説明

普通型コンバイン

【課題】穀稈搬送装置において、搬送穀稈を搬送ベルトに巻き付かせず、確実、かつ円滑にプラットフォームへ搬送させることができる、作業性を向上させた普通型コンバインを提供する
【解決手段】機体前部の刈取部21に、刈り取った穀稈をプラットフォーム19に向けて搬送する穀稈搬送装置23を設け、この穀稈搬送装置23は、複数組からなる左右一対の搬送ケース24を有し、搬送ケース24内には、複数のタイン31を等間隔に取付けた無端状の穀稈搬送ベルトbを備え、穀稈搬送装置23は、この穀稈搬送装置23の搬送終端部に、搬送穀稈の連れ回りを防止するスクレーパ41と、搬送穀稈をプラットフォーム19に案内するガイド杆42を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体前部の刈取部の、刈り取った穀稈をプラットフォームに向けて搬送する穀稈搬送装置が、複数組からなる左右一対の搬送ケースを有し、この搬送ケース内には、複数のタインを等間隔に取付けた無端状の穀稈搬送ベルトを備える普通型コンバインに関し、より詳細には、穀稈搬送装置の搬送終端部に、搬送穀稈の連れ回りを防止するスクレーパと、搬送穀稈をプラットフォームに案内するガイド杆を有する穀稈搬送装置を備える普通型コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバイン前部の刈取部に備える、刈り取った穀稈をプラットフォームに向けて搬送する穀稈搬送装置には、この穀稈搬送装置の搬送終端部であって、搬送チェーン(搬送ベルト)を挟んだ上下両側に、案内始端部をタインの搬送終端部分に臨ませて設けたガイドを、プラットフォーム側に向けて設置し、穀稈搬送装置内を搬送されてくる穀稈を、このガイドで案内して、プラットフォームオーガへ搬送し、穀稈のタインによる持ち回りや巻き付きを未然に防ぐ(例えば特許文献1)ものがある。
【0003】
【特許文献1】特開2004−105140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような普通型コンバインの穀稈搬送装置では、ガイドが搬送装置における各搬送ベルトの上端部および下端部に設置されているため、搬送ベルトの上下間に無案内地帯が存在し、搬送ベルトにより搬送されてくる長さの短い穀稈などが、ガイドの上下間から搬送ベルト側にはみ出し、搬送ベルトに連れ込まれたり、巻き付きを引き起こす結果、搬送ベルトの駆動を停止させてしまうなど穀稈の円滑な搬送を妨げるおそれがあった。従って、作業性が悪いという問題があった。
そこで、この発明の目的は、穀稈搬送装置において、搬送穀稈を搬送ベルトに巻き付かせず、確実、かつ円滑にプラットフォームへ搬送させることができる、作業性を向上させた普通型コンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、請求項1に記載の発明は、機体前部の刈取部に、刈り取った穀稈をプラットフォームに向けて搬送する穀稈搬送装置を設け、前記穀稈搬送装置は、複数組からなる左右一対の搬送ケースを有し、前記搬送ケース内には、複数のタインを等間隔に取付けた無端状の穀稈搬送ベルトを備える普通型コンバインにおいて、前記穀稈搬送装置は、該穀稈搬送装置の搬送終端部に、搬送穀稈の連れ回りを防止するスクレーパと、搬送穀稈をプラットフォームに案内するガイド杆を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の普通型コンバインにおいて、前記スクレーパは、前記搬送ケースの終端部であって、前記穀稈搬送ベルトに覆設することを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の普通型コンバインにおいて、前記ガイド杆は、前記搬送ケースの内側から外側に向け、前記搬送ケースの上面から前記搬送ケースの前方にかけて、前記搬送ケースの周りを湾曲させて設けることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の普通型コンバインにおいて、前記ガイド杆は、前記スクレーパと一体成形することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、機体前部の刈取部に、刈り取った穀稈をプラットフォームに向けて搬送する穀稈搬送装置を設け、穀稈搬送装置は、複数組からなる左右一対の搬送ケースを有し、搬送ケース内には、複数のタインを等間隔に取付けた無端状の穀稈搬送ベルトを備える普通型コンバインにおいて、穀稈搬送装置は、この穀稈搬送装置の搬送終端部に、搬送穀稈の連れ回りを防止するスクレーパと、搬送穀稈をプラットフォームに案内するガイド杆を備えるので、搬送終端部でスクレーパにより穀稈を穀稈搬送ベルトに接触させず、穀稈搬送ベルトへの穀稈の連れ回りや巻付きを防ぐとともに、穀稈をガイド杆によりプラットフォームへ確実かつ円滑に案内させることができる。