説明

撮影装置及びその制御方法、プログラム、並びに記録媒体

【課題】本発明は、撮影装置を密閉容器に収納する前にすべき撮影準備作業に不備があっても、その不備をユーザに気付かせることが可能な撮影装置を提供する。
【解決手段】ビデオカムコーダ100では、水中モードまたは水上モードに移行したか否かを判定し、当該モードに移行したと判定したときは、ビデオカムコーダを防水ケースに収納する前にすべき撮影準備作業が行われたかを確認し、その結果をユーザに通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画又は静止画を撮影する撮影装置に関し、特に、防水ケースに収納して使用することができる撮影装置及びその制御方法、プログラム、並びに記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のデジタルカメラやビデオカムコーダには、夜景やスポーツなどの特定シーンの撮影に最適な露出プログラムやセッティングを予め記憶し、撮影シーンに合わせてそれらを呼び出して撮影を行うためのシーンモードという機能がある。このシーンモードのバリエーションの1つには、水中撮影に適した設定(以下、「水中モード」と記す)がある。
【0003】
水中撮影では、レンズと被写体の間に水が媒介することになり、水の光学特性によってホワイトバランスや露出特性が空気中とは大きく異なってくる。そのため、水中モードでは、水中特有の光学特性を補正する設定がなされている。
【0004】
水中撮影を行う場合、撮影装置自体が防水構造を有するもの以外は、撮影装置を密閉容器に収納する必要がある。このような密閉容器は、一般的に「防水ケース」、「水中パック」と呼ばれる。
【0005】
防水ケースを利用して水中撮影を行う場合、防水性能を高めるために、開閉構造を有する蓋の接点部分の隙間へグリスを塗布したり、周囲温度の急激な変化によって防水ケース内に結露が生じないように吸湿材を収納する必要もある。いずれの作業も十分な効果が得られる状態になるまでには時間を要するために、再度防水ケースの蓋の開閉を行うことは避けたい事態である。
【0006】
しかしながら、撮影装置を防水ケースに収納して、上述した防水処理を行った後に、撮影装置のシーンモードを水中モードに変更するのを忘れていたことに気付いた場合、再度、防水ケースの蓋を開閉して防水処理を行わなければならない。これは、ユーザに不要な負担を掛けることになる。
【0007】
上述の様な事態を回避するためには、撮影装置が防水ケースに収納されたことを検出することで、自動的にシーンモードを水中モードへと変更する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、有線通信又は無線通信によるリモートコントロールによって、防水ケースの開閉作業をすることなく、撮影装置のシーンモードを変更することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−194984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来例では、防水ケースへの収納を検出した結果やリモコン等からの通信情報をきっかけにして、ソフトウェアによる制御で設定を変更できる範囲が対象となるために、次のような問題点がある。すなわち、撮影準備作業は、シーンモードの設定を始めとするソフトウェア制御による設定変更だけに止まらない。例えば、十分な充電残量がある電池の装着や記録媒体の装着など、撮影装置に直接触れることでのみ可能となる作業が存在する。これらの作業は、防水ケースの蓋を閉じた後には、再度蓋を開かない限り、変更が不可能となる。
【0010】
このように、従来の撮影装置には、撮影装置を防水ケースに収納する前にすべき撮影準備作業に不備があった場合に、その不備をユーザに気付かせる方法が無いと問題がある。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、撮影装置を密閉容器に収納する前にすべき撮影準備作業に不備があっても、その不備をユーザに気付かせることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、外部から撮影装置を操作するための外部操作装置と有線又は無線により通信を行う通信手段と、撮影装置を密閉容器に収納して使用する特殊な環境での撮影を行うための撮影モードとを有する撮影装置において、前記撮影モードに移行したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記撮影モードに移行したと判定されたときは、前記撮影装置を密閉容器に収納する前にすべき撮影準備作業が行われたかを確認する確認手段と、前記確認手段による確認結果をユーザに通知する通知手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、撮影装置を密閉容器に収納する前にすべき撮影準備作業に不備があっても、その不備をユーザに気付かせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る撮影装置の一例であるビデオカムコーダの概略構成を示す図である。
