根菜類収穫機
【課題】
圃場面の凹凸に対応して引抜搬送装置の搬送始端部を自動的に上昇させる根菜類収穫機を提供する。
【解決手段】
引抜搬送装置24の搬送始端側に転輪203を設け、転輪203の上昇を検知する検知部材204を設け、検知部材204が転輪203の上昇を検知すると引抜搬送装置24の搬送始端側を上昇させる昇降部材23を設け、転輪203を設けた回動自在な転輪アーム202とアクチュエータ207を引抜搬送装置24の搬送始端側に設け、アクチュエータ207と転輪アーム202の何れか一方に第1接触体206を備えた検知部材204を設け、他方に第2接触体207aを設け、第1接触体206が第2接触体207aに接触して検知部材204が転輪203の上昇を検知する構成とすると共に、前記アクチュエータ207を伸縮させて第1接触体206と第2接触体207aの接触位置を調節可能に構成する。
圃場面の凹凸に対応して引抜搬送装置の搬送始端部を自動的に上昇させる根菜類収穫機を提供する。
【解決手段】
引抜搬送装置24の搬送始端側に転輪203を設け、転輪203の上昇を検知する検知部材204を設け、検知部材204が転輪203の上昇を検知すると引抜搬送装置24の搬送始端側を上昇させる昇降部材23を設け、転輪203を設けた回動自在な転輪アーム202とアクチュエータ207を引抜搬送装置24の搬送始端側に設け、アクチュエータ207と転輪アーム202の何れか一方に第1接触体206を備えた検知部材204を設け、他方に第2接触体207aを設け、第1接触体206が第2接触体207aに接触して検知部材204が転輪203の上昇を検知する構成とすると共に、前記アクチュエータ207を伸縮させて第1接触体206と第2接触体207aの接触位置を調節可能に構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に植生する根菜類を引き抜き収穫する収穫機において、圃場面の凹凸に対応して引抜搬送装置の搬送始端部を自動的に上昇させる根菜類収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
挟持搬送装置の上下高さを調節し、圃場に植生する根菜類の茎葉部を挟持搬送装置で挟持して引き抜き収穫する技術がある。(特許文献1)
また、電動・油圧等のシリンダの伸縮により上下位置を調節可能なゲージ輪を設け、挟持搬送装置の下方移動を制限する技術がある。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−310030号公報
【特許文献2】特開2006−238754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された根菜類収穫機では、挟持搬送装置の高さを根菜類に対して適切に設定していても、根菜類の周囲の土が盛り上がっていたり、圃場に埋まっていた石が露出していたりすると、挟持搬送始端部が土や石を噛み込んでしまうという問題がある。
【0005】
また、特許文献2に記載された根菜類収穫機では、ゲージ輪がシリンダで上下位置を固定されているので、ゲージ輪が圃場面に重圧をかけてしまい、圃場が踏み固められてしまうという問題点がある。
【0006】
さらに、ゲージ輪の上下位置を調節するシリンダは、挟持搬送装置の重量と油圧の下げ推力を受けるため、推力の高いものを使用しなければならずコスト高になる問題があると共に、構成が複雑になり部品点数が多くなるため、機体の重量が増加してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上述の問題を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、機体フレーム(1)に圃場から作物を引き抜き後方へ搬送する引抜搬送装置(24)を設け、該引抜搬送装置(24)の搬送始端側に圃場面に接地する転輪(203)を設け、該転輪(203)の上方移動を検知する検知部材(204)を設け、前記機体フレーム(1)に該検知部材(204)が転輪(203)の上方移動を検知すると前記引抜搬送装置(24)の搬送始端側を上昇させる昇降部材(23)を設けたことを特徴とする根菜類収穫機とした。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記引抜搬送装置(24)の搬送始端下部に前記転輪(203)を備えた回動自在な転輪アーム(202)と伸縮自在なアクチュエータ(207)とを設け、該アクチュエータ(207)と転輪アーム(202)のいずれか一方に第1接触体(206)を備えた前記検知部材(204)を設け、他方に該第1接触体(206)と接触する第2接触体(207a)を設け、該第1接触体(206)が第2接触体(207a)に接触して前記検知部材(204)が転輪(203)の上方移動を検知する構成とするとともに、前記アクチュエータ(207)を伸縮させることにより第1接触体(206)と第2接触体(207a)との接触位置を調節可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機とした。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記アクチュエータ(207)と転輪アーム(202)を、前記第1接触体(206)が第2接触体(207a)に接触することにより前記転輪(203)の上方移動を検知部材(204)が検知可能な融通部(205a)を形成した係合部材(205)で連係し、前記アクチュエータ(207)により転輪(203)を上昇可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機とした。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明の効果は、転輪(203)の上方移動を検知部材(204)が検知すると、昇降部材(23)が伸縮して引抜搬送装置(24)の搬送始端側を上昇させるので、圃場に土が盛り上がっていたり石が露出していても、引抜搬送装置(24)の搬送始端部が土や石に接触することを防止でき、引抜搬送装置(24)が土や石を噛み込んで停止したり故障したりすることが防止され、作業能率が向上する。
【0012】
請求項2記載の発明の効果は、請求項1記載の発明の効果に加えて、引抜搬送装置(24)の搬送始端下部に転輪(203)や検知部材(204)やアクチュエータ(207)を設けたことにより、空間部を利用して部材を配置できるので、機体がコンパクトに構成される。
【0013】
また、アクチュエータ(207)と転輪アーム(202)とのいずれか一方に第1接触体(206)を取り付けた検知装置(204)を設け、他方に転輪アーム(202)が上下動すると第1接触体(206)が接触する第2接触体(207a)とを設けたことにより、第1接触体(206)が第2接触体(207a)に接触して検知部材(204)が転輪(203)の上方移動を検知することができ、圃場の土の盛り上がりや石の露出に合わせて引抜搬送装置(24)の搬送始端部が上昇するので、引抜搬送装置(24)が土や石を噛み込んで停止したり故障したりすることが防止され、作業能率が向上する。
【0014】
そして、第1接触体(206)と第2接触体(207a)との接触位置を変更自在に構成したことにより、第1接触体(206)と第2接触体(207a)との接触位置までの距離を長くすると、第1接触体(206)が第2接触体(207a)に接触するまでの時間が長くなるため、小さな圃場の土の盛り上がりや石の露出で転輪(203)が僅かに上昇しても検知部材(204)は作動しないので、圃場に小さな圃場の土の盛り上がりや石の露出がある度に引抜搬送装置(24)の搬送始端部が上昇してしまうことが防止され、引抜搬送装置(24)が作物を引き抜き損なうことが防止される。
【0015】
さらに、第1接触体(206)と第2接触体(207a)との接触位置までの距離を短くすると、第1接触体(206)が第2接触体(207a)に接触するまでの時間が短くなるため、小さな圃場の土の盛り上がりや石の露出であっても検知部材(204)が作動するので、引抜搬送装置(24)の搬送始端部を上昇させて圃場の土の盛り上がりや石を確実に避けることができ、引抜搬送装置(24)が土や石を噛み込んで停止したり故障したりすることが防止され、作業能率が向上する。
【0016】
請求項3記載の発明の効果は、請求項1記載の発明の効果に加えて、アクチュエータ(207)と転輪アーム(202)を、転輪(203)の上方移動を検知部材(204)が検知可能な融通部(205a)を形成した係合部材(205)で連係したことにより、アクチュエータ(207)を操作することで転輪(203)の上昇を容易に行うことができ、作業能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】根菜類収穫機の左側面図
【図2】根菜類収穫機の右側面図
【図3】根菜類収穫機の平面図
【図4】根菜類収穫機の背面図
【図5】凹凸検知機構の側面図
【図6】凹凸検知機構の要部側面図
【図7】茎葉切断部の側面図
【図8】茎葉切断部の平面図
【図9】位置揃え装置の平面図
【図10】位置揃え装置の側面図
【図11】(a) 位置揃えカバーの側面図、(b) 位置揃えカバーの平面図、(c) 位置揃えカバーの正面図
【図12】選別搬送コンベアの要部平面図
【図13】補助作業座席の昇降機構の断面背面図
【図14】回収部の平面図
【図15】回収部の側面図
【図16】回収部の作動を示す側面図
【図17】(a) 凹凸検知機構の別実施例の側面図、(b) 凹凸検知機構の別実施例の要部平面図
【図18】凹凸検知機構の別実施例の側面図
【図19】凹凸検知機構の別実施例の要部側面図
【図20】凹凸検知機構の別実施例の要部側面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図16に示すように、実施例の一つとして示す根菜類収穫機の一種である人参収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、該収穫部Cから人参を引き継いで機体後方に搬送しながら茎葉部を切断する茎葉切断部Dと、茎葉切断部Dから落下する人参を受けて人参に残った茎葉部を処理しながら機体左右他側へ搬送する引継搬送部Eと、該引継搬送部Eから人参を引き継いで人参を機体後側へ搬送し、搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Fと、選別搬送部Fで選別作業を行う補助作業者が搭乗する補助作業部Gと、選別搬送部Fから排出される人参を収容する収容部Hとから構成される。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0019】
まず、走行部Aの構成について説明する。
図1〜図4で示すように、機体フレーム1の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右従動輪3,3と、該左右駆動スプロケット2,2と左右従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4,4・・・の周りに左右のクローラベルト5,5を巻き掛けて左右のクローラ6L,6Rを構成する。そして、該左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を、エンジン7の動力が伝動されるミッションケース8から左右両側に延出させた左右ドライブシャフト9,9に取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体フレーム1に取り付ける。
【0020】
次に、操縦部Bの構成について説明する。
図1〜図3で示すように、前記機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム10を取り付け、該操縦部フレーム10には操縦座席11を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル12を取り付ける。そして、該操縦パネル12に機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー13を取り付けると共に、機体の左右旋回操作を行なうと共に、後述するソレノイドバルブ210を介して昇降シリンダ23を伸縮させて収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー14を取り付ける。
【0021】
上記構成により、変速操作レバー13や昇降操作レバー14のような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0022】
次に、収穫部Cの構成について説明する。
図1〜図6で示すように、左右引抜フレーム15,15の機体前側に左右従動プーリ16,16を回転自在に装着し、機体後側に左右駆動プーリ17,17を装着し、該左右従動プーリ16,16と左右駆動プーリ17,17との間に人参を引き抜き機体後部へと搬送する左右挟持搬送ベルト18,18を巻き掛けると共に、複数のテンションローラ19…によって該左右挟持搬送ベルト18,18を張圧し、左右挟持搬送ベルト18,18の機体内側面を互いに圧接させて人参の引抜搬送経路Rを構成する。そして、前記機体フレーム1の上方に左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20を取り付け、該回動フレーム20の後端部に前記左右駆動プーリ17,17に駆動力を伝動する伝動ケース22を、回動支点Xを中心として上下回動自在に取り付ける。また、前記機体フレーム1と回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、該昇降シリンダ23を操縦部Bで操作可能に取り付けて引抜搬送装置24を構成する。
【0023】
また、該引抜搬送装置24の前方に人参の茎葉部を引き起こす複数の縦引起しラグ25a…を備えた縦引起し装置25と、該縦引起し装置25が引起した茎葉部を掬い上げる複数の横引起しラグ26a…を備えた横引起し装置26と、該横引起し装置26の前部に設ける分草杆27と、前記エンジン7の駆動力で回転するシャフト32の回転によって振動する振動フレーム33に取り付けた人参の左右の土を振動によって解す左右振動ソイラ34,34とを取り付ける。
【0024】
そして、前記引抜フレーム15の前側下部から機体後方に向かって取付フレーム200を取り付け、該取付フレーム200の機体前後方向の略中央位置に、機体後方に向かって後下り傾斜姿勢で支持アーム201の基部側を取り付ける。さらに、該支持アーム201の端部側にゲージ輪アーム202の基部側を上下方向に回動自在に取り付け、該ゲージ輪アーム202の前端部側にゲージ輪203を回転自在に取り付ける。
【0025】
また、前記ゲージ輪アーム202の前後方向の略中央上部にスイッチボックス204を取り付け、該スイッチボックス204よりも機体前側に上下方向の長穴205aを形成したガイドプレート205を取り付ける。そして、前記スイッチボックス204にスイッチアーム206の基部側を上下方向に回動自在に取り付け、前記ガイドプレート205の長穴205aにゲージ輪アーム202を吊り下げるリフトシリンダ207の下端部の接触軸207aを挿入する。該接触軸207aに、スイッチアーム206の端部側が上方移動して接触すると、スイッチボックス204がゲージ輪203の上昇を検知する。
【0026】
なお、リフトシリンダ207は倒立姿勢(接触軸207aを設けた側が下方に位置する姿勢)で配置すると、シフトシリンダ207の摺動部が下方に位置するので、摺動部で土や茎葉の切れ端等の夾雑物を噛み込むことを防止でき、リフトシリンダ207の耐久性が向上する。また、リフトシリンダ207の上部側に後述する操作スイッチ208とリフトシリンダ207とを連結するハーネス209を取り付けることができるので、このハーネス209の長さが短くなり部品重量を軽減できると共に、配線が複雑になることを防止でき、メンテナンス性が向上する。
【0027】
また、本例ではスイッチアーム206は略直線状の棒体で構成しているが、接触軸207aの上下及び前後のいずれか一側を覆う側面視U字形状に構成すると、スイッチアーム206が接触軸207aから離れにくくなり、検知精度が損なわれず、作業能率が向上する。
【0028】
そして、リフトシリンダ207はゲージ輪アーム202を上方から吊り下げるだけの部材であるため、低推力の単動式シリンダで構成すると、ゲージ輪アーム202やゲージ輪203が圃場面に向かって押し付けられないので、ゲージ輪203が圃場の土の凹凸や露出した石を踏み潰してしまい、圃場の凹凸の検知が上手く行われず引抜搬送装置24の引抜搬送始端部が土や石を噛み込んでしまうことを防止でき、引抜搬送装置24の故障が防止されて耐久性が向上すると共に、作業が中断されないので作業能率が向上する。しかも、低推力の単動シリンダは比較的コストが安く、また構造が単純であるので軽量であるので、コストダウンを図ることができると共に、機体の軽量化を図ることができる。
【0029】
また、ゲージ輪203をゲージ輪アーム202の前端部側に設けたことにより、ゲージ輪アーム202を上昇させるとゲージ輪203が機体前側に位置するので、引抜搬送装置24の掘り取り位置を低くするとゲージ輪203の圃場の凹凸の検知を早くすることができ、引抜搬送装置24の掘り取り高さの変更によるタイムラグにより引抜搬送装置24の引抜搬送始端部が土や石を噛み込んでしまうことが防止されて引抜搬送装置24の故障が防止されて耐久性が向上すると共に、作業が中断されないので作業能率が向上する。
【0030】
さらに、前記横引起し装置26の上部にリフトシリンダ207の伸縮を操作する操作スイッチ208を取り付け、該操作スイッチ208とリフトシリンダ207とをハーネス209で連結する。そして、前記昇降操作レバー14の前後方向の操作に対応して送油し、昇降シリンダ23を伸縮させるソレノイドバルブ210を機体に設け、該ソレノイドバルブ210と昇降操作レバー14との間に、前記スイッチボックス204から発信される信号を介入させるケーブル211を取り付けることにより、圃場の凹凸を検知して引抜搬送装置24の引抜搬送始端部を自動的に上下動させる検知昇降機構212が構成される。
【0031】
なお、接触軸207aを、長穴205aの上下方向略中央位置を標準位置とし、上方または下方に位置を変更可能に構成すると、スイッチアーム206と接触軸207aの接触位置が変更可能となる。
【0032】
