説明

有機粘土複合体及びその製造方法

【課題】 有機溶媒に親和性を有し、耐熱性フィラーとして有用な有機粘土複合体を製造する方法を提供する。
【解決手段】 膨潤性層状ケイ酸塩を分散させた分散液に、トリブチルヘキサデシルホスホニウムイオン、トリフェニルベンジルホスホニウムイオン、トリフェニルメチルホスホニウムイオン及びビス(ヒドロキシプロピル)オクタデシルイソブチルホスホニウムイオンからなる群から選ばれる第四級ホスホニウムイオンを含有する第四級ホスホニウム塩を添加し、陽イオン交換反応を行った後、乾燥、粉砕することを特徴とする有機粘土複合体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨潤性層状ケイ酸塩の層間カチオンを第四級ホスホニウムイオンとイオン交換させて得られる有機粘土複合体からなる耐熱性フィラーに関し、更に詳しくは、高分子原料との溶融混練や重合反応に耐えうる耐熱性を有するフィラーに関する。
【背景技術】
【0002】
膨潤性層状ケイ酸塩は、粘土を構成する代表的な鉱物であって、2:1型層状ケイ酸塩にあっては、2層のシリカ四面体ケイ酸塩層がマグネシウム八面体層又はアルミニウム八面体層を間に挟んだサンドイッチ型の3層構造を有し、これが数〜数十層積層した構造を有している。
【0003】
膨潤性層状ケイ酸塩のケイ酸塩層は負の電荷を有しているが、その電荷は層間に存在するアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン等の層間カチオンによって中和されているため、全体として電荷がバランスしている。これらの膨潤性層状ケイ酸塩であるスメクタイト型粘土や膨潤性雲母は、陽イオン交換能を有する微粒子で、層間が広がりやすく、水中で分散してチクソトロピー性を有するゾルを形成し、濃度を高くするとゲルを形成する性質を有している。
【0004】
膨潤性層状ケイ酸塩は、層間カチオンを種々のカチオン性有機化合物と反応させることにより有機粘土複合体とすることができる。このような有機粘土複合体の例としては、スメクタイト層間にジメチルジオクタデシルアンモニウムイオンやジメチルオクタデシルベンジルアンモニウムイオンが陽イオン交換によって導入されたものが工業的に生産され、塗料の増粘剤として用いられている。しかし、このものが分散、増粘可能な有機溶媒は、トルエン、クロロベンゼン等の低極性有機溶媒に限られ、高極性有機溶媒に対して充分な増粘効果を有していない。
【0005】
膨潤性雲母やスメクタイトの層間にこれら第四級アンモニウムイオンを導入した有機粘土複合体は少量添加により効果を発揮する機能性樹脂フィラーとしても知られている。しかしながら、樹脂への練りこみの際、混練温度によっては第四級アンモニウムイオンが分解し、着色やフィラーとしての性能を充分に発揮できない場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1の目的は、耐熱性に優れたフィラーを提供することにある。
本発明の第2の目的は、融点の高い高分子原料との溶融混練や重合反応に耐えうる高耐熱性のフィラーを提供することである。
本発明の第3の目的は、有機溶媒に親和性を有する耐熱性フィラーを提供することにある。
【0007】
本発明の第4の目的は、有機溶媒に対し、長期間分散させることができ、充分な増粘効果を発揮する増粘剤としても有用な耐熱性フィラーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、膨潤性層状ケイ酸塩の層間カチオンを第四級ホスホニウムイオンとイオン交換させることにより、耐熱温度の高い有機粘土複合体が形成され、該有機粘土複合体は耐熱性フィラーとして有用であることを見出した。
【0009】
また本発明者らは、該耐熱性フィラーが、従来から使用されている膨潤性層状ケイ酸塩の層間カチオンを第四級アンモニウムイオンとイオン交換させて得られる有機粘土複合体では困難であった、融点の高い高分子原料との溶融混練や重合反応にも、充分耐えうることを見出した。
【0010】
また本発明者らは、膨潤性層状ケイ酸塩の層間カチオンを第四級ホスホニウムイオンとイオン交換させることにより、有機溶媒に親和性を有する有機粘土複合体が形成され、該有機粘土複合体は有機溶媒に膨潤する耐熱性フィラーとして有用であることを見出した。
【0011】
更に、本発明者らは、膨潤性層状ケイ酸塩としてスメクタイト型粘土を用いて、その層間カチオンを第四級ホスホニウムイオンとイオン交換させて得られた有機粘土複合体は、スメクタイト型粘土鉱物が有機溶媒に分散し、増粘剤として十分な効果を示すため、該有機粘土複合体は、有機溶媒に分散し増粘剤としても有用な無機フィラーとして使用できることを見出した。
【0012】
即ち、本発明は、以下の発明を包含する。
(1)膨潤性層状ケイ酸塩の層間カチオンを、次式(I):
【化1】

