説明

撮像装置及びその制御方法、並びにプログラム

【課題】一部の光束を反射しないメインミラーで反射された光束から測光値を取得する撮像装置において、適切な露光量で被写体を撮像することが可能な撮像装置及びその制御方法、並びにプログラムを提供する。
【解決手段】撮像装置1は、撮像レンズを透過した光束を、当該光束のうちの一部の光束を除いて反射する反射手段と、反射手段により反射された光束が照射される受光面で受光された光束に対して測光する測光手段とを備えた撮像装置であって、測光手段により測光された光束の測光値を取得し、受光面において、反射手段により光束が反射されずに受光されなかった領域で測光手段により測光され、取得された測光値を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びその制御方法、並びにプログラムに関し、特に、一眼レフの撮像装置及びその制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一眼レフカメラでは、メインミラーで反射した光束を測光センサで受光し、測光センサの出力にもとづいて露出制御を行っていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−148639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたメインミラーが1枚のミラーで構成される一眼レフカメラではなく、メインミラーが複数枚のミラーで構成される一眼レフカメラの場合には測光センサでの受光に問題が生じる。以下その問題点を、図7,8を用いて説明する。
【0005】
図7は、メインミラー14が複数枚のミラー14a、14bで構成されている一眼レフカメラを示す図である。図7において、撮像レンズ21を通った被写界光は複数枚で構成されたメインミラー14で反射され、撮像面15と等価の結像面に置かれた焦点検出板13に1次結像する。この被写界像をペンタミラー11(又はペンタプリズム)を通して測光センサ12で2次結像させることで被写界輝度を検出している。
【0006】
図8は、図7に示された一眼レフカメラで均一輝度を被写界とした際の焦点検出板13に結像した像の例を示す図である。
【0007】
測光センサ12は焦点検出板13のS0〜S14までの15個の測光領域の各々の領域に対応した被写界輝度の検出を可能としている。従来のようにメインミラーが1枚で構成された一眼レフカメラで均一輝度を被写界とした際には測光センサ12からの出力は均一になり、各測光領域での出力は等しくなる。
【0008】
しかしながら、図7に示される一眼レフカメラでは、メインミラー同士の隙間16で被写界光を反射する事ができない。よって測光センサ12にはメインミラー同士の隙間16で反射するはずであった光束が足りない被写界像が結像され、図8に示されるようなかげり17が発生する。
【0009】
このとき、測光センサ上のかげり17が発生した測光領域(図8ではS0〜S9)では、本来得られるはずの出力が得られない。よって、この測光値をもとに公知の方法によって演算された露出条件は、かげり17の発生領域を明るく撮像するための結果となり、露光量がオーバーになってしまうという問題点があった。
【0010】
本発明の目的は、一部の光束を反射しないメインミラーで反射された光束から測光値を取得する撮像装置において、適切な露光量で被写体を撮像することが可能な撮像装置及びその制御方法、並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1の撮像装置は、撮像レンズを透過した光束を、当該光束のうちの一部の光束を除いて反射する反射手段と、前記反射手段により反射された光束が照射される受光面で受光された光束に対して測光する測光手段とを備えた撮像装置であって、前記測光手段により測光された光束の測光値を取得する取得手段と、前記受光面において、前記反射手段により光束が反射されずに受光されなかった領域で前記測光手段により測光され、前記取得手段により取得された測光値を補正する補正手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、一部の光束を反射しないメインミラーで反射された光束から測光値を取得する撮像装置において、適切な露光量で被写体を撮像することが可能な撮像装置及びその制御方法、並びにプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る撮像装置の機械的構成を示す図である。
