説明

栽培容器及びこの容器を使用した茸栽培方法

【課題】面倒な手作業を強いることなく側面栽培ができる栽培容器を提供すること。
【解決手段】所定の底面積を有する底部1aと、この底部1aの周囲から所定の高さ立設された側壁1b〜1eとを有し、側壁の上端が開口1fされた栽培容器1であって、この栽培容器1は、底部1aから所定高さまでが培地が充填される充填部Aと、この充填部Aの上方が空間とされる空間部Bとに区分されて、側壁1b〜1eは光不透過又は光透過率が低くされて、充填部Aの側壁に1個乃至複数個の開孔3が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、栽培容器及びこの容器を使用した茸栽培方法に係り、さらに詳しくは、特に茸の発生部位を特定して栽培ができる栽培容器及びこの容器を使用した、特に椎茸栽培に好適な栽培方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
伝統的な椎茸の人工栽培は、原木に種菌を植え込んで栽培する原木栽培が主流であったが、この原木栽培はその時々の気象条件並びに病害虫及び有害菌などの影響を受け易いために、安定した収穫が確保し難いことから、近年は、屋内において茸栽培に適合した環境を調えて、この環境下で栽培する菌床栽培へと移行して来ている。
【0003】
この菌床栽培は、おがこなどの基材に米ぬかなどの栄養体を加えた培地を栽培袋に詰める工程、この袋詰めした培地(以下、「菌床」ともいう)を殺菌又は滅菌釜に入れて殺菌又は滅菌する工程、次いで、この培地に雑菌が入らないように冷却した後に種菌を接種する工程、続いて、温度、湿度などを調節しながら数週間かけて培養する工程、その後、菌床を栽培袋から取出して、さらに温度、湿度などを調節して菌床を培養しながら茸を発生させる工程及び発生した茸を収穫する工程などを経て栽培するようになっている。この菌床栽培は、原木栽培に比べて、室内において温度、湿度などの条件を任意にコントロールでき、しかも病害虫或いは有害菌の影響を受け難くできるので、安定した収穫及び品質の高い茸を栽培できる利点がある。
【0004】
この菌床栽培は、所定形状の栽培袋を使用して菌床を作るので、菌床は栽培袋と略同じ形状となる。例えば、栽培袋に有底で角型の袋体を使用すると角柱状の菌床或いは有底で円筒型の袋体を使用すると円柱状の菌床ができる。このような形状の菌床では、茸は、菌床の外表面、すなわち側面、肩部或いは上面から、多数本の茸が同時或いは日をおいて、大小さまざまなものが所を選ばずランダムに発生してしまう。このために、発生した茸同士が互いにぶつかり合って変形し、或いはその大きさも大小混じった不揃いなものとなってしまい、収穫される茸は商品価値が劣ったものとなる。また、複数個の菌床を密着して配置すると、隣接した菌床から発生した茸がぶつかり合って変形するので、複数個の菌床は比較的広い間隔をあけて配置しなければならない。そのために、広大なスペース或いは棚などが必要になり、また、菌床の水及び温度などの管理も面倒になり、生産性及び作業効率が悪くなるなどの問題がある。
【0005】
そこで、このような問題を解決するための栽培袋及びこの栽培袋を使用した栽培方法が提案されている(例えば、下記特許文献1〜3参照)。
【0006】
例えば、下記特許文献1には、培地の上面から椎茸を発生させる栽培方法が開示されている。この椎茸栽培は、以下のイ〜ハを含んだ工程で栽培されている。
イ.直径8〜20cm、高さ10〜30cmの合成樹脂フィルム製縦長袋に椎茸用人工培地を収容する工程、
ロ. 培地上部中央に、深さ2〜8cm程度の呼吸穴を形成する工程、
ハ. 次いで、培地の上面部を完熟させ椎茸を発生させる時点で、長袋の上部を切取り開放
状態とする工程。
【0007】
この椎茸栽培方法は、上記ロ工程において、培地上部中央に所定大きさの呼吸穴が形成されるので、この呼吸穴から培地の上部表面部分へ空気が供給される。その結果、培地の表面部分が集中的に早く完熟されて、この表面部分の椎茸の発生が早くなる。したがって、この栽培方法によると、培地の上面部から茸が発生するので、栽培、収穫が容易になる。勿論、側面から発生しないので、隣接する菌床の隙間を狭くすることも可能になる。
【0008】
また、下記特許文献2にも、同様の培地上面から椎茸を発生させる栽培方法が開示されている。この椎茸栽培方法は、椎茸菌床栽培の培養完了後の発生工程において、栽培容器(栽培袋)の上部を取除いて、菌床上面のみを露出させ、その他の部分は菌床側面及び底面部分との間に若干の隙間を保持させて栽培容器として残して、その隙間に注水することで菌床側面及び底面からの茸の発生を抑制し、菌床上面からのみ発生させる方法である。その具体的な方法として、以下の例が紹介されている。
【0009】
