説明

放射線検出モジュール、プリント基板および核医学診断装置

【課題】チャンネル数を増やすことなく空間分解能を向上でき、高精度の診断を行うことができる放射線検出モジュール、プリント基板および核医学診断装置を提供する。
【解決手段】放射線検出モジュールは、放射線検出器21と、放射線検出器21が少なくとも放射線進行方向に複数個並べられて取り付けられる配線基板24とを備え、配線基板24上において、放射線検出器21は、放射線進行方向に隣合うもの同士が電気的に相互に接続されて1つの検出器体(検出チャンネル)21Aをなすことを特徴とする。放射線検出器21は、電気的に相互に接続される電極同士の各接続部が、相互に向かい合う状態に前記配線基板上に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出モジュール、プリント基板および核医学診断装置に係り、特に半
導体検出素子を用いた放射線検出モジュール、プリント基板および核医学診断装置に関す
るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、γ線等の放射線を検出する放射線検出器として、CdTe(テルル化カドミウム
)、CdZnTe(カドミウム・亜鉛・テルル)、TlBr(臭化タリウム)、GaAs
(ガリウム砒素)等の半導体材料によって構成された半導体検出素子を備えた半導体放射
線検出器がある。半導体検出素子は、放射線と半導体材料との相互作用で生じた電荷を電
気信号に変換するため、半導体検出素子を使用した半導体放射線検出器は、シンチレータ
を使用したものよりも電気信号への変換効率がよく、かつ小型化が可能であるという特徴
がある。
【0003】
半導体放射線検出器は、前記の半導体検出素子と、この半導体検出素子の両面に形成さ
れた電極とを備えている。これら各電極間に直流高圧電圧を印可することにより、X線、
γ線等の放射線が半導体検出素子内に入射したときに生成される電荷を、前記電極から信
号として取り出すようにしている。
半導体放射線検出器を医療用放射線撮像装置等(核医学診断装置)に用いる場合、配線
基板上に半導体放射線検出器を接続して放射線検出部を形成している(例えば、特許文献
1参照)。また、複数の半導体放射線検出器を放射線検出器支持板上に配置した技術が提
案されている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−84068号公報(段落0024、図3)
【特許文献2】特開2003−167058号公報(段落0020〜0021、図3 )
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、核医学診断装置の一種であるPET(Positron Emission Tomography(陽電
子放出型断層撮影))装置において高精度な画像を得るために、空間分解能を高めたいと
いう要望がある。また、PET装置では検査時間の短縮のためにγ線検出感度の向上、例
えば放射線検出器の配置密度を高めたいという要望がある。これらの要望は、SPECT
(Single Photon Emission Computer Tomography(単光子放出型断層撮影))装置、およ
びγカメラの他の核医学診断装置においても存在する。
【0006】
空間分解能を高めるためには、放射線検出器から出力される信号の数を増やす(チャン
ネル数を増やす)ことが考えられる。しかしながら、そのようにチャンネル数を増やすと
処理回路が増え、これにより、処理回路を搭載するための基板が大型化するとともに、消
費電力も増大することとなり、さらには、基板全体としての発熱量も増えることとなるた
め、放射線検出器の検出感度が低下するおそれがあった。
【0007】
本発明の目的は、チャンネル数を増やすことなく空間分解能を向上でき、診断精度を向
上させることができる放射線検出モジュール、プリント基板および核医学診断装置を提供
することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した目的を達成するため、本発明では、放射線検出モジュールが、放射線検出器と
、前記放射線検出器が少なくとも放射線進行方向に複数個並べられて取り付けられる配線
基板とを備え、前記配線基板上において、前記放射線検出器は、放射線進行方向に隣合う
もの同士が電気的に相互に接続されて1つの検出器体(検出チャンネル)をなすので、隣
合う一対の放射線検出器を放射線進行方向に長く形成された1つの検出器体(検出チャン
ネル)として使用することができ、その分、放射線を捕捉しやすい。また、このように放
射線進行方向に隣合う放射線検出器同士が電気的に相互に接続されて構成される検出チャ
ンネルが1つの検出単位(チャンネル)を構成するので、実質的に、放射線進行方向のチ
ャネル数は減少されることとなる。X方向において検出チャンネルの個数が増大するので
、X方向のチャンネル数を増大できる。これによって、核医学診断装置においては、全体
のチャンネル数を増やすことなく、X方向のチャンネル数を増加させることができる。こ
れにより、得られる画像の空間分解能が向上する。また、全体のチャンネル数は増加する
ことがないので、信号処理回路の発熱増加の抑制にもなる。
【0009】
また、放射線検出器は、配線基板上で放射線進行方向に配置され、さらに半導体放射線
検出素子の一方の面にカソード電極、および他方の面にアノード電極を有する半導体検出
素子を放射線進行方向に直交する方向に複数個並列配置して構成されるので、放射線進行
方向と直交する方向に、放射線検出器ごとに放射線を検出するように構成することができ
る。したがって、放射線進行方向と直交する方向に、検出領域を細分化することができ、
空間分解能を高めることができる。しかも、放射線検出器は、配線基板上の、放射線進行
方向に隣合う他の放射線検出器との間で、カソード電極およびアノード電極のいずれか一
方の電極が電気的に相互に接続されて、前記他の放射線検出器と対になって1つの検出器
体(検出チャンネル)をなすので、隣合う一対の放射線検出器を放射線進行方向に長く形
成された1つの検出器体(検出チャンネル)としてそれぞれ使用することができ、放射線
を捕捉しやすい。
また、このような放射線検出器が配線基板上に設けられた検出モジュールを使用するこ
とにより、被検体に対して得られる画像の空間分解能に優れ、放射線の捕捉性能に優れた
核医学診断装置が得られる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、チャンネル数を増やすことなく空間分解能を向上でき、診断を向上す
ることができる放射線検出モジュール、プリント基板および核医学診断装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、検出チャンネルを備えた放射線検出モジュールが適用される核医学診断装置とし
て好適な実施形態であるPET装置を、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態のPET装置は、図1(a)に示すように、PET撮像装置1、被検体(被
検診者)Hを支持するベッド31、データ処理装置(コンピュータ等)2および表示装置
3を備えている。PET撮像装置1において、被検体Hは、長手方向に移動可能なベッド
31に載せられて、それらのユニット基板Uによって取り囲まれる計測空間32内に挿入
される。
【0012】
(PET装置)
PET撮像装置1は、ベッド31が挿入される計測空間(計測領域)32を取り囲んで
、周方向に多数配置されるユニット基板(プリント基板)Uを有する。ユニット基板Uは
、図1(b)に示すように、計測空間32の軸方向(ベッド31の長手方向(図1(a)
参照))にも複数個配置される。ユニット基板Uは、図2(a)(b)に示すように、放
射線検出モジュール(以下、検出モジュールという)20A、および集積回路基板(以下
、ASIC基板という)20Bを有する。検出モジュール20Aは、図2(a)に示すよ
うに、配線基板24上に、複数の半導体放射線検出器(以下では単に、検出器という)2
1を備える。検出器21は、被検体Hの体内から放出されるγ線を検出する。本実施形態
