説明

撮像装置

【課題】 ヘルプ表示を適切に制御することにより操作性を向上できる撮像装置を提供する。
【解決手段】 デジタルカメラ(撮像装置)は、液晶ディスプレイ(LCD)10と、接眼を検知する機能を有する電子ビューファインダ(EVF)20とを備えている。LCD10にヘルプ情報H1やヘルプメニューH2が表示されるヘルプモードの状態で接眼が検知される場合には、ヘルプ表示を禁止して、画像表示LGおよびカメラモードなどの情報表示IGをEVF20で行う。このように撮影準備動作が検知される場合にはヘルプモードを解除するため、シャッターチャンスを逃すのを防止でき、デジタルカメラの操作性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示手段を有する撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】デジタルカメラ(撮像装置)においては、多機能化が進むにつれて、全ての機能を使いこなせない、あるいは使いこなすにはマニュアルを熟読する必要があるという弊害が増してきている。
【0003】この弊害を解消する方法として、ヘルプ機能を設けたデジタルカメラが提案されている。例えば、特開2001−66684では、操作ボタンとヘルプボタンとの同時押しで操作ボタンに関するヘルプ情報を表示するデジタルカメラが開示され、また特開平11−64947では、カメラの取扱い説明書が表示部に表示されるデジタルカメラが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のデジタルカメラでは、ヘルプ情報を表示するヘルプモードに一旦移行すると、これを解除するには所定の操作が必要であるため、速やかなヘルプモードの解除が困難である。その結果、ヘルプモード下ではシャッターチャンスを逃す場合があり、操作性が必ずしも良好でない。
【0005】また、ユーザがヘルプモードでヘルプ情報を取得した後には、撮影モードなどの他のモードに速やかに移行させるのが操作性向上の観点から好ましい。
【0006】本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ヘルプ表示を適切に制御することにより操作性を向上できる撮像装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、表示手段を有する撮像装置であって、(a)所定の条件を満たす場合に、前記撮像装置に係る撮影準備状態と判定する判定手段と、(b)ヘルプ情報を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、(c)前記ヘルプ情報の表示中に、前記判定手段により前記撮影準備状態と判定された場合には、前記ヘルプ情報の表示を禁止する禁止手段とを備える。
【0008】また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る撮像装置において、前記表示手段は、接眼を検知する接眼検知手段を有する電子ビューファインダを備えるとともに、前記所定の条件は、前記接眼検知手段による接眼検知である。
【0009】また、請求項3の発明は、表示手段を有する撮像装置であって、(a)前記撮像装置が実質的に動作している動作状態と、実質的に動作していない非動作状態とを切替える切替手段と、(b)ヘルプ情報を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、(c)前記ヘルプ情報の表示中に前記非動作状態に切替えられ、その後に前記動作状態に切替えられる際には、前記ヘルプ情報の表示を禁止する禁止手段とを備える。
【0010】また、請求項4の発明は、請求項3の発明に係る撮像装置において、前記非動作状態は、前記撮像装置に係る省電力制御の状態を含む。
【0011】また、請求項5の発明は、請求項3または請求項4の発明に係る撮像装置において、前記非動作状態は、前記撮像装置に係る電源オフの状態を含む。
【0012】
【発明の実施の形態】<第1実施形態><デジタルカメラの要部構成>図1、図2および図3は、本発明の第1実施形態に係るデジタルカメラ1Aの要部構成を示す図であり、図1は正面図、図2は上面図、図3は背面図に相当する。これらの図は必ずしも三角図法に則っているものではなく、デジタルカメラ1Aの要部構成を概念的に例示することを主眼としている。
【0013】図2に示すように、デジタルカメラ1Aは、撮影レンズであるマクロ機能付きレンズ群(以下、単に「レンズ」とも称する)30を含む撮像部3を備えている。また、デジタルカメラ1Aは、ズーム機能を有しており、ズームリング33を回転させることなどにより、撮影倍率の変更を行うことができる。さらに、デジタルカメラ1Aは、マクロ切替えレバー34を備えており、マクロ撮影と通常撮影とを切り換えることができる。また、デジタルカメラ1Aの上面にはシャッターボタン9が設けられている。