横20cm、縦12cm、高さ17cm、重量2700gの培地を形成し、常法により殺菌、冷却、接種を行う。菌床の培養は20℃±1℃で80日間管理し、81日目から85日目までを25℃とする。25℃の環境で栽培袋上面を切取り、菌床同士の設置間隔を1cmとして菌床側面と栽培袋フィルムの隙間に注水して、1日に1回の散水をしながら15日間管理する。その後、温度を15℃に低下させて、散水を3日に1回として茸の発生を行う。その結果、試験数1000に対して、1菌床1世代当りの芽数で上面47、側面1、底面0、合計48、茸の平均個重24g、1菌床の平均発生量1152gとなった。
【0010】
この椎茸栽培方法は、露出した菌床の上面が新鮮な空気に触れて、上部表面に準備されていた茸原基は適正な環境で茸へと成長し、側面及び底面の原基は菌床側面と袋の隙間に注入した水と接触させることで、その成長活動が抑制されるものである。
【0011】
さらに、下記特許文献3にも、同様の培地上面から椎茸を発生させる栽培方法が開示されている。この椎茸栽培方法は、培養中又は培養完了後の工程において、栽培容器を取除いた露出状態の菌床を別の容器内に上面のみを開放した状態にして単独で収容し、菌床と容器間の隙間に水或いは水溶液を満たすことにより、菌床側面及び底面からのキノコの発生を抑制するようにした栽培方法である。具体的には、所定の縦、横及び高さを有するアクリル製の容器本体を用いて、この容器本体は、その上部四隅に弾力性のある菌床固定用支持体が斜め45度の角度で取付けられ、さらに底部に所定高さの菌床設置台が所定間隔で2本取付けられている。この支持体は、本体に挿入される菌床が吸水により、浮上しないように抑制する機能を果すものとなっている。そして、この容器本体を用い、培養した菌床が袋から取出されて露出状態にして容器に収容され支持体で固定される。散水又は給水により水が供給されて、菌床と本体との隙間に満たされる。容器に菌床が配置された後は、毎日散水が行われ、培養完了後の温度管理は、朝晩は13℃、日中は20℃に室温が調整される。その結果、菌床の上面からのみキノコが発生されるようになっている。
【0012】
【特許文献1】特開昭63−276421号公報(明細書第2頁左欄上段及び同頁右欄上段、図1)
【特許文献2】特許第3087171号公報(段落〔0013〕、〔0014〕、図1)
【特許文献3】特開2005−204604号公報(段落〔0011〕、〔0012〕、図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記特許文献1〜3の椎茸栽培方法によれば、菌床の上面に椎茸を集中的に発生させることが可能になる。しかしながら、これらの栽培方法では、菌床の上面に椎茸を集中的に発生させることができるが、この上面においても茸発生の部位を特定させることができない。そのため、菌床上面において茸は所かまわずランダムに発生し、この上面において従来技術が抱える問題が発生する。また、栽培袋は、内壁面と培地との間に水分が溜まり易くなる、この箇所に水分が溜まると、菌床の側壁面部分が腐り側壁面からの茸の発生が無くなり収穫が減少する。
【0014】
また、上記特許文献1〜3の椎茸栽培方法は、管理及び作業が面倒になるなど課題が潜在している。上記特許文献1の栽培方法では穴あけ作業、上記特許文献2の栽培方法では回数の多い注水作業、さらに上記特許文献3では菌床の移し替え用の容器の設置及び移し替え作業などの各種作業が必要になる。このような作業は、その殆どが手作業となるので自動化が難しく、しかも菌床数が多くなると、それに比例して人件費も増大し、茸のコストが高くなる。茸の人工栽培では、通常、人件費が他の費用、例えば、菌床製造費などと比べて高額になり、全体の略半分に近い割合を占めている。そのために、人件費の軽減が課題の一つとなっている。また、上記特許文献2の栽培方法では、注水により菌床を入れた袋上部が広がりすぎることがあるので、この部分にバンドなどの取付けが必要となり、この作業も手作業となる。さらに、培養後期になると菌床上面や袋との菌床間の水没していない部分にキノコバエ、ダニなどの害虫が発生しやすく、食害を引起すなどの課題がある。
【0015】
菌床栽培は、茸の発生、成長に好適な環境を如何にして作りだすかが重要になる。この栽培環境は、原木栽培時に最も効率よく発生、成長する自然環境に似た環境を人工的に作りだすことにある。上記特許文献1〜3の栽培方法では、空気或いは水によって上面栽培を可能としている。しかしながら、これらの栽培方法では、上面栽培は可能となっても菌床上面において茸の発生部位を特定できない。
【0016】
そこで、本発明者は、栽培環境は、上記特許文献1〜3にみられるように空気及び水だけでなく光も重要な要素になることに着目して検討した。すなわち、光のうち紫外線は、原基の形成、すなわち菌糸体の成長に有害であることから、この成長過程では不要となるが、茸の発生と成長には必要となることから、培養容器を工夫しこの容器に所定のタイミングで光を照射すれば原基の形成、すなわち茸の発生部位を特定することができることを見出して、本発明を完成させるに至ったものである。
【0017】
そこで、本発明の目的は、面倒な手作業を強いることなく側面栽培ができる栽培容器を提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、側面及び菌床上面で茸の発生部位を特定できる栽培容器を提供することにある。
