説明

映像再生装置及びその制御方法

【課題】マルチアングルを有する映像ソースに対してアングル切替を自動で行う際に、視聴者の視聴への集中を妨げずにアングル切替を自動で行う。
【解決手段】マルチアングルを有する映像ソース201に基づいて映像を再生する映像再生装置100は、位置変化検出手段104により視聴者の視聴位置の変化及び変化後の視聴者の位置を検出し、再生する映像のアングルを、前記変化後のユーザの位置に対応したアングルの映像に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像再生装置及びその制御方法に関し、特に、マルチアングル機能対応の映像再生装置の操作性の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
DVD−Video規格等においては、1つの場面に対して複数の映像を収録し、再生時にいずれかの映像を選んで再生するマルチアングルと呼ばれる技術が知られている。従来、マルチアングルの選択は、民生用のDVD再生機であればリモートコントローラ(以下、「リモコン」と略す)を用いて行うのが一般的であった。
【0003】
特許文献1には、マルチアングルと同等であると考えられる「マルチビュー」を視聴者による手動ではなく自動的に切り替えて出力する技術が開示されている。しかしながら、映像ストリームの配信側でビュー切替の設定をしており、配信側においてビューの切替に手動操作が存在している。また、受信側(ユーザ側)で好きなビューを選べる自由度は低い可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−314960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のリモコンを使用するアングルの変更は、視聴者が見ていたいと考えられる再生機の画面から手元のリモコンに目を移す必要があり、視聴に集中することを妨げるという問題点がある。
【0006】
この問題点は、ハードウェアのリモコンを使わない方式(例えば、パーソナルコンピュータの視聴ソフトウェアが擬似的なコントローラを画面上に表示するソフトウェア的な方式等)においても存在すると考えられる。コンテンツから画面上に表示されているコントローラに目を移す必要があったり、アングル変更のためのメニューが映像に被さったりするからである。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて、マルチアングルを有する映像ソースに対してアングル切替を自動で行う際に、視聴者の視聴への集中を妨げずにアングル切替を自動で行うことが可能な映像再生装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、第1の態様として、マルチアングルを有する映像ソースに基づいて映像を再生する映像再生制御手段と、視聴者の視聴位置の変化及び変化後の視聴者の位置を検出する位置変化検出手段と、前記映像ソースに含まれる複数のアングルの映像ストリームと該映像ストリームがどのようなアングルから撮影した映像であるのかという情報とが紐付けられた管理情報に基づいて、検出した前記変化後の視聴者の位置に対応したアングルから撮影した映像と紐付けられた映像ストリームを、再生中の映像ストリームに替えて前記映像再生制御手段に再生させるアングル制御手段と、を有することを特徴とする、映像再生装置を提供するものである。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明は、第2の態様として、映像再生装置の制御方法であって、視聴者の視聴位置の変化及び変化後の視聴者の位置を検出し、前記映像ソースに含まれる複数のアングルの映像ストリームと該映像ストリームがどのようなアングルから撮影した映像であるのかという情報とが紐付けられた管理情報に基づいて、検出した前記変化後の視聴者の位置に対応したアングルから撮影した映像と紐付けられた映像ストリームを、再生中の映像ストリームから切り替えて、切替後の映像ストリームの映像を再生することを特徴とする、映像再生装置の制御方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、マルチアングルを有する映像ソースに対してアングル切替を自動で行う際に、視聴者の視聴への集中を妨げずにアングル切替を自動で行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態の機能構成を示すブロック図である。
【図2】図1の管理情報の例を示す図である。
【図3】第1の実施形態における処理手順を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1に、本実施形態の機能構成を示す。
本実施形態に係る映像再生装置100は、映像再生制御手段101と、アングル制御手段102と、表示手段103と、位置変化検出手段104とを有する。
【0014】
映像再生装置100には、マルチアングルを有する映像ソース201(以下、「映像ソース201」と略す)が入力される。映像再生制御手段101が入力された映像ソース201をDEMUX処理やデコード処理等の公知の処理をして、映像を表示手段103に表示させる。なお、映像ソース201に含まれる音声ストリームも同様にデコード処理等の公知の処理をして図示しない音声出力手段に出力させる。
【0015】