例えば、スイッチアーム206と接触軸207aとの接触位置までの距離を長くすると、スイッチアーム206が接触軸207aに接触するまでの時間が長くなるため、小さな圃場の土の盛り上がりや石の露出でゲージ輪203が僅かに上昇してもスイッチボックス204は作動しないので、圃場に小さな圃場の土の盛り上がりや石の露出がある度に引抜搬送装置24の搬送始端部が上昇してしまうことが防止され、引抜搬送装置24が作物を引き抜き損なうことが防止される。
【0033】
また、スイッチアーム206と接触軸207aとの接触位置までの距離を短くすると、スイッチアーム206と接触軸207aに接触するまでの時間が短くなるため、小さな圃場の土の盛り上がりや石の露出であってもスイッチボックス204が作動するので、引抜搬送装置24の搬送始端部を上昇させて圃場の土の盛り上がりや石を確実に避けることができ、引抜搬送装置24が土や石を噛み込んで停止したり故障したりすることが防止され、作業能率が向上する。
【0034】
また、ゲージ輪アーム202の前端部側に複数の取付穴を形成し、この取付穴にゲージ輪203の車軸を挿入して検知感度を変更できる構成とすると、容易に検知昇降機構212の感度を変更することができるので、作業条件の変化に細やかに対応可能となり、作業能率が向上する。検知感度は、最前部の取付穴にゲージ輪203を設けると早期に圃場の土の凹凸や石を検知可能となり、鋭敏となると共に、最後部の取付穴に取り付けると圃場の土の凹凸や石の検知が遅くなるので鈍感となる。このとき、中間部の取付穴を標準とする。
【0035】
そして、前記スイッチボックス204とスイッチアーム206との間にトルクスプリング(図示省略)を取り付け、前記ゲージ輪203を取り付ける車軸に着脱自在なウェイト213を取り付ける。また、ゲージ輪アーム202の前端部側で且つゲージ輪203に接触する位置に、ゲージ輪203に付着した土や夾雑物を擦り落とすスクレーパ214を取り付ける。なお、ウェイト213は複数個装着可能とする。
【0036】
そして、前記引抜搬送通路Rの下方に引抜搬送装置24で搬送中の人参のひげ根を切断する尻尾切装置35を取り付けることにより、収穫部Cが構成される。
上記構成により、機体前側に分草杆27を備える横引起し装置26と、縦引起し装置25を設けることによって、圃場に倒伏した人参の茎葉を掻き上げながら収穫作業ができ、収穫する人参の視認性が向上するので引き抜き位置が合わせやすく、作物の抜き残しが減少するため作業能率が向上する。
【0037】
また、人参に左右振動ソイラ34,34等が接触して傷つくことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。
そして、機体フレーム1に左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20を設け、機体フレーム1と回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、昇降シリンダ23を操縦部Bの昇降操作レバー14を前後方向に操作することによって伸縮させる構成としたことによって、昇降操作レバー14の操作により収穫部C全体の上下高さを調節することができるので、収穫部Cの引抜搬送始端部の位置を上下方向に調節しするとともに圃場に植生する人参の適切な引き抜き高さに合わせて引抜搬送始端部の位置調節を行え、人参の抜き残しが防止されるので作業能率が向上する。
【0038】
また、旋回時に収穫部Cを上昇させておくと、収穫部Cの下端部が圃場に接触しにくくなるため、旋回動作がスムーズに行われて作業能率が向上する。
さらに、ゲージ輪203を取り付けるゲージ輪アーム202の前端部側を上下回動自在に設けたことにより、ゲージ輪203が圃場の土の凹凸や石の上を通過すると、ゲージ輪アーム202が上方回動し、このゲージ輪アーム202の上方回動に連動してスイッチボックス204に取り付けたスイッチアーム206が上方回動し、スイッチアーム206が一定角度以上上方回動するとスイッチボックス204がケーブル211に昇降シリンダ23を伸ばす信号をソレノイドバルブ210に発信するので、圃場の土の凹凸や石の露出に合わせて引抜搬送装置24の引抜搬送始端部を上昇させることができ、引抜搬送装置24の引抜搬送始端部が土や石を噛み込んでしまうことを防止でき、引抜搬送装置24の故障が防止されて耐久性が向上すると共に、作業が中断されないので作業能率が向上する。
【0039】
そして、ゲージ輪アーム202をリフトシリンダ207で上方から吊り下げる構成としたことにより、ゲージ輪アーム202やゲージ輪203がリフトシリンダ207の推力で圃場面に向かって押し付けられないので、ゲージ輪203が圃場の土の凹凸や露出した石を踏み潰してしまい、圃場の凹凸の検知が上手く行われず引抜搬送装置24の引抜搬送始端部が土や石を噛み込んでしまうことを防止でき、引抜搬送装置24の故障が防止されて耐久性が向上すると共に、作業が中断されないので作業能率が向上する。
【0040】
また、リフトシリンダ207を伸縮操作する操作スイッチ208を横引起し装置26の上部に設けたことにより、作業者は操縦部から手を伸ばして操作スイッチ208を操作してリフトシリンダ207を伸縮させ、ゲージ輪203の接地高さを調節することができるので、ゲージ輪203の調節の度に操縦部Bから降りる必要がなく、作業能率が向上する。
【0041】
加えて、ゲージ輪アーム202を吊り下げるリフトシリンダ207を伸縮操作可能に構成したことにより、ゲージ輪203の接地高さ調節が容易となり、作業能率が向上する。
なお、操作スイッチ208は、若干電装系の配線が複雑になるものの、操縦部Bに設けると、作業者は横引起し装置26まで手を伸ばす必要が無く、労力の軽減になるとともに作業能率が向上する。
【0042】
さらに、スイッチボックス204が発信した信号を、ケーブル211を介して昇降操作レバー14の前後方向への操作に合わせて昇降シリンダ23に油を送油するソレノイドバルブ210に介入させる構成としたことにより、スイッチボックス204の信号を受けて昇降シリンダ23に送油する油圧回路を別途構成する必要が無く、部品点数の削減を図ることができ、機体の軽量化やコストダウンが図られると共に、メンテナンス性が向上する。
【0043】
そして、スイッチボックス204とスイッチアーム206との間にトルクスプリングを取り付けたことにより、ゲージ輪203が圃場に接地圧をかけるため、圃場の細かい凹凸や噛み込むおそれの無い程度に露出した石を踏んでもゲージ輪アーム202が上昇することを防止できるので、引抜搬送装置24の引抜搬送始端側が頻繁に上下動してしまうことが防止され、引抜搬送装置24が人参を引き抜き損なうことがなく、作業能率が向上する。また、抜き残した人参を収穫作業後に人手で引き抜く必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0044】
加えて、頻繁に引抜搬送装置24が上下動すると昇降シリンダ23に負荷が断続的にかかるので、昇降シリンダ23の耐久力が低下してしまうが、この耐久力の低下を抑える効果もある。また、引抜搬送装置24が作業者が設定した作業高さから自動的に何度も変更されると、作業者は常にその変化量に気を配らねばならないので、機体の操縦に集中しにくくなる可能性があるが、本件構成にて過度の作業高さの変更を抑制することにより、作業者は機体の操縦に集中することができ、作業能率が向上する。
【0045】
さらに、ゲージ輪203の車軸に着脱自在なウェイト213を取り付け可能に構成したことによって、ゲージ輪203の重量を調整して圃場への接地圧を変更することができるので、凹凸の多い圃場ではウェイト213を1または複数個取り付けてゲージ輪203の重量を重くし、スイッチボックス204の感度を低下させ、抜搬送装置24の引抜搬送始端側が頻繁に上下動しないようにすることで、引抜搬送装置24が人参を引き抜き損なうことがなく、作業能率が向上する。
【0046】
逆に、凹凸の少ない圃場ではウェイト213を少なくする、あるいは全て取り除いてゲージ輪203の圃場への接地圧を小さくすることにより、圃場の土の凹凸や石の露出をゲージ輪203が検知し損なうことを防止でき、引抜搬送装置24が土や石を噛み込んでしまうことが防止され、引抜搬送装置24の故障が防止されて耐久性が向上すると共に、作業が中断されないので作業能率が向上する。
【0047】
そして、ゲージ輪アーム202の前側で且つゲージ輪203とオーバーラップする位置にスクレーパ214を設けたことにより、ゲージ輪203の側面に付着した土や茎葉の切れ端等の夾雑物を擦り落とすことができるので、土や夾雑物が車軸に付着してゲージ輪203の回転が止められることが防止され、ゲージ輪203の検知精度が向上する。
【0048】
次に、茎葉切断部Dについて説明する。
図1〜図4、及び図7〜図11で示すように、前記伝動ケース22に駆動力を伝道する左右の伝動軸36,36を取り付け、該左右の伝動軸36,36の上部に左右伝動ケース37,37を取り付けると共に、該左右の伝動ケース37,37内に複数のギアを噛み合わせて構成する左右の第1ギアユニット38,38を機体前側に向かって取り付ける。また、前記伝動ケース22内部の左右の伝動軸36,36に左右の第2ギアユニット39,39を機体後側に向かって取り付け、該左右の第2ギアユニット39,39の後端部に左右の第1出力軸40,40を機体上方に向けて軸着する。
【0049】
そして、前記の左右第1ギアユニット38,38の前端部に左右の第2出力軸41,41を機体下方に向けて軸着し、該左右の第2出力軸41,41に左右の位置揃え駆動スプロケット42,42を軸着する。さらに、前記左右伝動ケース37,37の前下部に側面視L字型の左右の位置揃えフレーム43,43を取り付け、該位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、該孔部44,44に左右の位置揃え従動スプロケット45,45を軸着した左右回転軸46,46を取り付ける。また、該位置揃え従動スプロケット45,45と位置揃え駆動スプロケット42,42との前後間で且つ位置揃え駆動スプロケット42,42よりも機体内側位置に左右の位置揃えテンションスプロケット47,47を回転自在に取り付ける。さらに、該位置揃えテンションスプロケット47,47と位置揃え駆動スプロケット42,42と位置揃え従動スプロケット45,45とに左右の位置揃えチェーン48,48を無端状に巻回する。
【0050】
なお、前記位置揃え駆動スプロケット42,42は、位置揃え従動スプロケット45,45及び位置揃えテンションスプロケット47,47よりも小径のものを用いてもよい。
そして、前記伝動ケース37,37に左右の受け板49,49を前後方向に位置調節可能に取り付け、該受け板49,49と位置揃えフレーム43,43との間に、前記位置揃え従動スプロケット45,45を張圧して位置揃えチェーン48,48に生じる弛みを吸収させる左右の張圧バネ50,50を取り付ける。該張圧バネ50,50は、受け板49,49を前後に移動させることにより、位置揃え従動スプロケット47,47にかかる張圧力を変更することができ、人参の種類や生育状態、茎葉部の平均的な太さに応じて変更することで、様々な作業条件に対応することができる。
【0051】
また、前記左右の位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成、該孔部44,44に位置揃え従動スプロケット45,45の回転軸46,46を貫通させて設けたことにより、位置揃え従動スプロケット45,45を左右方向に移動させて位置調節することができるので、非作業時及び茎葉部が通過中でない、あるいは径の小さい茎葉部が通過する際は、位置揃え従動スプロケット47,47は張圧バネ50,50に押圧されて前側で且つ機体内側方向に向かって押圧され、大径の茎葉部が通過する際には位置揃え従動スプロケット47,47は機体外側方向に向かって押圧される構成となり、大径の茎葉部が噛み込まれることを防止でき、噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く作業能率が向上する。
【0052】
加えて、位置揃え装置54L,54Rの搬送始端側から搬送終端側までの左右間隔が、大径の茎葉部が通過して負荷がかかったときのみ略直線状となるので、それ以外の場合には位置揃え装置の左右間隔を搬送始端側から搬送終端側に向かって広がる構成となり、位置揃え装置54L,54Rの左右間隔を通過する人参が左右方向にふらつくことを防止でき、人参の茎葉部の切断位置揃えが適正に行なわれる。
【0053】
さらに、大径の茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間を通過できず、人参の茎葉部の切断位置が上がり過ぎ、根部に茎葉部が残ることを防止でき、後処理でこの茎葉部を取り除く作業が不要となり、作業能率が向上すると共に、人参が持ち上げられ過ぎ、根部を後述する茎葉切断装置61に切断されてしまうことを防止できるので、人参が傷付くことが無く、商品価値が向上する。
【0054】
そして、前記位置揃えチェーン48,48を構成する複数のリンク48a…に、位置揃えチェーン48,48の上部と下部と茎葉部の接触面を覆う正面視コの字型のガイドカバー51…を取り付け、位置揃えガイド体52を構成する。
【0055】
なお、図9、図11(a)(b)(c)で示すように、該ガイドカバー51…は、平面視において前後一側方を凸状のR部51a、前後他側方を凹状のR部51bを形成し、茎葉部との接触面に前後他側方に、後続のガイドカバー51の前後一側方の凸状のR部51a上に向かって突出する突出部51cを形成する。直線部では前方のガイドカバー51の凹状のR部51bに後続のガイドカバー51の凸状のR部51aが入り込み、この後続の凸状のR部を前方の突出部51cが覆うことによって、ガイドカバー51同士の間隔部を覆うことができるので、ガイドカバー51同士の間隔部に人参の茎葉部が噛み込まれることが防止され、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0056】
また、ガイドカバー51は凸状のR部51aと凹状のR部51bを有し、リンク48aに1つずつ取り付けられていることにより、ガイドカバー51同士は干渉し合うことが無く位置揃えチェーン48,48の移動に追従することができるので、位置揃え装置54L,54Rの移動がスムーズになり、作業能率が向上する。
【0057】
加えて、位置揃えチェーン48,48が円弧軌跡で移動する際、突出部51cを有することにより、ガイドカバー51同士の間に大きな間隔部が生じないため、この間隔部に人参の茎葉部が噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0058】
なお、位置揃えガイド体52は、複数のガイドカバー51…ではなく、位置揃えチェーン48の上面と下面と茎葉部との接触面を覆う、断面形状コの字型としてもよい。
そして、前記位置揃えチェーン48,48の巻回域内で且つ位置揃え従動スプロケット45,45と位置揃えテンションスプロケット47,47との間に、位置揃えチェーン48,48を巻回域内から茎葉部接触面に向かって押圧する左右のテンションプレート53L,53Rを機体左右方向に位置調節自在に取り付けることにより、左右の位置揃え装置54L,54Rが引抜搬送装置24の搬送方向後側の下方位置に構成される。
【0059】
該テンションプレート53L,53Rは、前記伝動ケース37,37に長穴を形成して取付軸53a,53aをボルト等着脱可能な部材で位置調節に取り付け、該取付軸53a,53aの端部に板体53b,53bを溶着して構成する。
【0060】
なお、テンションプレート53L,53Rは、左右の位置揃え装置54L,54Rに略平行位置に設けてもよいが、図9で示すように、機体外側の位置揃え装置53Rの前側にテンションプレート52Rを設ける場合、機体内側の位置揃え装置53Lのテンションプレート52Lは位置揃え装置53Rのテンションプレート52Rよりも機体後側に設けると、大径の茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間を通過する際、テンションプレート52Lまたはテンションプレート52Rの無い側に位置揃えチェーン48及び位置揃えガイド体52が移動するので、人参の茎葉部の径が大きくても位置揃え装置54L,54Rに噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が向上する。
【0061】
加えて、テンションプレート53L,53Rの張力は、前記張圧バネ50,50の張力よりも弱く設定すると、大径の茎葉部が通過して負荷がかかると位置揃えチェーン48,48が適正な位置まで撓んで退避することができ、54L,54Rに噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が向上する。
【0062】
そして、前記位置揃え駆動スプロケット42,42の近傍で且つ位置揃えガイド体52,52の外側位置で伝動ケース37,37に長穴を形成し、この長穴に位置揃えガイド体52,52の表面に付着した茎葉部の切れ端や泥等を落とす左右のスクレーパ55,55を位置揃えガイド体52,52の軌跡に沿って位置調節時際に取り付ける。
【0063】
なお、スクレーパ55,55は、後下り傾斜姿勢で配置することにより、茎葉部の切れ端や泥を下方に落下させやすくなる。
そして、前記左右第1ギアユニット38,38の位置揃え装置54L,54Rの後方位置に左右の切断刃回転軸56,56を軸着し、該切断刃回転軸56,56に左右のベアリング57,57を回転自在に取り付ける。そして、前記左右のベアリング57,57に左右の支持プレート59,59を取り付け、該支持プレート59,59に左右の茎葉切断刃60,60を取り付けて、茎葉切断装置61が構成される。
【0064】
また、前記左右第1出力軸40,40に左右茎葉搬送駆動プーリ62,62を軸着し、前記左右第1ギアユニット38,38よりも機体前側で且つ位置揃え装置54L,54Rの上方に左右茎葉搬送従動プーリ63,63を回転自在に取り付ける。そして、該左右茎葉搬送駆動プーリ62,62と左右茎葉搬送従動プーリ63,63とに左右排葉搬送ベルト64,64を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から人参の茎葉部を引き継いで機体後方に排出する排葉搬送装置65が、前記左右の伝動ケース37,37の上部外周で且つ引抜搬送装置24の搬送終端部側の下方に構成される。
【0065】