【0019】
本発明のまた他の目的は、上記栽培容器を使用した茸栽培方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の栽培容器は、所定の底面積を有する底部と、前記底部の周囲から所定の高さ立設された側壁とを有し、前記側壁の上端が開口された栽培容器において、前記側壁は、前記底部から所定高さまでが培地が充填される充填部と、前記充填部の上方が空間とされる空間部とに区分されて、前記側壁は光不透過又は光透過率が低くされて、前記充填部の側壁に1個乃至複数個の開孔が形成されていることを特徴とする。
【0021】
請求項2の発明は、請求項1に記載の栽培容器において、前記開孔は、所定の規則性を持って配列されていることを特徴とする。
【0022】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の栽培容器において、前記開孔は、茸の種類に対応して大きさが変更されていることを特徴とする。
【0023】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の栽培容器において、前記栽培容器は、フィルム材からなる袋体で形成されていることを特徴とする。
【0024】
請求項5に記載の栽培容器は、所定の底面積を有する底部と、前記底部の周囲から所定の高さ立設された側壁とを有し、前記側壁の上端が開口された栽培容器において、前記栽培容器は、前記底部から所定高さまでが培地が充填される充填部と、前記充填部の上方が空間とされる空間部とに区分されて、前記充填部の側壁は、光不透過又は光透過率が低くされて、該側壁に1個乃至複数個の開孔が形成され、前記空間部の側壁は、光が透過するように形成されて、前記充填部に詰められた培地上面が1個乃至複数個の開孔を設けた培地カバーで覆われることを特徴とする。
【0025】
請求項6の発明は、請求項5に記載の栽培容器において、前記充填部の側壁は、光不透過又は光透過率が低い材料で形成され、前記空間部の側壁は、光透過性材料で形成されて、前記充填部及び前記空間部の両側壁が固着手段で一体に結合されていることを特徴とする。
【0026】
請求項7の発明は、請求項5に記載の栽培容器において、前記栽培容器は、全体が光透過性を有する材料で形成されて、前記充填部が光不透過又は光透過率が低くなるように加工されていることを特徴とする。
【0027】
請求項8の発明は、請求項5に記載の栽培容器において、前記培地カバーは、光不透過又は光透過率の低い材料で形成されていることを特徴とする。
【0028】
請求項9の発明は、請求項5又は8に記載の栽培容器において、前記開孔は、所定の規則性を持って配列されていることを特徴とする。
【0029】
請求項10の発明は、請求項5、8又は9のいずれかに記載の栽培容器において、前記開孔は、茸の種類に対応して大きさが変更されていることを特徴とする。
【0030】
請求項11の発明は、請求項5に記載の栽培容器において、前記培地カバーは、薄肉のフィルム状シート又は所定の肉厚を有する板状体で形成されていることを特徴とする。
【0031】
請求項12の発明は、請求項11に記載の栽培容器において、前記培地カバーは、樹脂フィルム、不織布、紙材、木材のいずれかで形成されていることを特徴とする。
【0032】
請求項13に記載の茸栽培方法は、請求項1〜4のいずれかに記載の栽培容器を使用して、前記栽培容器に培地を充填した後に、定法の殺菌又は滅菌、接種、培養の工程を経て菌床を作成して、茸を栽培することを特徴とする。
【0033】
請求項14に記載の茸栽培方法は、請求項5〜12のいずれかに記載の栽培容器を使用して、前記栽培容器に培地を充填した後に、前記培地の上面を前記培地カバーで覆って、定法の殺菌又は滅菌、接種、培養の工程を経て菌床を作成して、茸を栽培することを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明は上記構成を備えることにより以下に示すような優れた効果を奏する。すなわち、
請求項1の発明によれば、栽培容器は、側面栽培ができる菌床を作成できる。この栽培容器は、その側壁が光不透過又は光透過率が低くされて、この側壁に1個乃至複数個の開孔が形成されているので、菌床の側壁面を腐らせることなく側壁面に集中させて茸を発生させる、いわゆる側面栽培ができる菌床を作りだすことが可能になる。例えば、椎茸を栽培する際に、培地を充填部まで詰めた後に、定法の殺菌又は滅菌、接種などの工程を経て容器形状の菌床を作りだす。このとき、充填部の側壁は光不透過又は光透過率が低くされて、この側壁に1個乃至複数個の開孔が形成されているので、茸原基の形成に必要な光は、充填部の開孔箇所に当る。その結果、開孔箇所は光が当って原基の形成が促進されるので、この側壁面から集中させて茸を発生させることが可能になる。側壁に1個乃至複数個の開孔が形成されているので、内壁面と培地との間に水分が溜まることが少なくなり、菌床の側壁面部分が腐ることがなくなる。
【0035】
