説明

根菜類収穫機

【課題】
引抜条数の調節機構を有すると共に、コンパクトな構成の引抜搬送装置を有する根菜類収穫機を提供する。
【解決手段】
作物を挟持して収穫する引抜搬送装置24を設け、引抜搬送装置24の引抜条数を変更する条数調節フレーム151に条数調節部材153を設け、条数調節部材153より始端側に一条の作物を引き抜く際に引抜無端帯18を付勢する第1付勢部材154を設け、条数調節部材153より後側に複数条の作物を引き抜く際に引抜無端帯18を付勢する第2付勢部材155を設け、第1付勢部材154で引抜無端帯18を押すと引抜搬送装置24の始端部で作物を挟持する一条引抜形態になり、条数調節部材153と第2付勢部材155で引抜無端帯18を押すと引抜無端帯18の始端側が離間して、条数調節部材153が引抜無端帯18を押圧する位置で複数条の作物を挟持する複数条引抜形態になる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物を圃場から引き抜いて収穫する、根菜類収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の根菜類収穫機には、複数の引抜搬送装置を設け、複数条の作物を同時に引き抜き収穫し、作業能率を向上させる技術が存在する。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010− 51244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された根菜類収穫機では、引抜搬送装置を複数設けるため、機体の左右幅が広くなり、旋回操作性が悪くなると共に、広い収納スペースが必要となる問題がある。
【0005】
また、引抜搬送装置の数が多くなると部品数も増えるため、機体構成が複雑化し、メンテナンス性が低下する問題がある。
本発明は、この問題を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、機体の左右一側に引抜無端帯(18,18)で作物を圃場から挟持して収穫する引抜搬送装置(24)を設け、該引抜搬送装置(24)の搬送始端側に回動自在な条数調節フレーム(151)を設け、該条数調節フレーム(151)を回動させると前記引抜無端帯(18,18)を押圧し、引抜無端帯(18,18)を屈曲させて引抜搬送装置(24)の搬送始端部の左右幅を変更し、作物の引き抜き条数を変更する条数調節部材(153)を設けたことを特徴とする根菜類収穫機とした。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記条数調節フレーム(151)に前記条数調節部材(153)を設け、該条数調節部材(153)よりも搬送始端側に一条の作物を引き抜く際に前記引抜無端帯(18,18)を付勢する第1付勢部材(154)を設け、前記条数調節部材(153)よりも搬送方向後側に複数条の作物を引き抜く際に前記引抜無端帯(18,18)を付勢する第2付勢部材(155)を設け、該第1付勢部材(154)で引抜無端帯(18,18)を押圧すると、該引抜無端帯(18,18)が密着して引抜搬送装置(24)の搬送始端部で作物の茎葉を挟持する一条引抜形態になると共に、前記条数調節部材(153)と第2付勢部材(155)で引抜無端帯(18,18)を押圧すると、前記引抜搬送装置(24)の搬送始端部から条数調節部材(153)の押圧位置に亘って引抜無端帯(18,18)が左右方向に離間して複数条の作物の茎葉部を案内する空間部が形成され、前記条数調節部材(153)が引抜無端帯(18,18)を押圧する位置で複数条の作物の茎葉部を挟持する複数条引抜形態になることを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機とした。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記条数調節フレーム(151,151)を左右一対設け、前記左右の第1付勢部材(154,154)を左右方向の同一直線上に配置すると共に、前記左右の第2付勢部材(155,155)を前後方向に位相をずらして配置したことを特徴とする請求項2記載の根菜類収穫機とした。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記引抜無端帯(18,18)の巻回域の外側に外側付勢部材(156)を設け、該外側付勢部材(156)を、前記条数調節フレーム(151)を複数条引抜側に操作すると前記引抜無端帯(18,18)に接触する位置に配置したことを特徴とする請求項1または2記載の根菜類収穫機とした。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記引抜搬送装置(24)の搬送始端側の上部に、該引抜搬送装置(24)から駆動力を受けて作物の茎葉部を掻き込む茎葉部掻込装置(176)を設け、前記引抜搬送装置(24)から茎葉部掻込装置(176)への駆動力の入切を切り替える切替部材(175)を設けると共に、該茎葉部掻込装置(176)を前後方向に回動自在に設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の根菜類収穫機とした。
【0011】
請求項6記載の発明は、前記茎葉部掻込装置(176)の前端部に圃場面に垂れている茎葉部を持ち上げる案内回転体(178)を設け、該案内回転体(178)の下側を円弧状に形成したことを特徴とする請求項5記載の根菜類収穫機とした。
【0012】
請求項7記載の発明は、前記茎葉部掻込装置(176)は、隣接条の作物が引抜収穫されている引抜搬送装置(24)の機体内側にのみ設ける構成としたことを特徴とする請求項5または6記載の根菜類収穫機とした。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、条数調節部材(153)を引抜無端帯(18,18)で押圧すると、引抜無端帯(18,18)が屈曲して引抜搬送装置(24)の引抜可能条数が変更されることにより、一つの引抜搬送装置(24)で一条及び複数条の作物の引抜作業を行うことができるので、機体がコンパクトな構成となり、圃場端等での旋回操作性が向上し、作業能率が向上する。
【0014】
また、部品数があまり増加しないので、部品の掃除やメンテナンス作業が行いやすく、作業者の労力が軽減される。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、第1付勢部材(154)で引抜無端帯(18,18)を押圧すると、引抜搬送装置(24)の搬送始端部の挟持力を強くすることができるので、作物の茎葉部を一条分ずつ挟持して引き抜くことができ、抜き残された作物を作業者が掘り起こす作業が不要となり、作業者の労力が軽減される。
【0015】
そして、条数調節装置(154)と第2付勢部材(155)で引抜無端帯(18,18)を押圧すると、条数調節装置(154)が引抜無端帯(18,18)に接触する位置から搬送方向後側の挟持力が強くなると共に、引抜搬送装置(24)の搬送始端側に複数条の作物の茎葉部を案内する空間部が形成されることにより、複数条の作物の茎葉部を挟持位置に案内することができるので、茎葉部が挟持されず抜き残される人参が減少するため、抜き残された作物を作業者が掘り起こす作業が不要となり、作業者の労力が軽減される。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明の効果に加えて、左右の第1付勢部材(153,153)を左右方向の同一直線上に配置したことにより、引抜搬送装置(24)の搬送始端部の挟持力を強くすることができるので、作物の茎葉部を一条分ずつ挟持して引き抜くことができ、抜き残された作物を作業者が掘り起こす作業が不要となり、作業者の労力が軽減される。
【0017】
また、左右の第2付勢部材(153,153)を前後方向に亘って前後方向に位相をずらして配置したことにより、第2付勢部材(153,153)の前後間に引抜無端帯(18,18)の退避空間を形成することができるので、複数条の茎葉部が引抜搬送装置(24)の作動を停止させることが防止され、作業能率が向上する。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加えて、複数条の作物を引き抜くときに引抜無端帯(18,18)に巻回域の外側から接触する外側付勢部材(156)を設けたことにより、引抜無端帯(18,18)の巻回軌跡が外側に広がり過ぎることを防止することができるので、引抜無端帯(18,18)が機体のカバー等に接触することが防止されるため、引抜無端帯(18,18)の耐久性が向上する。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、引抜搬送装置(24)の前側に茎葉部掻込装置(176)を設けたことにより、作物の茎葉部を引抜搬送装置(24)の搬送始端位置に案内することができるので、茎葉部が挟持されずに抜き残される作物が減少し、抜き残された作物を作業者が掘り起こす作業が不要となり、作業者の労力が軽減される。
【0020】
また、引抜搬送装置(24)から茎葉部掻込装置(176)への駆動力を入切する切替部材(175)を設けたことにより、切替部材(175)を操作して駆動力の伝動を切ることができるので、茎葉部掻込装置(176)が不要なときには簡単に停止させることができる。
【0021】
さらに、茎葉部掻込装置(176)が前後方向に回動自在であることにより、機体の収納時や不要時には引抜搬送装置(24)側に回動させることができるので、茎葉部掻込装置(176)が地面に接触して破損することが防止されると共に、作物の搬送を妨げて作業能率を低下させることが防止される。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明の効果に加えて、茎葉部掻込装置(176)の前端部に案内回転体(178)を設けたことにより、作物の茎葉部が圃場面に這うように植生していても、案内回転体(178)で巻き上げて茎葉部掻込装置(176)に案内することができるので、茎葉部が挟持されずに抜き残される作物が減少し、抜き残された作物を作業者が掘り起こす作業が不要となり、作業者の労力が軽減される。
【0023】
また、案内回転体(178)を円弧状に形成したことにより、圃場面に接触した際に抵抗となることを防止することができるので、案内回転体(178)が機体の走行や引抜作業を妨げることがなく、作業能率が向上する。