[式中、R、R、R及びRは同一又は異なり、それぞれ炭化水素基、−A−OH(Aは結合基)又は−A−COOH(Aは結合基)を表す。]
で示される第四級ホスホニウムイオンとイオン交換させて得られる有機粘土複合体からなる耐熱性フィラー。
【0013】
(2)高分子原料との溶融混練及び/又は重合反応に耐えうる前記(1)記載の耐熱性フィラー。
(3)有機溶媒に親和性を有する前記(1)又は(2)記載の耐熱性フィラー。
(4)膨潤性層状ケイ酸塩がスメクタイト型粘土である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の耐熱性フィラー。
【0014】
(5)有機溶媒に分散し、増粘剤としても有用な前記(4)記載の耐熱性フィラー。
(6)膨潤性層状ケイ酸塩を分散させた分散液に、前記(1)記載の第四級ホスホニウムイオンを含有する第四級ホスホニウム塩を添加し、陽イオン交換反応を行うことを特徴とする耐熱性フィラーの製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明の耐熱性フィラーは、従来の第四級アンモニウム塩から製造した有機粘土複合体に比べて耐熱性に優れているため、融点の高い高分子原料との溶融混練や重合反応に使用することができる。また、樹脂製品の製造において少量添加でガスバリヤ性、耐熱性、各種補強効果等を有する機能性フィラーとして使用できる。
【0016】
前記(3)に記載の耐熱性フィラーは、有機溶媒や樹脂に対して親和性を有するため、塗料、プラスチック製品、フィルム、接着剤製造等の各種工業プロセスで使用することができる。
【0017】
特に膨潤性層状ケイ酸塩としてスメクタイト型粘土を用いて得られた前記(5)に記載の耐熱性フィラーは、有機溶媒や樹脂に対し増粘効果を有し、長期分散させることができるため、塗料、プラスチック製品、フィルム、接着剤製造等の各種工業プロセス中における有機溶媒用増粘剤、ゲル化剤としても使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
膨潤性層状ケイ酸塩は、陽イオン交換能を有し、更に層間に水を取り込んで膨潤していく特異な性質を示す層状ケイ酸塩で、スメクタイト型粘土や膨潤性雲母等が知られている。
【0019】
本発明で使用できるスメクタイト型粘土としては、例えば、ヘクトライト、サポナイト、スチーブンサイト、バイデライト、モンモリロナイト、ノントロナイト又はベントナイト等の天然又は化学的に合成したスメクタイト型粘土、又はこれらの置換体、誘導体あるいは混合物を挙げることができる。また膨潤性雲母としては、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四ケイ素フッ素雲母、Li型四ケイ素フッ素雲母等の天然又は化学的に合成した膨潤性雲母で、層間にLiイオンやNaイオンを有する膨潤性雲母、又はこれらの置換体、誘導体あるいはこれらの混合物が挙げられ、バーミキュライト、フッ素バーミキュライト等も用いることができる。
【0020】
膨潤性層状ケイ酸塩の市販品としては、ラポナイトXLG(英国、ラポート社製の合成ヘクトライト類似物質)、ラポナイトRD(英国、ラポート社製の合成ヘクトライト類似物質)、サーマビス(独国、ヘンケル社製の合成ヘクトライト類似物質)、スメクトンSA−1(クニミネ工業(株)製のサポナイト類似物質)、ベンゲル((株)豊順洋行販売の天然モンモリロナイト、クニピアF(クニミネ工業(株)販売の天然モンモリロナイト)、ビーガム(米国、バンダービルト社製の天然ヘクトライト)、ダイモナイト(トピー工業(株)製の合成膨潤性雲母)、ソマシフ(ME−100、コープケミカル(株)製の合成膨潤性雲母)、SWN(コープケミカル(株)製の合成スメクタイト)、SWF(コープケミカル(株)製合成スメクタイト)等が挙げられる。
【0021】
具体的には、下記の合成スメクタイトや膨潤性合成雲母が挙げられる。
合成スメクタイトは、特公昭61−12848号公報に記載されている製法、あるいはそれと類似の製法により製造される、即ち、ケイ酸とマグネシウム塩の均質混合液にアルカリ溶液を反応させてケイ素・マグネシウム複合体を合成し、副生した電解質を除去した後、該複合体にリチウムイオンと必要に応じてナトリウムイオン及び/又はフッ素イオンを添加して、100〜350℃で水熱反応させ、次いで乾燥して得られ、ヘクトライト型粘土鉱物に類似した構造を有する一般式(II)の合成スメクタイトが挙げられる。
【0022】
【化2】

(式中、Xは層間イオンで、Liイオン及び/又はNaイオンを表し、aは0.1〜1.0であり、bは2.4〜2.9であり、cは0.1〜0.6であり、dは3.5〜4.5であり、eは9.5〜10.5であり、fは1.5〜2.5である。)
【0023】
