説明

撮像装置

【課題】 カメラヘッドを保持するアームを回動自在とした上で、そのアーム回動動作をアシストしつつ、アーム回動箇所周辺の有効利用や小型化を図る。
【解決手段】 撮像装置100は、テーブル110に対してカメラヘッド120をカメラ保持アーム140で保持し、このカメラ保持アーム140をテーブル110に対する傾斜の程度が変わるよう回動軸支する。こうしたアーム軸支の軸に一致する第1サブ軸ピン220の軸回りの貫通孔203bとこれに続く凹所143kには、ねじりコイルばね260を組み込む。このねじりコイルばね260は、カメラ保持アーム140(基部143)がテーブル110に近づくよう回動する間にねじりばね応力を蓄積し、基部143がテーブル110との傾斜角が広がるよう回動する際に、ねじりばね応力を補助力としてアームに作用させ、回動動作をアシストする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルに載置された被撮像物をカメラヘッドにてテーブル上方から撮像する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の撮像装置では、精密機器であるカメラヘッドをアームでテーブルに対して保持している都合上、装置の非使用時には、できるだけ安定した姿勢にすることが望ましい。例えば、保持アームをテーブル側に傾けてカメラヘッドをテーブル側に近づけ装置の全高を低くする。こうしたアームによるカメラヘッド保持の様子は、例えば次の特許文献1に見られる。
【0003】
【特許文献1】特開平5−236203号公報
【0004】
この特許文献で示された撮像装置では、カメラヘッドを保持するアームをテーブル側から引き起こす場合、アームの基部に設けたスプリングによりアーム引き起こしのアシストをしているものの、撮像装置としての次のような改善の余地が残されていた。
【0005】
例えば、アームに保持したカメラヘッドで得られた信号のケーブルやカメラへの電源ケーブルを装置本体、その多くは装置のテーブルまで配線する必要がある。こうした配線スペースは、通常、アーム内部に確保され、アームとテーブルとの回動箇所周辺は、アームからテーブルに到るケーブルのケーブル長を短くするための配線箇所として適している。アームとテーブルとの回動箇所周辺をケーブルの配線箇所とすると、配線とスプリングとの干渉が起き得るが、こうした干渉に対しての配慮が十分とは言えないので、スプリングとの接触によるケーブル損傷が危惧される。このため、アーム回動箇所周辺は、配線箇所等に使わないいわゆるデッドスペースとなっていた。
【0006】
また、装着されたスプリングは、アーム引き起こし時の力を発するばかりか、アームの傾斜姿勢を維持するために用いられているので、大きなばね力を必要とされる。よって、スプリングが大きくなったりその本数が増えるため、スプリング装着のために広いスペースが必要となり、アーム係合箇所、延いては装置の大型化を招いていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、カメラヘッドを保持するアームを回動自在と構成する上での上記問題点を解決するためになされ、アーム回動動作をアシストしつつ、アーム回動箇所周辺の有効利用や小型化を図ることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の撮像装置では、被撮像物をテーブル上方側から撮像するようにカメラヘッドを保持するカメラ保持アームを、アーム軸支機構により、テーブルに対する傾斜の程度が変わるよう、テーブルに対して回動自在に軸支する。このようにカメラ保持アームを軸支する一方、本発明の撮像装置は、アシスト部材と摩擦力調整機構を備え、アシスト部材により、その蓄積した補助力を、テーブルに対する傾斜が広がるようにカメラ保持アームが回動する際に当該アームに作用させて、この回動動作をアシストする。そして、摩擦力調整機構による摩擦力調整により、カメラ保持アームをテーブルに対して傾斜した位置に保持すると共に、アシスト部材が蓄積する補助力によってカメラ保持アームが不用意に回動してしまうような事態を招かないようにしている。つまり、テーブルに対してカメラ保持アームが傾斜した姿勢の保持は、摩擦力調整機構によってなされるので、アシスト部材を傾斜姿勢保持やアームの引き起こしに関与させる必要はなくなる。このため、上記した補助力については、その大きさを、テーブルに対する傾斜が広がる際のカメラ保持アームの回動動作のアシストに足りるものとすればよいので、アシスト部材の小型化、延いてはカメラ保持アームの回動軸支部、装置自体の小型化も可能となる。
【0009】
しかも、アシスト部材は、中空とされたカメラ保持アームの内部に区画形成された収納箇所に収納されていることから、この収納箇所以外のアーム内部の中空部分を、収納箇所周辺まで、配線ケーブルや電源ケーブルの配線箇所として有効利用できる。その上、こうしたケーブルが収納箇所周辺に配線されたとしても、ケーブルは収納箇所区画壁によりアシスト部材と干渉することはないので、ケーブル損傷といった事態も回避できる。
【0010】
以上説明した本発明の撮像装置では、種々の態様を採ることができる。例えば、前記アーム軸支機構を、前記テーブルが前記カメラ保持アーム保持のために有するフレームに対して、前記カメラ保持アームを前記回動軸回りに回動自在に軸支するものとし、前記カメラ保持アームについては、前記収納箇所を前記フレームの側からの前記アシスト部材の装着が可能となるよう区画形成するものとする。そして、前記摩擦力調整機構を、前記フレームの側において摩擦力調整可能に構成し、前記アシスト部材を、ねじりコイルばねから構成して、前記収納箇所に収納された状態で、ばね巻線部の一端側のばね末端と他端側のばね末端を前記カメラ保持アームと前記フレームに係合させるようにする。こうすれば、ねじりコイルばねという簡単な構造のアシスト部材で、テーブルに対する傾斜が広がる際のカメラ保持アームの回動動作を、ねじりコイルばねが蓄積するねじりばね応力にてアシストできる。加えて、摩擦力調整の作業とねじりコイルばねの収納箇所への収納作業とを同じフレームの側からできるので、作業方向が同じとなり簡便である。
【0011】