【図2】図1における測光センサを示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る撮像装置の電気的構成を示す図である。
【図4】図1のCPUにより実行される撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】瞳位置と実効Fno.とかげりとの関係を示す図である。
【図6】測光値の補正に用いられるデータ例を示す図である。
【図7】メインミラーが複数枚のミラーで構成されている一眼レフカメラを示す図である。
【図8】図7に示された一眼レフカメラで均一輝度面を被写界とした際の焦点検出板に結像した像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る撮像装置1の機械的構成を示す図である。
【0016】
図1において、(A)はメインミラー120の位置がファインダーにて被写界像を観察可能な状態を示し、(B)はメインミラー120の位置が撮像時に被写界光束の光路から退避する退避位置にある状態を示している。
【0017】
図1に示されるように、撮像装置1は、撮像レンズ310を通った光束を複数で反射する反射手段として用いられるメインミラー120が2枚で構成されている。同図に示されるように、メインミラー120は、上側メインミラー120a、下側メインミラー120bで構成されている。そのため、上側メインミラー120aと下側メインミラー120bとの間には、隙間122が生じている。なお、図1では隙間122がわかりやすいように隙間122の幅を広く記載してるが、上側メインミラー120aと下側メインミラー120bとが当接していても構わない。そのような場合であっても、上側メインミラー120aと下側メインミラー120bとの間に隙間がないように当接させることは困難であり、実質的には隙間122が生じることになる。
【0018】
撮像装置1は、カメラユニット100と交換可能なレンズユニット300とで構成される。
【0019】
カメラユニット100内のCPU101は、撮像装置1の動作を制御する。撮像レンズ310は、撮像被写界光を撮像素子であるCMOS140上に結像させる。表示部182は、TFTカラー液晶や有機ELなどである。また、表示部182には、CMOS140により撮像された画像などが表示される。フォーカルプレーンシャッター190は、CMOS140への光量を制御する。
【0020】
また撮像レンズ310を通って来た撮像被写界光は、上下2枚で構成された半透過のメインミラー120を通って、全反射のサブミラー121によって、公知の位相差方式焦点検出ユニットに導かれる。この位相差方式焦点検出ユニットは、フィールドレンズ152、2次結像レンズ153、焦点検出センサ150で構成される。
【0021】
この位相差方式焦点検出ユニットにより、撮像レンズ310で結像された被写界光のピントがCMOS140の受光面に対して撮影光軸方向のどちらに、どれ位ずれているか、いわゆるデフォーカス量として検出することができる。
【0022】
こうして検出されたデフォーカス量に対して、撮像レンズ310本体のレンズ駆動敏感度(レンズ固有の制御の細かさ)を考慮し、CPU101はマウント接点115を通じてレンズCPU314と通信する。そして、レンズユニット300内部のレンズCPU314によってレンズ駆動制御部311を介して撮像レンズ310を駆動させる事で焦点を合わせる。また、レンズユニット300は、絞り312と、絞り312を制御する絞り制御部313を備えている。
【0023】
焦点検出板134は、撮像レンズ310のCMOS140の結像面と等価の結像面に位置する。被写界光はメインミラー120で反射され、焦点検出板134に1次結像する。撮像者はこの被写界像をペンタプリズム133、接眼レンズ135を通じて観察することができる。従って、撮像装置1は、いわゆるTTL方式の光学ファインダー構成となっている。測光センサ130は、メインミラー120によって導かれた光束から、焦点検出板134の受光面で受光されレンズ132を透過した光束により測光を行う。このように、本実施の形態に係る撮像装置1は、撮像レンズ310を透過した光束を、当該光束のうちの一部の光束を除いて反射するメインミラー120(反射手段)を備えている。
【0024】
上述した構成において、撮像者がレリーズボタン(不図示)を押すと、撮像レンズ310とCMOS140を結ぶ光路から退避させるように、上側メインミラー120aが上部に、下側メインミラー120bが下部に動く(図1(b)参照)。また、このとき、サブミラー121が上部に動く。