【図2】ビデオカムコーダのディスプレイに表示される画面の一例を示す図であり、(a)は通常撮影時、(b)は水中モードに移行した直後である。
【図3】電源ON後のビデオカムコーダの動作処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る撮影装置の一例であるビデオカムコーダの概略構成を示す図である。
【0017】
図1において、ビデオカムコーダ100は、内部バス111を介して互いに接続されたCPU(中央演算装置)101、プログラムROM102、メモリ103、ディスプレイ104、操作部105を備える。また、ビデオカムコーダ100は、記録媒体ドライブ106、通信インターフェイス(I/F)107、電池108を備える。なお、本発明に関連する部分についてのみ図示例で説明しており、撮影レンズやCCD等のその他の部分については省略している。
【0018】
CPU101は、ビデオカムコーダ100の動作を制御する演算処理装置である。CPU101は、操作部105等を介してユーザからの指示を受け付けて、後述する各種プログラムを実行すると共に、ディスプレイ104の表示制御を行う。プログラムROM102には、データや、CPU101の動作処理手順(例えばビデオカムコーダの立ち上げ処理や基本入出力処理、後述する本発明の各処理等のプログラム)が記録されている。メモリ103は、CPU101のワークエリアとして使用される。
【0019】
ディスプレイ104は、グラフィックユーザインターフェース(GUI)を提供するための表示部である。ディスプレイ104には、後述する画像や表示アイテムが表示される。操作部105は、ユーザからの指示を受け付けるためのユーザインターフェースであり、スイッチやダイヤル等が配置されている。ユーザは、操作部105を操作することで、ビデオカムコーダ100の様々な設定を変更することができる。例えば、操作部105では、スタート/ストップ、再生、ポーズ、早送り、巻き戻し、スロー、コマ送り、電源ON/OFF等の操作を行うことができる。また、操作部105では、ビデオカムコーダ100に対してシーンモードや撮影モードの設定を行うことができる。
【0020】
記録媒体ドライブ106は、カード形状のフラッシュメモリからなる記録媒体109が挿脱可能に構成された装置である。記録媒体ドライブ106は、装着された記録媒体109からデータの読み出しや、記録媒体109へのデータの書き込みを行う。なお、以下に説明するデータには、特に言及がない場合、静止画データと動画データが含まれるものとする。
【0021】
また、記録媒体ドライブ106には、記録媒体109の装着有無を検出するためのセンサが内蔵されている。なお、記録媒体109の装着有無を検出するセンサの種類や構造は、どのようなものであってもよい。このセンサによる検出結果は、内部バス111を介してCPU101に通知される。
【0022】
また、記録媒体ドライブ106は、装着された記録媒体109の残容量を検出して、CPU101に通知する機能を有する。
【0023】
I/F107は、ビデオカムコーダ100の外部にある外部操作装置110との間で有線通信又は無線通信を行う。図示例では、I/F107と外部操作装置との間で無線通信が行われるものとする。有線通信の場合には、I/F107と外部操作装置110との間をケーブル等で接続する。
【0024】
外部操作装置110には、スタート/ストップ、再生、ポーズ、早送り、巻き戻し、スロー、コマ送り、電源ON/OFF等の操作ボタンが配置されている。なお、操作ボタンの種類は、これらに限定されるものではない。外部操作装置110に設けられた操作ボタンは、操作部105にも配置されているが、操作ボタンの種類が限定されている。外部操作装置110は、ユーザに操作された内容をコマンドとして有線通信又は無線通信によりI/F107へ送信する機能を有する。I/F107は、受信したコマンドを内部バス111を介してCPU101に通知する。
【0025】
電池108は、リチウムイオン電池等の充電可能な電池であり、ビデオカムコーダ100内の各部に電力を供給する。また、電池108は、その内部に組み込まれた不図示の充電容量検出回路やCPUによるプログラム処理により電池の残量を検出して、その検出結果をCPU101に通知する機能を有する。