【0024】
請求項7記載の発明によれば、請求項5または6に記載の発明の効果に加えて、茎葉部掻込装置(176)を引抜搬送装置(24)の機体内側にのみ設けたことにより、茎葉部掻込装置(176)が隣接条の作物の茎葉部を引っ張り、作物を土中から引き抜くことが防止されるので、引抜搬送装置(24)で確実に作物の茎葉部を挟持して引き抜くことができ、作業能率が向上するとともに、抜き残された作物を作業者が収穫する必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】根菜類収穫機の側面図
【図2】根菜類収穫機の平面図
【図3】引抜搬送装置の平面図
【図4】(a)振動ソイラ機構の要部平面図、(b)振動ソイラ機構の要部側面図
【図5】尾部切断装置の側面図
【図6】尾部切断装置の平面図
【図7】茎葉分岐装置の側面図
【図8】茎葉分岐装置の平面図
【図9】茎葉切断部の肩揃え装置の平面図
【図10】茎葉切断部の肩揃え装置の平面図
【図11】肩揃え装置の平面図
【図12】選別搬送コンベアと載置排出部の背面図
【図13】選別搬送コンベアと載置排出部の作業形態を示す背面図
【図14】選別搬送コンベアと載置排出部の作業形態を示す背面図
【図15】載置排出部の平面図
【図16】載置排出部の側面図
【図17】茎葉掻込装置を装着した引抜搬送装置の要部側面図
【図18】茎葉掻込装置を装着した引抜搬送装置の要部平面図
【図19】引抜搬送装置の別実施例を示す要部平面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態について説明する。
図1から図16に示すように、実施例の一つとして示す根菜類収穫機の一種である人参収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、該収穫部Cから人参を引き継いで機体後方に搬送しながら茎葉部を切断する茎葉切断部Dと、茎葉切断部Dから落下する人参を受けて人参に残った茎葉部を処理する残葉処理部Eと、残葉処理部Eから人参を引き継いで人参を機体左右一側から左右他側へと搬送し、搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Fと、該選別搬送部Fから排出される人参の収容部材を配置する収容部Gと、収容部材の底部を載置すると共に圃場に排出する載置排出部Hから構成される。
【0027】
なお、本件においては、平面図において、機体の進行方向に対して左側を機体左右一側、機体の進行方向に対して右側を機体左右他側と称する。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0028】
まず、走行部Aの構成について説明する。
図1、図2で示すように、機体フレーム1の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右従動輪3,3と、該左右駆動スプロケット2,2と左右従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4,4・・・の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右のクローラ6L,6Rを構成する。そして、該左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を、エンジン7の動力が伝動されるミッションケース8から左右両側に延出させた左右ドライブシャフト9,9に取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体フレーム1に取り付ける。
【0029】
次に、操縦部Bの構成について説明する。
図1、図2で示すように、前記機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム10を取り付け、該操縦部フレーム10には操縦座席11を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル12を取り付ける。そして、該操縦パネル12に機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー13を取り付けると共に、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー14を取り付ける。
【0030】
また、前記操縦部フレーム10の機体左右他側(機体右側)にエンジン7を冷却するラジエータ(図示省略)を保護すると共に冷却風を取り込むラジエータカバー10aを着脱自在に取り付けることにより。操縦部Bが構成される。
【0031】
上記構成により、変速操作レバー13や昇降操作レバー14のような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0032】
次に、収穫部Cの構成について説明する。
図3で示すとおり、左右の引抜フレーム15,15の搬送始端側に、左右方向に回動自在な条数調節フレーム151をそれぞれ設け、該左右の条数調節フレーム151,151の前端部に左右の従動プーリ16,16を回転自在に装着する。該左右の条数調節フレーム151,151の回動支点は、条数調節フレーム151,151の後端部よりも前方で、且つ人参の茎葉部が挟持される側とは反対側に設ける。そして、該条数調節フレーム151,151の回動支点よりも搬送始端側寄りに、条数調節フレーム151,151を回動させて人参の引抜条数を1条または2条に切り替える条数切替レバー152,152を回動操作自在に設ける。
【0033】
該条数切替レバー152,152は、収穫部Cの左右の外側端側に突出する方向に操作すると、条数切替レバー152,152のロック状態が解除され、条数調節フレーム151,151が回動可能となり、引抜条数を変更できる状態になると共に、収穫部Cの左右幅内に収まる方向に操作すると、条数切替レバー152,152の下端部が引抜フレーム15,15に接触してロック状態となり、作業中に条数が切り替わることを防止する構成とする。
【0034】
なお、左右の条数調節フレーム151,151の回動範囲は約90度とすると、ロック状態とロック解除状態がわかりやすくなるので、操作性が向上する。
また、前記左右の引抜フレーム15,15の搬送終端側に油圧式無段変速装置(図示省略)の駆動力を受けて回転する左右の駆動プーリ17,17を設け、該左右の駆動プーリ17,17と左右の従動プーリ16,16に亘って、人参の茎葉部を左右から挟持して引き抜く引抜搬送ベルト18,18をそれぞれ巻回すると共に、該左右の引抜搬送ベルト18,18に接触して弛みの発生を防止する複数のテンションローラ19を回転自在に配置する。該左右の引抜搬送ベルト18,18は、機体内側の面を互いに接触させて、人参の引抜搬送経路Rを形成する。さらに、前記左右の条数調節フレーム151,151の回動支点よりも後側に、該左右の条数調節フレーム151,151が2条引抜位置に操作された時に左右の引抜搬送ベルト18,18に接触して引抜搬送始端部の左右間隔を2条分に変更する条数切替テンションローラ153,153を回転自在に取り付ける。
【0035】
該左右の条数切替テンションローラ153,153よりも前側には、引抜搬送始端側の左右の引抜搬送ベルト18,18を内側から張圧する複数の前側テンションローラ154,154…をそれぞれ回転自在に設ける。そして、前記左右の条数調節フレーム151,151のうち、左右の条数切替テンションローラ153,153よりも後側で且つ引抜搬送経路R側に延設フレーム151a,151aを取り付け、該左右の延設フレーム151a,151aの前後方向に亘って、条数調節フレーム151,151を2条引抜位置に操作すると引抜搬送ベルト18,18に接触して押圧し、挟持力を強くする複数の後側テンションローラ155,155…をそれぞれ回転自在に設ける。
【0036】
なお、左右の後側テンションローラ155,155…を、取付位置を左右交互にずらして配置すると、2条分の引き抜きを行う際、強い挟持力を引抜搬送経路Rの始端側に生じさせることができるので、人参の茎葉部を掴み損なうことが防止され、作業能率が向上する。
【0037】
前記左右の延設フレーム151a,151aの後方には、平面視でL字形状の支持フレーム151b,151bの基部側を設け、該左右の支持フレーム151b,151bの端部側は、条数調節フレーム151,151が1条引抜位置でも2条引抜位置でも、引抜搬送ベルト18,18の巻回域よりも外側に向かって突出する配置とする。そして、該左右の支持フレーム151b,151bの端部に、引抜搬送ベルト18,18を巻回域の外側から押圧し、引抜搬送ベルト18,18の左右方向への弛みを抑える外側テンションローラ156,156を回転自在に設ける。
【0038】
なお、左右の外側テンションローラ156,156の取付位置を、前記後側テンションローラ155,155…の配置に合わせて前後方向にずらしておくと、引抜搬送ベルト18,18にかかる挟持力が左右でほぼ同じとなるため、人参の茎葉部をバランスよく掴むことができるので、人参の引抜が確実に行われ、作業能率が向上する。
【0039】
さらに、前記左右の条数調節フレーム151,151の前端部で且つ下面側に、後述する縦引起し装置25及び横引起し装置26によって持ち上げられず、圃場面に垂れ下がっている人参の茎葉部を掻き分ける分草ロッド157,157を前方に向けて配置する。該左右の分草ロッド157,157は機体前側ほど左右幅の広くなる平面視八の字状に配置すると共に、取付位置を前後方向で変更して突出量を調節可能に構成すると共に、左右方向に回動させて掻き込み幅を調節可能に構成する。
【0040】
なお、調節可能な突出量は、圃場に植生する人参同士の前後間隔の平均値に該当する50〜100mm程度とすると、余分な茎葉を持ち上げることが無く、茎葉部の絡み付きを確実に防止できるので、茎葉部が引っ張られて人参が挟持される前に引き抜かれることが防止され、圃場に残された人参の回収が不要となり、作業能率が向上する。
【0041】
また、調節可能な回動量は、平均的な人参の半径に該当する20mmから40mm程度とすると、人参が分草ロッド157,157に接触し、傷付くことが防止されると共に、隣接条の人参の茎葉部を掬い上げることが無く、隣接条の人参を土中から引き抜き、次の引抜作業時に引抜搬送装置24が人参を挟持できなくなることが防止される。
【0042】
