光装置マイコン307は本発光処理を開始する(S1101)。
【0032】
ステップS1102では、閃光装置マイコン307は発光制御部306にH信号を出力し、これにより発光制御部306は導通状態となり主コンデンサ303の陽極−放電管305−発光制御部306−主コンデンサ303の陰極の放電ループを形成する。
【0033】
ステップS1103では、閃光装置マイコン307はトリガ回路304に所定時間H信号を出力し、これによりトリガ回路304は放電管305に高電圧を印加することにより、放電管305はACK発光を開始する。なお、ACK発光とは、発光開始信号を受信したことを示すための確認用発光であり、カメラ200はこの確認用発光であるACK発光を検知することで発光開始信号の通信が正常に行われたことを認識できる。
【0034】
そして、閃光装置マイコン307は所定時間後に発光制御部306にL信号を出力し、ACK発光を停止させる。このACK発光のタイミングは、図6のT1206に対応しており、閃光装置300がACK発光を行ってからカメラ200がその光を検知するまでにかかる時間にはほぼ遅延が無いため、図6におけるT1203とT1206は同じタイミングとすることができる。
【0035】
ステップS1104では、閃光装置マイコン307は、内部に持つタイマーを動作させ、カメラから送信された所定時間Tに応じた待機処理を行う。ここで行う待機処理は、以下で行う本発光をカメラ200の本露光に同期させるためのものであり、本実施形態では、閃光装置300の待機処理における待機時間は所定時間Tと等しい時間に設定するものとする。
【0036】
また、ステップS1104では、待機処理の間に閃光装置マイコン307は発光制御部306にH信号を出力する。これにより、発光制御部306は導通状態となり主コンデンサ303の陽極−放電管305−発光制御部306−主コンデンサ303の陰極の放電ループを形成する。
【0037】
待機処理が終了するとステップS1105へ進み、閃光装置マイコン307はトリガ回路304に所定時間H信号を出力し、これによりトリガ回路304は放電管305に高電圧を印加することにより、放電管305は本発光を開始する。この本発光のタイミングは、図6のT1207に対応している。なお、本発光における発光量は、カメラマイコン203により決定され、発光開始信号により閃光装置マイコン307へ伝達される。
【0038】
ステップS1106では、閃光装置マイコン307は発光制御部306にL信号を出力し、これにより発光制御部306は遮断状態となり主コンデンサ303の陽極−放電管305−発光制御部306−主コンデンサ303の陰極の放電ループを遮断する。これにより放電管305は本発光を停止し、続くS1107で本発光処理を終了する。
【0039】
以上のように、閃光装置300が本発光開始信号に基づく本発光の前にACK発光を行い、該ACK発光を行ってから所定時間Tの経過後に本発光を行うことで、カメラ200は本発光の開始タイミングを正確に知ることができる。また、カメラ200は、閃光装置300のACK発光を検知したあと所定時間Tに基づいて設定される待機時間が経過したら本露光を開始させることで、本露光と本発光とを正確に同期させることができる。すなわち、カメラ200は、閃光装置300のACK発光を検知してから所定時間Tの経過後に本発光が行われると判断でき、本露光と本発光とを正確に同期させることができる。
【0040】
〔第2の実施形態〕
本発明における第2の実施形態でのカメラと閃光装置の構成は第1の実施形態の図2、図3と同様であるため、説明を省略する。
【0041】
第2の実施形態では、閃光装置300が発光開始信号を受信したことを示すACK発光を行うとともに、アンテナ309と電波通信部308とを介して発光開始信号を受信したことを示す確認信号であるACK信号を送信する構成としている。そして、カメラ200は、発光を検知するとともに閃光装置300からのACK信号を受信することで閃光装置300からのACK発光を検知したと判断する構成である。これらの構成により、目的の閃光装置とは別の光源による光を検知してACK発光と判断してしまう誤検知を低減することができるとともに、通信エラーの発生などにより正常に電波による無線通信ができない状態であることを検知することができる。
【0042】
第2の実施形態におけるカメラ200の撮影動作について図7のフローチャートと図9のタイミングチャートを用いて説明する。なお図9では、上の横軸がカメラの時間軸、下の横軸が閃光装置の時間軸を示している。また、図7のステップS2001〜ステップS2006は、第1の実施形態で説明した図4のステップS1001〜ステップS1006とそれぞれ同様の処理を行うので、以下では詳細な説明は省略する。
【0043】