膨潤性合成雲母は、タルクとケイフッ化アルカリの混合物を加熱処理して得られる膨潤性合成雲母が挙げられ、タルクとケイフッ化ナトリウム及び/又はケイフッ化リチウムとを混合した微粉末を600〜1200℃に加熱処理して得られるものが好ましい。このような膨潤性合成雲母としては、具体的には、一般式(III)で示される膨潤性合成雲母が挙げられる。
【0024】
【化3】

[式中、(Na,Li)は層間にある配位数12の陽イオン、Mg3.0−bは八面体シートを形成している配位数6の陽イオン、Siは四面体シートを形成している配位数4の陽イオンであり、(F2.0−c,OH,O)中のF、OH、Oは陰イオンとして八面体シートに存在する。なお、“,”は“及び/又は”を表す。また、a〜eの記号は下記の数値を表す。
0.2≦a≦1.0;0≦b≦0.5;c=d+2e≦1.0;0≦d≦1.0;0≦e≦0.5]
【0025】
本発明で用いる有機粘土複合体を製造するのに使用される膨潤性層状ケイ酸塩の陽イオン交換容量は、通常、粘土100g当り10ミリ当量以上、好ましくは60ミリ当量以上であり、交換容量が大きいほどよい。膨潤性層状ケイ酸塩は、50wt%以下の非粘土鉱物を含有してもよいが、非粘土鉱物の量は10wt%以下が望ましい。
【0026】
第四級ホスホニウムイオンは、次式(I):
【化4】

で示されるようにリン原子のまわりに4個の官能基(R基)がついたイオンであり、本発明で使用する第四級ホスホニウムイオンは、前記式(I)において、R、R、R及びRが、同一又は異なり、それぞれ炭化水素基、−A−OH又は−A−COOHを表すものである。
【0027】
前記式(I)において、R、R、R又はRで表される炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜40、好ましく1〜25の直鎖状又は分岐状のアルキル基、炭素数2〜40、好ましく2〜25の直鎖状又は分岐状のアルケニル基、炭素数6〜22、好ましく6〜10のアリール基、炭素数7〜22、好ましく7〜12のアラルキル基が挙げられる。
【0028】
前記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基が挙げられる。
【0029】
前記アルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、2−メチルアリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基(クロチル基)、3−ブテニル基が挙げられる。
【0030】
前記アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、トリル基が挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、ビニルベンジル基、ナフチルメチル基が挙げられる。
【0031】
前記式(I)において、R、R、R又はRで表される−A−OH又は−A−COOHにおけるAは結合基であり、特に制限はないが、例えば鎖員1〜35のもの、好ましくは鎖員2〜21のものが挙げられる。前記結合基としては、通常、芳香族基、脂肪族基及びエーテル結合のうち少なくとも一種の構造を有するものが挙げられ、直鎖状又は分岐状のアルキレン基が好ましく、特に炭素数2〜30の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が好ましい。
【0032】
前記−A−OHとしては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシノニル基、ヒドロキシデシル基が挙げられる。
【0033】
前記−A−COOHとしては、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシブチル基、カルボキシペンチル基、カルボキシヘキシル基、カルボキシヘプチル基、カルボキシオクチル基、カルボキシノニル基、カルボキシデシル基が挙げられる。
【0034】
前記式(I)で示される第四級ホスホニウムイオンを層状ケイ酸塩の層間に導入するには、該イオンを含む第四級ホスホニウム塩が用いられるが、そのような塩としては、例えばCl、Br、I、NO、OH、CHCOO等の陰イオンとの塩を挙げることができる。
【0035】
