説明

撮像装置

【課題】 カメラを防水ケースに収納する際に他の手間がかからず、別のカメラを防水ケースに収納したときでも手動設定のプログラムAEを設定し直す必要がなく、簡単な操作でモード切替/撮影等ができるカメラ及び防水ケースを提供する。
【解決手段】 防水ケースは無線タグを備え、カメラには無線タグの情報を読み書きする手段を備える。また、防水ケース収納時の撮影に適したカメラの情報、例えばプログラムAEの各パラメータや操作部材の機能割り当て情報を無線タグに書き込み可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びその付属品に関し、特に、防水ケースのような装脱可能な付属品を備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の撮像装置、例えば、カメラを用いて水中撮影を行う場合、カメラに水が浸入するのを防止するため、防水構造(更には耐圧構造)を有する専用のケース(以下、「防水ケース」という)にカメラを収納している。カメラを防水ケースに収納した状態で適切な水中撮影が行えるように、通信線を介してカメラと防水ケースを接続し、カメラが防水ケースに収納された時、収納状態を検出し、制御手段が必要な初期設定を実行するものがある。(例えば、特許文献1参照。)その制御手段は、水中撮影を行うに適したプログラムAEが予め設定してあり、また手動によりプログラムAEを設定することもできる。
【特許文献1】特開平10−333233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1のようにカメラを防水ケースに収納する前にカメラと防水ケースを通信線で接続するのは煩雑であり、通信線のスペースを取るために防水ケースがより大型になりかねない。なお、手動で設定したプログラムAEはカメラ本体に記憶される。友人で同じカメラを持っていて、防水ケースを貸し借りしあう場合は手動設定を繰り返さなければならない。
【0004】
また、カメラを防水ケースに収納していても常時水中で撮影するとは限らず、陸上で撮影することも多い。そのときはもちろん水中モードではなく、ビーチモードなどの陸上に適したモードで撮影するのが好ましい。上記従来例では、水中と陸上のモード切り替えについては触れておらず、通常のモード切替と同様に防水ケースに入れた状態で、ダイヤル・ボタンなどの操作部材を操作しなければならない。
【0005】
防水ケースに入れた状態では、通常時に比べて操作性が低下することは避けられず、それに加え水中での撮影となれば、より操作は難しくなる。例えば、スキューバダイビング時では手袋をはめた状態でレリーズボタンを押さなければならない。デジタルカメラでは普通、半押し(SW1)で合焦させてから、SW2で画像を記録するが、手袋をはめた状態でかつ防水ケースに入れた状態では、レリーズを半押しに維持することは難しい。SW1を無視して、SW2のみで撮影することもできるが、ピンぼけした画像になったり、もしくはレリーズタイムラグによりシャッターチャンスを逃す場合もある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、カメラを防水ケースに収納する際に他の手間がかからず、別のカメラを防水ケースに収納したときでも手動設定のプログラムAEを設定し直す必要がなく、簡単な操作でモード切替/撮影等ができるカメラ及び防水ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願に係る発明の目的を実現する具体的な構成は、請求項1に記載のように、撮像装置は、該撮像装置に取り付け可能な付属品を備え、前記付属品には無線タグを具備し、前記撮像装置には前記無線タグの情報を読み書きする手段を具備したことを特徴とする撮像装置にある。
【0008】
この構成によれば、撮像装置に付属品を取り付けるときに撮像装置と付属品を接続するための余計な手間がかからず、撮像装置と付属品との通信が可能となる。
【0009】
本出願に係る発明の目的を実現する具体的な構成は、請求項2に記載のように、
前記撮像装置は、前記読み書きする手段が前記無線タグからの信号を受信し、前記付属品が前記撮像装置に取り付けられていることを検知する検知手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置にある。
【0010】
この構成によれば、撮像装置に付属品を取り付けたときに、撮像装置側の無線タグを読み書きする手段が付属品の装着を検知して、初期設定等の処理に利用することが可能になる。
【0011】
本出願に係る発明の目的を実現する具体的な構成は、請求項3に記載のように、
