説明

放送内容録音装置

【課題】第1の記録媒体から読み出した再生信号の先頭を検知して該先頭から再生信号を第2の記録媒体に録音できるようにしたものである。
【解決手段】デジタル放送の受信信号を処理する信号処理部と、この信号処理部で処理された受信信号を録音する第1の記録媒体と、この第1の記録媒体からの再生信号を録音する第2の記録媒体とを備え、制御部は前記再生信号の先頭を検知して前記第2の記録媒体に該再生信号の録音を指示するもので、第2の記録媒体には受信中の受信信号を確実に先頭から録音することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デジタルラジオ放送、デジタルテレビ放送等のデジタル放送の受信信号を録音する放送内容録音装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の放送内容録音装置は、デジタル放送の受信を開始したとき、例えば録音したい受信信号が受信された場合、その時点で録音操作を行うと、その時点からつまり受信信号の途中からしか録音されない。そこで、受信信号を常時第1の記録媒体に一定時間分(例えば5分)を録音しておき、録音操作したとき、第1の記録媒体からの再生信号を時間を遡ることによって受信信号の先頭から第2の記録媒体に録音する機能(プレイバック機能)が既に存在し知られている。しかし、このプレイバック機能であっても、必ずしも楽曲の先頭から録音することはできず、その前の余分な受信信号も同時に録音することになる。
【0003】
従来は、特許文献1に記載されるように、受信信号を常時一定量蓄える第1の記録媒体を備え、受信信号に付加される文字情報(楽曲名等)と予め設定入力した文字情報とを比較し、一致した受信情報を自動的に録音する機能を有している。この場合、文字情報の区切りを検知する検知手段を備えることにより、録音の頭切れが生じるのを防ぐものがある。
【0004】
【特許文献1】特開平10−55656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の放送内容録音装置は以上のように構成されているので、文字情報の変化と楽曲情報の変化にずれがあった場合、必ずしも受信信号の先頭から録音することができず、受信信号の頭切れを生じたり、希望する受信信号より前の余分な受信信号から録音する。また文字情報がない場合は自動録音が機能しないという課題があった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解消するためになされたもので、受信信号を必ず先頭から録音できるようにした放送内容録音装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る放送内容録音装置は、デジタル放送の受信信号を処理する信号処理部と、この信号処理部で処理された受信信号を録音する第1の記録媒体と、この第1の記録媒体からの再生信号を録音する第2の記録媒体とを備え、制御部は前記再生信号の先頭を検知して前記第2の記録媒体に該再生信号の録音を指示するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、受信中、いつ録音操作を行っても、必ず希望する受信信号の先頭を検知して録音を開始するように構成したので、その受信信号を必ず先頭から確実に記録媒体に録音できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の一形態を図面について詳細に説明する。
実施の形態1.
以下、図面について、車に搭載した放送内容録音装置で受信した受信信号を録音する場合を説明する。
図1は実施の形態1である放送内容録音装置の構成を示すブロック図であり、図1において、アンテナ1を備えたチューナ2の出力側には、信号処理部3が設けられている。この信号処理部3の出力側には一時録音のための第1の記録媒体としてのメモリ8とD/A(デジタル/アナログ)コンバータ5とが接続され、D/Aコンバータ5の出力側には増幅部6とスピーカ7が順次直列に設けられている。また、メモリ8の出力側には第2の記録媒体としてのHDD(Hard Disk Drive)4が設けられている。そして、図に省略した電源供給路によって、チューナ2、信号処理部3、HDD4、D/Aコンバータ5、アンプ6、制御部としてのマイクロコンピュータ9のそれぞれに電力が供給されている。マイクロコンピュータ9は信号処理部3との間で互いに通信を行い、演奏期間制御データや楽曲等の文字情報を得る。
【0010】
また、マイクロコンピュータ9は、図示しない操作部からの操作信号に基づいて、第1の記録媒体としてのメモリ8の遅延時間(メモリ8に入力された信号が出力されるまでの時間)−楽曲経過時間(録音指示時点における受信信号の経過時間)=残り時間が「0」であるか、曲名情報の変化点であるかを判断するとともに、音声レベル検知器10から無音検知信号のいずれかを受けることにより、メモリ8から再生された希望する受信信号の先頭を検知してHDD4に録音開始を指示するので、受信信号は必ず先頭から確実にHDD4に録音することができる。
【0011】
次に動作を説明する。アンテナ1より入力されたデジタル放送波はチューナ2で周波数変換された後、信号処理部3に供給される。信号処理部3で処理されたデジタル受信信号はD/Aコンバータ5でアナログ受信信号に変換される。このアナログ受信信号はアンプ回路6で増幅された後、スピーカ7に供給されて音声出力される。この受信状態において、デジタル受信信号は順次メモリ8に録音され、録音容量以上になると自然にオーバフローして消去され、順次新しいデジタル受信信号が録音される。
【0012】
この録音状態において、ユーザーが受信信号の中で希望する受信信号をHDD4に録音する動作を図2のフローチャートについて説明する。ユーザーが図示しない操作部によって、希望する受信信号をHDD4に録音することをマイクロコンピュータ9に指示すると(ステップST1)、この指示を受けたマイクロコンピュータ9は、信号処理部3との通信によって受信信号に演奏期間制御データが付加されているか否かを判断する(ステップST2)。そして、付加されている場合は、第1の記録媒体の遅延時間−楽曲経過時間=残り時間が「0」であるかを判する(ステップST3)。
【0013】
