説明

撮像装置および電子機器

【課題】立体視画像を生成することができる機器を小型化する。
【解決手段】撮像装置は、第1レンズ群と、第2レンズ群と、画像処理部とを備える。
第1レンズ群は、被写体からの光を偏光させる2つの偏光子であって偏光方向が互いに直行する第1偏光子および第2偏光子が近傍に配置される絞りに対して、被写体側に位置する。第2レンズ群は、絞りに対して、偏光方向が前記第1偏光子と平行である第3偏光子と、偏光方向が前記第2偏光子と平行である第4偏光子とが受光面において配置される撮像素子側に位置する。画像処理部は、第1レンズ群および第2レンズ群を介して撮像素子に入射される光の変換により生成される画像データに基づいて立体視画像を生成する。そして、第2レンズ群は正の屈折力を備え、第1レンズ群および第2レンズによる特性が一定条件を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、撮像装置に関する。詳しくは、立体視画像を生成する撮像装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、左右眼の視差を利用して立体的な視覚を得ることができる立体視画像を表示するための画像データを生成するデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ(カメラ一体型レコーダ)等の撮像装置が提案されている。
【0003】
例えば、2つのレンズと1つの撮像素子とを備え、立体視画像を表示するための2つの画像(左眼視用画像および右眼視用画像)を生成する撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−309868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術によれば、2つのレンズと1つの撮像素子とを用いて2つの画像(左眼視用画像および右眼視用画像)を生成することができる。しかしながら、2つのレンズを設けているため、光学系が複雑になる。そこで、1つのレンズユニットにおいて左右に被写体光を分離するための偏光フィルタを設け、この偏光フィルタを用いて立体視画像を生成する撮像装置が考えられる。しかしながら、携帯電話などの小型情報端末に撮像装置が備えられる場合には、撮像装置のスペースが限られていることが多い。そこで、このような撮像装置に偏光フィルタを備える場合には、撮像装置を小型化して偏光フィルタのスペースを確保することが重要となる。
【0006】
本技術はこのような状況に鑑みて生み出されたものであり、立体視画像を生成することができる機器を小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の側面は、被写体からの光を偏光させる2つの偏光子であって偏光方向が互いに直行する第1偏光子および第2偏光子が近傍に配置される絞りに対して、被写体側に位置する第1レンズ群と、前記絞りに対して、偏光方向が前記第1偏光子と平行である第3偏光子と、偏光方向が前記第2偏光子と平行である第4偏光子とが受光面において配置される撮像素子側に位置する第2レンズ群と、前記第1レンズ群および前記第2レンズ群を介して前記撮像素子に入射される光の変換により生成される画像データに基づいて立体視画像を生成する画像処理部とを具備し、前記第2レンズ群は正の屈折力を備え、前記第1レンズ群および前記第2レンズによる特性が一定条件を満たす撮像装置および電子機器である。これにより、第1レンズ群と第2レンズ群との間に偏光子が配置されるレンズであって、第2レンズ群が正の屈折力を備えるレンズを用いて立体視画像を生成させるという作用をもたらす。
【0008】
また、この第1の側面において、前記一定条件として、前記第1レンズ群および前記第2レンズ群を含む前記撮像装置の光学系全体の焦点距離が、以下の条件式(1)を満たすようにしてもよい。
3.3 ≦ f ≦ 100 ・・・(1)
ただし、fは、撮像装置の光学系全体の焦点距離とする。これにより、撮像装置の光学系全体の焦点距離が「3.3 ≦ f ≦ 100」となるレンズにより立体視画像を生成させるという作用をもたらす。
【0009】
また、この場合において、前記第1レンズ群を構成する1つのレンズのベンディングファクタが、以下の条件式(2)を満たすようにしてもよい。
0.66 ≦ qL1 ≦ 100 ・・・(2)
ただし、qL1は、第1レンズ群を構成する1つのレンズのベンディングファクタとする。これにより、第1レンズ群を構成する1つのレンズのベンディングファクタが「0.66 ≦ qL1 ≦ 100」となるレンズにより立体視画像を生成させるという作用をもたらす。
【0010】
また、この第1の側面において、前記第1レンズ群の焦点距離および前記第2レンズ群の焦点距離が、以下の条件式(3)および(4)を満たすようにしてもよい。
−∞ ≦ fg1/f ≦ −0.3 ・・・(3)
0.3 ≦ fg2/f ≦ 10 ・・・(4)
ただし、fg1は第1レンズ群の焦点距離とし、fg2は、第2レンズ群の焦点距離とする。これにより、第1レンズ群の焦点距離が「−∞ ≦ fg1/f ≦ −0.3」であり、第2レンズ群の焦点距離が「0.3 ≦ fg2/f ≦ 10」であるレンズにより立体視画像を生成させるという作用をもたらす。
【0011】
また、この第1の側面において、前記第2レンズ群は、2枚以上のレンズから構成され、前記第2レンズ群を構成するレンズのうち最も前記被写体側に位置する第1レンズの焦点距離と、前記第2レンズ群を構成するレンズのうち最も前記撮像素子側に位置する第2レンズの焦点距離とが、以下の条件式(5)および(6)を満たすようにしてもよい。
0.3 ≦ fL1/f ≦ 2 ・・・(5)
0.5 ≦ fL2/f ≦ 2 ・・・(6)
ただし、fL1は第1レンズの焦点距離とし、fL2は第2レンズの焦点距離とする。これにより、第1レンズの焦点距離が「0.3 ≦ fL2/f ≦ 2」であり、第2レンズの焦点距離が「0.5 ≦ fL3/f ≦ 2」であるレンズにより立体視画像を生成させるという作用をもたらす。
【0012】
また、この第1の側面において、前記第1レンズ群および前記第2レンズ群を含む前記撮像装置の光学系全体の水平画角が、以下の条件式(7)を満たすようにしてもよい。
6 ≦ θh ≦ 50 ・・・(7)
ただし、θhは撮像装置の光学系全体の水平画角とする。これにより、光学系全体の水平画角が「6 ≦ θh ≦ 50」であるレンズにより立体視画像を生成させるという作用をもたらす。
【0013】
また、この第1の側面において、前記第1偏光子および前記第2偏光子が隣接して配置され、前記第1偏光子および前記第2偏光子を結ぶ方向を第1方向とし、前記撮像素子は、前記撮像素子の受光面において前記第1方向に直行する方向である第2方向と前記第1方向とにより特定されるマトリクス状に画素が配置され、前記第3偏光子および前記第4偏光子は、前記撮像素子における前記第1方向の画素のラインを配列単位として1または複数の配列単位毎に交互に配置されるようにしてもよい。これにより、第3偏光子および第4偏光子が1または複数の配列単位毎に交互に配置される撮像素子を用いて立体視画像を生成させるという作用をもたらす。
【0014】
また、この第1の側面において、前記第1偏光子および前記第2偏光子は、前記第2方向を境界として隣接して配置されるようにしてもよい。これにより、第1偏光子および前記第2偏光子が隣接して配置されるという作用をもたらす。
【発明の効果】
【0015】
本技術によれば、立体視画像を生成することができる機器を小型化することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本技術の第1の実施の形態における撮像装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本技術の第1の実施の形態における瞳偏光部210および撮像素子偏光部150を模式的に示す図である。
【図3】本技術の第1の実施の形態における撮像素子偏光部150を構成する第3偏光子151および第4偏光子152と、撮像素子140における各画素との位置関係を模式的に示す図である。
【図4】本技術の第1の実施の形態におけるレンズ部200の構成の一例を示す模式図である。
【図5】本技術の第1の実施の形態におけるレンズ部200の各収差を示す収差図である。なお同図では、図4において示した数値実施例1の各収差を示す。
【図6】本技術の第2の実施の形態におけるレンズ部の構成の一例を示す模式図である。
【図7】本技術の第2の実施の形態におけるレンズ部の各収差を示す収差図である。
【図8】本技術の第3の実施の形態におけるレンズ部の構成の一例を示す模式図である。
