説明

撮像装置

【課題】広角撮影と望遠撮影とを両立できる小型な撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置を、光路を折り曲げるためのプリズム1020と、被写体像からの光束を、プリズム1020を経て受け取り、第1の撮像素子1050に結像する第1のレンズ群1030と、被写体像からの光束を、プリズム1020を経て受け取り、第2の撮像素子1250に結像する第2のレンズ群1230と、プリズム1020を回転自在に支持する支持部材とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に、望遠撮影および広角撮影を行うことのできる小型の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ズームレンズ鏡筒によって焦点距離を変えて被写体を任意の大きさで撮影することができる撮像装置がある。また、レンズ鏡筒の先端や内部にコンバータレンズを脱着して広角や望遠の撮影を行うことのできる撮像装置がある。さらに、広角撮影用鏡筒と望遠撮影用鏡筒の2本のレンズ鏡筒を内蔵する撮像装置がある。
【0003】
ところで、特許文献1に示される撮像装置によれば、屈曲式光学系鏡筒において、コンバータレンズが固定されたレンズ保持枠を、反射ミラー中心、光軸に垂直な軸回りに90度回動させることで、コンバータレンズを撮影光軸に侵入または退避させている。これによって、より広角の撮影を可能にしている。
【0004】
また、特許文献2に示される撮像装置によれば、撮影光学系後方にある45度配置ミラーを、光軸に垂直な軸周りに回転移動させることで、光路を撮像素子(CCD)方向かフィルム方向かに切り替えている。
【0005】
また、特許文献3に示される撮像装置によれば、屈曲光学系のミラーを、そのミラーの支持された1点中心に回動制御することで、撮像素子に到達する像を移動して、手ぶれを補正している。
【特許文献1】特開平09−281578号公報
【特許文献2】実公平7−50738号公報
【特許文献3】特開2004−219930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の一般的なズームレンズ鏡筒では、更なる望遠化と広角化とを両立させると、レンズ鏡筒サイズが大きくなったり、光学性能が低下したりする。
【0007】
また、レンズ鏡筒先端にワイドコンバータレンズやテレコンバータレンズを手動で装着する方法は、操作が煩わしく、コンバータレンズを紛失する恐れもある。
【0008】
また、広角用と望遠用の2本のレンズ鏡筒を内蔵する撮像装置では、通常の撮像装置に比べて、レンズ鏡筒1本分だけ撮像装置本体が大きくなってしまう。
【0009】
さらに、特許文献1に示される撮像装置においては、反射ミラー中心に90度回転する保持部材に、コンバータレンズを使用しない時に光が通過する光出射口や光入射口が必要である。そのため、保持部材が大きくなり、撮像装置も大きくなってしまう。
【0010】
また、特許文献2に示される撮像装置においては、撮像素子や銀塩フィルムの直前で、ミラーを45度回動して光路を切り替えている。こうした構成を、撮影レンズの焦点距離を切り替えることに応用することは困難である。
【0011】
また、特許文献3に示される撮像装置は、屈曲光学系中の反射ミラーを2つの軸回りに微小回転させる手振れ補正機構を備えたものであり、こうした手振れ補正機構を、光学系の焦点距離を切り替えることに応用することは困難である。
【0012】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、広角撮影と望遠撮影とを両立できる小型な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、複数の撮像素子と、光路を折り曲げるための屈曲部材と、被写体像からの光束を、前記屈曲部材を経て受け取り、前記複数の撮像素子のうちの第1の撮像素子に結像する第1の光学系と、被写体像からの光束を、前記屈曲部材を経て受け取り、前記複数の撮像素子のうちの第2の撮像素子に結像する第2の光学系と、前記屈曲部材を回転自在に支持する支持部材とを有することを特徴とする撮像装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、広角撮影と望遠撮影とを両立できる小型な撮像装置を提供することができる。特に、鏡筒が長くなる超望遠撮影ズームを内蔵することも可能となる。
【0015】
また、撮像装置の外観には、超望遠撮影も可能であるにも拘らず、鏡筒の短い被写体側光学系レンズが1つだけ見えるだけであり、デザインの自由度が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
〔第1の実施の形態〕
図1および図2は、本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置1010の構成を示す3面図である。図1は、望遠撮影状態の撮像装置1010を示し、図2は、広角撮影状態の撮像装置1010を示す。
