説明

柱頭接合金物

【課題】本発明は、木造建築物の軸組構法における柱頭部と梁の剛接合金物を提供すること。
【解決手段】C字形状のリップの先端に複数の爪と、ウェブ面に複数のボルト孔を設けているC型ピ−ス3aのウェブの背面に、コ字形状で複数のボルト孔を有するウェブ面と、ウェブ面とウェブ面の両側から突出する両側面に複数のボルト孔を有する側面板と、前記側面板の底部に有する置き板とで形成されている梁受け金具3bのウェブを当接し、構成された下部金物3に、コ字形状で上向きのウェブ面の両側から突出する両側面に、複数のボルト孔を有する差し込み板で形成されたU金具と、一片が下向きのアングルの水平面を、当接して構成された上部金物4を重合し、前記アングル形状の下向きの一片が、前記のC型ピ−ス内部3aに挿入され、前記の側面板3b−1と、前記の差し込み板4b−1がボルト6で連結されることを特徴とする柱頭接合金物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建築物の軸組構法における、木質柱頭部と木質梁の剛接合金物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止など環境面で森林(若木の場合)でのCO2吸収効果が注目されて、森林保全によるCO2排出枠、および林業振興で地方再生も兼ねての林業活性化が叫ばれ、政府は木材利用を促進する方策として、今年10月1日「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」を施行した。法律の基本的な方向は、公共建築物における木材の利用の促進の意義を踏まえ、非木造化を指向してきた過去の考え方を抜本的に転換し、公共建築物については可能な限り木造化を図る法律となっている。公共建築物には、国や地方が建設する学校、社会福祉施設、庁舎、公務員宿舎等が含まれている。しかし、公共建築や民間の非住宅を木造での大規模な構造にしたくとも、規模が違うため蓄積がある木造住宅の技術は転用できない。すなわち、構造計画やコストの面で木造化が困難な場合もあり、大規模な木造の技術が系統立っていないのが現状である。
【0003】
従来の木造住宅等の軸組構法は、まず、柱と梁で軸組を構成し、それに壁や床を取り付けて行く構法である。柱には「通し柱」と「管柱」があり、柱の構造的な役割は、通し柱、管柱ともに垂直荷重を支持し、耐力壁として外周に作用する圧縮力や引張力に抵抗し、また、風圧力(水平力)を受ける外壁面での変形を防ぐことである。
【0004】
従来、木造住宅等の軸組構法での通し柱は、柱の中間に梁を差し込むため、柱の断面欠損が大きくて、曲げ耐力は期待できずに引張力も不足する場合が多い。そこで、建築基準法関係告示第1460号で必要性能を確保するため、継手・仕口ではホゾや相欠きと組み合わせながら補強・補助金物等が明記されている。
【0005】
近年、木造住宅等の軸組構法での柱の断面欠損を少なくする工法として、梁と柱又は梁と桁を堅固確実に固定すると共に、金物と梁等との当接部を安定化し、かつ筋交いの固定を容易にすることを目的とした梁受け金物及び梁受け装置が、特開2002−138584号公報(第1公知例)で開示されている。
【0006】
さらに、実願2002−3529号公報(第2公知例)では、上記の特開2002−138584号等を改良した工法、具体的には、上述した梁受け金物等は大きなせん断力のかかる梁に用いると、柱等にボルト・ナット類で取付ける部分が、折り曲げ加工でプレ−トが薄いため、梁と金物を接合したボルト及び打込みピンにより引っ張られ、縦一列にボルト・ナット類で金物が取付けている部位で、金物のプレ−ト自体が延びる等の問題が生じる恐れがあり、その金物変形を解消した方法が開示されている。
【0007】
また、近年、住宅用の木質ラ−メン構法が注目され、車庫一体型の住宅や店舗兼用住宅、さらに、一般の住宅でも、大きなスパン、大きな開口のものが求められており、一般的な木質ラ−メン構法として、鋼板挿入式ドリフトピンの接合方法が、図5に示す方法で行われている。即ち、事前にスリット加工された集成材の柱9芯に、ドリフトピン孔14有する鋼板12を挿入して、柱9面に施されているドリフトピン挿入穴15に、ドリフトピン13を差し込み、柱9に鋼板12を固定して、次に、柱9から突起している鋼板12に、集成材の梁10に加工されているスリット11を差し込み、梁の側面から、ドリフトピン13と呼ばれている丸鋼を、ドリフトピン挿入穴15に差し込んで、柱9と梁10を一体化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−138584号