【図9】本技術の第3の実施の形態におけるレンズ部の各収差を示す収差図である。
【図10】本技術の第4の実施の形態におけるレンズ部の構成の一例を示す模式図である。
【図11】本技術の第4の実施の形態におけるレンズ部の各収差を示す収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(立体視画像撮像レンズ:数値実施例1)
2.第2の実施の形態(立体視画像撮像レンズ:数値実施例2)
3.第3の実施の形態(立体視画像撮像レンズ:数値実施例3)
4.第4の実施の形態(立体視画像撮像レンズ:数値実施例4)
【0018】
<1.第1の実施の形態>
[撮像装置の機能構成例]
図1は、本技術の第1の実施の形態における撮像装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。撮像装置100は、単眼で3Dの画像を生成する撮像装置である。この撮像装置100として、例えば、デジタルスチルカメラや、デジタルビデオカメラ、または、携帯電話やスマートフォンなどの小型情報端末に搭載されるカメラなどが考えられる。本技術の第1の実施の形態では、特に、小型情報端末に搭載されるカメラを想定して説明する。
【0019】
この撮像装置100は、被写体を撮像して画像データ(撮像画像)を生成し、生成された画像データを2Dまたは3Dの画像コンテンツ(静止画コンテンツまたは動画コンテンツ)として記録する撮像装置である。なお、以下では、画像コンテンツ(画像ファイル)として静止画コンテンツ(静止画ファイル)を記録する例を主に示す。
【0020】
撮像装置100は、レンズ部200と、操作受付部120と、制御部130と、撮像素子140と、撮像素子偏光部150と、画像処理部160と、記憶部181と、表示部182と、駆動部170とを備える。
【0021】
操作受付部120は、ユーザからの操作を受け付けるものである。この操作受付部120は、例えば、シャッターボタン(図示せず)が押下された場合には、その押下に関する信号を、操作信号として制御部130に供給する。
【0022】
制御部130は、撮像装置100における各部動作を制御するものである。なお、図1では、主要な信号線のみを示し、他は省略する。例えば、この制御部130は、シャッターボタンが押下されて、静止画像の記録を開始するための操作信号を受け付けた場合には、静止画像の記録実行に関する信号を、撮像素子140および画像処理部160に供給する。
【0023】
レンズ部200は、被写体からの光(被写体光)を集光するためのものである。本技術の実施の形態では、レンズ部200は、単焦点レンズであることを想定する。このレンズ部200は、第1レンズ群230と、瞳偏光部210と、絞り220と、第2レンズ群240とを備える。なお、レンズ部200の詳細については、図4を参照して説明するため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0024】
第1レンズ群230は、瞳偏光部210および絞り220に対して物体側(被写体側)に備えられ、被写体から瞳偏光部210および絞り220に入射する被写体光を集光するためのレンズ群である。
【0025】
瞳偏光部210は、立体画像を生成するために、射出瞳(撮像素子側から見た絞りの像)を通過する被写体光を、方向が直交する2つの被写体光に偏光させるものである。立体画像は、水平方向(左右)に像の位置が異なる2つの画像(左眼画像、右眼画像)により構成されるため、瞳偏光部210は、射出瞳(撮像素子側から見た絞りの像)を左右に2分割するように、偏光方向が直交する2枚の偏光子を備える。また、瞳偏光部210は、射出瞳を効率的に左右に2分割できるように、絞り220に近接した位置に配置されている。
【0026】
なお、瞳偏光部210に備えられる偏光子は、例えば、周知の構成の偏光子(例えば、偏光板、偏光フィルタ)を用いることができる。なお、瞳偏光部210については、図2(a)を参照して説明するため、ここでの詳細な説明を省略する。
【0027】
絞り220は、駆動部170の駆動により開口の度合いを変化させて、撮像素子140に入射する被写体光の光量を調整するための遮蔽物である。また、絞り220は、例えば、複数枚の板状の羽根の組合せにより構成される。
【0028】
第2レンズ群240は、瞳偏光部210および絞り220に対して像面側(撮像素子140側)に備えられ、瞳偏光部210および絞り220を通過した被写体光を撮像素子140上に結像するためのレンズ群である。この第2レンズ群240は、例えば、第1レンズ群230および第2レンズ群240を通過した被写体光における各収差(レンズ部200の全体としての収差)が、できる限り修正されるように考慮されたレンズの組み合わせで形成される。また、フォーカスが制御できるように、第2レンズ群240に属する所定のレンズが光軸方向に駆動できるように構成される。
【0029】
撮像素子偏光部150は、瞳偏光部210により方向が直交する2つの被写体光に偏光された被写体光のうちのどちらか一方を撮像素子140における画素が受光できるように、撮像素子140上に形成される偏光フィルタの層である。この撮像素子偏光部150は、例えば、瞳偏光部210の偏光フィルタと同方向の2種類の偏光フィルタが、2行の画素ごとに交互に配置されている。この撮像素子偏光部150については、図2(b)を参照して説明するため、ここでの詳細な説明を省略する。
【0030】
撮像素子140は、受光した被写体光を電気信号に光電変換するイメージセンサである。この撮像素子140は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどのx−yアドレス型のセンサや、CCD(Charge Coupled Device)センサなどにより実現される。また、撮像素子140には、光入射側に撮像素子偏光部150が配置されている。すなわち、撮像素子偏光部150および撮像素子140により偏光イメージセンサが構成される。撮像素子140は、瞳偏光部210により分離された光(左眼視用画像および右眼視用画像に対応する光)をそれぞれ同時刻に左右独立して撮像する。このように、撮像素子140により変換された電気信号に基づいて、左眼視用画像データおよび右眼視用画像データが生成される。
【0031】
画像処理部160は、撮像素子140から出力された電気信号について各種画像処理を行うものである。この画像処理部160は、例えば、撮像素子140から供給された電気信号をデジタルの電気信号(画素値)に変換した後に、黒レベル補正、欠陥補正、シェーディング補正、混色補正等を行う。また、画像処理部160は、例えば、撮像素子140から出力された電気信号(画像データ)を、左眼視用画像データおよび右眼視用画像データに変換する(いわゆる、3D画像処理)。そして、画像処理部160は、その変換された左眼視用画像データおよび右眼視用画像データを立体視画像コンテンツとして記憶部181に記憶させる。また、画像処理部160は、その変換された左眼視用画像データおよび右眼視用画像データを立体画像コンテンツとして表示部182に出力して表示させる。
【0032】
記憶部181は、画像処理部160から供給された立体画像コンテンツを記録するものである。例えば、この記憶部181として、DVD(Digital Versatile Disk)等のディスクやメモリカード等の半導体メモリ等のリムーバブルな記録媒体(1または複数の記録媒体)を用いることができる。なお、これらの記録媒体は、撮像装置100に内蔵するようにしてもよく、撮像装置100から着脱可能とするようにしてもよい。
【0033】
表示部182は、画像処理部160から供給された立体画像コンテンツに基づいて、画像を表示するものである。この表示部182は、例えば、カラー液晶パネルにより実現される。
【0034】
駆動部170は、レンズ部200における可動式の部材を駆動させるものである。例えば、駆動部170は、第2レンズ群240における複数のレンズのうちのフォーカスを調整するために移動可能なレンズを駆動して、フォーカスを調整する。また、駆動部170は、瞳偏光部210が光路上から挿脱可能である場合には、瞳偏光部210の挿脱を調整する。
【0035】
[瞳偏光部および撮像素子偏光部の関係例]
図2は、本技術の第1の実施の形態における瞳偏光部210および撮像素子偏光部150を模式的に示す図である。
【0036】
図2(a)には、瞳偏光部210を構成する2種類の偏光素子(第1偏光子211および第2偏光子212)が示されている。なお、同図(a)では、第1偏光子211および第2偏光子212のそれぞれの偏光方向(それぞれの偏光子を通過した光の電場の方向)が、グレーを付した矢印によりそれぞれ示されている。すなわち、第1偏光子211は、第1偏光子211を通過した光の電場の向きがY軸方向(上下方向)となる偏光素子であり、第2偏光子212は、第2偏光子212を通過した光の電場の向きがX軸方向(左右方向)となる偏光子である。