【0018】
図1を参照して、この撮像装置1010の基本構成を説明する。
【0019】
第3の光軸1340は、この撮像装置1010から被写体に向いた光軸であり、該第3の光軸1340上に被写体側から順に、第3のレンズ群1330とプリズム1020とが配置されている。このプリズム1020は、第3の光軸1340を中心に90度回転自在に支持されている。第1の光軸1040は、プリズム1020から図1の正面図の左方向に伸び、該第1の光軸1040上に、望遠撮影用の第1のレンズ群1030と、結像した像を電気信号に変換するための第1の撮像素子1050とが配置されている。また、プリズム1020から図1の正面図の下方向に第2の光軸1240が伸び、該第2の光軸1240上に、広角撮影用の第2のレンズ群1230と、結像した像を電気信号に変換するための第2の撮像素子1250とが配置されている。
【0020】
なお、詳しい説明は省略するが、第1のレンズ群1030は、標準領域から望遠領域または超望遠領域までをカバーするズームレンズであり、第2のレンズ群1230は、標準領域から広角領域までをカバーするズームレンズであるとする。
【0021】
図1に示す望遠状態の撮像装置1010においては、第3の光軸1340上にある第3のレンズ群1330を通って被写体から来る光束を、プリズム1020が、45度に傾斜した反射面1022にて、第1の光軸1040方向に反射する。この反射された光束は、第1のレンズ群1030を通り、第1の撮像素子1050に結像し、望遠の写真撮影が可能になる。
【0022】
一方、プリズム1020を第3の光軸1340を中心にして、図2の正面図において反時計回り方向に90度回転させると、撮像装置1010が、図2に示す広角状態となる。すなわち、第3の光軸1340上にある第3のレンズ群1330を通って被写体から来る光束を、このプリズム1020が、45度に傾斜した反射面1022にて、第2の光軸1240方向に反射する。この反射された光束は、第2のレンズ群1230を通り、第2の撮像素子1250に結像し、広角の写真撮影が可能になる。
【0023】
このように、プリズム1020を第3の光軸1340を中心にして90度往復回転させることで、望遠撮影と広角撮影との切り替えが可能となる。そのとき、撮像装置1010の外観には、第3のレンズ群1330が見えているだけで、この切り替え前後での外観変化が無く、使用者は通常の撮像装置(カメラ)として違和感無く使用できる。また、可動部材が撮像装置1010の内部に存在するため、撮影者等の外力によって可動部材が壊されることも無い。
【0024】
なお、比較的長くなる望遠撮影用の光学系の設けられる第1の光軸1040を、撮像装置1010の長辺方向に配置し、比較的短い広角撮影用の光学系の設けられる第2の光軸1240を、撮像装置1010の短辺方向に配置する。これによって、これらの2つの光学系を撮像装置1010内に無駄なく配置することが可能となる。
【0025】
なおまた、第1の実施の形態では、第3の光軸1340上に第3のレンズ群1330を配置したが、光学設計によっては、この第3のレンズ群1330を無くすることもできる。
【0026】
また、第2の撮像素子1250を、撮影画面の横縦比が16対9のハイビジョンサイズとし、第1の撮像素子1050を、撮影画面の横縦比が4対3のスタンダードサイズとするようにしてもよい。
【0027】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0028】
図3は、第2の実施の形態に係る撮像装置2010の構成を示す3面図である。図3は、望遠撮影状態の撮像装置2010を示す。
【0029】
図3において、第3の光軸2340は、この撮像装置2010から被写体に向いた光軸であり、該第3の光軸2340上に被写体側から順に、第3のレンズ群2330とプリズム2020とが配置されている。このプリズム2020は、回転支持部材2021によって、第3の光軸2340を中心にして90度回転自在に支持されている。第1の光軸2040は、プリズム2020から図3の正面図における左方向に伸び、該第1の光軸2040上に、望遠撮影用の第1のレンズ群2030と、結像した像を電気信号に変換するための第1の撮像素子2050とが配置されている。
【0030】
この第1のレンズ群2030は、第1のレンズ枠2031に組み込まれ、この第1のレンズ枠2031は、ガイドバー2060、2061によって、第1の光軸2040方向に移動自在に吊られている。この第1のレンズ枠2031を移動する機構は、図示していないが、一般的なステッピングモータ等の動力源とリードスクリュー等で構成された機構である。
【0031】
また、プリズム2020から図3の正面図における下方向に第2の光軸2240が伸び、該第2の光軸2240上に、広角撮影用の第2のレンズ群2230と、結像した像を電気信号に変換するための第2の撮像素子2250とが配置されている。この第2のレンズ群2230は、第2のレンズ枠2231に組み込まれ、この第2のレンズ枠2231は、ガイドバー2260、2261によって、第2の光軸2240方向に移動自在に吊られている。この第2のレンズ枠2231を移動する駆動装置は、図示していないが、一般的なステッピングモータ等の動力源とリードスクリュー等で構成された機構である。
