説明

映像監視装置

【課題】 屋外に設けられた雲台に設置されて一定方向を回転しながら撮影してか映像監視装置は、ほとんど変化がない背景やマスクされた領域など、高解像度化が不要な領域が多く含まれており、画像全体を高解像度化するのは無駄が多い。
【解決手段】 本発明に係る映像監視装置は、旋回可能に設置され、パン、チルト、ズームを制御する制御情報に基づいて撮像する撮像装置の撮像画像より、高解像度化したい高解像度指定領域を指定するとともに、領域情報を出力する映像領域入力手段2と、制御情報と領域情報に基づいて、撮像装置の撮像した撮像画像より高解像度指定領域を選択する映像領域選択手段3と、複数の連続映像により高解像度映像を取得する高解像度映像取得手段4と、この高解像度映像と映像領域入力手段から出力される映像を重畳して表示装置に表示する映像出力手段5とを設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は映像を撮像し、記録・再生・表示する防犯等に供する映像監視装置に関するものであり、特に、解像度の比較的低い複数の映像から高解像度画像を得る「超解像」技術を適用した映像監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、伝送データ量を抑えつつ、撮影した画像を高解像度化して表示する監視システムを実現するために、画像データから連続する複数の画像フレームを所定間隔で残すように間引き処理を行い送信する撮像装置と、撮像装置より伝送された複数の画像フレームを用いて高解像処理を行う監視センターを含む監視システムが開示されている。また、特許文献2には、入力画像と背景画像の対応する背景領域の明るさの変化率に基づいて、入力画像の移動体領域の明るさ等の変化の補正を行うことにより、最適な背景画像を作成する画像処理装置が開示されている。特許文献3には領域の座標算出方法(ラベリング方式)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−044538号公報
【特許文献2】特開平3−118677号公報
【特許文献3】特公昭63−025391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、プライバシー保護の観点から撮影画像の一部を目隠ししたマスク領域を設ける機能を備えた監視システムがあり、また、解像度の比較的低い複数の映像から高解像度画像を得る「超解像」技術を適用した表示装置も普及しつつある。現在、普及している映像監視システムにおいては、解像度の低いアナログカメラが使用されていることが多いので、撮像する物体等の識別が困難な場合に超解像技術を適用する必要性は高い。しかし、一般的な映像の高解像化技術では、映像監視では不要なプライバシー保護のためのマスク領域や背景部領域の高解像度化まで行うため、演算量が大きくなり、装置の高価格化・大型化・消費電力増大となる問題点があった。
【0005】
映像監視システムにおいては、天井や壁等の高所に設置されたカメラが、特定方向を撮影しているもの、水平方向や垂直方向に所定範囲を可動しながら撮影しているもの、屋外に設けられた雲台に設置されて一定方向を回転しながら撮影しているものがある。このような場合、カメラが撮影した撮影画像には、ほとんど変化がない背景領域やマスクされた領域など、高解像度化が不要な領域が多く含まれているので、撮影画像全体を高解像度化するのは、装置の規模、消費電力、コストの観点から無駄が多い。
【0006】
また静止画を保存する場合、カメラからの映像ないし、符号化された映像の再生映像の特定フレームを保存するようにしていたので解像度が低く、符号化された映像の場合符号化に特有なノイズなどが含まれており、ユーザの求める画質が担保できない場合がある。本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、ユーザが映像監視をする際に着目するエリア、物体のみに高解像度化技術を適用することで、高解像度映像を得るための演算量を減らし、装置の高価格化・大型化・消費電力低減を実現することを目的としたものである。
【0007】
本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、装置の高価格化・大型化・消費電力低減を達成できるとともに、監視者が注目する領域のみの高解像度化を実現できるようにした映像監視装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る映像監視装置は、旋回可能に設置され、パン、チルト、ズームを制御する制御情報に基づいて撮像する撮像装置の撮像画像より、高解像度化したい高解像度指定領域を指定するとともに、指定された高解像度指定領域を示す領域情報を出力する映像領域入力手段と、制御情報と領域情報に基づいて、撮像装置の撮像した撮像画像より高解像度指定領域を選択する映像領域選択手段と、この映像領域選択手段から出力される複数の連続映像により高解像度映像を取得する高解像度映像取得手段と、この高解像度映像情報取得手段から出力される高解像度映像と映像領域入力手段から出力される映像を重畳して表示装置に表示する映像出力手段とを設けたものである。