そして、図1及び図2で示すとおり、前記機体フレーム1の上方に左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20を取り付け、該回動フレーム20の後端部に前記左右の駆動プーリ17,17に駆動力を伝動する伝動ケース22を、回動支点Xを中心として上下回動自在に取り付ける。また、前記機体フレーム1と回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、該昇降シリンダ23を操縦部Bで操作可能に取り付けて引抜搬送装置24を構成する。
【0043】
該引抜搬送装置24は、作業条件に合わせて1条掘りと2条掘りを選択するものである。2条掘りを行うと、一度の直進走行で多くの人参を引抜収穫することができるので、引抜収穫に要する時間が短くなり、作業能率の向上が図られる。
【0044】
一方、1条掘りは2条掘りに比べて時間がかかるが、人参の茎葉部やヒゲ根等の不要部の処理が確実に行われると共に、一度に運ばれてくる人参の数が少なくなるため、選別作業の精度が向上する利点がある。また、晩秋や初冬等、人参の茎葉部が枯れているときには、比較的強度の高い茎葉部の生え際を挟持する必要があるため、1条掘りの方が搬送を確実に行いやすい。
【0045】
このため、収穫した人参をそのままの形で出荷するとき、晩秋から初冬にかけて収穫作業をする際には、搬送や調整、選別が確実に行える1条掘りとすると、作業者が手作業で人参の茎葉部やヒゲ根の処理を行う必要が無く作業能率が向上すると共に、大きな傷がある人参や腐った人参、及び形状の異常な人参を収穫作業後に除外する必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0046】
一方、加工用に用いられる人参は数が必要となることが多く、外観はあまり重要でないので、2条掘りとして短時間で収穫することにより、大幅に作業能率が向上する。
また、天候が悪化して作業が中断されるおそれがあるときに、2条掘りに切り替えて作業速度を速くすることにより、人参を収穫の適期の内に収穫することができるので、人参の商品価値が向上すると共に、作業者が雨や雪に晒されながら作業する必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0047】
収穫適期に人参が残った状態で、適度な量の雨に降られると、人参が成長し過ぎてしまい、味や食感が悪くなることがある。また、雪に降られたときは、茎葉部が冷気で完全に枯れてしまい、引抜搬送装置24で挟持すると茎葉部だけが千切れ、人参の根部が土中に残されてしまうことがあり、この人参を作業者は手作業で掘り起こして収穫せねばならず、作業能率が大幅に低下する。さらに、土が冷えて人参の根部に冷気が作用すると、人参がしなびたり変色したりして、商品として出荷できなくなることがある。
【0048】
前記伝動ケース22は、引抜搬送装置24だけでなく、後述する位置揃え装置54L,54R、排葉搬送装置65及び残葉搬送装置70にも駆動力を供給するものである。
また、該引抜搬送装置24の前方に人参の茎葉部を引き起こす縦引起し装置25と、該縦引起し装置25が引起した茎葉部を掬い上げる横引起し装置26を設けると共に、該横引起し装置26の前部に分草杆27と、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部に、圃場面に接地して前記引抜搬送装置24の圃場との接触を防止する回転自在なゲージ輪31を設ける。
【0049】
さらに、図2及び図4(a)(b)で示すとおり、前記エンジン7から駆動力を得て前記縦引起し装置25に駆動力を供給する分岐伝動ケース28を回動フレーム20の前部に取り付け、該分岐伝動ケース28の出力軸28aの端部にテーパ形状の偏心カム28bを偏心させて軸着する。そして、該偏心カム28bの回転によって上下及び左右に振動する振動ロッド32の基部を装着し、該振動ロッド32の端部にスフェリカルジョイント(ピロボール)32aを設け、該スフェリカルジョイント32aにスライドブッシュ33aを介して左右他側の振動フレーム33の後部側を回動自在に取り付ける。該スライドブッシュ33aの端部にはブーツカバー33bを設け、スライドブッシュ33aやスフェリカルジョイント32aに泥土や葉屑等の夾雑物の進入を防止する。
【0050】
さらに、前記スライドブッシュ33aに伝動シャフト33cを設け、該伝動シャフト33cの左右一側端部に左右一側の振動フレーム33の後部側を回動自在に設ける。また、左右の振動フレーム33,33を後下がり傾斜姿勢とし、これらの前端部を回動フレーム20に装着し、該左右の振動フレーム33,33の前後中間部に、人参の左右の土を振動によって解す左右の振動ソイラ34,34をボルトとナット等の固定部材を介して取り付ける。該左右の振動フレーム33,33と左右の振動ソイラ34,34には固定部材を取り付ける取付孔部を複数個所に形成し、圃場条件や作業時期、人参の品種に合わせて配置を調節可能に構成している。
【0051】
そして、前記引抜搬送装置24で搬送中の人参に接触し、表面に付着している泥土を除去する左右の泥落し体34a,34aを、該振動ソイラ34,34の取付部よりも機体後側に装着すると共に、前記引抜搬送通路Rの下方に引抜搬送装置24で搬送中の人参の下端部に伸びているヒゲ根を切断する尻部切断装置35を設けて、収穫部Cを構成する。
【0052】
上記構成により、一つの引抜搬送装置24で人参の1条掘りと2条掘りを選択的に行うことができるので、一台の人参収穫機で様々な作業条件に対応することが可能となる。
この1条掘りと2条掘りの調節は、条数切替レバー152,152の操作のみで行うことができるので、掘取条数の切替操作が容易であり、作業能率が向上する。
【0053】
そして、左右の条数切替テンションローラ153,153を、左右の条数調節フレーム151,151を2条掘り位置に回動操作すると引抜搬送ベルト18,18に接触する構成としたことにより、引抜搬送装置24の搬送始端部の左右間隔を広くすることができるので、2条分の人参の茎葉部をこの左右間隔部で案内してから引き抜くことができ、茎葉部を掴み損なうことが防止されるため、抜き残された人参の回収作業が不要となる。
【0054】
また、左右の条数調節フレーム151,151の後部に設けた延設フレーム151a,151aに後側テンションローラ155,155…を設け、左右の条数調節フレーム151,151を2条掘り位置に回動操作すると引抜搬送ベルト18,18に接触する構成としたことにより、左右の条数切替テンションローラ153,153の後方位置の挟持力を強くすることができるので、左右間隔部に案内されてきた茎葉部を確実に掴んで引き抜くことができ、人参の抜き残しがより確実に防止される。
【0055】
一方、1条掘りの時には条数切替テンションローラ153,153と後側テンションローラ155,155…が引抜搬送ベルト18,18から離間することにより、引抜搬送装置24の搬送始端側の挟持力が強くなり過ぎることが防止されるので、強い挟持力が掛かり続けて茎葉部がすり潰されて人参の根部が搬送途中で落下することが防止され、人参を拾い集める作業が不要となって作業者の労力が軽減されると共に、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が維持される。
【0056】
さらに、外側から引抜搬送ベルト18,18を押圧する左右の外側テンションローラ156,156を設けたことにより、引抜搬送ベルト18,18が弛み、外側に向かって広がることを防止することができるので、引抜搬送ベルト18,18がカバー(図示省略)等に接触して摩耗することや、接触の際に外れることが防止されるため、引抜搬送ベルト18,18の耐久性が向上する。
【0057】
そして、機体前側に分草杆27を備える横引起し装置26と、縦引起し装置25を設けることによって、圃場に倒伏した人参の茎葉を掻き上げながら収穫作業ができ、収穫する人参の視認性が向上するので引き抜き位置が合わせやすく、作物の抜き残しが減少するため作業能率が向上する。
【0058】
また、テーパ形状の偏心カム28bを分岐伝動ケース28の出力軸28aに装着し、この偏心カム28bに振動ロッド32を設けて上下及び左右に振動可能に構成したことにより、人参の周囲の土を上下方向だけでなく左右方向の振動でより細かく解すことができるので、人参が引抜搬送装置24に確実に引き抜かれて抜き残しの発生が防止され、抜き残し人参を収穫する作業が不要となり、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0059】
そして、振動ロッド32の端部にスフェリカルジョイント32aを設け、このスフェリカルジョイント32aにスライドブッシュ33aを介して左右他側の振動フレーム33を設けたことにより、振動ソイラ34,34の左右方向の振動幅を拡げることができるので、人参の周りの土の解れがいっそうよくなり、抜き残し人参が減少する。
【0060】
これに加えて、左右の振動の際に生じる負荷が軽減されるため、振動ロッド32や振動フレーム33の耐久性が向上する。
さらに、伝動シャフト33cを介して左右一側の振動フレーム33を設け、左右一側の振動フレーム33にはスフェリカルジョイント32aやスライドブッシュ33aを設けないことにより、隣接する人参があり土が固い側(未掘り側)は上下のみの振動で土を解すので、土が固い側の振動ソイラ34にかかる抵抗が小さくなり、振動ソイラ34や振動フレーム33の耐久性が向上する。なお、上下及び左右方向に振動する左右他側の振動ソイラ34は、既に人参が掘り起こされており土が柔らかい側(既掘り側)の土を解すので、比較的負荷が小さく、耐久性に問題が生じることはない。
【0061】
そして、左右の泥落し体34a,34aを設けたことにより、搬送中の人参に付着した泥土を除去することができるので、機体の掃除にかかる時間が短縮されてメンテナンス性が向上すると共に、作業者や選別作業者が人参の形状や傷等の異常の有無を目視することができるので、人参の選別精度が向上する。
【0062】
さらに、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部にゲージ輪31を設けたことによって、ゲージ輪31を圃場面に接地させるとそれ以上引抜搬送装置24が下降しなくなるので、操縦者の操縦ミスや予期せぬ地面の凹凸によって引抜搬送装置24の下端部が圃場面に接触して破損することが防止される。
【0063】
