椅子
【課題】ロッキング機構とロッキング動作のロック機構とをシンプルでコンパクトな構成で実現した椅子を提供する。
【解決手段】支柱に支持された支持フレーム4と、起倒動作可能な背フレーム5と、背フレーム5に連動して背フレームの起倒動作に沿う方向に移動する座フレーム6と、連動動作に抗するバネ力を蓄積させる反力機構7と、連動動作を拘束するロック機構とを具備するものにおいて、反力機構7が座フレーム6と前後方向に相対移動可能なバネケース71とバネ72とを備えており、バネケース71は連動動作中に前端部及び後端部が座フレーム6に一部拘束されたなかで座フレーム6とともに傾きながら相対移動するように関連づけられ、ロック機構はバネケース71と座フレーム6の相対位置を固定することで支持フレーム4に対する座フレーム6および背フレーム5の連動動作を拘束するように構成した。
【解決手段】支柱に支持された支持フレーム4と、起倒動作可能な背フレーム5と、背フレーム5に連動して背フレームの起倒動作に沿う方向に移動する座フレーム6と、連動動作に抗するバネ力を蓄積させる反力機構7と、連動動作を拘束するロック機構とを具備するものにおいて、反力機構7が座フレーム6と前後方向に相対移動可能なバネケース71とバネ72とを備えており、バネケース71は連動動作中に前端部及び後端部が座フレーム6に一部拘束されたなかで座フレーム6とともに傾きながら相対移動するように関連づけられ、ロック機構はバネケース71と座フレーム6の相対位置を固定することで支持フレーム4に対する座フレーム6および背フレーム5の連動動作を拘束するように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座面後側の下降動作と背の後傾動作とが連動したいわゆるシンクロロッキング機構、および、それら動作を所望の位置で固定するロック機構を備えた椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
こうした機構を備える椅子については、様々なタイプのものが提案されている。例えば、特許文献1においては、シンクロロッキング機構を実現するための構成として、メインフレームに対する座や背の連結構造を示すとともに、背の倒れ角に応じて反力が増減する反力機構の支持構造についての提案を行っている。また、ロッキング動作のロック機構を実現する構成としては、特許文献2において、ガススプリングの弁の開閉によりロックおよび解除を行うものが示されている。さらに、特許文献3においては、背の後傾に伴って移動する部材に対し、これを規制する部材を当接させることでロックを行うものが、特許文献4においては、背の後傾に伴って移動または回転するギア面を有する部材に対し、これと噛み合うギア面を有する部材を当接させることでロックを行うものが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6796611号公報
【特許文献2】特公平2−24527号公報
【特許文献3】特開2001−128774号公報
【特許文献4】特開2003−189967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に示された従来技術においては、シンクロロッキング機構を実現するための構成が複雑であるとともに、ロッキング動作を規制するロック機構を設けることのできる位置が制約されてしまう。
【0005】
こうした構成を基にさらに特許文献2〜4のようなロック機構を加えると、ますます構成が複雑で部品点数の多いものとなり、コンパクト化を図ることやコスト削減が困難となるとともに動作不良といった問題が生じやすくなる。さらには、操作性が悪く速やかにロッキング位置のロックが行うことが不能であったり、ロック後でもロッキング位置にズレが生じたりするような不具合が発生するケースが考えられる。