木質ペレット燃焼装置
【課題】 スクリューコンベア内の木質ペレット燃料間には多くの空隙が発生し、その間隙は狭まることなく燃焼器に投入されるので、安定してペレット燃料を供給できず均一な燃焼を得ることが困難であった。そこで燃料供給手段内の木質ペレットの充填率を上昇さて、均一に燃焼部に燃料を供給し燃焼量を細かく制御できる木質ペレット燃焼装置を提供する。
【解決手段】 木質ペレットを上昇搬送するスクリューコンベア内の搬送羽根の終点から、コンベアの排出口より下方までの間を、木質ペレットが堆積する貯留空間を形成して定量の木質ペレットを燃焼部に供給するようにすると共に、スクリューコンベアの投入口には木質ペレットを細断する細断手段と、そしてスクリューコンベアの排出口方向には落下防止手段を設けて、木質ペレットの充填率を向上させ、均等に燃焼部へ供給できる構成とした。
【解決手段】 木質ペレットを上昇搬送するスクリューコンベア内の搬送羽根の終点から、コンベアの排出口より下方までの間を、木質ペレットが堆積する貯留空間を形成して定量の木質ペレットを燃焼部に供給するようにすると共に、スクリューコンベアの投入口には木質ペレットを細断する細断手段と、そしてスクリューコンベアの排出口方向には落下防止手段を設けて、木質ペレットの充填率を向上させ、均等に燃焼部へ供給できる構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、流木及び間伐材の粉砕物や、大鋸屑等を圧縮加工して成形した木質ペレットを燃料とする木質ペレット燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来から燃焼装置・暖房機等の燃料として使用されている化石燃料の石油は、燃焼によって温室効果ガスとなる二酸化炭素を発生させ、地球温暖化の問題を招いている。一刻も早く温室効果ガスとなる二酸化炭素の発生をより少なく、しかも持続的に循環再生利用可能な燃料資源への転換が急務となっている。
【０００３】
そこで近年では、循環再生して利用できる有機性資源（バイオマス）を有効に燃料として用いて循環型社会の構築を確立しようと試みられている。特に、今まで焼却処分されていた大鋸屑、間伐材、建設発生木材や流木は、燃焼燃料として有益な資源となりうるものであって、一定の粒の形状に圧縮成形して燃焼機・暖房機の燃料に利用され始めている。例えば、実開昭５８−１９０３０１号公報（特許公報１）に記する固形燃料ストーブが公知である。
【０００４】
間伐材、建設発生木材、間伐材及び流木の粉砕物や、大鋸屑等を圧縮加工して粒状に成形された木質ペレットは、通常直径６ｍｍから８ｍｍの円柱の形状で長さは約１０ｍｍから２５ｍｍのものとされていて、その寸法自体、かなりの違いが見られる。また木質ペレットは、そのペレット化する木質の違いによってもその形状、長さは若干の違いが発生するものである。特に、杉の木のように成分にリグニンの含有量が少ない木質にあっては、ペレット化が容易ではなく、成形したペレットが長さ方向に細断されやすい特徴を持ち合わせているため、その形状、長さが一定とはなり難いものである。
【０００５】
従来の燃焼の燃料とされてきた化石燃料の石油は、液体状であるために燃焼量の制御がきめ細かくまた、連続的に行え安定した燃焼を得ることが出来る利点を有しているものである。木質ペレットを燃焼燃料として使用する場合においても、均一にしかも連続的に燃料を燃焼部に供給する事が重要であるが、その燃料の形状、長さの違いから均一に供給して安定燃焼させることは困難であった。
【０００６】
そこで特開２００４−１９１０１１号公報（特許公報２）のように、燃料タンクから燃焼部にペレット燃料を搬送する搬送手段のスクリューコンベア出口の羽根のピッチをほかの羽根のピッチより短くして、スクリューコンベア内に遅延した燃料を詰め、燃料供給量を一定量にしようとする構成は公知である。
【０００７】
しかも、スクリューコンベアの出口上部には羽根の傾斜を他の羽根と逆にした構成として、燃料がその上部のモータ部に到達しないで、燃料が安定的に供給できるペレット燃料燃焼装置も公知となっている。
【０００８】
【特許文献１】実開昭５８−１９０３０１号公報
【特許文献２】特開２００４−１９１０１１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
前掲の特許文献２においては、スクリューコンベアで上昇搬送されるペレット燃料のばらつきを、スクリューコンベアの出口の方向の羽根のピッチが短い場所で遅延したペレット燃料を詰めるので、ある程度定量的に燃焼器に供給は可能であるが、スクリューコンベア内の排出部付近にもピッチが短くなっても搬送体の羽根自体は存在するので、スクリューコンベア内の断面全てを効率良くペレット燃料で貯留させることは不可能であって、羽根とペレット燃料の間に多くの空隙が発生し、ペレット燃料の充填率を上昇させる妨げとなっている。
【００１０】
また、木質ペレット燃料はそれぞれの長さに違いがあるため、長いペレット燃料がスクリューコンベアの投入口に投入された場合、ペレット燃料同士の間隙が大きくなっているため、投入口から投入されるペレット燃料の総量は少なくなってしまうと共に、いくらスクリューコンベアの排出口付近の羽根のピッチが短くなって燃料を詰める働きがあっても、ペレット燃料同士の配列によっては空間が大きく発生してしまう事となり、その間隙は狭まることなく燃焼器に投入されるので、安定してペレット燃料を定量的に供給できない場合が発生する。
【００１１】
そこで本発明では、燃焼部に木質ペレット燃料を供給する燃料供給手段内に木質ペレット燃料の充填率を上げるための搬送体を有さない貯留空間を設け、その貯留空間から定量的に燃料を供給出来る構成と、燃料供給手段の投入部に木質ペレット燃料を略設定長さ以下に細断する細断手段を備えて、燃料供給手段内の木質ペレット燃料同士の間隙を少なくして充填率を上げ、さらに貯留空間に達した木質ペレットは、羽根とコンベアケースの隙間からの落下を防止する落下防止手段を備えているので、燃焼部により一層定量燃料の供給を可能として、燃焼量を細かく制御できる木質ペレット燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
上記目的を達成させるため、本発明は請求項１ないし請求項７に係る木質ペレット燃焼装置を提案する。
【００１３】
即ち、請求項１記載の木質ペレット燃焼装置は、燃料タンクから燃料供給手段によって、木質ペレット燃料を燃焼部に供給する木質ペレット燃焼装置において、燃料供給手段には木質ペレット燃料を堆積させる貯留空間を備えたことを特徴とするものである。
【００１４】
請求項２記載の木質ペレット燃焼装置は、請求項１記載の木質ペレット燃焼装置において、燃料供給手段は、燃料タンクの下方から木質ペレット燃料を上昇搬送して燃焼部に供給するスクリューコンベアであって、スクリューコンベア内部には、略下端から備えられた搬送羽根の上端と、その上方に位置するスクリューコンベアの排出口の下面との間を、木質ペレットの貯留空間としたことを特徴とするものである。