【0025】
一方、検出された被写界輝度をもとにCPU101で公知の方法にて露光条件の演算を行う。その演算結果に応じてレンズCPU314を通じ絞り制御部313に駆動量パルスを送り、絞り312を絞る。さらに撮像レンズ310によって集光された被写界光はフォーカルプレーンシャッター190にてその光量制御がなされ、CMOS140によって被写界像として光電変換処理される。そして、撮像済み画像として記録メディアに記録されるとともに、表示部182に表示がなされる。
【0026】
図2は、図1における測光センサ130を示す図である。
【0027】
図2において、測光センサ130は、シリコンフォトダイオードで構成されている。具体的に、測光センサ130は、一例として3×5の複数の領域に分割された受光面を持つ多分割センサであり、焦点検出板134上のS0〜S14の範囲を測光できる。
【0028】
また、撮像装置1は、メインミラー120により反射された光束が照射される受光面で受光された光束に対して測光する測光センサ130(測光手段)を備えている。さらに、後述するように、本実施の形態では、受光面を複数の領域に分割することで得られた領域ごとに測光値の補正を行う。
【0029】
また、本実施の形態では隙間122において被写界光が反射されず、焦点検出板134上にかげり195が現れ、測光値の出力をメインミラーが一枚で構成されたカメラに比べも低下させる。
【0030】
このかげり195は、隙間122の位置及び大きさによって、発生位置と濃度が変わる。さらに、かげり195は撮像レンズ310の瞳位置、実効Fno.(F値:絞り情報)の違いによっても発生する位置と濃度が変化する。瞳位置と実効Fno.と、かげり195発生位置と濃度の変化についての関係は後述する。
【0031】
上記実効Fno.は、レンズの状態つまりズーム位置(レンズの焦点距離位置)、かつ距離環位置(レンズの焦点調節位置)に応じて変化するレンズのFno.を意味し、瞳位置も実効Fno.と同様にレンズ状態で変化するものである。これらの情報は共にレンズユニット300からカメラユニット100に送信されるものである。
【0032】
図3は、本発明の実施の形態に係る撮像装置1の電気的構成を示す図である。
【0033】
図3において、CPU101の内部には不揮発性メモリであるEEPROM101aが配置されている。またCPU101には、ROM102、RAM103、及びデータ格納部104が接続されている。さらにCPU101には、測光制御部131、画像処理部142、LCD制御部180、レリーズSW170、DC/DCコンバータ160、ミラー駆動部123、及び焦点検出制御部151が接続されている。
【0034】
ROM102には、制御プログラムが記憶されている。DC/DCコンバータ160は、電源を供給する。
【0035】
画像処理部142には、CMOS制御部141、CMOS制御部141には、CMOS140がそれぞれ接続されている。CMOS140は有効画素数として、例えば約500万画素(2560×1920)を有している。
【0036】
また、画像処理部142は、CMOS制御部141より出力された10ビットデジタル信号をガンマ変換、色空間変換を行う。また、画像処理部142は、ホワイトバランス、AE、フラッシュ補正等の画像処理を行い、YUV(4:2:2)フォーマットの8ビットデジタル信号出力を行う。
【0037】
CMOS140は撮像レンズ310によって投影された画像をアナログ電気信号に変換するための素子である。このCMOS140は、CPU101よりの解像度変換指示に従って、水平方向および垂直方向の間引き画素データの出力が可能である。
【0038】
CMOS制御部141は、CMOS140に転送クロック信号やシャッター信号を供給するためのタイミングジェネレータ、CMOS出力信号のノイズ除去、ゲイン処理を行うための回路を含む。さらに、CMOS制御部141は、アナログ信号を10ビットデジタル信号に変換するためのA/D変換回路を含み、CPU101よりの解像度変換指示に従って、画素間引き処理を行うための回路等を含んでいる。
【0039】
CPU101は、ROM102内の制御プログラムに基づいて各種制御を行う。これらの制御の中では、画像処理部142から出力された撮像画像信号を読み込み、RAM103へDMA転送を行う処理を行う。さらにCPU101は、RAM103よりLCD制御部180へデータをDMA転送する処理、また、画像データをJPEG圧縮しファイル形式でデータ格納部104へ格納する処理を行う。
【0040】