前記撮像装置は、前記付属品が前記撮像装置に取り付けられていることを検知すると、前記撮像装置の制御を変更することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置にある。
【0012】
この構成によれば、付属品を撮像装置に取り付けたときに、設定を変更する手間が省け、また設定を変更し忘れることを防止することができる。
【0013】
本出願に係る発明の目的を実現する具体的な構成は、請求項4に記載のように、
前記無線タグには、前記付属品を取り付けた状態での撮影に適した露出制御に関する情報が予め設定されている、もしくは書き込み可能であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の撮像装置にある。
【0014】
この構成によれば、付属品を撮像装置に取り付けたときに、その付属品を取り付けた状態での最適な露出制御に変更することができるし、ユーザの好みに合わせた露出制御に変更することもできる。
【0015】
本出願に係る発明の目的を実現する具体的な構成は、請求項5に記載のように、
前記無線タグには、前記付属品を取り付けた状態での撮影に適した操作系制御に関する情報が予め設定されている、もしくは書き込み可能であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の撮像装置にある。
【0016】
この構成によれば、付属品を撮像装置に取り付けたときに、その付属品を取り付けた状態での最適な操作系制御に変更することができるし、ユーザの好みに合わせた操作系制御に変更することもできる。
【0017】
本出願に係る発明の目的を実現する具体的な構成は、請求項6に記載のように、
前記付属品は、前記撮像装置を収納する防水ケースであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の撮像装置にある。
【0018】
この構成によれば、撮像装置を防水ケースに収納すると、撮像装置が防水ケース収納状態を検知して、制御を変更することが可能となり、ユーザが設定を変更する手間が省ける。
【0019】
本出願に係る発明の目的を実現する具体的な構成は、請求項7に記載のように、
前記無線タグには、水中撮影に適した露出制御に関する情報が予め設定されている、もしくは書き込み可能であることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置にある。
【0020】
この構成によれば、水中撮影に適した露出制御、例えば水中モードや、ユーザが自分の好みに合わせた水中モードが選択され、防水ケースを装着するたびに露出制御を変更する必要がない。
【0021】
本出願に係る発明の目的を実現する具体的な構成は、請求項8に記載のように、
前記無線タグには、前記防水ケースに前記撮像装置を収納した状態での撮影に適した操作部材の機能割り当て情報が書き込み可能であることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置にある。
【0022】
この構成によれば、撮像装置を防水ケースに収納した状態で、ユーザが撮影及び操作しやすいように操作部材の機能が変更されたり、ユーザが自分の好みに合わせて操作部材の機能を自由に変更することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、カメラを防水ケースに収納する際に他の手間がかからず、別のカメラを防水ケースに収納したときでも手動設定のプログラムAEを設定し直す必要がなく、簡単な操作でモード切替/撮影等ができるカメラ及び防水ケースを提供することことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0026】
図1は、本発明の1実施形態に係るカメラの外観図であり、図2はカメラ本体1を収納することができる防水ケースの外観図である。
【0027】
まず、カメラについて説明する。図1においてカメラ本体1の上面には、電源ボタン3、レリーズボタン4、ズームダイヤル5、モードレバー2が設けられている。電源ボタン3はカメラの電源をON/OFFするための手動操作部材である。レリーズボタン4はユーザがカメラに対して撮影開始を指示するための手動操作部材である。ズームダイヤル5は撮影の画角を広角もしくは望遠側に調整する手動操作部材である。モードレバー2はカメラのモードを例えば、撮影モード、再生モード、動画モード、シーンモードなどそれぞれのモードに切り替えるための手動操作部材である。シーンモードには、夜景、パーティー、ビーチ、スノー、水中、打ち上げ花火、新緑/紅葉・・・など様々なシチュエーションに適したプログラムAEが予め設定されている。なお、モードは上記に挙げた4つに限るものではない。