【0032】
プリズム2020が回転した際の回転位置を決定するための位置決め部材2090が、図3の正面図において、第1の光軸2040の上側に、第2の光軸2240の右側に配置されている。
【0033】
次に、このプリズム2020を90度回転させる機構部分の説明を行う。
【0034】
リンク(A)2080は、その一端が、ガイドバー2060に嵌合した移動部材(A)2070上の支点2082に回転自在に固定され、他端はプリズム2020上の支点2081に回転自在に固定されている。リンク(B)2280は、その一端が、ガイドバー2260に嵌合した移動部材(B)2270上の支点2282に回転自在に固定され、他端はプリズム2020上の支点2281に回転自在に固定されている。
【0035】
図3に示す望遠撮影状態の撮像装置2010においては、第3の光軸2340上にある第3のレンズ群2330を通って被写体から来る光束を、プリズム2020が、45度に傾斜した反射面2022にて、第1の光軸2040方向に反射し、第1のレンズ群2030を通り、第1の撮像素子2050に結像し、望遠の写真撮影が可能になっている。
【0036】
次に、広角写真の撮影が可能なように、プリズム2020を広角側へ回転駆動する方法を説明する。
【0037】
図4は、プリズム2020が望遠側から広角側へ回転する途中における撮像装置2010を示す3面図である。
【0038】
駆動装置が、第1のレンズ枠2031を第1の撮像素子2050側に駆動すると、第1のレンズ枠2031は移動部材(A)2070と接触し、一体となって第1の撮像素子2050側に移動を開始する。その時、リンク(A)2080は第1の撮像素子2050側に引っ張られる。これによって、回転支持部材2021によって第3の光軸2340を中心にして回転自在なプリズム2020は、リンク(A)2080が固定されている支点2081によって引っ張られる。その結果、プリズム2020は位置決め部材2090から離れて、第3の光軸2340を中心にして、図4の正面図において反時計回り方向に回転を開始する。
【0039】
この時、プリズム2020に一端が固定されているリンク(B)2280も移動を開始し、リンク(B)2280が接続されている移動部材(B)2270がプリズム2020側に移動開始する。移動部材(B)2270を第2のレンズ枠2231に衝突させないために、駆動装置が第2のレンズ枠2231を、移動部材(B)2270の移動速度と等速か、やや早い速度で、プリズム2020側に駆動する。
【0040】
更にプリズム2020の回転が進み、広角側の90度回転位置まで回転が完了した状態を図5に示す。
【0041】
図5は、プリズム2020が望遠側から広角側への回転を完了した場合における撮像装置2010を示す3面図である。
【0042】
プリズム2020の一端は、位置決め部材2090に接触し、回転が完了する。そして第1のレンズ枠2031の駆動装置を停止すれば、プリズム2020はその回転位置に停止する。
【0043】
その後、駆動装置が第2のレンズ枠2231を、広角撮影に適した位置に追加移動(ズーミング)すれば、広角撮影が可能な状態となる。
【0044】
次に、プリズム2020を再び、望遠側に回転させる手順を説明する。
【0045】
図5において、駆動装置が第2のレンズ枠2231を第2の撮像素子2250側に駆動開始すると、途中から第2のレンズ枠2231が移動部材(B)2270と接触し、一体的に第2の撮像素子2250側に移動開始する。その時、一端を移動部材(B)2270に回転自在に固定されたリンク(B)2280も第2の撮像素子2250側に引っ張られる。その結果、リンク(B)2280の他端が回転自在に固定されたプリズム2020は、図6に示すように、時計回り方向に90度回転し、位置決め部材2090に接触して停止する。この動作によって、撮像装置2010は、望遠撮影が可能な状態に切り替わる。図6は、プリズム2020が広角側から望遠側への回転を完了した場合における撮像装置2010を示す3面図である。
【0046】
このように、第2の実施の形態では、第1のレンズ枠2031や第2のレンズ枠2231を光学的に移動させる駆動装置を、プリズム2020の回転に兼用することで、プリズム2020の駆動源を省略することが可能となる。
【0047】
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
【0048】
図7は、第3の実施の形態に係る撮像装置3010の構成を示す3面図である。図7は、望遠撮影状態の撮像装置3010を示す。
【0049】
図7において、第3の光軸3340は、撮像装置3010から被写体に向いた光軸であり、該第3の光軸3340上に被写体側から順に、第3のレンズ群3330とプリズム3020とが配置されている。このプリズム3020は、回転支持部材3021によって、第3の光軸3340を中心にして90度回転自在に支持されている。第1の光軸3040は、プリズム3020から図7の正面図において左方向に伸び、該第1の光軸3040上に、望遠撮影用の第1のレンズ群3030と、結像した像を電気信号に変換するための第1の撮像素子3050とが配置されている。