では、検出モジュール20Aの配線基板24上に、放射線進行方向と直交する方向(図2
(a)において矢印X方向、以下単にX方向という)および放射線進行方向(図2(a)
において矢印Y方向、以下単にY方向という)に、複数の検出器21が整然と配置された
構成となっている。本実施形態では、X方向に配置される検出器21同士の間隔が、Y方
向に配置される検出器21同士の間隔よりも狭い間隔とされており、検出器21がX方向
に稠密配置されている。ここで、X方向は、PET撮像装置1において周方向にあたり、
また、Y方向は、PET撮像装置1において半径方向(放射線進行方向)にあたる(図1
(a)参照)。配線基板24上において、1つの検出チャンネル21Aは、Y方向に隣合
う一対の検出器21のアノード電極A同士が電気的に相互に接続されて構成される。この
検出チャンネル21Aは放射線進行方向に細長く伸びている。Y方向は検出器21の配置
領域から信号処理回路(アナログASIC28)の配置領域に向かう方向であるとも言え
、X方向はその方向と直交する方向であるとも言える。
【0013】
ASIC基板20Bは、検出されたγ線の波高値、検出時刻を計測するための特定用途
向け集積回路(ASIC28,29)を有しており、検出した放射線(γ線)の波高値や
検出時刻を測定するようになっている。その集積回路は、放射線検出信号を処理する複数
の信号処理装置を含んでいる。
【0014】
次に、PET撮像装置1における細部の説明を行う。
(検出器集合体)
本実施形態に適用される検出器集合体41を説明する。検出器集合体41は2つの検出
器21を有する。各検出器21は、2枚の半導体検出素子(以下、検出素子という、図3
(a)参照)211と、導電部材22,23(図3(b)参照)とを有する。検出素子2
11は、図3(a)に示すように、板状の半導体材料によって構成された半導体素子Sと
、その両側面の全面にわたって、蒸着法等により形成された薄い膜状の電極とからなる。
検出素子211の一方の面に形成された電極がアノード電極(以下、アノードという)A
であり、他方の面に形成された電極がカソード電極(以下、カソードという)Cである。
各検出器21は、検出素子211がアノードA同士が互いに向き合うようにX方向に並列
に配置され、導電部材23がそれらのアノードA間に配置されて導電性接着剤によりそれ
らのアノードAに取り付けられて構成される。それらのアノードAは導電部材23により
電気的に接続される。また、検出器21の各検出素子211のそれぞれのカソードCには
、導電接着剤にて導電部材22がそれぞれ取り付けられる。検出器集合体41において、
2つの検出器21の隣り合うカソードCの間に位置する導電部材22は、それらの検出器
21で共用され、それらのカソードCに接続されている。検出器集合体41においては、
4枚の検出素子211にそれぞれ設けられたアノードAとカソードCとが交互に配置され
、導電部材22および導電部材23も交互に配置されている。
【0015】
半導体素子Sは、放射線と相互作用を及ぼして電荷を生成する領域であり、CdTe、
CdZnTe、GaAs等のいずれかの単結晶で形成されている。また、カソードC、ア
ノードAは、Pt、Au、In等のいずれかの材料が用いられる。本実施形態では、検出
素子211は、例えば、半導体素子SにCdTe、カソードCに主にPt、アノードAに
主にInを用い、pn接合ダイオードを形成している。
ここで、半導体素子Sの厚さt(図3(a)参照)における時間と波高値曲線との関係
について説明する。カソードCとアノードAの間に印加するpn接合の逆方向バイアス電
圧(以下、バイアス電圧と呼ぶ)が同じ値では、厚さtが薄い半導体素子Sの方が波高値
の上昇(立ち上がり)は速く、波高値の精度(エネルギー分解能)が高くなる。波高値の
上昇速度が速いと、例えばPET撮像装置1における同時計測の精度(同時計数分解能)
が向上する。厚さtの薄い半導体素子Sが波高値の上昇速度が速くなると共に、エネルギ
ー分解能が高くなる(電荷の収集効率がよくなる)のは、電子がアノードAに到達する時
間、および正孔がカソードCに到達する時間が短縮される、すなわち電荷の収集時間が短
くなるからである。また、途中で消滅するおそれのあった正孔が、厚さtが薄い分、消滅
しないでカソードCに到達できるからである。ちなみに、厚さtは、カソードCとアノー
ドAとの間の電極間距離と表現することもできる。なお、アノードAは放射線検出信号を
取り出す電極であり、カソードCはバイアス電圧を印加する電極である。半導体素子Sの
厚さ(電極間距離)tは、0.2mm〜2mmが好ましい。
【0016】
導電部材22,23は、例えば、銅(もしくは銅を主成分とする材料、例えば、りん青
銅等)の平板であり、検出素子211の各電極と同じ大きさである。導電部材22、23
は、放射線を検出しない不感領域であるため、薄く形成されるとともに、検出信号が良好
に出力される厚さ、例えば、10μmから100μm程度が望ましく、主として50μm
程度がよい。導電部材22,23は、検出器チャンネル21Aを構成するための接続部2
2A,23A(図3(b)参照)を有している。この例では、後記するようにY方向にお
いて隣り合う各検出器21の接続部23A同士が電気的に相互に接続される。接続部22
A,23Aは、半導体素子Sよりも外側(側方、図2(a)中矢印Y方向)に張り出す張
出部22a,23aと、この張出部22a,23aから垂下された端子部22b,23b
とを有する。具体的には、カソードCに接続された導電部材22の張出部22aは、検出
器集合体41において、各検出器21の一方の側面(図3(c)では左側)に位置する。
アノードAに接続された導電部材23の張出部23aは、その側面と反対側となる、各検
出器21の他方の側面(図3(c)では右側)に位置する。つまり、検出器21は、一方
の側面に3つの張出部22a(図3(c)では1つのみ図示)、および他方の側面に2つ
の張出部23aを有している。端子部22b,23bは、後記する配線基板24上の接続
部材APまたは接続部材CPに電気的に接続するための折曲部22c,23cを有してい
る。
【0017】
このように導電部材22,23は、検出器21を配線基板24へ固定するための固定部
材としての役割も果たしている。特に、張出部22a,23aは、検出器21を配線基板
24に取り付ける固定部となる。なお、導電部材22,23の材質は、銅に限定する必要
はなく、アルミニウムまたはアルミニウム合金でもよく、その形状は板状である必要はな
い。さらに、導電部材22,23の大きさは検出素子211の電極と同じ大きさであるこ
とが望ましいが、全く同じ大きさである必要はない。
また、端子部22b,23bは、図3(b)に示すように、張出部22a,23aの張
り出し量よりも小さな張り出し量となるように幅狭に形成されている。これにより、端子
部22b,23bの部位において、γ線が散乱するのを極力少なくすることができる。ま
た、端子部22b,23bが幅狭に形成されている分、配線基板24から検出器21に伝
わる熱が少なくなり、検出器21の安定性が向上する。
本実施形態では、このような端子部22b,23bにより、検出器21が配線基板24
から若干浮き上がる状態に取り付けられる。つまり、検出器21は、検出素子211の各
底面部が配線基板24に非密着状態に取り付けられる。これにより、検出器21を装着す
る際に、検出器21が配線基板24上で擦れて傷つくのを防止することができる。また、
検出器21と配線基板24との間に異部材(ほこり等)が挟まるなどして絶縁性が低下し
た状態で検出器21が配線基板24に取り付けられるのを、積極的に防止することができ
る。なお、検出器21の底面部には、図示しない絶縁材をコーティングしてもよく、予期
しない絶縁破壊が生じるのをさらに防止するようにしてもよい。
【0018】
このような導電部材22,23を有する検出器21は、Y方向に隣合う一対の検出器2
1のアノードA(図3(c)参照、以下、同じ)同士が導電部材23,23の接続部23
A,23Aを介して電気的に相互に接続されて1つの検出チャンネル21Aを構成する。
そのような構成において、Y方向に隣合う検出器21は、アノードAに接続された導電部
材23の接続部23A同士が対向する位置関係となるように、配線基板24上に取り付け