【0014】また、デジタルカメラ1Aの上面には、「電源オフ」と、カメラモードすなわち「撮影モード」、「再生モード」、「設定モード」および「通信モード」とを切替設定するモード切替えダイヤル14が設けられている。このモード切替えダイヤル14で電源オフが選択されると、デジタルカメラ1A各部の通電がオフとなり、また各カメラモードが選択されると、それぞれのモードに移行する。撮影モードは、写真撮影を行なうモードであり、再生モードは、メモリカード8に記録された撮影画像データを背面LCD(Liquid Crystal Display)10に再生表示するモードである。また、設定モードは、デジタルカメラ1Aの設定を行うモードであり、通信モードは、デジタルカメラ1Aの側面に設けられるUSB端子226を介して、外部のパーソナルコンピュータ225などにデータ転送するモードである。また、デジタルカメラ1Aの上面には、データパネル36がさらに設けられており、このデータパネル36ではカメラの設定状況等が表示される。
【0015】さらに、デジタルカメラ1Aの上面には、各種設定を変更するためのダイヤル17が設けられている。
【0016】また、デジタルカメラ1Aの側面上方には、撮影条件および撮影方法を設定および変更するためのファンクションダイヤル15およびファンクションボタン16が設けられており、撮影モードにおいて、ファンクションダイヤル15を回転させて項目を選択し、ファンクションボタン16を押下することによって選択された項目の撮影条件または撮影方法が設定される。
【0017】図3に示すように、デジタルカメラ1Aの背面左方には、撮影画像のライブビュー表示及び記録画像の再生表示等を行なうための液晶ディスプレイである背面LCD10と、電子ビューファインダ(EVF)20とが設けられている。この背面LCD10およびEVF20では、カラーで画像表示が行われる。また、EVF20は、背面LCD10より小さな表示画面を有しており、接眼検知(後で詳述)のためのアイセンサ201を備えている。
【0018】デジタルカメラ1Aの背面右方には、カーソルボタン(十字キー)U、D、L、R、および実行ボタン32を含むコントロールボタン35が設けられており、このコントロールボタン35を用いて各種操作を行える。
【0019】デジタルカメラ1Aの背面には、メニューボタン37が設けられている。このメニューボタン37が押下されることにより、各種のメニューが背面LCD10に表示される。また、表示されるメニュー画面に対して、コントロールボタン35を操作することにより、モード切替えダイヤル14で設定モードを選択する場合と同様に、デジタルカメラ1Aに対する各種の設定が可能となる。
【0020】また、デジタルカメラ1Aの背面には、クイックビューボタン38が設けられている。撮影モード下で撮影後にこのクイックビューボタン38が押下されることにより、直近の撮影結果(静止画像)が背面LCD10またはEVF20に表示される(クイックビュー表示)。さらに、その状態からコントロールボタン35の操作とクイックビューボタン38の押下とによって選択した画像の削除を行うことができる。
【0021】また、デジタルカメラ1Aの背面には、表示切替ボタン(以下では「iボタン」とも呼ぶ)39と、表示切替ボタン39を囲むように配設される環状のディスプレイ切換レバー31と、ビデオ出力端子222とが設けられている。表示切替ボタン39は、所定の情報を表示させるための情報表示ボタンと、ヘルプ情報を表示させるためのヘルプボタンとを兼用しており、表示切替ボタン39に対する押下操作により、例えば撮影可能枚数などの情報の表示とヘルプ情報の表示とを選択的に切替えることができる。ディスプレイ切換レバー31は、背面LCD10の表示とEVF20の表示との切換等を行うレバーである。ビデオ出力端子222は、通信線を介して外部モニタ223と接続するための端子である。
【0022】デジタルカメラ1Aの側面には、メモリカード8を挿入して装着できるメモリスロット81が設けられている。
【0023】<デジタルカメラ1Aの機能ブロック>図4は、デジタルカメラ1Aの機能ブロック図である。同図において、CCD303は、1280×960画素を有し、レンズ群30により結像された被写体の光像を、R(赤),G(緑),B(青)の色成分の画像信号(各画素で受光された画素信号の信号列からなる信号)に光電変換して出力する。タイミングジェネレータ314は、CCD303の駆動を制御するための各種のタイミングパルスを生成するものである。
【0024】撮像部3における露出制御は、レンズ駆動部306によるレンズ群30の絞りと、CCD303の露光量、つまり、シャッタスピードに相当するCCD303の電荷蓄積時間を調節して行なわれる。ここで、被写体輝度が低輝度時に適切なシャッタスピードが設定できない場合は、CCD303から出力される画像信号のレベル調整を行なうことにより露光不足による不適正露出が補正される。すなわち、低輝度時は、絞りとシャッタスピードと信号処理回路313のゲイン調整とを組み合わせて露出制御が行なわれることとなる。