また、前記アーム軸支機構を、前記カメラ保持アームにおける前記フレーム側のアーム側面から突出したアーム側軸と、前記アーム側軸が嵌合するよう前記フレームに形成され、前記カメラ保持アームを前記アーム側軸を介して前記回動軸回りに回動自在に軸支するフレーム軸孔とを備えるものとし、前記カメラ保持アームについては、前記収納箇所を前記アーム側軸の内側において前記カメラ保持アームの内部に陥没した凹所として区画形成するものとした上で、該凹所の開口を前記フレームの前記フレーム軸孔の内側に位置させるようにする。こうすれば、フレームにカメラ保持アームを回動自在に保持した状態でも、ねじりコイルばねの収納箇所である凹所に、その開口からねじりコイルばねを収納できるので、作業がより簡便となる。
【0012】
更に、前記収納箇所における前記ねじりコイルばねのばね軸方向の動きを規制する規制部材を有するようにすれば、収納したねじりコイルばねがばね軸方向に不用意に動かないようにできる。よって、ねじりコイルばねの両端のばね末端をカメラ保持アーム側とテーブル側に確実に係合させておくことができることから、ねじりコイルばねはねじりばね応力を確実に蓄積できるので、アシストの信頼性を高めることができる。
【0013】
こうしたアーム回動軸支は、カメラヘッドの保持用のアームを、テーブルと係合されるテーブル側アームとカメラヘッドを保持するカメラ側アームとを回動自在に軸支したものにも適用できる。
【0014】
即ち、テーブルに載置された被撮像物をテーブル上方側からカメラヘッドにて撮像する撮像装置であって、
前記テーブルと係合されるテーブル側アームと、
前記カメラヘッドを保持するカメラ側アームと、
該カメラ側アームを前記テーブル側アームに対して回動軸回りに回動自在に軸支すると共に、前記カメラヘッドが前記被撮像物の撮像のための姿勢を取るように前記カメラ側アームが前記テーブル側アームに対して回動した第1アーム姿勢と、前記カメラ側アームが前記テーブル側アームと重なるように前記テーブル側アームに対して回動した第2アーム姿勢とを前記カメラ側アームが取り得るようにするアーム軸支機構と、
前記カメラ側アームと前記テーブル側アームとの間に介在し、前記カメラ側アームが前記第1姿勢から前記第2姿勢となるよう回動すると、前記カメラ側アームが前記第1姿勢となるよう回動する側に作用する補助力を蓄積し、前記カメラ側アームが前記第2姿勢から前記第1姿勢となるように回動操作されると、前記蓄積した補助力を前記回動軸回りに前記カメラ側アームに作用させて、前記カメラ側アームのアーム回動動作をアシストするアシスト部材と、
前記回動軸回りの前記カメラ側アームの回動時に摩擦力を生じさせ、該摩擦力を、前記アシスト部材が蓄積する補助力に勝るよう調整する摩擦力調整機構とを備え、
前記アシスト部材は、
中空とされた前記カメラ側アームの内部において前記回動軸の軸心回りに区画形成された収納箇所に収納されて、前記カメラ側アームと前記テーブル側アームとの間に介在する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、その実施例を図面に基づき説明する。図1は実施例の撮像装置100の斜視図、図2はこの撮像装置100の右側面図、図3は撮像装置100の背面斜視図である。
【0016】
図示するように、撮像装置100は、被撮像物が載置されるテーブル110と、このテーブル110上の図示しない被撮像物を撮像するカメラヘッド120と、テーブル110上の被撮像物を照明する照明ユニット130とを備える。テーブル110は、前方側が丸みを帯びた方形の平板状をなし、前方側上面に、スイッチ群112を備え、右後方側壁には、メモリカード装着機構113とUSB( Universal Serial Bus )端子114と有する。このスイッチ群112は、ズーム、オートフォーカス、アイリス、ホワイトバランス等の設定のためのスイッチの他、本装置の機能設定・メモリ書き込み等ためのスイッチを含むが、本発明の要旨と直接関係しないので、その説明は省略する。
【0017】
また、テーブル110は、図3に示すように、テーブル周囲側壁のうち、その後端側に、テーブル上面を切り欠く凹所115を備え、当該凹所の奥側に後述の外部装置と接続するためのコネクタ端子群(図示省略)を配設して備える。テーブル110は、後端側にカバー117を開閉自在に備え、当該カバーにて凹所115におけるテーブル上面の切欠部分を覆う。カバー117は、フラップ状に開閉され、図3に示す閉鎖状態では、テーブル110のテーブル上面と実質的に面一となり、カバー部分の表面を、テーブル上面に連続した面とする。
【0018】
カメラヘッド120は、テーブル110に対してカメラ保持アーム140で保持される。このカメラ保持アーム140は、テーブル側アーム142とカメラ側アーム144を備え、テーブル側アーム142の基部143でテーブル110に回動自在に保持される。カメラ側アーム144は、カメラヘッド120と連結固定され、テーブル側アーム142との連結部でそれぞれ回動自在とされている。よって、カメラヘッド120は、カメラ側アーム144と一体となってテーブル側アーム142の先端で回動可能である。
【0019】
照明ユニット130は、テーブル110に対して照明ユニット保持アーム150で保持される。この照明ユニット保持アーム150は、その基部152でテーブル110に回動自在に保持され、その先端側では、照明ユニット130を回動自在に保持する。
【0020】
カメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150は、テーブル110の左奥コーナーの隆起部118において回動自在に同軸に軸支され、テーブル110に対する傾斜の程度が変わるよう、テーブル110に対して同軸に回動する。撮像装置100は、このように回動自在に軸支されたアームを有することから、アームの回動に伴い、種々の形態を取り得る。ここで、両アームの回動軸支の構成の説明に先立ち、撮像装置100が取り得る種々の形態について説明する。図4はカメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150の両アームを共にテーブル側まで回動させた装置収納・運搬・保管時の撮像装置100を示す斜視図、図5は装置前方側を撮像する際の撮像装置100を示す斜視図、図6は装置後方側を撮像する際の撮像装置100を示す斜視図である。
【0021】
上記した両アームの軸支の様子や照明ユニット130の軸支の様子から、図2に示すように、カメラ保持アーム140は、図中の矢印Xkaに示すように、テーブル110に対して傾斜程度が変わるよう回動し、この図2や図1、図3に示す状態から、カメラヘッド120をテーブル110の上面に近づける状態まで回動可能である。カメラヘッド120は、テーブル110に載置された被撮像物の撮像時において、図1ないし図3に示す姿勢(撮像姿勢)を取り、上記の被撮像物をテーブル上方側から撮像する。なお、カメラヘッド120がこの撮像姿勢を取るとき、後述の軸支構成のストッパによりカメラ保持アーム140の回動は規制され、カメラ保持アーム140はテーブル110に対して最も大きな傾斜(最大傾斜)となる。