請求項2の発明によれば、開孔を所定の規則性、例えば格子状の仮想線を設定して、これらの仮想線がクロスする箇所にそれぞれ配列すると、この配列にしたがって原基形成がされるので、発生する茸が衝突することなく、形のいい茸がバランスよく発生して品質の高い茸を生産することが可能になる。
【0036】
請求項3の発明によれば、開孔は、茸の種類に対応して大きさが変更されるので、茸の種類に応じて、効率のよい栽培が可能になる。例えば、椎茸栽培の場合、円形開孔の直径を1.0〜5.0mmの範囲にするのが好ましい。5.0mm以上にすると、1つの開孔から複数個の椎茸が発生し、そのまま生育すると品質が低下し、一方で一部を残して除去しようとするとその作業が必要になる。
【0037】
請求項4の発明によれば、栽培容器をフィルム材からなる袋体にすることにより、軽量で扱い易く、安価に簡単に作成できる。
【0038】
請求項5の発明によれば、栽培容器は、側面栽培ができる菌床を作成できる。また、1個乃至複数個の開孔を設けた培地カバーを使用し、このカバーで培地上面を覆うことにより、培地上面が乾燥し難くなり、培地は、湿度を充分に保持した環境で熟成されるので、良好な菌床が作成できる。
【0039】
請求項6の発明によれば、充填部と空間部とは別々の材料で形成するので、既存の材料などの利用が可能になり、栽培容器を簡単に作成できる。
【0040】
請求項7の発明によれば、栽培容器は、全体が光透過性を有する材料で形成し、充填部を光不透過又は光透過率が低くなるように加工するだけで、容器を一種類の材料で形成できるので、容器の作成が簡単になる。
【0041】
請求項8の発明によれば、培地カバーは、光不透過又は光透過率の低い材料で形成されて、1個乃至複数個の開孔が設けられているので、この培地カバーと栽培容器と組合せることによって、側面だけでなく上面にも茸発生部位が特定できる菌床の作成が可能になる。
【0042】
請求項9の発明によれば、開孔を所定の規則性、例えば格子状の仮想線を設定して、これらの仮想線がクロスする箇所にそれぞれ配列すると、この配列にしたがって原基形成がされるので、発生する茸が衝突することなく、形のいい茸がバランスよく発生して品質の高い茸を生産することが可能になる。
【0043】
請求項10の発明によれば、開孔は、茸の種類に対応して大きさが変更されるので、茸の種類に応じて、効率のよい栽培が可能になる。例えば、椎茸栽培の場合、円形開孔の直径を1.0〜5.0mmの範囲にするのが好ましい。5.0mm以上にすると、1つの開孔から複数個の椎茸が発生し、そのまま生育すると品質が低下し、一方で一部を残して除去しようとするとその作業が必要になる。また、他の茸、例えば、舞茸、ナメコ茸などの場合は、比較的大きくするのが好ましい。
【0044】
請求項11の発明によれば、培地カバーは、薄肉のフィルム状シート又は所定の肉厚を有する板状体で形成されているので、特に、板状体にすることにより、耐久性が増し再利用が可能となる。
【0045】
請求項12の発明によれば、樹脂フィルム、不織布及び紙材などは入手が簡単なので、培地カバーを低価格で簡単に作成できる。不織布で形成すると通気性を持たせることが可能になる。
【0046】
請求項13の発明によれば、栽培容器を使用することにより、茸の発生部位を特定させて茸を栽培することができる。
【0047】
請求項14の発明によれば、栽培容器と培地カバーとを組合せることによって、菌床上面で茸の発生部位を特定させて栽培することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための栽培容器及びこの容器を使用した茸栽培方法を例示するものであって、本発明をこれらに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0049】
図1を参照して、本発明の実施例1に係る栽培容器(栽培袋)を説明する。なお、図1は本発明の実施例1に係る栽培容器(栽培袋)を示し、図1Aは栽培袋の斜視図、図1Bは図1Aの栽培袋に培地を詰めて開口を封止した栽培袋の斜視図である。
【0050】
栽培袋1は、所定の長さL及び幅長Wを有する矩形状の底部1aと、この底部1aの外周囲から上方へ所定の高さH立設した側壁1b〜1eとを有し、側壁1b〜1eの上端が開口1fとなっている。この栽培袋1は、光不透過又は光透過率が低くされた材料で形成されて、培地が充填される充填部Aと、充填部Aの上方にあって空間とされる空間部Bとに区分されている。充填部Aは、その側壁1b〜1eに複数個の開孔3が所定の規則性をもって形成されている。空間部Bは、図1に示すように、その袋体の壁面1cに、雑菌の侵入を阻止し且つ通気性のある複数個の微細孔を有するフィルタ2が固定されている。なお、フィルタ2は光不透過又は光透過率が低くされた材料で形成されていることが好ましい。
【0051】