【0037】
瞳偏光部210は、例えば、外形形状はレンズの形状と同様の円形であり、第1偏光子211および第2偏光子212のそれぞれは、瞳偏光部210の半分を占める半月状の外形形状である。また、第1偏光子211と第2偏光子212との境界線は、垂直方向(Y軸方向)に沿って延びている。すなわち、瞳偏光部210では、偏光方向が直交する2枚の偏光子(第1偏光子211および第2偏光子212)が、射出瞳を左右に2等分するように配置される。これにより、瞳偏光部210は、射出瞳における通過する領域(左半分か右半分か)に応じて被写体光を偏光させる。
【0038】
また、同図(a)には、第1偏光子211の重心位置(重心点BC2)と、第2偏光子212の重心位置(重心点BC1)とが示されている。そして、同図(a)には、重心点BC2と重心点BC1との間の距離を示す矢印(基線長BL1)が示されている。この重心間の距離(基線長:Base line)は、立体画像の立体感に係わる距離であり、この距離が大きい(基線長が長い)ほど、左眼画像と右眼画像との間の差が大きくなり、これにより、立体感が大きくなる。
【0039】
図2(b)には、撮像素子偏光部150を構成する2種類の偏光素子(第3偏光子151および第4偏光子152)が示されている。なお、同図(b)には、説明の便宜上、撮像素子140を構成する画素を覆う撮像素子偏光部150のうちの一部の領域を用いて説明する。すなわち、撮像素子偏光部150は、同図(b)において示す領域が、X軸方向およびY軸方向に繰り返される配置である。
【0040】
なお、同図(b)では、同図(a)と同様に、第3偏光子151および第4偏光子152のそれぞれの偏光方向が、グレーを付した矢印によりそれぞれ示されている。すなわち、第3偏光子151は、同図(a)において示した第1偏光子211と偏光方向が同じ偏光子である。また、第4偏光子152は、同図(a)において示した第2偏光子212と偏光方向が同じ偏光子である。
【0041】
第3偏光子151および第4偏光子152は、それぞれの偏光子の偏光方向と同一方向に偏光している光のみを通過させて、それぞれの偏光子により覆われている画素の受光素子にその通過させた光を受光させるための偏光子である。すなわち、第3偏光子151は、第1偏光子211を通過した光を通過させ、第2偏光子212を通過した光を遮光する。また、第4偏光子152は、第2偏光子212を通過した光を通過させ、第1偏光子211を通過した光を遮光する。
【0042】
すなわち、第1偏光子211が射出瞳の右側(人間の右眼に対応)に位置する場合には、第3偏光子151は右眼画像となる光を第3偏光子151により覆われている画素に受光させる。また、この場合には、第2偏光子212は射出瞳の左側(人間の左眼に対応)に位置し、第4偏光子152は左眼画像となる光を第4偏光子152により覆われている画素に受光させる。
【0043】
次に、第3偏光子151および第4偏光子152と、撮像素子140における画素との位置関係について、図3を参照して説明する。
【0044】
[撮像素子における偏光子の配置例]
図3は、本技術の第1の実施の形態における撮像素子偏光部150を構成する第3偏光子151および第4偏光子152と、撮像素子140における各画素との位置関係を模式的に示す図である。
【0045】
同図では、撮像素子140における画素配列がベイヤー配列である場合を例にして説明する。また、同図では、撮像素子140における各画素のうちの一部を拡大して示す。また、図3では、各画素を覆う第3偏光子151および第4偏光子152が、各図における左側に示す文字および各画素に付されている細い線の方向により表されている。
【0046】
ここで、ベイヤー配列は、2画素(水平方向)×2画素(垂直方向)を基本ブロック(画素群)とし、この基本ブロックが周期的に配置されている画素配列である。図3では、その基本ブロックに対応する領域を太線の矩形で示し、その基本ブロックにおける各画素の境界を点線で示す。また、その基本ブロックにおいて、2つのG(Green:緑)画素が一方の対角上に配置され、R(Red:赤)画素とB(Blue:青)画素とが残りの対角上に配置される。なお、G画素は緑色(G)の光を透過するカラーフィルタにより緑色の光を受光する画素であり、R画素は赤色(R)の光を透過するカラーフィルタにより赤色の光を受光する画素であり、青色(B)の光を透過するカラーフィルタにより青色の光を受光する画素(B画素)である。なお、図3では、各画素を矩形により模式的に示し、その矩形内に画素の種類(G、R、B)を表す文字を付して示す。
【0047】
図3に示すように、水平方向(X軸方向)に沿って配列されている1列の画素群(水平方向2画素分)に対して第3偏光子151が配置されている。また、その画素群に垂直方向(Y軸方向)に隣接し、水平方向に沿って配列されている1列の画素群(水平方向2画素分)に対して第4偏光子152が配置されている。このような撮像素子と画素との位置関係が、X軸方向およびY軸方向に繰り返される。
【0048】
このように、第3偏光子151および第4偏光子152は、垂直方向に沿って交互に配置されている。なお、第3偏光子151および第4偏光子152は、全体として水平方向に延びているが、第3偏光子151および第4偏光子152の水平方向の長さは、撮像素子140の水平方向の長さと略同一とすることができる。また、第3偏光子151および第4偏光子152の垂直方向の長さは、撮像素子140における垂直方向2画素分の長さと略同一とすることができる。
【0049】
このように、撮像装置100において、偏光方向が直交する瞳偏光部210(第1偏光子211、第2偏光子212)が絞り220に近接した位置に配置されている。そして、レンズ部200に入射する光は、瞳偏光部210(第1偏光子211、第2偏光子212)により瞳右側と瞳左側に分割される。そして、瞳右側と瞳左側を透過する光の領域(透過図形)の重心距離を両眼視差の基線長として、撮像素子140に配置されている撮像素子偏光部150(第3偏光子151、第4偏光子152)により右眼視用画像、左眼視用画像が分離されて同時に撮像される。
【0050】
このように、レンズ部200および撮像素子140に偏光素子を配置することにより、立体視画像を生成する撮像装置を実現することができる。なお、撮像素子140に配置される偏光子(撮像素子偏光部150)は、撮像素子140の製造過程において形成される。また、レンズ部200の偏光子(瞳偏光部210)は、レンズ部200(レンズユニット)の製造過程において絞り220の近傍に組み込まれる。しかしながら、従来のレンズユニットは偏光素子を備えていないために、偏光子を配置するスペースが確保されたレンズユニットが必要となる。
【0051】
特に、レンズ部200の偏光子(瞳偏光部210)を挿脱可能にする場合には、偏光子の前後に挿脱可能なぐらいの比較的広いスペースが必要になる。なお、携帯電話やモバイルPCなどの小型情報端末機器に搭載する場合には、これらの小型情報端末機器に搭載されるレンズユニットは非常に小型であるため、偏光子のスペースの確保は非常に重要になる。
【0052】
ここで、撮像装置100が小型情報端末機器(例えば、携帯電話やモバイルPC)などに搭載される場合におけるレンズ部200に関する必要条件について説明する。
【0053】
小型情報端末機器に撮像装置100を搭載するために、レンズ部200は、次の(a)乃至(d)に挙げる点を満たすことが望ましい。
(a)基線長が長い。
(b)絞り前後にある程度のスペースが確保できる。必須は、絞りに近接する位置(絞り部分)に偏光素子を入れることができる。望ましくは、この偏光子が挿脱可能である。
(c)撮像素子に入射する光が、像高が高くてもなるべく直角に近い角度で入射する。
(d)オートフォーカスのためにレンズが移動するスペースが確保されている。
【0054】
上述の(a)乃至(d)に挙げる点を満たすことにより、立体視用途に最適なレンズを形成することができる。
【0055】
次に、本技術の第1の実施の形態におけるレンズ部200(レンズユニット)の構成について説明する。
【0056】
[レンズ部の構成例]
図4は、本技術の第1の実施の形態におけるレンズ部200の構成の一例を示す模式図である。
【0057】
なお、同図では、画素が1.55μmピッチで配置されている1/2.3インチ12メガピクセルCMOSセンサに備えられるレンズユニット(レンズ部200)の設計例を示す。なお、このCMOSセンサのサイズは、後に説明する本技術の第2乃至第4の実施の形態においても同じこととする。