【特許文献2】実願2002−3529号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、第1公知例等を改良した第2公知例の梁受け金物は、集成材の柱と梁の接合として、せん断力と軸力(引張・圧縮)を考慮して開発されたものである。近年、曲げ応力を考慮して開発された、代表的な図5の鋼板挿入のドリフトピンを使用している架構方式においても、完全な剛にできない課題があり、半剛接合(ピンと剛の中間)の評価である。例えば、図5に示す、鋼板挿入式ドリフトピンの接合方法の場合は、集成材を縦方向にスリットして鋼板を挿入する方式で、地震等が発生すると、接合部ではモ−メントが矢印のように発生し、接合部の回転が始まり、各構造材が抵抗するので、ドリフトピンが集成材にめり込む、そのため接合部は微少に回転する。また、ウェブ接合のため、外側ほど力学的性能の高い集成材の特性(集成材は、一般的にコストを考慮して、強度的に重要な梁の上層面と下層面には、高強度樹種の高価なベイマッ等、内層面には、ラミナ低強度樹種の杉等が使用されている)を有効に利用しているとは思えない。近年、高性能な木質ラ−メン構法への期待が高まっているが、木質ラ−メンの構法性能に関する設計法が確立しているとは言い難いのが現状である。
【0010】
本発明の解決すべき課題は、大規模な木造建築物、例えば、柱と柱の間隔(スパン)が長い、天井が高いといった公共建築物等の構造的特性に対応して、集成材の特性(外層ラミナ)を活かし、木質ラ−メン構法の基となる、柱頭と梁の剛接合金物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、前記課題を解決すべく検討した結果、集成材の特性を活かした、新しいモ−メント抵抗接合の形式、すなわち、フランジ接合型で、集成材の外層面を活用しての接合金物の技術的知見を得た。その要旨とするところは以下の通りである。
【0012】
リップみぞ形鋼片のリップの先端で、外向きに鋼板を曲げて、矩形形状に加工された複数の爪と、ウェブ面に複数のボルト貫通孔を設けて形成されたC型ピ−スのウェブの背面に、鋼板片をコ字形状に折曲げて、複数のボルト貫通孔を設けたウェブ面と、ウェブ面とウェブ面の両側からウェブ面に垂直に突出する両側面に複数のボルト貫通孔を設けた側面板と、前記ウェブ面と前記側面板の底部から水平に延出する置き板とで形成された梁受け金具のウェブの背面とを、当接して、構成された下部金物に、ウェブ面が上部になるようにコ字形状に鋼板片を折曲げて、ウェブ面の両側からウェブ面に垂直に突出する両側面に、複数のボルト貫通孔を設けた差し込み板で形成されたU金具のウェブの上面側と、一片が下向きで、他片が水平状のアングルの水平面を、当接して構成された上部金物を重合し、前記アングル形状の下向きの一片が、前記のC型ピ−ス内部に挿入され、前記の側面板と、前記の差し込み板がボルトで連結されることを特徴とする柱頭接合金物。
【発明の効果】
【0013】
(A)本発明に係る柱頭接合金物によれば、従来の梁受け金物は、主にせん断力と軸力を考慮して開発されたものであり、また、近年の曲げ応力を考慮した鋼板挿入式ドリフトピンの接合方法では、門型ラ−メン(一方向)構法であり、半剛接合(ピンと剛の中間)での評価である。本発明では、集成材の特性(外層ラミナ)を活用しての、せん断・軸力・曲げ応力の伝達が可能な、剛接合での金物のシステム構法で、純ラ−メン(X、Y方向の二方向ラ−メン)構法である。したがって、従来工法より大スパン(張間)を長くすることが可能で、公共建築物等の構造的特性に対応した、高性能な木質ラ−メン構法で、耐震性、耐久性を重要視した設計を合理的に行うことができ、粘り強い構造等の効果が得られる。
【0014】
(B)本発明に係る柱頭接合金物によれば、従来の梁受け金物で、図5に示すモ−メント抵抗接合型の曲げに対する断面性能は、梁の成(高さ)に沿って鋼板を挿入しており、梁と柱の外端部の位置に鋼板が存在しないため、回転を伴う。しかし、本発明では、梁と柱に接触する外層面の位置(フランジ)に鋼板製の金物で、剛性を保つシステムであり、従来の半剛接合とは異なり剛接合が可能である。
【0015】