前記第四級ホスホニウム塩の具体例としては、テトラエチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムアイオダイド、トリブチルオクチルホスホニウムブロマイド、トリブチルドデシルホスホニウムブロマイド、トリブチルヘキサデシルホスホニウムブロマイド、トリオクチルエチルホスホニウムブロマイド、トリエチルベンジルホスホニウムクロライド、トリブチルメチルホスホニウムアイオダイド、トリブチルアリルホスホニウムブロマイド、トリブチルベンジルホスホニウムクロライド、トリオクチルビニルベンジルホスホニウムクロライド、トリブチル2−メチルアリルホスホニウムクロライド、トリオクチル2−メチルアリルホスホニウムクロライド、ジメチルジオクタデシルホスホニウムクロライド、ジメチルジオクタデシルホスホニウムブロマイド、ジメチルオクタデシルベンジルホスホニウムクロライド、ジメチルオクタデシルベンジルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、トリフェニルメチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルブチルホスホニウムブロマイド、ビス(ヒドロキシプロピル)オクタデシルイソブチルホスホニウムクロライド、トリフェニルカルボキシエチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルカルボキシペンチルホスホニウムブロマイド等を挙げることができる。
【0036】
本発明で用いる有機粘土複合体は、膨潤性層状ケイ酸塩の層間カチオンと第四級ホスホニウムイオンとの陽イオン交換により得られる。
【0037】
本発明の耐熱性フィラーは、前記の有機粘土複合体からなるが、その特性を損なわない範囲で他の添加剤を配合してもよい。
【0038】
高分子原料は、高分子製造用の原料のことである。具体的には、モノマー、オリゴマー、低重合度ポリマー、ポリマー等が挙げられる。
【0039】
以下に具体的な製造方法を記載するが、本発明の耐熱性フィラーは下記の製法に限定されるものではない。
【0040】
第一工程として、膨潤性層状ケイ酸塩を溶媒に分散させる。溶媒は通常水を使用するが、場合によりアルコール(メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール等)及び/又は多価アルコールを混合してもよい。膨潤性層状ケイ酸塩の分散濃度は通常1〜15wt%が望ましいが、膨潤性層状ケイ酸塩が充分分散可能な濃度の範囲ならば自由に設定することができる。第二工程として、膨潤性層状ケイ酸塩分散液に第四級ホスホニウム塩を添加し、陽イオン交換反応を行うことにより有機粘土複合体を生成させる。添加順序として、あらかじめ用意した第四級ホスホニウム塩溶液に膨潤性層状ケイ酸塩分散液を添加してもよい。
【0041】
膨潤性層状ケイ酸塩に対する第四級ホスホニウム塩の添加量は自由に設定できるが、第四級ホスホニウムイオンとして、膨潤性層状ケイ酸塩の陽イオン交換容量の0.5〜3倍量が好ましい。0.5倍量より少ない量でも製造は可能であるが、均一な生成物が得られ難く、遠心分離等の後処理が著しく困難となる。また、過剰量添加しても差し支えはないが、陽イオン交換反応に寄与しない第四級ホスホニウムイオンが多くなり、コスト的には好ましくない。
【0042】
反応温度は任意に設定してもよい。反応は室温でも充分進行するが、加温する場合は第四級ホスホニウム塩の耐熱性、反応容器の材質や構造を考慮し、設定すればよい。反応時間は10分から1夜間の間で任意に設定できる。第三工程として、陽イオン交換反応終了後に反応液を固液分離し、有機粘土複合体を得る。必要に応じて、分離した有機粘土複合体を水洗浄して、副生電解質等を除去する。最後に得られた有機粘土複合体を乾燥し、必要に応じて粉砕することにより、本発明の耐熱性フィラーが得られる。
【0043】
本発明で用いる有機粘土複合体は、膨潤性層状ケイ酸塩の陽イオン交換容量の50%以上の層間カチオンを、第四級ホスホニウムイオンとイオン交換させて得られるものであることが好ましい。該陽イオン交換容量は、60%以上であることがより好ましく、更に好ましくは70%以上で、最も好ましくは80%以上である。
【0044】
本発明で用いる有機粘土複合体の生成確認や物性評価は、次の測定項目から、目的に応じて選び、更にそれらを組み合わせて実施することにより確認あるいは評価することができる。
(a)化学分析
(b)X線回折
(c)熱天秤、示差熱分析
(d)有機溶媒中のレオロジー
(e)有機溶媒中の膨潤力
(f)色調
【0045】
例えば、本発明で用いる有機粘土複合体の生成は、X線回折で001底面反射の位置から求められる底面間隔により容易に確認することができる。例えば、原料としてスメクタイト型粘土を用いる場合、陽イオン交換反応前の底面間隔は、脱水状態で10Å、通常の温度、湿度下では12.5Åであるが、層間に第四級ホスホニウムイオンが導入されることにより底面間隔は広がることとなる。
【0046】
本発明で用いる有機粘土複合体は、層間の第四級ホスホニウムイオンが有するアルキル基、ベンジル基等の大きさに依存するが、底面間隔は15Å以上を示し、有機粘土複合体が生成していることがわかる。
【0047】
増粘剤としての効果は、有機粘土複合体分散液のレオロジー特性を粘度計等で求めることにより評価することができる。
【0048】
耐熱性については、熱天秤、示差熱分析の結果により評価することができる。