【0028】
カメラ本体1の背面にはダイレクトプリントボタン6、確定ボタン7、十字キー8、ディスプレイボタン9、メニューボタン10、液晶モニタ11が設けられている。ダイレクトプリントボタン6はカメラとプリンタを接続して画像を印刷するときに用いる手動操作部材である。確定ボタン7は十字キー8やメニューボタン10などでカメラの各種選択設定を行い、その選択を確定するための手動操作部材である。ディスプレイボタン9は液晶モニタ11の表示をON/OFFにしたり、表示内容を変更するための手動操作部材である。なお、手動操作部材は上記に挙げたものに限らない。
【0029】
図1に示すカメラのカメラ本体1の前面(図面奥側)には、不図示の撮影レンズが設けられている。撮影レンズは不図示の被写体からの光束をカメラ内部の撮像部に入射させるためのレンズ系である。
【0030】
次に防水ケースについて説明する。図2に示すように、防水ケース21には、図1に示すカメラの手動操作部材に対応して設けられ、図1に示すカメラの手動操作部材と同じ機能を有する手動操作部材が設けられている。即ち、防水ケース21の上面には、カメラのレリーズボタン4に対応したレリーズボタン24、カメラのズームダイヤル5に対応したズームダイヤル25、カメラの電源ボタン3に対応した電源ボタン23・・・が設けられている。防水ケースの背面側も同様にカメラの手動操作部材に対応した各種ボタンが設けられている。なお、防水ケース21の手動操作部材もカメラ本体と同様に更に多くの手動操作部材を設けるようにしても良い。
【0031】
防水ケースの内部には、カメラ本体1の内部にある不図示のICタグリーダ/ライタと通信を行うためのICタグ41が設けられている。ICタグ41はカメラ内部のICタグリーダ/ライタからの電波を送受信するアンテナを備え、電波を受信すると、電磁誘導作用により電源供給を受けて動作するようになる。よって防水ケースの内部には電源を内蔵させる必要がない。
【0032】
図3は本発明における1実施形態の処理を示すフローチャートである。尚、以下の各フローチャートにおける“S”は、ステップを表している。
【0033】
まず、電源ボタンを押してカメラの電源を起動する(S101)。次にカメラが防水ケースに収納されているかどうかを判断する(S102)。カメラの起動と同時にカメラ内部のICタグリーダ/ライタから電波が送信される。このとき、防水ケースに収納されていなければ、何も起こらないためカメラの制御部は防水ケースに収納されていないと判断し、撮影スタンバイに移行する。カメラが防水ケースに収納されていれば、防水ケース内部のICタグ41が動作し、ICタグ41はICタグリーダ/ライタに電波を送信する。ICタグリーダ/ライタがICタグ41からの電波を受信すると、カメラの制御部はカメラが防水ケースに収納されたと判断する。
【0034】
防水ケースに収納されたことを検知すると、次に前回設定したモード/キー配置をそのまま使用するかどうかを問うメッセージが液晶モニタ11に表示される(S103)。ここで、“はい”を選択すると、前回設定したモード/キー配置をそのまま使用して、撮影スタンバイに移行する。“いいえ”を選択、もしくは防水ケースを初めて使用する場合は、モード選択画面へと移行する。
【0035】
モード選択では、例えば図4のような画面が液晶モニタに表示される(S104)。水中モード1はもともとカメラに設定されているプログラムAEであり、水中モード2はユーザが自分の好みに合わせて設定したプログラムAEである。防水ケースを初めて使用するときは、手動設定により種々のパラメータを設定する。防水ケースに入れていても水中で使うとは限らないので、標準モードも選択できるようにしておくのが好ましい。なお、水中モードは更に複数あってもよく、またビーチモードなど、防水ケースに入れているときに使用されると考えられるモードをモード選択画面に表示しても良い。
【0036】
次に、キー配置選択画面へと移行する。キー配置選択では、例えば図5のような画面が液晶モニタに表示される(S105)。ここでは、防水ケース使用時に、あれば便利だと考えられるキーを別途設定することができる。例えば、レリーズのSW1を、防水ケース使用時では普段使わないダイレクトプリントボタンに設定し、レリーズのSW2はそのままとする。この設定により、防水ケース使用時では維持しにくいレリーズSW1の半押し状態がなくなり、AFが確実に行えるようになる。また、水中モードと標準モードの切り替えをモードレバー/モードダイヤルを操作せず、ボタン1つで切り替えられるワンタッチ切り替えボタンを例えばディスプレイボタンに割り当てる。これにより、水中から陸上に上がってすぐに撮影したいときや、逆にビーチで撮影後に水中に入り、すぐに撮影したいときなどにモードの切り替えをスムーズに行うことができる。なお、キー配置の設定はこれに限らず、防水ケース使用時に便利だと思うものなら何でも良いし、ユーザが好みに合わせて設定することが出来ても良い。