栽培袋1は、ポリエチレンなどからなる合成樹脂製フィルムで形成されている。栽培袋1をフィルム材で形成することにより、軽量で扱い易く、安価に簡単に作成できる。また、光透過率を低下させるには、透明な合成樹脂製フィルム材に黒の顔料を5%以上混入したものが好ましい。これ以下、例えば1%程度にすると、茸が発生することがある。また、この程度の顔料を混入することで栽培袋1を製造できるので、栽培袋1の材料費が安くなる。なお、この栽培袋1は、その肉厚が例えば10〜100μmであり、その長さL、幅長W及び高さHは、例えば、Lは200mm、Wは120mm、Hは390mmである。充填部Aは、底部1aから所定高さH、空間部Bはこの充填部Aの頂部から高さHに位置し、高さHは、例えば250mm、高さHは、例えば140mmである。充填部Aには、おがくず、米糠、ふすまを主成分とする培地、栄養剤及び水が所定の比率で混合された混合材が充填される。合成樹脂製フィルムは、ポリエチレンの他に生分解性フィルムや光触媒性フィルムなどを使用してもよい。
【0052】
側壁1b〜1eの開孔3は、所定の規則性をもって配列されている。この規則性は、開孔3が配列された箇所が茸の発生部位となるので、少なくとも発生した茸が成長した状態で互いにぶつかり合わない間隔、或いは茸を大きく成長させることなどを考慮して配列される。1例として、所定の間隔をあけた縦横の仮想格子線を設けて、これらの格子線が交差する箇所に所定大きさの開孔を形成する。この開孔3は、所定の直径を有する略円形状をなしている。この開孔3の大きさは、茸の種類によって決定される。例えば、椎茸の場合は、円形開孔の直径が1.0mm〜5.0mm程度が好ましい。5.0mmを超えると、開孔から複数本の椎茸が発生する率が高くなる。
【0053】
この栽培袋1は、光不透過又は光透過率が低い材料で形成されて、充填部Aの側壁1b〜1eに複数個の開孔3が所定の規則性をもって形成されているので、いわゆる側面栽培ができる菌床を作りだすことが可能になる。例えば、椎茸を栽培する際に、培地を充填部まで詰めた後に、定法の殺菌又は滅菌、接種などの工程を経て栽培袋形状の菌床を作りだす。このとき、栽培袋1の充填部Aの側壁1b〜1eが光不透過又は光透過率を低くして1個乃至複数個の開孔3が形成されているので、茸原基の形成に必要な光は、充填部Aの側壁1b〜1eの開孔3の箇所に当る。その結果、側壁1b〜1eの開孔3部分に光が当ってこの部分の原基の形成が促進されるので、この側面1b〜1eから集中させて茸を発生させることが可能になる。
【0054】
次に、図2を参照して、この栽培袋1を使用した椎茸栽培方法を説明する。なお、図2は椎茸栽培の工程図である。
【0055】
この椎茸栽培方法は、図2に示すように、まず、所定量のおがこに、栄養体として米ぬかを混合して、所定量の水を加えて培地調整を行う(工程I)。次に、調整された培地を栽培袋1の充填部Aまで充填する(工程II)。続いて、この栽培袋1の上端の開口1fを仮止めして、栽培袋1ごと高圧釜に入れて殺菌又は滅菌する(工程III)。その後、殺菌をした後に冷却する(工程IV)。さらにその後、クリーンルームへ搬送して、このクリーンルーム内で栽培袋1の上端開口1fを開放して椎茸の種菌を接種する(工程V)。この接種により、椎茸の種菌は培地の中へ接種される。次いで、所定の培養室へ搬送し、この培養室で初期培養を行う(工程VI)。この初期培養では、光を照射することなく略暗黒の状態で菌糸培養に適した環境、室温18〜20℃と湿度60%に保持して種菌を生育・増殖させる。この期間は略30日程度である。その後の熟成培養では、熟成培養に適した環境、例えば温度20〜23℃及び所定の光を照射して、略60日〜70日掛けて培地に栄養蓄積を行う(工程VII)。この熟成培養工程では、培地内に菌糸が繁殖し始めるが、このとき、栽培袋1の充填部Aの側壁1b〜1eが光不透過又は光透過率を低くして1個乃至複数個の開孔3が形成されているので、茸原基の形成に必要な光は、充填部Aの開孔3の箇所に当る。その結果、側壁1b〜1eの開孔3に光が当って原基の形成が促進されるので、この側面1b〜1eから集中させて茸を発生させることが可能になる。
【0056】
この熟成培養が終了した後に、栽培袋1を取外して茸の発生をさせる(工程VII)。
この発生工程では、原基形成が促進された側壁1b〜1e、すなわち開孔3が設けられた箇所から早く最初の茸が発生し育成される。すなわち、初回の発生は、培地の側壁1b〜1eから発生する。その初回の収穫量は、側面1b〜1eから大量に収穫される。なお、この工程において、栽培袋1が除去された直後は、栽培袋1で密着していた培地の表面は白っぽい状態となっているが、光の照射によって徐々に褐色化して茸が発生する。これらの発生は2回目、3回目以降のものとなり、回が進むにしたがって収穫量が減少する。
【0057】
この栽培袋1を使用した椎茸栽培方法は、初回の発生で椎茸の発生部位が側面1b〜1eとなるので椎茸を効率よく、すなわち従来技術のような多くの手作業をかけないで、簡単に発生・育成することが可能になり、品質の高い椎茸を初回で全収穫量の50%以上が収穫できる。また、内壁面と培地との間に水分が溜まることが少なくなり、菌床の側壁面部分が腐ることがなくなる。
【実施例2】
【0058】