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、部品点数が少なくシンプルな構成をとり、コンパクトで動作安定性が高く、安価で操作性の良いシンクロロッキング機構のロック機構を備えた椅子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる目的を達成するため、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明の椅子は、支柱に支持された支持フレームと、この支持フレームに対して起倒動作可能な背フレームと、前記背フレームに連動して背フレームの起倒動作に沿う方向に移動するように前記支持フレームと前記背フレームとに関連づけられた座フレームと、前記支持フレームに対する前記座フレームおよび前記背フレームの連動動作に抗するバネ力を蓄積させる反力機構と、前記支持フレームに対する前記座フレームおよび前記背フレームの連動動作を拘束するロック機構とを具備するものにおいて、前記反力機構が前記座フレーム内に設けたバネケースと、このバネケースと座フレームとに関係づけられたバネを備えており、前記バネケースは前記連動動作中に前端部及び後端部が前記座フレームに一部拘束されたなかで当該座フレームとともに傾きながら当該座フレームに対して前後方向に相対移動する連動動作を行うように関連づけられ、前記ロック機構は前記バネケースと前記座フレームの前後方向の相対位置を固定することで前記支持フレームに対する前記座フレームおよび前記背フレームの連動動作を拘束することを特徴とする。
【0009】
このようにすることで、シンクロロッキング機構を簡単な構成で実現できるとともに、ロッキング位置を固定するロック機構も、位置規制すべき部材が一部で相対運動を規制されている座フレームとバネケースだけであるため、設置場所についての制約が少なく、シンプルで部品点数の少ない構成で実現できる。そのため、コンパクト化と同時にコスト削減や動作安定性の向上を図ることが可能となる。さらに、座フレームとバネケースとは常に近接した状態を保つため、これらの位置固定にかかる操作性も向上し、固定後の位置ずれも低減できる。
【0010】
さらに操作性を向上させ、ロッキング位置にずれを生じさせないよう確実に固定可能とするためには、前記バネケースが、前端部及び後端部において、当該座フレームに対する上下方向の相対移動が拘束されるようにして構成することが好ましく、前端部及び後端部において、前記座フレーム内に設けられて当該座フレームに対する左右方向の相対移動が拘束されるようにして構成することがなお好ましい。
【0011】
また、上記の効果をさらに高めるには、前記ロック機構を、前後方向と直交する方向に進退自在に構成されたストッパ部材と、このストッパ部材を進退させる進退機構と、前記ストッパ部材が差し込まれる係合孔とからなり、前記座フレーム若しくは前記バネケースのうちいずれか一方に前記ストッパ部材および前記進退機構を設け、他方に前記係合孔を設けるようにして構成することが好ましい。
【0012】
さらに、コンパクト化をより進めるためには、前記バネケースと前記ストッパ部材と前記進退機構とがそれぞれ座フレームの高さ寸法内に収められるよう構成することが好ましく、前記係合孔を設ける部分が板状であり、前記ストッパ部材が進退するストローク範囲内で座フレームの高さ寸法に収まるように構成することがより好ましい。
【0013】
また、ロッキングのロック位置を細かく変更可能とし、ロック後は位置ずれを生じさせないとの基本機能をより高めるためには、前記係合孔が前後方向とは直交する方向に延びたスリットであって、所定ピッチで前後方向に複数個設けられる一方、前記ストッパ部材が板状に構成されるとともに前記係合孔と嵌まりあう突出部をその一部に備え、前記ストッパ部材の一方の面が当該ストッパ部材を納めるストッパケースの内面にガイドされつつ前記ストッパ部材の進退が行われるよう構成されていることが好ましい。
【0014】
さらに、前記ストッパ部材への負荷を軽減し、動作安定性を高めるためには、前記ストッパケースを前記座フレームに固定し、前記係合孔を前記バネケースに設けるとともに、前記ストッパ部材の突出部が緊密に進退可能な補助係合孔を座フレームに設け、前記ストッパ部材の突出部が、前記係合孔と前記補助係合孔とが重なり合った位置で、同時に差し込まれるよう構成することが好ましい。
【0015】