【0026】
次に、図1のビデオカムコーダ100における水中モードについて説明する。この水中モードは、上述したように、ビデオカムコーダ100を防水ケースに収納して使用する特殊な環境で撮影を行うための撮影モードである。
【0027】
図1のビデオカムコーダ100は防水構造を有するものではないことから、水中撮影を行う場合には、ユーザがビデオカムコーダ100を防水ケース(密閉容器)に収納する必要がある。そして、ビデオカムコーダ100を防水ケースに収納して蓋を閉じる前に直接触れて必要な撮影準備作業を行わないと、ケースの蓋を開けて作業を行った後に再び蓋を閉じる必要がある。以下に、防水ケースにビデオカムコーダを収納する前に必要な撮影準備作業とその理由を挙げる。
【0028】
(1)水中モードの設定確認
「水中モード」に設定することなく防水ケースを閉じてしまうと、水中撮影に適した設定で撮影を行うことができない。
【0029】
(2)外部操作装置110との無線(または有線)通信の有効/無効設定
無線(または有線)通信の有効/無効設定が「無効」に設定された状態で防水ケースの蓋を閉じてしまうと、外部操作装置110によるビデオカムコーダ100の操作を行うことができない。
【0030】
(3)記録媒体109の装着有無
記録媒体109が未装着状態で防水ケースの蓋を閉じてしまうと、再度蓋を開閉する必要がある。なお、ビデオカムコーダ100が内蔵する記録媒体を有している場合には問題とならない。防水ケースの蓋を再度開閉する必要がある。
【0031】
(4)記録媒体109の残容量の確認
記録媒体109の記録容量の空き(残容量)が少ない状態で防水ケースの蓋を閉じてしまうと、予定していた撮影を十分に行うことができない。また、記録媒体109に記録済みのデータを消去しなければならない場合がある。そのため、防水ケースの蓋を再度開閉する必要がある。
【0032】
(5)電池108の残量の確認
電池108の残量が少ないことに気付かずに防水ケースを閉じてしまうと、当初見込んでいた撮影可能時間が少なくなり、十分な撮影を行うことができない。また、電池自体の劣化や長期間放置による自然放電により、ユーザが見込んでいた残量よりも大幅に減少してしまうことも起こり得る。そのため、防水ケースの蓋を再度開閉する必要がある。
【0033】
(6)撮影モードの設定確認
動画撮影モード/静止画撮影モードの設定が操作部105でのみ設定可能な場合、必要な設定を行わずに防水ケースを閉じてしまうと、再度蓋を開閉する必要がある。
【0034】
次に、ビデオカムコーダ100において、水中モードで撮影する際の動作処理について図2、図3を用いて説明する。
【0035】
図2(a)は、通常撮影時にディスプレイ104に表示する表示画面の一例を示す図である。図2(b)は、通常撮影から水中モードに移行した直後にディスプレイ104に表示する表示画面の一例を示す図である。なお、通常撮影時とは、シーンモード等が何も設定されていない平常状態をいう。
【0036】
図2(a)において、平常状態におけるディスプレイ104には、シーンモードアイコン201と、撮影モードアイコン202と、電池残量アイコン203と、記録媒体残容量アイコン204とが表示されている。
【0037】
シーンモードアイコン201は、現在のシーンモードの設定をユーザに認識させるためのアイコン表示であり、操作部105上でシーンモードの設定が変更されると、アイコンの表示形状や状態が変更される。撮影モードアイコン202は、現在の撮影モードの設定をユーザに認識させるためのアイコン表示であり、動画撮影モード又は静止画撮影モードのいずれかに設定変更されると、アイコンの表示形状や状態が変更される。
【0038】
電池残量アイコン203は、電池108の残量をユーザに認識させるためのアイコン表示である。記録媒体残容量アイコン204は、記録媒体ドライブ106に装着された記録媒体109の残容量をユーザに認識させるためのアイコン表示である。
【0039】
図2(b)の水中モードに移行した直後のディスプレイ104には、水中モードアイコン205、リモコン無効アイコン206、記録媒体の使用不可能アイコン207、記録媒体の残容量不足警告アイコン208が表示されている。また、ディスプレイ104には、電池残量警告アイコン209、撮影モード警告アイコン210が表示されている。これらのアイコン表示については後述する。
【0040】
図3は、電源ON後のビデオカムコーダ100の動作処理を表すフローチャートである。なお、本処理については、CPU101がプログラムROM102から制御プログラムを読み出して実行するものである。
【0041】