【0058】
また、本技術の実施の形態で示す非球面のレンズの非球面形状は、次の式1によって定義されているものとする。
【数1】

ここで、Xは、非球面上の座標点の非球面頂点の接平面からの距離を示す。また、yは、光軸からの高さを示す。また、cは、非球面頂点の曲率(1/r)を示す。なお、Kは、円錐定数である。A、B、C、D、E、Fは、非球面係数を示す。
【0059】
同図には、レンズ部200の構成として、物体側(同図の左側)より順に、第1レンズ群230と、瞳偏光部210と、絞り220と、第2レンズ群240とが示されている。また、同図には、撮像素子140をゴミなどから保護するカバーガラス250と、撮像素子140の撮像素子面141とが示されている。なお、瞳偏光部210および絞り220は、図1乃至図3において説明したため、ここでは、第1レンズ群230および第2レンズ群240について説明する。
【0060】
第1レンズ群230は、瞳偏光部210および絞り220に入射する光を集光するレンズ群であり、瞳偏光部210の物体側にあるレンズ群である。なお、本技術の第1の実施の形態では、第1レンズ群230のレンズは1枚のみ(レンズ231)から構成される。
【0061】
第2レンズ群240は、瞳偏光部210および絞り220を通過した被写体光を撮像素子140上に結像するためのレンズ群であり、絞り220の撮像素子側にあるレンズ群である。なお、本技術の第1の実施の形態では、第2レンズ群240は、絞り220側から順に、第2群第1レンズ241と、第2群第2レンズ242と、第2群第3レンズ243との3枚のレンズから構成される。
【0062】
同図に示す本技術の第1の実施の形態の第1レンズ群230および第2レンズ群240は、次の式2乃至式7を充足するように構成される。
3.3 ≦ f ≦ 100 ・・・式2
−∞ ≦ fLg230/f ≦ −0.3 ・・・式3
0.3 ≦ fLg240/f ≦ 10 ・・・式4
6 ≦ θh ≦ 50 ・・・式5
0.3 ≦ fL241/f ≦ 2 ・・・式6
0.5 ≦ fL243/f ≦ 2 ・・・式7
ここで、fは、レンズ部200の光学系全体の焦点距離である。また、fLg230は、第1レンズ群230の焦点距離である。また、fLg240は第2レンズ群240の焦点距離であり、fL241は第2群第1レンズ241の焦点距離であり、fL243は第2群第3レンズ243の焦点距離である。また、θhは、水平画角である。なお、焦点距離fL241は、特許請求の範囲に記載の第1レンズの焦点距離の一例である。また、焦点距離fL243は、特許請求の範囲に記載の第2レンズの焦点距離の一例である。
【0063】
ここで、式2乃至式7により定められる光学系の条件について説明する。
【0064】
上述の式2は、立体視画像を生成するために必要な条件である。視差が大きい(立体感が強い)立体視画像を生成するためには、図2(a)において説明した基線長(図2のBL1を参照)を大きくする必要がある。この基線長BLは、次の式8により求められる。
BL=8r/3π ・・・式8
ここで、rは、瞳半径である。また、BLは、基線長である。なお、瞳半径rは、光学系全体の焦点距離(f)およびF値(F)と、次の式9に示す関係がある。
2r=f/F ・・・式9
すなわち、式8および式9より、基線長BLと、光学系全体の焦点距離fと、F値Fとの間には、次の式10に示す関係がある。
BL=4f/3πF ・・・式10
【0065】
なお、基線長BLは、小型情報端末機器のレンズユニットを用いて立体視画像を生成するためには、「1.0mm」を超える(以上の値になる)ことが経験的に望ましい。
【0066】
例えば、F値が1.4のレンズユニットを用いて基線長を「1.0」以上にする場合には、焦点距離は「3.3mm」以上となる。現状、小型情報端末に搭載されるカメラのレンズユニットにおける実用的なF値として想定される最も低いF値が「1.4」であるため、「3.3mm」が光学系全体の焦点距離の下限となる(式2参照)。
【0067】
また、焦点距離が大きくなると、遠点を見ることを目的とする望遠レンズに近づく。望遠レンズは、近くの被写体と遠くの被写体との間の大きさの変化が少なくなる(遠近感に乏しくなる)ため、立体視画像の生成に適さない。すなわち、焦点距離は程々に長いものがよく、また、立体視画像の生成に必要な遠近感(望遠)を生成できる焦点距離の目安が、光学系全体の焦点距離の上限となる。本技術の実施の形態で示すレンズでは、焦点距離の上限は、「100mm」となる(式2参照)。
【0068】
上述の式3は、第1レンズ群230の条件を示す。この条件は、立体視画像の生成に適切なレトロフォーカス型のレンズに必要な条件である。本技術の第1の実施の形態では、第1レンズ群230が負群のレトロフォーカス型のレンズ(これに類似するレンズを含む)を想定する。レンズ部200をレトロフォーカス型のレンズとすることにより、射出瞳の位置を物体側に移動させることができ、これにより、大きな瞳径を得ることができる。大きな瞳径とすることにより、基線長を大きくしている。また、射出瞳の位置が物体側に移動することにより、撮像素子の像高が高い位置の画素に入射する被写体光の入射角を小さくする(軸上の画素の入射角に近づける)ことや、絞りに対する被写体光の入射角も低く抑えることができる。さらに、レンズ部200をレトロフォーカス型のレンズとすることにより、バックフォーカスを長くすることや、周辺光量の減少を抑制することができる。すなわち、これらの利点により、図3において示した(a)乃至(d)に挙げる点を満たすことができ、立体視画像の生成に適切なレンズを生成することができる。
【0069】
上述の式3で示す下限を超えると、第1レンズ群230の負のパワー(屈折力)が小さくなりすぎて、上述したレトロフォーカス型のレンズの利点が得られなくなる。また、上述の式3で示す上限を超えると負のパワー(屈折力)が強くなりすぎて、第2レンズ群240の正のパワーも強くする必要が生じる(収差の補正等の理由)。その結果、精度が高いレンズを組み合わせる必要が生じて(製造公差が小さくなって)現実的に製造できなくなる。従って、上述の式3の第1レンズ群230の条件が、立体視画像の生成に適切なレトロフォーカス型のレンズに必要となる。
【0070】
上述の式4は、第2レンズ群240の条件を示す。この条件は、光学ディストーションや非対称収差などの補正のために必要な条件である。第1レンズ群230を強い負のパワー(屈折力)のレンズとすると、光学ディストーションや非対称収差などが発生する。これらを補正するために、第2レンズ群240は、正のパワーにすることが必要となる。上述の式4で示す下限を超えると正のパワーが強くなりすぎて、製造公差が非常に小さくなり現実的に製造できなくなる。また、上述の式4で示す上限を超えると正のパワーが弱くなりすぎて、光学ディストーションや非対称収差を補正できなくなり、望ましいカメラ特性が得られなくなる。従って、上述の式4の第2レンズ群240の条件が、立体視画像の生成に適切なレトロフォーカス型のレンズに必要となる。
【0071】
上述の式5は、レンズ部200における水平画角(フレームの左端から右端まで)の条件を示す。この条件は、上述の式2における条件をより限定して、レンズ部200を望遠レンズではないレトロフォーカス型のレンズとするために必要な条件である。上述の式5で示す下限は、式2において説明した程々に長い焦点距離に相当する水平画角(6度)となる。また、上述の式5で示す上限は、1/2.33サイズの撮像素子において基線長を1.0mmに設定する場合において、できる限り焦点距離を小さくした場合の水平画角(50度)となる。
【0072】
上述の式6は、第2群第1レンズ241の条件を示す。この条件は、光学ディストーションや非対称収差などを適切に補正するために必要な条件である。上述の式4に示すように第2レンズ群240は正のパワーになるが、この正のパワーの設定は、特に、第1レンズ群230に最も近い第2レンズ群のレンズ(第2群第1レンズ241)において必要となる。第2群第1レンズ241の正のパワーが上述の式6で示す下限を超えると、正のパワーが強くなりすぎて非常に製造公差が小さくなり、その結果、現実的に製造できなくなる。また、上述の式6で示す上限を超えると、正のパワーが小さくなりすぎて光学ディストーションや非対称収差を補正できなくなり、望ましいカメラ特性が得られなくなる。従って、上述の式6の第2群第1レンズ241の条件が、立体視画像の生成に適切なレトロフォーカス型のレンズに必要となる。
【0073】