【0022】
照明ユニット保持アーム150は、図中の矢印Xsaに示すように、テーブル110に対して傾斜程度が変わるよう回動し、この図2に示す状態から、照明ユニット130をテーブル110の上面に近づける状態まで回動可能である。また、照明ユニット保持アーム150は、照明ユニット130が図2に示す位置より後方の位置となるまで回動可能である。照明ユニット130は、照明ユニット保持アーム150との連結部において図中の矢印Xshに示すように回動する。この場合、テーブル110に載置された被撮像物の撮像時には、照明ユニット保持アーム150はカメラ保持アーム140より後方側に位置し、照明ユニット130は、通常、カメラヘッド120より後方の図に示す姿勢(照明姿勢)を取り、テーブル110に載置された被撮像物をテーブル上方側から斜めに照明する。
【0023】
こうしたテーブル上面の被撮像物撮像の他、撮像装置100は、図4に示す収納形態を取る。この形態では、照明ユニット保持アーム150がテーブル110に対する傾斜程度が最小となるよう回動し、照明ユニット130は、テーブル110の上面に近づきその筐体外壁をテーブル110に重ねたテーブル側照明ユニット姿勢となる。カメラ保持アーム140については、テーブル側アーム142がテーブル110に対する傾斜程度が最小となるよう回動し、カメラ側アーム144がテーブル側アーム142との連結部でほぼ180°回動して横方向から見るとテーブル側アーム142と重なるようになる。こうしたアーム回動により、カメラヘッド120は、その前面に有するクローズアップレンズ122を斜め上方に向かわせてテーブル110の上面に近づくテーブル側カメラヘッド姿勢を取り得る。
【0024】
つまり、カメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150の上記した回動動作により、カメラヘッド120は、既述した図1ないし図3の撮像姿勢から図4に示すテーブル側カメラヘッド姿勢にその姿勢を変えて保持される。照明ユニット130についても同様であり、この照明ユニット130は、既述した図1ないし図3の照明姿勢から図4に示すテーブル側照明ユニット姿勢にその姿勢を変えて保持される。
【0025】
また、撮像装置100は、図5に示す前方撮像形態を取る。この形態では、カメラ保持アーム140は、そのテーブル側アーム142を上記した最大傾斜としたまま、カメラ側アーム144を装置後方側に回動させる。これにより、カメラヘッド120は、装置前方に向き、装置前方の被撮像物を撮像する。更に、撮像装置100は、図6に示す後方撮像形態を取る。この形態にあっても、カメラ保持アーム140は、テーブル側アーム142を最大傾斜としたまま、カメラ側アーム144を装置前方側に回動させる。これにより、カメラヘッド120は、装置後方に向き、装置後方の被撮像物を撮像する。
【0026】
こうした前方撮像時或いは後方撮像時にあって、カメラヘッド120では、クローズアップレンズ122を非装着とすることもできる。こうしたカメラヘッド120による装置前方・後方の撮像の際、カメラ側アーム144とテーブル側アーム142との回動連結部に組み込まれた図示しない節度機構により、カメラ側アーム144のテーブル側アーム142に対する回動位置は定まるようにされている。
【0027】
照明ユニット130は、上記したカメラヘッド120による装置前方・後方の撮像の際、図示するようにテーブル110に重なった姿勢を取ることができるが、その姿勢は、装置前方・後方の撮像に支障のない位置に任意に調整可能である。なお、照明ユニット130は、その照明光の照射箇所を図6に示すように傾斜させ、その傾斜箇所に照明光が透過する窓132を備える。よって、図6に示しように後方撮像時には、照明ユニット130をその被撮像物の照明光源、補助光源として利用することもできる。
【0028】
ここで、カメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150の両アームの軸支構成について説明する。図7は隆起部118におけるアーム軸支機構200を説明するためカバー部分を取り去った状態を示す説明図、図8はこのアーム軸支機構200の要部を説明するためのサブアッシー図、図9はアーム軸支の軸を含んで図7を鉛直に切断してアーム軸支機構200を示す断面図、図10はこのアーム軸支機構200を装置後方から見て分解した状態を示す分解斜視図、図11はアーム軸支機構200を装置側方から見て分解した状態を示す分解斜視図である。なお、図7では照明ユニット保持アーム150のカバーを、図10ではプレート202Lの外側に位置する部材についてその図示を省略した。
【0029】
これら図面に示すように、アーム軸支機構200は、テーブル110の図示しない骨格フレームに固定される左右のプレート202L、202Rを対向させ、この両プレート間にカメラ保持アーム140(詳しくは基部143)と、照明ユニット保持アーム150(詳しくは基部152)とを回動自在に軸支して保持する。カメラ保持アーム140の基部143は、アルミダイキャスト製の第1パーツ143aと第2パーツ143bとを位置決めした上で接合して構成され、その内部は中空とされている。また、図9に示すように、照明ユニット保持アーム150の基部152は、その第1パーツ152a、第2パーツ152bを左右のカバー152e、152fで覆って構成されている。なお、図10や図11では、装置後方或いは側方からの描画である都合上、図7、図9とパーツの並びが逆となる。以下に説明する他の部品についても同様である。
【0030】
カメラ保持アーム140のテーブル側アーム142における第1パーツ143aは、第2パーツ143bの側に陥没した有底の凹所143kを備え、当該凹所底部中央に貫通孔143mを備える。また、第1パーツ143aは、第1軸支軸メイン部材203を備える。この第1軸支軸メイン部材203は、その中央に第1メイン軸204を備え、その先端をナット205のネジ軸206とする。そして、この第1軸支軸メイン部材203は、第1メイン軸204をプレート202Lに形成された軸支穴207に嵌合させた上で、皿バネ209、平座金210を介在させ、ナット205にてプレート202Lに固定される。これにより、基部143は、第1パーツ143aの側において、第1軸支軸メイン部材203の第1メイン軸204にて軸支される。こうした構成において、ナット205による皿バネ209の撓み代調整により、第1メイン軸204が軸支穴207において回動する際の摩擦力、即ちカメラ保持アーム140回動時の摩擦力を調整する。この場合、第1軸支軸メイン部材203は、第1メイン軸204が凹所143kの貫通孔143mと同心となるよう位置決めされた上で、第1パーツ143aに図示しないボルトにて固定される。
