説明

撮像装置

【課題】電子ビューファインダモードと光学ファインダモードとを切り換えられる撮像装置において、不適切な撮影条件が設定されることを防止するとともに、操作部材の状態と撮像装置の設定状態とが不一致になることを防ぐ。
【解決手段】第1の操作部材の位置によって設定される設定状態を表す第1の操作手段と、第2の操作部材の位置と設定される設定状態とが無関係である第2の操作手段とを有し、光学ファインダモード時に、第1の操作手段によって、電子ビューファインダモードに適さない設定が行われている場合には、電子ビューファインダモードへの切換動作を実行せず、第2の操作手段によって、電子ビューファインダモードに適さない設定が行われている場合には、第2の操作手段による電子ビューファインダモードに適さない設定を強制的に解除して、電子ビューファインダモードへの切換動作を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ビューファインダモードと光学ファインダモードとを切り換えられる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一眼レフレックス方式のデジタルカメラには、本体のモニタに被写体像を表示するライブビュー機能を有するものがある。このようなデジタルカメラは光学ファインダによる観察モード(光学ファインダモード)と、ライブビューによる観察モード(ライブビューモード)とを切り換えて使用することができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−163094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のデジタルカメラは、カメラの動作モードがどのような場合でも、光学ファインダモードからライブビューモードに自由に切り換えることができるように構成されている。しかしながら、光学ファインダモードとライブビューモードではAF方式や測光方式が変わってしまうために、現状ではライブビューモードには適さない動作モードも存在する。
【0004】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、電子ビューファインダモード(ライブビューモード)と光学ファインダモードとを切り換えられる撮像装置において、不適切な撮影条件が設定されることを防止するとともに、操作部材の状態と撮像装置の設定状態とが不一致になることを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、光学ファインダと、電子ビューファインダと、前記電子ビューファインダにて被写体を観察する電子ビューファインダモードと、前記光学ファインダにて被写体を観察する光学ファインダモードとを切り換えるファインダモード切換手段と、第1の操作部材の位置によって設定される設定状態を表す第1の操作手段と、第2の操作部材の位置と設定される設定状態とが無関係である第2の操作手段と、前記光学ファインダモード時に、前記第1の操作手段によって、前記電子ビューファインダモードに適さない設定が行われている場合には、前記電子ビューファインダモードへの切換動作を実行せず、前記第2の操作手段によって、前記電子ビューファインダモードに適さない設定が行われている場合には、前記第2の操作手段による前記電子ビューファインダモードに適さない設定を強制的に解除して、前記電子ビューファインダモードへの切換動作を実行するように制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、光学ファインダと、電子ビューファインダと、前記電子ビューファインダにて被写体を観察する電子ビューファインダモードと、前記光学ファインダにて被写体を観察する光学ファインダモードとを切り換えるファインダモード切換手段と、第1の操作部材の位置によって設定される設定状態を表す第1の操作手段と、第2の操作部材の位置と設定される設定状態とが無関係である第2の操作手段と、前記電子ビューファインダモード時に、前記第1の操作手段によって、前記電子ビューファインダモードに適さない設定が行われた場合には、強制的に前記光学ファインダモードへの切換動作を実行し、前記第2の操作手段によって、前記電子ビューファインダモードに適さない設定が行われた場合には、前記電子ビューファインダモードを維持したまま、前記第2の操作手段による前記電子ビューファインダモードに適さない設定を実行しないように制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子ビューファインダモードと光学ファインダモードとを切り換えられる撮像装置において、不適切な撮影条件が設定されることを防止するとともに、操作部材の状態と撮像装置の設定状態とが不一致になることを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本発明の一実施の形態に係る撮像装置の機械的構成を示す内部構成図である。この撮像装置は、一眼レフレックス方式の電子スチルカメラ(デジタルカメラ)である。