さらに、前記左右第1出力軸40,40の上端部に左右残葉搬送駆動プーリ66,66を軸着し、前記伝動ケース37,37の上方に左右残葉搬送従動プーリ67,67を回転自在に取り付けるとともに、該左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67との前後間に複数の左右の残葉搬送テンションプーリ68,68…を取り付ける。そして、前記左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67と左右残葉搬送テンションプーリ68,68…とに左右残葉搬送ベルト69,69を無端状に巻回することによって、茎葉の上部を挟持して機体後方に搬送する残葉搬送装置70が、前記排葉搬送装置65の上方に構成される。
【0066】
上記排葉搬送装置65と残葉搬送装置70の終端部から茎葉切断装置61によって切断された茎葉を圃場に排出する排葉シュータ71を設けて、茎葉切断部Dを構成する。
上記構成により、左右の位置揃え駆動スプロケット42,42が、茎葉部が通過する位置揃え装置54L,54Rの左右間隔部から離間する位置に配置されることにより、位置揃え駆動スプロケット42,42や第2出力軸41,41に茎葉部が絡み付いて位置揃え装置54L,54Rを停止させてしまうことを防止できるので、収穫作業が中断されず、作業能率が向上する。
【0067】
また、位置揃え駆動スプロケット42,42を位置揃え従動スプロケット45,45及び位置揃えテンションスプロケット47,47よりも小径としたことにより、位置揃え駆動スプロケット42,42がいっそう位置揃え装置54L,54Rの左右間隔部から離間するので、位置揃え駆動スプロケット42,42や第2出力軸41,41に茎葉部が絡み付くことをいっそう防止でき、作業能率がさらに向上する。
【0068】
そして、位置揃え従動スプロケット45,45を張圧する左右の張圧バネ50,50を設けたことにより、位置揃え装置54L,54Rに茎葉部が接触する際に左右の位置揃えチェーン48,48に生じる弛みを吸収させることができ、位置揃えチェーン48,48がすぐに張り状態に戻るため、径の異なる茎葉部が連続して通過するときでも位置揃え装置54L,54Rが確実に人参の茎葉部を受けることができ、人参の茎葉部の切断位置が適正に揃えられて茎葉部が適正に切断され、後工程で茎葉部を除去する必要が無く、作業能率が向上する。
【0069】
また、左右の受け板49,49を前後方向に移動させることで張圧バネ50,50の張力が調節されることにより、人参の生育状況や品種による茎葉部の径の差異、あるいは天候や土質等、作業場所の作業条件に合わせて張力を適正に変更できるので、人参の茎葉切断位置の位置揃えを適正に行い茎葉部を確実に切断することにより、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0070】
さらに、左右の位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、この孔部44,44に位置揃え従動スプロケット45,45を軸着した回転軸46,46を移動自在に設けたことにより、負荷がかからない状態では、張圧バネ50,50に張圧された位置揃え従動スプロケット45,45は茎葉部の搬送経路寄りに移動するので、小径の茎葉部が通過する際に位置揃え装置54L,54Rが茎葉部を受けて人参の茎葉部の切断位置を適正に揃えることができ、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0071】
また、大径の茎葉部が通過する際、左右の位置揃え装置54L,54Rに大きな負荷がかかると、位置揃え従動スプロケット45,45は孔部44,44に沿って茎葉部の移動経路から離間する方向に移動するので、位置揃え装置54L,54Rの前側の左右間隔が広くなり、茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの間隔部に噛み込まれることを防止でき、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0072】
なお、人参の茎葉部が須らく大径であることが収穫作業前にわかっている場合には、位置揃え従動スプロケット45,45を左右の位置揃え装置54L,54Rの左右間から離間する方向に移動させ、位置揃え装置54L,54Rの搬送方向上手側の左右間隔を広くしておくと、位置揃え装置54L,54Rが茎葉部を噛み込むことを防止でき、噛み込んだ茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0073】
そして、位置揃えチェーン48,48を構成する複数のリンク48a…毎にガイドカバー51…を取り付けて位置揃えガイド体52を構成したことにより、任意の箇所のガイドカバー51を自在に着脱できるので、一部のガイドカバー51が損傷しても、新しいガイドカバー51に取り替えるだけで適正な位置揃え性能が維持され、茎葉部が適正に切断されるので、作業能率が向上する。
【0074】
また、位置揃えガイド体52全体を取り替える必要がないので、コストダウンを図ることができる。
さらに、ガイドカバー51の着脱は、工具を必要とせず手作業で行なえるので、交換作業を容易に行なうことができる。
【0075】
そして、ガイドカバー51が位置揃えチェーン48の上面と下面と茎葉部との接触面を覆う正面視コの字形状としたことにより、ガイドカバー51と位置揃えチェーン48との間に空間部が生じないので、ガイドカバー51と位置揃えチェーン48との間で茎葉部を挟み込んでしまい、人参が適正な切断位置に揃えられず茎葉部が切り残されることを防止でき、後工程で茎葉部を除去する作業が必要なく、作業能率が向上するとともに、人参の根部が切断されることを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0076】
また、ガイドカバー51に凸上のR部51aと凹状のR部51bとを形成し、後続のガイドカバー51の凸状のR部51aを前側のガイドカバー51の凹状のR部51bに近接させて位置揃えチェーン48に取り付けることにより、位置揃えチェーン48が位置揃え従動スプロケット45などの周囲を円弧軌道で移動する際、ガイドカバー51…は追従して移動できるので、位置揃え装置54L,54Rは一定の周速で動作するため、茎葉部を受けて人参の茎葉部の切断位置を適正に揃えることができ、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0077】
さらに、凸状のR部51a上に向かって突出する突出部51cを設けたことにより、位置揃えチェーン48が位置揃え従動スプロケット45などの周囲を円弧軌道で移動する際、ガイドカバー51…同士の前後間に生じる空間部をこの突出部51cが覆うため、ガイドカバー51…同士の前後間の空間部で茎葉部を挟み込んでしまい、人参が適正な切断位置に揃えられず茎葉部が切り残されることを防止でき、後工程で茎葉部を除去する作業が必要なく、作業能率が向上するとともに、人参の根部が切断されることを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0078】
そして、位置揃えチェーン48,48の巻回域内に左右のテンションプレート53L,53Rを設けたことにより、位置揃えチェーン48,48を巻回域内から押圧するため、大径の茎葉部が通過する際、テンションプレート53Lまたはテンションプレート53Rが押圧していない部分の位置揃えチェーン48,48は位置揃え駆動スプロケット42,42の方向へ退避できるので、茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間に噛み込まれることが無く、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0079】
また、位置揃え駆動スプロケット42,42の外周を移動する位置揃えガイド体52,52に付着した茎葉部の破片や泥等の夾雑物を擦り落とす左右のスクレーパ55,55を設けたことによって、茎葉部の移動経路から離れて位置で位置揃えガイド体52,52に付着した夾雑物を除去することができるので、茎葉部の破片が位置揃え装置54L,54Rの各部に絡み付くことが防止され、機体を止めて絡み付いた茎葉部の破片を取り除く必要が無く作業能率が向上すると共に、泥の塊が人参の根部を傷つけることが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0080】
さらに、スクレーパ55,55は長穴に沿って取り付け位置を変更することができるので、収穫作業を行う圃場の人参の茎葉部の径の平均に合わせて最適な位置にスクレーパ55,55を設定し、確実に茎葉部の破片や泥等の夾雑物を位置揃えガイド体52,52から除去することにより、上記の効果がさらに向上する。
【0081】
そして、茎葉切断装置61で人参から切断された排葉(切断された茎葉部)を圃場に排出する排葉シュータ71が、既掘り側(人参を収穫し終えた側)に茎葉を排出するように下方傾斜姿勢に設けられていることによって、排出された茎葉が未掘り側(人参を収穫していない側)の人参の上に落下し、排葉が左右挟持搬送ベルト19,19や左右従動プーリ17,17等に絡み付いて収穫部Cを停止させて収穫作業を妨げることが防止できるので、作業能率が向上すると共に、人参の上に落下した排葉が収穫する人参の視認性を妨げることを防止できる。
【0082】
次に、引継搬送部Eについて説明する。
図3、図4で示すように、前記茎葉切断装置61の下方に前後残葉処理フレーム72,72を設け、該前後残葉処理フレーム72,72の左右両側の前後間に左右の残葉処理ローラ73,73を回転自在に取り付ける。そして、該左右の残葉処理ローラ73,73にゴムやウレタン等の弾性体で構成する残葉処理ベルト74を無端状に巻回し、該残葉処理ベルト74の上部に人参の根部に残った残葉を残葉処理ベルト74と共に挟み込んで回転して切除する残葉処理ローラ75を取り付けて、茎葉切断部Dから引き継いだ人参の残葉を処理しながら機体外側方向から左右内側方向に搬送する残葉処理コンベア76を構成する。
【0083】
また、該残葉処理コンベア76の始端側で且つ機体前側に茎葉切断装置61よりも機体前側に落下した作物を受ける格子状の受けシュータ77を下り傾斜姿勢で設けることにより、汲上搬送部Eが構成される。
【0084】
上記構成により、残葉処理コンベア76を構成する残葉処理ローラ75が、茎葉切断装置61で切り残された人参の残葉を千切り取りながら後述する選別搬送コンベア88に搬送するため、人参の商品価値が向上すると共に、収穫作業後に人手で残葉を切除する作業を省略することができ、作業能率が向上する。
【0085】
また、残葉処理コンベア76を構成する残葉処理ベルト74をゴムやウレタン等の弾性体で構成したことによって、茎葉切断装置61で茎葉部を切除されて人参が落下しても残葉処理ベルト74が落下の衝撃を軽減するので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質が向上する。
【0086】
そして、残葉処理コンベア76の始端側で且つ機体前側に格子状の受けシュータ77を下り傾斜姿勢に設けたことによって、茎葉切断装置61よりも機体前側で茎葉部が千切れる等して落下した人参を、機外に落とすことなく受け止めることができると共に、受けた人参を選別搬送コンベア88に向かって移動させることができるので、収穫作業後に機外に落ちた人参を拾い集める作業が省略されて作業者の労力が軽減されると共に、茎葉切断装置61よりも機体前側で落下した人参を搬送経路に戻すことができるので、作業能率が向上する。
【0087】
次に、選別搬送部Fについて説明する。
図1〜図4、及び図12で示すように、前記残葉処理コンベア76よりも機体前側で且つ受けシュータ77の機体左右他側(搬送終端部側)に前後の第1選別搬送フレーム78,78を機体左右方向で且つ上昇傾斜姿勢で取り付け、該第1選別搬送フレーム78,78の機体左右一側(搬送始端部側)の端部で且つ下側に駆動スプロケット79,79を回転自在に取り付ける。また、前記第1選別搬送フレーム78,78の機体左右他側(搬送終端部側)の端部で且つ上側に中間スプロケット80,80を回転自在に取り付けるとともに、該中間スプロケット80,80の回転軸及び前記第1選別搬送フレーム78,78の前後端部に前後の第2選別搬送フレーム81,81を、終端部側を上下回動自在に取り付ける。
【0088】
そして、該第2選別搬送フレーム81,81の機体左右他側(搬送終端部側)の端部に従動スプロケット82,82を回転自在に取り付け、前記駆動スプロケット79,79と中間スプロケット80,80と従動スプロケット82,82とに亘って人参を搬送する前後の選別搬送チェーン83,83を無端状に巻回する。さらに、該前後の選別搬送チェーン83,83の前後間に亘って、前後両端部をS字状に夫々屈曲させた複数の凸形状の搬送プレート84…を、屈曲させた前後両端部を選別搬送チェーン83,83にボルト等の固定部材で固定して取り付ける。
【0089】
なお、該搬送プレート84は、前後方向の直線部を切り欠き、平面視H字形状に構成する。そして、搬送プレート84…同士を並べると空間部84sが生じる構成とする。
また、前記第1選別搬送フレーム78,78の終端部と第2選別搬送フレーム81,81の始端部が接する部分で且つ前後の中間スプロケット80,80の上方に、前記前後の選別搬送チェーン83,83を上方から張圧する張圧スプロケット85,85を回転自在に取り付ける。そして、前記第2選別搬送フレーム81,81の前後間で且つ選別搬送チェーン83,83の巻回域よりも下方に支持板86を取り付け、該支持板86と機体フレーム1との間に昇降シリンダ87を伸縮自在且つ左右方向に回動自在に取り付けることによって、選別搬送コンベア88が構成される。該昇降シリンダ87を伸縮させると、該選別搬送コンベア88の機体左右他側(搬送終端部側)が上下動する。
【0090】
さらに、前記第2選別搬送フレーム81,81の機体左右他側(搬送終端部側)の前後外側に前後一対の吊下アーム89,89の基部側を上下回動自在に取り付け、該吊下アーム89,89の端部側に収容部材91を吊り下げる前後の吊下ハンガー90,90を機体左右方向に回動自在に取り付ける。そして、該吊下ハンガー90,90の左右両端に収容部材91(本実施例では袋状のフレキシブルコンテナ91a)の四隅を吊り下げて開口状態とするフック部90f,90fを形成することにより、選別搬送部Fが構成される。
【0091】
上記構成により、昇降シリンダ87を昇降させると選別搬送コンベア88の搬送終端部側が上下動することにより、収容部材91(フレキシブルコンテナ91a)内の人参の収容量に合わせて選別搬送コンベア88の搬送終端部を上下動させて、選別搬送コンベア88の搬送終端部と収容部材91との落差を一定に保つことができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質及び商品価値が確保される。
【0092】
そして、選別搬送チェーン83,83の前後間に、複数の前後両端部を屈曲された側面視凸形状の搬送プレート84a…を取り付けたことにより、選別搬送チェーン83,83にこの搬送プレート84aを取り付ける屈曲部が下方に位置するので、ボルト等の取付部材に人参が接触することを防止でき、人参が傷つくことが防止され、商品価値が向上する。
【0093】
また、搬送プレート84aの前後幅が短くなるので、選別搬送コンベア88の前後幅も短く構成することができ、機体の前後幅がコンパクト化される。
そして、搬送プレート84a…同士を隣接させると空間部84sが生じる構成により、この空間部84sから土や茎葉等の夾雑物、及び折れた人参の欠片や規格外の小玉の人参を下方に排出することができるので、選別作業者が人参を見やすくなり、選別精度や作業能率が向上する。
【0094】
また、収容部材91を、吊下ハンガー90,90のフック部90f,90fで四隅を吊り下げて開口状態としたことにより、機体が圃場の凹凸等で左右に揺れるようなことがあっても、選別搬送コンベア88の搬送終端部から排出される人参を確実に収容部材91に投入することができ、収容部材91の外に落下した人参を拾い集める必要が無く、作業者の労力が軽減されると共に、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質及び商品価値が確保される。
【0095】
さらに、選別搬送コンベア88の搬送終端部側が上下動自在であるとともに、吊下アーム89,89を左右回動自在に取り付けたことにより、機体を軽トラック等に積み込んだり、納屋等に収容する際には、選別搬送コンベア88を最上位置まで移動させ、吊下アーム89,89を機体内側に向かって回動させると、選別部Fが機体フレーム1の左右幅内に収まり、機体の左右幅がコンパクトになるので、収納性が向上する。
【0096】
次に、補助作業部Gについて説明する。
図1〜図4、及び図13で示すように、前記機体フレーム1のうち、選別搬送コンベア88の後部に補助作業者が搭乗する補助作業ステップ92を構成し、該作業ステップ92上に中空の支持パイプ93を上下方向に直線状に取り付ける。また、該支持パイプ93の内部の下部近傍に第1ベアリング94を設け、該ベアリング94に雄螺子溝を切った螺子シャフト95の下端部を軸着し、該螺子シャフト95の下端部に第1ベベルギア96を取り付ける。そして、前記支持パイプ93の下部に開口部を設け、この開口部に第2ベアリング97を取り付け、該第2ベアリング97に回転軸98を軸着し、該回転軸98の一側端部で且つ支持パイプ93の内部に前記第1ベベルギア96の歯と噛み合う第2ベベルギア99を軸着するとともに、該回転軸98の他側端部に螺子シャフト95を回転させる、正逆転可能な駆動モータ100の出力軸を連結する。なお、該駆動モータ100は、前記昇降シリンダ87が伸び動作をすると正転し、昇降シリンダ87が縮み動作をすると逆転するよう、連絡ケーブル(図示せず)で連結する。
【0097】
さらに、前記支持パイプ93の中空部に、内側に雌螺子溝を切った中空の回転パイプ101を前記螺子シャフト95に螺子溝を合わせて取り付け、該回転パイプ101の上端部にシート102を回転自在に取り付けることにより、補助作業座席103が構成される。
【0098】
なお、支持パイプ93は円柱形でも多角形でもよく、回転パイプ101は支持パイプ93の形状に対応するものを用いればよい。
そして、前記補助作業ステップ92上で且つ補助作業座席103の下方に、前記昇降シリンダ87を伸縮動作させる、足で踏んで操作する昇降ペダル104を配置する。該昇降ペダル104は、前後方向の中間部に支点(図示せず)を設け、前側を踏むと伸び動作(もしくは縮み動作)、後側を踏むと縮み動作(もしくは伸び動作)としてもよく、また昇降ペダル104の左右の中間部に支点(図示せず)を設け、右側を踏むと伸び動作(もしくは縮み動作)、左側を踏むと縮み動作(もしくは伸び動作)としてもよく、あるいは昇降ペダル104を二つ配置し、一方を踏むと伸び動作し、他方を踏むと縮み動作する構成としてもよい。