ステップS2007では、カメラマイコン203はステップS2006での待機処理の間にアンテナ201と電波通信部202とを介して閃光装置300からのACK信号を受信したか否かを判定する。ACK信号を受信している場合は、カメラマイコン203はステップS2005で検知した発光が閃光装置300によるACK発光であると判断し、ステップS2008へ進み撮影を開始させる。なお、このACK信号の受信タイミングは、図9のT2204のタイミングに対応しており、撮影の開始タイミングは図9のT2205のタイミングに対応している。
【0044】
一方、ACK信号を受信していない場合は、カメラマイコン203はステップS2005で検知した発光が閃光装置300によるACK発光ではないと判断し、ステップS2009へ進みエラー処理を行う。ステップS2009のエラー処理では、エラーフラグを立ててもよいし、カメラマイコン203とは別の不図示の制御ICへエラー通知を出してもよいし、再度ステップS2002あるいはS2003へ戻るシーケンスとしてもよい。また、不図示の報知手段により、ACK信号が受信できなかったことをユーザに報知してもよい。
【0045】
次に、閃光装置のアンテナ309と電波通信部308とを介して発光開始信号を受信した時の閃光装置マイコン307の処理を図8のフローチャートと図9のタイミングチャートを用いて説明する。なお、ステップS2103以外のステップは、第1の実施形態で説明した図6のステップと同様の処理を行うので、以下では詳細な説明は省略する。
【0046】
ステップS2102で発光制御部306を導通状態にした後、ステップS2103では、閃光装置マイコン307は、本発光開始信号を受信したことを示すACK信号をアンテナ309と電波通信部308とを介してカメラ200へ送信する。このACK信号の送信タイミングは図9のT2208に対応している。そして、ACK信号を送信するとステップS2104へ進みACK発光を行う。
【0047】
以上のように、カメラ200は、測光部204により発光を検知してから所定時間内に閃光装置300から送信されたACK信号を受信することで、当該発光を閃光装置300によるACK発光であると判断することができる。そのため、目的の閃光装置とは別の光源による光を検知してACK発光と判断してしまう誤検知を低減することができ、撮影動作と本発光とをより正確に同期させることができる。また、撮影動作の前の待機処理中にACK信号が受信できなかった場合には、通信エラーの発生などにより正常に電波による無線通信ができない状態であることが検知できる。なお、閃光装置300がACK信号の送信を行うタイミングは、図8のフローチャートに示したタイミングでなくてもよく、ステップS2102の前やステップS2104の後であっても構わない。
【0048】
また、ステップS2007において、待機処理の間にACK信号を受信したか否かを判定する構成としたが、待機時間よりも短い時間を判定時間として設定し、発光検知してから設定した判定時間が経過するまでにACK信号を受信したか否かを判定してもよい。あるいは、発光検知した時点を基準とした前後の所定期間を判定期間として設定し、ACK信号を受信したタイミングが設定した判定期間内か(所定期間内)否かを判定してもよい。すなわち、発光検知タイミングとACK信号の受信タイミングの順序によらず、発光検知した時点とACK信号を検知した時点との時間差が所定値内であるか否かを判定してもよい。このように、発光検知した時点とACK信号を検知した時点との時間差が所定値内であるか否かを判定して、所定値以内である場合に検知した発光が閃光装置300のACK発光であると判断することで、ACK発光の誤検知をより低減することができる。
【0049】
〔第3の実施形態〕
本発明における第3の実施形態でのカメラと閃光装置の構成は第1の実施形態の図2、図3と同様であるため、説明を省略する。
【0050】
第3の実施形態では、発光検知制限期間を設定してカメラ200がACK発光を検知する期間を制限する構成としている。このような構成により、目的の閃光装置とは別の光源による光を検知してACK発光と判断してしまう誤検知を低減することができる。また、発光検知制限期間内に発光検知できない場合に、通信エラーの発生などにより発光開始信号を送信しても閃光装置が発光できない状態であることを検知することができる。
【0051】
第3の実施形態におけるカメラ200の撮影動作について図10のフローチャートと図11のタイミングチャートを用いて説明する。
【0052】
なお図11では、上の横軸がカメラの時間軸、下の横軸が閃光装置の時間軸を示している。また、図10のステップS3001〜ステップS3003及びステップS3009〜ステップS3013は、第2の実施形態で説明した図7のステップS2001〜ステップS2003及びステップS2006〜ステップS2010とそれぞれ同様の処理を行う。そのため、以下では詳細な説明は省略する。
【0053】