図3、図4を参照して、本発明の実施例2に係る栽培容器(栽培袋)を説明する。なお、図3は本発明の実施例2に係る栽培容器(栽培袋)を示し、図3Aは栽培袋の斜視図、図3Bは図3Aの栽培容器に収容される培地カバーの平面図である。図4は図3Aの栽培袋に培地を詰めて開口を封止した栽培袋の斜視図である。
【0059】
この栽培袋1Aは、実施例1の栽培袋1と空間部Bの構成が異なっている。そこで、両栽培袋1、1Aに共通する構成には同一符号を付して、重複説明を省きその説明を援用することとして、異なる構成について詳述する。
【0060】
栽培袋1Aは、実施例1の栽培袋1と同じように、所定の長さL及び幅長Wを有する矩形状の底部1aと、この底部1aの外周囲から上方へ所定の高さH立設した側壁1b〜1eとを有し、側壁の上端が開口1fとなっている。空間部Bには、図3Aに示すように、その側壁1b〜1eに、雑菌の侵入を阻止し且つ通気性のある複数個の微細孔を有するフィルタ2が固定されている。
【0061】
この栽培袋1Aは、充填部A及び空間部Bが別部材又は同一部材で形成されている。
【0062】
別部材の場合は、充填部Aには光不透過又は光透過率が低いフィルム状の材料が使用され、空間部Bには光が透過するフィルム状の材料が使用されて、充填部Aと空間部Bとが熱溶着などの手段で結合されている。充填部と空間部とが別々の材料で形成されるので、既存の材料などの利用が可能になり、栽培容器を簡単に作成できる。
【0063】
同一部材の場合は、全体を光透過性のフィルム状の材料で形成して、充填部Aに相当する箇所に光不透過又は光透過率を低くする加工、例えば、光不透過性塗料の塗布などして形成されている。また、光透過率を低下させるには、透明なポリエチレンなどの合成樹脂製フィルム材に黒の顔料を5%以上混入したものが好ましい。この程度の顔料の混入により栽培袋1Aが製造できるので、栽培袋1Aの材料費を低下させることができる。この栽培袋1Aは、全体が光透過性を有する材料で形成し、充填部Aを光不透過又は光透過率が低くなるように加工するだけで、袋体を一種類の材料で形成できるので、袋体の作成が簡単になる。
【0064】
栽培袋1Aの袋材には、ポリエチレンなどの合成樹脂製フィルム或いは生分解性フィルムや光触媒性フィルムが使用され、その肉厚は、例えば10〜100μmである。袋体をフィルム材からなる袋体にすることにより、軽量で扱い易く、安価に簡単に作成できる。
【0065】
この栽培袋1Aを使用すると、空間部Bが光透過となっているので、培地の上面から茸が発生し易くなるので、上面からの発生を抑制するために培地カバー4Aを使用する。
【0066】
この培地カバー4Aは、図3Bに示すように、栽培袋1Aの充填部Aに培地が詰められて、この培地表面を覆う大きさに形成されている(図4参照)。この培地カバー4Aは、栽培袋1Aと略同じ長さL及び幅長Wを有する矩形状をなし、光不透過又は光透過率が低いシートで形成されている。この培地カバー4Aのシート材は、薄肉のフィルム状シート又は所定の肉厚を有する板状体で形成されている。材料は、樹脂フィルム、不織布、紙材、木材のいずれかで形成されている。この培地カバー4Aは、樹脂フィルム、不織布及び紙材などは入手が簡単なので、培地カバー4Aを低価格で簡単に作成できる。不織布で形成すると通気性を持たせることが可能になる。また、生分解性フィルムや光触媒性フィルムでもよい。また、シート材を板状体にすることにより、耐久性が増し再利用が可能となる。培地カバー4Aは、その裏面に培地に固定する手段5〜5が設けられている。この固定手段5〜5には、例えば糊剤を用いる。この固定手段5〜5により、培地との間の隙間を少なくして培地に密着させることができる。
【0067】
次に、図5を参照して、この栽培袋1A及び培地カバー4Aを使用した椎茸栽培方法を説明する。なお、図5は椎茸栽培の工程図である。この椎茸栽培方法は、実施例1の栽培方法と主に培地カバー4Aを使用する点が異なっている。そこで、両栽培方法に共通する工程については、重複説明を省き異なる工程について説明する。
【0068】
培地カバー4Aは、光不透過又は光透過率が低いシート材で形成されている。このカバー4Aは、培養袋1Aの充填部Aまで培地を詰めた後に、この培地の上面を培地カバー4Aで覆う(工程II)。その後、殺菌又は滅菌工程III、冷却工程IVを経て工程Vにおいて、椎茸菌の接種を行うが、培地上面は培地カバー4Aで覆われているので、一度、この培地カバー4Aを外して、接種を行い、接種後に、再び、培地カバー4Aで培地上面を覆う。なお、この培地カバー4Aは工程IIで行わずに、接種工程Vの後に行ってもよい。この場合は、培地カバー4Aを殺菌して置く必要がある。次いで、初期培養工程VI、熟成培養工程VIIを経て、発生工程VIIIに移行させて、この工程で培地カバー4A及び栽培袋1Aの取外しを行う。
【0069】
この栽培方法によれば、上面からの発生を抑制して、側面1b〜1eから集中して茸を発生させることができる。また、培地は、培地カバー4Aで覆われるので、培地表面が乾燥し難くなり、培地は、湿度を充分に保持した環境で熟成されるので、良好な菌床が作成されて高品質の茸を生産できる。