【0037】
キー配置を設定し終えると撮影スタンバイに移行する。
【0038】
図3のフローチャートでは、防水ケース使用時に必ずステップS103へと移行するが、カメラの起動時に毎回ステップS103で選択するのも煩わしいので、選択する必要なく前回の設定を使用し、撮影スタンバイに移行することも、ユーザの設定により可能とする。つまり、防水ケースに収納してカメラを起動すると、ステップS103をスキップし、前回の設定を使用してすぐに撮影スタンバイに移行することもできるのである。
【0039】
上記で設定したモード、キー配置、スキップ情報などは全て防水ケースに設けられているICタグ41に記憶される。例えば、ステップS103で前回の設定を使用せず、モードやキー配置を変更した場合は、カメラ内部のICタグリーダ/ライタが電波を送信して、ICタグ41のメモリ情報を書き換える。モード、キー配置、スキップ情報は防水ケース側に記憶されるため、友人が同じカメラを持っていて防水ケースを貸し借りし合う場合でも1から設定し直す必要がない。
【0040】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0041】
さらに、上記した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の1実施形態に係るカメラの外観図。
【図2】カメラ本体1を収納することができる防水ケースの外観図。
【図3】本発明の撮像装置における1実施形態の処理を説明するフローチャート。
【図4】図3のフローチャートにおいてステップS104で液晶モニタに表示される画面の一例。
【図5】図3のフローチャートにおいてステップS105で液晶モニタに表示される画面の一例。
【符号の説明】
【0043】
1 カメラ本体
21 防水ケース
2,22 モードレバー
3,23 電源ボタン
4,24 レリーズボタン
5,25 ズームダイヤル
6,26 ダイレクトプリントボタン
7,27 確定ボタン
8 十字キー
9,29 ディスプレイボタン
10,30 メニューボタン
11 液晶モニタ
41 ICタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
付属品を取り付け可能な撮像装置であって、
前記付属品には無線タグを具備し、
前記撮像装置には前記無線タグの情報を読み書きする手段を具備したことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像装置は、前記読み書きする手段が前記無線タグからの信号を受信し、前記付属品が前記撮像装置に取り付けられていることを検知する検知手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像装置は、前記付属品が前記撮像装置に取り付けられていることを検知すると、前記撮像装置の制御を変更することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記無線タグには、前記付属品を取り付けた状態での撮影に適した露出制御に関する情報が予め設定されている、もしくは書き込み可能であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記無線タグには、前記付属品を取り付けた状態での撮影に適した操作系制御に関する情報が予め設定されている、もしくは書き込み可能であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記付属品は、前記撮像装置を収納する防水ケースであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項7】
前記無線タグには、水中撮影に適した露出制御に関する情報が予め設定されている、もしくは書き込み可能であることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記無線タグには、前記防水ケースに前記撮像装置を収納した状態での撮影に適した操作部材の機能割り当て情報が書き込み可能であることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−139727(P2009−139727A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317275(P2007−317275)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】