膨潤性層状ケイ酸塩の層間カチオンとイオン交換された第四級ホスホニウムイオンの量は、得られた有機粘土複合体を熱天秤、示差熱分析により測定することができる。例えば、有機粘土複合体をTG(熱重量分析)を用いて600℃まで加熱して、有機物減量を測定することにより求めることができる。
【0049】
この有機物減量は、多ければ多いほどよい。具体的には、20ミリ当量/100g以上、30ミリ当量/100g以上、40ミリ当量/100g以上、50ミリ当量/100g以上、60ミリ当量/100g以上、70ミリ当量/100g以上、80ミリ当量/100g以上の順に好ましく、最も望ましくは90ミリ当量/100g以上である。
【0050】
次に、前記(2)に記載の耐熱性フィラーについて述べる。
該耐熱性フィラーは、高分子原料との溶融混練や重合反応に耐えうる高耐熱性を有している有機粘土複合体からなる。
【0051】
該有機粘土複合体の250℃60分間(TG(熱重量分析)使用)における減量は、少なければ少ない程よい。具体的には、12%以下、11%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下の順に好ましく、最も好ましいのは、3.5%以下である。
【0052】
また、該有機粘土複合体の分解温度(TG使用)は、高ければ高い程よい。具体的には、320℃以上、350℃以上、360℃以上、370℃以上、380℃以上、390℃以上、400℃以上の順に好ましく、最も好ましいのは、410℃以上である。
【0053】
本発明の耐熱性フィラーが高分子原料との溶融混練及び/又は重合反応に耐えうる温度は、280℃以上、290℃以上、300℃以上、310℃以上、320℃以上、330℃以上、340℃以上、350℃以上、360℃以上、370℃以上、380℃以上、390℃以上、400℃以上の順に好ましく、最も好ましいのは410℃以上である。
【0054】
次に、前記(3)に記載の耐熱性フィラーについて述べる。
該耐熱性フィラーは、有機溶媒に親和性を有する有機粘土複合体からなる。有機溶媒としては、高極性、低極性或いは無極性の各種有機溶媒が選択でき、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類;ヘキサノール、デカノールのような高級アルコール類;MIBK(メチルイソブチルケトン)、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミドのようなアミド類;テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、パークロロエチレン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類及びジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、酢酸エチル等が挙げられる。
【0055】
前記(3)に記載の耐熱性フィラーは、下記(a)又は(b)の条件を満足する有機粘土複合体からなることが好ましい。
(a)前記載の少なくとも1つの有機溶媒中に、有機粘土複合体を6%の濃度で分散させた場合に、膨潤していることが確認できる有機粘土複合体で、膨潤していることを示す沈降高さ比(%)[(沈降高さ/懸濁液の高さ)×100]が高ければ高いほどよい。具体的には、5%以上、10以上、20%以上、30以上の順に好ましく、最も好ましいのは40%以上である。なお、有機粘土複合体の種類によっては、沈降高さ比が、50%以上、60%以上、そして70%以上のものもある。
【0056】
(b)ジメチルホルムアミドかクロルベンゼンの少なくとも一方の溶媒に有機粘土複合体を6%の濃度で分散させた場合に、膨潤していることが確認できる有機粘土複合体で、膨潤していることを示す沈降高さ比(%)は高ければ高いほどよい。具体的には、5%以上、10%以上、20%以上、30%以上の順に好ましく、最も好ましいのは40%以上である。なお、有機粘土複合体の種類によっては、沈降高さ比が、50%以上、60%以上、そして70%以上のものもある。
【0057】
前記(4)に記載の耐熱性フィラーは、膨潤性層状ケイ酸塩としてスメクタイト型粘土を用いた有機粘土複合体からなる。
前記(5)に記載の耐熱性フィラーは、有機溶媒に対する親和性に優れており、有機溶媒の種類によっては分散させたり、増粘させたりすることができる。
【0058】
該耐熱性フィラーは、前記のいずれか一つの有機溶媒に分散させた場合に、完全分散(沈降高さ比が100%)させることができる有機粘土複合体からなることが好ましい。なお、溶媒との組合せによっては透明に完全分散させることができるものもある。特に、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、クロルベンゼンの少なくとも一つの溶媒に分散させた場合に、完全分散させることができるものが好ましい。
【0059】