【００１５】
請求項３記載の木質ペレット燃焼装置は、請求項２記載の木質ペレット燃焼装置において、スクリューコンベア内部の貯留空間には、その空間の略上面に隣接して送出し羽根を設けたことを特徴とするものである。
【００１６】
請求項４記載の木質ペレット燃焼装置は、請求項２又は請求項３記載の木質ペレット燃焼装置において、スクリューコンベア下方には、木質ペレット燃料を細断する細断手段を備えたことを特徴とするものである。
【００１７】
請求項５記載の木質ペレット燃焼装置は、請求項４記載の木質ペレット燃焼装置において、木質ペレット燃料を細断する細断手段は、スクリューコンベアの投入口を覆う範囲で搬送羽根のピッチを他の搬送羽根のピッチよりも短くしことを特徴とするものである。
【００１８】
請求項６記載の木質ペレット燃焼装置は、請求項４記載の木質ペレット燃焼装置において、木質ペレット燃料を細断する細断手段は、スクリューコンベアの投入口を覆う範囲で搬送羽根を二重以上にしたことを特徴とするものである。
【００１９】
請求項７記載の木質ペレット燃料装置は、請求項２、３、４、５又は請求項６記載の木質ペレット燃焼装置において、搬送羽根の上端は、その搬送羽根を二重以上とした落下防止手段を備え、貯留空間に到達した木質ペレット燃料の落下を防止するようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【００２０】
本発明に係る木質ペレット燃焼装置によれば、燃焼部に木質ペレット燃料を供給する燃料供給手段の上方に木質ペレット燃料同士の間隙を極力少なくしてその充填率を上げた貯留空間を設けているので、その貯留空間から定量を燃焼部に供給し安定した燃焼を提供できる。
【００２１】
さらに燃料供給手段の投入部には木質ペレット燃料を規定長以下に切断する細断手段を設けているので、燃料供給手段内の木質ペレット燃料同士の空隙を減らすことが出来ると共に、貯留空間に達した木質ペレットは、羽根とコンベアケースの隙間からの落下を防止する落下防止手段を備えているので、燃焼部にさらに定量の燃料を供給可能とする効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２２】
本発明の木質ペレット燃焼装置の実施の形態として、木質ペレットを燃料とするペレットストーブについて、以下に説明を行う。
【００２３】
図１には、本発明に係る木質ペレット燃焼装置を例示するペレットストーブの概略断面図である。図２では、本発明の第１の実施の形態を示す燃料供給手段の断面図、図３は本発明の実施の形態の燃料供給手段の排出口付近を示す平面断面図。図４は図３における送出しバネの他例を示す平面断面図。図５は本発明の第２の実施の形態を示す燃料供給手段の断面図。図６は本発明の第３の実施の形態を示す燃料供給手段の断面図である。
【００２４】
図１において、１はペレットストーブである。ａは木質ペレットであって、ペレットストーブ１内には木質ペレットａが燃焼する燃焼部２５を下部に備える燃焼室２と、その燃焼室２の中間部から上方にかけて、熱交換部５が設けられている。燃焼室２の上端には燃焼風排気口７が備えられ燃焼風Ｃを排風部６へ流通させている。燃焼室２は後壁３４と冷却空間１７を隔てて燃料タンク３を備え、燃料タンク３から燃焼室２へ木質ペレットａを供給する燃料供給手段４が燃料タンク３に密接して備えられている。図１に示す燃料タンク３はペレットストーブ１の上端までの空間を有していて、ペレットストーブ１の上面が扉となって燃料タンク３内に木質ペレットａが投入できる構成であると良い（図示せず）。
【００２５】
燃料タンク３の下端を構成する底面板１０が燃料供給手段４方向に向かって傾斜し、燃料供給手段４のスクリューコンベア８の投入口９に木質ペレットａが漏れなく投入できるようになっている。スクリューコンベア８の上端には燃焼部２５へ木質ペレットａを投入する投入シュート１１と、投入シュート１１内に外気を通風させるための通気口１２が設けてあり、この通気口１２は投入シュート１１の途中に設けられていても良い。尚スクリューコンベア８の動力はモータ２４の回転によって得られる。
【００２６】
なお、燃焼室２の後壁３４と燃料タンク３及び燃料供給手段４との間の冷却空間１７には外気が流通するようになって、燃焼室２の燃焼熱を燃料タンク３及び燃料供給手段４に伝熱しないようになっている。
【００２７】
燃焼室２の下方の燃焼部２５では、投入シュート１１より流下した木質ペレットａが堆積燃焼し、複数のスリット部１４を備える燃焼皿１３と、燃焼皿１３の後面には長細の筒内にヒータ１６を備え、長細筒内を通過する空気をヒータ１６によって高温（約２５０℃以上）にしてその高温の空気を木質ペレットａに当てることによって着火する構造の点火装置１５が備えられている。
【００２８】
燃焼皿１３のスリット部１４は、投入された木質ペレットａが落下しない開口幅を保って燃焼皿１３の略全面に前後左右どちらかの方向に長細形状に開口し、その細長形状に開口したスリット部１４から木質ペレットの燃焼後の灰が落下するようになっている。なおスリット部１４から落下する灰を堆積させる灰回収容器２９が燃焼皿１３の設置面を覆う範囲で設けられている。
【００２９】
図示はしていないが、燃焼皿１３の下方には、燃焼皿１３上に浮遊又は固着して固まった固体灰を除去するため、スリット部１４の開口部を回転体が通過して強制的に灰を下方に落下させる灰除去手段が設けられていてもよい。
【００３０】
燃焼室２の中間部から上方にかけて燃焼室２を前後に縦断する熱交換部５は、複数の放熱管１８からなり、外気を圧送ファン１９で放熱管１８内に強制的に供給し、熱交換をして温風吹き出し口２０から温風を機外に供給する。
【００３１】
燃焼室２の上端の熱風排気口７には、排風部６が備えられ、吸引ファン２１の吸引作用によって燃焼風Ｃを吸引し、排気ダクト２２から機外に燃焼風Ｃを排気している。なお、燃焼風Ｃに乗って排風部６に達する比重の軽い灰が機外への飛散を防止するために、排風部６にはサイクロン等の集塵装置を設けて集塵し、集塵装置を通過した燃焼風Ｃを吸引ファン２１から機外に排出する構成であると良い（図示せず）。
【００３２】
図１の２３は温度センサであって、排気ダクト２２又は吸引ファン２１の出入口のどちらかに備えられ、温度センサ２３・モータ２４・ヒータ１６・圧送ファン１９・吸引ファン２１は制御部３１に繋がれ制御されている。
【００３３】
吸引ファン２１に動作によって外気が直接又は冷却空間１７を経由して燃焼部２５のスリット部１４及び点火装置１５の細長筒内を、そして外気の一部が投入シュート１１を経由して燃焼室２内に達する。燃料タンク３からスクリューコンベア８を経由して燃焼室２内に木質ペレットａが投入され点火装置１５によって着火し、スリット部１４からの通風を受け、木質ペレットａは燃焼を行う。その後この燃焼風Ｃは熱交換部５で熱交換され燃焼風排気口７から吸引ファン２１を通過し、排気ダクト２２から機外に排出される。