(C)本発明に係る柱頭接合金物によれば、柱に当設する下部金物のC型ピ−スには、せん断受け用の爪(突起)を備えており、その爪が柱内部に挿入されことで、せん断耐力が高くなる。また、ボルトでC型ピ−スが柱に圧着されているため、せん断耐力が効率的に得られるシステムである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る柱頭接合金物の柱と梁との接合部の実施例を示す模式図である。
【図2】本発明に係る実施例を示す柱と梁との接合部の分解斜視図である。
【図3】本発明に係る下部金物の実施例を示す説明図であり、(a)は下部金物の模式図、(b)はC型ピ−スの背面方向から見た模式図、(c)はC型ピ−スの腹面方向から見た模式図、(d)は梁受け金具の模式図、(d)はナット付き板の正面図、(d)はナット付き板の側面図である。
【図4】本発明に係る上部金物の実施例を示す説明図であり、(a)は上部金物の模式図、(b)はアングルピ−スの模式図、(c)はU金具の模式図である。
【図5】従来技術に係る木造建築物の軸組構法における、木質ラ−メン構法の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図1〜図5に基づいて、本発明に係る柱頭接合金物の実施形態例を説明する。図1は本発明に係る柱頭接合金物の柱と梁との接合部の実施例を示す模式図であり、図2は本発明に係る実施例を示す柱と梁との接合部の分解斜視図である。この例において、木質柱1,木質梁2,木質梁の上層面2a、木質梁の下層面2b、木質梁のスリット2c、下部金物3,C型ピ−ス3a、爪3a−1、梁受け金具3b、側面板3b−1,外置き板3b−2,内置き板3b−3,ナット付き板3b−4,上部金物4、アングルピ−ス4a、溝4a−1、U字金具4b、差し込み板4b−1、ガイド溝4b−2、ボルト貫通孔5,ボルト6,座金7,およびナット8から構成される。以下、これに沿って説明する。
【0018】
まず、木質柱1と木質梁2を接合する柱頭接合金物の構成について説明する。図1に示すように、本発明の柱頭接合金物は、下部金物3と上部金物4とを重合して形成されている。図1と図2に示すように、下部金物3は、木質柱1のボルト挿通用の穴(図面を省略している)と座金7を挿通したボルト6で緊結される。次に、図2に示すように、木質柱1に付接されている下部金物3の側面板3b−1に、木質梁2のスリット2cを差し込み、木質梁2の位置が固定された後、上部金物4を上部から当該部に差し込み、木質梁2の側面側からのボルト6で、下部金物3と上部金物4を連結する構造になっている。
【0019】
次に、下部金物3の構成について説明する。図3(b)と(c)に示すように、下部金物3は、鋼板片を折曲げて、C型形状のウェブの中央部に複数のボルト貫通孔5を設け、リップの先端が爪3a−1形状に加工されたC型ピ−ス3aと、図3(d)に示すように、鋼板片を折曲げ加工をしたコ字状の下部が、L字形状で、ウェブ内部にナット付き板3b−4を付接した、梁受け金具3bとで構成されている。C型ピ−ス3aは、木質柱(垂直材)1に付設されるための、ボルト6用のボルト貫通孔5を複数設けており、そのボルト貫通孔5の間隔、径の寸法は、当接する梁受け金具3bのウェブ面に有するボルト貫通孔5と同じにしている。梁受け金具3bの、コ字形状のウェブ面の両側から突出する側面板3b−1には、木質梁2を固定し、上部金物4と共に連結するボルト6孔用として、ボルト貫通孔5を所定の位置に設けており、梁受け金具3bの下端には、建て方(組立)時に木質梁2の支持にも使用できる、外置き板3b−2および内置き板3b−3を設けている。次いで、図3(d)と(e)および(f)に示すように、帯鋼板にボルト貫通孔5を施し、ナット8を付着させたナット付き板3b−4を、梁受け金具3bのウェブの内側に付設している。そのボルト貫通孔5の間隔、径の寸法は、前記のC型ピ−ス3aと梁受け金具3bのウェブ面に施されているボルト貫通孔5と同じにして、木質柱1に挿通されるボルト6に結合できるようにしている。尚、木質柱1に当設するC型ピ−ス3aのリップ面に、爪3a−1を設けることで、爪3a−1が木質柱1に挿入し、木質柱1と下部金物3のせん断耐力が高くなる。さらに、木質柱1と下部金物3間を、ボルト6で緊結しており、効率的な効果が得られるシステムになっている。
【0020】
