説明

根菜収穫機

【課題】根菜収穫機において荷台から根菜の収穫容器を楽に取り降ろす。
【解決手段】走行機体(1)の下部に左右一対の走行装置(2,2)を設け、走行機体(1)の左右一側に根菜の茎葉部を挟持して引き抜き後方に搬送する引抜き搬送装置(11,11)を設け、引抜き搬送装置(11,11)の搬送途中の切断された根菜の根部を引き継いで走行機体(1)の左右他側に搬送する根菜搬送装置(16)を設ける。根菜搬送装置(16)の終端側下方には、根菜収納容器載置用の荷台(19)を設け、この荷台(19)を走行機体(1)の走行方向である前後あるいは左右方向に傾動可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、根菜類、特にニンジンを機械的に収穫する自走式の根菜収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
根菜収穫機において、走行機体の左右一側に根菜を掘り起こし、後方へ移送しながら葉部を切断し、葉部切断後の根部を下部コンベヤ上に載置して後方へ搬送し、更に、横送りローラにより根菜を左右方向に搬送し、選別コンベヤを介して収納容器に収容するように構成したものは公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開平9−37628号公報
【特許文献2】特開平2002−223618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来技術では、選別コンベヤからの根菜を受けるコンテナ載置台は、走行機体の地面から所定高さに水平状に固定状態に設けられている。従って、根菜の収納されたコンテナ等を作業者がコンテナ載置台から持ち上げて降ろさなければならず、大変な重労働であった。
【0004】
そこで、この発明は、コンテナの降ろしたい方向にコンテナ載置台を傾斜調節できるように構成し、根菜の入った重たいコンテナ等を楽に降ろそうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、走行機体(1)の下部に左右一対の走行装置(2,2)を設け、前記走行機体(1)の左右一側に根菜の茎葉部を挟持して引き抜き後方に搬送する引抜き搬送装置(11,11)を設け、該引抜き搬送装置(11,11)の搬送中途部で切断された根菜の根部を引き継いで前記走行機体(1)の左右他側に搬送する根菜搬送装置(16)を設け、該根菜搬送装置(16)の終端側下方に根菜の根部を収納する容器載置用の荷台(19)を設けるにあたり、水平状態の荷台(19)を走行機体(1)の走行方向に対して前後に傾動可能に構成したことを特徴とする根菜収穫機とする。
【0006】
前記構成によると、走行装置(2,2)により走行機体(1)を前進走行させると、走行機体(1)の左右一側に設けられている引抜き搬送装置(11,11)により、根菜の茎葉部が挟持されて引き抜かれ後方に搬送される。引抜き搬送装置(11,11)の搬送途中で切断された根菜の根部は根菜搬送装置(16)に引き継がれ、走行機体(1)の左右他側に搬送され終端側から下方の荷台(19)に載置されている根菜収納容器(29)に収納される。また、水平状態の荷台(19)を走行機体(1)の走行方向に対して前側あるいは後側に傾動することにより、根菜の根部の収納された根菜収納容器(19)を荷台(19の)傾斜面に沿って下方にずらしながら前後いずれの方向にも降ろすことができる。
【0007】
請求項2の発明は、走行機体(1)の下部に左右一対の走行装置(2,2)を設け、前記走行機体(1)の左右一側に根菜の茎葉部を挟持して引き抜き後方に搬送する引抜き搬送装置(11,11)を設け、該引抜き搬送装置(11,11)の搬送中途部で切断された根菜の根部を引き継いで前記走行機体1の左右他側に搬送する根菜搬送装置(16)を設け、該根菜搬送装置(16)の終端側下方に根菜収納容器載置用の荷台(19)を設けるにあたり、水平状態の荷台(19)を走行機体(1)の前後走行方向に対して左右方向に傾動可能に構成したことを特徴とする根菜収穫機とする。