【0009】
本発明に係る映像監視装置は、旋回可能に設置され、パン、チルト、ズームを制御する制御情報に基づいて撮像する撮像装置の撮像画像より動体領域を算出するとともに、この動体領域を示す動体領域情報を出力する映像領域入力手段と、制御情報と動体領域情報に基づいて、撮像装置の撮像した撮像画像より、動体領域を高解像度化する領域として選択する映像領域選択手段と、この映像領域選択手段から出力される複数の連続映像により高解像度映像を取得する高解像度映像取得手段と、この高解像度映像情報取得手段から出力される高解像度映像と映像領域入力手段から出力される映像を重畳して表示装置に表示する映像出力手段とを設けたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る映像監視装置は、旋回可能に設置され、パン、チルト、ズームを制御する制御情報に基づいて撮像する撮像装置の撮像画像より、高解像度化したい高解像度指定領域を指定するとともに、指定された高解像度指定領域を示す領域情報を出力する映像領域入力手段と、制御情報と領域情報に基づいて、撮像装置の撮像した撮像画像より高解像度指定領域を選択する映像領域選択手段と、この映像領域選択手段から出力される複数の連続映像により高解像度映像を取得する高解像度映像取得手段と、この高解像度映像情報取得手段から出力される高解像度映像と映像領域入力手段から出力される映像を重畳して表示装置に表示する映像出力手段とを設けたので、映像監視者・操作者が着目する領域のみを高解像度化することで高解像度化による演算量を前記領域のみに実施することで、演算量を大幅に低減でき、装置の低価格化・小型化・低消費電力することができる。
【0011】
本発明に係る映像監視装置は、旋回可能に設置され、パン、チルト、ズームを制御する制御情報に基づいて撮像する撮像装置の撮像画像より動体領域を算出するとともに、この動体領域を示す動体領域情報を出力する映像領域入力手段と、制御情報と動体領域情報に基づいて、撮像装置の撮像した撮像画像より、動体領域を高解像度化する領域として選択する映像領域選択手段と、この映像領域選択手段から出力される複数の連続映像により高解像度映像を取得する高解像度映像取得手段と、この高解像度映像情報取得手段から出力される高解像度映像と映像領域入力手段から出力される映像を重畳して表示装置に表示する映像出力手段とを設けたので、映像の動きが検出された部分の変化(不審人物の侵入)領域を高解像度化することで、撮影画像全体を高解像度化する必要がなくなるので、高解像度化に要する演算量を大幅に低減でき、装置の低価格化・小型化・低消費電力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1に係る映像監視装置の構成を示すブロック図である。
【図2】映像入力手段の動作を説明するフローチャートである。
【図3】映像領域選択を行うアプリケーションの一例を示す説明図である。
【図4】映像領域入力手段の動作を説明するフローチャートである。
【図5】映像領域選択手段の動作を説明するフローチャートである。
【図6】カメラの最大撮影範囲の映像領域選択処理を説明する説明図である。
【図7】高解像度映像取得手段の動作を説明するフローチャートである。
【図8】高解像度映像取得手段による高解像処理について説明する説明図である。
【図9】映像出力手段の動作を説明するフローチャートである。
【図10】映像領域選択手段の動作を説明するフローチャートである。
【図11】映像領域選択を行うアプリケーションの一例を示す説明図である。
【図12】映像領域入力手段の動作を説明するフローチャートである。
【図13】高解像映像取得手段の動作を説明するフローチャートである。
【図14】映像出力手段の動作を説明するフローチャートである。
【図15】映像領域選択を行うアプリケーションの一例を示す説明図である。
【図16】映像領域入力手段の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る映像監視装置の構成を示すブロック図である。図1において、カメラ(撮像装置)が撮影した画像信号はインターネット等のネットワークを介して伝送され、映像入力手段1に入力される。カメラが撮影した画像信号には映像や映像同期信号が含まれており、映像入力手段1は、この入力信号を処理してRGB信号などのデジタル映像を映像領域選択手段3に出力する。映像領域入力手段2は、ユーザ操作により選択される映像領域を保存する。映像領域選択手段3は、映像入力手段1からの映像より、映像領域入力手段2で指定された領域の映像を出力する。高解像度映像取得手段4は、映像領域選択手段3から出力される複数の連続映像により高解像度映像を取得する。映像出力手段5は、高解像度映像情報取得手段4から出力される高解像度映像と映像入力手段1から出力される映像を重畳して表示装置に表示する。画角制御手段6は旋回カメラを制御する。図1に示すカメラは、雲台などに設置され、カメラ画角を制御可能な装置を備えた旋回カメラであるものとする。