そして、機体フレーム9と左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、昇降シリンダ23を操縦部Bの昇降操作レバー14を操作することによって伸縮させる構成としたことによって、昇降操作レバー14の操作により収穫部C全体の上下高さを調節することができるので、収穫部Cの引抜搬送始端部の位置を上下方向に調節しするとともに圃場に植生する人参の適切な引き抜き高さに合わせて引抜搬送始端部の位置調節を行え、人参の抜き残しが防止されるので作業能率が向上する。
【0064】
また、旋回時に収穫部Cを上昇させておくと、収穫部Cの下端部が圃場に接触しにくくなるため、旋回動作がスムーズに行われて作業能率が向上する。
図2、図5及び図6で示す前記尻部切断装置35は、引抜搬送通路Rの搬送中心線上に位置する大径の第1尾部切断装置35aと、引抜搬送通路Rの搬送中心線よりもやや側方(左右他側)寄りで第1尾部切断具120の側方(左右他側)に位置する小径の第2尾部切断装置35bで構成される。そして、前記第1尾部切断装置35aの前方にゴム等の弾性板で構成する、人参の上下長さを基準として第1尾部切断装置35aまたは第2尾部切断装置35bに振り分ける振分ガイド122を設け、前記第1尾部切断装置35aと第2尾部切断装置35bの左右間に、振分ガイド122を通過した人参を確実に第1尾部切断装置35aと第2尾部切断装置35bに仕分ける、前端部が平面視でV字形の仕分けガイド35cを設ける。
【0065】
なお、前記振分ガイド122は、少なくとも上部を弾性体で構成すると、人参が接触した際に摩擦で傷が付くことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。また、前記仕分けガイド123の後端部は、第1尾部切断装置35a(尾部切断装置35)の後端まで延設すると、ヒゲ根除去中に機体が揺れても、人参が第1尾部切断装置35aと第2尾部切断装置35bの間を行き来することが防止されるので、人参に残ったヒゲ根を作業者が除去する作業が不要になるので作業者の労力が軽減されると共に、人参が第1尾部切断装置35aや第2尾部切断装置35bにぶつかって傷付くことが防止されて人参の商品価値が向上する。
【0066】
そして、前記第1尾部切断装置35a及び第2尾部切断装置35bは、対向する尾部切断刃124を備えて共通の左右方向の切断具駆動軸125により駆動回転し、回転の180度の位相ごとに尾部切断刃124が人参のヒゲ根に作用して切断する構成となっている。従って、第1尾部切断装置35a及び第2尾部切断装置35bは共通の切断具駆動軸125によって回転するので、構造が簡単になりコストダウンが図られる。
【0067】
また、切断具駆動軸125を駆動する切断駆動モータ126は、第2尾部切断装置35bよりも大径で重量のある第1尾部切断装置35a側(第1尾部切断装置35aの左側)で且つ一部が第1尾部切断装置35aの内部空間に配置されているので、回転負荷が過剰にかかることなく第1尾部切断装置35a及び第2尾部切断装置35bを良好に駆動することができ、ヒゲ根の切断精度が向上する。なお、切断具駆動軸125よりも上側位置で尾部切断刃124が人参のヒゲ根を切断する。
【0068】
さらに、第1尾部切断装置35aと第2尾部切断装置35bは、尾部切断刃124の位相を互いに90度異ならせて配置していることにより、第1尾部切断装置35aと第2尾部切断装置35bが同時にヒゲ根を切断構成となるので、切断具駆動軸125の駆動抵抗が局所的に増大することを防止している。
【0069】
また、第1尾部切断装置35a及び第2尾部切断装置35bの各々の少なくとも上側の外周部分には、前後方向に延びるスリット127aを左右に複数配列した安全ガード127を設けている。人参の尾部は、該スリット127aから安全ガード127内に進入し、第1尾部切断装置35aまたは第2尾部切断装置35bにより切断される。
【0070】
前記振分ガイド122は、引抜搬送通路Rの搬送中心線上から第2尾部切断装置35bの前方へ案内するべく、右側へ向かうほど後位となる傾斜状に構成されている。機体平面視で前記振分ガイド122の第2尾部切断装置35b側の端部(右端、後端)の位置に仕分けガイド123があり、該仕分けガイド123は振分ガイド122よりも高位で、且つ左右挟持搬送ベルト18の後上がり傾斜の搬送軌跡に対して高位(前記搬送軌跡に近い位置)に配置されている。上記の仕分けガイド123及び振分ガイド122は、左右挟持搬送ベルト18よりも下側に配置されている。
【0071】
従って、泥落し体34a,34aを通過して引抜搬送通路R上で斜め後上方に搬送されてくる人参は、先ず振分ガイド122により長尺のものと短尺のものとに振り分けられる。すなわち、長尺の人参は、下部が振分ガイド122に接触しながら搬送され、振分ガイド122により第2尾部切断装置35b側へ案内される。短尺の人参は、下部が振分ガイド122に接触しない、あるいは極めて小さい接触力で接触しながら搬送されるので、引抜搬送通路Rの搬送中心線上でそのまま振分ガイド122を越えて後側へ搬送され、第1尾部切断装置35aへ供給される。
【0072】
振分ガイド122で左右に振り分けられた人参は、仕分けガイド123により確実に仕分けられ、第1尾部切断装置35aまたは第2尾部切断装置35bへと供給される。長尺の人参は小径の第2尾部切断装置35bで切断され、短尺の人参は大径の第1尾部切断装置35aで切断されるので、人参の長さに対応して適切な位置で尾部を切断できる。
【0073】
なお、機体側面視で、振分ガイド122の上端を通り且つ左右の挟持搬送ベルト18,18の後上がり傾斜と平行な線(図6参照)よりも下側に第2尾部切断装置35bは配置され、第1尾部切断装置35aの尾部切断刃124は第1尾部切断装置35aの回転により前記線よりも上側に突出する位置に配置されている。また、第2尾部切断装置35bを通過した長尺の人参は、左右の挟持搬送ベルト18,18の搬送により、後述する分岐体128よりも前側で再度引抜搬送通路Rの搬送中心線上に復帰する。
【0074】
よって、短尺の人参は尾部切断装置43が作用する箇所でも引抜搬送通路Rの搬送中心線上で搬送されるので、短尺で左右挟持搬送ベルト18から脱落したり、搬送姿勢が悪化したりする等の搬送のトラブルを防止して、確実に搬送することができる。
【0075】
従来の尾部切断装置は、引抜搬送通路上に単一の尾部切断具を設けた構成であり、人参の長さに拘らず所定の位置で尾部を切断するので、長尺の人参では不必要に下部を切除したり、短尺の人参では適正に尾部を切断できなかったりする不都合が生じることが考えられる。また、従来の尾部切断装置は、例えば長尺の人参に続いて短尺の人参が供給される場合、長尺の人参へ切断作用力が奪われる分、短尺の人参の尾部の切断を適正に行いにくい不都合が考えられる。
【0076】
なお、上記においては、第1尾部切断装置35a及び第2尾部切断装置35bを回転する構成として第1尾部切断装置35aを大径とすると共に、第2尾部切断装置35bを小径としたが、第1尾部切断装置35a及び第2尾部切断装置35bを直線移動軌跡で切断する構成とし、左右の挟持搬送ベルト18,18の後上がり傾斜の搬送軌跡に対して第1尾部切断装置35aを第2尾部切断装置35bよりも上側に配置してもよい。
【0077】
即ち、第1尾部切断装置35a及び第2尾部切断装置35bがいかなる構成であっても、左右の挟持搬送ベルト18,18の後上がり傾斜の搬送軌跡に対して、第1尾部切断装置35aの切断作用位置が第2尾部切断装置35bの切断作用位置よりも上側に配置されればよい。
【0078】
次に、茎葉切断部Dについて説明する。
図1及び図9から図11で示すとおり、前記伝動ケース22に駆動力を伝道する左右の伝動軸36,36を取り付け、該左右の伝動軸36,36の上部に左右伝動ケース37,37を取り付けると共に、該左右の伝動ケース37,37内に複数のギアを噛み合わせて構成する左右の第1ギアユニット38,38を機体前側に向かって取り付ける。また、前記伝動ケース22内部の左右の伝動軸36,36に左右の第2ギアユニット39,39を機体後側に向かって取り付け、該左右の第2ギアユニット39,39の後端部に左右の第1出力軸40,40を機体上方に向けて軸着する。
【0079】
そして、前記の左右第1ギアユニット38,38の前端部に左右の第2出力軸41,41を機体下方に向けて軸着し、該左右の第2出力軸41,41に左右の位置揃え駆動スプロケット42,42を軸着する。さらに、前記左右伝動ケース37,37の前下部に側面視L字型の左右の位置揃えフレーム43,43を取り付け、該位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、該孔部44,44に左右の位置揃え従動スプロケット45,45を軸着した左右回転軸46,46を取り付ける。また、該位置揃え従動スプロケット45,45と位置揃え駆動スプロケット42,42との前後間で且つ位置揃え駆動スプロケット42,42よりも機体内側位置に左右の位置揃えテンションスプロケット47,47を回転自在に取り付ける。さらに、該位置揃えテンションスプロケット47,47と位置揃え駆動スプロケット42,42と位置揃え従動スプロケット45,45とに左右の位置揃えチェーン48,48を無端状に巻回する。
【0080】
なお、前記位置揃え駆動スプロケット42,42は、位置揃え従動スプロケット45,45及び位置揃えテンションスプロケット47,47よりも小径のものを用いてもよい。
そして、前記伝動ケース37,37に左右の受け板49,49を前後方向に位置調節可能に取り付け、該受け板49,49と位置揃えフレーム43,43との間に、前記位置揃え従動スプロケット45,45を付勢して位置揃えチェーン48,48に生じる弛みを吸収させる左右の付勢バネ50,50を取り付ける。該付勢バネ50,50は、受け板49,49を前後に移動させることにより、位置揃え従動スプロケット47,47にかかる付勢力を変更することができ、人参の種類や生育状態、茎葉部の平均的な太さに応じて変更することで、様々な作業条件に対応することができる。
【0081】