【0099】
また、前記選別搬送コンベア88の機体後側の第2選別搬送フレーム81で且つ補助作業座席103の近傍に、前記昇降シリンダ87を伸縮動作させる、手で操作する昇降スイッチ105を配置することにより、補助作業部Gが構成される。
【0100】
該昇降スイッチ105は、図3では補助作業座席103よりも機体左右他側に配置しているが、補助作業座席103の略正面に設けると補助作業者が右利きでも左利きでも操作し易く、作業能率が向上する。また、操作スイッチ105の取付位置を、第2選別搬送フレーム81の左右方向において変更自在に構成すると、補助作業者の利き手に合わせて取り回しのよい位置に操作スイッチ105を配置できるので、作業能率がいっそう向上する。
【0101】
上記構成により、補助作業者が搭乗する補助ステップ92を設けたことにより、補助作業者は人参の選別作業をするために走行する機体を後ろから追いかけたり、機体フレームの後端部に無理な姿勢で乗り込んだりする必要がなく、安定した姿勢で人参の選別や収容部材91の交換作業を行うことができ、作業者の労力が軽減される。
【0102】
また、鎌や鋏等の農具や飲料水の入ったボトル等を置いておけるので、余分なものを身に付けずに作業を行うことができ、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0103】
そして、補助作業座席103を設けたことにより、補助作業者は補助作業座席103に着座して選別作業を行うことができ、労力が大幅に軽減される。
さらに、補助作業座席103に設けた駆動モータ100を、昇降シリンダ87の伸縮動作による選別搬送コンベア88の搬送終端部側の上下動に連動して正逆転する構成したことにより、収容部材91内の人参の収容量に応じて選別搬送コンベア88の搬送終端部側を上下動させても、選別搬送コンベア88の上面の選別領域と補助作業座席103に着座した補助作業者の位置関係がほとんど変わらないので、人参の選別精度が向上する。
【0104】
また、補助作業座席103のシート102を回転自在に取り付けたことにより、補助作業者は着座したまま向きたい方向を向くことができ、作業者の労力がいっそう軽減される。
【0105】
そして、昇降シリンダ87を昇降動作させる昇降ペダル104を補助作業座席103の下方に設けたことにより、補助作業者は補助作業座席103に着座したまま昇降ペダル104を踏み、収容部材91内の人参の収容量に合わせて選別搬送コンベア88の搬送終端部側を上下動させることができるので、補助作業者はその間も人参の選別作業を両手で行えると共に、目線を人参に向け続けられるので、選別精度が大幅に向上する。
【0106】
さらに、選別搬送コンベア88の機体後側に昇降シリンダ87を昇降動作させる操作スイッチ105を取り付けたことにより、補助作業者は補助作業座席103に着座したまま昇降シリンダ87の伸縮動作を行うことができ、作業者の労力が軽減される。
【0107】
また、操作スイッチ105は手で操作を行なうものであるため、補助作業者は選別搬送コンベア88の搬送終端部側の上下量を細かく調節でき、選別搬送コンベア88の搬送終端部から収容部材91までの落下距離を適切に調節でき、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が確保される。
【0108】
次に、収容部Hについて説明する。
図1〜図4及び図14〜図16で示すように、前記選別搬送コンベア88の下方で且つ機体フレーム1の機体左右他側の後側に前後一対の支持プレート106,106を機体左右方向に取り付け、該前後支持プレート106,106の機体外側端部に載置部フレーム107を、左右方向の回動軸108を回動支点として機体左右方向に回動自在に取り付ける。そして、該載置部フレーム107の後下部に上下回動軸109を設け、該上下回動軸109の上部に収容部材91(フレキシブルコンテナ91a)の底部を載置支持する載置台110を上下回動自在に取り付ける。
【0109】
また、前記載置部フレーム107の後側の左右他側端部に後側支持プレート111を設け、前記上下回動軸109の左右他側端部に回動プレート112の下端部を機体前後方向に回動自在に軸着するとともに、該回動プレート112の上部と後側支持プレート111の上部との間に伸縮自在な伸縮ロッド114を取り付ける。さらに、該伸縮ロッド114の機体後側の端部に伸縮ロッド114を伸縮させる操作ハンドル115を取り付けるとともに、前記載置台10の左右両側及び後側に収容容器91の落下を防止する落下防止板116を取り付ける。
【0110】
なお、伸縮ロッド114は一方の棒材の表面に螺子溝を刻み、他方の中空の棒材の内面に螺子溝を刻み、互いの棒体の螺子溝を合わせて操作ハンドル115で回転させて伸縮する構成としているが、電動や油圧、空圧等で伸縮するシリンダに置き換えてもよい。
【0111】
そして、前記載置台110の機体左右一側の後部に中空のセットリング117を取り付けると共に、該セットリング117に前後方向に長いガイドパイプ118の基部側を軸着する。また、該ガイドパイプ118にスライドカラー119を前後方向に移動自在に取り付け、前記ガイドパイプ118の前端部にストッパリング120を軸着する。
【0112】
さらに、前記載置部フレーム107の機体左右他側端部に中空の支持ボス121を固定して設け、雄螺子溝を前後方向に亘って刻んだ調節ロッド122を該支持ボス121を貫通させて取り付け、該調節ロッド122の前端部に内周部に雌螺子溝を刻んだ調節ボス123を螺子溝を合わせて取り付ける。そして、該調節ボス123と前記スライドカラー119との下部を支持プレート124で連結し、該支持プレート124を載置台110の底部に固定する。そして、前記調節ロッド122の後端部に調節操作ハンドル125を回転操作可能に取り付けることにより、調節操作装置140が構成されるとともに、収容部Hが構成される。
【0113】
上記構成により、収穫作業中は載置台110を機体左右他側に回動してコンフレキシブルコンテナ91a等の収容部材91を載置し、作業終了後は機体左右一側方向に載置台110を回動させて畳んでおくことができるので、機体の左右幅がコンパクトになり、機体を軽トラック等の搬送手段に載置しやすくできると共に、倉庫等の収容場所にスペースをとり過ぎることなく収容することができる。
【0114】
また、操作ハンドル115を操作して伸縮ロッド114を伸縮させることで、載置台110を上下に回動させられるため、載置台110を下方に傾斜させて人参を満載したフレキシブルコンテナ91a(収容部材91)を下方に移動させた後、機体を後進させることによってフレキシブルコンテナ91a(収容部材91)を圃場に移動させることができるので、操縦者や補助作業者の労力が軽減されると共に作業能率が向上する。
【0115】
そして、載置台110の下部に固定した支持プレート124の左右両端部に、ガイドパイプ118を前後方向に移動自在なスライドカラー119と調節ロッド122の回転によって前後方向に移動する調節ボス123とを設けたことによって、調節ロッド122の調節操作ハンドル125を回すと調節ボス123が前進、或いは後退して載置台110が前進、或いは後退するため、載置台110を前方傾斜させてフレキシブルコンテナ91a(収容部材91)を降ろしてから載置台110を後退させると、機体を後進させることなくフレキシブルコンテナ91aを圃場に降ろすことができるので、作業能率が向上する。
【0116】
これに加えて、フレキシブルコンテナ91aを圃場に降ろした後、載置台110を前進させてフレキシブルコンテナ91aの底部を支持する位置に戻し、載置台110を機体左右一側方向に回動させて折り畳むと、圃場に置いたフレキシブルコンテナ91aを避ける軌道を取らなくても機体を前進させて収穫作業を継続することができ、作業能率が大幅に向上する。
【0117】
なお、図4、図13で示すように、調節ロッド122を回転させる調節操作ハンドル125を、正逆転自在な調節操作モータに変更し、前記補助作業ステップ92上で且つ補助作業座席103の下方にこの調節操作モータを作動させる調節操作ペダル127を設ける構成としてもよい。
【0118】
上記構成とすると、補助作業者は補助作業座席103から降りることなく収容部材91(フレキシブルコンテナ91a)を機体から降ろすことができるので、作業能率が向上すると共に、人参が満載された収容部材91の近くに立つ必要が無く、安全性が向上する。本件発明に係る人参収穫機で用いるフレキシブルコンテナ91aの重量は、人参を満載すると約200kgになるので、万一作業者及び補助作業者に向かって倒れると、押し潰される危険性がある。
【0119】
また、前記選別搬送コンベア88の機体後側の第2選別搬送フレーム81で且つ補助作業座席103の近傍に、前記調節操作モータを作動させる、手で操作する調節操作スイッチ128を配置すると、手でも足でも調節操作モータを操作できるので、上述の作業能率の向上、安全性の向上がいっそう顕著なものとなる。
【0120】
以下、本件人参の収穫機の別実施例を説明する。
図17(a)(b)で示すように、横引起し装置26の上部にレバーガイド215を取り付け、該レバーガイド215の内側に空間部215aを形成する。該空間部215aは前後及び左右一側を直線状に形成し、左右他側に複数の溝部を形成する。また、該レバーガイド215の表面に引抜搬送装置24の引抜搬送始端部の上下調節高さや上げ操作、下げ操作の方向を記したインジケータ215bを塗料で書き込んで形成する。
【0121】
このインジケータ215bは塗料で書き込むだけでなく、表面に同内容を印字したシールを貼り付けて形成してもよく、また同内容を打刻して形成してもよい。
そして、前記レバーガイド215の空間部215a内に調節レバー216を前後方向に回動自在、且つ左右他側方向に張圧されつつ左右一側に移動可能にレバーガイド215に内装する取付アーム217の一側端部に取り付け、該取付アーム217の他側端部に接続ワイヤー218の一側端部を上下方向に取り付ける。さらに、該接続ワイヤー218の下部の外周面に張圧スプリング219を圧縮状態で取り付け、接続ワイヤー218の下端部の取付軸218aをスイッチアーム205に形成した機体上下方向の長穴205aに取り付ける構成とする。
【0122】
上記構成によれば、レバーガイド215の内側に形成した空間部215aのうち、左右他側に複数の溝部を形成したことにより、特定の溝部に調節レバー216を合わせると引抜搬送装置24の引抜搬送始端部の高さが特定の高さになるので、引抜搬送装置24の作業高さの調節が容易になり、作業能率が向上する。
【0123】
また、レバーガイド215に引抜搬送装置24の引抜搬送始端部の上下調節高さや上げ操作、下げ操作の方向を記したインジケータ215bを形成したことにより、作業者は視覚的に操作方法や操作による引抜搬送装置24の上下移動量を把握することができるので、作業高さの調節を間違えたり、上げ下げを逆に操作してしまうことが防止され、引抜搬送装置24の引抜搬送始端部が土や石を噛み込んでしまうことが防止されて引抜搬送装置24の故障が防止されて耐久性が向上すると共に、作業が中断されないので作業能率が向上する。
【0124】
そして、調節レバー216がバネ等(図示せず)で機体左右他側方向に張圧されており、且つ機体左右一側方向に移動可能に構成されていることにより、調節レバー216を特定の溝部に合わせて手を離すと、調節レバー216が自動的に溝部に向かって移動するので、溝部に移動させる動作が省略されると共に、圃場の凹凸や構成部品による振動がかかっても調節レバー216が溝部から抜け出してしまうことを防止できるので、勝手に引抜搬送装置24の作業高さが変わってしまうことが防止され、引抜位置が上がり過ぎて人参を抜き残すことがなく、収穫作業後に引き抜く必要が無く作業者の労力が軽減されると共に、引抜位置が下がりすぎて圃場面に突っ込んでしまうことが防止され、引抜搬送装置24の引抜搬送始端部が土や石を噛み込んでしまうことがなく引抜搬送装置24の故障が防止されて耐久性が向上すると共に、作業が中断されないので作業能率が向上する。
【0125】
さらに、接続ワイヤー218の下部の外周部に圧縮状態の張圧スプリング219を取り付けたことにより、ゲージ輪203及びゲージ輪支持アーム202に圃場面に向けて加圧する力がかかるので、ゲージ輪203が圃場の僅かな凹凸や検出する必要の無い石を踏んだ際にゲージ輪アーム202が上昇することを防止でき、頻繁に引抜搬送装置24の引抜搬送始端部が上下動せず、人参を引き抜き損なうことが防止され、収穫作業後に人参を人手で引き抜く必要が無く、作業者の労力が軽減されると共に作業能率が向上する。
【0126】
加えて、頻繁に引抜搬送装置24が上下動すると昇降シリンダ23に負荷が断続的にかかるので、昇降シリンダ23の耐久力が低下してしまうが、この耐久力の低下を抑える効果もある。また、引抜搬送装置24が作業者が設定した作業高さから自動的に何度も変更されると、作業者は常にその変化量に気を配らねばならないので、機体の操縦に集中しにくくなる可能性があるが、本件構成にて過度の作業高さの変更を抑制することにより、作業者は機体の操縦に集中することができ、作業能率が向上する。
【0127】
図18、図19で示すように、横引起し装置26の背面で且つ上下方向の略中央部にリフトシリンダ220を倒立状態で取り付け、該横引起し装置26の上部に操作スイッチ208を取り付けると共に、該リフトシリンダ220のアウターチューブ220a(リフトシリンダ220の上側部材)と操作スイッチ208とをハーネス209で連結する。
【0128】
そして、前記リフトシリンダ220の伸縮自在なインナーチューブ220b(リフトシリンダ220の下側部材)の外周部に圧縮状態の張圧スプリング221を設け、該インナーチューブ220bをゲージ輪203を取り付ける中空の支持ロッド222の内側に挿入する。
【0129】
また、該支持ロッド222に長穴222aを形成し、該長穴222a内にインナーチューブ220bの下端部に設けるピン223を挿入すると共に、該長穴222aの側部で且つ支持ロッド222の中空内部にピン223が通過、あるいは接触すると反応する近接センサ224を配置する。さらに、該近接センサ224とソレノイドバルブ210とをケーブル225で連結する構成としてもよい。
【0130】
上記構成によれば、横引起し装置26等の既存の部材にリフトシリンダ220や操作スイッチ208を取り付けることができるので、部品点数が削減されて機体の軽量化が図られ、コストダウンが図られると共に、メンテナンス性が向上する。
【0131】
また、支持ロッド222内にピン223を検知する近接センサ224を設けたことにより、近接センサ224が他の部材の動きの影響を受けにくいため、近接センサ224が誤動作することを防止でき、引抜搬送装置24が勝手に上下動することが無く、引抜搬送装置24が上昇し過ぎて人参を抜き残すことがなく、作業者が収穫作業後に人手で抜き取る必要がないので作業者の労力が軽減されると共に、引抜搬送装置24が下降し過ぎて土や石を噛み込んで停止或いは故障することが防止され、作業能率や耐久性が向上する。
【0132】
そして、インナーチューブ220bの外周部に張圧スプリング221を圧縮状態で設けたことにより、ゲージ輪203を圃場面に向かって加圧する力が生じるので、ゲージ輪203が圃場の僅かな凹凸や検出する必要の無い石を踏んだ際にゲージ輪アーム202が上昇することを防止でき、頻繁に引抜搬送装置24の引抜搬送始端部が上下動せず、人参を引き抜き損なうことが防止され、収穫作業後に人参を人手で引き抜く必要が無く、作業者の労力が軽減されると共に作業能率が向上する。
【0133】
なお、支持ロッド222をゲージ輪203に接触するように配置すると、支持ロッド222がスクレーパ代わりとなり、ゲージ輪203に付着した土や茎葉の切れ端等の夾雑物を擦り落とすことができるので、土や夾雑物が車軸に付着してゲージ輪203の回転が止められることが防止され、ゲージ輪203の検知精度が向上する。
【0134】
図20で示すように、ゲージ輪支持アーム202のうち、ガイドプレート205よりも後方に支持プレート225を取り付け、該支持プレート225に前後両側が上下回動可能なシーソーアーム226の中央部をゲージ輪アーム202の上下動に連動して回動可能に取り付ける。そして、該シーソーアーム226のU字形状の前部側にリフトシリンダ207の下端部の接触軸207aを接触させ、該シーソーアーム226の平板状の後部側にソレノイドバルブ210を作動させる信号を伝達するコントロールケーブル227を取り付ける構成としてもよい。
【0135】
この構成では、ゲージ輪203が圃場の土の凹凸や石を踏んだ際のゲージ輪アーム202の上昇量に応じて上下回動するシーソーアーム226の移動量が一定以上になると信号を発し、ソレノイドバルブ210を作動させる。
【0136】
上記構成によれば、シーソーアーム226の移動量に基づいてソレノイドバルブ210を作動させて引抜搬送装置24の引抜搬送始端部の上昇させるので、センサ等の部材を省略することができ、部品点数が削減されて機体が軽量化される。
【0137】
また、部品点数が減ることにより、構造が単純化されるので、メンテナンス性が向上する。
【符号の説明】
【0138】
1 機体フレーム
23 昇降シリンダ(昇降部材)
24 引抜搬送装置
200 取付フレーム
201 支持アーム
202 ゲージ輪アーム(転輪アーム)
203 ゲージ輪(転輪)
204 スイッチボックス(検知部材)
205a 長穴(融通部)
206 スイッチアーム(第1接触体)
207 リフトシリンダ(アクチュエータ)
207a 接触軸(第2接触体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に植生する根菜類を引き抜き収穫する収穫機において、圃場面の凹凸に対応して引抜搬送装置の搬送始端部を自動的に上昇させる根菜類収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
挟持搬送装置の上下高さを調節し、圃場に植生する根菜類の茎葉部を挟持搬送装置で挟持して引き抜き収穫する技術がある。(特許文献1)
また、電動・油圧等のシリンダの伸縮により上下位置を調節可能なゲージ輪を設け、挟持搬送装置の下方移動を制限する技術がある。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−310030号公報
【特許文献2】特開2006−238754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された根菜類収穫機では、挟持搬送装置の高さを根菜類に対して適切に設定していても、根菜類の周囲の土が盛り上がっていたり、圃場に埋まっていた石が露出していたりすると、挟持搬送始端部が土や石を噛み込んでしまうという問題がある。