上述の式7は、第2群第3レンズ243の条件を示す。第2レンズ群240は、正負正のトリプレット構造をしている。この場合において、第2群第3レンズ243は、主に、被写体光を像面に結像する役割を果たす。この第2群第3レンズ243の焦点距離(焦点距離fL243)は、光学系全体の焦点距離(焦点距離f)と等しくなることが理想的な第2群第3レンズ243の条件である。
【0074】
上述の式7で示す下限の値は、光学系全体の光路長を短くして第1レンズ群230の負のパワーが弱くなった場合の値である。この場合には、第1レンズ群230の負のパワーが弱くなるに伴って、第2群第1レンズ241の正のパワーが弱くなる。この弱くなった第2群第1レンズ241の正のパワーによってディストーションは補正されるが、非点収差は補正されなくなる。このような場合には、第2群第3レンズ243のパワーを強くすることにより非点収差を補正することができる。上述の式7で示す下限は、第1レンズ群230の負のパワーが最小の条件である場合であり、式3の下限の「-∞」に近くなったときである。この場合に設けられる第2群第3レンズ243の条件が式7の下限となる。
【0075】
また、上述の式7における上限の値は、第1レンズ群230のレンズによりディストーションが十分補正されている場合の値である。この場合には、第2レンズ群240は、なるべく偏芯精度が良くなるように、第2レンズ群240のすべてのレンズのパワーが弱くなるように設計される。このような場合に設けられる第2群第3レンズ243の条件が、式7の上限となる。
【0076】
次に、本技術の第1の実施の形態について、具体的な数値を適用した例(数値実施例1)について説明する。
【0077】
数値実施例1では、上述の式2乃至式7の条件のパラメータを次に示す値に設定する。
f = 10.3mm
Lg230/f = −4.2
Lg240/f = 0.82
θh = 34°
L241/f = 0.67
L243/f = 0.65
【0078】
ここで、表1に、本技術の第1の実施の形態に具体的数値を適用した数値実施例1の各レンズデータを示す。なお、表1および他のレンズデータを示す表において、「面番号」は、その面の物体側からの順番を示す。また、Rは、各面の曲率半径(mm)を示し、Dは、その面番号の面と次の面番号の面との間の軸正面の間隔(mm)を示す。また、ndはその面番号が示す面を有する物体のd線(波長が587.56nmの光)での屈折率を示し、νdはその面番号が示す面を有する物体のd線に対するアッベ数を示す。
【表1】

【0079】
なお、レンズ231の像面側の面、第2群第1レンズ241の両面(物体側および像面側の面)、第2群第2レンズ242の両面、および、第2群第3レンズ243の両面は、上述の式1によって定義される非球面である。そこで、表1の第2面、第5面乃至第10面の円錐定数(K)および各非球面係数(A、B、C、D、E、F)を表2に示す。なお、表2及び以下の非球面係数を示す表において、「E−i」は10を底とする指数(10−i)を表現している。例えば、「−0.749E−03」は、「−0.749×10−3」を表している。
【表2】

【0080】
表1および表2に示す数値実施例1において、レンズ部200のレンズ231は、アッベ数νdが「55.8」で、焦点距離fL231が「−43.5mm」の非球面プラレンズ(プラスチックレンズ)により構成される。また、第2群第1レンズ241は、アッベ数νdが「55.8」、焦点距離fL241が「6.9mm」の非球面プラレンズにより構成され、第2群第2レンズ242は、アッベ数νdが「27.0」、焦点距離fL242が「−5.6mm」の非球面プラレンズにより構成される。第2群第3レンズ243は、アッベ数νdが「55.8」で、焦点距離fL243が「6.7mm」の非球面プラレンズにより構成される。これにより、レンズ部200は、焦点距離fが「10.3mm」、F値Fが「2.8」、半画角が「20.8°」、レンズ全長が「20.0mm」のレンズとなる。
【0081】
次に、この数値実施例1のレンズ部200における各収差(球面収差、非点収差、歪曲収差)について、図5を参照して説明する。
【0082】
[レンズ部の収差例]
図5は、本技術の第1の実施の形態におけるレンズ部200の各収差を示す収差図である。なお同図では、図4において示した数値実施例1の各収差を示す。
【0083】
図5(a)には、レンズ部200の球面収差が示されている。同図(a)では、F線(波長が486.13nmの光)における球面収差が鎖線(線L1)により示され、e線(波長が546.07nmの光)における球面収差が実線(線L2)により示され、d線における球面収差が破線(線L3)により示されている。
【0084】
同図(b)には、レンズ部200の非点収差が示されている。同図(b)では、サジタル面の方向における非点収差が実線(線L4)により示され、メリディオナル面の方向における非点収差が点線(線L5)により示されている。
【0085】
同図(c)には、レンズ部200の歪曲収差が実線(線L6)により示されている。
【0086】
同図(a)乃至(b)に示すように、数値実施例1により実現されるレンズ部200は、各収差が良好に補正されている。すなわち、数値実施例1により実現されるレンズ部200は、レンズ全長が「20.0mm」である立体視画像の撮像に適した小型のレンズユニットであるとともに、各収差が良好に補正されたレンズユニットである。
【0087】
このように、本技術の第1の実施の形態によれば、偏光子のスペースが確保された小型でコンパクトなレンズユニットを製造することができる。
【0088】
<2.第2の実施の形態>
本技術の第1の実施の形態では、上述(図4参照)の式2乃至式7の条件を充足するレンズ部200の一例として、表1および表2の数値を用いた数値実施例1を説明した。この数値実施例1は、式2乃至式7を充足するレンズ部200の一例であり、他にも種々の例が考えられる。
【0089】
そこで、本技術の第2および第3の実施の形態では、数値実施例2および数値実施例3を示す。
【0090】
[レンズ部の構成例]
図6は、本技術の第2の実施の形態におけるレンズ部の構成の一例を示す模式図である。
【0091】
なお、同図において示す本技術の第2の実施の形態でも、図4において示した式2乃至式7の条件を満たすことを想定する。
【0092】
同図には、本技術の第2の実施の形態におけるレンズ部の構成として、物体側(同図の左側)より順に、第1レンズ群330と、瞳偏光部210と、絞り220と、第2レンズ群340と、カバーガラス250と、撮像素子面141とが示されている。なお、瞳偏光部210、絞り220、カバーガラス250および撮像素子面141は、図4において示したものと同じものであるため、ここでは、第1レンズ群330および第2レンズ群340について説明する。
【0093】
第1レンズ群330は、図4の第1レンズ群230と同様に、瞳偏光部210の物体側にあるレンズ群である。この第1レンズ群330は、1枚のレンズ(レンズ331)から構成される。
【0094】
第2レンズ群340は、図4の第2レンズ群240と同様に、絞り220の像面側(撮像素子側)にあるレンズ群である。この第2レンズ群340は、絞り220側から順に、第2群第1レンズ341と、第2群第2レンズ342と、第2群第3レンズ343との3枚のレンズから構成される。
【0095】
次に、本技術の第2の実施の形態について、具体的な数値を適用した例(数値実施例2)について説明する。
【0096】
数値実施例2では、上述の式2乃至式7の条件のパラメータを次に示す値に設定する。
f = 10.3mm
Lg330/f = −0.83
Lg340/f = 0.83
θh = 34°
L341/f = 0.69
L343/f = 1.04
【0097】
ここで、表3に、本技術の第2の実施の形態に具体的数値を適用した数値実施例2の各レンズデータを示す。
【表3】

【0098】
次に、図4において示した表2と同様に、各レンズの各非球面の円錐定数(K)および各非球面係数(A、B、C、D、E、F)を表4に示す。なお、本技術の第2の実施の形態では、レンズ331の像面側の面、第2群第1レンズ341の両面、第2群第2レンズ342の両面、および、第2群第3レンズ343の両面が、上述の式1によって定義される非球面である。
【表4】

【0099】
表3および表4に示す数値実施例2において、レンズ331は、アッベ数νdが「55.8」で、焦点距離fL331が「−8.8mm」の非球面プラレンズにより構成される。また、第2群第1レンズ341は、アッベ数νdが「55.8」、焦点距離fL341が「7.2mm」の非球面プラレンズにより構成され、第2群第2レンズ342は、アッベ数νdが「24.0」、焦点距離fL342が「−9.0mm」の非球面プラレンズにより構成される。第2群第3レンズ343は、アッベ数νdが「55.8」で、焦点距離fL343が「10.9mm」の非球面プラレンズにより構成される。