【0010】
図1において、101はカメラ本体、102は取り外し可能な撮影レンズ、103は撮影レンズ102内に配置された結像光学系であり、結像光学系103は、物体像を撮像素子109に結像させるものである。104は、撮影レンズ102内にあって、絞り径を変化させて露出量を調節する絞り機構である。105は、可動型のハーフミラーで構成された主ミラーであり、結像光学系103から送られた光の一部を反射して、ファインダ光学系114側に送る。106は、主ミラー105の背後に設けられた可動形のサブミラーであり、主ミラー105を透過した光のうち光軸に近い光束を反射して焦点検出部107に送る。108はシャッタ機構である。
【0011】
撮影の際やモニタ表示/動画撮影の際には、主ミラー105およびサブミラー106を光路上から退避させるとともに、シャッタ機構108を開口させ、撮影レンズ102からの光束を撮像素子109に直接導くようにする。
【0012】
110は、カメラ本体101の背面に配置された、モニタ画像を表示するための表示部である。
【0013】
111は、ファインダ光学系114における物体像の結像面に配置されたフォーカシングスクリーン、112はペンタプリズム、113は、光学ファインダ像を観察する為の接眼レンズである。このフォーカシングスクリーン111、ペンタプリズム112、接眼レンズ113にてファインダ光学系114を構成する。131は、ファインダ光学系114の内部に配置された測光部である。
【0014】
115は撮影モードダイアル(第1の操作部材)、116はレリーズスイッチ、117はファインダモード切換スイッチ、118はAF動作モード切換ボタン(第2の操作部材)、119は測光動作モード切換ボタン(第2の操作部材)である。このファインダモード切換スイッチ117は、ライブビュー画像(電子ビューファインダ画像)を参照した静止画撮影を許可または禁止するためのスイッチである。AF動作モード切換ボタン118は、AF動作モードを切り換える押しボタンスイッチであり、これを繰り返し押すことで、AF動作モードを「ワンショットAF」と「サーボAF」との間でオルタネイティブに切り換えることができる。現在設定されている動作モードは表示部110に表示される。したがって、AF動作モード切換ボタン118の状態と現在設定されているAF動作モードとは無関係な操作部材となっている。同様に、測光動作モード切換ボタン119は、測光動作モードを切り換える押しボタンスイッチであり、これを繰り返し押すことで、測光動作モードを「評価測光」と「部分測光」との間でオルタネイティブに切り換えることができる。現在設定されている動作モードは表示部110に表示される。したがって、測光動作モード切換ボタン119の状態と現在設定されている測光動作モードとは無関係な操作部材となっている。
【0015】
図2は、図1に示す撮像装置の電気的構成を示すブロック図である。
【0016】
図2において、120はA/D変換部であり、撮像素子109から出力されたアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換する。121は撮像処理部であり、A/D変換部120から出力されたデジタル画像信号に対して、画素情報の各種補正、RBG信号のYC信号への変換、ホワイトバランス処理、ガンマ補正処理、信号補間処理等を行う。122は記録部であり、撮像処理部121によって得られた画像情報を記録する。123は制御部であり、カメラ本体101を構成する各部を制御する。制御部123は、図示を省略するが、例えば中央演算装置(CPU)、CPUが実行するプログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUが演算に使用するRAM(Random Access Memory)等から構成される。
【0017】
124は再生部であり、記録部122によって記録された画像情報を、表示部110に画像表示することが可能な信号形態に変換する。125は、撮影モードダイアル115、レリーズスイッチ116、ファインダモード切換スイッチ117、AF動作モード切換ボタン118、測光モード切換ボタン119等を含む入力部である。
【0018】
図6は、撮影モードダイアル115の詳細な構成を示す外観図である。
【0019】
撮影モードダイアル115には、各撮影モードに対応するダイアルアイコン115a〜115mが円周に沿ってそれぞれ配置される。カメラ本体101に設けられるダイアル指標21に向き合っているダイアルアイコンが、選択されているダイアルアイコンである。すなわち、撮影モードダイアル115の回転位置が、そのまま現在設定されている撮影モードを表している。
【0020】