【００３４】
運転開始と共に、ヒータ１６に通電し、通電が規定時間経過後に予熱完了と判断してモータ２４を稼動して燃焼皿１３上に木質ペレットの供給を行なう。その後、設定時間経過後に吸引ファン２１を起動させ、燃焼皿１３上に木質ペレットａを設定時間供給した後、木質ペレットの供給を停止しする。そして点火後に温度センサ２３で排気される温度が設定温度（４０℃）に到達した場合、燃焼を検出したものとみなし、圧送ファン１９を稼動すると共に、設定の間隔と設定の時間の範囲でモータ２４に通電し、燃焼燃料の供給を定期的におこない、その後温度センサ２３の温度が設定温度より下降しなければ安定燃焼と判断してヒータ１６への通電を停止する。
【００３５】
安定燃焼中の暖房の温度調節として、燃料供給を３段階に調節できるようになっており、その供給量の調節に伴って吸引ファン２１の風量も３段階に制御される。燃料供給「大」では燃焼皿通気孔１４を上昇する風速は約２〜３ｍ/ｓ、「中」での風速は「大」の風速の約８０％、「小」での風速は「大」の風速の約７０％となっている。
【実施例１】
【００３６】
図２に示す燃料供給手段４のスクリューコンベア８は、コンベアケース２６の略中央にスクリュー軸２７を備えており、スクリューコンベア８の底板２８と上板３０の軸受３２によってスクリュー軸２７はその移動を固定されると共にスクリュー軸２７の軸心を中心として容易に回転が可能となっていて、その一端（下端）にモータ２４が備えられている。
【００３７】
スクリュー軸２７には投入口９より下方で、底板２８から若干の距離をもって搬送羽根３３が取り付けられ、その搬送羽根３３の上端から排出口３５の下面３６までの貯留空間ｂの距離をもって取り付けられている。この貯留空間は常に一定量の木質ペレットを貯留させる空間であって、スクリュー軸２７には貯留空間ｂの略上面に隣接して送出し羽根３７が設けられ、貯留空間ｂから上方に移行しようとする木質ペレットを投入シュート１１から燃焼部２５に流下するようになっている。この送出し羽根３７は図３に示すように１２０°の均等の角度をもってスクリュー軸２７に３枚取り付けられているが、１８０°の角度で２枚又は９０°の角度で４枚取り付けられていても良い。また図４のように、この送出し羽根３７が回転方向に対して搬送物を外に押し出す作用を有する形状と、回転方向に対して後退角をもって接合されていると良い。なお図３に示す直線形状の送出し羽根３７に対しても図示はしていないが、後退角をもってスクリュー軸３７に接合されているとよい。
【００３８】
運転の開始と共にペレットストーブ１は制御部３１のプログラムによって順次起動を始め、モータ２４も燃焼部２５への点火燃料供給と、燃焼時の定期的な供給を続けるため定期的に稼動を繰り返す。
【００３９】
燃料タンク３に投入された木質ペレットａは、モータ２４の稼動によってスクリュー軸２７が回転し、投入口９付近で搬送羽根３３に接触した木質ペレットａがその回転と投入口９へ圧力によって連続的にコンベアケース２６内を上昇し始める。しかしながら、木質ペレットａはその粒径と、特にその長さの違いによって搬送羽根３３の上下空間に多くの間隙が発生すると共に、常に定量が投入口９から投入されることは確定出来ない。よってスクリューコンベア８を上昇していく木質ペレットａはその搬送部位によって木質ペレットの充填率の高いところと低いところが混在しながら、貯留空間ｂに到達する。
【００４０】
貯留空間ｂでは搬送羽根３３の搬送体を有していない部位であるので、下方の搬送羽根３３が次々と押し上げる木質ペレットによって充填され、徐々にその貯留空間ｂの厚みを増し排出口３５の下面３６に達するまでその厚みを増して行く。
【００４１】
貯留空間ｂが排出口３５の下面３６に達すると共に、スクリュー軸２７に取り付けられた送出し羽根３７の回転によって、木質ペレットａはコンベアケース２６の内壁面に押し出され、排出口３５の下面３６から徐々に溢流し、投入シュート１１を流下して燃焼部２５に供給される。特に図４に示すような形状で、コンベアケース２６内に貯留する搬送物をコンベアケース２６の内壁面に押し出すような送出し羽根３７であるとよい。
【００４２】
貯留空間ｂの木質ペレットａは若干のペレット同士による間隙があるものの、搬送体が介在しないので充填率が高められており、スクリュー軸２７の回転に対して定量的に木質ペレットａを燃焼部２５に供給することが可能となる。
【実施例２】
【００４３】
図５に示す木質ペレット燃焼装置の燃料供給手段は、実施例１に示すペレットストーブ１の燃料供給手段に、スクリューコンベア８の下方に木質ペレットａを細断する細断手段４１を設けた構成を示すものである。この細断手段４１はスクリューコンベア８の投入口９を覆う範囲でスクリュー軸２７に備えた搬送羽根３３のそのピッチと同じピッチを持った羽根Ａ３８を搬送羽根３３の下端の始点から１８０°の角度をもってスクリュー軸２７に備えられたものであって、投入口９を覆う範囲においてスクリューの羽根が二重構成となり、羽根同士の取り付けピッチが１／２になったものである。
【００４４】
スクリューコンベア８内のスクリュー軸２７の回転によって投入口９付近の木質ペレットを上方に搬送しようとすると共に、燃料タンク３内の木質ペレットがコンベアケース２６内に侵入しようと流下してくるが、投入口９にはその範囲を覆って搬送羽根３３と羽根Ａ３８によってそのピッチが約半分になっているので、コンベアケース２６内に進入しようとする木質ペレットａの長さがそのピッチより長い場合は、その一部しかコンベアケース２６内に侵入できないこととなる。そして木質ペレットａの一部がコンベアケース２６内に進入した状態で搬送羽根３３によって木質ペレットａが上方に搬送されて行き、コンベアケース２６内に進入できなかった部分が、投入口９の投入部上面３９にあたり、そのあたった部分と搬送羽根３３及び羽根Ａ３８との間で挟まれた後、更なるスクリュー軸２７の回転で木質ペレットａが細断されるものである。
【００４５】
細断され搬送羽根３３で上方に搬送されなかった木質ペレットの一部は、再度投入口からコンベアケース２６内に進入し、再度上方に搬送されるようになる。
【００４６】
投入部９を覆う範囲で羽根同士のピッチが狭くなっているので、そのピッチ幅より長い木質ペレットａはそのままの形状（長さ）では、上方に搬送される可能性が低くなる。即ち、搬送羽根３３で木質ペレットａを上方に搬送しようと回転した場合に、羽根同士のピッチが狭くなっているので木質ペレットの逃げようとする余裕の空間がなくなり、木質ペレットは羽根と投入部上面３９に挟まれる可能性が格段に上昇することとなる。そして更なる羽根の回転によって木質ペレットａは細断され、細断された部分だけが上方に搬送されるようになる。この繰り返しで、上方に搬送される木質ペレットａは一定長より短いものの、充填割合が増した状態で上方に搬送されるものである。
【００４７】