られる。具体的には、図4、図5に示すように、検出器21は、配線基板24の表面に設
けられたアノードA用の接続部材(例えば、配線基板のパッド)APに接続部23Aの端
子部23b(図4(a)では不図示、以下同じ)を、カソードC用の接続部材CPに接続
部22Aの端子部22b(図4(a)では不図示、以下同じ)を、それぞれ導電性の接着
剤25により電気的に接続された状態で、配線基板24に設置される。つまり、Y方向に
隣合う一対の検出器21は、配線基板24上の接続部材APを介して、相互に向かい合う
状態の接続部23A同士が電気的に相互に接続される。
【0019】
このように、Y方向に隣合う検出器21のそれぞれのアノードA同士が接続部材APを
介して相互に接続されることにより、X方向に2つの検出チャンネル21Aが構成される
。これらの検出チャンネル21Aは、それぞれの接続部材APから検出信号をそれぞれ出
力する。配線基板24の片面には、X方向において、32個の検出チャンネル21Aが設
置される。ここで、このような検出器チャンネル21Aを構成せず、Y方向に単に2つの
検出器集合体41を配置した構成例と本実施形態とを比べると、出力される検出信号の数
は、2つであるので同じであるが、本実施形態は、2つの検出器集合体41で構成される
2つの検出チャンネル21Aにおいてγ線を検出することが可能となっている点が大きく
異なっている。その結果、X方向におけるチャンネル数が倍になるため、X方向における
分解能が倍になる。一方、前記したように出力される検出信号の数は、検出チャンネル2
1Aを構成しないときと変わらないので、検出チャンネル21Aを構成したことによって
信号処理回路の数を増加する必要は無い。つまり、放射線を検出する領域の細分化にとも
なって、チャンネル数が増加するという事態が生じなく、既存のチャンネル数(検出チャ
ンネル21Aを構成しないときのチャンネル数)をそのまま使用して空間分解能を向上さ
せることができるようになる。
また、Y方向において、検出チャンネル21Aが細長く形成されるので、放射線捕捉能
力に優れた検出モジュール20Aが構築できる。なお、検出器集合体41をX方向にさら
に分割して(例えば、検出素子211を1枚単位にして)、Y方向で隣合う検出器21を
電気的にそれぞれ相互に接続して検出チャンネルを構成し、これらから信号を出力するよ
うに構成することも可能ではある。しかし、そのように構成すると、Y方向で隣合う一対
の検出器集合体41からは、計4つの信号が出力されることとなり、結果として、検出信
号のチャンネル数が増加することとなるので好ましくない。この点、本実施形態では、前
記のように、Y方向で隣合う一対の検出器21で構成されるそれぞれの検出チャンネル2
1Aからそれぞれ検出信号が出力されることとなる。このため、実質的にチャンネル数を
増やさずに空間分解能の向上および放射線捕捉の向上を図ることができ、小さながんの発
見を可能にする高精度の診断を行うことができる。しかも、信号処理回路(信号処理装置
)の増設にともなう配線基板24の大型化を回避することができ、消費電力の増大化、信
号処理回路の高発熱を生じることがない。
【0020】
複数の接続部材APは、図4に示すように、Y方向に隣合う一対の検出器21の間に設
置されている。各接続部材APには、配線基板24に埋設された信号線(配線)24bが
それぞれ接続される。これにより、各検出チャンネル21Aから出力されたγ線検出信号
がそれぞれの信号線24bを通して出力される。各信号線24bは、配線基板24の端部
に設けられた複数の端子34に別々に接続されている。
【0021】
また、4つの接続部材CPは、配線基板24のY方向(図4(a)における左右方向)
に、接続部材APを間に挟む状態に並列に配置される。全ての接続部材CPには、配線基
板24に埋設された配線24aにより短絡された状態で、同一の電位が与えられる。配線
24aは、配線基板24の端部に設けられた端子33に接続される。
【0022】
本実施形態では、前記のように、Y方向に配置された一列6個の検出器21が、Y方向
で隣合う2つの検出器21同士において、導電部材23(アノードAに接続)の接続部2
3A同士が向かい合う状態となるように配置されて接着剤25(図5参照)により該当す
る接続部材APに取り付けられる。また、それぞれの検出器21の接続部22Aが接着剤
25により接続部材CPに取り付けられる。ここで、4つの接続部材CPのうち、中央に
位置する2つの接続部材CP1をそれぞれ挟んで両側に配置される2つの検出器21は、
それぞれの導電部材22(カソードCに接続)の接続部22Aが向かい合った状態となる
。つまり、それらの接続部材CP1は、これらを挟んでY方向で両側に配置される検出チ
ャンネル21Aで共用される。
【0023】
接着剤25としては、導電ペースト、半田等を採用することができる。故障等の異常状
態になった検出器21、本実施形態では検出器集合体41を配線基板24からの取り外す
利便を考慮した場合、接着剤25は、熱可塑性接着剤を用いるのが好ましい。
【0024】
なお、検出器は、並列に配置された各半導体素子Sが前記の厚さt(0.2〜2mm、
図3(a)参照)を有しており、また、カソードCおよびアノードAの厚みは高々数μm
程度である。
以上のような2つの検出器21を用いた検出チャンネル21Aの構成は、半導体素子S
の厚さt(図3(a)参照)を薄くして電荷の収集効率を高め、波高値の上昇速度を増大
してエネルギー分解能を向上させると共に、半導体素子Sの並列配置により素通りしてし
まうγ線の量を少なくして、半導体素子Sとγ線との相互作用を増やすためである(γ線
のカウント数を増やすためである)。γ線のカウント数の増加は検出チャンネル21Aの
感度を向上させることになる。
【0025】
ここで、検出チャンネル21Aによるγ線の検出原理の概略を説明する。Y方向から検
出チャンネル21Aにγ線が入射して、γ線と半導体素子Sとが相互作用を及ぼすと、正
孔(hole)および電子(electron)が、対になってγ線が持つエネルギーに比例した量だ
け生成される。ところで、検出チャンネル21Aを構成する検出素子211のカソードC
とアノードAの電極間には、直流高圧電源(図示せず)からの電荷収集用のバイアス電圧
(例えば、カソードCが−500Vで、アノードAがグラウンド電位に近い電位、即ち、
カソードCに対してアノードAが500V高くなるような逆方向印加電圧)がかけられて
いる。このため、正の電荷に相当する正孔は、カソードCに引き寄せられて移動し、負の
電荷である電子は、アノードAに引き寄せられて移動する。これらの正孔と電子とを比較
すると、移動し易さ(モビリティ)は、電子の方が相対的に大きいことから、電子が相対
的に短時間にアノードAに到達することとなる。一方、正孔は、移動し易さが相対的に小
さいことから、正孔の方が相対的に時間をかけてカソードCに到達する。ちなみに、正孔
は、電極に到達する前に途中で捕獲(トラップ)されることもある。
検出チャンネル21Aにおいては、アノードA間に配置された導電部材23、およびカ
ソードCに取り付けられた導電部材22は、γ線を検出しない不感領域となる。なお、ア
ノードAおよびカソードCも不感領域である。
【0026】
検出チャンネル21Aの上記した配置により、検出モジュール20Aの配線基板24上
に配置されるチャンネル数は、図2(a),(b)に示すように、検出モジュール20A
からASIC基板20Bに向かうY方向(PET撮像装置1の半径方向)に3ch、Y方
向と直交するX方向(PET撮像装置1の周方向)に32ch、さらに、配線基板24の
厚み方向であるZ方向(PET撮像装置1の奥行き方向)に2ch(配線基板24の両面
)となるる。検出チャンネル21Aは、配線基板24の片面に合計96個、その両面合計
192個が設置されることになる。
本実施形態の検出モジュール20Aにおいては、以下に説明するような3つの構成によ
り、検出器21の配置密度が高められ、そのことによって、検出チャンネル21Aの高精
度化が図られている。
第1の構成は、接続部22A,23AがY方向を向くように各検出器21を配置してい
ることである。これにより、X方向にそれらの接続部22A,23Aが向けられないので