【0014】
図2は、映像入力手段1の動作を説明するフローチャートである。図2において、映像入力手段1はS100においてカメラからの同期信号を含む映像信号を受けて、垂直/水平同期信号に基づき映像信号をA/D変換してデジタル信号を得る。S101において、ステップデジタル信号の輝度値と色信号値からRGB信号を得る。S102において、S101で得られたデジタル信号値をメモリに格納する。メモリに格納されたデジタル信号値は、映像領域選択手段3と映像出力手段5へ出力される。S103において、垂直同期信号を待機して次の映像フレームまで待機する。以降S100へ戻り毎フレーム映像をデジタル信号に変換する。
【0015】
図3は、表示装置に表示する映像領域選択を行うためのアプリケーションの一例を示す説明図である。図4は、映像領域入力手段2の動作を説明するフローチャートである。図3において、7110は表示装置に表示する映像領域選択を行うアプリケーションの一例で、7111はカメラが撮影した画像を表示する映像表示領域、7112は操作者がマウス等の入力装置から指示した始点座標、7113は操作者がマウス等の入力装置から指示した終点座標、7114は始点座標7112、終点座標7113から構成される矩形領域、7115は画角制御手段6にパン、チルト、ズームを通知するボタン、7116は操作者が始点座標7112、終点座標7113を指定した後、映像領域選択手段に前記始点座標7112、終点座標7113を通知する「決定」ボタンである。
【0016】
次に、映像領域入力手段2の動作について図3、図4を用いて説明する。操作者はアプリケーション7110の映像表示領域7111内の、高解像度化したい領域の左上隅座標を始点7112としてマウス等の入力装置で指定する。次に、操作者は右下隅座標を終点7113としてマウス等の入力装置で指定する(図4 S7400)。このように、始点座標7112と終点座標7113を指定することにより矩形領域7114が定まる。操作者は適宜PTZ(パン・チルト・ズーム)操作ボタン7115により、パン・チルト・ズームを制御する制御情報であるPTZ値を画角制御手段6に通知し、所望の映像を映像表示領域7111に表示する(図4 S7401)。最後に操作者はアプリケーション7110の「決定」ボタン7116により映像領域入力手段2へ高解像度化したい領域(高解像度指定領域)を通知する。映像領域入力手段2では「決定」ボタン7116押下することにより、高解像度指定領域を示す領域情報である始点座標7112及び終点座標7113、パン・チルト・ズームを制御する制御情報であるPTZ値をメモリに格納する(図4 S7402)。メモリに格納された始点座標7112、終点座標7113は映像領域選択手段3へ出力される。
【0017】
図5は、映像領域選択手段の動作を説明するフローチャートである。図6は、カメラの最大撮影範囲における映像領域選択処理を説明する説明図である。図6において、7200はパン・チルトを最小値から、最大値まで動作させた場合の撮像範囲を示し、7201はパン値の最大値(Pmax)、7202はチルト値の最大値(Tmax)、7203はカメラから入力される撮像範囲、7204は映像入力手段2で操作者が指定した領域、7205はカメラから入力される撮像範囲における水平方向のパン値、7206はカメラから入力される撮像範囲における垂直方向のチルト値、7207は映像入力手段2で領域設定を行ったときのPTZ値である。
【0018】
次に、映像領域選択手段の動作について図5、図6を用いて説明する。図5のS7500において、映像領域入力手段2からのPTZ値、開始座標及び終点座標を得る。S7501において画角制御手段6からPTZ値を得る。S7502において現在の画像における映像領域入力手段2の領域の重なり領域を算出する。重なり領域の算出は映像座標系からパン・チルト座標系へ変換して求める。
開始P値=P0+(開始X座標 / 画像幅 x 画角パン値)
開始T値=T0+(開始Y座標 / 画像高さ x 画角パン値)
終了P値=P0+(終了X座標 / 画像幅 x 画角パン値)
終了T値=T0+(終了Y座標 / 画像高さ x 画角パン値)
重なり領域P値=開始P値−現在のP値
重なり領域T値=開始T値−現在のT値
重なりX座標=重なりP値 / 画角パン値 x 画像幅
重なりY座標=重なりT値 / 画角チルト値 x 画像高さ