【0025】タイミングジェネレータ314は、全体制御部211から送信される基準クロック基づきCCD303の駆動制御信号を生成するものである。このタイミングジェネレータ314は、例えば積分開始/終了(露出開始/終了)のタイミング信号、各画素の受光信号の読出制御信号(水平同期信号,垂直同期信号,転送信号等)等のクロック信号を生成し、CCD303に出力する。
【0026】信号処理回路313は、CCD303から出力される画像信号(アナログ信号)に所定のアナログ信号処理を施すものである。この信号処理回路313は、CDS(相関二重サンプリング)回路とAGC(オートゲインコントロール)回路とを有し、CDS回路により画像信号のノイズ低減処理を行ない、AGC回路でゲインを調整することにより画像信号のレベル調整を行なう。
【0027】A/D変換器205は、画像信号の各画素信号を12ビットのデジタル信号に変換するものである。A/D変換器205は、タイミング発生回路から入力されるA/D変換用のクロックに基づいて各画素信号(アナログ信号)を12ビットのデジタル信号に変換する。
【0028】WB(ホワイトバランス)回路207は、R,G,Bの各色成分の画素データのレベル変換を行なうものである。このWB回路207は、全体制御部211で記憶されるレベル変換テーブルを用いてR,G,Bの各色成分の画素データのレベルを変換する。なお、レベル変換テーブルの各色成分のパラメータ(特性の傾き)は全体制御部211により、オートまたはマニュアルで、撮影画像毎に設定される。γ補正回路208は、画素データの階調を補正するものである。
【0029】色変換・色補正回路231は、γ補正回路208から入力される画像データに対して、例えばYCrCb系に色空間を変換し、色再現性を向上させる色補正を行うものである。
【0030】解像度変換部232は、ライブビュー撮影時に、CCD303で取得される画像データを1/4に間引いた画像データ(320×240画素)を生成する。
【0031】AF評価値演算部233は、シャッターボタン9が半押し状態(S1)になった場合に、コントラスト方式のAFを行うための評価値演算動作が行われる。ここでは、撮影画像データのうちAFエリアに相当するデータに関して、隣接する各画素に関する差分の絶対値の和である評価値が演算される。そして、レンズ群30を駆動し、この評価値の最も高いレンズ位置が合焦位置とされる。これにより、AFエリアに対してレンズ群30を駆動し合焦を行うため、主被写体などを狙ってピントを合わせることができる。
【0032】測光演算部234では、解像度変換部232から出力される画像データを例えば300(20×15)ブロックに分割し、各ブロックごとに測光データを算出する多分割測光を行うことができる。
【0033】画像メモリ209は、CCD303で取得され、上記の画像処理が施された画像データ(静止画像)を一時的に記憶するメモリである。画像メモリ209は、少なくとも数フレーム分の記憶容量を有している。すなわち、画像メモリ209は、CCD303画素数に対応する1280×960画素分の画素データ数フレーム分の記憶容量を少なくとも有し、各画素データが対応する画素位置に記憶されるようになっている。
【0034】EVF/LCD切替部235は、ディスプレイ切替えレバー31の設定、または接眼検知部202による接眼検知に基づいて、背面LCD10とEVF20との表示切替えを行う。
【0035】デジタルカメラ1Aの撮影待機状態では、CCD303により1/30(秒)毎に撮像された画像の各画素信号がA/D変換器205〜解像度変換部232により所定の信号処理を施された後、全体制御部211を介してEVF/LCD切替部235に転送され、背面LCD10やEVF20に表示される(ライブビュー表示)。これにより、ユーザはCCD303で撮像される被写体像を視認することができる。また、再生モードにおいては、メモリカード8から読み出された画像が全体制御部211で所定の信号処理が施された後、EVF/LCD切替部235に転送され、背面LCD10やEVF20に再生表示される。
【0036】カードI/F212は、メモリスロット81に装着されるメモリカード8への画像データおよび音声データの読み書きを行なうためのインターフェースである。このメモリカード8への画像データの読み書きでは、静止画像については、圧縮・伸張部236において例えばJPEG方式で画像の圧縮・伸張が行われる。
【0037】また、USBI/F224は、外部のパーソナルコンピュータ225と通信可能にするための、USB規格に準拠した通信用インターフェースである。これらのカードI/F212、USBI/F224を介して、メモリカード8やパーソナルコンピュータ225にセットされるCD−ROMなどの記録媒体に記録されている制御プログラムを、全体制御部211のROM211b内に取り込むことができる。