、X方向における検出器21の相互間の隙間を狭くできる。これにより、Y方向に隣合う
検出器21で、検出チャンネル21Aが構成されていることと相俟って、被検体H(図1
(a)参照)の体軸回り方向(X方向)の分解能を向上させることができる。
また、第2の構成は、X方向において、各検出器21が同極の電極(例えばカソードC
)同士が向かい合うように配置されていることにより各検出器21が構成されていること
である。この配置によって、X方向における検出器21の相互間の絶縁を軽減できるため
、X方向における検出器21の相互間の隙間を狭くすることが可能である。特に、X方向
に配置された2つの検出器21が1つのカソードCを共用している検出器集合体41を構
成することによって、X方向における検出器21の稠密化を高めることができる。
さらに、第3の構成は、Y方向において隣合う検出器21は、同極の電極(アノードA
またはカソードC)に接続される接続部22A,23A(検出器21の外部との電気的接
合部)が向かい合うように配置されていることである。この配置によって、Y方向におけ
る検出器21の相互間の絶縁を軽減できるため、Y方向における検出器21の相互間の隙
間を狭くでき、Y方向における検出器21の稠密化を図ることができる。
【0027】
前記第1および第2の構成では、それぞれ、X方向における検出器21の相互間の隙間
が狭くなるため、ベッド31上の被検体Hの体内から放出されたγ線が、図2(a)にお
いて下方から上方(Y方向、即ち、PET撮像装置1の半径方向(図1(a),(b)参
照)に進行する場合において、検出器21によって検出されないで素通りするγ線(隣合
う検出器21間に形成される隙間を通過するγ線)の割合を減らすことができる。したが
って、第1および第2の構成のそれぞれによって、γ線の検出効率が高められ、得られる
画像の空間分解能も向上される。また、検査時間を短くすることができるという利点も得
られる。
また、前記第3の構成では、Y方向における検出器21の相互間の隙間が狭くなるため
、Y方向で配線基板24に対して斜めに進行するγ線の、Y方向における検出器21の相
互間の隙間を素通りする割合が減少される。したがって、この第3の構成も、第1および
第2の構成と同様に、γ線の検出効率を増大でき、得られる画像の空間分解能を向上させ
ることができる。また、検診時間の短縮にも貢献する。
このように、第1、第2および第3の構成を有する検出モジュール20Aでは、γ線の
検出効率を増大することができ、画像の空間分解能を向上することができる。
【0028】
本実施形態では、検出器21を配線基板24の両面に設置しているので、検出器21を
その片面にしか設置しない場合よりも、PET撮像装置1の奥行き方向(Z方向)に配置
される配線基板24の数を半減することができる。このため、Z方向に、より密に検出器
21を配置することができる。この場合にも、γ線の検出効率が増大し、画像の空間分解
能の向上に貢献する。また、検診時間もさらに短縮することができる。併せて、前記のよ
うに、配線基板24(ユニット基板U)の枚数を半分に減らせるので、ユニット基板Uを
PET撮像装置1(図1参照)に装着する作業等の手間が省けるというメリットもある。
【0029】
ところで、検出器21は、絶縁材で被膜して絶縁破壊を回避することが好ましい。絶縁
材による皮膜は、検出モジュール20Aごと、シリコーンゴム等の絶縁材の中に浸して、
その後、乾燥することにより、数十ミクロンの厚さに形成することができる。この場合、
接続部22A,23Aの部分を除いて検出器21を絶縁皮膜した後、それらの接続部22
A,23Aの端子部22b,23bを配線基板24の該当する接続部材AP,CPに取り
付けるようにしてもよい。導電部材22、23は、それと相対する電極の接続部材AP,
CPとの絶縁破壊の危険性を低減するため、検出素子211よりも小さく形成して、張出
部22a,23aの一部を検出素子211間に位置させるようにしてもよい。
【0030】
また、図6(a)(b)に示すように、Y方向で隣合う検出器21同士の接続部22A
,23Aをオーバラップさせた状態で、配線基板24上における接続部材APにこれらを
接続するようにしてもよい。このように構成することで、Y方向に検出器21をより近接
配置することができ、Y方向に検出器21をより一層稠密に配置することができる。また
、配線基板24上における接続部材APの形成面積を縮小化することができ、絶縁性の向
上を図ることができる。
【0031】
さらに、図7に示すように、各導電部材23を隣合う検出器21に亘る大きさに形成し
て検出器21間で共用するようにしてもよい。このように構成することで、検出器21間
のY方向の距離をさらに縮めることができ、検出器21の配線基板24での稠密実装を実
現できる。また、導電部材23によって一対の検出器21が連結されることとなるので、
検出チャンネル21Aの剛性が高まる。また、配線基板24への実装の位置決めが行い易
く、取付精度が高められる。
【0032】
また、図には示さないが、X方向に隣合う検出器集合体41を、その両端に位置するカ
ソードCを1枚の導電部材22で共用するようにして、複数の検出器集合体41を一体化
し、X方向により大きな検出器集合体41を構成することも可能である。この構成により
、図2(a)のX方向に隣合う検出器集合体41において隣接する導電部材22(カソー
ドC)を1枚分ずつ減らすことができ、その減った分のスペースで、X方向における検出
器21の個数を増大できる。したがって、検出器21の配線基板24での稠密実装を実現
できる。これは、検出器集合体41を構成している検出素子211が偶数個で、かつ、各
検出器集合体41の向かい合う端部に配置される電極をカソードCにすることにより、実
現できる。
このようなX方向により大きな検出器集合体41を用いた場合においても、Y方向に隣
合う検出器21のアノードA同士を導電部材23,23の接続部23A,23Aを介して
電気的に相互に接続することにより、複数の1つの大きな検出チャンネル21Aを構成す
ることができる。このような検出チャンネル21Aとすることにより、X方向およびY方
向での検出器21の稠密配置が実現される。
【0033】
(ユニット基板)
ユニット基板Uの詳細構造を、図2(a),(b)を用いて説明する。ユニット基板U
は、検出チャンネル21Aが前記のように設置された検出モジュール20Aと、ASIC
基板20Bとを備えている。ASIC基板20Bは、コンデンサ26、抵抗27、アナロ
グASIC28およびデジタルASIC29を有する。
【0034】
(検出モジュール)
検出モジュール20Aは、図4に示すように、複数の検出器21が配線基板24上に設
置されて検出チャンネル21Aを形成することで構成される。検出器21のアノードAと
カソードCの間には、前記したように、電荷収集のために、例えば、500Vの電圧が印
加されている。この電圧は、ASIC基板20Bに設置された電源用配線(図示せず)か
らコネクタC1を介して検出モジュール20Aの配線基板24に設置された電源用配線(
図示せず)を介してそれぞれの検出器21のアノードAとカソードCの間に印加される。
検出モジュール20Aは、配線基板24の端部にコネクタC1(図2(a)(b)参照、
以下同じ)を備えている。コネクタC1は、前記の端子33および複数の端子34を有す
る。各検出チャンネル21Aから出力されたγ線検出信号は、コネクタC1を介してAS
IC基板20B側へ供給される。
【0035】
(ASIC基板)
ASIC基板20Bは、図2(a),(b)に示すように、配線基板(支持基板)35
の両面に、8個(片面4個)のアナログASIC28を設置している。また、配線基板3
5の片面に、1個のデジタルASIC29を設置している。また、配線基板35の両面に
は、コンデンサ26および抵抗27が検出チャンネル21Aの数だけ設置されている。ま
た、これらの、コンデンサ26、抵抗27、アナログASIC28およびデジタルASI
C29を電気的に接続する複数の接続配線(図示せず)が、配線基板35内に設けられて
いる。これらの接続配線は配線基板35内で積層構造となっている。コンデンサ26、ア
ナログASIC28およびデジタルASIC29の配線基板35における配列は、検出モ