ダイアルアイコン115aは「OFF」を表し、このダイアルアイコン115aが選択されると、カメラ本体101の電源をオフすることができる。
【0021】
ダイアルアイコン115bは「全自動モード」を表す。このダイアルアイコン115bが選択されると、あらかじめ定められたシャッタ速度(以下「Tv値」)と絞り値(以下「Av値」)との複数の組み合わせの中から、測光した結果に対応した組み合わせが選択される。また全自動モードでは、AF動作モードボタン118の操作状態に関わらず、ワンショットAFからサーボAFに自動的に切り換えられる。ワンショットAFとは、一度ピントが合うと、そこで焦点距離を固定するAF動作モードである。サーボAFとは、被写体の動きに合わせてピント合わせを連続的に行うAF動作モードである。
【0022】
ダイアルアイコン115cは「ポートレートモード」を表し、このダイアルアイコン115cが選択されると、人物撮影に適した撮影条件の下で撮影が行われる。ポートレートモードでは、AF動作モードボタン118の操作状態に関わらず、AF動作モードがワンショットAFとなる。
【0023】
ダイアルアイコン115dは「風景モード」を表し、このダイアルアイコン115dが選択されると、風景撮影に適した撮影条件の下で撮影が行われる。風景モードでは、AF動作モードボタン118の操作状態に関わらず、AF動作モードがワンショットAFとなる。
【0024】
ダイアルアイコン115eは「クローズアップモード」を表し、このダイアルアイコン115eが選択されると、花や虫を大きく写すことができる。クローズアップモードでは、AF動作モードボタン118の操作状態に関わらず、AF動作モードがワンショットAFとなる。
【0025】
ダイアルアイコン115fは「スポーツモード」を表し、このダイアルアイコン115fが選択されると、動きのある被写体の撮影に適した撮影条件の下で撮影が行われる。スポーツモードでは、AF動作モードボタン118の操作状態に関わらず、AF動作モードがサーボAFとなる。
【0026】
ダイアルアイコン115gは「夜景モード」を表し、このダイアルアイコン115gが選択されると、夜間でも手前の被写体と、ストロボ光が届かない風景との双方が適正露出となるような撮影が行われる。夜景モードでは、AF動作モードボタン118の操作状態に関わらず、AF動作モードがワンショットAFとなる。
【0027】
ダイアルアイコン115hは「ストロボ禁止全自動モード」を表し、このダイアルアイコン115hが選択されると、ストロボの発光が禁止された撮影が行われ、この禁止以外は全自動モードと同じである。
【0028】
これらダイアルアイコン115b〜115hは、被写体のイメージ(画像タイプ)を選択することで最適な撮影を行うことができるようにした撮影モード選択領域であり、これらは「イメージゾーン」と呼ばれている。イメージゾーンにおけるダイアルアイコン115b〜115hの各撮影モードにおいては、測光動作モードボタン119の操作状態に関わらず、測光動作が評価測光となる。
【0029】
ダイアルアイコン115iは「プログラムモード」を表し、このダイアルアイコン115iが選択されると、所定のTv値とAv値との複数の組み合わせの中から、測光結果に対応した組み合わせが選択される。
【0030】
ダイアルアイコン115jは「シャッタ優先AEモード」を表し、このダイアルアイコン115jが選択されると、使用者が選択したTv値に基づき、測光結果に応じたAv値が決定される。
【0031】
ダイアルアイコン115kは「絞り優先AE」を表し、このダイアルアイコン115kが選択されると、使用者が選択したAv値に基づき、測光結果に応じたTv値が決定される。
【0032】
ダイアルアイコン115lは「マニュアルモード」を表し、このダイアルアイコン115lが選択されると、使用者が決めたTv値およびAv値に基づき撮影が行われる。
【0033】
ダイアルアイコン115mは「自動深度優先AEモード」を表し、このダイアルアイコン115mが選択されると、被写体を捉えた全てのAFエリアで合焦するようにAv値が決められ、そのAv値に基づき、測光結果に応じたTv値が決定される。自動深度優先AEモードでは、AF動作モードボタン118の操作状態に関わらず、同時に複数のAFエリアにおいて焦点位置の検出を行うAF動作が行われる。
【0034】
これらダイアルアイコン115i〜115mの撮影モード領域を「クリエイティブゾーン」と呼ぶ。クリエイティブゾーンにおけるダイアルアイコン115i〜115mの各撮影モードにおいては、撮影者がAF動作モードボタン118を操作して、ワンショットAFまたはサーボAFを任意に設定することができる。また、クリエイティブゾーンにおける各撮影モードにおいては、撮影者が測光動作モードボタン119を操作して、評価測光または部分測光を任意に設定することができる。
【0035】