また、前記左右の位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成、該孔部44,44に位置揃え従動スプロケット45,45の回転軸46,46を貫通させて設けたことにより、位置揃え従動スプロケット45,45を左右方向に移動させて位置調節することができるので、非作業時及び茎葉部が通過中でない、あるいは径の小さい茎葉部が通過する際は、位置揃え従動スプロケット47,47は付勢バネ50,50に押圧されて前側で且つ機体内側方向に向かって押圧され、大径の茎葉部が通過する際には位置揃え従動スプロケット47,47は機体外側方向に向かって押圧される構成となり、大径の茎葉部が噛み込まれることを防止でき、噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く作業能率が向上する。
【0082】
加えて、位置揃え装置54の搬送始端側から搬送終端側までの左右間隔が、大径の茎葉部が通過して負荷がかかったときのみ略直線状となるので、それ以外の場合には位置揃え装置の左右間隔を搬送始端側から搬送終端側に向かって広がる構成となり、位置揃え装置54の左右間隔を通過する人参が左右方向にふらつくことを防止でき、人参の茎葉部の切断位置揃えが適正に行なわれる。
【0083】
さらに、大径の茎葉部が位置揃え装置54の左右間を通過できず、人参の茎葉部の切断位置が上がり過ぎ、根部に茎葉部が残ることを防止でき、後処理でこの茎葉部を取り除く作業が不要となり、作業能率が向上すると共に、人参が持ち上げられ過ぎ、根部を後述する茎葉切断装置61に切断されてしまうことを防止できるので、人参が傷付くことが無く、商品価値が向上する。
【0084】
そして、前記位置揃えチェーン48,48の巻回域内で且つ位置揃え従動スプロケット45,45と位置揃えテンションスプロケット47,47との間に、位置揃えチェーン48,48を巻回域内から茎葉部接触面に向かって押圧する左右のテンションプレート53,53を機体左右方向に位置調節自在に取り付けることにより、位置揃え装置54が引抜搬送装置24の搬送方向後側の下方位置に構成される。
【0085】
該テンションプレート53,53は、前記伝動ケース37,37に長穴を形成して取付軸53a,53aをボルト等着脱可能な部材で位置調節に取り付け、該取付軸53a,53aの端部に板体53b,53bを溶着して構成する。
【0086】
なお、テンションプレート53,53は、位置揃え装置54に略平行位置に設けてもよいが、機体外側の位置揃え装置53の前側にテンションプレート52を設ける場合、機体内側の位置揃え装置53のテンションプレート52は位置揃え装置53のテンションプレート52よりも機体後側に設けると、大径の茎葉部が位置揃え装置54の左右間を通過する際、テンションプレート52またはテンションプレート52の無い側に位置揃えチェーン48及び位置揃えガイド体52が移動するので、人参の茎葉部の径が大きくても位置揃え装置54に噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が向上する。
【0087】
加えて、テンションプレート53,53の張力は、前記付勢バネ50,50の張力よりも弱く設定すると、大径の茎葉部が通過して負荷がかかると位置揃えチェーン48,48が適正な位置まで撓んで退避することができるので、位置揃え装置54に噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が向上する。
【0088】
そして、前記位置揃え駆動スプロケット42,42の近傍で且つ位置揃えガイド体52,52の外側位置で伝動ケース37,37に長穴を形成し、この長穴に位置揃えガイド体52,52の表面に付着した茎葉部の切れ端や泥等を落とす左右のスクレーパ55,55を位置揃えガイド体52,52の軌跡に沿って位置調節時際に取り付ける。
【0089】
前記スクレーパ55,55は、後下り傾斜姿勢で配置することにより、茎葉部の切れ端や泥を下方に落下させやすくなる。
そして、前記左右第1ギアユニット38,38の位置揃え装置54の後方位置に左右の切断刃回転軸56,56を軸着し、該切断刃回転軸56,56に左右のベアリング57,57を回転自在に取り付ける。そして、前記左右のベアリング57,57に左右の支持プレート59,59を取り付け、該支持プレート59,59に左右の茎葉切断刃60,60を取り付けて、茎葉切断装置61が構成される。
【0090】
また、前記左右第1出力軸40,40に左右茎葉搬送駆動プーリ62,62を軸着し、前記左右第1ギアユニット38,38よりも機体前側で且つ位置揃え装置54L,54Rの上方に左右茎葉搬送従動プーリ63,63を回転自在に取り付ける。そして、該左右茎葉搬送駆動プーリ62,62と左右茎葉搬送従動プーリ63,63とに左右排葉搬送ベルト64,64を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から人参の茎葉部を引き継いで機体後方に排出する排葉搬送装置65が、前記左右の伝動ケース37,37の上部外周で且つ引抜搬送装置24の搬送終端側の下方に構成される。
【0091】
さらに、前記左右第1出力軸40,40の上端部に左右残葉搬送駆動プーリ66,66を軸着し、前記伝動ケース37,37の上方に左右残葉搬送従動プーリ67,67を回転自在に取り付けるとともに、該左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67との前後間に複数の左右の残葉搬送テンションプーリ68,68…を取り付ける。そして、前記左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67と左右残葉搬送テンションプーリ68,68…とに左右残葉搬送ベルト69,69を無端状に巻回することによって、茎葉の上部を挟持して機体後方に搬送する残葉搬送装置70が、前記排葉搬送装置65の上方に構成される。
【0092】
上記排葉搬送装置65と残葉搬送装置70の終端部から茎葉切断装置61によって切断された茎葉を圃場に排出する排葉シュータ71を設けて、茎葉切断部Dを構成する。
なお、位置揃え装置54、排葉搬送装置65、残葉搬送装置70及び茎葉切断装置61はそれぞれ左右一対設け、引抜搬送経路R上で各装置の内側端部同士をオーバーラップさせる構成とする。
【0093】
そして、図7及び図8で示すとおり、前記左右の引抜フレーム15,15のうち位置揃え装置54よりも前側位置に、長孔202を前後一対形成した正面視で取付プレート201,201を設け、左右の該取付プレート201,201の下端部に平面視V字型の内側通路ロッド203を設け、該分岐通路ロッド203の二股部分を機体後側に向けて配置する。
【0094】
また、前記左右の取付プレート201,201よりも前側で且つ左右中央部に左右の第2取付プレート204,204を設け、該第2取付プレート204,204に平面視への字形状の外側通路ロッド205,205を設ける。該外側通路ロッド205,205と内側通路ロッド203の間には、人参の茎葉部が通過可能な間隔を形成することにより、人参の茎葉部が左右の位置揃え装置54,54に分岐案内される平面視Y字型の通路が構成される。
【0095】
さらに、前記左右の外側通路ロッド205,205の前端部に、側面視L字型の分岐案内ロッド206,206を上下方向に設け、該左右の分岐案内ロッド206,206の左右間隔部に人参の茎葉部をY字の左右に振り分ける茎葉分岐体207を設けることにより、茎葉分岐装置208が位置揃え装置54,54の前方に構成される。該茎葉分岐体207は、接触時に茎葉部を潰したり断ち切ったりすることを防止すべく、ローラやボール等の滑らかな曲面を有する部材で構成するとよい。
【0096】
上記構成により、左右の位置揃え駆動スプロケット42,42が、茎葉部が通過する位置揃え装置54の左右間隔部から離間する位置に配置されることにより、位置揃え駆動スプロケット42,42や第2出力軸41,41に茎葉部が絡み付いて位置揃え装置54を停止させてしまうことを防止できるので、収穫作業が中断されず、作業能率が向上する。
【0097】
また、位置揃え駆動スプロケット42,42を位置揃え従動スプロケット45,45及び位置揃えテンションスプロケット47,47よりも小径としたことにより、位置揃え駆動スプロケット42,42がいっそう位置揃え装置54の左右間隔部から離間するので、位置揃え駆動スプロケット42,42や第2出力軸41,41に茎葉部が絡み付くことをいっそう防止でき、作業能率がさらに向上する。
【0098】
そして、位置揃え従動スプロケット45,45を付勢する左右の付勢バネ50,50を設けたことにより、位置揃え装置54に茎葉部が接触する際に左右の位置揃えチェーン48,48に生じる弛みを吸収させることができ、位置揃えチェーン48,48がすぐに張り状態に戻るため、径の異なる茎葉部が連続して通過するときでも位置揃え装置54が確実に人参の茎葉部を受けることができ、人参の茎葉部の切断位置が適正に揃えられて茎葉部が適正に切断され、後工程で茎葉部を除去する必要が無く、作業能率が向上する。
【0099】
また、左右の受け板49,49を前後方向に移動させることで付勢バネ50,50の張力が調節されることにより、人参の生育状況や品種による茎葉部の径の差異、あるいは天候や土質等、作業場所の作業条件に合わせて張力を適正に変更できるので、人参の茎葉切断位置の位置揃えを適正に行い茎葉部を確実に切断することにより、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0100】
さらに、左右の位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、この孔部44,44に位置揃え従動スプロケット45,45を軸着した回転軸46,46を移動自在に設けたことにより、負荷がかからない状態では、付勢バネ50,50に付勢された位置揃え従動スプロケット45,45は茎葉部の搬送経路寄りに移動するので、小径の茎葉部が通過する際に位置揃え装置54が茎葉部を受けて人参の茎葉部の切断位置を適正に揃えることができ、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0101】
また、大径の茎葉部が通過する際、位置揃え装置54に大きな負荷がかかると、位置揃え従動スプロケット45,45は孔部44,44に沿って茎葉部の移動経路から離間する方向に移動するので、位置揃え装置54の前側の左右間隔が広くなり、茎葉部が位置揃え装置54の間隔部に噛み込まれることを防止でき、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0102】