【0005】
また、特許文献2に記載された根菜類収穫機では、ゲージ輪がシリンダで上下位置を固定されているので、ゲージ輪が圃場面に重圧をかけてしまい、圃場が踏み固められてしまうという問題点がある。
【0006】
さらに、ゲージ輪の上下位置を調節するシリンダは、挟持搬送装置の重量と油圧の下げ推力を受けるため、推力の高いものを使用しなければならずコスト高になる問題があると共に、構成が複雑になり部品点数が多くなるため、機体の重量が増加してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上述の問題を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、機体フレーム(1)に圃場から作物を引き抜き後方へ搬送する引抜搬送装置(24)を設け、該引抜搬送装置(24)の搬送始端側に圃場面に接地する転輪(203)を設け、該転輪(203)の上方移動を検知する検知部材(204)を設け、前記機体フレーム(1)に該検知部材(204)が転輪(203)の上方移動を検知すると前記引抜搬送装置(24)の搬送始端側を上昇させる昇降部材(23)を設けたことを特徴とする根菜類収穫機とした。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記引抜搬送装置(24)の搬送始端下部に前記転輪(203)を備えた回動自在な転輪アーム(202)と伸縮自在なアクチュエータ(207)とを設け、該アクチュエータ(207)と転輪アーム(202)のいずれか一方に第1接触体(206)を備えた前記検知部材(204)を設け、他方に該第1接触体(206)と接触する第2接触体(207a)を設け、該第1接触体(206)が第2接触体(207a)に接触して前記検知部材(204)が転輪(203)の上方移動を検知する構成とするとともに、前記アクチュエータ(207)を伸縮させることにより第1接触体(206)と第2接触体(207a)との接触位置を調節可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機とした。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記アクチュエータ(207)と転輪アーム(202)を、前記第1接触体(206)が第2接触体(207a)に接触することにより前記転輪(203)の上方移動を検知部材(204)が検知可能な融通部(205a)を形成した係合部材(205)で連係し、前記アクチュエータ(207)により転輪(203)を上昇可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機とした。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明の効果は、転輪(203)の上方移動を検知部材(204)が検知すると、昇降部材(23)が伸縮して引抜搬送装置(24)の搬送始端側を上昇させるので、圃場に土が盛り上がっていたり石が露出していても、引抜搬送装置(24)の搬送始端部が土や石に接触することを防止でき、引抜搬送装置(24)が土や石を噛み込んで停止したり故障したりすることが防止され、作業能率が向上する。
【0012】
請求項2記載の発明の効果は、請求項1記載の発明の効果に加えて、引抜搬送装置(24)の搬送始端下部に転輪(203)や検知部材(204)やアクチュエータ(207)を設けたことにより、空間部を利用して部材を配置できるので、機体がコンパクトに構成される。
【0013】
また、アクチュエータ(207)と転輪アーム(202)とのいずれか一方に第1接触体(206)を取り付けた検知装置(204)を設け、他方に転輪アーム(202)が上下動すると第1接触体(206)が接触する第2接触体(207a)とを設けたことにより、第1接触体(206)が第2接触体(207a)に接触して検知部材(204)が転輪(203)の上方移動を検知することができ、圃場の土の盛り上がりや石の露出に合わせて引抜搬送装置(24)の搬送始端部が上昇するので、引抜搬送装置(24)が土や石を噛み込んで停止したり故障したりすることが防止され、作業能率が向上する。
【0014】
そして、第1接触体(206)と第2接触体(207a)との接触位置を変更自在に構成したことにより、第1接触体(206)と第2接触体(207a)との接触位置までの距離を長くすると、第1接触体(206)が第2接触体(207a)に接触するまでの時間が長くなるため、小さな圃場の土の盛り上がりや石の露出で転輪(203)が僅かに上昇しても検知部材(204)は作動しないので、圃場に小さな圃場の土の盛り上がりや石の露出がある度に引抜搬送装置(24)の搬送始端部が上昇してしまうことが防止され、引抜搬送装置(24)が作物を引き抜き損なうことが防止される。
【0015】
さらに、第1接触体(206)と第2接触体(207a)との接触位置までの距離を短くすると、第1接触体(206)が第2接触体(207a)に接触するまでの時間が短くなるため、小さな圃場の土の盛り上がりや石の露出であっても検知部材(204)が作動するので、引抜搬送装置(24)の搬送始端部を上昇させて圃場の土の盛り上がりや石を確実に避けることができ、引抜搬送装置(24)が土や石を噛み込んで停止したり故障したりすることが防止され、作業能率が向上する。
【0016】
請求項3記載の発明の効果は、請求項1記載の発明の効果に加えて、アクチュエータ(207)と転輪アーム(202)を、転輪(203)の上方移動を検知部材(204)が検知可能な融通部(205a)を形成した係合部材(205)で連係したことにより、アクチュエータ(207)を操作することで転輪(203)の上昇を容易に行うことができ、作業能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】根菜類収穫機の左側面図
【図2】根菜類収穫機の右側面図
【図3】根菜類収穫機の平面図
【図4】根菜類収穫機の背面図
【図5】凹凸検知機構の側面図
【図6】凹凸検知機構の要部側面図
【図7】茎葉切断部の側面図
【図8】茎葉切断部の平面図
【図9】位置揃え装置の平面図
【図10】位置揃え装置の側面図
【図11】(a) 位置揃えカバーの側面図、(b) 位置揃えカバーの平面図、(c) 位置揃えカバーの正面図
【図12】選別搬送コンベアの要部平面図
【図13】補助作業座席の昇降機構の断面背面図
【図14】回収部の平面図
【図15】回収部の側面図
【図16】回収部の作動を示す側面図
【図17】(a) 凹凸検知機構の別実施例の側面図、(b) 凹凸検知機構の別実施例の要部平面図
【図18】凹凸検知機構の別実施例の側面図
【図19】凹凸検知機構の別実施例の要部側面図
【図20】凹凸検知機構の別実施例の要部側面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図16に示すように、実施例の一つとして示す根菜類収穫機の一種である人参収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、該収穫部Cから人参を引き継いで機体後方に搬送しながら茎葉部を切断する茎葉切断部Dと、茎葉切断部Dから落下する人参を受けて人参に残った茎葉部を処理しながら機体左右他側へ搬送する引継搬送部Eと、該引継搬送部Eから人参を引き継いで人参を機体後側へ搬送し、搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Fと、選別搬送部Fで選別作業を行う補助作業者が搭乗する補助作業部Gと、選別搬送部Fから排出される人参を収容する収容部Hとから構成される。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0019】
まず、走行部Aの構成について説明する。
図1〜図4で示すように、機体フレーム1の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右従動輪3,3と、該左右駆動スプロケット2,2と左右従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4,4・・・の周りに左右のクローラベルト5,5を巻き掛けて左右のクローラ6L,6Rを構成する。そして、該左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を、エンジン7の動力が伝動されるミッションケース8から左右両側に延出させた左右ドライブシャフト9,9に取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体フレーム1に取り付ける。
【0020】
次に、操縦部Bの構成について説明する。
図1〜図3で示すように、前記機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム10を取り付け、該操縦部フレーム10には操縦座席11を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル12を取り付ける。そして、該操縦パネル12に機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー13を取り付けると共に、機体の左右旋回操作を行なうと共に、後述するソレノイドバルブ210を介して昇降シリンダ23を伸縮させて収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー14を取り付ける。
【0021】
上記構成により、変速操作レバー13や昇降操作レバー14のような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0022】
次に、収穫部Cの構成について説明する。
図1〜図6で示すように、左右引抜フレーム15,15の機体前側に左右従動プーリ16,16を回転自在に装着し、機体後側に左右駆動プーリ17,17を装着し、該左右従動プーリ16,16と左右駆動プーリ17,17との間に人参を引き抜き機体後部へと搬送する左右挟持搬送ベルト18,18を巻き掛けると共に、複数のテンションローラ19…によって該左右挟持搬送ベルト18,18を張圧し、左右挟持搬送ベルト18,18の機体内側面を互いに圧接させて人参の引抜搬送経路Rを構成する。そして、前記機体フレーム1の上方に左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20を取り付け、該回動フレーム20の後端部に前記左右駆動プーリ17,17に駆動力を伝動する伝動ケース22を、回動支点Xを中心として上下回動自在に取り付ける。また、前記機体フレーム1と回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、該昇降シリンダ23を操縦部Bで操作可能に取り付けて引抜搬送装置24を構成する。
【0023】
また、該引抜搬送装置24の前方に人参の茎葉部を引き起こす複数の縦引起しラグ25a…を備えた縦引起し装置25と、該縦引起し装置25が引起した茎葉部を掬い上げる複数の横引起しラグ26a…を備えた横引起し装置26と、該横引起し装置26の前部に設ける分草杆27と、前記エンジン7の駆動力で回転するシャフト32の回転によって振動する振動フレーム33に取り付けた人参の左右の土を振動によって解す左右振動ソイラ34,34とを取り付ける。
【0024】
そして、前記引抜フレーム15の前側下部から機体後方に向かって取付フレーム200を取り付け、該取付フレーム200の機体前後方向の略中央位置に、機体後方に向かって後下り傾斜姿勢で支持アーム201の基部側を取り付ける。さらに、該支持アーム201の端部側にゲージ輪アーム202の基部側を上下方向に回動自在に取り付け、該ゲージ輪アーム202の前端部側にゲージ輪203を回転自在に取り付ける。
【0025】
また、前記ゲージ輪アーム202の前後方向の略中央上部にスイッチボックス204を取り付け、該スイッチボックス204よりも機体前側に上下方向の長穴205aを形成したガイドプレート205を取り付ける。そして、前記スイッチボックス204にスイッチアーム206の基部側を上下方向に回動自在に取り付け、前記ガイドプレート205の長穴205aにゲージ輪アーム202を吊り下げるリフトシリンダ207の下端部の接触軸207aを挿入する。該接触軸207aに、スイッチアーム206の端部側が上方移動して接触すると、スイッチボックス204がゲージ輪203の上昇を検知する。
【0026】
なお、リフトシリンダ207は倒立姿勢(接触軸207aを設けた側が下方に位置する姿勢)で配置すると、シフトシリンダ207の摺動部が下方に位置するので、摺動部で土や茎葉の切れ端等の夾雑物を噛み込むことを防止でき、リフトシリンダ207の耐久性が向上する。また、リフトシリンダ207の上部側に後述する操作スイッチ208とリフトシリンダ207とを連結するハーネス209を取り付けることができるので、このハーネス209の長さが短くなり部品重量を軽減できると共に、配線が複雑になることを防止でき、メンテナンス性が向上する。
【0027】
また、本例ではスイッチアーム206は略直線状の棒体で構成しているが、接触軸207aの上下及び前後のいずれか一側を覆う側面視U字形状に構成すると、スイッチアーム206が接触軸207aから離れにくくなり、検知精度が損なわれず、作業能率が向上する。
【0028】
そして、リフトシリンダ207はゲージ輪アーム202を上方から吊り下げるだけの部材であるため、低推力の単動式シリンダで構成すると、ゲージ輪アーム202やゲージ輪203が圃場面に向かって押し付けられないので、ゲージ輪203が圃場の土の凹凸や露出した石を踏み潰してしまい、圃場の凹凸の検知が上手く行われず引抜搬送装置24の引抜搬送始端部が土や石を噛み込んでしまうことを防止でき、引抜搬送装置24の故障が防止されて耐久性が向上すると共に、作業が中断されないので作業能率が向上する。しかも、低推力の単動シリンダは比較的コストが安く、また構造が単純であるので軽量であるので、コストダウンを図ることができると共に、機体の軽量化を図ることができる。
【0029】
また、ゲージ輪203をゲージ輪アーム202の前端部側に設けたことにより、ゲージ輪アーム202を上昇させるとゲージ輪203が機体前側に位置するので、引抜搬送装置24の掘り取り位置を低くするとゲージ輪203の圃場の凹凸の検知を早くすることができ、引抜搬送装置24の掘り取り高さの変更によるタイムラグにより引抜搬送装置24の引抜搬送始端部が土や石を噛み込んでしまうことが防止されて引抜搬送装置24の故障が防止されて耐久性が向上すると共に、作業が中断されないので作業能率が向上する。
【0030】
さらに、前記横引起し装置26の上部にリフトシリンダ207の伸縮を操作する操作スイッチ208を取り付け、該操作スイッチ208とリフトシリンダ207とをハーネス209で連結する。そして、前記昇降操作レバー14の前後方向の操作に対応して送油し、昇降シリンダ23を伸縮させるソレノイドバルブ210を機体に設け、該ソレノイドバルブ210と昇降操作レバー14との間に、前記スイッチボックス204から発信される信号を介入させるケーブル211を取り付けることにより、圃場の凹凸を検知して引抜搬送装置24の引抜搬送始端部を自動的に上下動させる検知昇降機構212が構成される。
【0031】
なお、接触軸207aを、長穴205aの上下方向略中央位置を標準位置とし、上方または下方に位置を変更可能に構成すると、スイッチアーム206と接触軸207aの接触位置が変更可能となる。
【0032】
例えば、スイッチアーム206と接触軸207aとの接触位置までの距離を長くすると、スイッチアーム206が接触軸207aに接触するまでの時間が長くなるため、小さな圃場の土の盛り上がりや石の露出でゲージ輪203が僅かに上昇してもスイッチボックス204は作動しないので、圃場に小さな圃場の土の盛り上がりや石の露出がある度に引抜搬送装置24の搬送始端部が上昇してしまうことが防止され、引抜搬送装置24が作物を引き抜き損なうことが防止される。
【0033】
また、スイッチアーム206と接触軸207aとの接触位置までの距離を短くすると、スイッチアーム206と接触軸207aに接触するまでの時間が短くなるため、小さな圃場の土の盛り上がりや石の露出であってもスイッチボックス204が作動するので、引抜搬送装置24の搬送始端部を上昇させて圃場の土の盛り上がりや石を確実に避けることができ、引抜搬送装置24が土や石を噛み込んで停止したり故障したりすることが防止され、作業能率が向上する。
【0034】
また、ゲージ輪アーム202の前端部側に複数の取付穴を形成し、この取付穴にゲージ輪203の車軸を挿入して検知感度を変更できる構成とすると、容易に検知昇降機構212の感度を変更することができるので、作業条件の変化に細やかに対応可能となり、作業能率が向上する。検知感度は、最前部の取付穴にゲージ輪203を設けると早期に圃場の土の凹凸や石を検知可能となり、鋭敏となると共に、最後部の取付穴に取り付けると圃場の土の凹凸や石の検知が遅くなるので鈍感となる。このとき、中間部の取付穴を標準とする。
【0035】
そして、前記スイッチボックス204とスイッチアーム206との間にトルクスプリング(図示省略)を取り付け、前記ゲージ輪203を取り付ける車軸に着脱自在なウェイト213を取り付ける。また、ゲージ輪アーム202の前端部側で且つゲージ輪203に接触する位置に、ゲージ輪203に付着した土や夾雑物を擦り落とすスクレーパ214を取り付ける。なお、ウェイト213は複数個装着可能とする。
【0036】
そして、前記引抜搬送通路Rの下方に引抜搬送装置24で搬送中の人参のひげ根を切断する尻尾切装置35を取り付けることにより、収穫部Cが構成される。
上記構成により、機体前側に分草杆27を備える横引起し装置26と、縦引起し装置25を設けることによって、圃場に倒伏した人参の茎葉を掻き上げながら収穫作業ができ、収穫する人参の視認性が向上するので引き抜き位置が合わせやすく、作物の抜き残しが減少するため作業能率が向上する。
【0037】
また、人参に左右振動ソイラ34,34等が接触して傷つくことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。
そして、機体フレーム1に左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20を設け、機体フレーム1と回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、昇降シリンダ23を操縦部Bの昇降操作レバー14を前後方向に操作することによって伸縮させる構成としたことによって、昇降操作レバー14の操作により収穫部C全体の上下高さを調節することができるので、収穫部Cの引抜搬送始端部の位置を上下方向に調節しするとともに圃場に植生する人参の適切な引き抜き高さに合わせて引抜搬送始端部の位置調節を行え、人参の抜き残しが防止されるので作業能率が向上する。