さらに、よりコンパクトな構成とするためには、前記進退機構が、前記ストッパ部材を納めるストッパケースと、前記ストッパ部材の進退を操作する操作レバーと、前記操作レバーの変位により前記ストッパ部材に対し進退させる力を付与するバネ部材とからなり、前記バネ部材を解除位置とロック位置で付勢方向が切り替わるよう配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
以上説明した本発明によれば、シンクロロッキング機構と、その動作を規制するロック機構とを有し、ロックした後にはその位置がずれないという基本機能を充足しつつ操作性を向上させることが可能となる。さらには、ロック機構を簡単な構成で実現できるため、コンパクト化が可能となるとともに、部品点数減少により製造コストを低減させ、動作安定性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る椅子の側面図。
【図2】同椅子の分解斜視図。
【図3】同椅子のフレーム間のリンク機構を説明する要部斜視図。
【図4】同椅子を構成する支持フレームの斜視図。
【図5】同椅子を構成する座フレームの中心線縦断面斜視図。
【図6】同椅子の反力機構およびロック機構の分解斜視図。
【図7】同椅子の反力機構の断面斜視図。
【図8】同椅子の背フレームが後傾したときの反力機構の断面斜視図。
【図9】同椅子の座フレームおよび反力機構を支持フレームおよび背フレームに係合させる際の反力機構の動作を説明する断面図。
【図10】同椅子のストッパ機構の組立状態を示す要部斜視図。
【図11】同椅子のストッパ機構の分解状態を示す要部斜視図。
【図12】同椅子のストッパ部材とストッパケース、バネケース、座フレームの可動板との位置関係を示す断面図。
【図13】同椅子のロッキングストッパの動作機構を説明する要部断面図。
【図14】同椅子の座面の高さ調整機構を説明する要部斜視図。
【図15】同椅子の座面の高さ調整機構の組立方法を説明する要部断面図。
【図16】同椅子の支持フレームにガススプリングレバーを組込んだ状態の要部斜視図。
【図17】同椅子の支持フレームにガススプリングレバーを組込む前の状態の要部斜視図。
【図18】同椅子の反力調節部の動作を説明する要部斜視図。
【図19】同椅子の各係合部における軸受領域を説明する要部断面図。
【図20】同椅子の前横軸に対する軸受部材とスライド孔の係合状態を示す要部斜視図。
【図21】同椅子のガススプリングレバーを操作した際の要部断面図。
【図22】同椅子のガススプリングレバーの挿脱角度を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
この実施形態の椅子は、図1および図2に示すように、脚羽根11に支柱12を介して椅子本体3を回転可能に取り付けた回転椅子であり、支柱12に支持された支持フレーム4と背フレーム5および座フレーム6とを具備し、図3に示すように、それぞれが係合することでリンク機構を構成している。
【0020】
ここで、本発明においては、椅子の中心から背31に向けた方向を後方向とし、その反対方向を前方向とする。すなわち、図1における左方向が前方向となり、右方向が後方向となる。そして鉛直方向を上下方向または縦方向と呼び、さらには前後方向および上下方向に直交する方向を横方向または左右方向とする。
【0021】
支持フレーム4は、図4に示すように、アルミダイキャストや樹脂等の素材を用いて一体成型されるもので、左右の側壁411、後壁412、前壁413および底壁414を含む舟形のメインフレーム41を主体とし、このメインフレーム41に、支柱12を取り付けるための取付孔であるボス孔42と、左右の側壁411、411間を連結する横リブ415と、前壁413、後壁412および横リブ413の間を連結し或いは前記ボス孔42をメインフレーム41に対して支持するための縦リブ416、斜めリブ417とが少なくとも一体成型してある。また、ボス孔42の上部近傍には、後述するガススプリングレバーを取り付けるための取付孔431を備えたガススプリングレバー取付部43が設けてある。そして、メインフレーム41の前壁413の上部には、左右に突出する突起部を一体として連結した、前横軸44を一体成型している。前横軸44は、3つの領域に機能的に分けられ、メインフレーム41から左右に突出した領域が座フレーム6を係合させる第2の横軸としての係合部441、メインフレーム41内に形成された領域が後述するバネケースを係合させる第4の横軸としての係合部442に設定され、これらが同軸上になるように構成されている。また、メインフレーム41の左右の側壁411には、それぞれ左右に突出する第1の横軸としての後横軸45を一体成型している。