ファインダモード切換スイッチ117を操作することによって、ファインダ光学系114による被写体観察モード(光学ファインダモード)と、表示部110による被写体観察モード(電子ビューファインダモード)とのうちの一方を選択することができる。表示部110による被写体観察モード(電子ビューファインダモード)を選択すると、後述の図3に示す処理が実行される。また、ファインダ光学系114による被写体観察モード(光学ファインダモード)を選択すると、後述の図4に示す処理が実行される。
【0036】
本実施の形態のデジタルカメラでは、撮影モードがスポーツモードである場合、電子ビューファインダモードを選択することはできない。すなわち、スポーツモードではAF動作モードが自動的にサーボAFとなる。一方、一眼レフレックス方式のデジタルカメラでは一般的に、電子ビューファインダモードに設定されているとき、主ミラー105、サブミラー106ともに撮影光路外に退避する。したがって、焦点検出部107でのAF動作ができなくなり、AF動作は、撮像素子109による撮像面AFとなる。しかし、撮像面AFは移動する被写体には向かないAF動作であるので、電子ビューファインダモードでのスポーツモードは、動きのある被写体の撮影に適した撮影モードとは言い難い。そこで本実施の形態では、撮影モードがスポーツモードである場合には、電子ビューファインダモードに切り換えないようにしている。そして、電子ビューファインダモードにおいては、AF動作モードをワンショットAFに固定して、サーボAFに切り換えることができないようにしている。
【0037】
また、撮像面AFでは、同時に複数のAFエリアで焦点位置を検出するAF動作を行うことができないので、本実施の形態のデジタルカメラでは、撮影モードが自動深度優先AEモードである場合には、電子ビューファインダモードに切り換えることができない。
【0038】
図2に戻って、126は露出制御部であり、測光部131または撮像素子109で測定された露出量に応じて絞り機構104やシャッタ機構108の動作制御を行う。すなわち一般的に、一眼レフレックス方式のデジタルカメラでは、光学ファインダモードの場合、測光部131にて測光することができる。しかしながら、電子ビューファインダモードに設定されているときには、主ミラー105、サブミラー106ともに撮影光路外に退避するので、撮像素子109で撮像面AEを行う。
【0039】
測光動作モードが評価測光である場合には、測光部131による測光結果と、撮像素子109による測光結果とを一致させることは比較的容易である。しかし、測光動作モードが部分測光である場合には、測光部131による測光結果と、撮像素子109による測光結果とを一致させることは困難である。そこで、本実施の形態のデジタルカメラでは、電子ビューファインダモードにあるときは、測光動作モードを評価測光に固定して、部分測光に切り換えることができないようにしている。
【0040】
次に、上記撮像装置の動作を説明する。
【0041】
まず、光学ファインダモードから電子ビューファインダモードへの切換について、図3を参照して説明する。
【0042】
図3は、光学ファインダモードから電子ビューファインダモードへの切換動作時に、制御部123において行われる処理を示すフローチャートである。
【0043】
なお、ファインダモード切換スイッチ117により、ライブビュー画像(電子ビューファインダ画像)を参照した静止画撮影が許可されるべく設定されていることを前提にする。こうした設定状態において、ファインダモード切換スイッチ117によって光学ファインダモードから電子ビューファインダモードに切り換えられたと判定すると、図3に示す処理が実行される。
【0044】
まず、撮影モードダイアル115の位置を確認する(S101)。そして、撮影モードダイアル115によって設定される撮影モードが、スポーツモードまたは自動深度優先AEモードであるか否かを判定する(S102)。その結果、設定される撮影モードがスポーツモードまたは自動深度優先AEモードであれば、ステップS104に進み、一方、設定される撮影モードがスポーツモードおよび自動深度優先AEモード以外であればステップS103へ進む。
【0045】
ステップS104では、電子ビューファインダモードに切り換えることができない旨をユーザに通知するための警告表示を表示部110に対して行う。
【0046】
ステップS103では、現在設定されているAF動作モードおよび測光動作モードを確認する。そして、現在設定されているAF動作モードがサーボAFか否かを判別する(S105)。その結果、現在設定されているAF動作モードがサーボAFであれば、ステップS107へ進み、現在設定されているAF動作モードがワンショットAFであれば、ステップS109へ進む。
【0047】
ステップS107では、現在設定されているAF動作モードをサーボAFからワンショットAFに強制変更する。そして、AF動作モードの変更が行われた旨をユーザに通知するための警告表示を表示部110に対して行い(S108)、ステップS109へ進む。