このように、CPU101は、CMOS140、CMOS制御部141、画像処理部142、LCD制御部180などに対してデータ取り込み画素数やデジタル画像処理の変更指示を行う。
【0041】
また、CPU101は、レンズユニット300内に配置されたレンズ制御部315とマウント接点115を介して通信を行う。レンズ制御部315は記憶装置であるEEPROM315aを有する。マウント接点115は、レンズユニット300が接続されるとCPU101へ信号を送信する機能も有する。これにより、カメラユニット100とレンズユニット300との間で通信を行い、レンズユニット内の撮像レンズ310をレンズ駆動制御部311によって駆動することができる。また、絞り312を絞り制御部313によって駆動することができる。さらに、撮像レンズ310から瞳位置などの情報をカメラが取得することが可能となる。なお、図3では、撮像レンズ310として、便宜上1枚の撮像レンズで図示しているが、実際は被写界像を光学的にCMOS140へ投影するために複数枚のレンズで構成される。
【0042】
絞り制御部313は、例えばオートアイリス等により構成される。絞り制御部313は、CPU101の命令を受けて絞り312を変化させて光学的な絞り値を変化させる。
【0043】
メインミラー120は、撮像レンズ310によって結像する被写界像を不図示のペンタプリズムへ導くとともに、その一部を透過させ、サブミラー121を通して焦点検出CCD150へ導く。メインミラー120は、ミラー駆動部123によって、ファインダーにて被写界像を観察可能な位置と、撮像時に被写界光束の光路から退避する退避位置とに可動となるように構成される。
【0044】
サブミラー121は、メインミラー120の一部を透過した被写界光を反射させて、焦点検出センサ150へ導く。サブミラー121は、メインミラー120又はミラー駆動部123と連動する。
【0045】
そして、メインミラー120がファインダーにて被写界像を観察可能な位置にあるときには、焦点検出センサ150へ被写界光を導く位置に、また撮像時には被写界光束の光路から退避する退避位置に可動となるように構成される。
【0046】
LCD制御部180には表示駆動部181、表示駆動部181には表示部182がそれぞれ接続されている。表示部182は、CMOS140で撮像された画像を、例えば縦横各々1/4に間引き処理された640×480の画像を表示する。
【0047】
LCD制御部180は、画像処理部142から転送されたYUVデジタル画像データ、又はデータ格納部104のなかの画像ファイルに対してJPEGの解凍を行ったYUVデジタル画像データを受け取る。そして、LCD制御部180は、RGBデジタル信号へ変換したあと表示駆動部181へ出力する。表示駆動部181は表示部182を駆動するための制御を行う。
【0048】
また、DC/DCコンバータ160には電池161から電源が供給されている。電池161は充電可能な2次電池あるいは乾電池である。また、DC/DCコンバータ160は、電池161からの電源供給を受け、昇圧、レギュレーションを行うことにより複数の電源を作り出す。そして、DC/DCコンバータ160はCPU101を初めとする各素子に必要な電圧の電源を供給している。このDC/DCコンバータ160はCPU101からの制御信号により、各々の電圧供給の開始、停止を制御できるようになっている。
【0049】
焦点検出センサ150は、焦点検出用の一対のラインCCDセンサであり、焦点検出制御部151はこれら焦点検出センサ150から得た電圧をA/D変換し、CPU101に送る。またCPU101の指示のもとに、焦点検出制御部151は焦点検出センサ150の蓄積時間とAGC(オートゲインコントロール)の制御も行う。
【0050】
また、レリーズSW170操作に伴う撮像動作の指示、さらに、各素子への電源の供給をコントロールするための制御信号をDC/DCコンバータ160に対して出力する処理等も、CPU101の制御の基に行われている。
【0051】
RAM103は、画像展開エリア103a、ワークエリア103b、VRAM103c、一時退避エリア103dを備えている。画像展開エリア103aは、画像処理部142より送られてきた撮像画像(例えばYUVデジタル信号)やデータ格納部104から読み出されたJPEG圧縮画像データを一時的に格納するためのテンポラリバッファとして用いられる。また、画像展開エリア103aは、画像圧縮処理、解凍処理のための画像専用ワークエリアとしても用いられる。
【0052】
ワークエリア103bは各種プログラムのためのワークエリアである。VRAM103cは表示部182へ表示する表示データを格納するVRAMとして使用される。また、一時退避エリア103dは各種データを一時退避させるためのエリアである。