次いで、上部金物の構成について説明する。上部金物4は、図4に示すように、一片が下向きのアングルピ−ス4aと、鋼板片をU字状に折曲げたU金具4bとで構成されている。アングルピ−ス4aは、図2に示すように、木質柱1に付設されている下部金物3のC型ピ−ス3aの内部に、アングルピ−ス4aの下向きの一片を挿入し、C型ピ−ス3aにアングルピ−ス4aが挿嵌される構造で、接合部が回転する際のモ−メントに対して抵抗ができるようにしている。また、図4(b)に示すように、アングルピ−ス4aの鉛直片の下端には、木質柱1と下部金物3間を緊結しているボルト6に、鉛直片の下端が当たるのを避けるため溝4a−1を設けている。次に、図4(c)に示すように、鋼板片をU字状に折曲げた、U金具4bのフランジ面の差し込み板4b−1には、ボルト貫通孔5とガイド溝4b−2を設けている。前記のボルト貫通孔5は、下部金物3のボルト貫通孔5と、孔径、ピッチとも相似しており、木質梁2の側面に施せれているボルト貫通孔5とも合致している。尚、ガイド溝4b−2を設けているのは、木質梁2を仮載置する際に使用する、側面板3b−1と木質梁2の連結用の最初のボルト6に、差し込み板4b−1の下端が直接当たらないようにするためである。また、アングルピ−ス4aの鉛直片が下部金物3のC型ピ−ス3aの中にスム−ズに挿入・挿嵌できるように、U金具4bの端とアングルピ−ス4aの鉛直片に隙間を空けている。
【0021】
続いて、柱頭接合金物の接合形態について説明する。図1と図2に示すように、木質柱1に付設している下部金物3の、外置き板3b−2と内置き板3b−3の上面に、木質梁2を載置し、下部金物3の複数の側面板3b−1と、木質梁2のスリット2cを噛み合わせて、さらに、上部金物4の複数の差し込み板4b−1が重合し、木質梁2の側面からボルト6を挿通して、上部金物4と下部金物3と木質梁2が結合されている。すなわち、木質梁2の下層面2bと上層面2aが、外置き板3b−2および内置き板3b−3とアングルピ−ス4a間で挟持した形状になっている。力の伝達は、外周に作用する引張力に対しては、木質柱に挿通しているボルト6と、複数の側面板3b−1および複数の差し込み板4b−1で、圧縮力に対しては木質柱1と木質梁2で負担する役割で構成され、また、せん断力に対しては、主に複数の側面板3b−1で、曲げに対しては、下部金物と上部金物を重合したアングル形状の面で、集成材外層面の面圧応力を負担する役割で構成されている。
【0022】
集成材の外層部の高強度樹種(外層ラミナ)で構成されている木質梁の上層面2aと、下層面2bとの柱頭接合金物の結合形態について説明する。図1と図2に示すように、木質梁の上層面2aには、上部金物4のアングルピ−ス4aが、下層面2bには、下部金物3の外置き板3b−2および内置き板3b−3が当接していて、上部金物4と下部金物3は複数の板で繋がっている。すなわち、複数の側面板3b−1と複数の差し込み板4b−1、さらに、木質梁2のスリット2cが重合して、木質梁2側面からボルト6で串刺しの状態で連結されている。したがって、集成材が内部からと、外部の横と上下と四方から金物で挟持されて、集成材の外層部で強度的に重要な該当箇所の高強度樹種(ベイマツ、ヒノキ等)を効果的に活かすことができるシステム構造になっている。尚、上記既述では、柱頭接合金物と木質梁2の接合具をボルトで説明をしているが、本発明ではこれに限ることなく、ボルトと同程度の機能が発揮できるものであれば、公知の何れの方法でも良い。例えば、ドリフトピン等を挙げることができる。
【0023】
施行方法を作業手順により説明する。建設現場内で、まず、図2に示すように、木質柱1の木質梁2の位置に、下部金物3のC型ピ−ス3aのリップ面を向けて、木質柱1に施されている爪3a−1用の穴およびボルト挿通用の穴(図面を省略している)に、下部金物3のウェブ面のボルト貫通孔5を合わせ、木質柱1を挟む位置での座金7と木質柱1のボルト挿通用の穴(図面を省略している)を挿通させたボルト6を、下部金物3のナット付き板3b−4のナットに挿入し、ボルト6をレンチ等を使用し緊結して、木質柱1に下部金物3を結合する。尚、木質柱1に、下部金物3を結合する場所は、本来なら工場での作業が品質上望ましいが、現場での立地条件や、養生、運搬費、工期等を検討した上での低コストの選択となる。
【0024】