【0022】
背フレーム5は、図2に示すように、アルミダイキャストや樹脂等の素材を用いて一体成型されるもので、左右一対のフレームメンバ51の中間部が、第3の横軸としての突起部である中間横軸52で連結された構造をなし、下端部に円筒を一部切り欠いた形状の前向き開口凹部53が形成されている。フレームメンバ51には、延伸方向と異なる方向すなわち背フレーム5の起立方向に延びる緩やかな山形の隆起部511が一体成型され、前記中間横軸52は左右の隆起部511の内面間を連結する位置に配置されている。
【0023】
座フレーム6は、図5および図6に示すように、樹脂素材を用いて一体成型されるもので、前後方向に延びるように形成された左右一対の主フレーム61を前壁611および底壁616でつないだ形状に構成され、当該主フレーム61は、板状に形成された内側壁612と外側壁613とを横リブ614でつないだ形状に構成されている。そして、座フレーム6には、上側に後述するバネケースを内蔵するための空洞部65が設けられ、その後方は開口端69とされるとともに、内側壁612の前方と前壁611とに渡る位置には上蓋615が設けられている。さらに、底壁616や内側壁612は上蓋615の下にさしかかるあたりで終わっていて、上蓋615の下方に連結用空間63が形成され、内側壁612には側面視長孔状の回転スライド孔62が、一部を切り欠いた状態で下方に開口されている。
【0024】
なお、本実施形態における座フレーム6は上記の通り、上方が開口された空洞部65を具備しているが、必ずしも当該空洞部65の上方を開口した形状にする必要はなく、空洞部65の上方を閉止する形状としても、下方を開口した形状としてもよい。
【0025】
また、座フレーム6の内側壁612および外側壁613は、底壁616よりも後方に延出しており、その延出部の下方に、円筒を一部切り欠いた形状の下向き開口凹部64を形成している。この下向き開口凹部64は、内奥が部分円筒面に沿った軸受面とされ、開口端が斜め前下方を向いている。
【0026】
そして、図4、図5および図7に示したように、座フレーム6の連結用空間63に、支持フレーム4の前壁413を差しこみ、その上部の前横軸44の両端部付近に設けられた座フレーム係合部441を、座フレーム6の左右の内側壁612に設けられた回転スライド孔62に係合させることで前横軸44と回転スライド孔62が回転スライド係合部91を構成している。そして、図3で示したように、背フレーム5の前向き開口凹部53を支持フレーム4の後横軸45に起倒動作可能に係合させ、さらに背フレーム5の中間横軸52に座フレーム6の下向き開口凹部64を係合させることで、図3、図7および図8に示したような、背フレーム5と支持フレーム4の係合部92と、座フレーム6と背フレーム5の係合部93を構成し、座フレーム6が前記背フレーム5の後傾動作に連動して後部が沈み込みながら後方へ移動しまた背フレーム5の起立動作に連動して後部が持ち上がりながら前方へ移動するシンクロロッキング動作を実現している。
【0027】
また、前記支持フレーム4に対する前記座フレーム6および前記背フレーム5の連動動作に抗するバネ力を蓄積すべく、反力機構7を構成している。
【0028】
この反力機構7は、図6、図7および図8に示すように、本発明のバネ支持部として構成された下向きに開口するバネケース71にバネ72および可動バネ受け73を収容し、前記バネケース71を前記支持フレーム4の前横軸44に係合させて、背フレーム5の後傾に伴うバネケース71に対する座フレーム6の相対的なスライド動作によって可動バネ受け73を変位させてバネ72の圧縮が起こるように構成される。
【0029】