【0053】
データ格納部104は、CPU101によりJPEG圧縮された撮像画像データ、あるいはアプリケーションより参照される各種付属データ等をファイル形式で格納しておくためのフラッシュメモリである。
【0054】
レリーズSW170は、撮像動作の開始を指示するためのシャッタースイッチである。このレリーズSW170はレリーズボタンの押下圧によって2段階のスイッチポジションを有している。1段目のポジション(SW1ON)の検出で、ホワイトバランス、測光等のカメラ設定のロック動作が行われ、2段目のポジション(SW2ON)の検出で、被写界画像信号の取り込み動作が行われる。
【0055】
測光制御部131は、CPU101の指示に従って、測光センサ130を駆動制御し、被写界輝度情報を取り込み、CPU101にデータを送る。
【0056】
図4は、図1のCPU101により実行される撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【0057】
図4において、カメラはレリーズボタンが押し込まれてSW1がONされるまで待機する(ステップS201)。レリーズボタンが押し込まれると(ステップS201でYES)、マウント接点115を通じてレンズ制御部315と通信を行う。そして、レンズユニット300内のEEPROM315a内に格納されている撮像レンズ310の瞳位置、実効Fno.といった撮像レンズ情報を取得し、(ステップS202)ワークエリア103bに一時記憶する。
【0058】
次いで、EEPROM101a内に格納されている測光レベル補正のパターンから、ステップS202で得られた撮像レンズ310の瞳位置、実効Fno.をもとに測光補正パターンのNo.を選択する(ステップS203)。
【0059】
その測光補正パターンに設定されている補正値をEEPROM101aから呼び出す(ステップS204)。なお撮像レンズ情報と測光レベル補正値の関係は後述する。
【0060】
次いで、測光センサ130、及び測光制御部131に信号を送り、被写界の輝度を検出することで光束の測光値を取得する(ステップS205)(取得手段)。
【0061】
測光値に対して、ステップS204で呼び出した測光補正値を積算することで測光値を補正する(ステップS206)。すなわち、ステップS206は、受光面において、メインミラー120により光束が反射されずに受光されなかった領域で測光センサ130により測光され、ステップS205により取得された測光値を補正する(補正手段)。上述したように、この補正は、瞳情報、及び絞り情報を用いた補正である。また、ステップS206は、上述したように受光面を複数の領域に分割することで得られた領域ごとに測光センサ130により測光されてステップS205により取得された測光値を補正する。
【0062】
次いで、補正された測光値を用いて露出決定のための演算を行って露光値を算出し(ステップS207)、その後焦点検出動作を行う(ステップS208)。
【0063】
ここで撮像者が撮像を中止すると判断してレリーズボタンから手を離すことで、SW1がOFFされると(ステップS209でNO)、ステップS201に戻りSW1のON待ちとなる。
【0064】
一方、撮像者が引き続きSW1をONし続け(ステップS209でYES)、さらにレリーズボタンを押し込んでSW2がONされたとき(ステップS210でYES)、カメラは撮像動作を開始する。
【0065】
まず、ミラー駆動部123に指示をしてメインミラー120を駆動し、撮像光路外にメインミラー120をミラーアップすることで退避させる(ステップS211)。
【0066】
次に、CMOS140よる電荷の蓄積を開始させ(ステップS212)、先幕を走行させ(ステップS213)、露光を行う(ステップS214)。
【0067】
次に、シャッターの後幕を走行させ(ステップS215)、CMOS140の蓄積を終了する(ステップS216)。
【0068】
そしてCMOS140から画像信号が読み出し(ステップS217)、画像処理部142に内蔵されている内部メモリ(不図示)に一時的に画像信号が記憶される。そして、全ての画像信号の読み出しが終了した後、被写界光をファインダー光学系に導く位置(斜設位置)にメインミラー120を駆動することでミラーダウンする(ステップS218)。そして、先幕と後幕とを元の待機位置に戻し(ステップS219)、ステップS201に戻る。
【0069】