【0100】
これにより、数値実施例2によるレンズ部は、焦点距離fが「10.5mm」、F値Fが「2.8」、半画角が「20.9°」、レンズ全長が「26.5mm」のレンズとなる。
【0101】
次に、この数値実施例2のレンズ部における各収差(球面収差、非点収差、歪曲収差)について、図7を参照して説明する。
【0102】
[レンズ部の収差例]
図7は、本技術の第2の実施の形態におけるレンズ部の各収差を示す収差図である。
【0103】
なお、同図(a)乃至(c)は、図5(a)乃至(c)にそれぞれ対応するため、ここでの詳細な説明を省略する。
【0104】
図7(a)乃至(b)に示すように、数値実施例2により実現される本技術の第2の実施の形態におけるレンズ部は、各収差が良好に補正されている。
【0105】
このように、本技術の第2の実施の形態においても、偏光子のスペースが確保された小型でコンパクトなレンズユニットを製造することができる。
【0106】
<3.第3の実施の形態>
次に、本技術の第3の実施の形態として、数値実施例3を説明する。
【0107】
[レンズ部の構成例]
図8は、本技術の第3の実施の形態におけるレンズ部の構成の一例を示す模式図である。
【0108】
なお、同図において示す本技術の第3の実施の形態においても、図4において示した式2乃至式7の条件を満たすことを想定する。
【0109】
同図において示す本技術の第3の実施の形態のレンズ部は、図4において示した第1レンズ群230および第2レンズ群240に代えて、第1レンズ群430および第2レンズ群440を備える。なお、第1レンズ群430および第2レンズ群440以外の構成は、図4において示したものと同じものであるため、ここでは、第1レンズ群430および第2レンズ群440について説明する。
【0110】
第1レンズ群430は、図4の第1レンズ群230と同様に、瞳偏光部210の物体側にあるレンズ群である。この第1レンズ群430は、物体側から順に、第1群第1レンズ431と、第1群第2レンズ432との2枚のレンズから構成される。
【0111】
第2レンズ群440は、図4の第2レンズ群240と同様に、絞り220の像面側にあるレンズ群である。この第2レンズ群440は、絞り220側から順に、第2群第1レンズ441と、第2群第2レンズ442と、第2群第3レンズ443との3枚のレンズから構成される。
【0112】
次に、本技術の第3の実施の形態の具体的な数値を適用した例(数値実施例3)について説明する。
【0113】
数値実施例3では、上述の式2乃至式7の条件のパラメータを次に示す値に設定する。
f = 10.5mm
Lg430/f = −2.76
Lg440/f = 1.15
θh = 34°
L441/f = 0.55
L443/f = 1.41
【0114】
ここで、表5に、本技術の第3の実施の形態に具体的数値を適用した数値実施例3の各レンズデータを示す。
【表5】

【0115】
次に、図4において示した表2と同様に、各レンズの各非球面の円錐定数(K)および各非球面係数(A、B)を表6に示す。なお、本技術の第3の実施の形態では、第1群第2レンズ432の両面、第2群第1レンズ441の両面、第2群第2レンズ442の両面の両面、および、第2群第3レンズ443の両面が、上述の式1によって定義される非球面である。
【表6】

【0116】
表5および表6に示す数値実施例3において、第1群第1レンズ431は、アッベ数νdが「55.8」で、焦点距離fL431が「−13.6mm」の非球面プラレンズにより構成される。また、第1群第2レンズ432は、アッベ数νdが「27.0」で、焦点距離fL432が「39.0mm」の非球面プラレンズにより構成される。そして、第2群第1レンズ441は、アッベ数νdが「55.8」、焦点距離fL441が「5.8mm」の非球面プラレンズにより構成され、第2群第2レンズ442は、アッベ数νdが「27.0」、焦点距離fL442が「−5.4mm」の非球面プラレンズにより構成される。第2群第3レンズ443は、アッベ数νdが「55.8」で、焦点距離fL443が「14.8mm」の非球面プラレンズにより構成される。
【0117】
これにより、本技術の第3の実施の形態のレンズ部は、焦点距離fが「10.5mm」、F値Fが「2.8」、半画角が「20.9°」、レンズ全長が「26.5mm」のレンズとなる。
【0118】
次に、この数値実施例3のレンズ部における各収差(球面収差、非点収差、歪曲収差)について、図9を参照して説明する。
【0119】
[レンズ部の収差例]
図9は、本技術の第3の実施の形態におけるレンズ部の各収差を示す収差図である。
【0120】
なお、同図(a)乃至(c)は、図5(a)乃至(c)にそれぞれ対応するため、ここでの詳細な説明を省略する。
【0121】
図9(a)乃至(b)に示すように、数値実施例3により実現されるレンズ部は、立体視画像の撮像に適した小型のレンズユニットであるとともに、各収差が良好に補正される。
【0122】
このように、本技術の第3の実施の形態においても、偏光子のスペースが確保された小型でコンパクトなレンズユニットを製造することができる。
【0123】
本技術の第1乃至第3の実施の形態によれば、瞳径を大きく取ることができ、これにより、基線長を長くすることができる。すなわち、立体感が大きい立体視画像(3D画像)を撮像することができる。
【0124】
また、本技術の第1乃至第3の実施の形態によれば、絞り近傍で大きなスペースを取ることができ、これにより、瞳偏光部210を挿脱可能にすることができる。すなわち、平面画像(2D画像)を撮像する場合には瞳偏光部210を抜き出し、3D画像を撮像する場合には瞳偏光部210を入れるように制御することができ、2D画像と3D画像とを両方とも撮像できる撮像装置を生成することができる。
【0125】
また、本技術の第1乃至第3の実施の形態によれば、主光線の絞り220への入射角を小さく押さえることや、主光線の撮像素子140への入射角を小さく押さえることができる。すなわち、瞳偏光部210および撮像素子偏光部150への入射角を小さくすることにより、偏光素子の設計を容易にする(製造公差を大きくする)ことができる。
【0126】
また、本技術の第1乃至第3の実施の形態によれば、第2レンズ群における所定のレンズを駆動することによりオートフォーカスをすることができる。また、オートフォーカスの際に駆動されるレンズと、瞳偏光部210とが別々の部材であるため、瞳偏光部210の抜き差し機構とオートフォーカス機構を別体することができ、これにより、メカ機構を簡素化することができる。
【0127】
<4.第4の実施の形態>
本技術の第1乃至第3の実施の形態では、第1レンズ群が負のパワーである例について説明した。この第1レンズ群を負のパワーとすることにより、特に、瞳偏光部210への被写体光の入射角を小さくすることができ、これにより、瞳偏光部210に設けられる偏光子の設計が容易になる。しかしながら、瞳偏光部210に設けられる偏光子が高性能であり、入射角が大きくても問題が生じない場合には、第1レンズ群を正のパワーとすることができる。この第1レンズ群を正のパワーとすると、例えば、よりコンパクトなレンズユニットの設計を容易にすることができる。
【0128】
そこで、本技術の第4の実施の形態では、第1レンズ群が正のパワーである例について、図10および図11を参照して説明する。
【0129】
[レンズ部の構成例]
図10は、本技術の第4の実施の形態におけるレンズ部の構成の一例を示す模式図である。
【0130】
なお、同図において示す本技術の第4の実施の形態においては、図4において示した式2乃至式7の条件のうちの式2を満たすことを想定する。
【0131】
同図において示す本技術の第4の実施の形態のレンズ部は、図4において示した第1レンズ群230および第2レンズ群240に代えて、第1レンズ群530および第2レンズ群540を備える。また、同図において示す本技術の第4の実施の形態のレンズ部では、絞り220の像面側(撮像素子側)に、瞳偏光部210を備える。なお、この瞳偏光部210と絞り220との間の位置関係や、第1レンズ群530および第2レンズ群540以外の構成は、図4において示したものと同じものであるため、ここでは、第1レンズ群530および第2レンズ群540について説明する。
【0132】
第1レンズ群530は、図4の第1レンズ群230と同様に、瞳偏光部210の物体側(被写体側)にあるレンズ群である。この第1レンズ群530は、1枚のレンズ(レンズ531)から構成される。
【0133】