ユーザが水中撮影を行う場合、ビデオカムコーダ100のシーンモードを「水中モード」に設定変更した後に防水ケースに当該装置を収納して蓋を閉めるという手順を採ることが多い。このとき、ビデオカムコーダ100が水中モードに移行したことを確認するために、ユーザはディスプレイ104の表示画面を見ると予想される。そこで、ビデオカムコーダ100では、防水ケースに収納して蓋が閉じる前にユーザに上述した撮影準備作業を的確に行わせるべく、水中モードに移行した際に撮影準備作業が的確に行われたか否かを判定し、その旨をディスプレイ104に表示する。
【0042】
図3において、まず、CPU101は、シーンモードが水中モードに設定されたか否かを判定する(ステップS311)。CPU101は、操作部105に対する水中モードへの設定変更の操作を検出すると、シーンモードアイコン201の表示を水中モードアイコン205の表示に変更する(ステップS313)。他の実施形態として、水中モードと同じく防水ケースの使用を想定し、かつ、水中モードとは若干異なる水上撮影に適した設定の「水上モード」設定が存在した場合には、次のように処理動作を行ってもよい。すなわち、水上モードへの設定変更の操作を検出すると、シーンモードアイコン201の表示を水上モードアイコン(不図示)の表示に変更する(ステップS312、S313)。なお、水上モードの設定が設けられていない場合、ステップS312は省略可能である。
【0043】
次に、CPU101は、外部操作装置110との通信設定が無効かを確認する(ステップS314)。CPU101は、外部操作装置110との通信設定が「無効」になっていることを検出すると、ディスプレイ104に図2(b)に示すリモコン無効アイコン206を表示するように決定する。実際のアイコン表示は、後述するステップS319の警告アイコン表示処理で行われる。
【0044】
次に、CPU101は、記録媒体109が記録媒体ドライブ106に装着され、かつ、データ書き込みが可能な状態にあるかを確認する(ステップS315)。CPU101は、記録媒体109の非装着状態を検出するか、もしくは装着されていてもデータ書き込みが不可能な状態であると判定すると、記録媒体の使用不可能アイコン207を表示するように決定する。
【0045】
なお、水中モードでない平常状態時でも、同様の意味を持つアイコンを表示することが可能ではある。しかしながら、ビデオカムコーダ100に内蔵された記録媒体を記録先として選択できる場合には、非選択媒体を表示することでの冗長性を軽減するために記録媒体109に関する表示をしないことが有用な手法として考えられる。この場合、記録媒体109に関する情報は、ディスプレイ104に表示されないため、ステップS315の結果に応じて、ステップS319でアイコン表示をすることに重要性が増してくる。
【0046】
また、平常状態においても、記録媒体109の非装着状態が検出されるか、もしくは装着されていてもデータ書き込みが不可能な状態であると判定された場合、記録媒体の使用不可能アイコン207を表示するように構成してもよい。この場合でも、ステップS315で改めて非装着状態又はデータ書き込み不可能状態であると判定されると、後述するステップS319で改めてユーザに注意喚起する表示を行う。改めてユーザに注意喚起する表示としては、例えば、既に表示されていた使用不可能アイコン207を点滅させたり、表示色を変更したりするとよい。
【0047】
次に、CPU101は、記録媒体109の残容量が適切であるかを確認する(ステップS316)。記録媒体109の残容量が適切であるための条件として以下の2つが考えられる。
【0048】
第1の条件には、現在の記録媒体109に記録できる記録量に対して、ビデオカムコーダ100に装着されている電池108の充電残量が十分であることが挙げられる。具体的には、ビデオカムコーダ100で設定できる最も高い動画記録モード(一般的にはビットレートで表現される)のときに、記録媒体109への単位時間当たりの記録量が最大である。
【0049】
そこで、現在の電池の残量を使って、カムコーダで設定可能な最高品質の記録モードで記録媒体に記録したときの第1の記録可能時間と、当該最高品質の記録モードで記録媒体の残容量がなくなるまでデータを記録したときの第2の記録可能時間とを比較する。そして、第1の記録可能時間が第2の記録可能時間よりも長いと予想される場合には、記録媒体109の残容量が適切でないと判定する。この場合、電池108の残量が尽きる前に、記録済みのデータを消去しない限り、記録媒体109に追加記録ができないおそれがあることから、ユーザに注意喚起を行うために、記録媒体の残容量不足警告アイコン208を表示するように決定する。
【0050】