続いて、図2に示すように、まず、建て方作業にて木質柱1を垂直に建てて、水平材である木質梁2のスリット2cを、木質柱1より突起している側面板3b−1に差し込み、外置き板3b−2および内置き板3b−3の上面に、木質梁2を仮載置して、次に、木質梁2側面の一番下のボルト貫通孔5(側面板3b−1と差し込み板4b−1と木質梁2のボルト貫通孔5の孔径と間隔は合致している)にボルト6を差し込み仮固定にする。その際、側面板3b−1とスリット2cとの隙間が左右等間隔になるように注意する。次いで、上部金物4のU金具4bの差し込み板4b−1を、下部金具3の側面板3b−1とスリット2cとの隙間に上部から差し込むが、同時にアングルピ−ス4aの鉛直片が、下部金物3のC型ピ−ス3aの内部に挿入される状態になる。続いて、先導するガイド溝4b−2が、木質梁2と側面板3b−1に仮固定している一番下のボルト6に嵌り、各々のボルト穴を合致させ、木質梁2側面のボルト貫通孔5から、座金7と組み合わせたボルト6を挿通し、ナットをレンチ等を使用し緊結を行って、木質柱1と木質梁2を接合する。したがって、せん断・軸力・モ−メントの伝達が可能な剛接合金物で、モ−メント抵抗性能が高いラ−メン構法を得ることができる。
【0025】
上述した金物類の材質は、一般構造用圧延鋼材(SS400)を代表として示したが、本発明ではこれに限ることなく、機能的に満足すべき強度が得られることができれば、公知
の材質で良い。例えば、鋳物等を挙げることができる。なお、当該金物のサイズは、設計時の諸条件により決められるが、プレ−トの厚は4.5〜12.0mm程度で、下部金物と上部金物を組み合わせて、幅は150〜300mm程度、高さは300〜700mm程度、長さは450〜750mm程度である。
【0026】
以上説明したように柱頭接合金物の本発明に係るによれば、集成材の特性(外層ラミナ)を活用しての剛接合ができる接合金物である。すなわち、大規模な木造建築物の公共建築物等の構造的特性に対応した、純ラ−メン(二方向ラ−メン)構法ができる接合金物を提供することで、耐震性、耐久性を重要視した構造設計を合理的に行うことができ、粘り強い構造等の効果が得られる。また、大規模な木造の技術が系統立っていない現状に貢献することも可能であり、住宅および建設業界での社会に与える効用は極めて大きい。
【符号の説明】
【0027】
1 木質柱
2 木質梁
2a 木質梁の上層面
2b 木質梁の下層面
2c 木質梁のスリット
3 下部金物
3a C型ピ−ス
3a−1 爪
3b 梁受け金具
3b−1 側面板
3b−2 外置き板
3b−3 内置き板
3b−4 ナット付き板
4 上部金物
4a アングルピ−ス
4a−1 溝
4b U字金具
4b−1 差し込み板
4b−2 ガイド溝
5 ボルト貫通孔
6 ボルト
7 座金
8 ナット
9 従来の柱
10 従来の梁
11 従来の梁のスリット
12 従来の鋼板
13 ドリフトピン
14 ドリフトピン孔
15 ドリフトピン挿入穴
























【特許請求の範囲】
【請求項1】
リップみぞ形鋼片のリップの先端で、外向きに鋼板を曲げて、矩形形状に加工された複数の爪と、ウェブ面に複数のボルト貫通孔を設けて形成されたC型ピ−スのウェブの背面に、鋼板片をコ字形状に折曲げて、複数のボルト貫通孔を設けたウェブ面と、ウェブ面とウェブ面の両側からウェブ面に垂直に突出する両側面に複数のボルト貫通孔を設けた側面板と、前記ウェブ面と前記側面板の底部から水平に延出する置き板とで形成された梁受け金具のウェブの背面とを、当接して、構成された下部金物に、ウェブ面が上部になるようにコ字形状に鋼板片を折曲げて、ウェブ面の両側からウェブ面に垂直に突出する両側面に、複数のボルト貫通孔を設けた差し込み板で形成されたU金具のウェブの上面側と、一片が下向きで、他片が水平状のアングルの水平面を、当接して構成された上部金物を重合し、前記アングル形状の下向きの一片が、前記のC型ピ−ス内部に挿入され、前記の側面板と、前記の差し込み板がボルトで連結されることを特徴とする柱頭接合金物。































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−57168(P2013−57168A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194482(P2011−194482)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(506200083)
【Fターム(参考)】