【0038】
また、旋回時に収穫部Cを上昇させておくと、収穫部Cの下端部が圃場に接触しにくくなるため、旋回動作がスムーズに行われて作業能率が向上する。
さらに、ゲージ輪203を取り付けるゲージ輪アーム202の前端部側を上下回動自在に設けたことにより、ゲージ輪203が圃場の土の凹凸や石の上を通過すると、ゲージ輪アーム202が上方回動し、このゲージ輪アーム202の上方回動に連動してスイッチボックス204に取り付けたスイッチアーム206が上方回動し、スイッチアーム206が一定角度以上上方回動するとスイッチボックス204がケーブル211に昇降シリンダ23を伸ばす信号をソレノイドバルブ210に発信するので、圃場の土の凹凸や石の露出に合わせて引抜搬送装置24の引抜搬送始端部を上昇させることができ、引抜搬送装置24の引抜搬送始端部が土や石を噛み込んでしまうことを防止でき、引抜搬送装置24の故障が防止されて耐久性が向上すると共に、作業が中断されないので作業能率が向上する。
【0039】
そして、ゲージ輪アーム202をリフトシリンダ207で上方から吊り下げる構成としたことにより、ゲージ輪アーム202やゲージ輪203がリフトシリンダ207の推力で圃場面に向かって押し付けられないので、ゲージ輪203が圃場の土の凹凸や露出した石を踏み潰してしまい、圃場の凹凸の検知が上手く行われず引抜搬送装置24の引抜搬送始端部が土や石を噛み込んでしまうことを防止でき、引抜搬送装置24の故障が防止されて耐久性が向上すると共に、作業が中断されないので作業能率が向上する。
【0040】
また、リフトシリンダ207を伸縮操作する操作スイッチ208を横引起し装置26の上部に設けたことにより、作業者は操縦部から手を伸ばして操作スイッチ208を操作してリフトシリンダ207を伸縮させ、ゲージ輪203の接地高さを調節することができるので、ゲージ輪203の調節の度に操縦部Bから降りる必要がなく、作業能率が向上する。
【0041】
加えて、ゲージ輪アーム202を吊り下げるリフトシリンダ207を伸縮操作可能に構成したことにより、ゲージ輪203の接地高さ調節が容易となり、作業能率が向上する。
なお、操作スイッチ208は、若干電装系の配線が複雑になるものの、操縦部Bに設けると、作業者は横引起し装置26まで手を伸ばす必要が無く、労力の軽減になるとともに作業能率が向上する。
【0042】
さらに、スイッチボックス204が発信した信号を、ケーブル211を介して昇降操作レバー14の前後方向への操作に合わせて昇降シリンダ23に油を送油するソレノイドバルブ210に介入させる構成としたことにより、スイッチボックス204の信号を受けて昇降シリンダ23に送油する油圧回路を別途構成する必要が無く、部品点数の削減を図ることができ、機体の軽量化やコストダウンが図られると共に、メンテナンス性が向上する。
【0043】
そして、スイッチボックス204とスイッチアーム206との間にトルクスプリングを取り付けたことにより、ゲージ輪203が圃場に接地圧をかけるため、圃場の細かい凹凸や噛み込むおそれの無い程度に露出した石を踏んでもゲージ輪アーム202が上昇することを防止できるので、引抜搬送装置24の引抜搬送始端側が頻繁に上下動してしまうことが防止され、引抜搬送装置24が人参を引き抜き損なうことがなく、作業能率が向上する。また、抜き残した人参を収穫作業後に人手で引き抜く必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0044】
加えて、頻繁に引抜搬送装置24が上下動すると昇降シリンダ23に負荷が断続的にかかるので、昇降シリンダ23の耐久力が低下してしまうが、この耐久力の低下を抑える効果もある。また、引抜搬送装置24が作業者が設定した作業高さから自動的に何度も変更されると、作業者は常にその変化量に気を配らねばならないので、機体の操縦に集中しにくくなる可能性があるが、本件構成にて過度の作業高さの変更を抑制することにより、作業者は機体の操縦に集中することができ、作業能率が向上する。
【0045】
さらに、ゲージ輪203の車軸に着脱自在なウェイト213を取り付け可能に構成したことによって、ゲージ輪203の重量を調整して圃場への接地圧を変更することができるので、凹凸の多い圃場ではウェイト213を1または複数個取り付けてゲージ輪203の重量を重くし、スイッチボックス204の感度を低下させ、抜搬送装置24の引抜搬送始端側が頻繁に上下動しないようにすることで、引抜搬送装置24が人参を引き抜き損なうことがなく、作業能率が向上する。
【0046】
逆に、凹凸の少ない圃場ではウェイト213を少なくする、あるいは全て取り除いてゲージ輪203の圃場への接地圧を小さくすることにより、圃場の土の凹凸や石の露出をゲージ輪203が検知し損なうことを防止でき、引抜搬送装置24が土や石を噛み込んでしまうことが防止され、引抜搬送装置24の故障が防止されて耐久性が向上すると共に、作業が中断されないので作業能率が向上する。
【0047】
そして、ゲージ輪アーム202の前側で且つゲージ輪203とオーバーラップする位置にスクレーパ214を設けたことにより、ゲージ輪203の側面に付着した土や茎葉の切れ端等の夾雑物を擦り落とすことができるので、土や夾雑物が車軸に付着してゲージ輪203の回転が止められることが防止され、ゲージ輪203の検知精度が向上する。
【0048】
次に、茎葉切断部Dについて説明する。
図1〜図4、及び図7〜図11で示すように、前記伝動ケース22に駆動力を伝道する左右の伝動軸36,36を取り付け、該左右の伝動軸36,36の上部に左右伝動ケース37,37を取り付けると共に、該左右の伝動ケース37,37内に複数のギアを噛み合わせて構成する左右の第1ギアユニット38,38を機体前側に向かって取り付ける。また、前記伝動ケース22内部の左右の伝動軸36,36に左右の第2ギアユニット39,39を機体後側に向かって取り付け、該左右の第2ギアユニット39,39の後端部に左右の第1出力軸40,40を機体上方に向けて軸着する。
【0049】
そして、前記の左右第1ギアユニット38,38の前端部に左右の第2出力軸41,41を機体下方に向けて軸着し、該左右の第2出力軸41,41に左右の位置揃え駆動スプロケット42,42を軸着する。さらに、前記左右伝動ケース37,37の前下部に側面視L字型の左右の位置揃えフレーム43,43を取り付け、該位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、該孔部44,44に左右の位置揃え従動スプロケット45,45を軸着した左右回転軸46,46を取り付ける。また、該位置揃え従動スプロケット45,45と位置揃え駆動スプロケット42,42との前後間で且つ位置揃え駆動スプロケット42,42よりも機体内側位置に左右の位置揃えテンションスプロケット47,47を回転自在に取り付ける。さらに、該位置揃えテンションスプロケット47,47と位置揃え駆動スプロケット42,42と位置揃え従動スプロケット45,45とに左右の位置揃えチェーン48,48を無端状に巻回する。
【0050】
なお、前記位置揃え駆動スプロケット42,42は、位置揃え従動スプロケット45,45及び位置揃えテンションスプロケット47,47よりも小径のものを用いてもよい。
そして、前記伝動ケース37,37に左右の受け板49,49を前後方向に位置調節可能に取り付け、該受け板49,49と位置揃えフレーム43,43との間に、前記位置揃え従動スプロケット45,45を張圧して位置揃えチェーン48,48に生じる弛みを吸収させる左右の張圧バネ50,50を取り付ける。該張圧バネ50,50は、受け板49,49を前後に移動させることにより、位置揃え従動スプロケット47,47にかかる張圧力を変更することができ、人参の種類や生育状態、茎葉部の平均的な太さに応じて変更することで、様々な作業条件に対応することができる。
【0051】
また、前記左右の位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成、該孔部44,44に位置揃え従動スプロケット45,45の回転軸46,46を貫通させて設けたことにより、位置揃え従動スプロケット45,45を左右方向に移動させて位置調節することができるので、非作業時及び茎葉部が通過中でない、あるいは径の小さい茎葉部が通過する際は、位置揃え従動スプロケット47,47は張圧バネ50,50に押圧されて前側で且つ機体内側方向に向かって押圧され、大径の茎葉部が通過する際には位置揃え従動スプロケット47,47は機体外側方向に向かって押圧される構成となり、大径の茎葉部が噛み込まれることを防止でき、噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く作業能率が向上する。
【0052】
加えて、位置揃え装置54L,54Rの搬送始端側から搬送終端側までの左右間隔が、大径の茎葉部が通過して負荷がかかったときのみ略直線状となるので、それ以外の場合には位置揃え装置の左右間隔を搬送始端側から搬送終端側に向かって広がる構成となり、位置揃え装置54L,54Rの左右間隔を通過する人参が左右方向にふらつくことを防止でき、人参の茎葉部の切断位置揃えが適正に行なわれる。
【0053】
さらに、大径の茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間を通過できず、人参の茎葉部の切断位置が上がり過ぎ、根部に茎葉部が残ることを防止でき、後処理でこの茎葉部を取り除く作業が不要となり、作業能率が向上すると共に、人参が持ち上げられ過ぎ、根部を後述する茎葉切断装置61に切断されてしまうことを防止できるので、人参が傷付くことが無く、商品価値が向上する。
【0054】
そして、前記位置揃えチェーン48,48を構成する複数のリンク48a…に、位置揃えチェーン48,48の上部と下部と茎葉部の接触面を覆う正面視コの字型のガイドカバー51…を取り付け、位置揃えガイド体52を構成する。
【0055】
なお、図9、図11(a)(b)(c)で示すように、該ガイドカバー51…は、平面視において前後一側方を凸状のR部51a、前後他側方を凹状のR部51bを形成し、茎葉部との接触面に前後他側方に、後続のガイドカバー51の前後一側方の凸状のR部51a上に向かって突出する突出部51cを形成する。直線部では前方のガイドカバー51の凹状のR部51bに後続のガイドカバー51の凸状のR部51aが入り込み、この後続の凸状のR部を前方の突出部51cが覆うことによって、ガイドカバー51同士の間隔部を覆うことができるので、ガイドカバー51同士の間隔部に人参の茎葉部が噛み込まれることが防止され、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0056】
また、ガイドカバー51は凸状のR部51aと凹状のR部51bを有し、リンク48aに1つずつ取り付けられていることにより、ガイドカバー51同士は干渉し合うことが無く位置揃えチェーン48,48の移動に追従することができるので、位置揃え装置54L,54Rの移動がスムーズになり、作業能率が向上する。
【0057】
加えて、位置揃えチェーン48,48が円弧軌跡で移動する際、突出部51cを有することにより、ガイドカバー51同士の間に大きな間隔部が生じないため、この間隔部に人参の茎葉部が噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0058】
なお、位置揃えガイド体52は、複数のガイドカバー51…ではなく、位置揃えチェーン48の上面と下面と茎葉部との接触面を覆う、断面形状コの字型としてもよい。
そして、前記位置揃えチェーン48,48の巻回域内で且つ位置揃え従動スプロケット45,45と位置揃えテンションスプロケット47,47との間に、位置揃えチェーン48,48を巻回域内から茎葉部接触面に向かって押圧する左右のテンションプレート53L,53Rを機体左右方向に位置調節自在に取り付けることにより、左右の位置揃え装置54L,54Rが引抜搬送装置24の搬送方向後側の下方位置に構成される。
【0059】
該テンションプレート53L,53Rは、前記伝動ケース37,37に長穴を形成して取付軸53a,53aをボルト等着脱可能な部材で位置調節に取り付け、該取付軸53a,53aの端部に板体53b,53bを溶着して構成する。
【0060】
なお、テンションプレート53L,53Rは、左右の位置揃え装置54L,54Rに略平行位置に設けてもよいが、図9で示すように、機体外側の位置揃え装置53Rの前側にテンションプレート52Rを設ける場合、機体内側の位置揃え装置53Lのテンションプレート52Lは位置揃え装置53Rのテンションプレート52Rよりも機体後側に設けると、大径の茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間を通過する際、テンションプレート52Lまたはテンションプレート52Rの無い側に位置揃えチェーン48及び位置揃えガイド体52が移動するので、人参の茎葉部の径が大きくても位置揃え装置54L,54Rに噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が向上する。
【0061】
加えて、テンションプレート53L,53Rの張力は、前記張圧バネ50,50の張力よりも弱く設定すると、大径の茎葉部が通過して負荷がかかると位置揃えチェーン48,48が適正な位置まで撓んで退避することができ、54L,54Rに噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が向上する。
【0062】
そして、前記位置揃え駆動スプロケット42,42の近傍で且つ位置揃えガイド体52,52の外側位置で伝動ケース37,37に長穴を形成し、この長穴に位置揃えガイド体52,52の表面に付着した茎葉部の切れ端や泥等を落とす左右のスクレーパ55,55を位置揃えガイド体52,52の軌跡に沿って位置調節時際に取り付ける。
【0063】
なお、スクレーパ55,55は、後下り傾斜姿勢で配置することにより、茎葉部の切れ端や泥を下方に落下させやすくなる。
そして、前記左右第1ギアユニット38,38の位置揃え装置54L,54Rの後方位置に左右の切断刃回転軸56,56を軸着し、該切断刃回転軸56,56に左右のベアリング57,57を回転自在に取り付ける。そして、前記左右のベアリング57,57に左右の支持プレート59,59を取り付け、該支持プレート59,59に左右の茎葉切断刃60,60を取り付けて、茎葉切断装置61が構成される。
【0064】
また、前記左右第1出力軸40,40に左右茎葉搬送駆動プーリ62,62を軸着し、前記左右第1ギアユニット38,38よりも機体前側で且つ位置揃え装置54L,54Rの上方に左右茎葉搬送従動プーリ63,63を回転自在に取り付ける。そして、該左右茎葉搬送駆動プーリ62,62と左右茎葉搬送従動プーリ63,63とに左右排葉搬送ベルト64,64を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から人参の茎葉部を引き継いで機体後方に排出する排葉搬送装置65が、前記左右の伝動ケース37,37の上部外周で且つ引抜搬送装置24の搬送終端部側の下方に構成される。
【0065】
さらに、前記左右第1出力軸40,40の上端部に左右残葉搬送駆動プーリ66,66を軸着し、前記伝動ケース37,37の上方に左右残葉搬送従動プーリ67,67を回転自在に取り付けるとともに、該左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67との前後間に複数の左右の残葉搬送テンションプーリ68,68…を取り付ける。そして、前記左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67と左右残葉搬送テンションプーリ68,68…とに左右残葉搬送ベルト69,69を無端状に巻回することによって、茎葉の上部を挟持して機体後方に搬送する残葉搬送装置70が、前記排葉搬送装置65の上方に構成される。
【0066】
上記排葉搬送装置65と残葉搬送装置70の終端部から茎葉切断装置61によって切断された茎葉を圃場に排出する排葉シュータ71を設けて、茎葉切断部Dを構成する。
上記構成により、左右の位置揃え駆動スプロケット42,42が、茎葉部が通過する位置揃え装置54L,54Rの左右間隔部から離間する位置に配置されることにより、位置揃え駆動スプロケット42,42や第2出力軸41,41に茎葉部が絡み付いて位置揃え装置54L,54Rを停止させてしまうことを防止できるので、収穫作業が中断されず、作業能率が向上する。
【0067】
また、位置揃え駆動スプロケット42,42を位置揃え従動スプロケット45,45及び位置揃えテンションスプロケット47,47よりも小径としたことにより、位置揃え駆動スプロケット42,42がいっそう位置揃え装置54L,54Rの左右間隔部から離間するので、位置揃え駆動スプロケット42,42や第2出力軸41,41に茎葉部が絡み付くことをいっそう防止でき、作業能率がさらに向上する。
【0068】
そして、位置揃え従動スプロケット45,45を張圧する左右の張圧バネ50,50を設けたことにより、位置揃え装置54L,54Rに茎葉部が接触する際に左右の位置揃えチェーン48,48に生じる弛みを吸収させることができ、位置揃えチェーン48,48がすぐに張り状態に戻るため、径の異なる茎葉部が連続して通過するときでも位置揃え装置54L,54Rが確実に人参の茎葉部を受けることができ、人参の茎葉部の切断位置が適正に揃えられて茎葉部が適正に切断され、後工程で茎葉部を除去する必要が無く、作業能率が向上する。
【0069】
また、左右の受け板49,49を前後方向に移動させることで張圧バネ50,50の張力が調節されることにより、人参の生育状況や品種による茎葉部の径の差異、あるいは天候や土質等、作業場所の作業条件に合わせて張力を適正に変更できるので、人参の茎葉切断位置の位置揃えを適正に行い茎葉部を確実に切断することにより、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0070】
さらに、左右の位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、この孔部44,44に位置揃え従動スプロケット45,45を軸着した回転軸46,46を移動自在に設けたことにより、負荷がかからない状態では、張圧バネ50,50に張圧された位置揃え従動スプロケット45,45は茎葉部の搬送経路寄りに移動するので、小径の茎葉部が通過する際に位置揃え装置54L,54Rが茎葉部を受けて人参の茎葉部の切断位置を適正に揃えることができ、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0071】