【0008】
前記構成によると、走行装置(2,2)により走行機体(1)を前進走行させると、走行機体(1)の左右一側に設けられている引抜き搬送装置(11,11)により、根菜の茎葉部が挟持されて引き抜かれ後方に搬送される。引抜き搬送装置(11,11)の搬送途中で切断された根菜の根部は根菜搬送装置(16)に引き継がれ、走行機体(1)の左右他側に搬送され終端側から下方の荷台(19)に載置されている根菜収納容器(29)に収納される。また、水平状態の荷台(19)を走行機体(1)の走行方向に対して左右方向に傾動することにより、根菜の根部の収納された根菜収納容器(19)を荷台(19)の傾斜面に沿って左右側方にずらしながら降ろすことができる。
【0009】
請求項3の発明は、水平状態から左右方向に傾動することのできる前記荷台(19)を、左右外側端部をやや上方に傾斜した状態に調節可能に構成したことを特徴とする請求項2に記載の根菜収穫機とする。
【0010】
前記構成によると、請求項2発明の前記作用に加えて、荷台(19)を左右方向水平状態、あるいは、左右外側端部をやや上方に傾斜した状態に調節することができる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明は、荷台(19)を前後に傾斜できるので、収穫した根菜が満載されているコンテナバッグ等の容器(29)を前後何れの方向にも容易に降ろすことができ、作業の省力化を図ることができる。
【0012】
請求項2の発明は、荷台(19)を左右方向に傾斜調節できるので、収穫した根菜の根部が満載されているコンテナバッグ等の容器(29)を左右側方に容易に降ろすことができ、作業の省力化を図ることができる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2の発明の前記効果に加えて、例えば、荷台(19)の外側方が上り傾斜の圃場の収穫作業では、荷台(19)の外側を少し上方に傾斜するように調節すると、荷台(19)の外側に隣接しているニンジンの茎葉部に荷台(19)が当接するようなこともなく円滑に収穫作業をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
まず、図1乃至図3に基づきニンジンの収穫を主目的とした根菜収穫機の全体構成について説明する。図1及び図2は自走式根菜収穫機の全体側面図、図3はその全体平面図である。
【0015】
走行機体1の下方には左右クローラ走行装置2,2を配設し、走行機体1の右側前部に運転操作部3を配設している。この運転操作部3は、操作パネルや操作レバー類を設けている前側パネル4、左側のサイドパネル5、運転席6等で構成し、運転席6の後方下部にエンジン(図示省略)を配設している。
【0016】
また、走行機体1の左側には、ニンジンを堀取り、後方に搬送し、茎葉部を切除する収穫作業装置Aを設けている。この収穫作業装置Aは、ニンジンの茎葉部を引越す引越し装置13、引越し装置13の下方に位置していてニンジンを掘り起す掘り起し装置14、前記引越し装置13の後側より掘り起こしたニンジンの茎葉部を挟持して後側上方に搬送する引抜き搬送装置11、引抜き搬送装置11の搬送中のニンジンの茎葉部を切断する茎葉部切断装置15、切断されたニンジンの根部を右側方に搬送する根菜搬送装置16等から構成されている。
【0017】
走行機体1の後側部にはエンジン(図示省略)の動力伝達を受けて回転する伝動軸(図示省略)を内装した主伝動筒体8を突設し、この主伝動筒体8の上部には左右方向の主伝動軸8aを軸架している。主伝動筒体8の上端部には前後方向に沿った作業フレーム21を主伝動軸8a回りに回動自在に軸支し、昇降シリンダ(図示省略)により昇降回動自在に構成し、作業フレーム10に前記引越し装置13、堀起し装置14、引抜き搬送装置11、茎葉部切断装置15等を取り付けている。
【0018】
次に、一連の収穫作業装置Aについて具体的に説明する。
