説明

操作釦を具えたカメラ機器

【課題】キャビネットを把持しやすいカメラ機器を提供する。
【解決手段】カメラ機器は、キャビネット1の一側部上面にシャッタ釦10を配備するとともに、該一側部にスライド体2を昇降可能に設け、スライド体2の側部には指が挿入可能な孔20が開設されている。該スライド体2は、上端部がシャッタ釦10に被さる下降位置と、該上端部とシャッタ釦10との間に、孔20を通って指が挿入可能な空間Kが形成される上昇位置との間をスライド可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作釦であるシャッタ釦を具えたカメラ機器、具体的にはデジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来のデジタルカメラを、右手で把持した状態を示す斜視図である。該デジタルカメラは、薄型で略直方体のキャビネット(1)を有し、背面、即ち使用者側に液晶パネル(11)を具えている(特許文献1参照)。キャビネット(1)を右手で把持するには、人差し指(6)をキャビネット(1)の上面に当て、親指(60)をキャビネット(1)の背面に当てて、キャビネット(1)の側部を、掌で保持する。
【0003】
【特許文献1】特開2002−10119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のデジタルカメラは、指で摘む箇所が無く、把持しにくい問題がある。即ち、指が掛かる構成であれば、キャビネット(1)を把持しやすくすることができる。
本発明の目的は、キャビネットを把持しやすいカメラ機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
カメラ機器は、キャビネット(1)の一側部上面に操作釦を配備するとともに、該一側部にスライド体(2)を昇降可能に設け、スライド体(2)の側部には指が挿入可能な孔(20)が開設され、
該スライド体(2)は、上端部が操作釦に被さる下降位置と、該上端部と操作釦との間に、孔(20)を通って指が挿入可能な空間Kが形成される上昇位置との間をスライド可能である。
また、カメラ機器は、略直方体のキャビネット(1)を具え、該キャビネット(1)の上端部から、2本の指で挟持可能な突起(4)が突出している。
【発明の効果】
【0006】
1.スライド体(2)の下降位置では、スライド体(2)の上端部内面が操作釦に被さり、操作釦が保護される。スライド体(2)の上昇位置では、指は孔(20)を通って空間Kに挿入され、操作釦を押すことができる。指が孔(20)の周縁に引掛かっているから、キャビネット(1)を保持しやすく、キャビネット(1)を楽に保持した状態で撮影ができる。従って、使い勝手が良くなる。
2.突起(4)を2本の指で摘むことにより、キャビネット(1)は2本の指で楽に把持され、不用意に落下する虞れが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(第1実施例)
以下、本発明の一実施例を図を用いて、詳述する。
図1は、本例のデジタルカメラを背面から見た斜視図である。キャビネット(1)の背面には、従来と同様に、液晶パネル(11)が設けられ、キャビネット(1)の右側部上面には、シャッタ釦(10)が配備されている。該キャビネット(1)の右側部には、スライド体(2)がキャビネット(1)に被さって昇降可能に設けられている。スライド体(2)には背面に押圧釦(21)(21)が配備されるとともに、側部上端部に使用者の指、具体的には人差し指が通る孔(20)が開設されている。スライド体(2)は、上面が丸みを帯びて膨らみ、内面がシャッタ釦(10)の上面に対向する。
尚、スライド体(2)の昇降を案内する構成としては、例えばスライド体(2)の内側から突出した突起を、キャビネット(1)上に上下に延びて開設された溝に嵌める等、種々の周知の構成が考えられ、詳細は図示しない。
【0008】
図1に示すように、スライド体(2)の下降位置では、スライド体(2)の上端部内面がシャッタ釦(10)に被さり、シャッタ釦(10)が保護される。この下降位置では、スライド体(2)の上端部内面とシャッタ釦(10)の上下間隔が狭く、孔(20)から指を入れても、該指の先端部がキャビネット(1)の隅部に当たる。即ち、指でシャッタ釦(10)を押すことができない。
【0009】
図2に示すように、手でスライド体(2)を引き上げると、スライド体(2)は上昇位置に達する。キャビネット(1)とスライド体(2)の内側との間には、電源スイッチ(図示せず)が配備され、この上昇位置又は上昇途中にて、電源スイッチがONとなって、カメラ機器に電源が入る。
この上昇位置にて、スライド体(2)の上端部内面とシャッタ釦(10)との間に、指が嵌まる大きさの空間Kが形成される。図3に示すように、使用者がスライド体(2)の孔(20)から人差し指(6)を挿入すると、指は空間K内に嵌まる。指の腹でシャッタ釦(10)を押すことができる。
指が孔(20)の周縁に引掛かっているから、キャビネット(1)を保持しやすく、孔(20)から指を抜かない限り、キャビネット(1)を落とすことはない。従って、キャビネット(1)を楽に保持した状態で撮影ができる。
スライド体(2)の材質は限定されないが、孔(20)に指が入ることから、指を傷付けない、柔軟な材料、例えば合成樹脂やゴムが考えられる。また、孔(20)の周縁に面取りを施してもよい。
【0010】
(第2実施例)