なお、動画記録モードを高くするほどに消費電力も上昇するため、電池108の残量が尽きるまでの時間も若干短くはなるが、記録媒体の使用容量の増加の方が顕著である。従って、その時点でユーザにより設定された動画記録モードが最高品質の動画記録モードとは異なっていたとしても、撮影装置で設定可能な最高品質の動画記録モードで記録するときの記録可能時間を判定に用いることが望ましい。
【0051】
記録媒体の残容量不足警告アイコン208を画面表示する場合、後述する第2の条件よりも大きな影響が懸念されるため、アイコン表示色に赤色などを使用すると、ユーザに注意喚起を促せる。
【0052】
次に、第2の条件には、ビデオカムコーダ100に装着されている電池108の最大充電量に対して、現在の記録媒体109に記録できる記録量が十分であることが挙げられる。具体的には、上述した第1の条件と同様に、ビデオカムコーダ100で設定できる最高品質の動画記録モードのときに、記録媒体109への単位時間当たりの記録量が最大である。また、最高品質の動画記録モードが最も電池残量を消耗する記録モードである。そこで、最大充電状態の電池108を使って最高品質の記録モードで記録媒体109に記録したときの第3の記録可能時間と、最高品質の記録モードで記録媒体109の残容量がなくなるまでデータを記録したときの第2の記録可能時間とを比較する。そして、第3の記録可能時間が第2の記録可能時間よりも長いと予想される場合には、記録媒体109の残容量が適切でないと判定する。電池108が最大充電されることを考慮した場合、第1の条件と同様に、電池108の残量が尽きる前に、記録媒体109に記録されたデータの消去を行わない限り、データの追加記録ができないおそれがあるときは、以下を行う。すなわち、後述するステップS319においてユーザに注意喚起を行うために、記録媒体の残容量不足警告アイコン208を表示するように決定する。
【0053】
記録媒体の残容量不足警告アイコン208を画面表示する場合、上述した第1の条件と比べて深刻度が下がると考えられるために、アイコン表示色に黄色などを使用して、注意喚起の差別化を行うことができる。
【0054】
また、記録媒体の残容量不足警告アイコン208を表示する場合、最高品質の動画記録モードで記録媒体109に記録を行う際に不足する容量値を算出して、当該容量値をアイコン表示するように構成してもよい。これにより、ユーザが記録媒体109を交換するか否かを判断する際の一助となり、有用である。
【0055】
なお、単純に、現在の設定で記録媒体109に追加記録可能な記録可能時間が予め定められた閾値以下となっていた場合に、記録媒体の残容量不足警告アイコン208を表示するように決定してもよい。この場合の閾値は、通常撮影時(水中モード以外の撮影時)に記録媒体の残容量不足警告アイコンを表示する際の閾値より低く設定する。これは、防水ケースに収納して蓋をしてしまうと簡単には記録媒体を取り替えられないため、普段より余裕をもった段階で警告を発さなければならないためである。
【0056】
次に、CPU101は、電池108の残量が十分であるかを確認する(ステップS317)。
【0057】
ディスプレイ104には、図2(a)に示すように、平常時でも電池残量アイコン203が表示されている。電池残量アイコン203の残量表示は、一般的には残量の割合に応じて区分表示されている。例えば、残量が80%のときのアイコン表示と残量が100%のときのアイコン表示とでは同じアイコンが使用されることから、ユーザが電池108の残量を判別するのは難しい。例えば、80%以上の残量があったとしても、残量が減少していることに気付くような表示方法が期待される。そこで、平常時に電池残量アイコン203の表示形態を決定する際に使用されている第1の閾値とは異なる第2の閾値を用いて、残量が80%の場合と100%の場合とで異なる表示がなされるように電池残量警告アイコン209を表示する。この場合、平常時(通常撮影時)よりも水中モードの場合の方が、速く電池残量警告アイコン209を表示するように構成する。例えば、上述した閾値を95%に設定することによって、残量が90%のときには、電池残量警告アイコン209を表示することができる。
【0058】
ステップS317では、CPU101は、カムコーダに設定されている記録モードで記録媒体の残容量がなくなるまで記録するときの第4の記録可能時間を算出する。さらに、検出された電池の残量を使って、当該記録モードで記録媒体の残容量がなくなるまでデータを記録するときの第5の記録可能時間を算出する。そして、第4の記録可能時間と第5の記録可能時間とを比較し、第4の記録可能時間が第5の記録可能時間よりも長い場合には、電池残量不足の警告対象とする。これは、現在の記録媒体109の残容量を全て使い切るよりも早くに、電池残量を使い切ってしまった場合にはユーザの使い勝手が良くないからである。
【0059】