また、大径の茎葉部が通過する際、左右の位置揃え装置54L,54Rに大きな負荷がかかると、位置揃え従動スプロケット45,45は孔部44,44に沿って茎葉部の移動経路から離間する方向に移動するので、位置揃え装置54L,54Rの前側の左右間隔が広くなり、茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの間隔部に噛み込まれることを防止でき、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0072】
なお、人参の茎葉部が須らく大径であることが収穫作業前にわかっている場合には、位置揃え従動スプロケット45,45を左右の位置揃え装置54L,54Rの左右間から離間する方向に移動させ、位置揃え装置54L,54Rの搬送方向上手側の左右間隔を広くしておくと、位置揃え装置54L,54Rが茎葉部を噛み込むことを防止でき、噛み込んだ茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0073】
そして、位置揃えチェーン48,48を構成する複数のリンク48a…毎にガイドカバー51…を取り付けて位置揃えガイド体52を構成したことにより、任意の箇所のガイドカバー51を自在に着脱できるので、一部のガイドカバー51が損傷しても、新しいガイドカバー51に取り替えるだけで適正な位置揃え性能が維持され、茎葉部が適正に切断されるので、作業能率が向上する。
【0074】
また、位置揃えガイド体52全体を取り替える必要がないので、コストダウンを図ることができる。
さらに、ガイドカバー51の着脱は、工具を必要とせず手作業で行なえるので、交換作業を容易に行なうことができる。
【0075】
そして、ガイドカバー51が位置揃えチェーン48の上面と下面と茎葉部との接触面を覆う正面視コの字形状としたことにより、ガイドカバー51と位置揃えチェーン48との間に空間部が生じないので、ガイドカバー51と位置揃えチェーン48との間で茎葉部を挟み込んでしまい、人参が適正な切断位置に揃えられず茎葉部が切り残されることを防止でき、後工程で茎葉部を除去する作業が必要なく、作業能率が向上するとともに、人参の根部が切断されることを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0076】
また、ガイドカバー51に凸上のR部51aと凹状のR部51bとを形成し、後続のガイドカバー51の凸状のR部51aを前側のガイドカバー51の凹状のR部51bに近接させて位置揃えチェーン48に取り付けることにより、位置揃えチェーン48が位置揃え従動スプロケット45などの周囲を円弧軌道で移動する際、ガイドカバー51…は追従して移動できるので、位置揃え装置54L,54Rは一定の周速で動作するため、茎葉部を受けて人参の茎葉部の切断位置を適正に揃えることができ、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0077】
さらに、凸状のR部51a上に向かって突出する突出部51cを設けたことにより、位置揃えチェーン48が位置揃え従動スプロケット45などの周囲を円弧軌道で移動する際、ガイドカバー51…同士の前後間に生じる空間部をこの突出部51cが覆うため、ガイドカバー51…同士の前後間の空間部で茎葉部を挟み込んでしまい、人参が適正な切断位置に揃えられず茎葉部が切り残されることを防止でき、後工程で茎葉部を除去する作業が必要なく、作業能率が向上するとともに、人参の根部が切断されることを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0078】
そして、位置揃えチェーン48,48の巻回域内に左右のテンションプレート53L,53Rを設けたことにより、位置揃えチェーン48,48を巻回域内から押圧するため、大径の茎葉部が通過する際、テンションプレート53Lまたはテンションプレート53Rが押圧していない部分の位置揃えチェーン48,48は位置揃え駆動スプロケット42,42の方向へ退避できるので、茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間に噛み込まれることが無く、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0079】
また、位置揃え駆動スプロケット42,42の外周を移動する位置揃えガイド体52,52に付着した茎葉部の破片や泥等の夾雑物を擦り落とす左右のスクレーパ55,55を設けたことによって、茎葉部の移動経路から離れて位置で位置揃えガイド体52,52に付着した夾雑物を除去することができるので、茎葉部の破片が位置揃え装置54L,54Rの各部に絡み付くことが防止され、機体を止めて絡み付いた茎葉部の破片を取り除く必要が無く作業能率が向上すると共に、泥の塊が人参の根部を傷つけることが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0080】
さらに、スクレーパ55,55は長穴に沿って取り付け位置を変更することができるので、収穫作業を行う圃場の人参の茎葉部の径の平均に合わせて最適な位置にスクレーパ55,55を設定し、確実に茎葉部の破片や泥等の夾雑物を位置揃えガイド体52,52から除去することにより、上記の効果がさらに向上する。
【0081】
そして、茎葉切断装置61で人参から切断された排葉(切断された茎葉部)を圃場に排出する排葉シュータ71が、既掘り側(人参を収穫し終えた側)に茎葉を排出するように下方傾斜姿勢に設けられていることによって、排出された茎葉が未掘り側(人参を収穫していない側)の人参の上に落下し、排葉が左右挟持搬送ベルト19,19や左右従動プーリ17,17等に絡み付いて収穫部Cを停止させて収穫作業を妨げることが防止できるので、作業能率が向上すると共に、人参の上に落下した排葉が収穫する人参の視認性を妨げることを防止できる。
【0082】
次に、引継搬送部Eについて説明する。
図3、図4で示すように、前記茎葉切断装置61の下方に前後残葉処理フレーム72,72を設け、該前後残葉処理フレーム72,72の左右両側の前後間に左右の残葉処理ローラ73,73を回転自在に取り付ける。そして、該左右の残葉処理ローラ73,73にゴムやウレタン等の弾性体で構成する残葉処理ベルト74を無端状に巻回し、該残葉処理ベルト74の上部に人参の根部に残った残葉を残葉処理ベルト74と共に挟み込んで回転して切除する残葉処理ローラ75を取り付けて、茎葉切断部Dから引き継いだ人参の残葉を処理しながら機体外側方向から左右内側方向に搬送する残葉処理コンベア76を構成する。
【0083】
また、該残葉処理コンベア76の始端側で且つ機体前側に茎葉切断装置61よりも機体前側に落下した作物を受ける格子状の受けシュータ77を下り傾斜姿勢で設けることにより、汲上搬送部Eが構成される。
【0084】
上記構成により、残葉処理コンベア76を構成する残葉処理ローラ75が、茎葉切断装置61で切り残された人参の残葉を千切り取りながら後述する選別搬送コンベア88に搬送するため、人参の商品価値が向上すると共に、収穫作業後に人手で残葉を切除する作業を省略することができ、作業能率が向上する。
【0085】
また、残葉処理コンベア76を構成する残葉処理ベルト74をゴムやウレタン等の弾性体で構成したことによって、茎葉切断装置61で茎葉部を切除されて人参が落下しても残葉処理ベルト74が落下の衝撃を軽減するので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質が向上する。
【0086】
そして、残葉処理コンベア76の始端側で且つ機体前側に格子状の受けシュータ77を下り傾斜姿勢に設けたことによって、茎葉切断装置61よりも機体前側で茎葉部が千切れる等して落下した人参を、機外に落とすことなく受け止めることができると共に、受けた人参を選別搬送コンベア88に向かって移動させることができるので、収穫作業後に機外に落ちた人参を拾い集める作業が省略されて作業者の労力が軽減されると共に、茎葉切断装置61よりも機体前側で落下した人参を搬送経路に戻すことができるので、作業能率が向上する。
【0087】
次に、選別搬送部Fについて説明する。
図1〜図4、及び図12で示すように、前記残葉処理コンベア76よりも機体前側で且つ受けシュータ77の機体左右他側(搬送終端部側)に前後の第1選別搬送フレーム78,78を機体左右方向で且つ上昇傾斜姿勢で取り付け、該第1選別搬送フレーム78,78の機体左右一側(搬送始端部側)の端部で且つ下側に駆動スプロケット79,79を回転自在に取り付ける。また、前記第1選別搬送フレーム78,78の機体左右他側(搬送終端部側)の端部で且つ上側に中間スプロケット80,80を回転自在に取り付けるとともに、該中間スプロケット80,80の回転軸及び前記第1選別搬送フレーム78,78の前後端部に前後の第2選別搬送フレーム81,81を、終端部側を上下回動自在に取り付ける。
【0088】
そして、該第2選別搬送フレーム81,81の機体左右他側(搬送終端部側)の端部に従動スプロケット82,82を回転自在に取り付け、前記駆動スプロケット79,79と中間スプロケット80,80と従動スプロケット82,82とに亘って人参を搬送する前後の選別搬送チェーン83,83を無端状に巻回する。さらに、該前後の選別搬送チェーン83,83の前後間に亘って、前後両端部をS字状に夫々屈曲させた複数の凸形状の搬送プレート84…を、屈曲させた前後両端部を選別搬送チェーン83,83にボルト等の固定部材で固定して取り付ける。
【0089】
なお、該搬送プレート84は、前後方向の直線部を切り欠き、平面視H字形状に構成する。そして、搬送プレート84…同士を並べると空間部84sが生じる構成とする。
また、前記第1選別搬送フレーム78,78の終端部と第2選別搬送フレーム81,81の始端部が接する部分で且つ前後の中間スプロケット80,80の上方に、前記前後の選別搬送チェーン83,83を上方から張圧する張圧スプロケット85,85を回転自在に取り付ける。そして、前記第2選別搬送フレーム81,81の前後間で且つ選別搬送チェーン83,83の巻回域よりも下方に支持板86を取り付け、該支持板86と機体フレーム1との間に昇降シリンダ87を伸縮自在且つ左右方向に回動自在に取り付けることによって、選別搬送コンベア88が構成される。該昇降シリンダ87を伸縮させると、該選別搬送コンベア88の機体左右他側(搬送終端部側)が上下動する。
【0090】
さらに、前記第2選別搬送フレーム81,81の機体左右他側(搬送終端部側)の前後外側に前後一対の吊下アーム89,89の基部側を上下回動自在に取り付け、該吊下アーム89,89の端部側に収容部材91を吊り下げる前後の吊下ハンガー90,90を機体左右方向に回動自在に取り付ける。そして、該吊下ハンガー90,90の左右両端に収容部材91(本実施例では袋状のフレキシブルコンテナ91a)の四隅を吊り下げて開口状態とするフック部90f,90fを形成することにより、選別搬送部Fが構成される。
【0091】
上記構成により、昇降シリンダ87を昇降させると選別搬送コンベア88の搬送終端部側が上下動することにより、収容部材91(フレキシブルコンテナ91a)内の人参の収容量に合わせて選別搬送コンベア88の搬送終端部を上下動させて、選別搬送コンベア88の搬送終端部と収容部材91との落差を一定に保つことができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質及び商品価値が確保される。
【0092】
そして、選別搬送チェーン83,83の前後間に、複数の前後両端部を屈曲された側面視凸形状の搬送プレート84a…を取り付けたことにより、選別搬送チェーン83,83にこの搬送プレート84aを取り付ける屈曲部が下方に位置するので、ボルト等の取付部材に人参が接触することを防止でき、人参が傷つくことが防止され、商品価値が向上する。
【0093】
また、搬送プレート84aの前後幅が短くなるので、選別搬送コンベア88の前後幅も短く構成することができ、機体の前後幅がコンパクト化される。
そして、搬送プレート84a…同士を隣接させると空間部84sが生じる構成により、この空間部84sから土や茎葉等の夾雑物、及び折れた人参の欠片や規格外の小玉の人参を下方に排出することができるので、選別作業者が人参を見やすくなり、選別精度や作業能率が向上する。
【0094】
また、収容部材91を、吊下ハンガー90,90のフック部90f,90fで四隅を吊り下げて開口状態としたことにより、機体が圃場の凹凸等で左右に揺れるようなことがあっても、選別搬送コンベア88の搬送終端部から排出される人参を確実に収容部材91に投入することができ、収容部材91の外に落下した人参を拾い集める必要が無く、作業者の労力が軽減されると共に、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質及び商品価値が確保される。
【0095】
さらに、選別搬送コンベア88の搬送終端部側が上下動自在であるとともに、吊下アーム89,89を左右回動自在に取り付けたことにより、機体を軽トラック等に積み込んだり、納屋等に収容する際には、選別搬送コンベア88を最上位置まで移動させ、吊下アーム89,89を機体内側に向かって回動させると、選別部Fが機体フレーム1の左右幅内に収まり、機体の左右幅がコンパクトになるので、収納性が向上する。
【0096】
次に、補助作業部Gについて説明する。
図1〜図4、及び図13で示すように、前記機体フレーム1のうち、選別搬送コンベア88の後部に補助作業者が搭乗する補助作業ステップ92を構成し、該作業ステップ92上に中空の支持パイプ93を上下方向に直線状に取り付ける。また、該支持パイプ93の内部の下部近傍に第1ベアリング94を設け、該ベアリング94に雄螺子溝を切った螺子シャフト95の下端部を軸着し、該螺子シャフト95の下端部に第1ベベルギア96を取り付ける。そして、前記支持パイプ93の下部に開口部を設け、この開口部に第2ベアリング97を取り付け、該第2ベアリング97に回転軸98を軸着し、該回転軸98の一側端部で且つ支持パイプ93の内部に前記第1ベベルギア96の歯と噛み合う第2ベベルギア99を軸着するとともに、該回転軸98の他側端部に螺子シャフト95を回転させる、正逆転可能な駆動モータ100の出力軸を連結する。なお、該駆動モータ100は、前記昇降シリンダ87が伸び動作をすると正転し、昇降シリンダ87が縮み動作をすると逆転するよう、連絡ケーブル(図示せず)で連結する。
【0097】
さらに、前記支持パイプ93の中空部に、内側に雌螺子溝を切った中空の回転パイプ101を前記螺子シャフト95に螺子溝を合わせて取り付け、該回転パイプ101の上端部にシート102を回転自在に取り付けることにより、補助作業座席103が構成される。
【0098】
なお、支持パイプ93は円柱形でも多角形でもよく、回転パイプ101は支持パイプ93の形状に対応するものを用いればよい。
そして、前記補助作業ステップ92上で且つ補助作業座席103の下方に、前記昇降シリンダ87を伸縮動作させる、足で踏んで操作する昇降ペダル104を配置する。該昇降ペダル104は、前後方向の中間部に支点(図示せず)を設け、前側を踏むと伸び動作(もしくは縮み動作)、後側を踏むと縮み動作(もしくは伸び動作)としてもよく、また昇降ペダル104の左右の中間部に支点(図示せず)を設け、右側を踏むと伸び動作(もしくは縮み動作)、左側を踏むと縮み動作(もしくは伸び動作)としてもよく、あるいは昇降ペダル104を二つ配置し、一方を踏むと伸び動作し、他方を踏むと縮み動作する構成としてもよい。
【0099】
また、前記選別搬送コンベア88の機体後側の第2選別搬送フレーム81で且つ補助作業座席103の近傍に、前記昇降シリンダ87を伸縮動作させる、手で操作する昇降スイッチ105を配置することにより、補助作業部Gが構成される。
【0100】
該昇降スイッチ105は、図3では補助作業座席103よりも機体左右他側に配置しているが、補助作業座席103の略正面に設けると補助作業者が右利きでも左利きでも操作し易く、作業能率が向上する。また、操作スイッチ105の取付位置を、第2選別搬送フレーム81の左右方向において変更自在に構成すると、補助作業者の利き手に合わせて取り回しのよい位置に操作スイッチ105を配置できるので、作業能率がいっそう向上する。
【0101】
上記構成により、補助作業者が搭乗する補助ステップ92を設けたことにより、補助作業者は人参の選別作業をするために走行する機体を後ろから追いかけたり、機体フレームの後端部に無理な姿勢で乗り込んだりする必要がなく、安定した姿勢で人参の選別や収容部材91の交換作業を行うことができ、作業者の労力が軽減される。
【0102】
また、鎌や鋏等の農具や飲料水の入ったボトル等を置いておけるので、余分なものを身に付けずに作業を行うことができ、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0103】
そして、補助作業座席103を設けたことにより、補助作業者は補助作業座席103に着座して選別作業を行うことができ、労力が大幅に軽減される。
さらに、補助作業座席103に設けた駆動モータ100を、昇降シリンダ87の伸縮動作による選別搬送コンベア88の搬送終端部側の上下動に連動して正逆転する構成したことにより、収容部材91内の人参の収容量に応じて選別搬送コンベア88の搬送終端部側を上下動させても、選別搬送コンベア88の上面の選別領域と補助作業座席103に着座した補助作業者の位置関係がほとんど変わらないので、人参の選別精度が向上する。
【0104】
また、補助作業座席103のシート102を回転自在に取り付けたことにより、補助作業者は着座したまま向きたい方向を向くことができ、作業者の労力がいっそう軽減される。
【0105】
そして、昇降シリンダ87を昇降動作させる昇降ペダル104を補助作業座席103の下方に設けたことにより、補助作業者は補助作業座席103に着座したまま昇降ペダル104を踏み、収容部材91内の人参の収容量に合わせて選別搬送コンベア88の搬送終端部側を上下動させることができるので、補助作業者はその間も人参の選別作業を両手で行えると共に、目線を人参に向け続けられるので、選別精度が大幅に向上する。
【0106】
さらに、選別搬送コンベア88の機体後側に昇降シリンダ87を昇降動作させる操作スイッチ105を取り付けたことにより、補助作業者は補助作業座席103に着座したまま昇降シリンダ87の伸縮動作を行うことができ、作業者の労力が軽減される。
【0107】