左右引越し装置13は、左右引越しケース13a,13aと、該左右引越しケース13a,13aに内装されていて上下に回動する左右引越しチエン13b,13bと、該左右引越しチエン13b,13bに取り付けられていて突出状態で上方へ回動し、退避収納状態で下方へ回動する左右引越しラグ13c,13cと、右引越しケース13aの下端部に取り付けられている分草杆13dと、左引越しケース13aの先端部に設けられている補助引越し装置13e等により構成されている。
【0019】
また、前記作業フレーム10の後側端部から引越し伝動筒体13fを前方に向けて延出し、その先端部に左右引越しケース13a,13aの上端部を取り付け、主伝動軸8a、引越し伝動筒体13e内の伝動装置(図示省略)を経由して左右引越しチエン13b,13bに動力を伝達し、作業フレーム10の前側下端部から延出した左右ステー13g,13gにより左右引越しケース13a、13aの下端部を支持している。
【0020】
前記左右堀起し装置14,14は、支持アーム14a,14aと土切り刃体14b,14bとで構成し、作業フレーム10の前端部の左右ブラケットに支持アーム14a,14aの中間部を軸支し、土切り刃体14b,14bを下方に突出するようにしている。そして、主伝動軸8a、作業フレーム10内の伝動装置(図示省略)、ベルト伝動装置14c、揺動装置14d,14dを経由して支持アーム14a,14aに動力を伝達している。なお、この堀起し装置14,14は左右一側に設けるようにしてもよい。
【0021】
左右引越し装置13の後部左右両側に、左右引抜き搬送装置11,11を設けている。この左右引抜き搬送装置11,11は、左右引抜き搬送フレーム11a,11a、左右引抜き搬送フレーム11a,11aに軸架した上下プーリ(図示省略)、上下プーリに巻き掛けた引抜き搬送ベルト11b,11bにより構成している。
【0022】
そして、作業フレーム10から立設した伝動筒体11cには伝動ケース11dを取り付け、この伝動ケース11dに、左右引抜き搬送フレーム11a,11aの後側端部を支持し、伝動筒体11c及び伝動ケース11d内の伝動装置(図示省略)を介して左右引抜き搬送ベルト11c,11cに動力を伝達している。また、左右引抜き搬送フレーム11a,11aの前側端部と作業フレーム10の前側部との間をブラケットにより連結支持している。
【0023】
また、根菜下部切断装置17を左右堀起し装置14,14の後側上方で、左右引抜き搬送装置11,11の中間部下方に設け、左右引抜き搬送装置11,11で搬送中のニンジンの根部下端をガイド装置により案内しながらニンジンの根部下端を切断刃体により切断するように構成している。
【0024】
前記左右引抜き搬送装置11の搬送終端側には、肩揃え移送装置22、タッピング移送装置23、茎葉部移送装置24を関連的に配設している。肩揃え移送装置22は、引抜き搬送装置11,11の後側部で移送終端部から所定距離下方に配設し、平面視で左右両側に一対設けている。この左右肩揃え移送装置22,22は、前側プーリと後側プーリとに左右肩揃え移送ベルトを巻き掛けて所定間隔を隔てて構成し、左右肩揃え移送ベルト間の挟持力を左右引抜き搬送装置11,11の挟持力よりも弱くしている。
【0025】
しかして、左右肩揃え移送装置22,22は、左右引抜き搬送装置11,11によりニンジンの茎葉部を挟持して上方後側への移送途中において、この肩揃え移送装置22,22にもニンジンの茎葉部の下部を挟持させ、引抜き搬送装置11,11により更に上方へ移送させることにより、ニンジンの根部上端部(肩部)が肩揃え移送装置22,22の下端位置まで引き上げられ、ニンジンの肩揃えが行われる。
【0026】
前記左右タッピング移送装置23,23は、左右肩揃え移送装置22,22の上方に側面視で所定間隔隔てて平行状に設け、その移送始端側を左右肩揃え移送装置22,22の前後方向中間に位置させ、前側プーリと後側プーリとの間に左右タッピング移送ベルトを巻き掛けて構成し、左右タッピング移送ベルト間にニンジンの茎葉部を挟持するように構成している。
【0027】