図4の処理によれば、受光面において、メインミラー120により光束が反射されずに受光されなかった領域で測光センサ130により測光され、取得された測光値を補正するので、適切な露光量で被写体を撮像することが可能となる。
【0070】
図5は、瞳位置と実効Fno.とかげり195との関係を示す図である。
【0071】
図5において、横軸は瞳位置、縦軸は実効Fno.を示している。そして、瞳位置及び実効Fno.をそれぞれ変化させたときのかげり195の測光センサ受光面における位置と濃度の変化を示している。
【0072】
図5の中央にある測光センサ受光面(a)を基準に説明する。本実施の形態におけるメインミラー120の構成は、上側メインミラー120aが長く、下側メインミラー120bが短くなっている。従って、測光センサ受光面(a)では、測光センサ受光面上部にかげり195が発生している。
【0073】
次に、レンズユニットの交換や、ズームレンズのズーム位置の変化によって瞳位置が変化した場合を考える。瞳位置が近くなった場合は、測光センサ受光面(b)に示されるように、かげり195の発生位置が画面中央から遠くなる(画面の端にいく)ように変化する。逆に瞳位置が遠くなった場合は、測光センサ受光面(c)に示されるように、かげり195の発生位置は画面中央に近くなる。
【0074】
次に、実効Fno.が変化した場合を考える。実効Fno.が明るくなった場合は、測光センサ受光面(d)に示されるように、かげり195の濃度は薄くなる。より具体的には、かげり195の中央部の明るさが明るくなり、かげり195の発生する範囲が広くなる。
【0075】
逆に実効Fno.が暗くなった場合は、測光センサ受光面(e)に示されるように、かげり195の濃度が濃くなる。より具体的には、かげり195の中央部の明るさが暗くなり、かげり195の発生する範囲が狭くなる。
【0076】
図6は、測光値の補正に用いられるデータ例を示す図である。(a)は、撮像レンズ310から取り込んだ瞳位置と実効Fno.の情報をもとに定まる補正パターン一例を示す図である。(b)は、補正パターンから分割されたそれぞれの測光エリアに対して割り当てられた補正値の一例を示す図である。
【0077】
この図6を用いた補正の一例を、既出の図2を用いて説明する。なお、図2は、図5における測光センサ受光面(a)を拡大したものとなっている。
【0078】
図2に示されるように、測光領域のうちS0〜S9にかげり195が生じている。この状況でのS0〜S9では、実際の被写界輝度より暗い測光結果が得られてしまう。
【0079】
図5に示されるように、図2での瞳位置、実効Fno.はそれぞれ100mm、F5.6となっている。従って、上述したステップS202で、瞳位置として100mm、実効Fno.としてF5.6がレンズユニット300から取得される。
【0080】
従って、図6(a)から、ステップS203では、補正パターンNo.9が選択されることとなる。そして、ステップS204では、図6(b)から補正パターン9のS0〜S14の各補正値が取得される。具体的には、S0〜S4では1.2、S5〜S9では1.9、S10〜S14では1.0が補正値として取得される。
【0081】
このとき、S5〜S9にかげり195の中心があるので、S5〜S9が最もかげりの影響が大きい。次に、その下のS0〜S4にも少しだけかげりの影響が出ている。上記を鑑みてS0〜S4には小さい補正値を、S5〜S9には大きな補正値を、そしてS10〜S14には補正無しの1.0の値が設定されている。この補正値は隙間122の位置と幅や、測光センサの位置などによって変化するので、実験により予め算出しておく。
【0082】
こうして取得された補正値は、ステップS205で測光を行った後、ステップS206で測光値に対して積算される。
【0083】
以上の補正を行う事により、隙間122によるケラレの影響を補正し、適正な被写界輝度情報を得ることが可能となる。
【0084】
また、ミラー同士の隙間の位置や幅、測光装置の位置などが変化すると測光装置に対するケラレの影響が変化するため、それらの変化に対して設定する測光補正値は適宜変化させる必要がある。
【0085】
さらに、本実施形態をより安定に運用していくために、以下のような事をしていくとさらに良い。
【0086】
隙間の位置と幅は同じカメラであっても、部品精度や組み立て精度の影響で個体差が生じる。メインミラーの隙間の位置はかげりの発生位置に影響を与え、隙間の幅はかげりの濃度に影響することから、この個体差を修正するためにこれらの値を測定して更正する。
使用環境により、各構成部材が異なった変形量で変化する事から、変化する隙間の位置と幅に対して温度による補正をかける。