なお、人参の茎葉部が須らく大径であることが収穫作業前にわかっている場合には、位置揃え従動スプロケット45,45を位置揃え装置54の左右間から離間する方向に移動させ、位置揃え装置54の搬送方向上手側の左右間隔を広くしておくと、位置揃え装置54が茎葉部を噛み込むことを防止でき、噛み込んだ茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0103】
そして、位置揃えチェーン48,48の巻回域内に左右のテンションプレート53L,53Rを設けたことにより、位置揃えチェーン48,48を巻回域内から押圧するため、大径の茎葉部が通過する際、テンションプレート53,53が押圧していない部分の位置揃えチェーン48,48は位置揃え駆動スプロケット42,42の方向へ退避できるので、茎葉部が位置揃え装置54の左右間に噛み込まれることが無く、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0104】
また、位置揃え駆動スプロケット42,42の外周を移動する位置揃えガイド体52,52に付着した茎葉部の破片や泥等の夾雑物を擦り落とす左右のスクレーパ55,55を設けたことによって、茎葉部の移動経路から離れて位置で位置揃えガイド体52,52に付着した夾雑物を除去することができるので、茎葉部の破片が位置揃え装置54の各部に絡み付くことが防止され、機体を止めて絡み付いた茎葉部の破片を取り除く必要が無く作業能率が向上すると共に、泥の塊が人参の根部を傷つけることが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0105】
さらに、スクレーパ55,55は長穴に沿って取り付け位置を変更することができるので、収穫作業を行う圃場の人参の茎葉部の径の平均に合わせて最適な位置にスクレーパ55,55を設定し、確実に茎葉部の破片や泥等の夾雑物を位置揃えガイド体52,52から除去することにより、上記の効果がさらに向上する。
【0106】
そして、茎葉切断装置61で人参から切断された排葉(切断された茎葉部)を圃場に排出する排葉シュータ71が、既掘り側(人参を収穫し終えた側)に茎葉を排出するように下方傾斜姿勢に設けられていることによって、排出された茎葉が未掘り側(人参を収穫していない側)の人参の上に落下し、排葉が左右挟持搬送ベルト19,19や左右従動プーリ17,17等に絡み付いて収穫部Cを停止させて収穫作業を妨げることが防止できるので、作業能率が向上すると共に、人参の上に落下した排葉が収穫する人参の視認性を妨げることを防止できる。
【0107】
さらに、位置揃え装置54、茎葉切断装置61、排葉搬送装置65及び残葉搬送装置70をそれぞれ左右一対設け、各装置の内側をオーバーラップさせて配置したことにより、2条分の人参を引抜収穫して搬送される人参の量が増加しても、二つ設ける各装置で茎葉部の切断位置決めや切断処理、茎葉部の排出を行うことができるので、人参の茎葉部が確実に処理されると共に、茎葉部の切断位置が安定するため、人参に残った茎葉部を作業者が手作業で処理する機会が減少し、作業者の労力が軽減される。
【0108】
また、茎葉部が搬送経路に詰まったり、茎葉切断装置61の回転を止めたりすることを防止できるので、詰まった茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
そして、一対の位置揃え装置54,54の前側に、平面視でY字形状の茎葉分岐装置208を設けたことにより、人参が左右どちらか一側の位置揃え装置54,54に偏って案内されにくくなるので、二つの位置揃え装置54,54で確実に人参の搬送及び茎葉部の切断を行うことができ、作業能率が向上する。
【0109】
次に、残葉処理部Eについて説明する。
図1及び図2で示すとおり、前記茎葉切断装置61の下方に前後残葉処理フレーム72,72を設け、該残葉処理フレーム72,72の機体左右一側の前後間に第1残葉処理駆動ローラ73aを回転自在に取り付ける。また、前記残葉処理フレーム72,72の機体左右他側の前後間で且つ第1残葉処理ローラ73aよりも下方位置に第2残葉処理駆動ローラ73bを回転自在に取り付ける。そして、該第1残葉処理駆動ローラ73aと第2残葉処理駆動ローラ73bとにゴムやウレタン等の弾性体で構成する残葉処理ベルト74を無端状に巻回する。さらに、該残葉処理ベルト74の上部に人参の根部に残った残葉を残葉処理ベルト74と共に挟み込んで回転して切除する残葉処理ローラ75を取り付けて、茎葉切断部Dから引き継いだ人参の残葉を処理しながら機体外側方向から左右内側方向に搬送する残葉処理コンベア76を構成することにより、残葉処理部Eが構成される。
【0110】
なお、該残葉処理コンベア76は、機体左右一側から左右他側に向けて2〜5度程度傾斜させると、人参が搬送順路を逆行しにくくなり、搬送能率が向上する。
これにより、落下した人参は残葉処理ベルト74の駆動と傾斜による移動により移動するので、残葉処理コンベア76上で人参の移動が停止することがなく、手作業で停止した人参を動かす必要がなく、作業能率が向上する。また、残葉処理コンベア76が若干(約2〜5度)傾斜していることにより、機体が圃場の状態等により機体左右一側方向に傾斜しても残葉処理コンベア76は地面に対して略水平状態となるに留まるので、人参が残葉処理コンベア76上に停滞したり、残葉処理コンベア76の搬送方向とは逆方向に移動したりすることがなく、こうした人参を手作業で搬送経路に戻す必要がなく、作業能率が向上する。
【0111】
上記構成により、残葉処理コンベア76を構成する残葉処理ローラ75が、茎葉切断装置61で切り残された人参の残葉を千切り取るため、収穫作業後に人手で残葉を切除する作業を省略することができ、作業能率が向上する。
【0112】
また、残葉処理コンベア76を構成する残葉処理ベルト74をゴムやウレタン等の弾性体で構成したことによって、茎葉切断装置61で茎葉部を切除されて人参が落下しても残葉処理ベルト74が落下の衝撃を軽減するので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質が向上する。
【0113】
次に、選別搬送部Fについて説明する。
図 で示すとおり、機体前側の前記残葉処理フレーム72よりも機体前側で且つ前記位置揃え装置54L,54Rの下方に、前後の第1搬送フレーム77,77を前後方向に所定間隔を開けて配置し、該第1搬送フレーム77,77の機体内側端部(機体左右他側端部)で且つ外側に前後の第2搬送フレーム78,78を前後方向に所定間隔を空けて且つ搬送終端部側が上下回動自在に配置する。該前後の第1搬送フレーム77,77は、正面(背面)視でT字型であり、左右他側には、左右中央部から左右他側に向かうほど上方に傾斜する上方傾斜部を有する形状とする。
【0114】
そして、前記第1搬送フレーム77,77の機体左右一側端部で且つ残葉処理コンベア76の搬送面、即ち残葉処理ベルト74の上面よりも下方に、前記茎葉切断装置61に到達する前に茎葉部が千切れて落下した人参を受けて左右一側から他側へ搬送する回収コンベア160を配置する。該回収コンベア160は、人参が落下の衝撃で傷付くことを防止すべく、ゴム等の弾性体で構成するベルト式の搬送装置である。
【0115】
なお、回収コンベア160は、左右一側から左右他側に向けて5度程度下り傾斜姿勢で配置し、回収コンベア160に載った人参が転がって移動しやすくすることにより、回収コンベア160に人参が載ったまま停滞することを防止している。これにより、回収コンベア160から人参を手作業で移動させる必要が無く、作業能率が向上するとともに、回収コンベア160に滞留している人参に落下してきた人参が接触し、衝突の衝撃で人参が傷付くことが防止されるため、人参の商品価値が維持される。
【0116】
そして、前記第1搬送フレーム77,77の左右他側端部に第2搬送フレーム78,78を上下回動自在に設け、該前後の第2搬送フレーム78,78の前後間並びに第1搬送フレーム77,77の前後間に、前記回収コンベア160と残葉処理コンベア76から人参を引き継いで機体左右一側から左右他側に搬送すると共に、搬送中の人参を作業者が手作業で選別する選別搬送コンベア87を構成する。該選別搬送コンベア87の搬送始端部は前記回収コンベア160の搬送終端部の側方に設け、搬送終端部は前記操縦部フレーム10の左右他側端部と略同一直線上、または左右他側端部よりも機外に僅かに突出する位置とする。
【0117】
また、該選別搬送コンベア87は、前後一対の搬送チェーン(図示省略)の前後間に、塩化ビニル等の樹脂材やステンレス等の金属材で構成する円筒形の搬送バー87a…を、左右方向に所定間隔毎に配置して構成している。なお、搬送バー87a…を金属材で構成するときは、外周面に塩化ビニル等のマットを巻回して設け、人参が搬送バー87a…と接触する際の衝撃を緩和し、人参が破損して商品価値が低下することを防止する構成とすることが望ましい。
【0118】
さらに、前記前後の第2搬送フレーム78,78の下部の前後間に亘って支持プレート86を取り付け、該支持プレート86と機体フレーム1との間に選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上下動させる昇降シリンダ88を伸縮自在に取り付ける。そして、前記選別搬送コンベア87の搬送終端部の下部に、選別搬送コンベア87の搬送終端部から排出される人参を滑らせて移動させる、ゴム板や塩ビ板等の軟質部材で構成する排出シュータ89を端部が下方に垂れ下がる姿勢で取り付ける。
【0119】
また、前記機体フレーム1の機体左右他側の後部で且つ選別搬送コンベア87よりも機体後側に、前記選別搬送コンベア87で搬送中の人参の選別作業や選別搬送コンベア87の操作を行なう補助作業者が搭乗する搭乗ステップ90を配置し、該搭乗ステップ90上で且つ選別搬送コンベア88の中継スプロケット80,80を配置した近傍位置に補助作業座席91を取り付ける。
【0120】
さらに、前記昇降シリンダ88を伸縮操作して選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上下動させる昇降操作ペダル92を選別搬送コンベア87の搬送経路の下方に配置する。
そして、該搭乗ステップ90上で且つ補助作業座席91に着座した補助作業者が足で踏んで操作できる位置に配置することによって、選別搬送部Fが構成される。
【0121】
上記構成により、茎葉部が切れて搬送途中に人参が落下することがあっても、人参は回収コンベア160を経由して選別搬送コンベア87に移動し、元の移動経路に戻ることができるので、搬送経路外に落ちた人参を拾い集める作業が不要となり、作業者の労力が軽減される。