しかして、ニンジンの茎葉部の引継ぎ開始時には、左右引抜き搬送装置11,11、左右肩揃え移送装置22,22及び左右タッピング移送装置23,23の三者で挟持し、所定位置から後側では左右肩揃え移送装置22,22及び左右タッピング移送装置23,23の両者で挟持し移送する。
【0028】
前記左右茎葉部移送装置24,24は、左右前側プーリと左右後側プーリとに左右茎葉部移送ベルトを巻き掛けて構成し、左右茎葉部移送ベルトによりニンジンの茎葉部を挟持する構成である。そして、左右タッピング移送装置23の上方に所定間隔隔てて平行状態に設け、その始端側部を左右タッピング移送装置23,23の始端側部よりも後方に位置させている。
【0029】
なお、左右肩揃え移送装置22,22、左右タッピング移送装置23,23及び左右茎葉部移送装置24,24は、作業フレーム10から延出した伝動筒体及び伝動枠体によりそれぞれ支持されていて動力が伝達されている。
【0030】
前記茎葉部切断装置15は、上伝動ケース25から垂下している回転軸の下端部に水平面内で回転する切断刃により構成し、前記肩揃え移送装置22の終端側部に接近して設けている。
【0031】
前記根菜搬送装置16は運転席6の後方に配置し、根菜搬送装置16の左側の搬送始端側から右側の搬送終端側に茎葉部の切断されたニンジンの根部を搬送するもので、終端側ほど上り傾斜に構成している。この根菜搬送装置16の終端側下方には荷台19を設け、収納コンテナやコンテナバッグ29等を載置し、ニンジンの根部を収納するように構成している。なお、根菜搬送装置16の後方に後部座席7を設けている。
【0032】
前記構成によると、タッピング移送装置23と茎葉部移送装置24の両者によりニンジンの茎葉部を挟持移送しながら、肩揃えしたニンジンの茎葉部の所定位置が茎葉部切断装置15により切断され、ニンジンの根部は前記根菜搬送装置16の始端側部に落下し、ニンジンの茎葉部は引き続きタッピング移送装置23、茎葉部移送装置24により搬送され終端側から圃場に排出される。
【0033】
茎葉部切断後のニンジンの根部は根菜搬送装置16の左側始端側に落下すると、右側終端側に向けて搬送され、終端側下方の荷台19に載置されているコンテナバッグ29に収納される。
【0034】
次に、前記荷台19について具体的に説明する。
荷台19は平面視で前後方向に長い幅の広い長方形に構成されている。走行機体1の右側部から荷台フレーム19aを右側に延出し、この荷台フレーム19aには左右方向の軸19bにより荷台19を回動自在に支持し、荷台19を前後傾斜状に回動することができ、荷台19の前後左右の周辺部には落下防止枠体19c,…を設けている。
【0035】
また、根菜搬送装置16におけるフレーム16aの右側端部から前後支持棒27,27を延出し、この前後支持棒27,27の先端に前後袋ホルダ28,28を取り付け、平面視で前後袋ホルダ28,28の前後方向中心部に荷台19軸支用の軸19bを配設している。
【0036】
また、図1に示すように、側面視で荷台19の前後方向中間部に高くし、前後部を緩やかな下り傾斜面に構成し、載置したコンテナバッグ29の前後方向へのずれを防止している。また、荷台19に中央部から前後に緩やかな傾斜面を構成するにあたり、側面視において荷台フレーム19aの下端部と荷台19の前後両端部の高さを揃え、荷台19の前後方向中間部を荷台フレーム19aから所定高さ上方に位置するように構成してもよい。このように構成すると、荷台19の地上高を高くしながら、コンテナバッグ29の収納量を多くすることができる。
【0037】
前記構成によると、大型のコンテナバッグ29を袋ホルダ28により支持し、根菜搬送装置16で搬送されたニンジンの根部を収納し、係止装置30を解除することにより、荷台19を軸19b回りに前後傾斜状に回動し、好みの位置からコンテナバッグ29を取り出すことができる。
【0038】
また、前後袋ホルダ28,28の前後方向中心部に配設した軸19bにより、荷台19を前後傾斜調節自在に支持しているので、最小限の力で楽に荷台19を前後傾斜回動することができる。
【0039】