ジュール20Aの検出器21から供給された信号が伝送される順に合わせたものとなって
いる。抵抗27は、一端がコンデンサ26の入力側に接続され、他端が配線基板35に設
けられたグランド配線(図示せず)に接続される。アナログASIC28は、検出チャン
ネル21Aから出力されたアナログ信号(γ線検出信号)を処理する、特定用途向けIC
であるASIC(Application Specific Integrated Circuit)を意味し、LSIの一種
である。アナログASIC28は、個々の検出チャンネル21Aごとに信号処理回路(信
号処理装置)を設けている。これらの信号処理回路は、対応する1つの検出チャンネル2
1Aから出力されたγ線検出信号(放射線検出信号)を入力してγ線の波高値を求めるよ
うになっている。
ASIC基板20Bは、配線基板35の端部に各コンデンサ26に接続される複数の端
子を有するコネクタC2を有している。
【0036】
ユニット基板Uは、検出器21の設置された面がPET撮像装置1の奥行き方向(ベッ
ド31の長手方向で図2(b)のZ方向)に向くように、PET撮像装置1に設けられた
環状の支持部材1b(図1(b)に一部図示)に設置される。この環状支持部材は、計測
空間32の周囲を取り囲むように設けられている。環状部材に設置された複数のユニット
基板Uは、周方向に配置され、計測空間32を取り囲むこととなる。そして、検出モジュ
ール20Aが内側(計測空間32側)に、ASIC基板20Bが外側に位置するように配
置される。本実施形態では、複数のユニット基板Uが、PET撮像装置1の奥行き方向に
も配置される。このようにして設置されたユニット基板Uは、図2(a),図3(c)等
に示したX方向の向きが、PET撮像装置1の周方向(環状支持部材の周方向)となり、
図2(a),図3(c)等に示したY方向の向きがPET撮像装置1の半径方向(環状支
持部材の半径方向)となる。
【0037】
(検出モジュールとASIC基板との接続構造)
検出モジュール20AとASIC基板20Bは、図2(b)に示すように、これらの端
部をオーバラップさせ、このオーバラップ部分に存在するコネクタC1とコネクタC2を
接続することで組み立てられる。検出モジュール20Aの端部とASIC基板20Bの端
部は、オーバラップ部分で締結用のネジ等により着脱自在(分離・接続自在)に結合され
る。このようにオーバラップ部分で結合するのは以下の理由による。即ち、検出モジュー
ル20AとASIC基板20Bとが結合されたユニット基板Uは、PET撮像装置1内で
片持ち支持されるため、その設置位置によっては、ユニット基板Uの中央部(接続部分)
にユニット基板Uを撓ませたり曲げたりする力が作用する。その接続部分が配線基板24
と配線基板35の端面同士を突き合わせた構造となっている場合には、接続部分が撓み易
かったり折れ曲がり易かったりするので好ましくない。
【0038】
この点を踏まえて、本実施形態では、検出モジュール20AとASIC基板20Bが、
前記したようにオーバラップ部分で結合するようにしている。このため、本実施形態で用
いるユニット基板Uは、配線基板24と配線基板35の端面同士を突き合わせて接続する
のに比べて撓みや曲げに対するタフネスさが向上する。撓みや曲げに対するユニット基板
Uのタフネスさが向上すると、例えば、検出器21の位置ずれが抑制されてγ線の発生位
置を特定する精度が向上する。ちなみに、図1(a)に示すように、PET撮像装置1に
は、ユニット基板Uが周方向および奥行き方向に多数配置されるため、図1(a)で左右
側部(特に真横部)に位置するユニット基板Uは撓んだり曲がったりし易くなる。このた
め、ユニット基板Uの撓みや曲げに対するタフネスさが重要になる。特に、検出チャンネ
ル21Aは、図2(a),図3(c)等に示したY方向の向きに隣合う検出器21,21
を電気的に相互に接続して形成されているので、このようにユニット基板Uの撓みや曲げ
に対するタフネスさが向上することで、検出チャンネル21Aの電気的な接続が有効に維
持され、また、検出器21間の寸法等の取付精度も確保されるので、経年変化等の影響を
受け難く、長期にわたって高精度のPET画像を得ることができる。
【0039】
このような、コネクタC1およびコネクタC2による検出モジュール20AとASIC
基板20Bとの電気的な接続構造を用いることで、γ線検出信号を検出モジュール20A
からASIC基板20Bへと、低損失で伝送することができる。ちなみに、損失が少なく
なると、例えば、検出器21としてのエネルギー分解能が向上する。
検出モジュール20Aは、ASIC基板20Bにネジ等で着脱自在に取り付けられてい
るため、例えば、検出器21やASIC28,29に検出不良等の不具合が生じた場合、
不具合のある部分(検出モジュール20AまたはASIC基板20B)だけを取り替えれ
ば済む。なお、検出モジュール20AとASIC基板20Bとの電気的接続は、前記した
スプリングピンコネクタのようなコネクタC1によって行われることから、基板同士の接
続・接続の解除(結合・結合の解除)は容易であり、取付精度も容易に確保することがで
きる。前記の構成は、ASIC基板20Bに1つの検出モジュール20Aを接続している
が、検出モジュール20Aを複数に分割してもよい。
【0040】
回路の長さやγ線検出信号を伝送する配線の長さ(距離)は、短い方が、途中でのノイ
ズの影響や信号の減衰が少なくて好ましい。また、PET撮像装置1で同時計測処理を行
う場合は、回路や配線の長さが短い方が時間の遅れが少なくて好ましい(検出時間の正確
さが損なわれないので好ましい)。このため、本実施形態は、PET撮像装置1の半径方
向において中心軸から外側に向かって、ユニット基板Uにおいて、検出器21、コンデン
サ26、アナログASIC28およびデジタルASIC29をこの順に配置している。こ
の構成は、検出器21から出力された微弱なγ線検出信号をアナログASICの増幅器ま
で伝える配線の長さ(距離)を短くできる。このため、γ線検出信号に対するノイズの影
響が軽減され、γ線検出信号の減衰も低減される。
また、コンデンサ26および抵抗27をアナログASIC28の内部に設けることもで
きるが、適切なコンデンサ容量や適切な抵抗値を得るため、および、アナログASIC2
8の大きさを小さくする等の理由から、本実施形態では、コンデンサ26および抵抗27
はアナログASIC28の外に配置されている。 なお、ASIC基板20Bに設けられ
ているコンデンサ26、抵抗27およびアナログASIC28を、ASIC基板20Bで
はなく検出モジュール20Aに設けてもよい。この場合、コンデンサ26、抵抗27、ア
ナログASIC28は、検出器21よりもASIC基板20B側に位置している。検出モ
ジュール20Aが検出器21およびアナログASIC28を有するので、検出器21とア
ナログASIC28との間の距離(配線の長さ)をさらに短くすることができる。このた
め、ノイズの影響がさらに低減される。
【0041】
(PET撮像装置の動作)
以上の構成を有するPET撮像装置1の動作を説明する。放射線検査を行う前に、まず
被検体Hに予め注射等の方法によりPET用の放射性薬剤(例えば18Fを含む)をその
体内投与放射能が例えば370MBq程度になるように投与する。放射性薬剤は、検査目
的(がんの場所を把握、または心臓の動脈瘤の検査等)に応じて選ばれる。投与された放
射性薬剤は、やがて、被検体Hの患部に集まる。この状態で被検体Hをベッド31上に寝
かせる。
PET検査を実行する検査者(診療放射線技師や医師)は、検査の目的に応じて必要な
情報(断層像を得たい領域(撮像領域或いは関心領域)、スライス数、スライス間隔、吸
収線量等)を、データ処理装置2(図1(a)参照)を介して入力する。この場合、表示
装置3に図示しない情報入力画面を表示させて、必要なデータを、キーボードやマウス等
により入力する手法を採ることができる。その後、ベッド31を長手方向に移動させて、
被検体Hの検査部位(例えば癌の患部)が所定の位置に来るまで被検体Hを計測空間32
内に挿入する。そして、PET撮像装置1を作動させる。
【0042】
データ処理装置2からの指示により、検出チャンネル21Aの各検出器21のアノード
AとカソードCの間に直流高圧電圧が印加され、PET撮像装置1がPET検査を開始す