さらに、CPU101は、最大充電状態の電池108を使って、記録モードで記録媒体109に記録するときの第6の記録可能時間を算出し、第4の記録可能時間と第6の記録可能時間とを比較する。この結果、第4の記録可能時間が第6の記録可能時間よりも短い場合には、電池残量不足の警告対象としない。こうした条件を追加する理由は以下の通りである。すなわち、近年、記録媒体が大容量化しており、最大充電状態(満充電)の電池での撮影可能時間はせいぜい1〜3時間程度であるが、数十GBの記録媒体は数十時間も撮影が可能である。そして、記録媒体の残容量に十分な余裕があるときには、上述した「第5の記録可能時間<第4の記録可能時間」を満たすために常に警告対象となるが、警告がされても満充電以上の充電ができるわけでもないことからユーザを煩わすだけである。そこで、本実施形態では、上述した警告対象の例外条件を設定している。
【0060】
また、現在の記録媒体109の残容量を全て使い切るよりも早くに、ビデオカムコーダ100を駆動できなくなるおそれがある電池残量であった場合は、電池残量警告アイコン209を前例とは異なる様態で表示することも有用である。異なる様態とは、配色や形状の差異によって識別可能なものを意味する。ユーザがこの表示に気付くことで追加充電を行うきっかけを与えることができる。
【0061】
なお、撮影装置に利用される記録媒体の容量は非常に大きくなっているために、電池残量が100%であったとしても、アイコン表示の対象となる可能性が高くなっている。そのため、電池残量が100%付近であると認識された場合には、電池残量警告アイコン209を表示しないという制限を設けることによって表示の煩わしさを低減することができる。
【0062】
次に、CPU101は、現在選択されている撮影モードが動画撮影モードかを確認する(ステップS318)。
【0063】
近年のビデオカムコーダには、記録された動画の1コマから静止画を生成する機能を有するものがあることから、動画撮影モードであっても静止画が得られる。しかしながら、動画撮影モードで得られる静止画と静止画撮影モードで得られる静止画では、露出プログラム特性などの各種設定が異なることから、得られる静止画が異なる。一方、不定期な周期で撮影された複数の静止画から滑らかな繋がりを持った動画を生成することは非常に困難である。ユーザが意識的に静止画撮影モードを選択している場合は問題は無いが、動画を撮影する際に誤って静止画撮影モードのまま防水ケースに収納した場合には問題となる。また、外部操作装置110では、動画撮影モード/静止画撮影モードの切り替えが不可能な場合がある。そこで、水中モードに移行された際に動画を記録できない設定であることが検出された場合、撮影モード警告アイコン210を表示するように決定する。なお、図2(b)に示す撮影モード警告アイコン210は、静止画撮影モードであることを意味する。
【0064】
上述したステップS314〜ステップS318での確認結果は、ユーザに対して注意を喚起することが必要であると判断される項目であり、CPU101は、その判断結果に適したアイコン表示をステップS319で表示する。なお、ステップS319でのアイコンの表示方法は、ステップS314〜ステップS318で確認した際に条件に合致したものだけを表示する方法や、条件合致の当否状況に応じて配色や形状を変化させる方法が考えられる。例えば、図2(b)に示すアイコン表示となるのは、前者の方法では、ステップS314〜ステップS318の全ての条件が合致した場合である。一方、後者の方法では、例えば、各々の条件に合致しているものは赤色で、合致していないものは緑色で表示されることとなる。
【0065】
次に、CPU101は、予め設定された一定時間だけアイコン表示を行い、これを経過した後は(ステップS320でYES)、アイコン表示を終了する(ステップS322)。予め設定された一定時間とは、ユーザがその表示内容を把握するのに十分な時間であるか、または必要以上に表示され続けることで、ディスプレイ104の目的の1つである撮影画像のモニタ機能を阻害することが無い程度の時間が好ましい。具体的には、5秒〜10秒程度が好適である。
【0066】
また、ビデオカムコーダ100がシーンモードの記憶機能を備えている場合、水中モードを設定したまま電源オン/オフが繰り返されると、その都度に図3の処理が行われる。その結果、ディスプレイ104には、毎回、図2(b)に示すようなアイコン表示がなされ、ユーザに煩わしさを与えることになる。また、既に水中に潜っていて、直ぐに記録動作を行いたい場合もある。そこで、操作部105に対して何らかの操作がなされたことを検出すると、アイコン表示を終了するように構成してもよい(ステップS321,S322)。
【0067】
上述した一連の処理を終えると、ビデオカムコーダ100は通常のメインルーチン処理へと戻る。
【0068】