【0038】接眼検知部202は、上述したアイセンサ201を有し、ユーザがEVF20を覗き込んでEVF20に接眼(接近)したかを検知する部位である。以下では、この接眼検知を説明する。
【0039】図5は、接眼検知を説明するための図である。
【0040】アイセンサ201は、一対の発光素子および受光素子を有している。そして、発光素子から出射する出力光LSがユーザの眼で反射され、この反射光LRが受光素子で検出される場合に、接眼が検知されることとなる。
【0041】図4に戻って、説明を続ける。
【0042】操作部250は、ユーザからの操作入力を受け付ける部位で、上述したシャッターボタン9、ディスプレイ切換レバー31、ファンクションダイヤル15、ファンクションボタン16、ダイヤル17、コントロールボタン35、クイックビューボタン38などの各種ボタン、レバーなどで構成されている。
【0043】シャッターボタン9は、半押し状態(S1)と押し込んだ状態(S2)とが検出可能な2段階スイッチになっている。待機状態でシャッターボタン9をS1状態にすると、AFのためのレンズ駆動を開始し、AF評価値演算部233で画像のコントラストを評価しながら、コントラストがもっとも高くなるようにレンズを駆動し停止させる。一方、シャッターボタン9をS2状態にすると、CCD303で取得され画像処理が施された画像データが圧縮・伸張部236でデータ圧縮されるとともに、そのサムネイル画像が全体制御部211で生成される。そして、生成された画像データとサムネイル画像データとが、画像メモリ209に記憶された後に、カードI/F212を介してメモリカード8に画像ファイル化されて記録される。
【0044】外部モニタI/F221は、EVF/LCD切替部235から転送される画像データを、例えばNTSC方式に信号変換を行うインターフェースであり、ビデオ出力端子222を介して外部モニタ223に画像信号を送信する。
【0045】全体制御部211は、マイクロコンピュータとして働くCPU、RAM211aおよびROM211bを有しており、上述したカメラの各部材の駆動を有機的に制御してデジタルカメラ1Aの動作を統括制御する。
【0046】また、全体制御部211のROM211bには、後述するヘルプ情報が格納されている。このヘルプ情報に基づき、表示切替ボタン39に対するユーザの操作に応答し、背面LCD10などでのヘルプ表示が可能となる。
【0047】<デジタルカメラ1Aの動作>図6は、デジタルカメラ1Aの基本的な動作を説明するための状態遷移図である。本動作は、制御部211により実行される。
【0048】状態ST1では、背面LCD10がオンつまり表示状態であり、EVF20がオフつまり非表示状態となっている。この場合、背面LCD10では、カメラモードに応じた表示、例えばモード切替えダイヤル14で撮影モードに設定されていれば、ライブビュー表示などの画像表示が行われる。ここで、接眼検知部202で接眼が検知されると、状態ST2に移行し、表示切替ボタン(iボタン)39が押下されると、状態ST3に移行する。
【0049】状態ST2では、背面LCD10がオフつまり非表示状態であり、EVF20がオンつまり表示状態となっている。この場合、EVF20では、状態ST1の背面LCD10と同様に、カメラモードに応じた画像のみの表示が行われる。ここで、接眼検知部202で接眼が非検知状態となると、状態ST1に移行し、iボタン39が押下されると、状態ST4に移行する。
【0050】状態ST3では、背面LCD10がオンつまり表示状態であり、EVF20がオフつまり非表示状態となっている。この場合、背面LCD10では、カメラモードに応じた表示、例えばモード切替えダイヤル14で撮影モードに設定されていれば、図7(a)に示すようにライブビュー画像LGとともに、選択されているカメラモードを示す表示IGaや、撮影可能枚数を示す表示IGbなどの情報表示IGが行われる。なお、図7(a)では、デジタルカメラ1Aの背面を概念的に表している。ここで、接眼検知部202で接眼が検知されると、状態ST4に移行し、iボタン39が押下されると、状態ST5に移行する。
【0051】状態ST4では、背面LCD10がオフつまり非表示状態であり、EVF20がオンつまり表示状態となっている。この場合、EVF20では、カメラモードに応じた表示、例えばモード切替えダイヤル14で撮影モードに設定されていれば、図7(b)に示すようにライブビュー画像LGとともに情報表示IGが行われる。ここで、接眼検知部202で接眼が非検知状態となると、状態ST3に移行し、iボタン39が押下されると、状態ST2に移行する。