図4(a)、(b)は、別の実施例を示す斜視図である。キャビネット(1)の右側部上面には、シャッタ釦(10)が配備されて、該シャッタ釦(10)の近傍に、使用者の指が嵌まる環状部材(3)が起伏可能に設けられている。キャビネット(1)の上面上にて、シャッタ釦(10)の周囲には、横伏位置の環状部材(3)が嵌まる凹み(12)が開設されている。カメラ機器を使用しないときは、環状部材(3)を横伏させて凹み(12)に収納すれば、環状部材(3)はキャビネット(10)から突出しない。これにより、カメラ機器を鞄等内に入れた際に、環状部材(3)は鞄内の他の物には引掛からない。キャビネット(1)と環状部材(3)の内側との間には、電源スイッチ(図示せず)が配備され、環状部材(3)の起立位置又は起立途中にて、電源スイッチがONとなって、カメラ機器に電源が入る。
図4(b)に示すように、撮影をする場合は、環状部材(3)を手で起立させる。環状部材(3)内に人差し指(6)を入れて、該人差し指(6)の腹でシャッタ釦(10)を押す。撮影時に、人差し指(6)が環状部材(3)に嵌まっているから、キャビネット(1)を不用意に落下させる虞れがなく、使い勝手がよくなる。
尚、環状部材(3)の形には、図4(a)、(b)に示すような円形のみならず、矩形状や六角形等の多角形も含む。
【0011】
(第3実施例)
図5(a)、(b)は、別の実施例を示す斜視図である。キャビネット(1)の前面(正面)には、周知の如く、レンズ(13)、ビューファインダ(14)が設けられ、該前面に環状部材(3)が起伏可能に設けられる。前記と同様に、横伏位置の環状部材(3)が嵌まる凹み(12)がキャビネット(1)の前面に開設されている。キャビネット(1)と環状部材(3)の内側との間には、電源スイッチ(図示せず)が配備され、環状部材(3)の起立位置又は起立途中にて、電源スイッチがONとなって、カメラ機器に電源が入る。
図5(b)に示すように、撮影をする場合は、環状部材(3)を手で起立させる。本例では環状部材(3)内に中指(61)を入れて、人差し指(6)の腹でシャッタ釦(10)を押す。撮影時に、中指(61)が環状部材(3)に嵌まっているから、キャビネット(1)を不用意に落下させる虞れがなく、使い勝手がよくなる。
【0012】
(第4実施例)
図6(a)、(b)、(c)は、別の実施例を示す斜視図である。キャビネット(1)は薄型で略直方体であり、上端部の隅部から突起(4)を突設している。突起(4)は2本の指、具体的には図6(b)に示すように、右手の人差し指(6)と親指(60)で、挟持される。即ち、キャビネット(1)上に指が掛かる突起(4)が設けられているから、キャビネット(1)は2本の指で楽に把持され、不用意に落下する虞れが防止される。
尚、普通はシャッタ釦(10)は人差し指(6)にて押されるから、図6(a)、(b)、(c)に示すキャビネット(1)ではシャッタ釦(10)を押しにくい虞れがある。例えば、図6(c)に示すように、シャッタ釦(10)をキャビネット(1)の前面に設け、中指(61)で押すようにすれば、シャッタ釦(10)を押しにくい虞れは解消される。
上記の例では、キャビネット(1)を右手で把持する例を記載したが、勿論左手で把持してもよい。この場合、スライド体(2)及び突起(4)の位置は、上記とは逆、即ち、キャビネット(1)の左側部に設けられる。
【0013】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
本例では、カメラ機器としてデジタルカメラを例示したが、フィルム式カメラやビデオカメラであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】デジタルカメラを背面から見た斜視図である。
【図2】上昇位置のスライド体を示す斜視図である。
【図3】スライド体の孔を通って指を嵌めた状態を示す斜視図である。
【図4】(a)、(b)は、別の実施例を示す斜視図である。
【図5】(a)、(b)は、別の実施例を示す斜視図である。
【図6】(a)は別の実施例を示す斜視図、(b)、(c)は(a)の左側面図である。
【図7】従来のカメラを、右手で把持した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0015】
(1) 枢支
(2) スライド体
(3) 第1部材
(4) 突起
(10) シャッタ釦
(20) 孔
(22) 枢支
(30) 第2部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットの一側部に操作釦を配備するとともに、該一側部にスライド体を昇降可能に設け、スライド体の側部には指が挿入可能な孔が開設され、
該スライド体は、上端部が操作釦に被さる下降位置と、該上端部と操作釦との間に、孔を通って指が挿入可能な空間が形成される上昇位置との間をスライド可能であるカメラ機器。
【請求項2】
キャビネットには、スライド体の上昇位置又は上昇途中に、機器に通電するスイッチが配備された、請求項1に記載のカメラ機器。
【請求項3】
キャビネット上に、指が嵌まる環状部材を起伏可能に設けたことを特徴とするカメラ機器。
【請求項4】
キャビネットには、環状部材の起立位置又は起立途中に、機器に通電するスイッチが配備された、請求項3に記載のカメラ機器。
【請求項5】
略直方体のキャビネットを具え、該キャビネットの上端部から、2本の指で挟持可能な突起が突出したことを特徴とするカメラ機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−233294(P2008−233294A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69985(P2007−69985)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】