そして、搬送羽根３３の上端の貯留空間ｂでは、搬送体が介在しないことと、細断手段４１によって上昇搬送される木質ペレットの形状（長さ）が格段に小さくなっているので、さらに充填率は上昇して送出し羽根３７の効果と共に、スクリュー軸２７の回転に対して定量的に木質ペレットａを燃焼部２５に供給することが可能となる。
【００４８】
尚、図５に示す羽根Ａ３８と搬送羽根３３の下部の取り付ける間隔は１８０°の角度で備えられているが、羽根Ａ３８を２枚とし搬送羽根３３との取り付け角度を１２０°、又は羽根Ａ３８を３枚とし搬送羽根３３との取り付け角度を９０°とするなど、羽根Ａ３８を複数枚として羽根同士のピッチをさらに細かくする構成や、投入口９を覆う範囲で搬送羽根３３自体のピッチを短くする構成であっても良く、木質ペレットａの形状（長さ）をもっと細かく細断し充填率をさらに上げるようにすると良い（図示せず）。
【実施例３】
【００４９】
図６に示す木質ペレット燃焼装置の燃料供給手段は、実施例１及び実施例２に示すペレットストーブ１の燃料供給手段に、搬送羽根３３の上端に木質ペレットの落下を防止する、落下防止手段４２を備えたものである。この落下防止手段４２は螺旋羽根３３と同じピッチを有した羽根Ｂ４０を螺旋羽根３３の取り付けの上端の終点と１８０°の角度をもってスクリュー軸２７に取り付けえられているものである。図６に示すこの羽根Ｂ４０は搬送羽根３３の上端の終点から半ピッチ（半巻き）の長さを持ったものが備えられているが、１ピッチ（一周巻き）くらいのまでのピッチ数で十分である。
【００５０】
スクリュー軸２７の回転によって螺旋羽根３３により押上げられた木質ペレットａは、上方に移動するにつれ羽根Ｂ４０の下方の始点が備えられた高さまで押上げられ、ピッチ幅が１／２となった範囲内に達しさらに上昇を続ける。そして搬送体の無い貯留空間ｂを満たし、充填率を上げながら排出口３５の下面３６の貯留空間ｂの上面まで達したときに送出し羽根３７の押し出し効果で、徐々に木質ペレットは投入シュート１１に流下し、燃焼部２５へと投入される。
【００５１】
落下防止手段４２の羽根Ｂ４０と搬送羽根３３によって、木質ペレットをさらに上方へ押し上げる力を与えると共に、コンベアケース２６の内面とそれぞれの羽根との間の間隙から落下する木質ペレットの量を少なくすることが出来るものであるから、上方に木質ペレットを効率よく搬送できるものである。
【００５２】
また、貯留空間ｂまでの間を搬送羽根３３だけで木質ペレットを上昇搬送させた場合であっては、回転方向に対する木質ペレットの押し上げ作用で、搬送羽根３３の上端の終点より若干前に形成される貯留空間ｂ上面の山によって貯留空間ｂの上面は偏った傾斜をなし、それぞれの送出し羽根３７から投入シュート１１に供給される木質ペレットの量の差が発生する不具合が生じていた。
【００５３】
そこで、羽根Ｂ４０と搬送羽根３３の上端の終点を同じ高さとしているので、スクリュー軸２７の回転によって木質ペレットが上方に押し上げられて形成される貯留空間ｂの上面に形成される山が二つとなり、貯留空間ｂの表面の段差が大幅に減少し、よって送出し羽根３７で投入シュート１１を流下する木質ペレットの量を安定させることが出来る。
【００５４】
尚、図６に示す羽根Ｂ４０と搬送羽根３３のスクリュー軸２７に取り付ける間隔は終点の角度を１８０°で備えられているが、羽根Ｂ４０を２枚とし搬送羽根３３との取り付け角度を１２０°、又は羽根Ｂ４０を３枚とし搬送羽根３３との取り付け角度を９０°とするなど、羽根Ｂ４０を複数枚として羽根同士のピッチ間隔をさらに細かくする構成にすると、貯留空間ｂの表面に形成される山と低面の差がさらに少なくなって、投入シュート１１への木質ペレットの流下量を安定させることができる。
【００５５】
羽根Ｂ４０と搬送羽根３３を二重以上とする構成は、木質ペレットを押上げる上昇能力を増大させる効果があり、貯留空間の堆積層を厚くすることが可能となる。貯留空間ｂが厚い層であればあるほど、その層の上面の搬送体の回転によって生じる段差は少なくなり、燃焼部２５への木質ペレットの安定供給を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【００５６】
【図１】本発明に係る木質ペレット燃焼装置を例示するペレットストーブの概略断面図。
【図２】本発明の第１の実施の形態を示す燃料供給手段の断面図。
【図３】本発明の実施の形態の燃料供給手段の排出口付近を示す平面断面図。
【図４】図３における送出しバネの他例を示す平面断面図。
【図５】本発明の第２の実施の形態を示す燃料供給手段の断面図。
【図６】本発明の第３の実施の形態を示す燃料供給手段の断面図。
【符号の説明】
【００５７】
１ ペレットストーブ
２ 燃焼室
３ 燃料タンク
４ 燃料供給手段
５ 熱交換部
６ 排風部
７ 燃焼風排気口
８ スクリューコンベア
９ 投入口
１０ 底面板
１１ 投入シュート
１２ 通気口
１３ 燃焼皿
１４ スリット部
１５ 点火装置
１６ ヒータ
１７ 冷却空間
１８ 放熱管
１９ 圧送ファン
２０ 温風吹き出し口
２１ 吸引ファン
２２ 排気ダクト
２３ 温度センサ
２４ モータ
２５ 燃焼部
２６ コンベアケース
２７ スクリュー軸
２８ 底板
２９ 灰回収容器
３０ 上板
３１ 制御部
３２ 軸受
３３ 搬送羽根
３４ 後壁
３５ 排出口
３６ 下面
３７ 送出し羽根
３８ 羽根Ａ
３９ 投入口上面
４０ 羽根Ｂ
４１ 細断手段
４２ 落下防止手段
ａ 木質ペレット
ｂ 貯留空間
Ｃ 燃焼風
【技術分野】
【０００１】
本発明は、流木及び間伐材の粉砕物や、大鋸屑等を圧縮加工して成形した木質ペレットを燃料とする木質ペレット燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来から燃焼装置・暖房機等の燃料として使用されている化石燃料の石油は、燃焼によって温室効果ガスとなる二酸化炭素を発生させ、地球温暖化の問題を招いている。一刻も早く温室効果ガスとなる二酸化炭素の発生をより少なく、しかも持続的に循環再生利用可能な燃料資源への転換が急務となっている。
【０００３】
そこで近年では、循環再生して利用できる有機性資源（バイオマス）を有効に燃料として用いて循環型社会の構築を確立しようと試みられている。特に、今まで焼却処分されていた大鋸屑、間伐材、建設発生木材や流木は、燃焼燃料として有益な資源となりうるものであって、一定の粒の形状に圧縮成形して燃焼機・暖房機の燃料に利用され始めている。例えば、実開昭５８−１９０３０１号公報（特許公報１）に記する固形燃料ストーブが公知である。
【０００４】
間伐材、建設発生木材、間伐材及び流木の粉砕物や、大鋸屑等を圧縮加工して粒状に成形された木質ペレットは、通常直径６ｍｍから８ｍｍの円柱の形状で長さは約１０ｍｍから２５ｍｍのものとされていて、その寸法自体、かなりの違いが見られる。また木質ペレットは、そのペレット化する木質の違いによってもその形状、長さは若干の違いが発生するものである。特に、杉の木のように成分にリグニンの含有量が少ない木質にあっては、ペレット化が容易ではなく、成形したペレットが長さ方向に細断されやすい特徴を持ち合わせているため、その形状、長さが一定とはなり難いものである。