【0052】状態ST5では、背面LCD10がオンつまり表示状態であり、EVF20がオフつまり非表示状態となっている。この場合、背面LCD10では、第1ヘルプモードの表示、すなわちユーザが行った直前の操作(ただしiボタン39への操作を除く)に関する説明の表示が行われる。例えば、撮影モードでポートレートモードを選択する操作の直後にiボタン39が押下された場合には、図7(c)に示すように、ポートレートモードを説明するヘルプ情報H1が背面LCD10に表示される。ここでは、直前の操作内容(最新の操作入力の情報)が全体制御部211のRAM211aに記憶され、これが読出されることで直前の操作に関するヘルプ情報が表示できる。
【0053】状態ST5で、iボタン39が押下されると、状態ST6に移行し、接眼検知部202で接眼が検知、換言すれば撮影準備動作が検出されると、背面LCD10をオフするとともにヘルプ表示を解除して状態ST4に移行する。すなわち、接眼検知に伴って撮影準備状態と判定され、ヘルプ情報の表示が解除される。また、シャッターボタン9がユーザにより半押し(S1)された場合には、AF動作が行われるとともに、CCD303で取得された画像データに対してAWBなどの画像処理を施してライブビュー表示を行う撮影モードの状態ST1に遷移する。
【0054】状態ST6では、背面LCD10がオンつまり表示状態であり、EVF20がオフつまり非表示状態となっている。この場合、背面LCD10では、第2ヘルプモードの表示、すなわちデジタルカメラ1Aの使用説明書などのヘルプメニューH2(図7(d)参照)が表示される。このヘルプメニューH2は、状態ST5のヘルプ情報H1より情報量が大きく、表示切替ボタン39の押下により段階を追ってヘルプの情報量が増加することとなる。
【0055】状態ST6で、接眼検知部202で接眼が検知されると、背面LCD10をオフするとともにヘルプ表示を解除して状態ST4に移行し、iボタン39が押下されると、状態ST1に移行する。また、シャッターボタン9がユーザにより半押し(S1)されると、ヘルプ表示が解除されて撮影モードの状態ST1に遷移する。すなわち、接眼が検知された場合およびシャッターボタン9が操作された場合には撮影準備状態と判定され、ヘルプ情報の表示が禁止されることとなる。
【0056】以上のデジタルカメラ1Aの動作により、ヘルプモードの状態で接眼が検知される場合やシャッターボタンが操作される場合にはヘルプモードを解除して、直ちに撮影可能な状態に移行するため、デジタルカメラ1Aの操作性が向上する。
【0057】<第2実施形態>本発明の第2実施形態に係るデジタルカメラ1Bの構成は、第1実施形態の構成(図1〜図4参照)と類似しているが、全体制御部211が異なっている。
【0058】すなわち、デジタルカメラ1Bの全体制御部211は、以下で説明する動作を実行させるためのプログラムがROM211bに格納されている。
【0059】<デジタルカメラ1Bの動作>図8は、デジタルカメラ1Bの基本的な動作を説明するための状態遷移図である。本動作は、制御部211により実行される。
【0060】状態ST11〜ST14は、図6の状態遷移図に示す状態ST1〜ST4と同様の動作状態である。
【0061】状態ST15では、図6に示す状態ST5と同様に、背面LCD10がオン、EVF20がオフであり、図7(c)に示す第1ヘルプモードとなっている。ここで、iボタン39が押下されると、状態ST17に移行し、接眼検知部202で接眼が検知されると、ヘルプ表示を解除してライブビュー画像などの撮影の情報を表示する状態ST16に移行する。すなわち、接眼検知の場合には撮影準備状態と判定され、ヘルプ情報の表示が禁止される。また、シャッターボタン9がユーザにより半押し(S1)された場合には、状態ST11に遷移する。
【0062】状態ST16では、背面LCD10がオフ、EVF20がオンとなっている。この場合、EVF20では、図6に示す状態ST2と同様に、カメラモードに応じた画像のみの表示が行われる。ここで、接眼検知部202で接眼が非検知状態となると、状態ST15に移行し、iボタン39が押下されると、状態ST18に移行する。
【0063】状態ST17では、図6に示す状態ST6と同様に、背面LCD10がオン、EVF20がオフであり、図7(d)に示す第2ヘルプモードとなっている。ここで、接眼検知部202で接眼が検知されると、ヘルプ表示を解除してライブビュー画像などの撮影の情報を表示する状態ST18に移行し、iボタン39が押下されると、状態ST11に移行する。また、シャッターボタン9がユーザにより半押し(S1)されると、ヘルプ表示が解除されて状態ST11に遷移する。すなわち、接眼が検知された場合およびシャッターボタン9が操作された場合には撮影準備状態と判定され、ヘルプ情報の表示が禁止されることとなる。
【0064】状態ST18では、背面LCD10がオフで、EVF20がオンとなっている。この場合、EVF20では、図6に示す状態ST4と同様に、カメラモードに応じた表示が行われる。ここで、接眼検知部202で接眼が非検知状態となると、状態ST17に移行し、iボタン39が押下されると、状態ST16に移行する。