上記実施形態によれば、水中モードまたは水上モードに移行したか否かを判定し、当該モードに移行したと判定したときは、ビデオカムコーダを防水ケースに収納する前にすべき撮影準備作業が行われたかを確認し、その結果をユーザに通知する。これにより、ビデオカムコーダ100を防水ケースに収納する前にすべき撮影準備作業に不備があっても、その不備をユーザに気付かせることができる。
【0069】
上記実施形態では、ビデオカムコーダに挿脱可能な記録媒体について説明したが、ビデオカムコーダの内部に固定された記録媒体であってもよいし、ビデオカムコーダがこれら両方を備えた構成であってもよい。
【0070】
また、本実施形態に係る撮影装置の一例としてビデオカムコーダについて説明したが、これに限らず、デジタルカメラであっても、携帯テレビ、携帯電話やスマートフォン等の電子機器であってもよい。
【0071】
また、記録媒体109の一例としてカード形状のフラッシュメモリについて説明したが、データの書き込み及び読み出しが可能な記録媒体であれば、磁気テープ、光ディスク等であってもよい。
【0072】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【0073】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0074】
101 CPU
104 ディスプレイ
105 操作部
108 電池
109 記録媒体
110 外部操作装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から撮影装置を操作するための外部操作装置と有線又は無線により通信を行う通信手段と、撮影装置を密閉容器に収納して使用する特殊な環境での撮影を行うための撮影モードとを有する撮影装置において、
前記撮影モードに移行したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記撮影モードに移行したと判定されたときは、前記撮影装置を密閉容器に収納する前にすべき撮影準備作業が行われたかを確認する確認手段と、
前記確認手段による確認結果をユーザに通知する通知手段とを備えることを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記撮影準備作業には、前記外部操作装置による操作が不可能なもの、前記撮影装置に直接触れる必要があるものを含むことを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項3】
前記撮影モードには、水中撮影に適した設定の水中モード、水上撮影に適した設定の水上モードの少なくとも1つが含まれることを特徴とする請求項1又は2記載の撮影装置。
【請求項4】
前記確認手段は、前記通信手段による前記外部操作装置との通信設定が無効か否かを判定し、
前記通知手段は、前記確認手段により前記通信設定が無効であると判定されたときは、前記通信設定が無効であることをユーザに認識させるための表示を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項5】
挿脱可能な記録媒体及び内部に固定された記録媒体の少なくとも1つをさらに備え、
前記確認手段は、前記記録媒体が挿脱可能な記録媒体であるときには当該記録媒体が装着されたか否かを判定し、また前記記録媒体がデータの書き込みが可能な状態にあるか否かを判定し、
前記通知手段は、前記確認手段により前記記録媒体が未装着状態にあるか又は前記記録媒体にデータの書き込みが不可能な状態であると判定されたときは、かかる状態にあることをユーザに認識させるための表示を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項6】
前記確認手段は、前記記録媒体の残容量が適切か否かを判定し、
前記通知手段は、前記確認手段により前記記録媒体が適切でないと判定されたときは、前記記録媒体の残容量が適切でないことをユーザに認識させるための表示を行うことを特徴とする請求項5記載の撮影装置。
【請求項7】
前記撮影装置に電力を供給する電池の残量を検出する検出手段をさらに備え、
前記確認手段は、前記検出手段により検出された電池の残量を使って、前記撮影装置で最も電池残量を消耗する記録モードで前記記録媒体に記録するときの第1の記録可能時間が、前記最も電池残量を消耗する記録モードで前記記録媒体の残容量がなくなるまでデータを記録するときの第2の記録可能時間よりも長いと予想される場合には、前記記録媒体の残容量が適切でないと判定することを特徴とする請求項6記載の撮影装置。
【請求項8】
前記撮影装置に電力を供給する電池の残量を検出する検出手段をさらに備え、