【0031】
第2パーツ143bは、第1パーツ143aの凹所143kの反対側に柱状突起143dを備え、当該突起には、第2軸支軸部材212が位置決め装着される。この第2軸支軸部材212の固定の様子については後述する。第2軸支軸部材212は、その中央に第2軸支軸214を備え、その先端を基部152締め付けのためのスペース確保用のシャフト部216とする。第2軸支軸部材212は、そのフランジ部に位置決め用の孔217を備え、第2パーツ143bにおける突起143eをこの孔217に嵌め込むことで、第2パーツ143b、延いては基部143(カメラ保持アーム140)と位置決めされて一体となる。
【0032】
基部143への第2軸支軸部材212と第1軸支軸メイン部材203の装着に際しては、第2軸支軸部材212の第2軸支軸214と、第1軸支軸メイン部材203の第1メイン軸204とが同軸となるように調整される。これにより、第2軸支軸部材212は、その第2軸支軸214を第1メイン軸204と同心の軸とすると共に、基部143(カメラ保持アーム140)と一体となって回動(回転)することになる。
【0033】
この場合、柱状突起143dは、その中央に位置するピン嵌合孔143fに第1サブ軸ピン220を嵌合固定して備え、この第1サブ軸ピン220を第1メイン軸204と同軸とする。この第1サブ軸ピン220は、左右のプレート202L、202Rの間に亘る軸となり、プレート202Rの側では、その軸支穴222に嵌合してEリング223にて抜止されている。プレート202Lの側では、このプレートに固定されたブラケット250の軸支孔251に嵌合してEリング223にて抜止されている。この場合、プレート202Rの軸支穴222とプレート202Lの軸支穴207とは同軸とされている。よって、基部143(カメラ保持アーム140)は、軸支穴207に嵌合する第1メイン軸204と第1サブ軸ピン220とにより基部両側で軸支され、この軸回りに回動する。その上で、こうした回動の際の摩擦力は、ナット205の締め代調整を介した皿バネ209の撓み具合で調整される。なお、第1サブ軸ピン220は、第1パーツ143aの貫通孔143mと第2パーツ143bの貫通孔143jに嵌合するので、第1パーツ143aと第2パーツ143bとが接合した基部143では、第1パーツ143aの貫通孔143jと第2パーツ143bの貫通孔143mとは同軸となる。
【0034】
照明ユニット保持アーム150の基部152は、鋼板をプレス成型した第1パーツ152aと第2パーツ152bとを位置決めした上で接合し、その両側をカバー152e、152fで覆って構成される。これら両パーツは、下端側の円盤部152c、152dにそれぞれ貫通孔230、232を備え、両円盤部の間に樹脂製のスペーサ234を挟持する。照明ユニット保持アーム150の基部152は、このスペーサ234を挟持した状態で、カメラ保持アーム140の基部143の第2軸支軸部材212に組み付け装着される。
【0035】
つまり、第1パーツ152aを、第2軸支軸部材212の第2軸支軸214が貫通孔230に嵌合するよう組み付け、その円盤部152cに重ねてスペーサ234を配置し、その貫通孔235に第2軸支軸214を嵌合させる。その上で、第2パーツ152bを、その円盤部152dがスペーサ234に重なり、貫通孔232に第2軸支軸部材212のシャフト部216が嵌合するよう組み付ける。これにより、照明ユニット保持アーム150、詳しくは、第1パーツ152aと第2パーツ152bは、両パーツの円盤部が後述する締め付けにより変形しないようにして、第2軸支軸部材212の第2軸支軸214およびシャフト部216により基部両側で軸支され、その軸回りに回動する。この第2軸支軸214とシャフト部216は、カメラ保持アーム140の回動軸である第1メイン軸204と第1サブ軸ピン220と同心であることから、カメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150とは、テーブル110に対する傾斜の程度が変わるよう、テーブル110に対して同軸に回動自在に軸支されることになる。
【0036】
アーム軸支機構200は、上記のようにして回動自在に軸支した照明ユニット保持アーム150(基部152)の回動時の摩擦力調整のため、第2パーツ152bの円盤部152dに皿バネ240を重ね、当該皿バネを平座金242で固定する。つまり、皿バネ240の貫通孔241に第2軸支軸部材212のシャフト部216を入り込ませ、平座金242を図示する3個のネジにて第2パーツ143bの柱状突起143dの側に締め付ける。このネジによる皿バネ240の撓み代調整により、第1パーツ152aと第2パーツ152bを組み付けた基部152(照明ユニット保持アーム150)がカメラ保持アーム140の基部143と一体となった第2軸支軸部材212の第2軸支軸214およびこれと同軸のシャフト部216の軸回りに回動する際の摩擦力、即ち照明ユニット保持アーム150回動時の摩擦力は調整される。なお、平座金242は、等ピッチのネジ装着用の3個の穴と孔243を備え、この孔243に柱状突起143d先端面の突起143gを嵌め込み、中央の貫通孔244に第1サブ軸ピン220の小径部を嵌め込むことで、柱状突起143dに対して位置決めされる。
【0037】
次に、カメラ保持アーム140の回動動作をアシストする構成について説明する。カメラ保持アーム140は、その基部143において、第1パーツ143aの円形の凹所143kと、第1軸支軸メイン部材203の貫通孔203bとを連続させ、この凹所143kと貫通孔203bで形成される中空領域を、ねじりコイルばね260の収納箇所とする。この収納箇所は、カメラ保持アーム140を回動軸支する第1メイン軸204や第1サブ軸ピン220の軸心回りの領域となる。
【0038】
ねじりコイルばね260は、ばね巻線部両端のばね末端260aの一方を基部143における第1パーツ143aに形成された貫通孔143nに差し込み、他方のばね末端260aをブラケット250の貫通孔252に差し込ませている。ブラケット250は、図1に示す隆起部118のカバーで覆われており、その上端にねじりコイルばね260の側に折れ曲がった突出片253で、収納されたねじりコイルばね260を押さえている。これにより、ねじりコイルばね260は、そのばね軸方向に不用意に動かないようにさせている。