ここで開始P値は映像領域入力手段2の選択領域の開始X座標のパン・チルト座標系におけるパン値で、画像幅は入力画像の幅の画素数、画像高さは入力画像の高さの画素数、画角パン値は図6の7205、画角チルト値は7206である。重なり領域P値、T値が負値の場合重なり無しとして、開始座標と終了座標を同じ値で出力する。重なりX座標を開始X座標とし、重なりY座標を開始Y座標として出力し、終了X座標、終了Y座標は映像領域入力手段2の選択領域の幅と高さから算出する。S7503において重なり領域の映像を出力する。
【0019】
図7は、高解像度映像取得手段の動作を説明するフローチャートである。図8は、高解像度映像取得手段4による高解像処理について説明する図である。この処理の代表として、特許文献1に記載される超解像処理の手法について説明する。動きのある複数の連続映像において、1009は本来観測される実際の映像の輝度値で、時刻tではCCD素子の開口部で受けた光量に比例した輝度値1006が得られ、同様に時刻t−1での輝度値1007、時刻t−2での輝度値1008を得る。この時刻tでの輝度値1006、時刻t−1での輝度値1007、時刻t−2での輝度値1008で実際の映像の輝度値1009を補完して得る。具体的には隣接する複数(ここでは3枚)の原画像1002(時刻t)、1003(時刻t−1)、1004(時刻t−2)を準備し、小数精度で位置合わせを行う。位置合わせは時刻tの輝度値を基準値として、時刻t−1との差分を計算し、順次その差分値が小さいずらし量1010を求める、同様に時刻tと時刻t−2とのずらし量1011を計算する。ずらし量1010、1011から映像1002、1003、1004の合成画像を得る。前記合成画像について目的とする解像度で再度サンプリングしなおして高解像画像を生成する。再サンプリングにあたっては、ローパスフィルタを用いて画素数(サンプリング点)を補間して増やす方法などで画素値を決定する。その結果、原画像の高周波成分を復元し、ぼけの少ない高解像画像を生成することができる。
【0020】
図7を用いて高解像度映像取得手段の動作を説明する。図7に示すS300において映像領域選択手段3から時刻tの映像1006を取得する。同様に時刻t−1、時刻t−2の映像1007、1008を取得する。S301において、隣接する複数(ここでは3枚)の原画像1002(時刻t)、1003(時刻t−1)、1004(時刻t−2)を小数精度で位置合わせを行う。位置合わせは時刻tの輝度値を基準値として、時刻t−1との差分を計算し、順次その差分値が小さいずらし量1010を求める、同様に時刻tと時刻t−2とのずらし量1011を計算する。ステップS302においてずらし量1010、1011から映像1002、1003、1004の合成画像を得る。合成映像は小数レベルの画素となるため、実際には原画像に対して拡大された映像となる。S303において前記合成画像について目的とする解像度で再度サンプリングしなおして高解像画像を生成する。再サンプリングにあたっては、ローパスフィルタを用いて画素数(サンプリング点)を補間して増やす方法などで画素値を決定し、映像出力手段5へ出力する。
【0021】
図9は、映像出力手段5の動作を説明するフローチャートである。図9に示すS500において、映像入力手段1の映像と、高解像度映像取得手段4の映像を入力する。S501において、まず映像入力手段1の映像を表示して、高解像度映像を映像領域入力手段2の出力する始点座標112、終点座標113からなる矩形領域114上に高解像度映像取得手段4の映像を表示する。なお映像入力手段1ではカメラの出力するアナログ信号を入力したが、IETF(The Internet Engineering Task Force)が定めたRTP(Real-time Transport Protocol)により伝送される映像としてもよい。
【0022】
次に、画角制御手段6の動作を説明する。表示装置に表示された、図3に示すアプリケーション7110を使用して、ユーザから指定された指定PTZ値に基づき、画角制御手段6は、現在のPTZ値との差分を求め、その差分値をカメラに対して、パン・チルト・ズームを行うよう制御を行う。
【0023】
この発明によれば、映像監視者・操作者が着目する領域のみを高解像度化することで高解像度化による演算量を前記領域のみに実施することで、演算量を大幅に低減でき、装置の低価格化・小型化・低消費電力することができる。また、この発明によれば、旋回カメラにおいても映像監視者・操作者が着目する領域のみを高解像度化することで高解像度化による演算量を前記領域のみに実施することで、演算量を大幅に低減でき、装置の低価格化・小型化・低消費電力することができる。監視者は旋回カメラ操作中においても高解像度対象とする領域について高解像度映像を閲覧することが出来、監視の効率化が可能である。
【0024】
実施の形態2.