【実施例3】
【0070】
図6〜図8を参照して、本発明の実施例3に係る栽培容器(栽培袋)及びこの栽培容器を使用した茸栽培方法を説明する。なお、図6は本発明の実施例3に係る栽培容器(栽培袋)を示し、図6Aは栽培袋の斜視図、図6Bは図6Aの栽培容器に収容される培地カバーの平面図である。図7は図6Aの栽培袋に培地を詰めて開口を封止した栽培袋の斜視図である。図8は椎茸栽培の工程図である。実施例3に係る栽培容器(栽培袋)は、側面及び上面から部位を特定して茸を発生させることができるものである。この栽培袋1Bは、培地カバー4Bと組み合わせて使用される。栽培袋1Bは、実施例2の栽培袋1Aと同じ構成を有しており、培地カバー4Bのみが異なっている。以下、この異なる培地カバー4Bについて詳述する。
【0071】
この培地カバー4Bは、図6Bに示すように、複数個の開孔6が所定の規則性をもって配列された光不透過又は光透過率の低いシート材で形成されている。この培地カバー4Bは、栽培袋1Bと略同じ長さL及び幅長Wを有する矩形状をなし(図7参照)、光不透過又は光透過率が低いシート材で形成されている。この培地カバー4Bのシート材は、薄肉のフィルム状シート又は所定の肉厚を有する板状体で形成されている。材料は、樹脂フィルム、不織布、紙材、木材のいずれかで形成されている。この培地カバー4Bは、樹脂フィルム、不織布及び紙材などは入手が簡単なので、培地カバー4Bを低価格で簡単に作成できる。不織布で形成すると通気性を持たせることが可能になる。また、生分解性フィルムや光触媒性フィルムでもよい。また、シート材を板状体にすることにより、耐久性が増し再利用が可能となる。
【0072】
開孔6の規則性は、開孔6が形成された箇所が茸の発生部位となるので、少なくとも発生した茸が成長した状態で互いにぶつかり合わない間隔、或いは茸を大きく成長させることなどを考慮して配列される。図6Bには1例として、所定の間隔をあけた縦横の仮想格子線を設けて、これらの格子線が交差する箇所に所定大きさの開孔を形成したものを示す。この開孔6は、所定の直径を有する略円形状をなしている。この開孔6の大きさは、茸の種類によって決定される。例えば、椎茸の場合は、円形開孔の直径が1.0mm〜5.0mm程度が好ましい。5.0mmを超えると、開孔から複数本の椎茸が発生する率が高くなる。
【0073】
培地カバー4Bは、その裏面に培地に固定する手段5〜5が設けられている。この固定手段5〜5には、例えば糊剤を用いる。この固定手段5〜5により、培地との間の隙間を少なくして培地に密着させることができる。
【0074】
次に、この栽培袋1B及び培地カバー4Bを使用した椎茸栽培方法を説明する。この椎茸栽培方法は、実施例2の栽培袋を用いた栽培方法と培地カバー4Aに代えて培地カバー4Bを使用する点が異なっている。そこで、両栽培方法に共通する工程などについては、重複説明を省き異なる工程について説明する。
【0075】
培地カバー4Bは、複数個の開孔6が所定の規則性をもって配設された光不透過又は光透過率が低いシート材で形成されている。この培地カバー4Bは、栽培袋1Bの充填部Aまで培地を詰めた後に、この培地の上面を培地カバー4Bで覆う(工程II)。その後、殺菌又は滅菌工程III、冷却工程IVを経て工程Vにおいて、椎茸菌の接種を行うが、培地上面を培地カバー4Bで覆っているので、一度、この培地カバー4Bを外して、接種を行い、この接種後に、再び、培地カバー4Bで培地上面を覆う。なお、この培地カバー4Bの培地上面の覆いは、工程IIで行わずに、接種工程Vの後に行ってもよい。この場合は、培地カバー4Bを殺菌して置く必要がある。次いで、初期培養工程VI、熟成培養工程VIIを経て、発生工程VIIIに移行させて、この工程で培地カバー4B及び栽培袋1Bの取外しを行う。
【0076】
この栽培方法によれば、菌床の側面及び上面で部位を特定させて茸の発生させることができる。培地カバー4Bで培地の上面を覆うことによって、茸発生部位を特定ができる。すなわち、培地カバー4Bで培地の表面を覆うと、茸原基の形成に必要な光は、開孔3,6から露出した培地に当り、他の部分には当らない。このため光が当らない箇所は原基の形成が抑制され、光が当る開孔3,6から露出した培地は原基の形成が促進されて、この開孔3,6を設けた箇所が最初に発生する発生部位となる。したがって、複数個の開孔3,6を所定の間隔で配列することによって、個々の茸がバランスよく発生して、管理が容易になり品質の高い茸の生産が可能になる。また、培地の上面は、培地カバー4Bで覆われるので、培地表面が乾燥し難くなり、培地は、湿度を充分に保持した環境で熟成されるので、良好な菌床が作成されて高品質の茸を生産できる。さらに、この培地カバー4Bは、光不透過又は光透過率の低い材料からなるシート材に開孔6を設けたものなので簡単に作成できる。
【0077】