【0039】
このように収納されたねじりコイルばね260では、テーブル110の一部品であるプレート202Lに固定されたブラケット250の側のばね末端260aは、その位置を変えない。しかしながら、カメラ保持アーム140の一部品である第1パーツ143aの側のばね末端260aは、カメラ保持アーム140の回動動作に伴って第1パーツ143aの貫通孔143nが第1サブ軸ピン220Bの軸回りに回転することから、その位置を変える。こうしたばね末端260aの位置変更は、ねじりコイルばね260に対しては、ねじりばね応力を発生させる。このねじりコイルばね260のねじりばね応力については後述する。
【0040】
本実施例では、皿バネ240の撓み代調整による照明ユニット保持アーム150の回動時の摩擦力が、皿バネ209の撓み代調整によるカメラ保持アーム140の回動時の摩擦力が小さくなるようにされている。また、皿バネ209の撓み代調整による摩擦力は、この摩擦力が上記したねじりコイルばね260のねじりばね応力に勝るよう、調整されている。こうした調整を経た撮像装置100での両アームの回動動作は次のようになる。
【0041】
カメラ保持アーム140を、その両側の第1メイン軸204と第1サブ軸ピン220の軸回りに回動させる場合、カメラ保持アーム140と一体の第2軸支軸部材212は、カメラ保持アーム140と一緒に回動する。この第2軸支軸部材212には、照明ユニット保持アーム150が皿バネ240の撓みに基づく摩擦力を受けて保持されている。カメラ保持アーム140を回動させる場合、照明ユニット保持アーム150に働く上記の摩擦力を生じる皿バネ240は、照明ユニット保持アーム150を第2軸支軸部材212(カメラ保持アーム140)と一体としておく押し付け力を作用させるので、照明ユニット保持アーム150は、このカメラ保持アーム140と一緒に常に回動する。
【0042】
ところが、照明ユニット保持アーム150を回動する場合は、次のようになる。照明ユニット保持アーム150は、上記した皿バネ240の撓みに基づく摩擦力に抗して回動する。こうしたアームの回動を起こす力は、照明ユニット保持アーム150と第2軸支軸部材212を介在させて係合するカメラ保持アーム140にも、アームの回動を起こす力として作用する。しかしながら、カメラ保持アーム140は、皿バネ209の撓みに基づく力を受けて第1軸支軸メイン部材203に押し付けられており、皿バネ209の撓みに基づく摩擦力は、皿バネ240の撓みに基づく摩擦力(即ち、照明ユニット保持アーム150の回動を起こす力)に勝るようにされているので、カメラ保持アーム140は、テーブル110に対する傾斜位置を変えることなく、その位置に留まる。よって、照明ユニット保持アーム150を回動させる場合は、照明ユニット保持アーム150だけが単独で回動することになる。
【0043】
上記した両アームを回動自在に軸支するアーム軸支機構200は、この他、カメラ保持アーム140の回動終端姿勢、即ち、カメラヘッド120が上記した撮像姿勢とテーブル側カメラヘッド姿勢を取る場合のアーム終端位置を規定するため、次の構成を有する。図7ないし図11に示すように、アーム軸支機構200は、左右のプレート202L、202Rの間に、シャフト246、248を架設して備える。この両シャフトは、両プレートとの間隔を規定するほか、プレートの補強材としても機能する。
【0044】
カメラ保持アーム140は、第1パーツ143aの端部に外周から突出した突起143hを備え、この突起143hは、両プレート間に架設されたシャフト246、248の間に位置する。よって、この突起143hが図7における手前側のシャフト246に当接すると、カメラ保持アーム140は、カメラヘッド120が上記した撮像姿勢となるよう、テーブル110に対して最大傾斜角度をなし、その位置に留まる。一方、突起143hが図7における奥側のシャフト248に当接すると、カメラ保持アーム140は、カメラヘッド120が上記したテーブル側カメラヘッド姿勢となるよう、テーブル110に対して最小の傾斜角度をなし、その位置に留まる。
【0045】
次に、上記した構成を備える撮像装置100を用いる際のアームの回動動作について説明する。図12は図4に示す撮像装置100の収納・運搬・保管時の状態から被撮像物の撮像に推移するまでのアームの回動動作を説明する説明図、図13は図12に示す状態からアーム回動動作を進めた状態を示す説明図である。
【0046】
撮像装置100は、精密機器であるカメラヘッド120を被撮像物の撮像の際にはテーブル110の上方に保持する(図1参照)。この状態では、不用意にカメラヘッド120に何らかの機器が衝突等することも有りえることから、撮像装置100は、装置の収納時やその運搬時、或いは保管時等にあって、図4に示すようにカメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150の両アームを共にテーブル側まで回動した状態とされる。こうすることで、精密機器でもあり重量物でもあるカメラヘッド120が低い位置を取るので、安定性が高まると共に、機器衝突等も抑制できる。
【0047】
そして、こうした収納時の状態にある撮像装置100を使用する場合は、装置使用者は、カメラ保持アーム140、詳しくはテーブル側アーム142に手を掛けて当該アームをテーブル110の側から引き上げるよう、回動させる。そうすると、撮像装置100は、回動操作のなされたカメラ保持アーム140を回動させるほか、上記したアーム軸支機構200により、図12に示すように、このカメラ保持アーム140と一緒に照明ユニット保持アーム150をも回動させる。つまり、照明ユニット保持アーム150は、なんらの回動操作を受けなくても、図4に示す姿勢から図12に示すようテーブル110に対して傾斜するよう、回動する。この場合、カメラ保持アーム140、延いては照明ユニット保持アーム150の停止位置は、既述したようにカメラ保持アーム140が有する突起143hとシャフト248との当接(図7、図10参照)で定まることから、再現性よく両アームはその停止位置まで回動する。
【0048】