る。被検体Hの体内から放射性薬剤に起因して放射されたγ線は、検出チャンネル21A
(具体的には検出チャンネル21A内の検出器21)によって検出される。すなわち、P
ET用の放射性薬剤から放出された陽電子の消滅時に一対のγ線が約180°の反対方向
に放出され、別々の検出チャンネル21Aで検出される。検出チャンネル21Aはγ線検
出信号を出力する。この検出信号は、信号線24b、コネクタC1、C2およびコンデン
サ26を経て、該当するアナログASIC28内の対応する信号処理回路(図示せず)に入
力される。この信号処理回路は、γ線検出信号を増幅し、検出したγ線の波高値を求める
。この波高値は、ASIC基板20B上の図示されていないアナログ/デジタル変換器(
ADC)でデジタルの波高値情報に変換される。デジタルASIC29は、さらに、γ線
を検出した検出チャンネル21Aの位置情報およびγ線の検出時刻情報も出力する。デジ
タルの波高値情報、検出チャンネル21Aの位置情報およびγ線の検出時刻情報は、デー
タ処理装置2に入力される。データ処理装置2の同時計測装置(図示せず)は、検出時刻
情報を用いて、1つの陽電子の消滅により発生した一対のγ線を一個として計数し、その
一対のγ線を検出した2つの検出チャンネル21Aの位置をそれらの位置情報を基に特定
する。また、データ処理装置2の画像情報作成装置である断層像情報作成装置(図示せず
)は、同時計測で得た計数値および検出チャンネル21Aの位置情報を用いて、放射性薬
剤の集積位置、すなわち悪性腫瘍位置での被検者の断層像情報(画像情報)を作成する。
この断層像情報は表示装置3に表示される。
【0043】
以下では、本実施形態において得られる効果を説明する。
(1)本実施形態では、配線基板24上において、Y方向に隣合う検出器21,21同士
が電気的に相互に接続されて1つの検出チャンネル21Aをなすので、隣合う一対の検出
器21をY方向に長く形成された1つの検出チャンネル21Aに使用することができ、そ
の分、放射線を捕捉しやすい。本実施形態は、このようにY方向に隣合う検出器21同士
が電気的に相互に接続されて構成される検出チャンネル21Aが1つの検出単位(チャン
ネル)を構成するので、実質的に、Y方向のチャネル数は減少されることとなる。X方向
において検出チャンネル21Aの個数が増大するので、X方向のチャンネル数を増大でき
る。これによって、PET撮像装置1では、全体のチャンネル数を増やすことなく、X方
向のチャンネル数を増加させることができる。これにより、得られる画像の空間分解能が
向上する。また、全体のチャンネル数は増加することがないので、信号処理回路の個数も
増大せず、信号処理回路の発熱増加の抑制にもなる。これにより、検査時間が短縮される
。また、空間分解能の向上により高消費電力となることもなく、さらに、大量生産された
検出器集合体41をそのまま用いることもでき、コストを抑えつつ、分解能を高めること
ができる。
(2)検出器集合体41は、半導体素子Sの一方の面にカソードC、および他方の面にア
ノードAを有する検出素子211をX方向にカソードCおよびアノードAが並ぶ状態で複
数個並列配置して構成されるので、X方向に検出器集合体41を検出素子211の単位(
例えば、2つの検出素子211で構成される検出器21)で分割することができる。この
ため、その分割した部位(例えば検出器21)ごとに放射線を検出することができる。し
たがって、X方向に、検出領域を細分化することができ、これによって空間分解能を高め
ることができる。しかも、検出器21は、配線基板24上の、Y方向に隣合う検出器21
との間で、カソードCおよびアノードAのいずれか一方の電極が電気的に相互に接続され
て、1つの検出チャンネル21Aをなすので、隣合う一対の検出器21をY方向に長く形
成された1つの検出チャンネル21Aとしてそれぞれ使用することができ、それぞれの検
出領域において放射線を捕捉しやすい。
(3)検出器21は、検出素子211のカソードC同士またはアノードA同士が向かい合
うように配置されるので、導電部材22,23を共用することができる。したがって、検
出素子211の相互間に電気絶縁材を配置する必要がなく、X方向に検出素子211の稠
密配置を実現することができる。これにより、感度が向上され、検査時間の短縮も図るこ
とができる。
(4)導電部材22,23は検出素子211よりも外側に突出して導電部材22,23の
一部である張出部22a,23aを有し、張出部22a,23aが配線基板24に取り付
けられるため、導電部材22,23の配線基板24への取り付けが簡単にできる。
(5)張出部22a,23aが接着剤25によって配線基板24の接続部材CP,APに
取り付けられので、張出部22a,23aの接続部材CP,APへの接続作業に要する時
間を短縮できる。接着剤25は、検出器21と配線基板24の電気的接続および機械的接
続(保持)の両方の機能を発揮している。また、張出部22a,23aから垂下された端
子部22b,23bは、張出部22a,23aの張り出し量よりも小さな張り出し量とな
るように幅狭に形成されている。これにより、端子部22b,23bの部位において、γ
線が錯乱するのを極力少なくすることができる。また、端子部22b,23bが幅狭に形
成されている分、配線基板24から検出器21に伝わる熱が少なくなり、検出器21の安
定性が向上する。
(6)導電部材22、23は剛性を有する導電性部材である導電性の金属によって構成さ
れているため、半導体素子Sの保護部材としても機能する。特に、半導体素子SをCdT
e,CZT,GaAs等の機械的に脆い半導体材料で構成した場合には、導電部材22、
23によって半導体素子Sの損傷を防止できる。
(7)張出部22a,23aは、検出器21の異なる2つの側面で突出しているため、検
出モジュール20Aの電気絶縁性を高めることができる。また、検出チャンネル21Aは
、隣合う検出器21の張出部23a同士を接続部材APにそれぞれ接続することにより簡
単に構成することができ、このような検出チャンネル21Aを構成しない場合に検出器2
1を配線基板24に実装するときの作業と変わらない作業によって配線基板24上に構築
することができる。したがって、特別の実装作業を行うことなく検出器チャンネル21A
を配線基板24上に構築することができる。
(8)張出部22a,23aがY方向を向くように各検出器21を配置しているため、X
方向における検出器21の相互間の隙間を狭くでき、その隙間を素通りするγ線の割合を
低減できる。これにより、γ線の検出効率が高められ、得られる画像の空間分解能も向上
できる。
(9)X方向において、各検出器21の両側部位には、同極の導電部材22同士が向かい
合うように配置されているため、X方向における検出器21の相互間の絶縁を軽減でき、
X方向における検出器21の相互間の隙間をより狭くできる。これによっても、前記(8
)と同様に、γ線の検出効率が高められ、画像の空間分解能も向上できる。
(10)Y方向において隣合う全ての検出器21は、同極の電極(アノードAまたはカソ
ードC)に接続される張出部22aまたは張出部23aが向かい合うように配置されてい
るため、Y方向における検出器21の相互間の絶縁を軽減でき、Y方向における検出器2
1の相互間の隙間を狭くできる。したがって、γ線の検出効率を増大でき、画像の空間分
解能を向上させることができる。ここで、張出部22a,23aが向かい合うような配置
とは、向かい合っている相互の検出器21の張出部22a,23aが完全に向かい合って
いるだけでなく、向かい合っている相互の検出器21がY方向と直交するX方向にずれて
双方の張出部22a,23aの位置がX方向にずれている場合も含まれる。具体的には、
Y方向において隣合う検出器21において張出部23aが突出している側面同士の向かい
合っている状態が、張出部22a,23aが向かい合うように配置された状態である。
(11)配線基板24の両面に検出器21を設置しているため、PET撮像装置1におけ
る配線基板24の数を半減でき、PET撮像装置1における検出器21の配置密度を向上
できる。このため、PET撮像装置1のγ線の検出効率および画像の空間分解能をさらに
向上できる。