【0048】
ステップS109では、現在設定されている測光動作モードが部分測光か否かを判別する。その結果、現在設定されている測光動作モードが部分測光であれば、ステップS110へ進み、現在設定されている測光動作モードが評価測光であれば、ステップS106へ進む。
【0049】
ステップS110では、現在設定されている測光動作モードを部分測光から評価測光に強制変更する。そして、測光動作モードの変更が行われた旨をユーザに通知するための警告表示を表示部110に対して行い(S111)、ステップS106へ進む。
【0050】
ステップS106では、電子ビューファインダモードへの切り換え動作を実行する。
【0051】
このように、ダイアルのような、操作部材の位置によって設定される設定状態を表す操作部材によって、電子ビューファインダモードに適さない設定がされている場合には、電子ビューファインダモードへの切換動作を禁止している。これは、電子ビューファインダモードに適さない設定が、操作部材の位置によって設定状態を表す操作部材によって設定された場合には、その設定を強制的に解除してしまうと、操作部材の位置と設定される設定状態とが不一致になるからである。
【0052】
一方、押しボタンスイッチのような、操作部材の位置と設定される設定状態とが無関係である操作部材によって、電子ビューファインダモードに適さない設定がされている場合には、その設定を強制的に解除して、電子ビューファインダモードへの切換動作を行うようにする。電子ビューファインダモードに適さない設定が、操作部材の位置と設定される設定状態とが無関係である操作部材によって設定された場合には、その設定を強制的に解除しても、操作部材の位置と設定される設定状態とが不一致になることがない。
【0053】
次に、電子ビューファインダモードから光学ファインダモードへの切換について、図4を参照して説明する。
【0054】
図4は、電子ビューファインダモードから光学ファインダモードへの切換動作時に、制御部123において行われる処理を示すフローチャートである。
【0055】
ファインダモード切換スイッチ117が操作されて、電子ビューファインダモードから光学ファインダモードへ切り換えられると、図4に示す処理が実行される。なお、電子ビューファインダモードを長時間継続すると撮像素子109が熱を発するので、制御部123が強制的に電子ビューファインダモードから光学ファインダモードへ切り換える場合がある。この場合も、図4に示す処理が実行される。
【0056】
まず、ライブビュー画像(電子ビューファインダ画像)を参照した静止画撮影の開始時に、AF動作モードまたは測光動作モードの強制変更があったか否かを確認する(S201)。すなわち、図3に示すステップS107においてAF動作モードの強制変更があったか否か、また図3に示すステップS110において測光動作モードの強制変更があったか否かを確認する。その結果、AF動作モードおよび/または測光動作モードの強制変更があったならば(S202でYES)ステップS204へ進み、AF動作モードおよび/または測光動作モードの強制変更がなかったならば(S202でNO)ステップS203へ進む。
【0057】
ステップS204では、図3に示すステップS107において強制変更されたAF動作モードおよび/または図3に示すステップS110において強制変更された測光動作モードを、強制変更前のAF動作モードおよび/または測光動作モードに復元する。そして、図3に示すステップS108および/またはステップS111で行った警告表示を解除して、AF動作モードおよび/または測光動作モードの表示を更新し(S205)、ステップS203へ進む。
【0058】
ステップS203では、電子ビューファインダモードから光学ファインダモードへの切り換え動作を実行する。
【0059】
次に、電子ビューファインダモード中において、撮影モードダイアル115、AF動作モードボタン118、または測光動作モード切換ボタン119が操作された場合の撮像装置の動作について、図5を参照して説明する。
【0060】
図5は、電子ビューファインダモード中において、撮影モードダイアル115、AF動作モードボタン118、または測光動作モード切換ボタン119が操作されたときに、制御部123において行われる処理を示すフローチャートである。
【0061】
電子ビューファインダモード中において、撮影モードダイアル115、AF動作モードボタン118、または測光動作モード切換ボタン119が操作されると、図5に示す処理が実行される。
【0062】
まず、撮影モードダイアル115が操作されたのか、AF動作モードボタン118または測光動作モード切換ボタン119が操作されたのかを確認する(S301)。その結果、操作された操作部材が、撮影モードダイアル115であるならば(S302でYES)ステップS303へ進む。一方、AF動作モードボタン118または測光動作モード切換ボタン119が操作されたのであれば(S302でNO)ステップS304へ進む。