第2レンズ群440は、図4の第2レンズ群240と同様に、絞り220の像面側にあるレンズ群である。この第2レンズ群440は、絞り220(瞳偏光部210)側から順に、第2群第1レンズ541と、第2群第2レンズ542と、第2群第3レンズ543と、第2群第4レンズ544との4枚のレンズから構成される。
【0134】
同図に示す本技術の第4の実施の形態の第1レンズ群530および第2レンズ群540は、図4において示した式2と、レンズ531の条件を示す次の式11とを充足するように構成される。
3.3 ≦ f ≦ 100 ・・・式2
0.66 ≦ qL531 ≦ 100 ・・・式11
ここで、qL531は、レンズ531のベンディングファクタである。このベンディングファクタqL531は、次の式12により求められる。
qL531 = (RL531S2+RL531S1)/(RL531S2−RL531S1
・・・式12
ここで、RL531S2は、レンズ531の像面側の面における曲率半径を示す。また、RL531S1は、レンズ531の物体側の面における曲率半径を示す。すなわち、後に示す表7における第1面の曲率半径Rは、RL531S1の数値例を示す。同様に、後に示す表7における第2面の曲率半径Rは、RL531S2の数値例を示す。
【0135】
上述の式2は、図4において説明したように、基線長を長くして立体視画像における立体感を得るために必要となる。
【0136】
上述の式11は、レンズ531のベンディングに関する条件式である。この式11を満たすレンズ531は、図10に示すように、凸を物体側に向けた正のメニスカスレンズとなる。すなわち、レンズ531は、物体側の面(後に示す表7における第1面)および像面側の面(後に示す表7における第2面)の曲率半径の中心が絞り側に来るようになる。これにより、軸外のコマ収差と非点収差を打ち消すことができる。なお、式11の下限を越えると、ベンディングしなくなり、その結果、軸外のコマ収差と非点収差を打ち消すことができなくなる(収差が悪化する)。また、式11の上限を超えると、凸のパワーが弱くなり、レトロフォーカスの形に近くなり特性は良くなるものの、レンズ531をベンディングさせている場合と比較して、レンズ全長が長くなってしまう。なお、レトロフォーカスの形に近くする場合(式11の上限を超える場合)には、本技術の第1乃至第3の実施の形態において示した条件(図4の式2乃至式7)を用いる構成が立体視画像の撮像に最適となる。
【0137】
次に、本技術の第4の実施の形態について、具体的な数値を適用した例(数値実施例4)について説明する。
【0138】
数値実施例4では、上述の式2および式11の条件のパラメータを次に示す値に設定する。
f = 7.1mm
qL531 = 3.0
【0139】
ここで、表7に、本技術の第4の実施の形態に具体的数値を適用した数値実施例4の各レンズデータを示す。
【表7】

【0140】
次に、図4において示した表2と同様に、各レンズの各非球面の円錐定数(K)および各非球面係数(A、B、C、D、E、F)を表8に示す。なお、本技術の第4の実施の形態では、レンズ531の両面、第2群第1レンズ541の両面、第2群第2レンズ542の両面、第2群第3レンズ543の両面、および、第2群第4レンズ544の両面が、上述の式1によって定義される非球面である。
【表8】

【0141】
表7および表8に示す数値実施例4において、レンズ部は、物体側から順に、物体側に凸形状を向けた正のメニスカスレンズ(レンズ531)、絞り220と瞳偏光部210、正のパワーのレンズ(第2群第1レンズ541)となる。そして、第2群第1レンズ541に続いて、負のパワーのレンズ(第2群第2レンズ542)、正のパワーレンズ(第2群第3レンズ543)、負のパワーのレンズ(第2群第4レンズ544)となる。レンズ531は、メニスカス形状になることにより、曲率半径が絞り方向に来て、これにより、軸外のコマ収差と非点収差を減らすことができる。そして、レンズ531の次に絞り220が来ることにより、瞳位置を前方(被写体の方向)に持ってくるのに最適な構成を取る。このようにして瞳位置を前方に持ってきた効果で、撮像素子に入射する光線の入射角を小さく抑えることができる。また、第1レンズ群530と第2レンズ群540との間に絞り220がある中絞り構造であることで、レンズ全体の収差補正(レンズ部において発生する収差の補正)に有利になる。
【0142】
数値実施例4では、正のパワーであってさらにアッベ数が大きい第2群第1レンズ541と、負のパワーであってさらにアッベ数が小さい第2群第2レンズ542との組み合わせて色収差を精度よく補正する。さらに、この組み合わせにより、レンズの有効径を広げるとともに、第2群第3レンズ543および第2群第4レンズ544の光学上の位置を、絞り220に近づけることができる。
【0143】
また、数値実施例4では、第2群第3レンズ543の像面側の面の光学上の位置と、第2群第4レンズ544の物体側の面の光学上の位置とが絞り220に近づく。これにより、軸外のコマ収差と非点収差とを減らすことができる。
【0144】
これらの作用により、大きな収差の補正能力を有するレンズ部とすることができ、良好なカメラ特性を実現することができる。また、すべてのレンズにプラスチックレンズを用いることができるため、安価に製造することができる。
【0145】
数値実施例4によるレンズ部は、焦点距離fが「7.1mm」、F値Fが「2.8」、半画角が「29.0°」、レンズ全長が「9.0mm」のレンズとなる。すなわち、数値実施例1乃至3において示したレンズ部の全長「26.5mm」と比較して、とても小型な立体視画像撮像用カメラ(3Dカメラ)を製造することができる。
【0146】
次に、この数値実施例4のレンズ部における各収差(球面収差、非点収差、歪曲収差)について、図11を参照して説明する。
【0147】
[レンズ部の収差例]
図11は、本技術の第4の実施の形態におけるレンズ部の各収差を示す収差図である。
【0148】
なお、同図(a)乃至(c)は、図5(a)乃至(c)にそれぞれ対応するため、ここでの詳細な説明を省略する。
【0149】
図11(a)乃至(b)に示すように、数値実施例4により実現されるレンズ部は、立体視画像の撮像に適した小型のレンズユニットであるとともに、各収差が良好に補正される。
【0150】
このように、本技術の第4の実施の形態においても、偏光子のスペースが確保された小型でコンパクトなレンズユニットを製造することができる。
【0151】
このように、本技術の第4の実施の形態によれば、第1群レンズが正のパワーとなることにより、光路長が非常に短いレンズ部を実現することができる。また、本技術の第4の実施の形態は、本技術の第1乃至第3の実施の形態と同様に、瞳径を大きく取ることができ、これにより、基線長を長くすることができる。また、瞳偏光部210を挿脱可能とすることにより、立体視画像と平面画像とを両方とも撮像できる撮像装置を生成することができる。
【0152】
このように、本技術の実施の形態によれば、小型の立体視用のレンズ部(レンズユニット)を実現することができる。また、本技術の実施の形態によれば、現在複雑で大きい、立体視用カメラ装置を、従来の平面画像(2D)用カメラ装置とほぼ同等の構成で構成できるようになり、信頼性、コストに優れた立体視カメラを量産することができる。
【0153】
なお、本技術の第1乃至第4の実施の形態では、第二群レンズと撮像素子との間には、ガラスで構成されるカバーガラスのみが配置される例について想定したが、これに限定されるものではなく、他の光学部材(例えば、減光フィルタ、赤外カットフィルタ、ローパスフィルタ)が配置されるようにしてもよい。
【0154】
なお、本技術の第1の実施の形態では、撮像素子140の配列としてベイヤー配列を例にして説明したが、他の配列とする場合についても適用することができる。例えば、インターライン配列、GストライプRB市松配列、GストライプRB完全市松配列、市松補色配列、ストライプ配列、斜めストライプ配列、原色色差配列、フィールド色差順次配列に適用することができる。
【0155】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
【0156】
また、上述の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。この記録媒体として、例えば、CD(Compact Disc)、MD(MiniDisc)、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリカード、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))等を用いることができる。
【0157】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