ステップS3003で発光開始信号を出力すると、ステップS3004では、カメラマイコン203は内部タイマーを作動させて経過時間のカウントを開始する。このタイマーを作動させるタイミングは、図11のT3212に対応している。
【0054】
次に、ステップS3005で発光開始信号をアンテナ201と電波通信部202とを介して閃光装置300へ送信し、ステップS3006では、カメラマイコン203はタイマーを作動させてから所定時間T2が経過したか否かを判定する。具体的には、タイマーを作動させてからの経過時間であるタイマーカウントtが所定時間T2以上であるか否かを判定する。所定時間T2が経過していない場合はステップS3007へ進み、所定時間T2が経過した場合はステップS3012へ進みエラー処理を行う。
【0055】
このように、所定時間T2が経過しても発光検知されない場合には、通信エラーの発生などにより発光開始信号を送信しても閃光装置が発光できない状態であると判断することができる。なお、ステップS3012のエラー処理として、エラーフラグを立ててもよいし、カメラマイコン203とは別の不図示の制御ICへエラー通知を出してもよいし、再度ステップS3002あるいはS3003へ戻るシーケンスとしてもよい。また、不図示の報知手段により、エラーが発生したことをユーザに報知してもよい。
【0056】
ステップS3007では、カメラマイコン203は測光部204により発光が検知されたか否かを判定し、発光が検知された場合はステップS3008へ進む。発光が検知されない場合はステップS3006へ戻る。
【0057】
ステップS3008では、カメラマイコン203はタイマーを作動させてから所定時間T1が経過しているか否かを判定する。所定時間T1が経過している場合はステップS3009へ進み、所定時間T1が経過していない場合は測光部204が誤検知したと判断してステップS3006へ戻る。
【0058】
このように、予め想定したACK発光開始時間よりも早くに測光部204が発光検知した場合には、別の光源による光を検知した誤検知と判断して再度ACK発光が行われるのを待つことで、正確にACK発光を検知することができる。なお、所定時間T1と所定時間T2との関係は、図11に示すようにT1<T2であり、タイマーを作動させてからの経過時間が所定時間T1以上で所定時間T2未満の期間を発光検知制限期間とする。
【0059】
本実施形態における、閃光装置300のアンテナ309と電波通信部308により発光開始信号を受信した時の閃光装置マイコン307の処理については、第2の実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0060】
以上のように、測光部204による発光検知を有効とする期間を制限した発光検知制限期間を設定することで、発光検知制限期間外で検知された発光は目的の閃光装置とは別の光源による光と判断してACK発光の誤検知を低減することができる。そのため、より正確にACK発光を検知することができ、撮像装置の露光と発光装置の発光を正確に同期させることができる。
【0061】
また、発光検知が発光検知制限期間内に行われない場合には、通信エラーの発生などにより発光開始信号を送信しても閃光装置がACK発光できない状態であることを検知することができる。
【0062】
また、発光検知制限期間内で検知された発光であっても、カメラ200が待機処理中にACK信号が受信できなかった場合には、目的の閃光装置とは別の光源による光と判断してACK発光の誤検知をより低減することができる。また、撮影動作の前の待機処理中にACK信号が受信できなかった場合には、通信エラーの発生などにより正常に電波による無線通信ができない状態であることが検知できる。
【0063】
なお、第2の実施形態と同様に、閃光装置300がACK信号の送信を行うタイミングは、図8のフローチャートに示したタイミングでなくてもよく、ステップS2102の前やステップS2104の後であっても構わない。
【0064】
また、ステップS3010において、待機処理の間にACK信号を受信したか否かを判定する構成としたが、待機時間よりも短い時間を判定時間として設定し、発光検知してから設定した判定時間が経過するまでにACK信号を受信したか否かを判定してもよい。あるいは、発光検知した時点を基準とした前後の所定期間を判定期間として設定し、ACK信号を受信したタイミングが設定した判定期間内か否かを判定してもよい。すなわち、発光検知タイミングとACK信号の受信タイミングの順序によらず、発光検知した時点とACK信号を検知した時点との時間差が所定値内であるか否かを判定してもよい。このように、発光検知した時点とACK信号を検知した時点との時間差が所定値内であるか否かを判定して、所定値以内である場合に検知した発光が閃光装置300のACK発光であると判断することで、ACK発光の誤検知をより低減することができる。あるいは、発光検知制限期間をACK信号を受信したか否かを判定する判定期間として設定するようにしてもよい。