【０００５】
従来の燃焼の燃料とされてきた化石燃料の石油は、液体状であるために燃焼量の制御がきめ細かくまた、連続的に行え安定した燃焼を得ることが出来る利点を有しているものである。木質ペレットを燃焼燃料として使用する場合においても、均一にしかも連続的に燃料を燃焼部に供給する事が重要であるが、その燃料の形状、長さの違いから均一に供給して安定燃焼させることは困難であった。
【０００６】
そこで特開２００４−１９１０１１号公報（特許公報２）のように、燃料タンクから燃焼部にペレット燃料を搬送する搬送手段のスクリューコンベア出口の羽根のピッチをほかの羽根のピッチより短くして、スクリューコンベア内に遅延した燃料を詰め、燃料供給量を一定量にしようとする構成は公知である。
【０００７】
しかも、スクリューコンベアの出口上部には羽根の傾斜を他の羽根と逆にした構成として、燃料がその上部のモータ部に到達しないで、燃料が安定的に供給できるペレット燃料燃焼装置も公知となっている。
【０００８】
【特許文献１】実開昭５８−１９０３０１号公報
【特許文献２】特開２００４−１９１０１１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
前掲の特許文献２においては、スクリューコンベアで上昇搬送されるペレット燃料のばらつきを、スクリューコンベアの出口の方向の羽根のピッチが短い場所で遅延したペレット燃料を詰めるので、ある程度定量的に燃焼器に供給は可能であるが、スクリューコンベア内の排出部付近にもピッチが短くなっても搬送体の羽根自体は存在するので、スクリューコンベア内の断面全てを効率良くペレット燃料で貯留させることは不可能であって、羽根とペレット燃料の間に多くの空隙が発生し、ペレット燃料の充填率を上昇させる妨げとなっている。
【００１０】
また、木質ペレット燃料はそれぞれの長さに違いがあるため、長いペレット燃料がスクリューコンベアの投入口に投入された場合、ペレット燃料同士の間隙が大きくなっているため、投入口から投入されるペレット燃料の総量は少なくなってしまうと共に、いくらスクリューコンベアの排出口付近の羽根のピッチが短くなって燃料を詰める働きがあっても、ペレット燃料同士の配列によっては空間が大きく発生してしまう事となり、その間隙は狭まることなく燃焼器に投入されるので、安定してペレット燃料を定量的に供給できない場合が発生する。
【００１１】
そこで本発明では、燃焼部に木質ペレット燃料を供給する燃料供給手段内に木質ペレット燃料の充填率を上げるための搬送体を有さない貯留空間を設け、その貯留空間から定量的に燃料を供給出来る構成と、燃料供給手段の投入部に木質ペレット燃料を略設定長さ以下に細断する細断手段を備えて、燃料供給手段内の木質ペレット燃料同士の間隙を少なくして充填率を上げ、さらに貯留空間に達した木質ペレットは、羽根とコンベアケースの隙間からの落下を防止する落下防止手段を備えているので、燃焼部により一層定量燃料の供給を可能として、燃焼量を細かく制御できる木質ペレット燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
上記目的を達成させるため、本発明は請求項１ないし請求項７に係る木質ペレット燃焼装置を提案する。
【００１３】
即ち、請求項１記載の木質ペレット燃焼装置は、燃料タンクから燃料供給手段によって、木質ペレット燃料を燃焼部に供給する木質ペレット燃焼装置において、燃料供給手段には木質ペレット燃料を堆積させる貯留空間を備えたことを特徴とするものである。
【００１４】
請求項２記載の木質ペレット燃焼装置は、請求項１記載の木質ペレット燃焼装置において、燃料供給手段は、燃料タンクの下方から木質ペレット燃料を上昇搬送して燃焼部に供給するスクリューコンベアであって、スクリューコンベア内部には、略下端から備えられた搬送羽根の上端と、その上方に位置するスクリューコンベアの排出口の下面との間を、木質ペレットの貯留空間としたことを特徴とするものである。
【００１５】
請求項３記載の木質ペレット燃焼装置は、請求項２記載の木質ペレット燃焼装置において、スクリューコンベア内部の貯留空間には、その空間の略上面に隣接して送出し羽根を設けたことを特徴とするものである。
【００１６】
請求項４記載の木質ペレット燃焼装置は、請求項２又は請求項３記載の木質ペレット燃焼装置において、スクリューコンベア下方には、木質ペレット燃料を細断する細断手段を備えたことを特徴とするものである。
【００１７】
請求項５記載の木質ペレット燃焼装置は、請求項４記載の木質ペレット燃焼装置において、木質ペレット燃料を細断する細断手段は、スクリューコンベアの投入口を覆う範囲で搬送羽根のピッチを他の搬送羽根のピッチよりも短くしことを特徴とするものである。
【００１８】
請求項６記載の木質ペレット燃焼装置は、請求項４記載の木質ペレット燃焼装置において、木質ペレット燃料を細断する細断手段は、スクリューコンベアの投入口を覆う範囲で搬送羽根を二重以上にしたことを特徴とするものである。
【００１９】
請求項７記載の木質ペレット燃料装置は、請求項２、３、４、５又は請求項６記載の木質ペレット燃焼装置において、搬送羽根の上端は、その搬送羽根を二重以上とした落下防止手段を備え、貯留空間に到達した木質ペレット燃料の落下を防止するようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【００２０】
本発明に係る木質ペレット燃焼装置によれば、燃焼部に木質ペレット燃料を供給する燃料供給手段の上方に木質ペレット燃料同士の間隙を極力少なくしてその充填率を上げた貯留空間を設けているので、その貯留空間から定量を燃焼部に供給し安定した燃焼を提供できる。
【００２１】
さらに燃料供給手段の投入部には木質ペレット燃料を規定長以下に切断する細断手段を設けているので、燃料供給手段内の木質ペレット燃料同士の空隙を減らすことが出来ると共に、貯留空間に達した木質ペレットは、羽根とコンベアケースの隙間からの落下を防止する落下防止手段を備えているので、燃焼部にさらに定量の燃料を供給可能とする効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２２】
本発明の木質ペレット燃焼装置の実施の形態として、木質ペレットを燃料とするペレットストーブについて、以下に説明を行う。
【００２３】
図１には、本発明に係る木質ペレット燃焼装置を例示するペレットストーブの概略断面図である。図２では、本発明の第１の実施の形態を示す燃料供給手段の断面図、図３は本発明の実施の形態の燃料供給手段の排出口付近を示す平面断面図。図４は図３における送出しバネの他例を示す平面断面図。図５は本発明の第２の実施の形態を示す燃料供給手段の断面図。図６は本発明の第３の実施の形態を示す燃料供給手段の断面図である。