【0050】
この第1のレンズ群3030は、第1のレンズ枠3031に組み込まれ、この第1のレンズ枠3031は、ガイドバー3060、3061によって、第1の光軸3040方向に移動自在に吊られている。この第1のレンズ枠3031を移動する駆動装置は、図示していないが、一般的なステッピングモータ等の動力源とリードスクリュー等で構成された機構である。
【0051】
また、プリズム3020から図7の正面図における下方向に第2の光軸3240が伸び、該第2の光軸3240上に、広角撮影用の第2のレンズ群3230と、結像した像を電気信号に変換するための第2の撮像素子3250が配置されている。この第2のレンズ群3230は、第2のレンズ枠3231に組み込まれ、この第2のレンズ枠3231は、ガイドバー3260、3261によって、第2の光軸3240方向に移動自在に吊られている。この第2のレンズ枠3231を移動する駆動装置は、図示していないが、一般的なステッピングモータ等の動力源とリードスクリュー等で構成された機構である。
【0052】
プリズム3020が回転した際の回転位置を決定するための位置決め部材3090が、図7の正面図において、第1の光軸3040の下側に、第2の光軸3240の左側に配置されている。
【0053】
次に、このプリズム3020を90度回転させる機構部分の説明を行う。
【0054】
リンク(B)3280は、その一端が、ガイドバー3260に嵌合した第2レンズ枠3231上の支点3282に回転自在に固定され、他端はプリズム3020上の支点3281に回転自在に固定されている。
【0055】
図7に示す望遠状態の撮像装置3010においては、第3の光軸3340上にある第3のレンズ群3330を通って被写体から来る光束を、プリズム3020が、45度に傾斜した反射面3022にて、第1の光軸3040方向に反射する。この反射された光束は、第1のレンズ群3030を通り、第1の撮像素子3050に結像し、望遠の写真撮影が可能になっている。また、第1のレンズ枠3031は、光学的必要性に応じて、駆動装置によって第1の光軸3040に沿って移動される。
【0056】
次に、広角写真の撮影が可能なように、プリズム3020を広角側へ回転駆動する方法を説明する。
【0057】
図7において、駆動装置が第2のレンズ枠3231をプリズム3020側へ駆動すると、第2のレンズ枠3231に連結されたリンク(B)3280もプリズム3020側に押される。そして、図8に示すように、リンク(B)3280によって、プリズム3020が第3の光軸3340を中心にして、図8の正面図における反時計回り方向に90度回転し、位置決め部材3090に接触停止する。この動作により、プリズム3020は広角側回転位置に設定され、第2のレンズ群3230も広角撮影の位置に設定される。
【0058】
以上により、プリズム3020が、被写体からの光束を第2の光軸3240側へ反射し、広角撮影が可能となる。
【0059】
第3の実施の形態では、第2のレンズ群3230を広角撮影位置に配置する動作を、プリズム3020の90度回転動作と兼用することで、プリズム回転機構の簡略化を実現している。
【0060】
〔第4の実施の形態〕
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。
【0061】
図9〜図11は、第4の実施の形態に係る撮像装置4010の構成を示す3面図である。図9は、望遠撮影状態の撮像装置4010を示し、図10は、広角撮影状態の撮像装置4010を示し、図11は、標準撮影状態の撮像装置4010を示す。
【0062】
図9において、第3の光軸4340は、撮像装置4010から被写体に向いた光軸であり、該第3の光軸4340上に被写体側から順に、第3のレンズ群4330とプリズム4020とが配置されている。このプリズム4020は、第3の光軸4340を中心にして180度まで回転自在に、回転支持部材4021によって支持されている。第1の光軸4040は、プリズム4020から図9の正面図における左方向に伸び、該第1の光軸4040上に、望遠撮影用の第1のレンズ群4030と、結像した像を電気信号に変換するための第1の撮像素子4050とが配置されている。また、プリズム4020から図9の正面図における下方向に第2の光軸4240が伸び、該第2の光軸4240上に、広角撮影用の第2のレンズ群4230と、結像した像を電気信号に変換するための第2の撮像素子4250とが配置されている。
【0063】
第4の光軸4440は、プリズム4020から図9の正面図における右方向に伸び、第4の光軸4440上に、標準撮影用の第4のレンズ群4430と、結像した像を電気信号に変換するための第3の撮像素子4450とが配置されている。
【0064】
図9に示す望遠状態の撮像装置4010においては、第3の光軸4340上にある第3のレンズ群4330を通って被写体から来る光束を、プリズム4020が、45度に傾斜した反射面4022にて、第1の光軸4040方向に反射する。反射された光束は、第1のレンズ群4030を通り、第1の撮像素子4050に結像し、望遠の写真撮影が可能になっている。