【0065】
また、タイマーを作動させるタイミングは、図10のフローチャートに示したタイミングでなくてもよく、ステップS3002の前やステップS3005の後であっても構わない。
【0066】
また、所定時間T1及び所定時間T2はACK発光が開始される可能性が高い期間を予め想定して設定されるので、通信方式や通信レートなどに応じて所定時間T1及び所定時間T2を変更するようにしてもよい。
【0067】
また、電波によるACK信号を用いることでACK発光の誤検知をより低減することができるが、第1の実施形態のようにACK信号の検知を行わない構成であっても発光検知制限期間を設定することでACK発光の誤検知を低減することができる。
【0068】
なお、上記の3つの実施形態において、ACK発光を本発光量を決定するために行われるプリ発光として用いることで、本発光前に主コンデンサ303の充電電圧の低下を抑えることができ、本発光時に充電電圧不足になることを抑えることができる。また、本発光の前に1度しか発光を行わないので、レリーズタイムラグを抑えることができる。
【0069】
また、上記の3つの実施形態では、本発光の前にACK発光を行う構成を説明したが、プリ発光の前にACK発光を行っても構わない。閃光装置300は、カメラ200からのプリ発光開始信号を受信すると、プリ発光開始信号を受信したことを示すACK発光を行う。カメラ200は、このACK発光を検知することで、ACK発光を検知してから所定時間Tの経過後にプリ発光が行われると判断できる。このとき、閃光装置300がACK発光を行った時の測光結果に基づいて、プリ発光時の測光部204の感度あるいはプリ発光の発光量を設定するようにしてもよい。このように、ACK発光時の測光結果に基づいてプリ発光時の測光部204の感度あるいはプリ発光量を設定することで、プリ発光時の測光を正確に行うことができ、より適切な本発光量を決定することができる。
【0070】
また、上記の3つの実施形態では、本発光の前にACK発光を行う構成を説明したが、1度の発光開始信号によってACK発光、プリ発光、本発光を順に行う構成でもよい。その場合、カメラ200と閃光装置300のそれぞれに対して、ACK発光からプリ発光までの第1の待機時間とプリ発光から本発光までの第2の待機時間あるいはACK発光から本発光までの第3の待機時間とをそれぞれ設定するようにすればよい。
【0071】
また、上記の3つの実施形態では、放電管を発光手段とする閃光装置を発光装置として用いた場合を説明したが、LEDなどのその他の発光手段を用いる発光装置であっても適用できる。
【0072】
また、上記の3つの実施形態では、測光部を用いて発光検知を行う構成を説明したが、撮像素子で撮影された画像を用いて発光検知を行う構成でもよい。例えば、閃光装置へ発光開始信号を送信した後に高速で連続撮影を行い、連続撮影された画像の中から発光が行われたと思われる画像を選択し、その画像が撮影された時点を基準にして待機時間を設定するようにすればよい。
【0073】
また、上記の3つの実施形態では、撮像装置が電波通信部およびアンテナを備えた構成を説明したが、発光装置との間で電波による無線通信が可能な通信装置を装着した撮像装置にも適用できる。同様に、発光装置が電波通信部およびアンテナを備えていない構成であって、撮像装置との間で電波による無線通信が可能な通信装置を発光装置が装着した場合にも適用できる。
【0074】
また、スレーブ装置の待機処理に用いる所定時間の設定を、撮像装置ではなく撮像装置に装着された発光装置あるいは通信装置で行う構成であっても構わない。例えば、撮像装置に装着された発光装置のマイコンが、スレーブ装置の待機処理に用いる所定時間を設定して、撮像装置とスレーブ装置の両方に伝えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
100 カメラシステム
200 カメラ
201 アンテナ(カメラ側)
202 電波通信部(カメラ側)
203 カメラマイコン
204 測光部
205 撮像部
300 閃光装置
307 閃光装置マイコン
308 電波通信部(閃光装置側)
309 アンテナ(閃光装置側)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信手段を介して発光装置と電波による無線通信を行う撮像装置であって、
被写体を撮像する撮像手段と、
前記発光装置による発光を検知する発光検知手段と、
前記発光装置に対する、第1の発光を行い所定時間が経過したら第2の発光を行うように指示する発光開始信号を前記通信手段へ出力する信号出力手段と、