実施の形態1では、操作者が指定した規定領域について高解像度映像取得手段4で高解像度化するようにしていたが、本実施の形態では映像内の動体領域を算出して、動体領域部分を高解像度映像取得手段4により高解像度を得るようにした。以下、この発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0025】
図10は映像領域選択手段の動作を説明するフローチャートである。図10において、映像領域選択手段3は、S5200において映像入力手段1から映像を入力する。S5201において前記映像から動体領域を検出する。動体領域検出は例えば、「背景差分方式」と呼ばれる動体検出方法で行うことが可能である。具体的には、S5201から得られる映像と過去に入力された映像から背景部を算出する。背景部と前記映像との差分を求め、一定差分以上の領域を動体領域とする。S5202において動体領域の始点・終点を求める。領域の座標算出は「ラベリング方式」と称する座標算出方法を採用することが可能である。具体的には背景部と前記映像との差分を非空白領域とし、それ以外を空白領域とする。その領域の連結を求め領域分割ができなくなるまで実施する。この結果の分割された領域の非空白領域の開始X座標、開始Y座標を始点座標とし、非空白領域の終了X座標、終了Y座標を終点座標とする。これらの始点座標及び終点座標が動体領域を示す動体領域情報となる。S5203において、前記始点座標と終点座標とを頂点とする領域の映像を高解像度映像取得手段4へ出力し、S5204において前記始点座標と終点座標をメモリに格納する。
【0026】
この発明によれば、映像の動きが検出された部分の変化(不審人物の侵入)領域を高解像度化することで、撮影画像全体を高解像度化する必要がなくなるので、高解像度化に要する演算量を大幅に低減でき、装置の低価格化・小型化・低消費電力することができる。また、自動的に動体領域検出を行い、検出された動体領域を高解像度化する領域と設定するため、監視者は高解像度とする領域を登録する必要がなくなり、監視に要する操作を簡単化することができた。
【0027】
実施の形態3.
実施の形態1では、操作者が指定した規定領域について高解像度映像取得手段4で高解像度化するようにしていたが、本実施の形態では、プライバシー保護のため操作者が指定した目隠しされる領域(マスク領域)を除外して高解像度映像取得手段4で高解像度化するようにする。以下、この発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図11は、映像領域選択を行うアプリケーションの一例を示す説明図である。図11において図3と同一の符号は同一又は相当部分を示すので、説明は省略する。7117は始点座標7112、終点座標7113から構成される非選択領域としての矩形領域、7115は操作者が始点座標7112、終点座標7113を指定した後、映像領域選択手段に前記始点座標7112、終点座標7113を非選択領域として通知する「決定」ボタンである。図12は映像領域入力手段の動作を説明するフローチャートである。図13は高解像映像取得手段の動作を説明するフローチャートである。
【0028】
次に、映像領域入力手段2の動作について図11、図12を用いて説明する。操作者はアプリケーション7110の映像表示領域7111内の、プライバシー保護のための塗りつぶし領域(マスク領域)の左上隅座標を始点7112として、マウス等の入力装置で指定する、次に操作者は右下隅座標を終点7113として、マウス等の入力装置で指定する。前記始点座標7112、終点座標7113を頂点とする矩形領域7117が定まる。始点座標7112、終点座標7113がマスク領域を示すマスク領域情報である。操作者はアプリケーション7110の「決定」ボタン7115により映像領域入力手段2へプライバシー保護のためのマスク領域7117を非高解像度化領域として通知する。図12において、映像領域入力手段2ではS2000において映像入力を行い、S2001において始点座標7112、終点座標7115からなる矩形領域7117を除く映像を取得する。S2002において前記映像を出力し、S2003において前記映像出力をメモリに格納する。前記メモリに格納された映像は高解像度映像取得手段4へ出力する。