また、図4に示すように、荷台19の上面における前後方向中間部を側面視で高くなり前後方向に下り傾斜となる山形部19dに構成すると、コンテナバッグ29の底部が山形部19dの前後に振り分け状に支持され、前後方向へのずれを防止することができる。
【0040】
また、図4に示すように、荷台フレーム19aには左右方向の軸19bによりボス部を介して荷台19を前後回動自在に軸支し、このボス部にレバー31を上方へ延出するように固着し、このレバー31により荷台19を前後に回動するように構成している。そして、荷台フレーム19aから係止棒32を突設し、レバー31と係止棒32との間にバネにより出没する係止装置(図示省略)を設け、荷台19を水平状態で係止できるように構成している。前記構成にり、荷台19の前後回動及び水平状態でのセットを容易にすることができる。
【0041】
また、荷台19の前後方向中間部に側面視で高く山形部19dを構成するにあたり、図5に示すようにその前後方向中間部に前後方向及び左右方向にわたり所定広さの平面部19eを構成し、その前後に傾斜面を形成してもよい。例えば、根菜搬送装置16の搬送幅程度の前後広さの平面部を左右全幅にわたり構成するものである。このように構成しても同様の効果が期待できる。
【0042】
次に、図6乃至図8に基づき荷台19の他と実施形態について説明する。
この実施形態では、荷台19を水平状態から前後方向及び横方向の3方向に傾斜回動するように構成している。走行機体1のブラケットには荷台フレーム19aの左側端部を前後方向のピン33により軸支し、例えば、ギヤドモータ34で伸縮する昇降シリンダ35により、荷台フレーム19a及び荷台19の右側端部を上下回動できるように構成している。また、荷台フレーム19aには荷台19を左右方向の軸19b回りに回動できるように支持している。そして、荷台19の内側前後中央を低い平面部19h、前側部を前上り傾斜面19i、後側部を後上り傾斜面19j、右側部を右上り傾斜面19kに構成している。
【0043】
前記構成によると、荷台19を前後傾斜及び横傾斜の3方向に傾斜調節することができ、コンテナバッグ29の取り出しの自由度を高めることができる。また、荷台19の右側方が右側上りの傾斜地である場合には、荷台19の右側端部を少し上方に傾斜させるように回動調節すると、走行右側に隣接しているニンジンの茎葉部に荷台19が当接するのを防止しながら、円滑に収穫作業をすることができる。
【0044】
また、前記昇降シリンダ35をロック装置36により収納状態でロックできるように構成している。このロック装置36は図8に示すように、昇降シリンダ35の左側方に配設されていて、ロック装置36にはへ字型の長溝36aを構成し、昇降シリンダ35のピン35aをロック装置36の長溝36aに係合している。
【0045】
前記構成によると、荷台19に回動調節時には、昇降シリンダ35側のピン35aを長溝35aの右側端部に係止し、昇降シリンダ35を伸縮することにより、横傾斜を調節し、地面の起伏に応じて上下動し円滑に走行することができる。また、荷台19を楽に横方向に傾斜回動し、コンテナバッグ29を楽に取り出すことができる。また、荷台19が上方に回動し収納するときには、昇降シリンダ35側のピン35aを長溝35aのロック部35bに係合しロックさせることができる。
【0046】
なお、根菜搬送装置16のフレーム16a中途部を軸16bにより軸支連結し、根菜搬送装置16の始端側に対して終端側を上下回動自在に構成し、荷台19を上方に回動し収納するときには、根菜搬送装置16の終端側を上方に回動し、干渉を回避するようにしている。
【0047】
次に、図9に基づき左右引越し装置13,13の他の実施形態について説明する。
左右引越し装置13,13の右引越しケース13a下端部を圃場面に接近するように長く構成し、左引越しケース13aの下端部を右側よりも上方にずらして短く構成し、左右引越しケース13a,13aには上下に回動する左右引越しチエン13b,13bを内装し、左右引越しチエン13b,13bには左右引越しラグ13c,13cを取り付け、左右引越しラグ13c,13cを突出状態で上方へ回動し、退避収納状態で下方へ回動しながらニンジンの茎葉部を引き起こすように構成している。左引越しケース13aの先端部には下方に延出するように補助引越し装置13eを取り付けている。