【００２４】
図１において、１はペレットストーブである。ａは木質ペレットであって、ペレットストーブ１内には木質ペレットａが燃焼する燃焼部２５を下部に備える燃焼室２と、その燃焼室２の中間部から上方にかけて、熱交換部５が設けられている。燃焼室２の上端には燃焼風排気口７が備えられ燃焼風Ｃを排風部６へ流通させている。燃焼室２は後壁３４と冷却空間１７を隔てて燃料タンク３を備え、燃料タンク３から燃焼室２へ木質ペレットａを供給する燃料供給手段４が燃料タンク３に密接して備えられている。図１に示す燃料タンク３はペレットストーブ１の上端までの空間を有していて、ペレットストーブ１の上面が扉となって燃料タンク３内に木質ペレットａが投入できる構成であると良い（図示せず）。
【００２５】
燃料タンク３の下端を構成する底面板１０が燃料供給手段４方向に向かって傾斜し、燃料供給手段４のスクリューコンベア８の投入口９に木質ペレットａが漏れなく投入できるようになっている。スクリューコンベア８の上端には燃焼部２５へ木質ペレットａを投入する投入シュート１１と、投入シュート１１内に外気を通風させるための通気口１２が設けてあり、この通気口１２は投入シュート１１の途中に設けられていても良い。尚スクリューコンベア８の動力はモータ２４の回転によって得られる。
【００２６】
なお、燃焼室２の後壁３４と燃料タンク３及び燃料供給手段４との間の冷却空間１７には外気が流通するようになって、燃焼室２の燃焼熱を燃料タンク３及び燃料供給手段４に伝熱しないようになっている。
【００２７】
燃焼室２の下方の燃焼部２５では、投入シュート１１より流下した木質ペレットａが堆積燃焼し、複数のスリット部１４を備える燃焼皿１３と、燃焼皿１３の後面には長細の筒内にヒータ１６を備え、長細筒内を通過する空気をヒータ１６によって高温（約２５０℃以上）にしてその高温の空気を木質ペレットａに当てることによって着火する構造の点火装置１５が備えられている。
【００２８】
燃焼皿１３のスリット部１４は、投入された木質ペレットａが落下しない開口幅を保って燃焼皿１３の略全面に前後左右どちらかの方向に長細形状に開口し、その細長形状に開口したスリット部１４から木質ペレットの燃焼後の灰が落下するようになっている。なおスリット部１４から落下する灰を堆積させる灰回収容器２９が燃焼皿１３の設置面を覆う範囲で設けられている。
【００２９】
図示はしていないが、燃焼皿１３の下方には、燃焼皿１３上に浮遊又は固着して固まった固体灰を除去するため、スリット部１４の開口部を回転体が通過して強制的に灰を下方に落下させる灰除去手段が設けられていてもよい。
【００３０】
燃焼室２の中間部から上方にかけて燃焼室２を前後に縦断する熱交換部５は、複数の放熱管１８からなり、外気を圧送ファン１９で放熱管１８内に強制的に供給し、熱交換をして温風吹き出し口２０から温風を機外に供給する。
【００３１】
燃焼室２の上端の熱風排気口７には、排風部６が備えられ、吸引ファン２１の吸引作用によって燃焼風Ｃを吸引し、排気ダクト２２から機外に燃焼風Ｃを排気している。なお、燃焼風Ｃに乗って排風部６に達する比重の軽い灰が機外への飛散を防止するために、排風部６にはサイクロン等の集塵装置を設けて集塵し、集塵装置を通過した燃焼風Ｃを吸引ファン２１から機外に排出する構成であると良い（図示せず）。
【００３２】
図１の２３は温度センサであって、排気ダクト２２又は吸引ファン２１の出入口のどちらかに備えられ、温度センサ２３・モータ２４・ヒータ１６・圧送ファン１９・吸引ファン２１は制御部３１に繋がれ制御されている。
【００３３】
吸引ファン２１に動作によって外気が直接又は冷却空間１７を経由して燃焼部２５のスリット部１４及び点火装置１５の細長筒内を、そして外気の一部が投入シュート１１を経由して燃焼室２内に達する。燃料タンク３からスクリューコンベア８を経由して燃焼室２内に木質ペレットａが投入され点火装置１５によって着火し、スリット部１４からの通風を受け、木質ペレットａは燃焼を行う。その後この燃焼風Ｃは熱交換部５で熱交換され燃焼風排気口７から吸引ファン２１を通過し、排気ダクト２２から機外に排出される。
【００３４】
運転開始と共に、ヒータ１６に通電し、通電が規定時間経過後に予熱完了と判断してモータ２４を稼動して燃焼皿１３上に木質ペレットの供給を行なう。その後、設定時間経過後に吸引ファン２１を起動させ、燃焼皿１３上に木質ペレットａを設定時間供給した後、木質ペレットの供給を停止しする。そして点火後に温度センサ２３で排気される温度が設定温度（４０℃）に到達した場合、燃焼を検出したものとみなし、圧送ファン１９を稼動すると共に、設定の間隔と設定の時間の範囲でモータ２４に通電し、燃焼燃料の供給を定期的におこない、その後温度センサ２３の温度が設定温度より下降しなければ安定燃焼と判断してヒータ１６への通電を停止する。
【００３５】
安定燃焼中の暖房の温度調節として、燃料供給を３段階に調節できるようになっており、その供給量の調節に伴って吸引ファン２１の風量も３段階に制御される。燃料供給「大」では燃焼皿通気孔１４を上昇する風速は約２〜３ｍ/ｓ、「中」での風速は「大」の風速の約８０％、「小」での風速は「大」の風速の約７０％となっている。
【実施例１】
【００３６】
図２に示す燃料供給手段４のスクリューコンベア８は、コンベアケース２６の略中央にスクリュー軸２７を備えており、スクリューコンベア８の底板２８と上板３０の軸受３２によってスクリュー軸２７はその移動を固定されると共にスクリュー軸２７の軸心を中心として容易に回転が可能となっていて、その一端（下端）にモータ２４が備えられている。
【００３７】
スクリュー軸２７には投入口９より下方で、底板２８から若干の距離をもって搬送羽根３３が取り付けられ、その搬送羽根３３の上端から排出口３５の下面３６までの貯留空間ｂの距離をもって取り付けられている。この貯留空間は常に一定量の木質ペレットを貯留させる空間であって、スクリュー軸２７には貯留空間ｂの略上面に隣接して送出し羽根３７が設けられ、貯留空間ｂから上方に移行しようとする木質ペレットを投入シュート１１から燃焼部２５に流下するようになっている。この送出し羽根３７は図３に示すように１２０°の均等の角度をもってスクリュー軸２７に３枚取り付けられているが、１８０°の角度で２枚又は９０°の角度で４枚取り付けられていても良い。また図４のように、この送出し羽根３７が回転方向に対して搬送物を外に押し出す作用を有する形状と、回転方向に対して後退角をもって接合されていると良い。なお図３に示す直線形状の送出し羽根３７に対しても図示はしていないが、後退角をもってスクリュー軸３７に接合されているとよい。
【００３８】
運転の開始と共にペレットストーブ１は制御部３１のプログラムによって順次起動を始め、モータ２４も燃焼部２５への点火燃料供給と、燃焼時の定期的な供給を続けるため定期的に稼動を繰り返す。
【００３９】