従って、作業性を向上させた普通型コンバインを提供することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、スクレーパは、搬送ケースの終端部であって、穀稈搬送ベルトに覆設するので、搬送終端部でスクレーパにより穀稈を穀稈搬送ベルトに接触させず、穀稈搬送ベルトへの穀稈の連れ回りや巻付きを防ぐことができる。従って、作業性を向上させた普通型コンバインを提供することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、ガイド杆は、搬送ケースの内側から外側に向け、搬送ケースの上面から搬送ケースの前方にかけて、搬送ケースの周りを湾曲させて設けるので、ガイド杆が、搬送終端部の穀稈搬送ベルト(搬送ケース)に略等しい高さで設置されているため、穀稈に確実に接触して、穀稈をガイド杆によりプラットフォームへ確実かつ円滑に案内させることができる。また、それぞれ1組の搬送ケースの搬送経路終端部近傍のプラットフォーム内に、搬送穀稈の集中によるプラットフォームの詰まりを防ぎ、搬送ケースからプラットフォーム内に、確実かつ円滑に穀稈を移送させることができる。従って、作業性を向上させた普通型コンバインを提供することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、ガイド杆は、スクレーパと一体成形するので、取付などの作業工程を容易に行うことができる。従って、作業性を向上させた普通型コンバインを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は本発明の一例としての普通型コンバインの左側面図、図2はコンバインにおける刈取部の拡大側面図、図3は穀稈搬送装置の平面図、図4は搬送ケースの一部断面平面図である。
【0014】
この例のコンバイン1は、図1に示すように、機体下部に備えたクローラ式型走行装置2の上部には、機体フレーム3が載置される。そして、この機体フレーム3の前部に配設されたそれぞれ図示しないミッションケースやエンジン室などの上方には、キャビン6が設置されるとともに、機体前端部には刈取部21が配設される。
【0015】
また、機体フレーム3の中央から後部にかけては、それぞれ図示しない唐箕やチャフシーブ、流穀板などからなる選別装置が配置されるとともに、この選別装置の上部には、クリンプ網やスクリューロータなどからなる脱穀装置5が配設される。さらに、キャビン6の後部にはグレンタンク14が配設されるとともに、このグレンタンク14の上側には、排出オーガ15が突設される。
【0016】
また、前記スクリューロータの前端には、図示しないフィーダコンベアを内蔵したフィーダハウス17が連設される。このフィーダハウス17は、機体フレーム3の前端との間に介在した油圧シリンダ18によって昇降される。そして、フィーダハウス17の前部には、プラットフォーム19が突設され、このプラットフォーム19内には、図2に示すようにオーガ20が横設されるとともに、プラットフォーム19の前方には、前端にデバイダdを突設した刈取部21が横設されている。なお、刈取部21には、図1に示すような分草体dにより分草された穀桿を後方へ掻き込むための、掻き込みリール4を設置してもよい。
【0017】
刈取部21は、下部に刈刃22を設けるとともに、この刈刃22の上方には、大豆などの作物を掻込んでオーガ20側へ搬送する、搬送ケース24を備える穀稈搬送装置23が設けられる。なお、搬送ケース24は、左右一対の複数組からなるものであり、図3に示す例では、2組の搬送ケース24を示したものである。
【0018】