【0065】以上のデジタルカメラ1Bの動作により、第1実施形態と同様に、ヘルプモードの状態で接眼が検知される場合やシャッターボタンが操作される場合にはヘルプモードを解除するため、デジタルカメラ1Bの操作性が向上する。
【0066】<第3実施形態>本発明の第3実施形態に係るデジタルカメラ1Cの構成は、第1実施形態の構成(図1〜図4参照)と類似しているが、全体制御部211が異なっている。
【0067】全体制御部211は、ユーザによる操作部250への操作入力が3分間行われない場合には、デジタルカメラ1Cで省電力制御を開始する指令を発する。この省電力制御の状態では、デジタルカメラ1Cの給電を部分的に停止させる制御、具体的には、全体制御部211のCPU以外の部分の通電をオフし、CPUのクロックを低減させてCPUの動作速度を低下させる制御が行われる。さらに、全体制御部211は、省電力状態に移行して1分以内にユーザからの操作入力があった場合には、省電力状態を解除する制御を行い、また省電力状態に移行して1分間操作入力が行われない場合には、デジタルカメラ1C全体の通電をオフにする電源オフの制御を行う。すなわち、全体制御部211は、デジタルカメラ1Cの各部に給電がされてデジタルカメラ1Cが実質的に動作している動作状態と、実質的に動作していない非動作状態つまり省電力制御状態および電源オフ状態とを切替える切替手段として機能することとなる。
【0068】また、デジタルカメラ1Cの全体制御部211は、以下で説明する動作を実行させるためのプログラムがROM211bに格納されている。
【0069】<デジタルカメラ1Cの動作>図9は、デジタルカメラ1Cの基本的な動作を説明するための状態遷移図である。本動作は、制御部211により実行される。
【0070】状態ST21では、背面LCD10がオン、EVF20がオフとなっている。この場合、背面LCD10では、カメラモードに応じた表示、例えばモード切替えダイヤル14で撮影モードに設定されていれば、ライブビュー表示などの画像表示が行われる。ここで、接眼検知部202で接眼が検知されると、状態ST22に移行し、iボタン39が押下されると、状態ST23に移行する。また、接眼検知部202での接眼検知を含めてユーザからの操作(アクション)が3分間行われない場合には、状態ST27に遷移し、モード切替えダイヤル14で電源オフが選択されると、状態ST28に遷移する。
【0071】状態ST22では、背面LCD10がオフ、EVF20がオンとなっている。この場合、EVF20では、状態ST21の背面LCD10と同様に、カメラモードに応じた画像のみの表示が行われる。ここで、接眼検知部202で接眼が非検知状態となると、状態ST21に移行し、iボタン39が押下されると、状態ST24に移行する。また、モード切替えダイヤル14で電源オフが選択されると、状態ST28に遷移する。
【0072】状態ST23では、背面LCD10がオン、EVF20がオフとなっている。この場合、背面LCD10では、カメラモードに応じた表示、例えばモード切替えダイヤル14で撮影モードに設定されていれば、図7(a)に示すようにライブビュー画像LGとともに情報表示IGが行われる。ここで、接眼検知部202で接眼が検知されると、状態ST24に移行し、iボタン39が押下されると、状態ST25に移行する。また、接眼検知部202での接眼検知を含めてユーザからの操作が3分間行われない場合には、状態ST27に遷移し、モード切替えダイヤル14で電源オフが選択されると、状態ST28に遷移する。
【0073】状態ST24では、背面LCD10がオフ、EVF20がオンとなっている。この場合、EVF20では、カメラモードに応じた表示、例えばモード切替えダイヤル14で撮影モードに設定されていれば、図7(b)に示すようにライブビュー画像LGとともに情報表示IGが行われる。ここで、接眼検知部202で接眼が非検知状態となると、状態ST23に移行し、iボタン39が押下されると、状態ST22に移行する。また、モード切替えダイヤル14で電源オフが選択されると、状態ST28に遷移する。
【0074】状態ST25では、背面LCD10がオン、EVF20がオフとなっている。この場合、背面LCD10では、第1ヘルプモードの表示、すなわちユーザが行った直前の操作(ただしiボタン39への操作を除く)に関する説明の表示が行われる。例えば、撮影モードでポートレートモードを選択する操作の直後に表示切替ボタン39が押下される場合には、図7(c)に示すように、ポートレートモードを説明するヘルプ情報H1が背面LCD10に表示される。
【0075】状態ST25で、接眼検知部202で接眼が検知されると、ヘルプ表示が解除されて状態ST24に移行し、iボタン39が押下されると、状態ST26に移行する。また、接眼検知部202での接眼検知を含めてユーザからの操作が3分間行われない場合には、状態ST27に遷移し、モード切替えダイヤル14で電源オフが選択されると、状態ST28に遷移する。