前記発光検知手段により前記発光装置による前記発光開始信号に基づく第1の発光を検知したあと前記所定時間に基づいて設定される待機時間が経過したら、前記第2の発光に対応した動作を開始させる制御手段と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1の発光は、前記発光開始信号を受信したことを示す確認用発光であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
被写体の輝度を測定する測光手段と、
前記第1の発光を行ったときに前記測光手段により得られる測光結果に基づいて、前記第2の発光の発光量を決定する決定手段と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
被写体の輝度を測定する測光手段と、
前記第1の発光を行ったときに前記測光手段により得られる測光結果に基づいて、前記第2の発光を行う際の前記測光手段の感度を設定する設定手段と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第2の発光が本発光の場合、前記発光検知手段により前記発光装置による前記発光開始信号に基づく第1の発光を検知したあと前記所定時間に基づいて設定される待機時間が経過したら、前記撮像手段による本露光を開始させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記発光検知手段により検知した発光が前記発光装置による発光か否かを判断する判断手段を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記判断手段は、前記信号出力手段により前記発光開始信号が出力された時点を基準とした所定期間内に前記発光検知手段により検知された発光を前記発光装置による発光と判断することを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記判断手段は、前記発光検知手段により発光が検知されてから所定時間内に、前記発光装置から送信される前記発光開始信号を受信したことを示す確認信号が前記通信手段を介して受信された場合に、当該発光を前記発光装置による発光と判断することを特徴とする請求項6または7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記判断手段は、前記発光検知手段により発光検知された時点と前記発光装置から送信される前記発光開始信号を受信したことを示す確認信号が前記通信手段を介して受信された時点との時間差が所定値内である場合に、当該発光を前記発光装置による発光と判断することを特徴とする請求項6または7に記載の撮像装置。
【請求項10】
発光装置による発光を検知する発光検知手段と、前記発光装置に対する、第1の発光を行い所定時間が経過したら第2の発光を行うように指示する発光開始信号を出力する信号出力手段と、前記発光検知手段により前記発光装置による前記発光開始信号に基づく第1の発光を検知したあと前記所定時間に基づいて設定される待機時間が経過したら、前記第2の発光に対応した動作を開始させる制御手段と、を有する撮像装置と通信手段を介して電波による無線通信を行う発光装置であって、
前記撮像装置から送信される前記発光開始信号を前記通信手段を介して受信すると、前記第1の発光を行い前記所定時間が経過したら前記第2の発光を行うことを特徴とする発光装置。
【請求項11】
前記発光開始信号を前記通信手段を介して受信した後に、前記発光開始信号を受信したことを示す確認信号を前記通信手段を介して前記撮像装置へ送信することを特徴とする請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
通信手段を介して撮像装置と発光装置とが電波による無線通信を行うカメラシステムであって、
前記発光装置による発光を検知する発光検知手段と、
前記発光装置に対する発光開始信号を出力する信号出力手段と、
前記通信手段を介して受信した前記発光開始信号に基づいて、第1の発光を行い所定時間が経過したら第2の発光を行うように発光制御を行う発光制御手段と、
前記発光検知手段により前記発光装置による前記発光開始信号に基づく第1の発光が検知されたあと前記所定時間に基づいて設定される待機時間が経過したら、前記第2の発光に対応した前記撮像装置の動作を開始させる制御手段と、を有することを特徴とするカメラシステム。
【請求項1】
通信手段を介して発光装置と電波による無線通信を行う撮像装置であって、
被写体を撮像する撮像手段と、
前記発光装置による発光を検知する発光検知手段と、
前記発光装置に対する、第1の発光を行い所定時間が経過したら第2の発光を行うように指示する発光開始信号を前記通信手段へ出力する信号出力手段と、