該耐熱性フィラーは増粘剤として、長期分散させることができ、塗料、プラスチック製品、フイルム、接着剤製造等の各種工業プロセス中で使用する有機溶媒に対して充分な増粘効果を有するものである。必要に応じて他の成分との混合が可能であるが、前記(5)に記載の耐熱性フィラーは有機溶媒に対して優れた増粘性を有するため、他の添加剤を添加せずに使用することができる。
【実施例】
【0060】
以下に、実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0061】
合成例1 合成スメクタイトの合成
10リットルのビーカーに水4リットルを入れ、3号水ガラス(SiO28重量%、NaO9重量%、モル比3.22)860gを溶解し、95%硫酸162gを攪拌しながら一度に加えてケイ酸溶液を得た。次に、水1リットルに塩化マグネシウム6水和物(MgCl・6HO一級試薬(純度98%))560gを溶解し、ケイ酸溶液に加えて均質混合溶液を調製し、2規定水酸化ナトリウム水溶液3.6リットル中に攪拌しながら5分間で滴下した。
【0062】
直ちに得られたケイ素・マグネシウム複合体(コロイド粒子の凝集体となっている均質複合物)よりなる均質沈澱を、濾過及び充分に水洗した後、水200mlと水酸化リチウム1水和物(LiOH・HO)14.5gとよりなる溶液を加えてスラリー状とし、オートクレーブに移し、225℃の自生圧下で3時間、水熱反応させた。冷却後、反応物を取りだし、80℃で乾燥、粉砕して、スメクタイトの1種であるヘクトライトの組成を有し、底面間隔が空気中で12.5Å、陽イオン交換容量が110ミリ当量/100gである前記式(II)で示される合成スメクタイトを得た。
【0063】
合成例2 膨潤性合成雲母の合成
ボールミルにより平均粒径が2μmになるように微粉砕したタルク13.5gと、その平均粒径が同じく2μmであるケイフッ化ナトリウム2.5gを2分間混合し磁性ルツボに入れて蓋をし、電気炉中800℃で2時間保持して、空気中での底面間隔が12.3Å、陽イオン交換容量が120ミリ当量/100gである前記式(III)で示される合成フッ素雲母を得た。
【0064】
実施例1
合成例1で得た合成スメクタイト20gを水道水1000mlに分散させ、ここに下記式(V)で示される第四級ホスホニウム塩9.6g(合成スメクタイトの陽イオン交換容量の0.9倍量)を溶解させた水溶液300mlを添加し、攪拌しながら室温で2時間反応させた。次いで、反応生成物を固液分離し、水洗浄した後、乾燥、粉砕して本発明の耐熱性フィラーA24gを得た。
【0065】
【化5】

(式中、Cはエチル基を表し、C17はオクチル基を表す。)
【0066】
本発明品AのX線回折測定によれば、その001底面反射から計算される底面間隔は21Åであり、有機粘土複合体であることが確認された。
【0067】
本発明品Aをジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、クロルベンゼンの各溶媒中に各種濃度で分散させたところ、完全に分散した。ジメチルホルムアミド分散液は透明感のある白色で、メチルエチルケトン分散液は白色、クロルベンゼン分散液は透明であった。
【0068】
実施例2
実施例1で用いた第四級ホスホニウム塩の代わりに、下記式(VI)で示される第四級ホスホニウム塩10.2g(合成スメクタイトの陽イオン交換容量の0.9倍量)を用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明の耐熱性フィラーB24gを得た。本発明品Bの底面間隔は20Åであり、有機粘土複合体であることが確認された。
【0069】
【化6】

(式中、Cはブチル基を表し、C1633はヘキサデシル基を表す。)
【0070】
本発明品Bをジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、クロルベンゼンの各溶媒中に各種濃度で分散させたところ、完全に分散した。ジメチルホルムアミド分散液は透明感のある白色で、メチルエチルケトン分散液は白色、クロルベンゼン分散液は透明であった。
【0071】
実施例3
実施例1で用いた第四級ホスホニウム塩の代わりに、下記式(VII)で示される第四級ホスホニウム塩6.6g(合成スメクタイトの陽イオン交換容量の0.9倍量)を用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明の耐熱性フィラーC19gを得た。本発明品Cの底面間隔は15Åであり、有機粘土複合体であることが確認された。
【0072】
【化7】

(式中、Cはブチル基を表し、CHはベンジル基を表す。)
【0073】
本発明品Cをジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、クロルベンゼンの各溶媒中に各種濃度で分散させたところ、ジメチルホルムアミド、クロルベンゼンには完全に分散した。ジメチルホルムアミド分散液は透明感のある白色で、クロルベンゼン分散液は透明であった。