【0048】
右引越しケース13aの下側先端部には分草杆13dを前方に向けて延出し、この分草杆13dの先端右側部に排土板41を取り付け、この排土板41には平面視で右側に傾斜した案内面を形成し、栽培ニンジンの右側方の畦土を右側方に排除し、引越しラグ13c側への移動を阻止している。また、冬場にニンジンの茎葉部に覆土をして越冬を図った際には、排土板41により茎葉部への覆土を排除し、茎葉部の根元部に引越しラグ13cが作用して茎葉部を引越し、左右引抜き搬送装置11,11により茎葉部の下側部を容易に挟持するようにしている。
【0049】
また、この分草杆13dの先端左側部に引越し棒42を取り付け、この引越し棒42を後側ほど左側に傾斜させ、且つ、側面視で上方に傾斜するように構成している。しかして、引越し棒42によりニンジンの茎葉部を左側に案内し、茎葉部が必要以上に右引越しケース13aに接近するのを防止し、茎葉部の右引越しケース13a内への引き込みを防止している。また、冬場で茎葉部の下葉が枯れているものや、萎びているものを、引越し棒42で引き起こすので、これらの切損を防止し、引越しラグ13cでの引越し作用を確実化し、引抜き搬送装置11,11の挟持作用を確実化することができる。
【0050】
次に、図11乃至図12に基づきニンジン等の選別装置について説明する。
選別フレーム51の上側前後に駆動ローラ52及び従動ローラ53を軸架し、選別フレーム51の下側前後に前後ローラ53a,53bを軸架し、これらのローラ52,53,53a,53bに選別コンベヤ54を巻き掛け、モータ55からベルト伝動装置55aを介して駆動ローラ52に動力を伝達し、選別コンベヤ54を駆動している。選別コンベヤ54にはテンションローラ53cを圧接し、選別コンベヤ54を所定張力で回動するように構成している。
【0051】
前記選別コンベヤ54を所定幅の柔軟性材で構成し、選別コンベヤ54裏面の例えば右側(図10(A)では上側)には、搬送方向に沿うように案内凸条54aを構成し、また、前記52,53,53a,53bには前記案内凸条54aの嵌入する案内凹部を設け、選別コンベヤ54の左右のずれを防止しながら回動するように構成している。選別コンベヤ54の始端側には供給ホッパ57を設けている。
【0052】
選別コンベヤ54の裏面には誘導板56を接近して設け、選別コンベヤ54の裏面を誘導板56により支持し、選別コンベヤ54及び誘導板56の接触側を平滑面に構成し、選別コンベヤ54が円滑に移動するように構成している。また、誘導板56の左側部には選別コンベヤ54の始端側から終端側にかけて順次重くなる被選別物を排出する複数の選別開口部58,…を構成し、選別コンベヤ54の搬送中の被選別物が選別開口部58,…を通過する際には、自重により沈むように構成している。
【0053】
誘導板56の開口部58,…の下方には計量器59,…をそれぞれ配設している。この計量器59,…は、フレーム部に搬送方向に沿った軸で軸支されている計量アーム59aと、計量アーム59aの一端に取り付けられている計量板59bと、計量アーム59aの他端に連結されているバネ力調節自在のバネ59cにより構成されている。また、選別開口部58,…の側方には押出装置61,…を配設し、被選別物を押し出すように構成している。
【0054】
しかして、選別コンベヤ54で搬送中の被選別物は、設定重量の計量器59の計量板59bまで搬送されると、選別コンベヤ54が被選別物の重みで沈み込み、当該計量板59bが下方に傾斜回動し、計量アーム59aにより検出スイッチ60をONし、選別信号が制御部(図示省略)に入力される。すると、制御部の押出指令により、選別開口部58,…の側方に配設されている押出装置61,…が作動して被選別物が押し出され、被選別物は所定重量毎に選別される。
【0055】