マルチアングルを有する映像ソース201は、マルチアングルに対応する規格の映像データである。映像ソース201を記憶するメディアは、Blu−ray Disc(登録商標)や、DVDなど、種々のものを利用できる。可搬性メディアを利用するほかに、映像ソース201を放送波によって伝送させ、映像再生装置100に入力してもよい。
【0016】
本実施形態においては、映像ソース201とともに管理情報202が映像再生装置100に入力される。管理情報202は、映像ソース201が有する複数のアングルの映像ストリームと、各映像ストリームがどのようなアングルから撮影した映像であるのかという情報とを紐付けて管理する情報である。つまり、管理情報202は、映像ストリームとその映像ストリームのアングルとが関連づけられた情報である。本実施形態においては、管理情報202は映像ソース201に含まれているものとする。
【0017】
図2に、管理情報202の例を示す。
図示のように、管理情報202は、各映像ストリーム(第1、第2・・・第nアングルの映像ストリーム)と、当該各映像ストリームがどのようなアングルから撮影した映像(正面からの映像、左からの映像、右からの映像、左上方からの映像など)であるのかという情報(つまり、アングル)とが関連づけられている。
【0018】
あるアングルの映像ストリームと、その映像ストリームがどのようなアングルから撮影した映像であるのかという情報は、タイムラインによって変化してよい。図2に示すように、管理情報202は、「映像の開始から10分後から20分後までの間の第1アングルが右からの映像である」という情報を持つ。
【0019】
図1に戻って映像再生装置100の機能構成の説明を再開する。
映像再生制御手段101は、映像ソース201に基づいて映像の再生を開始すると、アングル制御手段102は、管理情報202に基づいて、再生中の映像がどのようなアングルから撮影した映像であるのかという情報を認識する。また、アングル制御手段102は、後述する位置変化検出手段104によって視聴者であるユーザの位置変化が検出されると、アングル切替処理をする。
【0020】
アングル切替処理は、アングル制御手段102が映像再生制御手段101に、変化後のユーザの位置に対応したアングルから撮影した映像と紐付けられた映像ストリームを、現在再生中の映像ストリームに替えて再生させる処理である。
【0021】
表示手段103は、映像再生制御手段101による制御に基づいて、映像再生制御手段101から伝送路を介して送出される映像データを表示する機能を備える。液晶テレビやプラズマテレビやプロジェクタなど種々のものが利用できる。
【0022】
表示手段103は、表示画面103aを有する。表示手段103がプロジェクタであれば投射面を表示画面103aとする。
【0023】
位置変化検出手段104は、ユーザの表示画面103aに対する相対的な位置の変化を検出し、検出結果をアングル制御手段102に伝える機能を備える。位置変化検出の方法は、既知のいかなる手法を用いてもよい。例えば、位置変化検出手段104がカメラを具備するように構成して、カメラで取得した映像を解析して位置変化を検出する。なお、その際、ユーザ位置は2次元的な情報でもよいし、深度情報まで付加した3次元の情報として管理してもよい。
【0024】
映像再生装置100は、ハードウェアと、このハードウェアを利用して所定の情報処理を行うソフトウェアプログラムによって実現するが、このハードウェアについて説明する。ハードウェア構成例の一つは、テレビなどの表示装置とDVDプレーヤーなどの再生機とウェブカメラ等のカメラを用いる構成である。この場合、テレビなどの表示装置は表示手段103として機能する。カメラの搭載位置は、再生機と表示装置のどちらに搭載してもよい。
【0025】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図3に、本実施形態における処理手順を示す。なお、図3に示す各処理の主体は、特に断りがない限りアングル制御手段102である。
【0026】
映像再生制御手段101は、映像ソース201に基づいて映像の再生を開始すると(ステップS101)、アングル制御手段102は、管理情報202に基づいて、再生中の映像がどのようなアングルから撮影した映像であるのかという情報を認識する(ステップS102)。
【0027】
位置変化検出手段104は、ユーザの視聴位置の変化があるか否かをモニタし(ステップS103)、変化がある場合、ユーザの位置変化を検出する(ステップS104)。
【0028】
位置変化検出手段104は、位置変化の検出後、その位置変化が規定時間内になされた許容できる変化量の位置変化であるか否かを判定する(ステップS105)。規定時間内になされた許容できる変化量の位置変化でない場合はアングル切替処理をしない。この判定の技術的意義は、ユーザがアングルの切替をする意図ではなく、例えばトイレのために離席するといった動作をした場合の誤検知を防ぐことにある。変化量が大きすぎる場合は、視聴できない位置に移動したと考えられる。
【0029】
規定時間内になされた許容できる変化量の位置変化である場合、位置変化検出手段104は、ユーザの視聴位置変化をアングル制御手段102に伝える(ステップS106)。この際、変化後の位置もアングル制御手段102に伝える。
【0030】
アングル制御手段102は、伝えられた変化後の位置に対応したアングルから撮影した映像が、映像ソース201が有する複数の映像ストリームの中にあるか否かを判定する(ステップS107)。この判定には、図2に例示した管理情報を用いる。