【0076】状態ST26では、背面LCD10がオン、EVF20がオフとなっている。この場合、背面LCD10では、第2ヘルプモードの表示、すなわちデジタルカメラ1Aの使用説明書などのヘルプメニューH2(図7(d)参照)が表示される。ここで、接眼検知部202で接眼が検知されると、ヘルプ表示が解除されて状態ST24に移行し、iボタン39が押下されると、状態ST21に移行する。また、接眼検知部202での接眼検知を含めてユーザからの操作が3分間行われない場合には、状態ST27に遷移し、モード切替えダイヤル14で電源オフが選択されると、状態ST28に遷移する。
【0077】状態ST27では、背面LCD10およびEVF20がオフとなり、上述した省電力制御状態となっている。ここで、接眼検知部202での接眼検知を含めてユーザからの操作がさらに1分間行われない場合には、状態ST28に移行し、操作部202に対するユーザからの操作があると、状態ST23に移行する。すなわち、状態ST25および状態ST26でヘルプ表示が行われていても、非動作状態の状態ST27に移行した後に、何らかの操作があった場合には、元のヘルプモード(状態ST25、ST26)に戻るのではなく、ヘルプ表示が禁止される動作状態の状態ST23に移行することとなる。これにより、非動作状態に移行する前にヘルプ情報を取得したユーザにとって不必要となるヘルプ表示が動作状態への復帰直後に行われないため、操作性が向上する。
【0078】状態ST28では、背面LCD10およびEVF20がオフとなり、電源オフの状態、すなわちデジタルカメラ1C各部の給電を停止する状態となっている。ここで、電源オンの操作、具体的にはモード切替えダイヤル14で電源オフ以外のモードが選択されると、状態ST21に移行する。すなわち、状態ST25および状態ST26でヘルプ表示が行われていても、非動作状態の状態ST28に移行した後に、電源オンの操作があった場合には、元のヘルプモード(状態ST25、ST26)に戻るのではなく、ヘルプ表示が禁止される動作状態の状態ST21に移行することとなる。これにより、非動作状態に移行する前にヘルプ情報を取得したユーザにとって不必要となるヘルプ表示が動作状態への復帰直後に行われないため、操作性が向上する。
【0079】以上のデジタルカメラ1Cの動作により、ヘルプモードの状態から省電力制御状態や電源オフ状態に移行した後、デジタルカメラ1Cが動作状態となる際にはヘルプ表示を禁止するため、適切なタイミングでヘルプモードを解除でき、操作性が向上する。
【0080】<変形例>◎上記の各実施形態については、デジタルカメラを利用するのは必須でなく、CCDがデータ伝送可能に接続されるパーソナルコンピュータなどの撮像装置に適用しても良い。
【0081】◎上記の第1および第2実施形態におけるヘルプモード解除の条件については、シャッターボタンの操作や接眼検知に限らず、ズームリングの操作や、例えば圧力センサが設けられるグリップの把持などの条件でも良い。
【0082】◎上述した具体的実施形態には、以下の構成を有する発明が含まれている。
【0083】(1)表示手段は、液晶ディスプレイをさらに有し、表示制御手段は、ヘルプ情報を前記液晶ディスプレイに表示させる手段を有するとともに、撮像装置は、接眼検知手段により接眼を検知した場合には、前記液晶ディスプレイを不能化させる手段を備えることを特徴とする撮像装置。
【0084】これにより、視認が容易な液晶ディスプレイにヘルプ情報を表示できるとともに、接眼検知時にはヘルプ情報の表示が不要な液晶ディスプレイをオフにするため省電力が図れる。
【0085】(2)接眼検知手段により接眼を検知した場合には、表示制御手段を不能化させる手段を備えることを特徴とする撮像装置。
【0086】これにより、撮影の意志がある場合には不必要となるヘルプ情報を表示させないため、操作性が向上する。
【0087】(3)接眼検知手段により接眼を検知した場合には、表示制御手段を不能化させるとともに、撮影に係る情報を表示手段に表示させる手段を備えることを特徴とする撮像装置。
【0088】これにより、撮影の意志がある場合には不必要となるヘルプ情報を表示させないため、操作性が向上する。
【0089】(4)所定の条件は、シャッターボタンの操作であることを特徴とする撮像装置。
【0090】これにより、シャッターチャンスを逃すのを防止でき、操作性が向上する。
【0091】(5)ヘルプ情報の表示中に、シャッターボタンが操作された場合には、前記ヘルプ情報の表示を禁止するとともに、撮影モードに移行する手段を備えることを特徴とする撮像装置。
【0092】これにより、シャッターチャンスを逃すのを防止でき、操作性が向上する。