前記発光検知手段により前記発光装置による前記発光開始信号に基づく第1の発光を検知したあと前記所定時間に基づいて設定される待機時間が経過したら、前記第2の発光に対応した動作を開始させる制御手段と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1の発光は、前記発光開始信号を受信したことを示す確認用発光であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
被写体の輝度を測定する測光手段と、
前記第1の発光を行ったときに前記測光手段により得られる測光結果に基づいて、前記第2の発光の発光量を決定する決定手段と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
被写体の輝度を測定する測光手段と、
前記第1の発光を行ったときに前記測光手段により得られる測光結果に基づいて、前記第2の発光を行う際の前記測光手段の感度を設定する設定手段と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第2の発光が本発光の場合、前記発光検知手段により前記発光装置による前記発光開始信号に基づく第1の発光を検知したあと前記所定時間に基づいて設定される待機時間が経過したら、前記撮像手段による本露光を開始させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記発光検知手段により検知した発光が前記発光装置による発光か否かを判断する判断手段を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記判断手段は、前記信号出力手段により前記発光開始信号が出力された時点を基準とした所定期間内に前記発光検知手段により検知された発光を前記発光装置による発光と判断することを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記判断手段は、前記発光検知手段により発光が検知されてから所定時間内に、前記発光装置から送信される前記発光開始信号を受信したことを示す確認信号が前記通信手段を介して受信された場合に、当該発光を前記発光装置による発光と判断することを特徴とする請求項6または7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記判断手段は、前記発光検知手段により発光検知された時点と前記発光装置から送信される前記発光開始信号を受信したことを示す確認信号が前記通信手段を介して受信された時点との時間差が所定値内である場合に、当該発光を前記発光装置による発光と判断することを特徴とする請求項6または7に記載の撮像装置。
【請求項10】
発光装置による発光を検知する発光検知手段と、前記発光装置に対する、第1の発光を行い所定時間が経過したら第2の発光を行うように指示する発光開始信号を出力する信号出力手段と、前記発光検知手段により前記発光装置による前記発光開始信号に基づく第1の発光を検知したあと前記所定時間に基づいて設定される待機時間が経過したら、前記第2の発光に対応した動作を開始させる制御手段と、を有する撮像装置と通信手段を介して電波による無線通信を行う発光装置であって、
前記撮像装置から送信される前記発光開始信号を前記通信手段を介して受信すると、前記第1の発光を行い前記所定時間が経過したら前記第2の発光を行うことを特徴とする発光装置。
【請求項11】
前記発光開始信号を前記通信手段を介して受信した後に、前記発光開始信号を受信したことを示す確認信号を前記通信手段を介して前記撮像装置へ送信することを特徴とする請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
通信手段を介して撮像装置と発光装置とが電波による無線通信を行うカメラシステムであって、
前記発光装置による発光を検知する発光検知手段と、
前記発光装置に対する発光開始信号を出力する信号出力手段と、
前記通信手段を介して受信した前記発光開始信号に基づいて、第1の発光を行い所定時間が経過したら第2の発光を行うように発光制御を行う発光制御手段と、
前記発光検知手段により前記発光装置による前記発光開始信号に基づく第1の発光が検知されたあと前記所定時間に基づいて設定される待機時間が経過したら、前記第2の発光に対応した前記撮像装置の動作を開始させる制御手段と、を有することを特徴とするカメラシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−158712(P2011−158712A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20365(P2010−20365)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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