この搬送ケース24内には、前部に位置する駆動プーリp1と、後部に位置するアイドラプーリp2との間に、無端状、かつ高さを有する(幅広)の穀稈搬送ベルトbが巻回されており、この搬送ベルトbには、穀稈を引起すための複数のタイン31が等間隔に取付けられている。なお、図4に示すように、前部に位置する下側スプロケット26,27と、後部に位置する上側スプロケット28との間に、無端状、かつ高さを有する(幅広)の搬送チェーン30を巻回してもよく、この搬送チェーン30に、複数のタイン31を等間隔に取付ける構成にしてもよい。なお、符号32は駆動スプロケット、符号33は伝動スプロケット、符号34は駆動チェーンである。
【0019】
そして、これら左右一対の搬送ケース24のそれぞれの間には、穀稈の搬送経路40を設けて、この搬送経路40に沿って搬送ベルトbとともにタイン31を、搬送ケース24の前部から後部方向に、エンジンの動力から周知の技術で回動移動させる構成とされる。
【0020】
従って、刈取部21において、刈刃22により刈り取られた穀稈は、穀稈搬送装置23における各組ごとに、搬送ケース24のタイン31に挟持されながら、搬送経路40内をプラットフォーム19へ搬送され、このプラットフォーム19から、さらに搬送されて、機体後部の選別装置10で選別処理される。
【0021】
次に、本願発明の特徴である、穀稈搬送装置の搬送終端部に設けたスクレーパおよびガイド杆について、その具体的構成を説明する。図5は搬送終端部に設けたスクレーパおよびガイド杆を示す穀稈搬送装置における上部搬送ケースの平面図、図6は上部搬送ケースに設けたスクレーパおよびガイド杆の背面図、図7は上下搬送ケースの側面図、図8はスクレーパおよびガイド杆の1つを示す拡大平面図、図9はスクレーパおよびガイド杆の1つを示す拡大背面図、図10は穀稈搬送装置における上部搬送ケースの搬送終端部の斜視図である。
【0022】
まず、図5〜6に示すように、この穀稈搬送装置23における各搬送ケース24の搬送終端部の内側(搬送経路40側)であって、搬送ケース24間には、搬送ベルトbを覆うようにして、天板と側板とからなるスクレーパ41が取付けられる。
【0023】
このスクレーパ41は、搬送ケース24の搬送終端部の形状に合わせた、薄い金属板などから構成されるものであり、図8〜9に示すように、スクレーパ41の天板を、搬送ケース24後端部の上面にボルト締結などにより固定して取付けられる。
【0024】
そして、各スクレーパ41の上方であって、各搬送ケース24の上面には、ガイド杆42の一端部が溶接などにより取付けられる。そして、このガイド杆42は、内側(搬送経路40側)から外側下方(スクレーパ41の下部近傍高さ)のスクレーパ41前方に向け、スクレーパ41に適宜間隔を有しながらスクレーパ41周りを湾曲させて設けられる。
【0025】
また、図7に示すように、各搬送ケース24後端部であって、各搬送ケース24の側板下端部には、ガイド杆43の一端部が溶接などにより取付けられる。このガイド杆43も、ガイド杆42同様に搬送ケース24の内側(搬送経路40側)から外側下方(搬送ケース24下方)に向け、ガイド杆42と平行して湾曲させて設けられる。
【0026】
これらガイド杆42,43は、金属製の筒部材などから構成されるとともに、特に、スクレーパ41およびガイド杆42は一体成形してなる部材とされる。
【0027】
従って、1組の搬送ケース24の搬送終端部における搬送経路40から左右側方に向けて、スクレーパ41およびガイド杆42,43が左右対称に取付けられた構成とされる。
【0028】
ここで、刈取部21において、刈刃22により刈り取られた穀稈は、穀稈搬送装置23における各組ごとに、搬送ケース24のタイン31に挟持されながら、図5に示すように、搬送経路40内を機体後方へ向けて搬送される。
【0029】
そして、搬送ベルトbの駆動方向は、搬送ケース24の終端部において、それまでの直線移動から搬送ケース24の外側へ向けて移動方向が変わる。
【0030】
このとき、穀稈搬送装置23の終端部にさしかかった、搬送経路40内を搬送される穀稈は、その長さが短い穀稈が混入していても、図10に示すように、これら穀稈がスクレーパ41により搬送ベルトbに接触しないため、穀稈の搬送ベルトbへの巻きつきや連れ回りなどを防止することができる。
【0031】
さらに、搬送ケース24の終端部の穀稈は、1組の搬送ケース24の搬送経路40に対して左右側方に向け左右対称に設置されたガイド杆42,43によって、プラットフォーム19内に拡散して放出させることができる。
【0032】