【0063】
ステップS303では、撮影モードダイアル115によってスポーツモードまたは自動深度優先AEモードに変更されたか否かを判別する。その結果、撮影モードダイアル115によってスポーツモードまたは自動深度優先AEモードに変更されていれば、ステップS307へ進む。一方、撮影モードダイアル115によってスポーツモードおよび自動深度優先AEモード以外の撮影モードに変更されていれば、ステップS305へ進む。
【0064】
ステップS307では、図4に示す電子ビューファインダモードから光学ファインダモードへの切換の処理に移行し、本処理を終了する。
【0065】
ステップS305では、撮影モードダイアル115によって変更された撮影モードを実行し、本処理を終了する。
【0066】
ステップS304では、AF動作モードボタン118によってワンショットAFからサーボAFに変更されたか否かを判別する。その結果、ワンショットAFからサーボAFに変更された場合には、ステップS306へ進み、ワンショットAFのままであれば、ステップS308に進む。
【0067】
ステップS306では、サーボAFへの変更を受け付けず、電子ビューファインダモード中はサーボAFに変更できない旨を警告表示して、ステップS308に進む。
【0068】
ステップS308では、測光動作モードボタン119によって評価測光から部分測光に変更されたか否かを判別する。その結果、評価測光から部分測光に変更された場合には、ステップS309へ進み、評価測光のままであれば、本処理を終える。
【0069】
ステップS309では、部分測光への変更を受け付けず、電子ビューファインダモード中は部分測光に変更できない旨を警告表示して、本処理を終える。
【0070】
以上のように、本実施の形態によれば、ライブビュー画像(電子ビューファインダ画像)および非ライブビュー画像(光学ファインダ画像)を参照した各静止画撮影の相互遷移時において、両者における各設定値が自動的に整合される。また、整合に関わる警告表示が行われる。これによって、優れた操作性を実現している。
【0071】
〔他の実施の形態〕
本発明の目的は、以下の処理を実行することによって達成される。すなわち、上述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムまたは装置に供給する。そして、そのシステムまたは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。
【0072】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0073】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。すなわち例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードを、ネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0074】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0075】
更に、前述した実施の形態の機能が以下の処理によって実現される場合も本発明に含まれる。すなわち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施の形態に係る撮像装置の機械的構成を示す内部構成図である。
【図2】図1に示す撮像装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】光学ファインダモードから電子ビューファインダモードへの切換動作時に、制御部において行われる処理を示すフローチャートである。
【図4】電子ビューファインダモードから光学ファインダモードへの切換動作時に、制御部において行われる処理を示すフローチャートである。
【図5】電子ビューファインダモード中において、撮影モードダイアル、AF動作モードボタン、または測光動作モード切換ボタンが操作されたときに、制御部において行われる処理を示すフローチャートである。
【図6】撮影モードダイアルの詳細な構成を示す外観図である。
【符号の説明】
【0077】
101:カメラ本体
102:撮影レンズ
103:結像光学系
104:絞り機構
105:主ミラー
106:サブミラー
107:焦点検出部
108:シャッタ機構
109:撮像素子
110:表示部(画像表示部)
111:フォーカシングスクリーン
112:ペンタプリズム
113:接眼レンズ
114:ファインダ光学系(光学式ファインダ)
115:撮影モードダイアル
116:レリーズスイッチ
117:ファインダモード切換スイッチ
118:AF動作モード切換ボタン
120:A/D変換部
121:撮像系処理部
122:記憶部
123:制御部
124:再生部
125:入力部