燃料タンク３に投入された木質ペレットａは、モータ２４の稼動によってスクリュー軸２７が回転し、投入口９付近で搬送羽根３３に接触した木質ペレットａがその回転と投入口９へ圧力によって連続的にコンベアケース２６内を上昇し始める。しかしながら、木質ペレットａはその粒径と、特にその長さの違いによって搬送羽根３３の上下空間に多くの間隙が発生すると共に、常に定量が投入口９から投入されることは確定出来ない。よってスクリューコンベア８を上昇していく木質ペレットａはその搬送部位によって木質ペレットの充填率の高いところと低いところが混在しながら、貯留空間ｂに到達する。
【００４０】
貯留空間ｂでは搬送羽根３３の搬送体を有していない部位であるので、下方の搬送羽根３３が次々と押し上げる木質ペレットによって充填され、徐々にその貯留空間ｂの厚みを増し排出口３５の下面３６に達するまでその厚みを増して行く。
【００４１】
貯留空間ｂが排出口３５の下面３６に達すると共に、スクリュー軸２７に取り付けられた送出し羽根３７の回転によって、木質ペレットａはコンベアケース２６の内壁面に押し出され、排出口３５の下面３６から徐々に溢流し、投入シュート１１を流下して燃焼部２５に供給される。特に図４に示すような形状で、コンベアケース２６内に貯留する搬送物をコンベアケース２６の内壁面に押し出すような送出し羽根３７であるとよい。
【００４２】
貯留空間ｂの木質ペレットａは若干のペレット同士による間隙があるものの、搬送体が介在しないので充填率が高められており、スクリュー軸２７の回転に対して定量的に木質ペレットａを燃焼部２５に供給することが可能となる。
【実施例２】
【００４３】
図５に示す木質ペレット燃焼装置の燃料供給手段は、実施例１に示すペレットストーブ１の燃料供給手段に、スクリューコンベア８の下方に木質ペレットａを細断する細断手段４１を設けた構成を示すものである。この細断手段４１はスクリューコンベア８の投入口９を覆う範囲でスクリュー軸２７に備えた搬送羽根３３のそのピッチと同じピッチを持った羽根Ａ３８を搬送羽根３３の下端の始点から１８０°の角度をもってスクリュー軸２７に備えられたものであって、投入口９を覆う範囲においてスクリューの羽根が二重構成となり、羽根同士の取り付けピッチが１／２になったものである。
【００４４】
スクリューコンベア８内のスクリュー軸２７の回転によって投入口９付近の木質ペレットを上方に搬送しようとすると共に、燃料タンク３内の木質ペレットがコンベアケース２６内に侵入しようと流下してくるが、投入口９にはその範囲を覆って搬送羽根３３と羽根Ａ３８によってそのピッチが約半分になっているので、コンベアケース２６内に進入しようとする木質ペレットａの長さがそのピッチより長い場合は、その一部しかコンベアケース２６内に侵入できないこととなる。そして木質ペレットａの一部がコンベアケース２６内に進入した状態で搬送羽根３３によって木質ペレットａが上方に搬送されて行き、コンベアケース２６内に進入できなかった部分が、投入口９の投入部上面３９にあたり、そのあたった部分と搬送羽根３３及び羽根Ａ３８との間で挟まれた後、更なるスクリュー軸２７の回転で木質ペレットａが細断されるものである。
【００４５】
細断され搬送羽根３３で上方に搬送されなかった木質ペレットの一部は、再度投入口からコンベアケース２６内に進入し、再度上方に搬送されるようになる。
【００４６】
投入部９を覆う範囲で羽根同士のピッチが狭くなっているので、そのピッチ幅より長い木質ペレットａはそのままの形状（長さ）では、上方に搬送される可能性が低くなる。即ち、搬送羽根３３で木質ペレットａを上方に搬送しようと回転した場合に、羽根同士のピッチが狭くなっているので木質ペレットの逃げようとする余裕の空間がなくなり、木質ペレットは羽根と投入部上面３９に挟まれる可能性が格段に上昇することとなる。そして更なる羽根の回転によって木質ペレットａは細断され、細断された部分だけが上方に搬送されるようになる。この繰り返しで、上方に搬送される木質ペレットａは一定長より短いものの、充填割合が増した状態で上方に搬送されるものである。
【００４７】
そして、搬送羽根３３の上端の貯留空間ｂでは、搬送体が介在しないことと、細断手段４１によって上昇搬送される木質ペレットの形状（長さ）が格段に小さくなっているので、さらに充填率は上昇して送出し羽根３７の効果と共に、スクリュー軸２７の回転に対して定量的に木質ペレットａを燃焼部２５に供給することが可能となる。
【００４８】
尚、図５に示す羽根Ａ３８と搬送羽根３３の下部の取り付ける間隔は１８０°の角度で備えられているが、羽根Ａ３８を２枚とし搬送羽根３３との取り付け角度を１２０°、又は羽根Ａ３８を３枚とし搬送羽根３３との取り付け角度を９０°とするなど、羽根Ａ３８を複数枚として羽根同士のピッチをさらに細かくする構成や、投入口９を覆う範囲で搬送羽根３３自体のピッチを短くする構成であっても良く、木質ペレットａの形状（長さ）をもっと細かく細断し充填率をさらに上げるようにすると良い（図示せず）。
【実施例３】
【００４９】
図６に示す木質ペレット燃焼装置の燃料供給手段は、実施例１及び実施例２に示すペレットストーブ１の燃料供給手段に、搬送羽根３３の上端に木質ペレットの落下を防止する、落下防止手段４２を備えたものである。この落下防止手段４２は螺旋羽根３３と同じピッチを有した羽根Ｂ４０を螺旋羽根３３の取り付けの上端の終点と１８０°の角度をもってスクリュー軸２７に取り付けえられているものである。図６に示すこの羽根Ｂ４０は搬送羽根３３の上端の終点から半ピッチ（半巻き）の長さを持ったものが備えられているが、１ピッチ（一周巻き）くらいのまでのピッチ数で十分である。
【００５０】
スクリュー軸２７の回転によって螺旋羽根３３により押上げられた木質ペレットａは、上方に移動するにつれ羽根Ｂ４０の下方の始点が備えられた高さまで押上げられ、ピッチ幅が１／２となった範囲内に達しさらに上昇を続ける。そして搬送体の無い貯留空間ｂを満たし、充填率を上げながら排出口３５の下面３６の貯留空間ｂの上面まで達したときに送出し羽根３７の押し出し効果で、徐々に木質ペレットは投入シュート１１に流下し、燃焼部２５へと投入される。
【００５１】
落下防止手段４２の羽根Ｂ４０と搬送羽根３３によって、木質ペレットをさらに上方へ押し上げる力を与えると共に、コンベアケース２６の内面とそれぞれの羽根との間の間隙から落下する木質ペレットの量を少なくすることが出来るものであるから、上方に木質ペレットを効率よく搬送できるものである。
【００５２】
また、貯留空間ｂまでの間を搬送羽根３３だけで木質ペレットを上昇搬送させた場合であっては、回転方向に対する木質ペレットの押し上げ作用で、搬送羽根３３の上端の終点より若干前に形成される貯留空間ｂ上面の山によって貯留空間ｂの上面は偏った傾斜をなし、それぞれの送出し羽根３７から投入シュート１１に供給される木質ペレットの量の差が発生する不具合が生じていた。
【００５３】