前記確認手段は、最大充電状態の前記電池を使って、前記撮影装置で最も電池残量を消耗する記録モードで前記記録媒体に記録するときの第3の記録可能時間が、前記最も電池残量を消耗する記録モードで前記記録媒体の残容量がなくなるまでデータを記録するときの第2の記録可能時間よりも長いと予想される場合には、前記記録媒体の残容量が適切でないと判定することを特徴とする請求項6記載の撮影装置。
【請求項9】
前記撮影装置に電力を供給する電池の残量を検出する検出手段をさらに備え、
前記確認手段は、前記検出手段により検出された電池の残量が予め定められた条件を満たしているかを判定し、
前記通知手段は、前記確認手段により前記電池の残量が予め定められた条件を満たしていないときは、前記電池の残量が十分でないことをユーザに認識させるための表示を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項10】
前記検出手段により検出された電池の残量と予め定められた第1の閾値とを比較した結果に基づいて、前記電池の残量表示を行う残量表示手段をさらに備え、
前記通知手段は、前記電池の残量が十分でないことをユーザに認識させるための表示を行う場合、前記検出手段により検出された電池の残量と前記第1の閾値とは異なる第2の閾値とを比較した結果に基づいて、前記電池の残量表示を行うことを特徴とする請求項9記載の撮影装置。
【請求項11】
前記確認手段は、前記撮影装置に設定されている記録モードで前記記録媒体の残容量がなくなるまでデータを記録するときの第4の記録可能時間が、前記検出手段により検出された電池の残量を使って、前記記録モードで前記記録媒体の残容量がなくなるまでデータを記録するときの第5の記録可能時間よりも長く、かつ、最大充電状態の前記電池を使って、前記記録モードで前記記録媒体に記録するときの第6の記録可能時間よりも短い場合には、前記電池の残量が適切であると判定することを特徴とする請求項8記載の撮影装置。
【請求項12】
前記確認手段は、現在選択されている撮影モードが動画撮影モードかを判定し、
前記通知手段は、前記確認手段により動画撮影モードではないと判定されたときは、前記撮影モードが動画を記録できない設定であることをユーザに認識させるための表示を行うことを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項13】
外部から撮影装置を操作するための外部操作装置と有線又は無線により通信を行う通信手段と、撮影装置を密閉容器に収納して使用する特殊な環境での撮影を行うための撮影モードとを有する撮影装置の制御方法において、
前記撮影モードに移行したか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程にて前記撮影モードに移行したと判定されたときは、前記撮影装置を密閉容器に収納する前にすべき撮影準備作業が行われたかを確認する確認工程と、
前記確認工程による確認結果をユーザに通知する通知工程とを備えることを特徴とする撮影装置の制御方法。
【請求項14】
外部から撮影装置を操作するための外部操作装置と有線又は無線により通信を行う通信手段と、撮影装置を密閉容器に収納して使用する特殊な環境での撮影を行うための撮影モードとを有する撮影装置の制御方法を当該撮影装置に実行させるためのプログラムにおいて、
前記撮影装置を
前記撮影モードに移行したか否かを判定する判定手段、
前記判定手段により前記撮影モードに移行したと判定されたときは、前記撮影装置を密閉容器に収納する前にすべき撮影準備作業が行われたかを確認する確認手段、及び
前記確認手段による確認結果をユーザに通知する通知手段として機能させるためのプログラム。
【請求項15】
外部から撮影装置を操作するための外部操作装置と有線又は無線により通信を行う通信手段と、撮影装置を密閉容器に収納して使用する特殊な環境での撮影を行うための撮影モードとを有する撮影装置の制御方法を当該撮影装置に実行させるためのプログラムを記録した記録媒体において、
前記撮影装置を
前記撮影モードに移行したか否かを判定する判定手段、
前記判定手段により前記撮影モードに移行したと判定されたときは、前記撮影装置を密閉容器に収納する前にすべき撮影準備作業が行われたかを確認する確認手段、及び
前記確認手段による確認結果をユーザに通知する通知手段として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−37659(P2012−37659A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176452(P2010−176452)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】