【0093】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1および請求項2の発明によれば、ヘルプ情報の表示中に撮影準備状態と判定された場合には、ヘルプ情報の表示を禁止するため、撮像装置の操作性を向上できる。
【0094】特に、請求項2の発明においては、所定の条件が電子ビューファインダに設けられた接眼検知手段による接眼検知であるため、シャッターチャンスを逃すのを適切に防止でき、より操作性が向上する。
【0095】また、請求項3ないし請求項5の発明によれば、ヘルプ情報の表示中に非動作状態に切替えられ、その後に動作状態に切替えられる際には、ヘルプ情報の表示を禁止するため、撮像装置の操作性を向上できる。
【0096】特に、請求項4の発明においては、非動作状態が撮像装置に係る省電力制御の状態を含むため、適切なタイミングでヘルプ表示を解除でき、より操作性が向上する。
【0097】また、請求項5の発明においては、非動作状態が撮像装置に係る電源オフの状態を含むため、適切なタイミングでヘルプ表示を解除でき、より操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るデジタルカメラ1Aの要部構成を示す正面図である。
【図2】デジタルカメラ1Aの要部構成を示す上面図である。
【図3】デジタルカメラ1Aの要部構成を示す背面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るデジタルカメラ1Aの機能ブロック図である。
【図5】接眼検知を説明するための図である。
【図6】デジタルカメラ1Aの基本的な動作を説明するための状態遷移図である。
【図7】デジタルカメラ1Aの動作を説明するための図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るデジタルカメラ1Bの基本的な動作を説明するための状態遷移図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係るデジタルカメラ1Cの基本的な動作を説明するための状態遷移図である。
【符号の説明】
1A、1B、1C デジタルカメラ
9 シャッターボタン
10 背面LCD
14 モード切替えダイヤル
20 電子ビューファインダ(EVF)
39 表示切替ボタン(iボタン)
201 アイセンサ
202 接眼検知部
211 全体制御部
H1 ヘルプ情報
H2 ヘルプメニュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 表示手段を有する撮像装置であって、(a)所定の条件を満たす場合に、前記撮像装置に係る撮影準備状態と判定する判定手段と、(b)ヘルプ情報を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、(c)前記ヘルプ情報の表示中に、前記判定手段により前記撮影準備状態と判定された場合には、前記ヘルプ情報の表示を禁止する禁止手段と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】 請求項1に記載の撮像装置において、前記表示手段は、接眼を検知する接眼検知手段を有する電子ビューファインダを備えるとともに、前記所定の条件は、前記接眼検知手段による接眼検知であることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】 表示手段を有する撮像装置であって、(a)前記撮像装置が実質的に動作している動作状態と、実質的に動作していない非動作状態とを切替える切替手段と、(b)ヘルプ情報を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、(c)前記ヘルプ情報の表示中に前記非動作状態に切替えられ、その後に前記動作状態に切替えられる際には、前記ヘルプ情報の表示を禁止する禁止手段と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】 請求項3に記載の撮像装置において、前記非動作状態は、前記撮像装置に係る省電力制御の状態を含むことを特徴とする撮像装置。
【請求項5】 請求項3または請求項4に記載の撮像装置において、前記非動作状態は、前記撮像装置に係る電源オフの状態を含むことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2003−319213(P2003−319213A)
【公開日】平成15年11月7日(2003.11.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−124026(P2002−124026)
【出願日】平成14年4月25日(2002.4.25)
【出願人】(000006079)ミノルタ株式会社 (155)
【Fターム(参考)】