〈1〉 被写体からの光を偏光させる2つの偏光子であって偏光方向が互いに直行する第1偏光子および第2偏光子が近傍に配置される絞りに対して、被写体側に位置する第1レンズ群と、
前記絞りに対して、偏光方向が前記第1偏光子と平行である第3偏光子と、偏光方向が前記第2偏光子と平行である第4偏光子とが受光面において配置される撮像素子側に位置する第2レンズ群と、
前記第1レンズ群および前記第2レンズ群を介して前記撮像素子に入射される光の変換により生成される画像データに基づいて立体視画像を生成する画像処理部と
を具備し、
前記第2レンズ群は正の屈折力を備え、前記第1レンズ群および前記第2レンズによる特性が一定条件を満たす
撮像装置。
〈2〉 前記一定条件として、前記第1レンズ群および前記第2レンズ群を含む前記撮像装置の光学系全体の焦点距離が、以下の条件式(1)を満たす前記〈1〉に記載の撮像装置。
3.3 ≦ f ≦ 100 ・・・(1)
ただし、
f : 撮像装置の光学系全体の焦点距離
とする。
〈3〉 前記第1レンズ群を構成する1つのレンズのベンディングファクタが、以下の条件式(2)を満たす前記〈2〉に記載の撮像装置。
0.66 ≦ qL1 ≦ 100 ・・・(2)
ただし、
qL1 : 第1レンズ群を構成する1つのレンズのベンディングファクタ
とする。
〈4〉 前記第1レンズ群の焦点距離および前記第2レンズ群の焦点距離が、以下の条件式(3)および(4)を満たす前記〈2〉または〈3〉に記載の撮像装置。
−∞ ≦ fg1/f ≦ −0.3 ・・・(3)
0.3 ≦ fg2/f ≦ 10 ・・・(4)
ただし、
fg1 : 第1レンズ群の焦点距離
fg2 : 第2レンズ群の焦点距離
とする。
〈5〉 前記第2レンズ群は、2枚以上のレンズから構成され、前記第2レンズ群を構成するレンズのうち最も前記被写体側に位置する第1レンズの焦点距離と、前記第2レンズ群を構成するレンズのうち最も前記撮像素子側に位置する第2レンズの焦点距離とが、以下の条件式(5)および(6)を満たす前記〈4〉に記載の撮像装置。
0.3 ≦ fL1/f ≦ 2 ・・・(5)
0.5 ≦ fL2/f ≦ 2 ・・・(6)
ただし、
fL1 : 第1レンズの焦点距離
fL2 : 第2レンズの焦点距離
とする。
〈6〉 前記第1レンズ群および前記第2レンズ群を含む前記撮像装置の光学系全体の水平画角が、以下の条件式(7)を満たす前記〈2〉から〈5〉のいずれかに記載の撮像装置。
6 ≦ θh ≦ 50 ・・・(7)
ただし、
θh : 撮像装置の光学系全体の水平画角
とする。
〈7〉 前記第1偏光子および前記第2偏光子が隣接して配置され、前記第1偏光子および前記第2偏光子を結ぶ方向を第1方向とし、
前記撮像素子は、前記撮像素子の受光面において前記第1方向に直行する方向である第2方向と前記第1方向とにより特定されるマトリクス状に画素が配置され、
前記第3偏光子および前記第4偏光子は、前記撮像素子における前記第1方向の画素のラインを配列単位として1または複数の配列単位毎に交互に配置される
前記〈1〉から〈6〉のいずれかに記載の撮像装置。
〈8〉 前記第1偏光子および前記第2偏光子は、前記第2方向を境界として隣接して配置される前記〈7〉に記載の撮像装置。
〈9〉 被写体からの光を偏光させる2つの偏光子であって偏光方向が互いに直行する第1偏光子および第2偏光子が近傍に配置される絞りに対して、被写体側に位置する第1レンズ群と、
前記絞りに対して、偏光方向が前記第1偏光子と平行である第3偏光子と、偏光方向が前記第2偏光子と平行である第4偏光子とが受光面において配置される撮像素子側に位置する第2レンズ群と、
前記第1レンズ群および前記第2レンズ群を介して前記撮像素子に入射される光の変換により生成される画像データに基づいて立体視画像を生成する画像処理部と
を具備し、
前記第2レンズ群は正の屈折力を備え、前記第1レンズ群および前記第2レンズによる特性が一定条件を満たす
電子機器。
【符号の説明】
【0158】
100 撮像装置
120 操作受付部
130 制御部
140 撮像素子
150 撮像素子偏光部
160 画像処理部
170 駆動部
181 記憶部
182 表示部
200 レンズ部
210 瞳偏光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの光を偏光させる2つの偏光子であって偏光方向が互いに直行する第1偏光子および第2偏光子が近傍に配置される絞りに対して、被写体側に位置する第1レンズ群と、
前記絞りに対して、偏光方向が前記第1偏光子と平行である第3偏光子と、偏光方向が前記第2偏光子と平行である第4偏光子とが受光面において配置される撮像素子側に位置する第2レンズ群と、
前記第1レンズ群および前記第2レンズ群を介して前記撮像素子に入射される光の変換により生成される画像データに基づいて立体視画像を生成する画像処理部と
を具備し、
前記第2レンズ群は正の屈折力を備え、前記第1レンズ群および前記第2レンズによる特性が一定条件を満たす
撮像装置。
【請求項2】
前記一定条件として、前記第1レンズ群および前記第2レンズ群を含む前記撮像装置の光学系全体の焦点距離が、以下の条件式(1)を満たす請求項1記載の撮像装置。
3.3 ≦ f ≦ 100 ・・・(1)
ただし、
f : 撮像装置の光学系全体の焦点距離
とする。
【請求項3】
前記第1レンズ群を構成する1つのレンズのベンディングファクタが、以下の条件式(2)を満たす請求項2記載の撮像装置。
0.66 ≦ qL1 ≦ 100 ・・・(2)
ただし、
qL1 : 第1レンズ群を構成する1つのレンズのベンディングファクタ
とする。
【請求項4】
前記第1レンズ群の焦点距離および前記第2レンズ群の焦点距離が、以下の条件式(3)および(4)を満たす請求項2記載の撮像装置。
−∞ ≦ fg1/f ≦ −0.3 ・・・(3)
0.3 ≦ fg2/f ≦ 10 ・・・(4)
ただし、
fg1 : 第1レンズ群の焦点距離
fg2 : 第2レンズ群の焦点距離
とする。
【請求項5】
前記第2レンズ群は、2枚以上のレンズから構成され、前記第2レンズ群を構成するレンズのうち最も前記被写体側に位置する第1レンズの焦点距離と、前記第2レンズ群を構成するレンズのうち最も前記撮像素子側に位置する第2レンズの焦点距離とが、以下の条件式(5)および(6)を満たす請求項4記載の撮像装置。
0.3 ≦ fL1/f ≦ 2 ・・・(5)
0.5 ≦ fL2/f ≦ 2 ・・・(6)
ただし、
fL1 : 第1レンズの焦点距離
fL2 : 第2レンズの焦点距離
とする。
【請求項6】
前記第1レンズ群および前記第2レンズ群を含む前記撮像装置の光学系全体の水平画角が、以下の条件式(7)を満たす請求項2記載の撮像装置。
6 ≦ θh ≦ 50 ・・・(7)
ただし、
θh : 撮像装置の光学系全体の水平画角
とする。
【請求項7】
前記第1偏光子および前記第2偏光子が隣接して配置され、前記第1偏光子および前記第2偏光子を結ぶ方向を第1方向とし、
前記撮像素子は、前記撮像素子の受光面において前記第1方向に直行する方向である第2方向と前記第1方向とにより特定されるマトリクス状に画素が配置され、
前記第3偏光子および前記第4偏光子は、前記撮像素子における前記第1方向の画素のラインを配列単位として1または複数の配列単位毎に交互に配置される
請求項1記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1偏光子および前記第2偏光子は、前記第2方向を境界として隣接して配置される請求項7記載の撮像装置。
【請求項9】
被写体からの光を偏光させる2つの偏光子であって偏光方向が互いに直行する第1偏光子および第2偏光子が近傍に配置される絞りに対して、被写体側に位置する第1レンズ群と、
前記絞りに対して、偏光方向が前記第1偏光子と平行である第3偏光子と、偏光方向が前記第2偏光子と平行である第4偏光子とが受光面において配置される撮像素子側に位置する第2レンズ群と、
前記第1レンズ群および前記第2レンズ群を介して前記撮像素子に入射される光の変換により生成される画像データに基づいて立体視画像を生成する画像処理部と
を具備し、
前記第2レンズ群は正の屈折力を備え、前記第1レンズ群および前記第2レンズによる特性が一定条件を満たす
電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−203274(P2012−203274A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69112(P2011−69112)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】