【0087】
隙間の位置と幅は耐久変化していくので、メインミラー120の動作回数を計測する手段を設け、これによって動作回数を測定し、耐久変化を見越してミラー駆動回数によった補正をかけるようにしてもよい。すなわち、補正では、メインミラー120が動作した回数に応じて変化した測光値をさらに補正するようにしてもよい。
【0088】
また、本実施の形態では補正情報をカメラユニット100にもたせていたが、レンズユニット300に持たせることもできる。
【0089】
本実施の形態では一例としてCMOS140を用いた撮像装置1を説明したが、メインミラーが複数枚で構成されていて、ミラーで反射した被写界光を用いて測光を行う銀塩カメラやCCDカメラにも本実施の形態を適応できる。
【0090】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0091】
(他の実施の形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0092】
1 撮像装置
100 カメラユニット
120 メインミラー
120a 上側メインミラー
120b 下側メインミラー
122 隙間
130 測光センサ
133 ペンタプリズム
135 接眼レンズ
140 CMOS
150 焦点検出CCD
152 フィールドレンズ
300 レンズユニット
310 撮像レンズ
312 絞り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像レンズを透過した光束を、当該光束のうちの一部の光束を除いて反射する反射手段と、前記反射手段により反射された光束が照射される受光面で受光された光束に対して測光する測光手段とを備えた撮像装置であって、
前記測光手段により測光された光束の測光値を取得する取得手段と、
前記受光面において、前記反射手段により光束が反射されずに受光されなかった領域で前記測光手段により測光され、前記取得手段により取得された測光値を補正する補正手段と
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記補正手段は、瞳情報、及び絞り情報を用いて、前記取得手段により取得された測光値を補正することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記補正手段は、前記受光面を複数の領域に分割することで得られた前記領域ごとに前記測光手段により測光されて前記取得手段により取得された測光値を補正することを特徴とする請求項1又は2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記補正手段は、前記反射手段が動作した回数に応じて変化した測光値をさらに補正することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
撮像レンズを透過した光束を、当該光束のうちの一部の光束を除いて反射する反射手段と、前記反射手段により反射された光束が照射される受光面で受光された光束に対して測光する測光手段とを備えた撮像装置の制御方法であって、
前記測光手段により測光された光束の測光値を取得する取得ステップと、
前記受光面において、前記反射手段により光束が反射されずに受光されなかった領域で前記測光手段により測光され、前記取得ステップにより取得された測光値を補正する補正ステップと
を備えたことを特徴とする制御方法。
【請求項6】
撮像レンズを透過した光束を、当該光束のうちの一部の光束を除いて反射する反射手段と、前記反射手段により反射された光束が照射される受光面で受光された光束に対して測光する測光手段とを備えた撮像装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記測光手段により測光された光束の測光値を取得する取得ステップと、
前記受光面において、前記反射手段により光束が反射されずに受光されなかった領域で前記測光手段により測光され、前記取得ステップにより取得された測光値を補正する補正ステップと
を備えたことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−233952(P2012−233952A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100705(P2011−100705)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】