【0074】
比較例1
実施例1で用いた第四級ホスホニウム塩の代わりに、第四級アンモニウム塩のジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド11.4gを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較フィラーD25gを得た。比較品Dの底面間隔は23Åであり、第四級アンモニウム塩を用いた有機粘土複合体であることが確認された。
【0075】
比較品Dをジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、クロルベンゼンの各溶媒中に各種濃度で分散させたところ、クロルベンゼンには完全に分散したが、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン中では沈降が見られた。クロルベンゼン分散液は透明であった。
【0076】
比較例2
実施例1で用いた第四級ホスホニウム塩の代わりに、第四級アンモニウム塩のジメチルオクタデシルベンジルアンモニウムクロリド8.2gを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較フィラーE23gを得た。比較品Eの底面間隔は19Åであり、第四級アンモニウム塩を用いた有機粘土複合体であることが確認された。
【0077】
比較品Eをジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、クロルベンゼンの各溶媒中に各種濃度で分散させたところ、どれも沈降が見られた。
【0078】
試験例1
実施例1〜3及び比較例1、2で得られた耐熱性フィラー分散液と比較フィラー分散液の見掛け粘度を測定した。測定には回転粘度計(東京計器(株)製B型粘度計)を用い、6回転(ずり速度5.58s−1)における見掛け粘度測定結果を表1に示す。
【0079】
【表1】

【0080】
表1から明らかなように、本発明の耐熱性フィラーA〜Cは、高極性有機溶媒及び低極性有機溶媒との親和性を示し、良好な増粘効果を有することがわかる。
【0081】
実施例4
実施例1で用いた合成スメクタイトの代わりに、合成例2で得た合成フッ素雲母20gを用い、前記式(V)で示される第四級ホスホニウム塩の量を11.5g(合成フッ素雲母の陽イオン交換容量の1.0倍量)とした以外は、実施例1と同様にして、本発明の耐熱性フィラーF24gを得た。本発明品Fの底面間隔は26Åであり、有機粘土複合体であることが確認された。本発明品FをTG(熱重量分析)で600℃まで加熱した場合の有機物減量は、99ミリ当量/100gであった。
【0082】
また、本発明品Fをジメチルホルムアミド、クロルベンゼンの各溶媒中に6%濃度で分散させたところ、いずれも膨潤し有機溶媒に対して親和性を有することが確認された。沈降高さ比(%)は、ジメチルホルムアミドで40%以上、クロルベンゼンで40%以上であった。
【0083】
実施例5
実施例4で用いた第四級ホスホニウム塩の代わりに、前記式(VI)で示される第四級ホスホニウム塩12.2g(合成フッ素雲母の陽イオン交換容量の1.0倍量)を用いた以外は、実施例4と同様にして、本発明の耐熱性フィラーG24gを得た。本発明品Gの底面間隔は27Åであり、有機粘土複合体であることが確認された。本発明品GをTGで600℃まで加熱した場合の有機物減量は、102.5ミリ当量/100gであった。
【0084】
また、本発明品Gをジメチルホルムアミド、クロルベンゼンの各溶媒中に6%濃度で分散させたところ、いずれも膨潤し有機溶媒に対して親和性を有することが確認された。沈降高さ比(%)は、ジメチルホルムアミドで50%以上、クロルベンゼンで70%以上であった。
【0085】
実施例6
実施例4で用いた第四級ホスホニウム塩の代わりに、前記式(VII)で示される第四級ホスホニウム塩7.9g(合成フッ素雲母の陽イオン交換容量の1.0倍量)を用いた以外は、実施例4と同様にして、本発明の耐熱性フィラーH20gを得た。本発明品Hの底面間隔は18Åであり、有機粘土複合体であることが確認された。
【0086】
比較例3
実施例4で用いた第四級ホスホニウム塩の代わりに、第四級アンモニウム塩のジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド13.8gを用いた以外は、実施例4と同様にして、比較フィラーI26gを得た。比較品Iの底面間隔は36Åであり、第四級アンモニウム塩を用いた有機粘土複合体であることが確認された。
【0087】
比較例4
実施例4で用いた第四級ホスホニウム塩の代わりに、第四級アンモニウム塩のジメチルオクタデシルベンジルアンモニウムクロリド10.2gを用いた以外は、実施例4と同様にして、比較フィラーJ24gを得た。比較品Jの底面間隔は26Åであり、第四級アンモニウム塩を用いた有機粘土複合体であることが確認された。