例えば、メモリ8の遅延時間が5分、楽曲経過時間が2分とすれば、残り時間は3分であるから、録音指示時点から3分経過すると残り時間は「0」となり、録音を希望する受信信号の先頭がメモリ8から再生出力される。そこで、マイクロコンピュータ9は、ステップST3の判断がYESであれば、HDD4に録音開始を指示する(ステップST4)。なお、ステップST3の判断で0でなければ、0になるまでステップST3の判断を繰り返す。
【0014】
一方、マイクロコンピュータ9は、上記のステップST2の判断結果が「NO」の場合は、メモリ8からの再生信号に文字情報である曲名情報が付加されているか否かを判断する(ステップST5)。そして、曲名情報が付加されている場合は、その曲名情報の変化点を検知し、この変化点が楽曲の先頭とみなしてHDD4に録音開始を指示する(ステップST4)。
【0015】
また、受信信号がニュース等のように長さが不明で、楽曲のように演奏期間制御データや楽曲経過時間や楽曲の文字情報がマイクロコンピュータ9で確認できない場合は、D/Aコンバータ5から出力されたアナログ信号の音声レベルを検知するアナログ音声レベル検知器10によって、D/Aコンバータ5から出力されたアナログ信号の音声レベルが予め設定したアナログ音声レベル値以下、つまり無音部となったかを判断し(ステップST7)、無音が予め設定した時間以上経過した場合はその無音部を受信信号の先頭と見なしてマイクロコンピュータ9に通知する(ステップST8)。この通知を受けたマイクロコンピュータ9はHDD4に録音の開始を指示する(ステップST4)。
【0016】
上記いずれの判断もできないときは、マイクロコンピュータ9による録音指示から予め設定した時間経過したかを判断し、設定時間を経過したと判断したときは、マイクロコンピュータ9はHDD4に録音開始を指示して録音を開始する(ステップST9)。
【0017】
つまり、録音開始を指示した時点では既に希望する受信信号はメモリ8に入力されているので、その受信信号の先端がメモリ8より出力されるであろう予め設定した時間が経過したかを判断し(ステップST9)、YESであれば、マイクロコンピュータ9はHDD4に録音開始を指示して録音を開始する。なお、ステップST9の判断でYESでなければ、YESになるまでステップST9の判断を繰り返す。
【0018】
HDD4を再生するときは、不図示の操作部よりマイクロコンピュータ9にHDD4の再生を指示すると、マイクロコンピュータ9はHDD4に再生開始を指示する。HDD4の再生信号は、D/Aコンバータ5でアナログ信号に変換され、アンプ6を介してスピーカ7から音声出力される。
【0019】
以上のように、実施の形態1によれば、ユーザーが受信信号のHDDへの録音を指示すると、マイクロコンピュータ9はメモリ8の遅延時間−録音指示時点における受信信号の経過時間=残り時間が「0」であるか、曲名情報の変化点であるか、無音部であるかを順次判断し、そのいずれかに該当するときはメモリから希望する受信信号の先頭が再生されたとしてHDDに録音するように構成したので、確実に現在受信中の受信信号の先頭に遡ってHDDに該受信信号を録音することができる効果がある。また、上記のメモリ8の遅延時間−楽曲経過時間=残り時間が「0」であるか、曲名情報の変化点であるか、無音部であるかの判断に、精度の高いものから優先度をつけることにより、希望する受信信号の先頭からの録音精度を高めることができる。
【0020】
実施の形態2.
図3は実施の形態2である放送内容録音装置の構成を示すブロック図であり、実施の形態1では、受信信号の無音状態を検知するためにD/Aコンバータから出力されたアナログ音声レベルを検知したが、この実施の形態2はメモリ8から出力されたデジタル音声レベル検知器11を設け、例えば、nビットで構成されるデジタル受信信号の全ビットがすべて「0」となり、この「0」状態が所定時間継続したとき無音部と検知する。マイクロコンピュータ9はデジタル音声レベル検知器11から無音部の検知信号を受けると、直ちにHDD4に対し録音開始を指示する。他の構成は図1と同一であるから、同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0021】
なお、上記の実施の形態では、記録媒体としてHDDを例示したが、このHDDに限定されるものではなく、CDR、フラッシュメモリ等であっても同様である。
また、図示例は、車に搭載したデジタル受信装置で受信した受信信号を録音する場合を例について説明したが、室内に設置した固定式のデジタル受信装置で受信した受信信号を録音する場合についても同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態1を示す放送内容録音装置のブロック図である。
【図2】その動作を説明するフローチャートである。
【図3】実施の形態2を示す放送内容録音装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0023】
1 アンテナ、2 チューナ、3 信号処理部、4 HDD、5 D/Aコンバータ、6 アンプ、7 スピーカ、8 メモリ、9 マイクロコンピュータ(制御部)、10 アナログ音声レベル検知器、11 デジタル音声レベル検知器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送の受信信号を処理する信号処理部と、この信号処理部で処理された受信信号を録音する第1の記録媒体と、この第1の記録媒体からの再生信号を録音する第2の記録媒体と、前記再生信号の先頭を検知して前記第2の記録媒体に該再生信号の録音を指示する制御部とを備えた放送内容録音装置。
【請求項2】
制御部は、第1の記録媒体の遅延時間−録音指示時点における受信信号の経過時間=残り時間が「0」であるか、曲名情報の変化点であるか、無音部であるかのいずれかによって、第1の記録媒体からの再生信号の先頭を検知することを特徴とする請求項1記載の放送内容録音装置。
【請求項3】
制御部は、第1の記録媒体の遅延時間−録音指示時点における受信信号の経過時間=残り時間が「0」であるか、曲名情報の変化点であるか、無音部であるかを優先順位を設けて判断することによって、再生信号の先頭を検知することを特徴とする請求項1記載の放送内容録音装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−27209(P2009−27209A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−321244(P2005−321244)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】