【0029】
次に高解像度映像取得手段4の動作を図13を用いて説明する。S2300において映像領域選択手段3から時刻tの映像1006を取得する。同様に時刻t−1、時刻t−2の映像1007、1008を取得する。S2301において、隣接する複数(ここでは3枚)の原画像1002(時刻t)、1003(時刻t−1)、1004(時刻t−2)において小数精度で位置合わせを行う。位置合わせは時刻tの輝度値を基準値として、時刻t−1との差分を計算し、順次その差分値が小さいずらし量1010を求める、同様に時刻tと時刻t−2とのずらし量1011を計算する。ただし、前記映像領域入力手段2の出力する非高解像度化領域を除外して計算を行う。S2302においてずらし量1010、1011から映像1002、1003、1004の合成画像を得る。合成映像は小数レベルの画素となるため、実際には原画像に対して拡大された映像となる。S2301同様に前記映像領域入力手段2の出力する非高解像度化領域を除外して計算を行う。S2303において前記合成画像について目的とする解像度で再度サンプリングしなおして高解像画像を生成する。S2301同様に前記映像領域入力手段2の出力する非高解像度化領域を除外して計算を行う。再サンプリングにあたっては、ローパスフィルタを用いて画素数(サンプリング点)を補間して増やす方法などで画素値を決定し、映像出力手段5へ出力する。
【0030】
この発明によれば、映像監視においてプライバシー保護によるマスク領域を除外して高解像度化することで高解像度化による演算量を前記領域のみに実施することで、演算量を大幅に低減でき、装置の低価格化・小型化・低消費電力することができる。またプライバシー保護以外に動きが少ない明らかに不要な領域を登録することで、注目部分のみ高解像度化されるので、監視者が注目すべき部分が明確になる。
【0031】
実施の形態4.
実施の形態1では、映像出力手段5は表示装置に高解像度化映像を表示するようにしたが、本実施の形態では前記映像出力手段5は前記高解像度化映像をファイルとして保存できるようにした。以下、この発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図14は映像出力手段5の動作を説明するフローチャートである。
【0032】
次に、映像出力手段5の動作について図14を用いて説明する。S3500において映像入力手段1から映像を入力し、また高解像度映像取得手段4からの映像を入力する。S3501において、高解像度映像を映像領域入力手段の出力する始点・終点からなる矩形領域上に合成出力する。S3502において前記映像を映像ファイルとして保存する。なお、映像ファイルとしてRGB信号などの値として保存でき、また符号化してファイル保存してよい。例えば符号化としてJPEG(Joint Photographic Experts Group)を採用してよい。
【0033】
この発明によれば、映像からの静止画取得において、映像監視者・操作者が着目する領域のみを高解像度化することで高解像度化による演算量を前記領域のみに実施することで、演算量を大幅に低減でき、装置の低価格化・小型化・低消費電力することができる。また、映像入力をそのまま静止画とするより、高解像度化される。したがって、低解像度のカメラであっても、高解像度カメラを設置したのと同様の効果を得ることができる。
【0034】
実施の形態5.