このバネケース71は後に詳述するように、前端部が支持フレーム4と係合するとともに、座フレーム6によって上下方向と左右方向とに規制されており、さらに、後述のロック機構8を構成することにより後端部も座フレーム6によって上下方向と左右方向に規制されている。その結果、バネケース71は座フレーム6と一体的に上下方向に動き、前後方向の相対移動のみを行うことが可能となっている。
【0030】
以下、その具体的に構成について述べる。
【0031】
バネケース71は、図6および図7に示すように、スチール素材等を用いて、上壁711と左右の側壁712と後壁713とを含み下向きに開口する直方体状に形成され、延出部である後壁713の下部からは、さらにこの後壁713と直交する後方向にバネケース71の後端部としての可動板部714が延出されている。また、バネケース71は、上壁711の前端側に設定した凹部からなる基点部716に対し、これに対応する凸部741を有する、軸受面となる部分的な円筒面によって下向き開口凹部742を形成する軸受部材74を取り付け、基点から後方へ変位して延出部である前記後壁713の中心部近傍を基準バネ受け75としている。この基準バネ受け75には貫通孔751が設けられている。
【0032】
このバネケース71は、前端部の基点部716において軸受部材74を介して支持フレーム4と係合するとともに、上壁711の上部に座フレーム6の上蓋615が配置されるように構成することで上方向への移動が規制されている。また、前端部近傍においては、左右の側壁712が座フレーム6の内側壁612によって左右方向への相対移動が規制されている。ここで、前述したように座フレーム6は支持フレーム4の前横軸44と回転スライド孔62が係合して回転スライド係合部91を構成しているため、当該箇所において支持フレーム4によって上下方向には拘束されている。そのためバネケース71の前端部は、座フレームの上蓋615と支持フレーム4の前横軸44との間で挟み込まれるようにして上下方向に規制されることになる。このようにして、バネケースの前端部は座フレーム6に対して前後方向以外への相対移動が規制される。
【0033】
さらに、バネケース71の後端部である可動板部714は、座フレーム6とともに、後に詳述するようなロック機構を構成することにより、座フレーム6に対して上下および左右方向への相対移動が規制されている。これらの結果、バネケース71は、全体として座フレーム6に対して前後方向の相対移動のみを行うことが可能となっている。
【0034】
このバネケース71は、前記座フレーム6の空洞部65の後方に位置する開口端69から挿脱可能とされ、前記座フレーム6の空洞部65内に収容された状態で座フレーム6とほぼ同じ高さをなし、座フレーム6の左右の内側壁612間に当該バネケース71の左右の側壁712が収められる。軸受部材74は、図20にも示すように支持フレーム4の前横軸44に引っ掛けるように係合して回転可能に係合部94を構成するのに対して、座フレーム6は前述したように回転スライド係合部91において前後へスライド移動するため、バネケース71に対する座フレーム6の相対移動が生じる。バネケース71はバネ72を圧縮しながら図9(a)に示す組立位置より図9(b)の過程を経て、図9(c)に示す使用位置に向かって回転するため、バネ反力はバネケース71を組立位置に戻す方向に作用している。また、バネケース71は前後方向以外には座フレームに対する相対移動を規制している。その規制手段として、例えば、図5で示すように、前記バネケース71の前記座フレーム6と当接する部分に、両者を円滑に摺動させるための第1、第2のスライドガイド部66、67を設けている。
【0035】
第1のスライドガイド部66は、前記座フレーム6の内側壁612の上縁に一体的に設けられて当該座フレーム6の底壁616と平行に延びる突部であり、この突部は下に緩やかな凸をなすように湾曲していて、図7に示すようにバネケース71を組込んだ際には、バネケース71の上面に対して前後方向と直交する横方向に線接触して当該バネケース71を下方に押し付けている。また、図5で示すように、第2のスライドガイド部67は、座フレーム6の左右の内側壁612に一体的に設けられて縦方向に延びる突部であり、この突部は内側に緩やかな凸をなすように湾曲していて、図6で示すバネケース71の左右の側壁712に対して前後方向と直交する上下方向に線接触して、バネケース71の左右方向への振れ止めを図っている。バネケース71の基準位置の設定や座フレーム6の製作の行いやすさの点から、本実施形態においてこれら第1のスライドガイド部66と第2のスライドガイド部67とは前後方向で同一の箇所に設けてある。