【0122】
また、回収コンベア160を残葉処理コンベア76の搬送面よりも下方に配置したことにより、大量の人参が一斉に供給されたときなど、残葉処理ローラ75に当たらずに機体前側に人参が押し出される条件となっても、押し出されてきた人参は停滞することなく回収コンベア160に移動することができるので、人参の収穫作業が停滞することが防止され、作業能率が向上する。
【0123】
さらに、回収コンベア160を機体左右一側から左右他側に向かう下方傾斜姿勢とすると、回収コンベア160に受け止められた人参が自重で転がって選別搬送コンベア87に向かって移動することができるので、回収コンベア160上に人参が留まり、選別搬送コンベア87側に搬送される途中で上方から落下してくる人参と接触することが防止されるため、人参が傷つくことが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0124】
そして、昇降シリンダ88を操作する昇降操作ペダル92を補助作業座席91に着座した補助作業者の足が届く位置に設けたことにより、補助作業者は補助作業座席91に着座したまま選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上下動させることができ、作業能率が向上するとともに作業者の労力が軽減される。
【0125】
また、昇降操作ペダル92を設けたことにより、補助作業者は選別搬送コンベア87の上下動を足だけで操作することができ、手を搬送中の人参の選別作業に集中させられるので選別精度が向上すると共に、手を選別搬送コンベア87の構成部材で挟んだり切ったりすることが防止でき、作業の安全性が向上する。
【0126】
次に、収容部Gの構成について説明する。
図2、図12から図14で示すとおり、前記選別搬送コンベア87の前後の第2搬送フレーム78,78の搬送方向下手側(左右他側)に回動シャフト93を機体前後方向に貫通させて取り付け、該回動シャフト93の前後両端部に前後のハンガーアーム95,95の基部側を設ける。該ハンガーアーム95,95は左右方向略中央部に屈曲部95a,95aを形成し、該屈曲部95a,95aから機体外側端部に亘って上方に向かう形状、即ち正面視あるいは背面視で逆“へ”の字形状に屈曲させた形状とすると、選別搬送コンベア87を上昇させた際にハンガーアーム95,95が下方に回動しても、前後の第2搬送フレーム78,78とハンガーアーム95,95との間に隙間が生じなくなり、補助作業者が選別搬送コンベア87の搬送終端部に向かって腕を伸ばしていても、第2搬送フレーム78,78とハンガーアーム95,95とに腕を挟まれることがなく、作業者の安全性が向上する。
【0127】
また、ハンガーフレーム95,95が第2搬送フレーム78,78の搬送終端側の近傍に位置することにより、ハンガーフレーム95,95がどの傾斜角度であっても第2搬送フレーム78,78よりも下方に位置するので、補助作業者の選別作業スペースが広くなるので、選別精度が向上すると共に、作業能率が向上する。
【0128】
そして、前記ハンガーアーム95,95の端部側に前後方向に亘って選別搬送コンベア87の機体前後端部よりも前後方向に突出するハンガーフレーム96を取り付け、該ハンガーフレーム96の前後両端部に人参を収容する収容袋(フレキシブルコンテナバッグ)97を前後左右の4点を引っ掛けて吊り下げ支持する前後一対の吊下げハンガー98,98を左右方向に回動自在に取り付ける。
【0129】
そして、図14で示すように、選別搬送コンベア87の下方で且つ回動シャフト93よりも選別搬送コンベア87の搬送方向上手側に、収容袋97の機体内側の吊り帯97iを引っ掛ける吊り帯フック107を取り付け、前記ハンガーフレーム96の上部に機体外側の吊り帯97oを引っ掛ける吊り帯ピン108を機体上方に向けて配置することにより、収容袋吊下げ装置85が構成される。
【0130】
該機体内外側の吊り帯97i,97oは、人参を収容した収容袋97をフォークリフトやホイストに引っ掛けて吊り下げるための部材である。
上記構成により、選別搬送コンベア87の搬送終端部と収容袋97の機体左右一側部との落差が常に略一定となるので、落下の衝撃で人参が傷付くことを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0131】
また、収容袋97の機体内側に設けた吊り帯97iを選別搬送コンベア87下の吊り帯フック107に引っ掛けると共に、機体外側に設けた吊り帯97oをハンガーフレーム96上の吊り帯ピン108に引っ掛けることにより、収容袋97を吊り帯97i,97oが引っ張るので、収容袋97に生じる弛みを軽減することができる。
【0132】
そして、排出シュータ89の端部を収容袋97の内側に垂れ下がらせたことにより、排出シュータ89と収容袋97との間の人参が落下し得る空間部がなくなるので、選別搬送コンベア87から排出される人参が落下することを防止でき、人参の商品価値が向上する。該排出シュータ89の機体前後方向の幅は、選別搬送コンベア87の機体前後方向の幅と略同じにすると、上記の人参の落下防止効果がいっそう向上する。
【0133】
次に、載置排出部Hの構成について説明する。
図2、図15及び図16で示すとおり、前記機体フレーム1の機体左右他側後部に前後支持プレート109,109を機体左右方向に取り付け、該前後支持プレート109,109の機体外側端部に載置部フレーム110を、左右回動軸110aを回動支点として機体左右方向に回動自在に取り付ける。そして、該載置部フレーム110の後下部に上下回動軸111aを設け、該上下回動軸111aの上部に前後の吊下ハンガー98,98に吊り下げられる収容袋97の底部を載置支持する載置台112を上下回動自在に取り付ける。
【0134】
また、前記載置部フレーム110の後側の左右他側端部に後側支持プレート113を設け、前記上下回動軸111aの左右他側端部に回動プレート114の下端部を機体前後方向に回動自在に軸着するとともに、該回動プレート114の上部と後側支持プレート113の上部との間に伸縮自在な伸縮ロッド115を取り付ける。
【0135】
さらに、該伸縮ロッド115の機体後側の端部に伸縮ロッド115を伸縮させる操作ハンドル116を取り付けるとともに、前記載置台112の左右両側及び後側に収容袋97の落下を防止する落下防止板117B,117L,117Rを取り付けることにより、回収台118が構成される。該回収台118の機体外側端部(機体右側端部)には、回収台118の折り畳み作業時に前記吊下げハンガー98,98の一側端部を引っ掛ける支持突起119を取り付ける。
【0136】
上記落下防止板117B,117L,117Rのうち、機体左側、即ち機体内側に配置される左落下防止板117Lの下部側に、水や夾雑物を排出する排出開口部117sを形成し、回収台118を機体フレーム1側に回動させると水や夾雑物が排出開口部117sから圃場に落下する構成とする。
【0137】
そして、前記左右回動軸110aに、回収台118を常時上方に付勢して上方傾斜姿勢で保持するトルクバネ110bを取り付け、収容袋97に収容された人参の重量が増加すると自動的に機体フレーム1に対して略水平姿勢になるまで下方回動する構成とする。
【0138】
前記収容袋吊下げ装置85と回収台118とにより、載置排出部Hが構成される。
なお、伸縮ロッド115は一方の棒材の表面に螺子溝を刻み、他方の中空の棒材の内面に螺子溝を刻み、互いの棒体の螺子溝を合わせて操作ハンドル116で回転させて伸縮する構成としているが、電動シリンダや油圧シリンダに置き換えてもよく、その場合は操作ハンドル116をスイッチやレバーに置き換えてもよい。
【0139】
以下、本件人参の収穫機の別実施例を説明する。
図17、図18で示すとおり、前記機体内側(左右他側)の従動プーリ16の回転軸の上端部に入力プーリ171を装着すると共に、該入力プーリ171の上部に掻き込みカバー172を斜め前方に突出させて設ける。そして、該掻き込みカバー172の前端部に入力プーリ171よりも径の小さな出力プーリ173を回転自在に装着し、該出力プーリ173と入力プーリ171に掻き込みベルト174を巻回することにより、補助掻込装置176が構成される。
【0140】
該掻き込みベルト174には所定間隔毎にゴム等の弾性体で構成する掻き込みラグ174a…を設け、複数の掻き込みラグ174a…で地表付近に垂れている茎葉部を引抜搬送装置24の搬送始端部に案内する。
【0141】
なお、前記入力プーリ171には貫通孔を形成し、この貫通孔を通じて駆動ピン175を挿し込み、該駆動ピン175が機体内側の従動プーリ16に接触すると、従動プーリ16の回転に連動して入力プーリ171が回転する構成とする。前記駆動ピン175を入力プーリ171から外す、もしくは従動プーリ16に接触しない位置に移動させると、従動プーリ16は回転するが、入力プーリ171は回転しない。
【0142】
前記駆動ピン175は、スプリング等を噛み込ませて一度押し込むと入力プーリ171が連動回転し、再度押し込むと入力プーリ171が回転しない状態となる構成、あるいは貫通孔に雌螺子溝を形成すると共に駆動ピン175の表面に雄螺子溝を形成し、締め込むと入力プーリ171が連動回転し、緩めると回転しなくなる構成とすると、駆動ピン175を入力プーリ171から完全に取り外すことなく連動回転を解除することができるので、駆動ピン175を無くすことが防止される。
【0143】
そして、前記機体内側の従動プーリ16の回転軸の下端部には、前記分草ロッド157を機体前側に突出させて配置する。該分草ロッド157は、取付基部にボルト等の固定部材177を挿し込み可能な穴部を形成し、この穴部に固定部材177を挿し込むと固定状態となり、固定部材177を外すと左右方向に回動して分草角度を調節可能な構成とする。
【0144】
なお、入力プーリ171を従動プーリ16と連動回転する状態であるとき、該固定部材177を外して分草ロッド157を回動させると、入力プーリ171が連動回転して補助掻込装置176が回動する構成としてもよい。この構成により、非作業時には補助掻込装置176を引抜搬送装置24の下部で且つ左右幅内に収納することができるので、収納場所に補助掻込装置176が接触し続けて歪むことが防止されるため、掻き込み性能が維持される。
【0145】