以上の実施例1〜3の栽培容器(栽培袋)では、椎茸栽培に適用した例を説明したが、この容器は、椎茸栽培に限定されるものでなく、他の茸、例えば舞茸、なめこ茸などにも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は本発明の実施例1に係る栽培容器(栽培袋)を示し、図1Aは栽培袋の斜視図、図1Bは図1Aの栽培袋に培地を挿入して開口を封止した栽培袋の斜視図である。
【図2】図2は図1の栽培袋を使用した茸栽培の工程図である。
【図3】図3は本発明の実施例2に係る栽培容器(栽培袋)を示し、図3Aは栽培袋の斜視図、図3Bは図3Aの栽培袋内へ挿入する培地カバーの平面図である。
【図4】図4は図3の栽培袋に培地及び培地カバーを挿入して開口を封止した栽培袋の斜視図である。
【図5】図5は図3の栽培袋を使用した茸栽培の工程図である。
【図6】図6は本発明の実施例3に係る栽培容器(栽培袋)を示し、図6Aは栽培袋の斜視図、図6Bは図6Aの栽培容器に収容される培地カバーの平面図である。
【図7】図7は図6Aの栽培袋に培地を詰めて開口を封止した栽培袋の斜視図である。
【図8】図8は図6の栽培容器を使用した茸栽培の工程図である。
【符号の説明】
【0079】
1、1A、1B 栽培袋(栽培容器)
2 フィルタ
3 開孔
4、4A、4B 培地カバー
〜5 固着手段
6 開孔
A 充填部
B 空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の底面積を有する底部と、前記底部の周囲から所定の高さ立設された側壁とを有し、前記側壁の上端が開口された栽培容器において、
前記側壁は、前記底部から所定高さまでが培地が充填される充填部と、前記充填部の上方が空間とされる空間部とに区分されて、前記側壁は光不透過又は光透過率が低くされて、前記充填部の側壁に1個乃至複数個の開孔が形成されていることを特徴とする栽培容器。
【請求項2】
前記開孔は、所定の規則性を持って配列されていることを特徴とする請求項1に記載の栽培容器。
【請求項3】
前記開孔は、茸の種類に対応して大きさが変更されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の栽培容器。
【請求項4】
前記栽培容器は、フィルム材からなる袋体で形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の栽培容器。
【請求項5】
所定の底面積を有する底部と、前記底部の周囲から所定の高さ立設された側壁とを有し、前記側壁の上端が開口された栽培容器において、
前記栽培容器は、前記底部から所定高さまでが培地が充填される充填部と、前記充填部の上方が空間とされる空間部とに区分されて、前記充填部の側壁は、光不透過又は光透過率が低くされて、該側壁に1個乃至複数個の開孔が形成され、前記空間部の側壁は、光が透過するように形成されて、前記充填部に詰められた培地上面が1個乃至複数個の開孔を設けた培地カバーで覆われることを特徴とする栽培容器。
【請求項6】
前記充填部の側壁は、光不透過又は光透過率が低い材料で形成され、前記空間部の側壁は、光透過性材料で形成されて、前記充填部及び前記空間部の両側壁が固着手段で一体に結合されていることを特徴とする請求項5に記載の栽培容器。
【請求項7】
前記栽培容器は、全体が光透過性を有する材料で形成されて、前記充填部が光不透過又は光透過率が低くなるように加工されていることを特徴とする請求項5に記載の栽培容器。
【請求項8】
前記培地カバーは、光不透過又は光透過率の低い材料で形成されていることを特徴とする請求項5に記載の栽培容器。
【請求項9】
前記開孔は、所定の規則性を持って配列されていることを特徴とする請求項5又は8に記載の栽培容器。
【請求項10】
前記開孔は、茸の種類に対応して大きさが変更されていることを特徴とする請求項5、8又は9のいずれかに記載の栽培容器。
【請求項11】
前記培地カバーは、薄肉のフィルム状シート又は所定の肉厚を有する板状体で形成されていることを特徴とする請求項5に記載の栽培容器。
【請求項12】
前記培地カバーは、樹脂フィルム、不織布、紙材、木材のいずれかで形成されていることを特徴とする請求項11に記載の栽培容器。
【請求項13】
請求項1〜4のいずれかに記載の栽培容器を使用して、前記栽培容器に培地を充填した後に、定法の殺菌又は滅菌、接種、培養の工程を経て菌床を作成して、茸を栽培することを特徴とする茸栽培方法。
【請求項14】
請求項5〜12のいずれかに記載の栽培容器を使用して、前記栽培容器に培地を充填した後に、前記培地の上面を前記培地カバーで覆って、定法の殺菌又は滅菌、接種、培養の工程を経て菌床を作成して、茸を栽培することを特徴とする茸栽培方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−11793(P2010−11793A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175089(P2008−175089)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(504328152)株式会社サカト産業 (13)
【Fターム(参考)】