(12)検出モジュール20AとASIC基板20Bとが相互に着脱自在に取り付けられ
るため、どちらかが故障した場合に、故障した検出モジュール20AまたはASIC基板
20Bを簡単に交換することができる。
(13)検出チャンネル21Aを用いたPET撮像装置1では、各検出チャンネル21A
に個別に対応した増幅回路(検出器チャンネル21Aあたり1つ)を多数内蔵したASI
C等を使用し信号処理回路を形成しているので、検出チャンネル21Aの小型化、ひいて
は検出チャンネル21Aの個数の増加にも対応できる。この結果、空間分解能のさらなる
向上が可能である。
(14)エネルギー分解能の高い検出器21からなる検出チャンネル21Aを多数配置可
能な検出モジュール20Aを構成できるため、3D撮像において定量性の高い検査が可能
となる。
(15)配線基板24に設置した検出器21を電気絶縁体で覆うことによって、検出チャ
ンネル21Aの絶縁破壊を防止できる。
(16)接続部材CP(例えば、接続部材CP1)にY方向に隣合う2つの検出チャンネ
ル21Aにおける張出部22aが接続されるため、Y方向における検出チャンネル21A
の配置密度を向上できる。これによっても、γ線の検出効率および画像の空間分解能を向
上できる。また、この構成は、Y方向における配線基板24の長さを短くすることができ
、PET撮像装置1の半径方向の長さが短くできる。これは、PET撮像装置1のコンパ
クト化につながる。前記の(10)に示す検出器21の配置によっても、Y方向における
配線基板24の長さを短くすることができる。このため、PET撮像装置1は、半径方向
の長さをさらに短くでき、よりコンパクトになる。また、検出器21の張出部22a,2
3aを接続部材AP,CP上において、相互にオーバラップする状態にして接続部材AP
,CPに接続する構成とすることによって、Y方向において隣合う検出器21の相互間の
間隔をさらに小さくでき、検出器21の配線基板24上におけるY方向の配置密度をさら
に向上できる。これにより、PET撮像装置1の小型化を図ることができる。さらに、こ
れにより、配線基板24の表面における接続部材AP,CPの面積を小さくすることがで
きるため、これらの間における絶縁破壊を防ぐことができる。
(17)接続部材CPに接続されて複数の接続部材CPで共用される配線24aが配線基
板24に設けられているため、配線基板24に設けられる配線24a,24bの配線密度
を低減できる。したがって、配線基板24における配線が容易に行える。
(18)配線基板24の、検出器21が取り付けられている面がベッド31の長手方向を
向いて配置されるため、PET撮像装置1の半径方向(X方向)において、検出器21を
密に配置できる。このため、γ線の検出効率および画像の空間分解能を向上できる。
(19)前記したように、Y方向(PET撮像装置1の半径方向)の検出器21同士の間
隔を短縮することができることにより、被検体HとY方向後段側の検出器21との距離が
縮まる。これはPET撮像装置1におけるγ線検出感度向上の効果をもたらす。
(20)本実施形態は、Y方向に隣り合って配置された一対の検出器集合体41を用いて
2つの検出チャンネル21Aを構成し、検出器集合体41が配線基板24に取り付けられ
るため、検出器21を配線基板24に取り付ける作業時間を短縮することができる。
【0044】
前記実施形態では、アノードAに接続される導電部材23の張出部23aを接続部材A
P(配線)に、カソードCに接続される導電部材22の張出部22aを接続部材CP(配
線)に接続しているが、張出部23aを接続部材CPに、張出部22aを接続部材APに
接続することも可能である。この場合は、カソードCがγ線検出信号を出力する電極とな
り、アノードAがバイアス電圧を印加する電極となる。アノードAとカソードCの間に印
加する電圧が逆方向であればいずれのパターンでも実現可能である。
また、アノードAの電位をほぼグラウンド、カソードCの電位を−500Vとしたが、
逆方向であれば電位に制約はなく、PET撮像装置1として機能する範囲で電圧値を設定
すればよい。なお、カソードCを放射線検出信号の取り出し電極に、アノードAをバイア
ス電圧の印加電極にすることも可能である。
さらに、検出器集合体41の両端部にカソードCをそれぞれ配置しているが、アノード
Aが検出器集合体41の両端部に配置されるように、4個の検出素子211を配置しても
よい。
また、検出素子211を4個並列配置させて検出器集合体41を構成しているが、並列
枚数は4個に限定する必要はない。ただし、X方向における電気の絶縁性を向上させるた
めには、偶数個の検出素子211で1つの検出器集合体41を構成するとよい。
前記実施形態では、図4〜図7に示すように、配線基板24上の接続部材APと接続部
材CPは、接着剤25が接続される部分以外にも設けられているが、これら接続部材AP
と接続部材CPは、接着剤25が接続される必要最小限の面積とし、必要に応じ配線基板
24内部で接続してもよい。これにより、配線基板24の表面で接続部材APと接続部材
CPと、それに相対する電極との電気絶縁性を高めることができる。
前述の実施形態は、Y方向に隣り合って配置された一対の検出器集合体41を用いて検
出チャンネル21Aを構成しているが、検出器集合体41を用いずに、Y方向で隣り合っ
て配置された一対の検出器21を用いて検出チャンネル21Aを構成してもよい。この場
合には、X方向に隣り合う検出チャンネル21Aの検出器21同士は、間に間隙を設けて
配置する必要があるため、検出器集合体41を用いる前述の実施形態に比べてX方向にお
ける検出器21の稠密化は若干低下するが、X方向における空間分解能は従来に比べて増
大する。
【0045】
なお、以上の実施形態では、核医学診断装置としてPET装置(図1参照)を例に説明
したが、PET装置に限らず、単光子放出型断層撮影装置(SPECT(Single Photon
Emission Computer Tomography)装置)およびγカメラにも本発明の検出器および検出モ
ジュールを適用することができる。ちなみに、PET装置およびSPECT装置は、被検
者の3次元の機能画像を撮影することで共通するが、SPECT装置は、測定原理が単光
子を検出するものであることから同時計測を行うことができず、このため、γ線の入射位
置(角度)を規制するコリメータを備える。また、γカメラは、得られる機能画像が2次
元的なものであり、かつ、γ線の入射角度を規制するコリメータを備える。
なお、PET装置またはSPECT装置と、X線CTを組み合わせた核医学診断装置の
構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】(a)は本発明の好適な実施形態であるPET装置の構成を模式的に示した斜視図、(b)は(a)におけるPET撮像装置のベッドの長手方向に沿った図である。
【図2】(a)は図1に示すPET撮像装置に用いられるユニット基板の正面図、(b)はユニット基板の側面図である。
【図3】(a)は検出素子の模式斜視図、(b)は導電部材の模式図、(c)は検出素子を用いた半導体放射線検出器集合体の斜視図である。
【図4】(a)は図2(a)の検出モジュールにおける複数の放射線検出器の配置状態を模式的に示した図、(b)は検出モジュールの断面図である。
【図5】放射線検出器の配置状態を示した斜視図である。
【図6】(a)はその他の検出モジュールにおける複数の放射線検出器の配置状態を模式的に示した図、(b)は検出モジュールの断面図である。
【図7】その他の放射線検出器の配置状態を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
1 PET撮像装置
2 データ処理装置
3 表示装置
20A 検出モジュール
20B ASIC基板
21 検出器(放射線検出器)
21A 検出チャンネル
22,23 導電部材
22A,23A 接続部
22a,23a 張出部
22b,23b 端子部
22c 折曲部
24 配線基板
28 アナログASIC
29 デジタルASIC
31 ベッド
32 計測空間
211 検出素子
41 検出器集合体
A アノード
AP,CP 接続部材
C カソード
H 被検体
S 検出素子