【0036】
また、図5で示すように、座フレーム6の後方に、第1のスライドガイド部66とは前後方向で異なる位置に、第3のスライドガイド部68を補助的に設けている。第3のスライドガイド部68は、座フレーム6の底壁616の内側に緩やかな凸をなすように湾曲した形状で一体的に設けられた凸部であり、図6および図7のようにして組込むバネケース71の可動板部714の下面と摺動可能な位置に設けられ、バネケース71の可動板部714の下面に対して前後方向と直交する横方向に線接触することができるものである。このように構成することで、第3のスライドガイド部68以外に、底壁616には特別高い精度が必要なくなり、座フレーム6の加工が更に容易になる。
【0037】
図5に示すように、これら第1、第2、第3のスライドガイド部66、67、68は、それぞれ前後方向に沿って1箇所にのみ設けられている。
【0038】
図6および図7に示すように、反力機構7におけるバネ72は螺旋状をなす圧縮コイルバネである。
【0039】
可動バネ受け73は、バネ当接面733からバネ受け伸張アーム731を一体的に延出させたもので、このバネ受け伸張アーム731は先端734がバネ72の内部を通過して前記基準バネ受け75の貫通孔751に挿し通した状態に配置されて、当該可動バネ受け73が基準バネ受け75に対向される。バネ当接面733はチャネル状の変位伝達部材732の一部であり、この変位伝達部材732は背フレーム5の後傾に伴う座フレーム6のスライド変位を、反力調節部76を介してバネ72に伝える役割を果たす。反力調節部76は、図18に示すように、調節量入力部材761と調節量出力部材762の斜面767、768同士を突き合わせ、調節量入力部材761の左右方向の移動を調節量出力部材762の前後方向の移動に変換して、変位伝達部材732の位置すなわちバネ当接面733の位置を図7に示したバネ72が圧縮する方向またはその逆方向に変更するもので、図6および図18に示した調節量入力部材761は、図5および図7に示すように、座フレーム6の底壁616に設けた起立部617に、一部を前後方向と直交する方向にスライド可能に係合させた状態で座フレーム6の前後移動に追従して前後方向に移動する。そして、図18(a)および(b)に示すように、この調節量入力部材761に設けたねじ孔763に反力調節レバー764を螺合させ、この反力調節レバー764の外方端に設けたグリップ部765を操作することによって、前記調節量入力部材761をねじ送り可能としている。また、反力調節レバー764の一部は、図3および図6に示すように、座フレーム6の適宜位置に回転可能かつ軸上に設けた鍔部766を座フレーム6の一部に軸方向に移動しないように係合させて取り付けてある。反力調節レバー764は座フレーム6と一体となって前後方向に移動するため、着座者との相対位置は一定に保たれる。
【0040】
ここで、図9を用いて、支持フレーム4、座フレーム6、背フレーム5およびバネケース71の組立手順について説明する。
【0041】
バネケース71の軸受部材74は下向き開口凹部742の形状によって、図9(a)に示すように、少なくとも使用角度よりも起立した組立角度で支持フレーム4の前横軸44に対して交差する方向から着脱可能となるようにされており、同様に、座フレーム6の回転スライド孔62もまた、座フレーム6の内部にバネケース71を含む反力機構7を内部に収容した状態で、前記組立角度で支持フレーム4の前横軸44に対して交差する方向から開口を介して着脱可能とされている。従って、組立時においては、まずバネケース71を含む反力機構7を座フレーム6内に組込んだ上で、バネケース71と座フレーム6とは、所定の組立角度をもって同時に支持フレーム4の前横軸44に係合させることができる。
【0042】