図12に示す状態から図1に示す撮像に備えた姿勢とするには、装置使用者は、カメラ保持アーム140におけるカメラ側アーム144に手を掛けて当該アームをほぼ180°回動させ、図13に示すように、テーブル側アーム142に対して連続させる。そうすると、撮像装置100は、カメラヘッド120をテーブル110上の被撮像物の撮像姿勢とする。その一方、照明ユニット130をテーブル110上の被撮像物の照明に適した照明姿勢とするため、装置使用者は、照明ユニット保持アーム150に手を掛けて当該アームを所望する位置(例えば、照明ユニット130が図1に示す照明位置となる位置)まで回動させる。この際、照明ユニット保持アーム150は、上記したアーム軸支機構200による軸支により、テーブル110に対する傾斜の程度が変わるよう単独で回動する。つまり、カメラ保持アーム140をカメラヘッド120が撮像姿勢を取るよう停止させたまま、照明ユニット保持アーム150を単独で任意の角度まで回動させることができる。こうすれば、被撮像物の形態(立体・シート等)や性状(表面光沢の有無)に合わせて、或いは、カメラヘッドへの照明の映り込み回避等のために、照明ユニット130だけを、照明ユニット保持アーム150単独の回動により種々に位置に調整できる。
【0049】
また、図1に示す撮像状態から図4に示す収納等の状態とするには、上記した動作と逆にアーム回動を行えばよい。つまり、使用状態にある撮像装置100において(図1参照)、装置使用者は、カメラ保持アーム140、詳しくはテーブル側アーム142に手を掛けて当該アームをテーブル110の側に近づくよう(傾斜程度が最小となるよう)回動させる。そうすると、撮像装置100は、回動操作のなされたカメラ保持アーム140を回動させるほか、上記したアーム軸支機構200により、カメラ保持アーム140と一緒に照明ユニット保持アーム150をテーブル側に回動させる。つまり、照明ユニット保持アーム150は、なんらの回動操作を受けなくても、図1に示す姿勢から図4に示すようテーブル110に対して傾斜角度が小さくなるよう回動する。この場合、仮に、照明ユニット保持アーム150が図1に示す位置よりも後方側に傾斜していれば、カメラ保持アーム140が最小傾斜角度となるまで回動すると、照明ユニット保持アーム150は、カメラ保持アーム140と一緒に回動するものの、テーブル110に対して若干傾斜していることになる。よって、照明ユニット保持アーム150を単独で最小傾斜角度となるように回動させる。
【0050】
カメラ保持アーム140が最小角度まで回動した後には、カメラ側アーム144をテーブル側アーム142の側にほぼ180°回動させれば、撮像装置100は、図4に示す収納等に備えた姿勢となる。なお、こうしたアームの収納等のための回動動作も、カメラ保持アーム140の停止位置は、既述した突起143hとシャフト246との当接(図7、図10参照)で、再現される。
【0051】
ねじりコイルばね260のねじりばね応力とカメラ保持アーム140の回動動作との関係は次の通りである。
【0052】
コイルばね260両端のばね末端260aは、図8に示すばねの無負荷状態において直線状に位置する。隆起部118へのカメラ保持アーム140や照明ユニット保持アーム150の組み付けおよびアーム軸支機構200の組み付けに際しては、カメラ保持アーム140がテーブル110に対してほぼ垂直とする。これにより、第1パーツ143aの貫通孔143nと、プレート202Lに固定したブラケット250の貫通孔252とは直線状に並ぶので、この状態で、凹所143kと貫通孔203b内のコイルばね260は、その両端のばね末端260aを貫通孔143nと貫通孔252に入り込ませる。その後、左右のプレート202L、202Rの間へのシャフト246、248の込み込みと、カメラ保持アーム140を垂直状から図1ないし図3に示す撮像姿勢となるよう傾け、皿バネ209の撓み具合を調整しつつナット205で固定(アーム保持)する。この垂直状態から撮像姿勢へのアーム傾動の際、第1パーツ143aの貫通孔143nはばね軸回りに僅かに位置を変えるので、ねじりコイルばね260は、ばね末端260aを介して若干のねじり荷重を受け、この荷重に応じたねじりばね応力を発生させる。
【0053】
カメラ保持アーム140がこの撮像姿勢からテーブル110の側に向けて傾斜するよう回動されると、第1パーツ143aの貫通孔143nはばね軸回りに更にその位置を変えるので、ねじりコイルばね260は、ばね末端260aを介してより大きなねじり荷重を受け、この荷重に応じたねじりばね応力を発生させる。このねじりばね応力は、カメラ保持アーム140を軸支する軸心回りの力となり、カメラ保持アーム140をテーブル110に対する傾斜が広がるように回動させる力として作用する。ところが、ねじりばね応力の作用点はばね中心からばね末端260aまでの短い距離であることから、カメラ保持アーム140は、このねじりばね応力単独で、テーブル110の側から離れるよう回動することはない。また、皿バネ209の撓み調整による摩擦力調整を受けていることからも、カメラ保持アーム140は、このねじりばね応力単独で回動することはない。このため、ねじりコイルばね260は、発生させたねじりばね応力をねじり変位を起こしたまま蓄積させる。
【0054】
図12に示すように、カメラ保持アーム140をテーブル110に対する傾斜が広がるように回動操作されると、貫通孔143nはねじり変位を解消させる側に位置変位する。よって、ねじりコイルばね260は、蓄積したねじりばね応力を、カメラ保持アーム140をテーブル110に対する傾斜が広がるように回動させる力として、カメラ保持アーム140に作用させる。この際のモーメントは、カメラ保持アーム140をテーブル110に対する傾斜が広がるように回動操作する操作力のモーメントと一致することから、ねじりコイルばね260が蓄積したねじりばね応力は上記した操作力の補助力として働き、カメラ保持アーム140のアーム回動動作をアシストできる。このため、重量物であるカメラヘッド120を保持するカメラ保持アーム140をテーブル110の側から傾斜が広がるよう引き起こす際の使い勝手が高まる。
【0055】
そして、ねじりコイルばね260は、カメラ保持アーム140の上記した回動動作時の補助力発生に足りるばね力を生じればよく、ねじりコイルばね260には、カメラ保持アーム140の傾斜保持可能なばね力やカメラ保持アーム140を回動させることができるばね力が必要とはされない。このため、ねじりコイルばね260自体の小型化が可能となり、当該ばねを収納するカメラ保持アーム140の基部143、延いてはアーム回動軸支部である隆起部118や撮像装置100自体の小型化も可能となる。
【0056】