さらに、前記出力プーリ173の回転軸の下端部に、複数の突起爪または円盤を中心に外周部に複数の突起を設けた掻き込みディスク178を設け、該掻き込みディスク178の下側の面、即ち圃場に近接する側を球面状に形成する。この球面部または掻き込みディスク178全体は、摩擦力がかかっても傷付きにくい特性を有する合成樹脂で構成すると、耐久性が向上するので効果が長持ちする。
【0146】
上記の構成により、縦引起し装置25と横引起し装置26に引き起こされず地表に垂れ下がっている茎葉部を補助掻込装置176で掻き込み、引抜搬送装置24に案内することができるので、より多くの茎葉部を挟持して人参を引き抜くことができるので、抜き残される人参が減少し、作業能率が向上する。
【0147】
また、補助掻込装置176を、先に人参を収穫し終えた既掘り側が位置する、機体内側の従動プーリ16に設けたことにより、現在引抜収穫作業を行っている人参の茎葉部のみを掻き込むことができるので、収穫されていない人参の茎葉部を巻き込んで圃場から引き抜き、次の作業時に引抜搬送装置24で人参が引き抜けず、抜き残し人参が発生することが防止される。
【0148】
そして、補助掻込装置176の駆動力を引抜搬送装置24の従動プーリ16から得ることにより、別の伝動経路を形成する必要が無く、機体構成が簡潔になり、部品点数が削減される。
【0149】
さらに、駆動ピン175の着脱によって入力プーリ171が従動プーリ16と連動回転するか否かを切り替えることができるので、夏場等人参の茎葉部が繁茂している時など、未掘り側の人参の茎葉部を巻き込みかねない作業条件では補助掻込装置176を使用しないこともできるので、対応可能な作業条件が増え、作業能率が向上する。
【0150】
また、従動プーリ16の下部に掻き込みディスク178を設けたことにより、地表面に伏せている茎葉部も掻き上げることができるので、茎葉部の引き抜きがいっそう確実になり、抜き残し人参を行う必要が無くなり、作業能率が向上する。
【0151】
そして、この掻き込みディスク178の下面を球面状に形成したことにより、掻き込みディスク178は圃場面に沿って滑走する構成となるため、引抜搬送装置24の引抜作業高さが変更されることがなく、引抜作業の精度が向上する。
【0152】
さらに、分草ロッド157を回動させると掻き込みカバー172を連動して回動可能に構成したことにより、補助掻込装置176の作業角度を変更することができるので、茎葉部の状態に合わせて角度を調節して掻き込み作業を行えるため、茎葉部の掻き込み作業能率が向上する。
【0153】
図19で示すとおり、左右の条数調節フレーム151,151を鉤型とし、該条数調節フレーム151の前部側で且つ内側部に前側ロック部181を形成すると共に、条数調節フレーム151の後部側に後側ロック部182を形成する。そして、該前側ロック部181から後側ロック部182の前後長さと略同じ前後長さの挟持スライドフレーム183を左右の引抜フレーム15,15に前後方向にスライド自在に設け、該左右の挟持スライドフレーム183,183に、引抜搬送ベルト18,18を押圧する押圧テンションローラ184…を複数、回転自在に配置する。さらに、左右の挟持スライドフレーム183,183には、後方にスライドさせた際に後側ロック部182,182に引っ掛かる、ストッパ溝183aを切り欠いている。
【0154】
また、該左右の挟持スライドフレーム183,183の後部には作業者が挟持スライドフレーム183,183を前後スライドさせる操作グリップ185をそれぞれ設けると共に、挟持スライドフレーム183,183の後端部と引抜フレーム15,15に設ける固定板186,186との間に、挟持スライドフレーム183,183を機体後側に引っ張る引張スプリング187をそれぞれ配置して、条数変更機構188,188を構成する。
【0155】
該条数変更機構188は、挟持スライドフレーム183を前側ロック部181から後側ロック部182の間に位置させてロックした状態とすると、条数調節フレーム151が引抜搬送経路Rに対して略平行姿勢となると共に、複数の押圧テンションローラ184…が引抜搬送ベルト18の前端部寄りの位置を押圧するので、左右の引抜搬送ベルト18,18が密接し合い、1条掘り形態となる。
【0156】
一方、操作グリップ185を掴み、後側ロック部182を条数調節フレーム151が乗り越えられる力で後側に引っ張ると、左右の条数調節フレーム151,151が搬送始端部側ほど離間すると共に、左右の引抜搬送ベルト18,18が密接し始める位置で複数の押圧テンションローラ184…が左右の引抜搬送ベルト18,18を押圧するので、搬送始端部付近に左右間隔部が形成されて2条分の人参の茎葉部が案内可能となり、2条掘り形態となる。
【0157】
この挟持スライドフレーム183の操作では、作業者は少なくとも後側ロック部182を乗り越えられる力で操作する必要があるが、引張スプリング187が挟持スライドフレーム183を後方に付勢していることにより、比較的軽い力で操作が可能となっている。これにより、作業者の労力が軽減されるが、圃場の凹凸や人参の周囲の土を左右の振動ソイラ34,34で掘り起こす際、機体に振動が生じると、挟持スライドフレーム183が後側ロック部182を乗り越え、掘取条数が突然変わるおそれがある。これを防止すべく、条数調節フレーム151,151の回動を規制するロック状態と、条数調節フレーム151,151の回動規制を解除する非ロック状態を切り替える、ロックハンドル189,189を設け、該ロックハンドル189,189を解除操作しないと条数調節フレーム151,151が回動せず、挟持スライドフレーム183,183が後方に移動できない構成とする。
【0158】
上記の構成により、挟持スライドフレーム183,183を前後移動させて1条掘りと2条掘りを変更することにより、挟持スライドフレーム183,183に設けた押圧テンションローラ184…で引抜搬送ベルト18,18を押圧して掘取条数を変更することができるので、押圧テンションローラ184…の数が削減され、コストダウンが図られる。
【0159】
また、挟持スライドフレーム183に後側ロック部182に引っ掛かるストッパ溝183aを形成したことにより、ストッパ溝183aが後側ロック部182に引っ掛かるまで挟持スライドフレーム183を操作すると、2条掘り形態に最適な位置となるので、2条分の茎葉部を引抜搬送装置24で確実に引き抜くことができると共に、茎葉部が引抜搬送始端部に詰まることが防止され、作業能率が向上する。
【符号の説明】
【0160】
18 引抜搬送ベルト(引抜無端帯)
24 引抜搬送装置
151 条数調節フレーム
153 条数切替テンションローラ(条数調節部材)
154 前側テンションローラ(第1付勢部材)
155 後側テンションローラ(第2付勢部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の左右一側に引抜無端帯(18,18)で作物を圃場から挟持して収穫する引抜搬送装置(24)を設け、該引抜搬送装置(24)の搬送始端側に回動自在な条数調節フレーム(151)を設け、該条数調節フレーム(151)を回動させると前記引抜無端帯(18,18)を押圧して屈曲させて引抜搬送装置(24)の搬送始端部の左右幅を変更し、作物の引き抜き条数を変更する条数調節部材(153)を設けたことを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
前記条数調節フレーム(151)に前記条数調節部材(153)を設け、該条数調節部材(153)よりも搬送始端側に一条の作物を引き抜く際に前記引抜無端帯(18,18)を付勢する第1付勢部材(154)を設け、前記条数調節部材(153)よりも搬送方向後側に複数条の作物を引き抜く際に前記引抜無端帯(18,18)を付勢する第2付勢部材(155)を設け、
該第1付勢部材(154)で引抜無端帯(18,18)を押圧すると、該引抜無端帯(18,18)が密着して引抜搬送装置(24)の搬送始端部で作物の茎葉を挟持する一条引抜形態になると共に、
前記条数調節部材(153)と第2付勢部材(155)で引抜無端帯(18,18)を押圧すると、前記引抜搬送装置(24)の搬送始端部から条数調節部材(153)の押圧位置に亘って引抜無端帯(18,18)が左右方向に離間して複数条の作物の茎葉部を案内する空間部が形成され、前記条数調節部材(153)が引抜無端帯(18,18)を押圧する位置で複数条の作物の茎葉部を挟持する複数条引抜形態になることを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
前記条数調節フレーム(151,151)を左右一対設け、前記左右の第1付勢部材(154,154)を左右方向の同一直線上に配置すると共に、前記左右の第2付勢部材(155,155)を前後方向に位相をずらして配置したことを特徴とする請求項2記載の根菜類収穫機。
【請求項4】
前記引抜無端帯(18,18)の巻回域の外側に外側付勢部材(156)を設け、該外側付勢部材(156)を、前記条数調節フレーム(151)を複数条引抜側に操作すると前記引抜無端帯(18,18)に接触する位置に配置したことを特徴とする請求項1または2記載の根菜類収穫機。
【請求項5】
前記引抜搬送装置(24)の搬送始端側の上部に、該引抜搬送装置(24)から駆動力を受けて作物の茎葉部を掻き込む茎葉部掻込装置(176)を設け、前記引抜搬送装置(24)から茎葉部掻込装置(176)への駆動力の入切を切り替える切替部材(175)を設けると共に、該茎葉部掻込装置(176)を前後方向に回動自在に設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の根菜類収穫機。
【請求項6】
前記茎葉部掻込装置(176)の前端部に圃場面に垂れている茎葉部を持ち上げる案内回転体(178)を設け、該案内回転体(178)の下側を円弧状に形成したことを特徴とする請求項5記載の根菜類収穫機。
【請求項7】
前記茎葉部掻込装置(176)は、隣接条の作物が引抜収穫されている引抜搬送装置(24)の機体内側にのみ設ける構成としたことを特徴とする請求項5または6記載の根菜類収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−94101(P2013−94101A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239153(P2011−239153)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】