また、操作スイッチ105は手で操作を行なうものであるため、補助作業者は選別搬送コンベア88の搬送終端部側の上下量を細かく調節でき、選別搬送コンベア88の搬送終端部から収容部材91までの落下距離を適切に調節でき、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が確保される。
【0108】
次に、収容部Hについて説明する。
図1〜図4及び図14〜図16で示すように、前記選別搬送コンベア88の下方で且つ機体フレーム1の機体左右他側の後側に前後一対の支持プレート106,106を機体左右方向に取り付け、該前後支持プレート106,106の機体外側端部に載置部フレーム107を、左右方向の回動軸108を回動支点として機体左右方向に回動自在に取り付ける。そして、該載置部フレーム107の後下部に上下回動軸109を設け、該上下回動軸109の上部に収容部材91(フレキシブルコンテナ91a)の底部を載置支持する載置台110を上下回動自在に取り付ける。
【0109】
また、前記載置部フレーム107の後側の左右他側端部に後側支持プレート111を設け、前記上下回動軸109の左右他側端部に回動プレート112の下端部を機体前後方向に回動自在に軸着するとともに、該回動プレート112の上部と後側支持プレート111の上部との間に伸縮自在な伸縮ロッド114を取り付ける。さらに、該伸縮ロッド114の機体後側の端部に伸縮ロッド114を伸縮させる操作ハンドル115を取り付けるとともに、前記載置台10の左右両側及び後側に収容容器91の落下を防止する落下防止板116を取り付ける。
【0110】
なお、伸縮ロッド114は一方の棒材の表面に螺子溝を刻み、他方の中空の棒材の内面に螺子溝を刻み、互いの棒体の螺子溝を合わせて操作ハンドル115で回転させて伸縮する構成としているが、電動や油圧、空圧等で伸縮するシリンダに置き換えてもよい。
【0111】
そして、前記載置台110の機体左右一側の後部に中空のセットリング117を取り付けると共に、該セットリング117に前後方向に長いガイドパイプ118の基部側を軸着する。また、該ガイドパイプ118にスライドカラー119を前後方向に移動自在に取り付け、前記ガイドパイプ118の前端部にストッパリング120を軸着する。
【0112】
さらに、前記載置部フレーム107の機体左右他側端部に中空の支持ボス121を固定して設け、雄螺子溝を前後方向に亘って刻んだ調節ロッド122を該支持ボス121を貫通させて取り付け、該調節ロッド122の前端部に内周部に雌螺子溝を刻んだ調節ボス123を螺子溝を合わせて取り付ける。そして、該調節ボス123と前記スライドカラー119との下部を支持プレート124で連結し、該支持プレート124を載置台110の底部に固定する。そして、前記調節ロッド122の後端部に調節操作ハンドル125を回転操作可能に取り付けることにより、調節操作装置140が構成されるとともに、収容部Hが構成される。
【0113】
上記構成により、収穫作業中は載置台110を機体左右他側に回動してコンフレキシブルコンテナ91a等の収容部材91を載置し、作業終了後は機体左右一側方向に載置台110を回動させて畳んでおくことができるので、機体の左右幅がコンパクトになり、機体を軽トラック等の搬送手段に載置しやすくできると共に、倉庫等の収容場所にスペースをとり過ぎることなく収容することができる。
【0114】
また、操作ハンドル115を操作して伸縮ロッド114を伸縮させることで、載置台110を上下に回動させられるため、載置台110を下方に傾斜させて人参を満載したフレキシブルコンテナ91a(収容部材91)を下方に移動させた後、機体を後進させることによってフレキシブルコンテナ91a(収容部材91)を圃場に移動させることができるので、操縦者や補助作業者の労力が軽減されると共に作業能率が向上する。
【0115】
そして、載置台110の下部に固定した支持プレート124の左右両端部に、ガイドパイプ118を前後方向に移動自在なスライドカラー119と調節ロッド122の回転によって前後方向に移動する調節ボス123とを設けたことによって、調節ロッド122の調節操作ハンドル125を回すと調節ボス123が前進、或いは後退して載置台110が前進、或いは後退するため、載置台110を前方傾斜させてフレキシブルコンテナ91a(収容部材91)を降ろしてから載置台110を後退させると、機体を後進させることなくフレキシブルコンテナ91aを圃場に降ろすことができるので、作業能率が向上する。
【0116】
これに加えて、フレキシブルコンテナ91aを圃場に降ろした後、載置台110を前進させてフレキシブルコンテナ91aの底部を支持する位置に戻し、載置台110を機体左右一側方向に回動させて折り畳むと、圃場に置いたフレキシブルコンテナ91aを避ける軌道を取らなくても機体を前進させて収穫作業を継続することができ、作業能率が大幅に向上する。
【0117】
なお、図4、図13で示すように、調節ロッド122を回転させる調節操作ハンドル125を、正逆転自在な調節操作モータに変更し、前記補助作業ステップ92上で且つ補助作業座席103の下方にこの調節操作モータを作動させる調節操作ペダル127を設ける構成としてもよい。
【0118】
上記構成とすると、補助作業者は補助作業座席103から降りることなく収容部材91(フレキシブルコンテナ91a)を機体から降ろすことができるので、作業能率が向上すると共に、人参が満載された収容部材91の近くに立つ必要が無く、安全性が向上する。本件発明に係る人参収穫機で用いるフレキシブルコンテナ91aの重量は、人参を満載すると約200kgになるので、万一作業者及び補助作業者に向かって倒れると、押し潰される危険性がある。
【0119】
また、前記選別搬送コンベア88の機体後側の第2選別搬送フレーム81で且つ補助作業座席103の近傍に、前記調節操作モータを作動させる、手で操作する調節操作スイッチ128を配置すると、手でも足でも調節操作モータを操作できるので、上述の作業能率の向上、安全性の向上がいっそう顕著なものとなる。
【0120】
以下、本件人参の収穫機の別実施例を説明する。
図17(a)(b)で示すように、横引起し装置26の上部にレバーガイド215を取り付け、該レバーガイド215の内側に空間部215aを形成する。該空間部215aは前後及び左右一側を直線状に形成し、左右他側に複数の溝部を形成する。また、該レバーガイド215の表面に引抜搬送装置24の引抜搬送始端部の上下調節高さや上げ操作、下げ操作の方向を記したインジケータ215bを塗料で書き込んで形成する。
【0121】
このインジケータ215bは塗料で書き込むだけでなく、表面に同内容を印字したシールを貼り付けて形成してもよく、また同内容を打刻して形成してもよい。
そして、前記レバーガイド215の空間部215a内に調節レバー216を前後方向に回動自在、且つ左右他側方向に張圧されつつ左右一側に移動可能にレバーガイド215に内装する取付アーム217の一側端部に取り付け、該取付アーム217の他側端部に接続ワイヤー218の一側端部を上下方向に取り付ける。さらに、該接続ワイヤー218の下部の外周面に張圧スプリング219を圧縮状態で取り付け、接続ワイヤー218の下端部の取付軸218aをスイッチアーム205に形成した機体上下方向の長穴205aに取り付ける構成とする。
【0122】
上記構成によれば、レバーガイド215の内側に形成した空間部215aのうち、左右他側に複数の溝部を形成したことにより、特定の溝部に調節レバー216を合わせると引抜搬送装置24の引抜搬送始端部の高さが特定の高さになるので、引抜搬送装置24の作業高さの調節が容易になり、作業能率が向上する。
【0123】
また、レバーガイド215に引抜搬送装置24の引抜搬送始端部の上下調節高さや上げ操作、下げ操作の方向を記したインジケータ215bを形成したことにより、作業者は視覚的に操作方法や操作による引抜搬送装置24の上下移動量を把握することができるので、作業高さの調節を間違えたり、上げ下げを逆に操作してしまうことが防止され、引抜搬送装置24の引抜搬送始端部が土や石を噛み込んでしまうことが防止されて引抜搬送装置24の故障が防止されて耐久性が向上すると共に、作業が中断されないので作業能率が向上する。
【0124】
そして、調節レバー216がバネ等(図示せず)で機体左右他側方向に張圧されており、且つ機体左右一側方向に移動可能に構成されていることにより、調節レバー216を特定の溝部に合わせて手を離すと、調節レバー216が自動的に溝部に向かって移動するので、溝部に移動させる動作が省略されると共に、圃場の凹凸や構成部品による振動がかかっても調節レバー216が溝部から抜け出してしまうことを防止できるので、勝手に引抜搬送装置24の作業高さが変わってしまうことが防止され、引抜位置が上がり過ぎて人参を抜き残すことがなく、収穫作業後に引き抜く必要が無く作業者の労力が軽減されると共に、引抜位置が下がりすぎて圃場面に突っ込んでしまうことが防止され、引抜搬送装置24の引抜搬送始端部が土や石を噛み込んでしまうことがなく引抜搬送装置24の故障が防止されて耐久性が向上すると共に、作業が中断されないので作業能率が向上する。
【0125】
さらに、接続ワイヤー218の下部の外周部に圧縮状態の張圧スプリング219を取り付けたことにより、ゲージ輪203及びゲージ輪支持アーム202に圃場面に向けて加圧する力がかかるので、ゲージ輪203が圃場の僅かな凹凸や検出する必要の無い石を踏んだ際にゲージ輪アーム202が上昇することを防止でき、頻繁に引抜搬送装置24の引抜搬送始端部が上下動せず、人参を引き抜き損なうことが防止され、収穫作業後に人参を人手で引き抜く必要が無く、作業者の労力が軽減されると共に作業能率が向上する。
【0126】
加えて、頻繁に引抜搬送装置24が上下動すると昇降シリンダ23に負荷が断続的にかかるので、昇降シリンダ23の耐久力が低下してしまうが、この耐久力の低下を抑える効果もある。また、引抜搬送装置24が作業者が設定した作業高さから自動的に何度も変更されると、作業者は常にその変化量に気を配らねばならないので、機体の操縦に集中しにくくなる可能性があるが、本件構成にて過度の作業高さの変更を抑制することにより、作業者は機体の操縦に集中することができ、作業能率が向上する。
【0127】
図18、図19で示すように、横引起し装置26の背面で且つ上下方向の略中央部にリフトシリンダ220を倒立状態で取り付け、該横引起し装置26の上部に操作スイッチ208を取り付けると共に、該リフトシリンダ220のアウターチューブ220a(リフトシリンダ220の上側部材)と操作スイッチ208とをハーネス209で連結する。
【0128】
そして、前記リフトシリンダ220の伸縮自在なインナーチューブ220b(リフトシリンダ220の下側部材)の外周部に圧縮状態の張圧スプリング221を設け、該インナーチューブ220bをゲージ輪203を取り付ける中空の支持ロッド222の内側に挿入する。
【0129】
また、該支持ロッド222に長穴222aを形成し、該長穴222a内にインナーチューブ220bの下端部に設けるピン223を挿入すると共に、該長穴222aの側部で且つ支持ロッド222の中空内部にピン223が通過、あるいは接触すると反応する近接センサ224を配置する。さらに、該近接センサ224とソレノイドバルブ210とをケーブル225で連結する構成としてもよい。
【0130】
上記構成によれば、横引起し装置26等の既存の部材にリフトシリンダ220や操作スイッチ208を取り付けることができるので、部品点数が削減されて機体の軽量化が図られ、コストダウンが図られると共に、メンテナンス性が向上する。
【0131】
また、支持ロッド222内にピン223を検知する近接センサ224を設けたことにより、近接センサ224が他の部材の動きの影響を受けにくいため、近接センサ224が誤動作することを防止でき、引抜搬送装置24が勝手に上下動することが無く、引抜搬送装置24が上昇し過ぎて人参を抜き残すことがなく、作業者が収穫作業後に人手で抜き取る必要がないので作業者の労力が軽減されると共に、引抜搬送装置24が下降し過ぎて土や石を噛み込んで停止或いは故障することが防止され、作業能率や耐久性が向上する。
【0132】
そして、インナーチューブ220bの外周部に張圧スプリング221を圧縮状態で設けたことにより、ゲージ輪203を圃場面に向かって加圧する力が生じるので、ゲージ輪203が圃場の僅かな凹凸や検出する必要の無い石を踏んだ際にゲージ輪アーム202が上昇することを防止でき、頻繁に引抜搬送装置24の引抜搬送始端部が上下動せず、人参を引き抜き損なうことが防止され、収穫作業後に人参を人手で引き抜く必要が無く、作業者の労力が軽減されると共に作業能率が向上する。
【0133】
なお、支持ロッド222をゲージ輪203に接触するように配置すると、支持ロッド222がスクレーパ代わりとなり、ゲージ輪203に付着した土や茎葉の切れ端等の夾雑物を擦り落とすことができるので、土や夾雑物が車軸に付着してゲージ輪203の回転が止められることが防止され、ゲージ輪203の検知精度が向上する。
【0134】
図20で示すように、ゲージ輪支持アーム202のうち、ガイドプレート205よりも後方に支持プレート225を取り付け、該支持プレート225に前後両側が上下回動可能なシーソーアーム226の中央部をゲージ輪アーム202の上下動に連動して回動可能に取り付ける。そして、該シーソーアーム226のU字形状の前部側にリフトシリンダ207の下端部の接触軸207aを接触させ、該シーソーアーム226の平板状の後部側にソレノイドバルブ210を作動させる信号を伝達するコントロールケーブル227を取り付ける構成としてもよい。
【0135】
この構成では、ゲージ輪203が圃場の土の凹凸や石を踏んだ際のゲージ輪アーム202の上昇量に応じて上下回動するシーソーアーム226の移動量が一定以上になると信号を発し、ソレノイドバルブ210を作動させる。
【0136】
上記構成によれば、シーソーアーム226の移動量に基づいてソレノイドバルブ210を作動させて引抜搬送装置24の引抜搬送始端部の上昇させるので、センサ等の部材を省略することができ、部品点数が削減されて機体が軽量化される。
【0137】
また、部品点数が減ることにより、構造が単純化されるので、メンテナンス性が向上する。
【符号の説明】
【0138】
1 機体フレーム
23 昇降シリンダ(昇降部材)
24 引抜搬送装置
200 取付フレーム
201 支持アーム
202 ゲージ輪アーム(転輪アーム)
203 ゲージ輪(転輪)
204 スイッチボックス(検知部材)
205a 長穴(融通部)
206 スイッチアーム(第1接触体)
207 リフトシリンダ(アクチュエータ)
207a 接触軸(第2接触体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレーム(1)に圃場から作物を引き抜き後方へ搬送する引抜搬送装置(24)を設け、該引抜搬送装置(24)の搬送始端側に圃場面に接地する転輪(203)を設け、該転輪(203)の上方移動を検知する検知部材(204)を設け、前記機体フレーム(1)に該検知部材(204)が転輪(203)の上方移動を検知すると前記引抜搬送装置(24)の搬送始端側を上昇させる昇降部材(23)を設けたことを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
前記引抜搬送装置(24)の搬送始端下部に前記転輪(203)を備えた回動自在な転輪アーム(202)と伸縮自在なアクチュエータ(207)とを設け、該アクチュエータ(207)と転輪アーム(202)のいずれか一方に第1接触体(206)を備えた前記検知部材(204)を設け、他方に該第1接触体(206)と接触する第2接触体(207a)を設け、該第1接触体(206)が第2接触体(207a)に接触して前記検知部材(204)が転輪(203)の上方移動を検知する構成とするとともに、前記アクチュエータ(207)を伸縮させることにより第1接触体(206)と第2接触体(207a)との接触位置を調節可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
前記アクチュエータ(207)と転輪アーム(202)を、前記第1接触体(206)が第2接触体(207a)に接触することにより前記転輪(203)の上方移動を検知部材(204)が検知可能な融通部(205a)を形成した係合部材(205)で連係し、前記アクチュエータ(207)により転輪(203)を上昇可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項1】
機体フレーム(1)に圃場から作物を引き抜き後方へ搬送する引抜搬送装置(24)を設け、該引抜搬送装置(24)の搬送始端側に圃場面に接地する転輪(203)を設け、該転輪(203)の上方移動を検知する検知部材(204)を設け、前記機体フレーム(1)に該検知部材(204)が転輪(203)の上方移動を検知すると前記引抜搬送装置(24)の搬送始端側を上昇させる昇降部材(23)を設けたことを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
前記引抜搬送装置(24)の搬送始端下部に前記転輪(203)を備えた回動自在な転輪アーム(202)と伸縮自在なアクチュエータ(207)とを設け、該アクチュエータ(207)と転輪アーム(202)のいずれか一方に第1接触体(206)を備えた前記検知部材(204)を設け、他方に該第1接触体(206)と接触する第2接触体(207a)を設け、該第1接触体(206)が第2接触体(207a)に接触して前記検知部材(204)が転輪(203)の上方移動を検知する構成とするとともに、前記アクチュエータ(207)を伸縮させることにより第1接触体(206)と第2接触体(207a)との接触位置を調節可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
前記アクチュエータ(207)と転輪アーム(202)を、前記第1接触体(206)が第2接触体(207a)に接触することにより前記転輪(203)の上方移動を検知部材(204)が検知可能な融通部(205a)を形成した係合部材(205)で連係し、前記アクチュエータ(207)により転輪(203)を上昇可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−72214(P2011−72214A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224941(P2009−224941)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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