131:測光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学ファインダと、
電子ビューファインダと、
前記電子ビューファインダにて被写体を観察する電子ビューファインダモードと、前記光学ファインダにて被写体を観察する光学ファインダモードとを切り換えるファインダモード切換手段と、
第1の操作部材の位置によって設定される設定状態を表す第1の操作手段と、
第2の操作部材の位置と設定される設定状態とが無関係である第2の操作手段と、
前記光学ファインダモード時に、前記第1の操作手段によって、前記電子ビューファインダモードに適さない設定が行われている場合には、前記電子ビューファインダモードへの切換動作を実行せず、前記第2の操作手段によって、前記電子ビューファインダモードに適さない設定が行われている場合には、前記第2の操作手段による前記電子ビューファインダモードに適さない設定を強制的に解除して、前記電子ビューファインダモードへの切換動作を実行するように制御する制御手段と
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1の操作手段による前記電子ビューファインダモードに適さない設定が行われていることで、前記電子ビューファインダモードへの切換動作を実行できない場合、または前記第2の操作手段による前記電子ビューファインダモードに適さない設定を強制的に解除したことを警告する警告手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第2の操作手段による前記電子ビューファインダモードに適さない設定を強制的に解除して、前記電子ビューファインダモードへの切換動作を実行したのち、再度前記光学ファインダモードに切り換えられる場合に、前記制御手段は、解除した設定を再現するように制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
光学ファインダと、
電子ビューファインダと、
前記電子ビューファインダにて被写体を観察する電子ビューファインダモードと、前記光学ファインダにて被写体を観察する光学ファインダモードとを切り換えるファインダモード切換手段と、
第1の操作部材の位置によって設定される設定状態を表す第1の操作手段と、
第2の操作部材の位置と設定される設定状態とが無関係である第2の操作手段と、
前記電子ビューファインダモード時に、前記第1の操作手段によって、前記電子ビューファインダモードに適さない設定が行われた場合には、強制的に前記光学ファインダモードへの切換動作を実行し、前記第2の操作手段によって、前記電子ビューファインダモードに適さない設定が行われた場合には、前記電子ビューファインダモードを維持したまま、前記第2の操作手段による前記電子ビューファインダモードに適さない設定を実行しないように制御する制御手段と
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
前記第1の操作部材はモードダイアルであり、前記第2の操作部材は押し釦スイッチであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1の操作部材は、撮影モードを設定する撮影モードダイアルであり、前記第2の操作部材は、AF動作モードを設定する押し釦スイッチであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1の操作手段によって設定される前記電子ビューファインダモードに適さない設定は、移動体の撮影に適した撮影モードであり、前記第2の操作手段によって設定される前記電子ビューファインダモードに適さない設定は、AF動作を連続的に繰り返すAF動作モードであることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1の操作部材は、撮影モードを設定する撮影モードダイアルであり、前記第2の操作部材は、測光動作モードを設定する押し釦スイッチであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第1の操作手段によって設定される前記電子ビューファインダモードに適さない設定は、移動体の撮影に適した撮影モードであり、前記第2の操作手段によって設定される前記電子ビューファインダモードに適さない設定は、撮影範囲を部分的に測光する部分測光モードであることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−191577(P2008−191577A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28275(P2007−28275)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】