U ユニット基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線検出器と、前記放射線検出器が少なくとも放射線進行方向に複数個並べられて取
り付けられる配線基板とを備えた放射線検出モジュールであって、
前記配線基板上において、放射線進行方向に隣合う複数の放射線検出器同士が電気的に
相互に接続されて1つの検出チャンネルを構成することを特徴とする放射線検出モジュー
ル。
【請求項2】
前記放射線検出器の構成要件である半導体検出素子が、CdTe,CdZnTeおよび
GaAsのいずれかにて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出モ
ジュール。
【請求項3】
放射線検出器と、前記放射線検出器が放射線進行方向および放射線進行方向と直交する
方向に複数個並べられて取り付けられる配線基板とを備えた放射線検出モジュールであっ
て、
前記放射線検出器は、
半導体検出素子の一方の面にカソード電極、および他方の面にアノード電極を有する前
記半導体検出素子を、放射線進行方向に直交する方向に複数個並列配置してなり、
前記配線基板に取り付けられて放射線進行方向に隣合う一対の前記放射線検出器を含み
、これらの放射線検出器の前記カソード電極および前記アノード電極のうちの一方の電極
同士を電気的に相互に接続している複数の検出チャンネルを備えたことを特徴とする放射
線検出モジュール。
【請求項4】
前記一対の放射線検出器の前記カソード電極および前記アノード電極のうちの一方の前
記電極が、前記配線基板に設けられた導電材を介して電気的に相互に接続されていること
を特徴とする請求項1または請求項3に記載の放射線検出モジュール。
【請求項5】
放射線進行方向に隣合う前記放射線検出器は、前記電気的に相互に接続される電極同士
の各接続部が、相互に向かい合う状態に前記配線基板上に取り付けられることを特徴とす
る請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の放射線検出モジュール。
【請求項6】
前記接続部は、隣合う前記放射線検出器同士の対向面側に突設されていることを特徴と
する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の放射線検出モジュール。
【請求項7】
前記導電材が配線または導電部材であることを特徴とする請求項4に記載の放射線検出
モジュール。
【請求項8】
放射線検出器と、前記放射線検出器が放射線進行方向および放射線進行方向と直交する
方向に複数個並べられて取り付けられる配線基板とを備えた放射線検出モジュールであっ
て、
前記放射線検出器は、
半導体検出素子の一方の面にカソード電極、および他方の面にアノード電極を有する前
記半導体検出素子を放射線進行方向に直交する方向に複数個並列配置してなり、
前記配線基板に取り付けられて放射線進行方向に隣合う一対の前記放射線検出器を含み
、これらの放射線検出器の前記カソード電極および前記アノード電極のうちの一方の電極
同士を電気的に相互に接続している複数の検出チャンネルを備え、
前記電極同士の接続部は、前記放射線検出器同士の対向面側の下部から対向方向に張り
出す張出部と、前記張出部から垂下された端子部とを備え、
前記放射線検出器は、前記端子部により前記配線基板の基板面に非密着状態に取り付け
られることを特徴とする放射線検出モジュール。
【請求項9】
前記放射線検出器は、前記半導体検出素子が、放射線進行方向に直交する方向に同極が
交互に向かい合う状態に複数個並列配置してなることを特徴とする請求項1から請求項8
のいずれか1項に記載の放射線検出モジュール。
【請求項10】
前記半導体検出素子が、CdTe,CdZnTeおよびGaAsのいずれかにて構成さ
れていることを特徴とする請求項3から請求項9のいずれか1項に記載の放射線検出モジ
ュール。
【請求項11】
配線基板と、前記配線基板の第1領域に設けられ、複数の放射線検出器を含む複数の検
出チャンネルと、前記配線基板の第2領域に設けられ、前記検出チャンネルの各々に別々
に接続された信号処理装置とを備え、
前記放射線検出器は、前記第1領域から前記第2領域に向かう第1方向、および前記第
1方向と直交する第2方向にそれぞれ複数個配置され、
前記検出チャンネルは、第1方向で隣り合う一対の前記放射線検出器同士が電気的に相
互に接続されて構成されていることを特徴とするプリント基板。
【請求項12】
前記電極同士は前記配線基板に設けられた導電材にて接続されていることを特徴とする
請求項11記載のプリント基板。
【請求項13】
前記電極同士は、放射線進行方向に隣合う前記半導体検出素子同士の対向面において電
気的に相互に接続されることを特徴とする請求項11または請求項12に記載のプリント
基板。
【請求項14】
前記半導体検出素子が、CdTe,CdZnTeおよびGaAsのいずれかにて構成さ
れていることを特徴とする請求項13に記載のプリント基板。
【請求項15】
前記第2方向に配置された複数の放射線検出器を含む検出器集合体が、前記第1方向お
よび前記第2方向にそれぞれ複数個配置され、
前記検出器集合体は、複数の放射線検出器の同極の電極同士を接続して構成され、
前記検出チャンネルは、前記第1方向で隣り合う一対の前記検出器集合体をそれぞれに
含まれる前記放射線検出器同士を電気的に接続して構成され、前記一対の検出集合体にお
いて少なくとも2つ形成されることを特徴とする請求項11に記載のプリント基板。
【請求項16】
前記配線基板は、前記複数の検出チャンネルが配置された第1配線基板と、前記複数の
新郷処理装置が配置された第2配線基板とを有し、
前記第1配線基板と前記第2配線基板とは、互いに着脱自在に結合されていることを特
徴とする請求項12から請求項15のいずれか1項に記載のプリント基板。
【請求項17】
複数の放射線検出器、および前記放射線検出器が取り付けられた配線基板を有し、被検
体を支持するベッドが挿入される計測領域を取り囲み前記計測領域の周囲に配置された複
数の放射線検出モジュールと、前記放射線検出器から出力された放射線検出信号を基に得
られた情報を用いて画像を生成する画像情報作成装置とを備えた核医学診断装置であって

前記計測領域の半径方向において隣り合って配置されている複数の放射線検出器同士が
電気的に相互に接続されて構成される複数の検出チャンネルを備えていることを特徴とす
る核医学診断装置。
【請求項18】
複数の放射線検出器、および前記放射線検出器が取り付けられた配線基板を有し、被検
体を支持するベッドが挿入される計測領域を取り囲み前記計測領域の周囲に配置された複
数のプリント基板と、前記放射線検出器から出力された放射線検出信号を基に得られた情
報を用いて画像を生成する画像情報作成装置とを備えた核医学診断装置であって、
前記プリント基板は、
配線基板と、前記配線基板の第1領域に設けられ、複数の放射線検出器を含む複数の検
出チャンネルと、前記配線基板の第2領域に設けられ、前記検出チャンネルの各々に別々
に接続された信号処理装置とを備え、
前記放射線検出器は、前記第1領域から前記第2領域に向かう第1方向、および前記第
1方向と直交する第2方向にそれぞれ複数個配置され、
前記検出チャンネルは、第1方向で隣り合う一対の前記放射線検出器同士が電気的に相
互に接続されて構成されていることを特徴とする核医学診断装置。
【請求項19】
前記半導体検出素子が、CdTe,CdZnTeおよびGaAsのいずれかにて構成さ
れていることを特徴とする請求項17または請求項18に記載の核医学診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−78671(P2007−78671A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60328(P2006−60328)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【分割の表示】特願2005−263027(P2005−263027)の分割
【原出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(598050465)株式会社アクロラド (10)
【Fターム(参考)】