しかも、こうしたアシストを行うためのねじりコイルばね260をカメラ保持アーム140の第1パーツ143aにおける凹所143kと貫通孔203bに収納すればよいことから、ねじりコイルばね260をカメラ保持アーム140から大きく飛び出さないようにできる。よって、テーブル110におけるアーム係合箇所であるテーブルコーナーの隆起部118、延いてはテーブル110や撮像装置100自体をコンパクト化でき好ましい。加えて、ねじりコイルばね260の組み込み、皿バネ209の撓み調整を経た摩擦力調整を、プレート202Lの側から行うことができるので、同一方向からの作業が可能となり、作業性が高まる。
【0057】
また、上記のアーム軸支機構200では、ブラケット250の突出片253によりねじりコイルばね260のばね軸方向の不用意な動きを起こさないので、ねじりコイルばね260の両端のばね末端260aをブラケット250の貫通孔252と第1パーツ143aの貫通孔143nに確実に係合させておくことができる。よって、上記したねじりばね応力を確実に蓄積できることから、アシストの信頼性を高めることができる。更には、ねじりコイルばね260を、装置外側から第1パーツ143aの凹所143kに装着し、ブラケット250にて固定すればいいことから、組付けが容易であると共に、ばね破損等の際のメンテナンスも簡便となる。
【0058】
また、上記のアーム軸支機構200では、カメラ保持アーム140の基部143における第1パーツ143aの有底の凹所143kに第1軸支軸メイン部材203の貫通孔203bを繋げ、ねじりコイルばね260をその巻線部に亘って、凹所壁面と貫通孔壁面で覆うことにした。よって、凹所143kに収納したねじりコイルばね260を、第1パーツ143aと第2パーツ143bとを接合した中空の基部143において、凹所壁面で区画する。このため、基部143の中空部を、アーム先端のカメラヘッド120に配線する信号や電源のケーブル配設箇所とした場合、これらケーブルをねじりコイルばね260に干渉させないようにできる。よって、ばねとの干渉によるケーブル損傷を回避でき、好ましい。
【0059】
また、本実施例の撮像装置100によれば、カメラ保持アーム140の回動動作の際の照明ユニット保持アーム150の既述した連動を常に起こすことで、撮像装置100の使用時から収納時等、或いはその逆の収納時等から使用時までのアーム回動動作を簡略化できる。しかも、照明ユニット保持アーム150については、被撮像物の照明に適した位置に130が位置するよう、単独で任意にアーム角度(テーブル110に対する傾斜程度)を調整できる。この結果、装置の使い勝手が高まる。
【0060】
しかも、本実施例では、カメラヘッド120が撮像姿勢(図1参照)を取る際のアーム角度と、テーブル側カメラユニット姿勢(図4参照)を取る際のアーム角度とを、カメラ保持アーム140が有する突起143hと左右のプレート間のシャフト246、248との当接で規定する。よって、カメラ保持アーム140を回動操作させる際のアーム操作性も高まる。
【0061】
また、本実施例では、カメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150とをアーム軸支機構200により同軸で回動自在に保持したので、省スペース化、装置の小型化の点からも好ましい。加えて、アーム軸支機構200は、穴とこれに嵌り込む軸との関係でアーム保持を図るので、構成も簡略化できる。
【0062】
本実施例では、アーム軸支機構200とこれに保持するカメラ保持アーム140および照明ユニット保持アーム150を形成するに当たり、アルミダイキャスト・鋼板プレスを用い、アーム軸支機構200の構成部材についても、スペーサ234以外を総て金属製とした。その上で、アーム構成部材と軸支機構構成部材を、導通可能に接合させることとした。よって、カメラ保持アーム140で保持するカメラヘッド120、および照明ユニット保持アーム150で保持する照明ユニット130において、それぞれの構成部材と軸支機構構成部材をアース接地路として利用できるので、配線の簡略化、設置作業の簡便化を図ることができる。
【0063】
更に、本実施例では、カメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150とをテーブル110の上面左奥コーナの隆起部118にて軸支し、当該コーナとカバー117を挟んだ反対のテーブル上面右奥側には、アーム軸支のための隆起を設けないようにした。よって、カバー117がテーブル110の上面と面一となることと相俟って、テーブル上面右奥側についても被撮像物の設置個所として、或いは被撮像物の撮像箇所変更のための撮像物移動場所として利用できるので、テーブルの小型化にも有益である。
【0064】
本発明は上記した実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の態様で実施可能である。例えば、上記の実施例では、カメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150とを同軸に回動軸支すると共に、照明ユニット保持アーム150がカメラ保持アーム140の回動動作に連動した回動と単独での回動が可能な構成としたが、カメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150とが別々の軸回りに回動するよう軸支する構成に適用することもできる。
【0065】
また、カメラ保持アーム140をテーブル側アーム142とカメラ側アーム144とが回動自在に軸支された構造としたので、この両アームの回動軸支箇所に、上記したアーム軸支機構200を組み込むようにすることもできる。具体的には、テーブル側アーム142の先端に、既述したアーム軸支機構200におけるプレート202L、202Rに相当するプレートを対向して設け、カメラ側アーム144に、第1軸支軸メイン部材203や凹所143kを設ける。そして、テーブル側アーム142先端の両プレートと間にカメラ側アーム144を回動自在に軸支した上で、両アーム間にねじりコイルばね260を上記の実施例と同様にして組み込む。こうすれば、いわゆる中折れ式のカメラ保持アーム140において、カメラ側アーム144の回動動作をアシストすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施例の撮像装置100の斜視図である。
【図2】この撮像装置100の右側面図である。
【図3】撮像装置100の背面斜視図である。