このため、それぞれ1組の搬送ケース24の搬送経路40終端部近傍のプラットフォーム19内に、搬送穀稈の集中によるプラットフォーム19の詰まりを防ぎ、搬送ケース24からプラットフォーム19内に、確実かつ円滑に穀稈を移送させることができる。
【0033】
また、ガイド杆42,43が、搬送終端部の穀稈搬送ベルトb(搬送ケース24)に略等しい高さで設置されているため、穀稈に確実に接触して、穀稈をガイド杆42,43によりプラットフォーム19内へ確実かつ円滑に案内させることができる。
【0034】
以上のような構成により、穀稈搬送装置23の搬送穀稈を、穀稈搬送ベルトbへの巻きつきや連れ回りなどを防止できるとともに、プラットフォーム19内に拡散放出して、確実かつ円滑に穀稈を移送させることができるほか、スクレーパ41およびガイド杆42を一体成形できるため、これらの製造工程や穀稈搬送装置23への取付工程の作業効率も向上させることができる。
【0035】
以上詳述したように、この例の普通型コンバイン1は、機体前部の刈取部21に、刈り取った穀稈をプラットフォーム19に向けて搬送する穀稈搬送装置23を設け、この穀稈搬送装置23は、複数組からなる左右一対の搬送ケース24を有し、搬送ケース24内には、複数のタイン31を等間隔に取付けた無端状の穀稈搬送ベルトbを備え、穀稈搬送装置23は、この穀稈搬送装置23の搬送終端部に、搬送穀稈の連れ回りを防止するスクレーパ41と、搬送穀稈をプラットフォーム19に案内するガイド杆42,43を備えるものである。
【0036】
加えて、スクレーパ41は、搬送ケース24の終端部であって、穀稈搬送ベルトbに覆設し、ガイド杆42は、搬送ケース24の内側から外側に向け、搬送ケース24の上面から搬送ケース24の前方にかけて、搬送ケース24の周りを湾曲させて設けるとともに、ガイド杆42は、スクレーパ41と一体成形する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一例としての普通型コンバインの左側面図である。
【図2】コンバインにおける刈取部の拡大側面図である。
【図3】穀稈搬送装置の平面図である。
【図4】上部搬送ケースの一部断面平面図である。
【図5】搬送終端部に設けたスクレーパおよびガイド杆を示す穀稈搬送装置における上部搬送ケースの平面図である。
【図6】上部搬送ケースに設けたスクレーパおよびガイド杆の背面図である。
【図7】上下搬送ケースの側面図である。
【図8】スクレーパおよびガイド杆の1つを示す拡大平面図である。
【図9】スクレーパおよびガイド杆の1つを示す拡大背面図である。
【図10】穀稈搬送装置における上部搬送ケースの搬送終端部の斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
21 刈取部
23 穀稈搬送装置
24 上部搬送ケース
31 タイン
40 搬送経路
41 スクレーパ
42,43 ガイド杆
b 穀稈搬送ベルト
p1 駆動プーリ
p2 アイドラプーリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体前部の刈取部に、刈り取った穀稈をプラットフォームに向けて搬送する穀稈搬送装置を設け、
前記穀稈搬送装置は、複数組からなる左右一対の搬送ケースを有し、
前記搬送ケース内には、複数のタインを等間隔に取付けた無端状の穀稈搬送ベルトを備える普通型コンバインにおいて、
前記穀稈搬送装置は、該穀稈搬送装置の搬送終端部に、搬送穀稈の連れ回りを防止するスクレーパと、搬送穀稈をプラットフォームに案内するガイド杆を備えることを特徴とする普通型コンバイン。
【請求項2】
前記スクレーパは、前記搬送ケースの終端部であって、前記穀稈搬送ベルトに覆設することを特徴とする、請求項1に記載の普通型コンバイン。
【請求項3】
前記ガイド杆は、前記搬送ケースの内側から外側に向け、前記搬送ケースの上面から前記搬送ケースの前方にかけて、前記搬送ケースの周りを湾曲させて設けることを特徴とする、請求項1に記載の普通型コンバイン。
【請求項4】
前記ガイド杆は、前記スクレーパと一体成形することを特徴とする、請求項1に記載の普通型コンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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