そこで、羽根Ｂ４０と搬送羽根３３の上端の終点を同じ高さとしているので、スクリュー軸２７の回転によって木質ペレットが上方に押し上げられて形成される貯留空間ｂの上面に形成される山が二つとなり、貯留空間ｂの表面の段差が大幅に減少し、よって送出し羽根３７で投入シュート１１を流下する木質ペレットの量を安定させることが出来る。
【００５４】
尚、図６に示す羽根Ｂ４０と搬送羽根３３のスクリュー軸２７に取り付ける間隔は終点の角度を１８０°で備えられているが、羽根Ｂ４０を２枚とし搬送羽根３３との取り付け角度を１２０°、又は羽根Ｂ４０を３枚とし搬送羽根３３との取り付け角度を９０°とするなど、羽根Ｂ４０を複数枚として羽根同士のピッチ間隔をさらに細かくする構成にすると、貯留空間ｂの表面に形成される山と低面の差がさらに少なくなって、投入シュート１１への木質ペレットの流下量を安定させることができる。
【００５５】
羽根Ｂ４０と搬送羽根３３を二重以上とする構成は、木質ペレットを押上げる上昇能力を増大させる効果があり、貯留空間の堆積層を厚くすることが可能となる。貯留空間ｂが厚い層であればあるほど、その層の上面の搬送体の回転によって生じる段差は少なくなり、燃焼部２５への木質ペレットの安定供給を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【００５６】
【図１】本発明に係る木質ペレット燃焼装置を例示するペレットストーブの概略断面図。
【図２】本発明の第１の実施の形態を示す燃料供給手段の断面図。
【図３】本発明の実施の形態の燃料供給手段の排出口付近を示す平面断面図。
【図４】図３における送出しバネの他例を示す平面断面図。
【図５】本発明の第２の実施の形態を示す燃料供給手段の断面図。
【図６】本発明の第３の実施の形態を示す燃料供給手段の断面図。
【符号の説明】
【００５７】
１ ペレットストーブ
２ 燃焼室
３ 燃料タンク
４ 燃料供給手段
５ 熱交換部
６ 排風部
７ 燃焼風排気口
８ スクリューコンベア
９ 投入口
１０ 底面板
１１ 投入シュート
１２ 通気口
１３ 燃焼皿
１４ スリット部
１５ 点火装置
１６ ヒータ
１７ 冷却空間
１８ 放熱管
１９ 圧送ファン
２０ 温風吹き出し口
２１ 吸引ファン
２２ 排気ダクト
２３ 温度センサ
２４ モータ
２５ 燃焼部
２６ コンベアケース
２７ スクリュー軸
２８ 底板
２９ 灰回収容器
３０ 上板
３１ 制御部
３２ 軸受
３３ 搬送羽根
３４ 後壁
３５ 排出口
３６ 下面
３７ 送出し羽根
３８ 羽根Ａ
３９ 投入口上面
４０ 羽根Ｂ
４１ 細断手段
４２ 落下防止手段
ａ 木質ペレット
ｂ 貯留空間
Ｃ 燃焼風
【特許請求の範囲】
【請求項１】
燃料タンクから燃料供給手段によって、木質ペレット燃料を燃焼部に供給する木質ペレット燃焼装置において、
燃料供給手段には木質ペレット燃料を堆積させる貯留空間を備えたことを特徴とする木質ペレット燃焼装置。
【請求項２】
燃料供給手段は、燃料タンクの下方から木質ペレット燃料を上昇搬送して燃焼部に供給するスクリューコンベアであって、
スクリューコンベア内部には、略下端から備えられた搬送羽根の上端と、その上方に位置するスクリューコンベアの排出口の下面との間を、木質ペレットの貯留空間としたことを特徴とする、請求項１記載の木質ペレット燃焼装置。
【請求項３】
スクリューコンベア内部の貯留空間には、その空間の略上面に隣接して送出し羽根を設けたことを特徴とする、請求項２記載の木質ペレット燃焼装置。
【請求項４】
スクリューコンベア下方には、木質ペレット燃料を細断する細断手段を備えたことを特徴とする、請求項２又は請求項３記載の木質ペレット燃焼装置。
【請求項５】
木質ペレット燃料を細断する細断手段は、スクリューコンベアの投入口を覆う範囲で搬送羽根のピッチを他の搬送羽根のピッチよりも短くしことを特徴とする、請求項４記載の木質ペレット燃焼装置。
【請求項６】
木質ペレット燃料を細断する細断手段は、スクリューコンベアの投入口を覆う範囲で搬送羽根を二重以上にしたことを特徴とする、請求項４記載の木質ペレット燃焼装置。
【請求項７】
搬送羽根の上端は、その搬送羽根を二重以上とした落下防止手段を備え、貯留空間に到達した木質ペレット燃料の落下を防止するようにしたことを特徴とする請求項２、３、４、５又は請求項６記載の木質ペレット燃焼装置。
【請求項１】
燃料タンクから燃料供給手段によって、木質ペレット燃料を燃焼部に供給する木質ペレット燃焼装置において、
燃料供給手段には木質ペレット燃料を堆積させる貯留空間を備えたことを特徴とする木質ペレット燃焼装置。
【請求項２】
燃料供給手段は、燃料タンクの下方から木質ペレット燃料を上昇搬送して燃焼部に供給するスクリューコンベアであって、
スクリューコンベア内部には、略下端から備えられた搬送羽根の上端と、その上方に位置するスクリューコンベアの排出口の下面との間を、木質ペレットの貯留空間としたことを特徴とする、請求項１記載の木質ペレット燃焼装置。
【請求項３】
スクリューコンベア内部の貯留空間には、その空間の略上面に隣接して送出し羽根を設けたことを特徴とする、請求項２記載の木質ペレット燃焼装置。
【請求項４】
スクリューコンベア下方には、木質ペレット燃料を細断する細断手段を備えたことを特徴とする、請求項２又は請求項３記載の木質ペレット燃焼装置。
【請求項５】
木質ペレット燃料を細断する細断手段は、スクリューコンベアの投入口を覆う範囲で搬送羽根のピッチを他の搬送羽根のピッチよりも短くしことを特徴とする、請求項４記載の木質ペレット燃焼装置。
【請求項６】
木質ペレット燃料を細断する細断手段は、スクリューコンベアの投入口を覆う範囲で搬送羽根を二重以上にしたことを特徴とする、請求項４記載の木質ペレット燃焼装置。
【請求項７】
搬送羽根の上端は、その搬送羽根を二重以上とした落下防止手段を備え、貯留空間に到達した木質ペレット燃料の落下を防止するようにしたことを特徴とする請求項２、３、４、５又は請求項６記載の木質ペレット燃焼装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００６−３００４５１（Ｐ２００６−３００４５１Ａ）
【公開日】平成１８年１１月２日（２００６．１１．２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−１２４７２８（Ｐ２００５−１２４７２８）
【出願日】平成１７年４月２２日（２００５．４．２２）
【出願人】（０００００１４６５）金子農機株式会社 (53)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年１１月２日（２００６．１１．２）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年４月２２日（２００５．４．２２）
【出願人】（０００００１４６５）金子農機株式会社 (53)
【Ｆターム（参考）】
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