【0065】
図10に示す広角状態の撮像装置4010においては、プリズム4020が、第3の光軸4340を中心にして、図10の正面図において反時計回り方向に90度回転する。これによって、第3の光軸4340に沿った被写体からの光束を、プリズム4020が、反射面4022で第2の光軸4240方向に反射し、第2の撮像素子4250に被写体像を結像し、広角の写真撮影が可能になっている。
【0066】
図11に示す標準状態の撮像装置4010においては、プリズム4020が、第3の光軸4340を中心にして、図11の正面図において反時計回り方向にさらに90度回転する。これによって、第3の光軸4340に沿った被写体からの光束を、プリズム4020が、反射面4022で第4の光軸4440方向に反射し、第3の撮像素子4450に被写体像を結像し、標準の写真撮影が可能になっている。
【0067】
〔第5の実施の形態〕
次に、本発明の第5の実施の形態を説明する。
【0068】
図12および図13は、第5の実施の形態に係る撮像装置5010の構成を示す図である。図12は、望遠撮影状態の撮像装置5010を示し、図13は、広角撮影状態の撮像装置5010を示す。
【0069】
上記第1乃至第4の実施の形態では、望遠用光軸と広角用光軸とが90度をなしているが、第5の実施の形態に係る撮像装置5010では、望遠用光軸と広角用光軸とが略60度をなしている。
【0070】
図12において、第3の光軸5340は、撮像装置5010から被写体に向いた光軸であり、該第3の光軸5340上には被写体側から順に、第3のレンズ群5330とプリズム5020とが配置されている。このプリズム5020は、第3の光軸5340を中心にいて60度回転自在に支持されている。第1の光軸5040は、プリズム5020から図12の正面図における左下方向に伸び、該第1の光軸5040上に、望遠撮影用の第1のレンズ群5030と、結像した像を電気信号に変換するための第1の撮像素子5050とが配置されている。
【0071】
また、プリズム5020から図12の正面図における下方向に第2の光軸5240が伸び、該第2の光軸5240上に、広角撮影用の第2のレンズ群5230と、結像した像を電気信号に変換するための第2の撮像素子5250とが配置されている。
【0072】
図12に示す望遠状態の撮像装置5010においては、第3の光軸5340上にある第3のレンズ群5330を通って被写体から来る光束を、プリズム5020が、第1の光軸5040方向に反射する。この反射された光束は、第1のレンズ群5030を通り、第1の撮像素子5050に結像し、望遠の写真撮影が可能になっている。
【0073】
次にプリズム5020を、第3の光軸5340を中心にして、図12の正面図において反時計回り方向に60度回転すると、図13に示す広角状態の撮像装置5010となる。すなわち、プリズム5020が、第3の光軸5340に沿った被写体からの光束を、第2の光軸5240方向に反射し、第2の撮像素子5250に被写体像を結像し、広角の写真撮影が可能になる。
【0074】
なお、撮像素子5050は、正面図で見ると、撮像装置5010の短辺長辺に対して斜めに配置され、斜視図においても、撮像装置5010の厚み方向に対して、斜めと成っている。これは、撮像装置5010を正面図のように構えて被写体を望遠撮影する際、記録される画像の縦横を撮像装置5010の縦横と一致させるために必要な配置である。
【0075】
このようにして、第5の実施の形態では、第1乃至第4の実施の形態の撮像装置に比べ、撮像装置の長辺方向の長さを短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る望遠撮影状態の撮像装置の構成を示す3面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る広角撮影状態の撮像装置の構成を示す3面図である。
【図3】第2の実施の形態に係る望遠撮影状態の撮像装置の構成を示す3面図である。
【図4】プリズムが望遠側から広角側へ回転する途中における撮像装置を示す3面図である。
【図5】プリズムが望遠側から広角側への回転を完了した場合における撮像装置を示す3面図である。
【図6】プリズムが広角側から望遠側への回転を完了した場合における撮像装置を示す3面図である。
【図7】第3の実施の形態に係る望遠撮影状態の撮像装置の構成を示す3面図である。
【図8】第3の実施の形態に係る広角撮影状態の撮像装置の構成を示す3面図である。
【図9】第4の実施の形態に係る望遠撮影状態の撮像装置の構成を示す3面図である。
【図10】第4の実施の形態に係る広角撮影状態の撮像装置の構成を示す3面図である。
【図11】第4の実施の形態に係る標準撮影状態の撮像装置の構成を示す3面図である。
【図12】第5の実施の形態に係る望遠撮影状態の撮像装置の構成を示す3面図である。
【図13】第5の実施の形態に係る広角撮影状態の撮像装置の構成を示す3面図である。
【符号の説明】
【0077】
1010、2010,3010、4010、5010 撮像装置