【図4】カメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150の両アームを共にテーブル側まで回動させた装置収納・運搬・保管時の撮像装置100を示す斜視図である。
【図5】装置前方側を撮像する際の撮像装置100を示す斜視図である。
【図6】装置後方側を撮像する際の撮像装置100を示す斜視図である。
【図7】隆起部118におけるアーム軸支機構200を説明するためカバー部分を取り去った状態を示す説明図である。
【図8】このアーム軸支機構200の要部を説明するためのサブアッシー図である。
【図9】アーム軸支の軸を含んで図7を鉛直に切断してアーム軸支機構200を示す断面図である。
【図10】このアーム軸支機構200を装置後方から見て分解した状態を示す分解斜視図である。
【図11】アーム軸支機構200を装置側方から見て分解した状態を示す分解斜視図である。
【図12】図4に示す撮像装置100の収納・運搬・保管時の状態から被撮像物の撮像に推移するまでのアームの回動動作を説明する説明図である。
【図13】図12に示す状態からアーム回動動作を進めた状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0067】
100...撮像装置
110...テーブル
112...スイッチ群
113...メモリカード装着機構
114...USB端子
115...凹所
116...コネクタ端子群
117...カバー
118...隆起部
120...カメラヘッド
122...クローズアップレンズ
130...照明ユニット
132...窓
140...カメラ保持アーム
142...テーブル側アーム
143...基部
143a...第1パーツ
143b...第2パーツ
143c...ピンボス
143d...柱状突起
143e...突起
143f...ピン嵌合孔
143g...突起
143h...突起
143j...貫通孔
143k...凹所
143m...貫通孔
143n...貫通孔
144...カメラ側アーム
150...照明ユニット保持アーム
152...基部
152a...第1パーツ
152b...第2パーツ
152c...円盤部
152d...円盤部
152e,152f...カバー
200...アーム軸支機構
202L...プレート
202R...プレート
203...第1軸支軸メイン部材
203b...貫通孔
204...第1メイン軸
205...ナット
206...ネジ軸
207...軸支穴
209...皿バネ
210...平座金
212...第2軸支軸部材
214...第2軸支軸
216...シャフト部
217...孔
220...第1サブ軸ピン
222...軸支穴
230...貫通孔
232...貫通孔
234...スペーサ
235...貫通孔
240...皿バネ
241...貫通孔
242...平座金
243...孔
244...貫通孔
246...シャフト
248...シャフト
250...ブラケット
251...軸支孔
252...貫通孔
253...突出片
260...ねじりコイルばね
260a...末端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブルに載置された被撮像物を撮像する撮像装置であって、
前記被撮像物を前記テーブル上方側からカメラヘッドにて撮像するよう、該カメラヘッドを保持するカメラ保持アームと、
前記カメラ保持アームを、前記テーブルに対する傾斜の程度が変わるよう、前記テーブルに対して回動軸回りに回動自在に軸支するアーム軸支機構と、
前記カメラ保持アームと前記テーブルとの間に介在し、前記カメラ保持アームが前記テーブルの側に向けて傾斜するよう回動すると、前記カメラ保持アームが前記テーブルに対する傾斜が広がるよう回動する側に作用する補助力を蓄積し、前記カメラ保持アームが前記テーブルに対する傾斜が広がるように回動操作されると、前記蓄積した補助力を前記回動軸回りに前記カメラ保持アームに作用させて、前記カメラ保持アームのアーム回動動作をアシストするアシスト部材と、
前記回動軸回りの前記カメラ保持アームの回動時に摩擦力を生じさせ、該摩擦力により、前記カメラ保持アームを前記テーブルに対して傾斜した位置に保持すると共に、前記摩擦力を、前記アシスト部材が蓄積する補助力に勝るよう調整する摩擦力調整機構とを備え、
前記アシスト部材は、
中空とされた前記カメラ保持アームの内部において前記回動軸の軸心回りに区画形成された収納箇所に収納されて、前記カメラ保持アームと前記テーブルとの間に介在する
撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の撮像装置であって、
前記アーム軸支機構は、前記テーブルが前記カメラ保持アーム保持のために有するフレームに対して、前記カメラ保持アームを前記回動軸回りに回動自在に軸支し、
前記カメラ保持アームは、前記収納箇所を、前記フレームの側からの前記アシスト部材の装着が可能となるよう区画形成し、
前記摩擦力調整機構は、前記フレームの側において摩擦力調整可能に構成され、
前記アシスト部材は、ねじりコイルばねから構成され、前記収納箇所に収納された状態で、ばね巻線部の一端側のばね末端と他端側のばね末端を前記カメラ保持アームと前記フレームに係合させている
撮像装置。
【請求項3】
請求項2記載の撮像装置であって、
前記アーム軸支機構は、
前記カメラ保持アームにおける前記フレーム側のアーム側面から突出したアーム側軸と、
前記アーム側軸が嵌合するよう前記フレームに形成され、前記カメラ保持アームを前記アーム側軸を介して前記回動軸回りに回動自在に軸支するフレーム軸孔とを備え、
前記カメラ保持アームは、
前記収納箇所を、前記アーム側軸の内側において前記カメラ保持アームの内部に陥没した凹所として区画形成し、該凹所の開口を前記フレームの前記フレーム軸孔の内側に位置させる
撮像装置。
【請求項4】
請求項3記載の撮像装置であって、
前記収納箇所における前記ねじりコイルばねのばね軸方向の動きを規制する規制部材を有する
撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−11123(P2007−11123A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−193738(P2005−193738)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【出願人】(000000424)株式会社エルモ社 (104)
【Fターム(参考)】