【0088】
試験例2
本発明の耐熱性フィラーF〜Hと比較フィラーI,Jを熱天秤にて15℃/分で250℃まで昇温した後、250℃で60分間保持した。水分の影響を除くために、100℃になった時点を基準として、減量を測定した。結果を表2に示す。
【0089】
試験例3
本発明の耐熱性フィラーF〜Hと比較フィラーI,Jを熱天秤にて15℃/分で600℃まで昇温し、吸着しているホスホニウムイオン又はアンモニウムイオンの分解温度を測定した。結果を表2に示す。
【0090】
【表2】

【0091】
表2からわかるように、本発明の耐熱性フィラーは、従来からある第四級アンモニウム塩から製造した比較フィラーと比較して、熱減量が1/4以下(3.1wt%と12.7wt%)と小さく、また、吸着している第四級塩の分解温度は100℃以上(416℃と302℃)高く、耐熱性に優れていることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨潤性層状ケイ酸塩を分散させた分散液に、トリブチルヘキサデシルホスホニウムイオン、トリフェニルベンジルホスホニウムイオン、トリフェニルメチルホスホニウムイオン及びビス(ヒドロキシプロピル)オクタデシルイソブチルホスホニウムイオンからなる群から選ばれる第四級ホスホニウムイオンを含有する第四級ホスホニウム塩を添加し、陽イオン交換反応を行った後、乾燥、粉砕することを特徴とする有機粘土複合体の製造方法。
【請求項2】
第四級ホスホニウム塩がトリブチルヘキサデシルホスホニウムブロマイド、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、トリフェニルメチルホスホニウムブロマイド及びビス(ヒドロキシプロピル)オクタデシルイソブチルホスホニウムクロライドからなる群から選ばれる請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
得られた有機粘土複合体を、ジメチルホルムアミド及びクロロベンゼンにそれぞれ6%の濃度で分散させた場合に、少なくとも一方の溶媒に沈降の高さ比(沈降の高さ/懸濁液の高さ)が40%以上である請求項1又は2記載の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(II)
【化1】

(式中、Xは層間イオンで、Liイオン及び/又はNaイオンを表し、aは0.1〜1.0であり、bは2.4〜2.9であり、cは0.1〜0.6であり、dは3.5〜4.5であり、eは9.5〜10.5であり、fは1.5〜2.5である。)
又は一般式(III)
【化2】

[式中、(Na,Li)は層間にある配位数12の陽イオン、Mg3.0−bは八面体シートを形成している配位数6の陽イオン、Siは四面体シートを形成している配位数4の陽イオンであり、(F2.0−c,OH,O)中のF、OH、Oは陰イオンとして八面体シートに存在する。なお、“,”は“及び/又は”を表す。また、a〜eの記号は下記の数値を表す。
0.2≦a≦1.0;0≦b≦0.5;c=d+2e≦1.0;0≦d≦1.0;0≦e≦0.5]
で示される膨潤性層状ケイ酸塩の層間カチオンを、トリオクチルエチルホスホニウムイオン、トリブチルヘキサデシルホスホニウムイオン、トリフェニルベンジルホスホニウムイオン、トリフェニルメチルホスホニウムイオン及びビス(ヒドロキシプロピル)オクタデシルイソブチルホスホニウムイオンからなる群から選ばれる第四級ホスホニウムイオンとイオン交換させて得られる有機粘土複合体。
【請求項2】
請求項1記載の膨潤性層状ケイ酸塩を分散させた分散液に、請求項1記載の第四級ホスホニウムイオンを含有する第四級ホスホニウム塩を添加し、陽イオン交換反応を行うことを特徴とする有機粘土複合体の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の製造方法によって製造された有機粘土複合体。
【請求項4】
請求項1又は3記載の有機粘土複合体を、ジメチルホルムアミド及びクロロベンゼンにそれぞれ6%の濃度で分散させた場合に、少なくとも一方の溶媒に沈降の高さ比(沈降の高さ/懸濁液の高さ)が40%以上である請求項1又は3記載の有機粘土複合体。

【公開番号】特開2006−52136(P2006−52136A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−264039(P2005−264039)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【分割の表示】特願2002−38518(P2002−38518)の分割
【原出願日】平成14年2月15日(2002.2.15)
【出願人】(000105419)コープケミカル株式会社 (6)
【Fターム(参考)】