【0031】
伝えられた変化後の位置に対応したアングルから撮影した映像が、映像ソース201が有する複数の映像ストリームの中にある場合、アングル制御手段102は、変化後のユーザの位置に対応したアングルから撮影した映像と紐付けられた映像ストリームを、現在再生中の映像ストリームに替えて再生させる(ステップS108)。
【0032】
一方で、ユーザの視聴位置変化がなかったり、変化があっても規定時間内の変化でなかったり変化量が許容できるものでなかったり、変化後のユーザの位置に対応したアングルから撮影した映像がなかったりする場合は、アングル制御手段102は、アングル切替処理をしない。映像再生制御手段101は、再生を継続する(ステップS109)。
【0033】
本実施形態は、上述のような構成で上述のように動作するので、本実施形態によれば、視聴者であるユーザが、例えば左に自身の体を動かせば左からのアングルで撮影した映像に切り替わり、右に動けば右からのアングルで撮影した映像に切り替わる。つまり、視聴者による直感的な操作で自動的にアングルが切り替わる。また、見たいアングルの方に移動するという直感的な操作であるため、視聴者の視聴を妨げない。
【0034】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態においては、管理情報202が映像ソース201に含まれ、映像ソース201とともに映像再生装置100に入力される。これに対して本実施形態では、管理情報202があらかじめ映像ソース201に含まれておらず、映像再生装置100が映像ソース201を解析して管理情報202を生成する。
【0035】
図4に、本実施形態の機能構成を示す。図4においては図1と同等の機能を備えるブロックには同じ符号を付して説明を省略する。
映像再生装置100は、図1の構成の他に、管理情報生成手段105を有する。映像再生制御手段101は、再生開始後、映像ソース201が有する複数のアングルの映像ストリームを管理情報生成手段105に入力する。
【0036】
管理情報生成手段105は、入力された映像ストリームに基づいて各映像ストリームがどのアングルから撮影した映像かを判定し、判定結果を管理情報202として映像再生制御手段101に入力する。
【0037】
本実施形態によっても、上記第1の実施形態と同等の効果が得られる。また、それに加えて、映像再生装置100に入力される映像ソース201に管理情報、すなわち各アングルの映像が右や左などどのアングルからの映像であるのかという情報が含まれない場合でも、アングル切替が自動的に可能になるという効果がある。
【符号の説明】
【0038】
100 映像再生装置
101 映像再生制御手段
102 アングル制御手段
103 表示手段
104 位置変化検出手段
105 管理情報生成手段
201 マルチアングルを有する映像ソース
202 管理情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチアングルを有する映像ソースに基づいて映像を再生する映像再生装置であって、
視聴者の視聴位置の変化及び変化後の視聴者の位置を検出し、
再生する映像のアングルを、前記変化後のユーザの位置に対応したアングルの映像に切り替えることを特徴とする、映像再生装置。
【請求項2】
マルチアングルを有する映像ソースに基づいて映像を再生する映像再生制御手段と、
視聴者の視聴位置の変化及び変化後の視聴者の位置を検出する位置変化検出手段と、
前記映像ソースに含まれる複数のアングルの映像ストリームと該映像ストリームがどのようなアングルから撮影した映像であるのかという情報とが紐付けられた管理情報に基づいて、検出した前記変化後の視聴者の位置に対応したアングルから撮影した映像と紐付けられた映像ストリームを、再生中の映像ストリームに替えて前記映像再生制御手段に再生させるアングル制御手段と、
を有することを特徴とする、映像再生装置。
【請求項3】
前記視聴位置の変化が前記映像再生制御手段により再生された映像の表示画面に対する相対位置であることを特徴とする、請求項2記載の映像再生装置。
【請求項4】
前記位置変化検出手段は、前記視聴位置の変化が規定時間内になされた許容できる変化量の変化である場合に、前記視聴位置の変化を検出することを特徴とする、請求項2又は3記載の映像再生装置。
【請求項5】
映像再生装置の制御方法であって、
視聴者の視聴位置の変化及び変化後の視聴者の位置を検出し、
前記映像ソースに含まれる複数のアングルの映像ストリームと該映像ストリームがどのようなアングルから撮影した映像であるのかという情報とが紐付けられた管理情報に基づいて、検出した前記変化後の視聴者の位置に対応したアングルから撮影した映像と紐付けられた映像ストリームを、再生中の映像ストリームから切り替えて、
切替後の映像ストリームの映像を再生することを特徴とする、映像再生装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−39220(P2012−39220A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175279(P2010−175279)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(311012169)NECパーソナルコンピュータ株式会社 (116)
【Fターム(参考)】