1020、2020、3020、4020、5020 プリズム(屈曲部材)
1022、2022、3022、4022 反射面
1030、2030、3030、4030、5030 第1のレンズ群(第1の光学系)
1040、2040、3040、4040、5040 第1の光軸
1050、2050、3050、4050、5050 第1の撮像素子
1230、2230、3230、4230、5230 第2のレンズ群(第2の光学系)
1240、2240,3240、4240、5240 第2の光軸
1250、2250,3250、4250、5250 第2の撮像素子
1330、2330、3330、4330、5330 第3のレンズ群(被写体側光学系)
1340、2340、3340、4340、5340 第3の光軸
2021、3021、4021 回転支持部材(支持部材)
2031、3031 第1のレンズ枠
2060、3060 ガイドバー
2061、3061 ガイドバー
2070 移動部材(A)
2080 リンク(A)
2081 支点
2082 支点
2090、3090 位置決め部材
2231、3231 第2のレンズ枠
2260、3260 ガイドバー
2261、3261 ガイドバー
2270 移動部材(B)
2280、3280 リンク(B)
2281、3281 支点
2282、3282 支点
4430 第4のレンズ群(第3の光学系)
4440 第4の光軸
4450 第3の撮像素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮像素子と、
光路を折り曲げるための屈曲部材と、
被写体像からの光束を、前記屈曲部材を経て受け取り、前記複数の撮像素子のうちの第1の撮像素子に結像する第1の光学系と、
被写体像からの光束を、前記屈曲部材を経て受け取り、前記複数の撮像素子のうちの第2の撮像素子に結像する第2の光学系と、
前記屈曲部材を回転自在に支持する支持部材と
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記屈曲部材を、被写体と該屈曲部材とを結ぶ光軸を中心にして回転自在に支持することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1の光学系を、該第1の光学系の光軸に沿って移動するための第1の移動部材と、
前記屈曲部材と前記第1の移動部材とを繋ぐ第1の連結部材と、
前記第2の光学系を、該第2の光学系の光軸に沿って移動するための第2の移動部材と、
前記屈曲部材と前記第2の移動部材とを繋ぐ第2の連結部材と
を更に有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2の光学系を、該第2の光学系の光軸に沿って移動するための移動部材と、
前記屈曲部材と前記移動部材とを繋ぐ連結部材と
を更に有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
被写体と前記屈曲部材とを結ぶ光路上に配置された被写体側光学系を更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1および第2の光学系の各光軸が含まれる平面における、前記各光軸によって形成される狭角の領域の外側の領域に設けられた、前記屈曲部材の回転量を規制するための位置決め部材とを更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1および第2の光学系の各光軸が含まれる平面において前記各光軸が形成する角度は90度であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1の光学系は望遠撮影用の光学系であり、前記第2の光学系は広角撮影用の光学系であり、
前記屈曲部材から前記第1の撮像素子までの光路を前記撮像装置の長辺側に配置し、前記屈曲部材から前記第2の撮像素子までの光路を前記撮像装置の短辺側に配置することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項9】
被写体像からの光束を、前記屈曲部材を経て受け取り、前記複数の撮像素子のうちの第3の撮像素子に結像する第3の光学系を更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第1および第2の光学系の各光軸が含まれる平面において前記各光軸が形成する角度は、90度よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項11】
前記屈曲部材はプリズムであることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2008−116576(P2008−116576A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−298176(P2006−298176)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】