選別コンベヤ型の重量選別機として、特開2001−198531号公報がある。この従来技術は、選別コンベヤを被選別物の重量により沈下させて選別するために、選別コンベヤを弛ませて巻き掛け必要があり、選別コンベヤを搬送下手側の押し方向から駆動しなければならない。このため、選別コンベヤが長くなり、駆動構成が複雑化しコスト高となる不具合があった。
【0056】
しかし、この実施形態では、選別コンベヤ54を所定幅の幅広に構成し、選別コンベヤ54の一側を沈ませることにより重量測定するので、構成を簡単化しコストの低減を図ることができる。
【0057】
なお、前記計量器59を図11に示すように構成してもよい。フレーム部に選別コンベヤ54の搬送方向に直交する軸によ計量アーム59aを軸支し、且つ、計量アーム59aを選別開口部58の搬送上手側に配設する。そして、この計量アーム59aの一端に計量板59bを取り付け、バネ力調節自在のバネ59を計量アーム59aの他端に連結している。そして、計量板59bの搬送下手側に対向する誘導板56には、搬送上手側に向かって下り傾斜の傾斜面部56aを形成している。
【0058】
前記構成によると、被選別物の選別排出に際し、計量板59aの搬送下手側を下方に円滑に回動させて、被選別物を円滑に排出することができる。また、計量板59bの搬送下手側に対向する誘導板56を搬送上手側に向かって下り傾斜の傾斜面部56aを形成することにより、選別コンベヤ54の下方への沈み込みが円滑化し、被選別物を円滑に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】根菜収穫機の全体側面図
【図2】根菜収穫機の全体側面図
【図3】根菜収穫機の全体側平面図
【図4】根菜収穫機の全体側面図
【図5】根菜収穫機の全体平面図
【図6】荷台の平面図、正面図
【図7】荷台の側面図
【図8】根菜収穫機の全体背面図
【図9】引越し装置の正面図
【図10】選別機の側面図、切断平面図、切断正面図
【図11】選別機の側面図、切断平面図、切断正面図
【図12】選別機の平面図、側面図
【符号の説明】
【0060】
1 走行機体1
2 走行装置(クローラ走行装置)
11 引抜き搬送装置
16 根菜搬送装置
19 荷台
29 根菜収納容器(コンテナバッグ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体(1)の下部に左右一対の走行装置(2,2)を設け、前記走行機体(1)の左右一側に根菜の茎葉部を挟持して引き抜き後方に搬送する引抜き搬送装置(11,11)を設け、該引抜き搬送装置(11,11)の搬送中途部で切断された根菜の根部を引き継いで前記走行機体1の左右他側に搬送する根菜搬送装置(16)を設け、該根菜搬送装置(16)の終端側下方に根菜の根部を収納する容器載置用の荷台(19)を設けるにあたり、水平状態の荷台(19)を走行機体1の走行方向に対して前後に傾動可能に構成したことを特徴とする根菜収穫機。
【請求項2】
走行機体(1)の下部に左右一対の走行装置(2,2)を設け、前記走行機体(1)の左右一側に根菜の茎葉部を挟持して引き抜き後方に搬送する引抜き搬送装置(11,11)を設け、該引抜き搬送装置(11,11)の搬送中途部で切断された根菜の根部を引き継いで前記走行機体(1)の左右他側に搬送する根菜搬送装置(16)を設け、該根菜搬送装置(16)の終端側下方に根菜収納容器載置用の荷台(19)を設けるにあたり、水平状態の荷台(19)を走行機体(1)の前後走行方向に対して左右方向に傾動可能に構成したことを特徴とする根菜収穫機。
【請求項3】
水平状態から左右方向に傾動することのできる前記荷台(19)を、左右外側端部をやや上方に傾斜した状態に調節可能に構成したことを特徴とする請求項2に記載の根菜収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−202460(P2007−202460A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−24501(P2006−24501)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】