実施の形態1では、操作者は、高解像度化したい領域の始点7112と終点7113をマウス等の入力装置で指定し、適宜PTZ(パン・チルト・ズーム)操作ボタン7115によりPTZ値を画角制御手段6に通知するとともに、アプリケーション7110の「決定」ボタン7116により映像領域入力手段2へ高解像度化したい領域を通知していた。映像選択手段3は、「決定」ボタン7116押下時の始点座標7112、終点座標7113、前記PTZ値をメモリに格納する。メモリに格納された始点座標7112、終点座標7113は映像領域選択手段3へ出力される。本実施の形態では操作者がマウス等の入力装置で高解像度化したい領域を指定(クリック)することにより、指定した座標を含む規定の領域を高解像度するようにした。このようにすることで、高解像度化したい領域の始点7112及び終点7113の指定、決定ボタン7115による通知などの操作を行わずに領域指定を行うことができる。
【0035】
以下、この発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図15は、映像領域選択を行うアプリケーションの一例を示す説明図である。図15において、4110は表示装置において操作者に提示する映像領域選択を行うアプリケーションの一例で、4111はカメラ等から得た映像入力手段でデジタル映像に変換した結果を表示する映像表示領域で、4112は操作者がマウス等の入力装置から指示した座標、4113は操作者が指示した座標4112を中心とした規定サイズの矩形領域の始点座標、4114は操作者が指示した座標4112を中心とした規定サイズの矩形領域の終点座標、4115は始点座標4113、終点座標4114を頂点とする矩形領域である。図16は映像領域入力手段2の動作を説明するフローチャートである。
【0036】
次に、映像領域入力手段2の動作について図15、図16を用いて説明する。操作者はアプリケーション4110の映像表示領域4111内の、特定箇所4112を指示する。映像領域入力手段2はS4400においてマウス座標を取得、マウス座標を中心とした規定サイズの始点・終点算出する。
始点x=X−Width
始点y=Y−Height
終点x=X+Width
終点y=Y+Height
ここでX,Yはマウス座標から映像表示領域4111の左上隅座標を減算した座標値で、Width、Heightは規定の座標である。S4401において始点・終点メモリ格納し、映像領域選択手段3に出力する。
【0037】
この発明によれば、映像監視者・操作者が着目する領域をマウス等の入力装置で逐次リアルタイムに取得して高解像度化することで高解像度化による演算量を前記領域のみに実施することで、演算量を大幅に低減でき、装置の低価格化・小型化・低消費電力することができる。監視者の着目点のみの高解像度化により、ズーム処理などが不要となる。
【符号の説明】
【0038】
1 映像入力手段、2 映像領域入力手段、3 映像領域選択手段、
4 高解像度映像取得手段、5 映像出力手段、6 画角制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回可能に設置され、パン、チルト、ズームを制御する制御情報に基づいて撮像する撮像装置の撮像画像より、高解像度化したい高解像度指定領域を指定するとともに、指定された高解像度指定領域を示す領域情報を出力する映像領域入力手段と、
前記制御情報と前記領域情報に基づいて、前記撮像装置の撮像した前記撮像画像より前記高解像度指定領域を選択する映像領域選択手段と、
この映像領域選択手段から出力される複数の連続映像により高解像度映像を取得する高解像度映像取得手段と、
この高解像度映像情報取得手段から出力される高解像度映像と前記映像領域入力手段から出力される映像を重畳して表示装置に表示する映像出力手段とを設けたこととを特徴とする映像監視装置。
【請求項2】
旋回可能に設置され、パン、チルト、ズームを制御する制御情報に基づいて撮像する撮像装置の撮像画像より動体領域を算出するとともに、この動体領域を示す動体領域情報を出力する映像領域入力手段と、
前記制御情報と前記動体領域情報に基づいて、前記撮像装置の撮像した前記撮像画像より、前記動体領域を高解像度化する領域として選択する映像領域選択手段と、
この映像領域選択手段から出力される複数の連続映像により高解像度映像を取得する高解像度映像取得手段と、
この高解像度映像情報取得手段から出力される高解像度映像と前記映像領域入力手段から出力される映像を重畳して表示装置に表示する映像出力手段とを設けたこととを特徴とする映像監視装置。
【請求項3】
映像領域入力手段は、撮像装置の撮像画像より、プライバシー保護のために表示装置に表示しないマスク領域のマスク領域情報を映像領域選択手段に出力するとともに、前記映像領域選択手段は、前記マスク領域情報を高解像度化する領域から除外することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の映像監視装置。
【請求項4】
映像出力手段は、高解像度映像情報取得手段から出力される高解像度映像と前記映像領域入力手段から出力される映像を重畳した画像を映像ファイルとして保存することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の映像監視装置。
【請求項5】
映像領域入力手段は、撮像画像の所定位置を指定すると、当該所定位置を中心とした規定サイズの矩形の始点座標と終点座標を頂点とする矩形領域を算出し、前記矩形領域を高解像度化する高解像度指定領域とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の映像監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−175631(P2012−175631A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38359(P2011−38359)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】