そして、図9(b)、図9(c)に示すように、座フレーム6をバネケース71とともに前横軸44に係合させた状態で、組立角度から使用角度に向かって座フレーム6を反力機構7とともに一体的に回転可能としている。その際、前記支持フレーム4には、組立角度から使用角度に向かう前記バネケース71の移動に伴って可動バネ受け73をバネ圧縮方向に付勢するカム面46が設けてある。このカム面46は、前記前横軸44からほぼ接線方向に沿って後ろ下方に延び、R部を介して下方に向きを変えているものであり、図5に示す、座フレーム6の底壁616の前方に設けられた起立部617の前面と摺動するように構成されている。これにより、図9(a)、(b)および(c)に示すように、バネケース71が軸受部材74において前横軸44を中心に回転するのに対して、座フレーム6は回転スライド孔62内に前横軸44を遊動させながら後方へスライド移動し、この間に初期反力を蓄積する。カム面46は図4に示すように前記前横軸44を補強するリブの役割もなしている。
【0043】
そして、図9(a)、(b)および(c)に示すように、背フレーム5の前向き開口凹部53を支持フレーム4の後横軸45に直交方向から係合させ、この背フレーム5の中間横軸52に座フレーム6の下向き開口凹部64を引っ掛けるようにして嵌め合わせることで、前記支持フレーム4と前記背フレーム5の間、前記支持フレーム4と前記座フレーム6の間、前記座フレーム6と前記背フレーム5、および前記支持フレーム4と座フレーム内に収容されたバネケース71の間に、図7で示したような、係脱可能な嵌め合い部(係合部)92、91、93、94をそれぞれ構成する。これらの係合部91、94、93、92は、それぞれ図19(a)、(b)、(c)、(d)のような軸と凹部の組み合わせからなり、概ね同図内における斜線で示した箇所951、961、952、962、953、963、954、964がそれぞれ摺動するため、これらの箇所は軸受領域として、滑らかな表面となるように処理してある。
【0044】
図7及び図9(c)に示す状態でのバネ72の初期反力は座フレーム6の下向き開口凹部64を介して背フレーム5の中間横軸52を支持フレーム4の前横軸44の方向に引き寄せるように作用するため、座フレーム6と背フレーム5の嵌め合いが強まる方向に、また背フレーム5の前向き開口凹部53が支持フレーム4の後横軸45に押し付けられて背フレーム5と支持フレーム4の嵌め合いが強まる方向にそれぞれ作用し、さらには座フレーム6内に組み込まれたバネケース71の軸受部材74と支持フレーム4の前横軸44との間の嵌め合いも強まる。この結果、これらの嵌め合い部は、前記反力機構7の初期反力を利用して互いに嵌め合い状態を維持する。さらに、図7→図8に示すように、前記背フレーム5および前記座フレーム6の連動動作に伴って前記反力機構7の初期反力を越える反力が生じ、座フレーム6と背フレーム5の嵌め合い、背フレーム5と支持フレーム4の嵌め合い、および支持フレーム4と座フレーム6の嵌め合いをそれぞれ深める方向に作用する力を強めるものとなる。
【0045】
特に、図7、図8および図19に示すように、背凭れが起立位置から後傾位置の間でロッキングする間、軸受部材74は前横軸44の中央部近傍のバネケース係合部442に引っ掛かった状態で当該前横軸44の所定の軸受領域952を摺動するとともに、座フレーム6の回転係合孔618は前横軸44の両端部付近の座フレーム係合部441の所定の軸受領域951を摺動する。さらに、図9に示す位置関係を有する、背フレーム5の前向き開口凹部53は支持フレーム4の後横軸45に嵌り合った状態で当該後横軸45のうち特に嵌め合い力が作用する軸受領域954を摺動し、座フレーム6の下向き開口凹部64は背フレーム5の中間横軸52に嵌り合った状態で当該中間横軸52のうち特に嵌め合い力が作用する面に沿った軸受領域953を摺動する。そこで、少なくともこれらの横軸44、45、52の軸受領域は、図4に例として図示した、各々の横軸44、45、52の中心を通る左右方向の軸線である互いに平行な横軸線mの回りの滑らかな凸状摺動面として構成され、また、各開口凹部742、618、53、64は同様に互いに平行な横軸線mの回りの滑らかな凹状摺動面として構成されている。回転スライド孔62もこれに準じて構成される。
【0046】
特に、図4および図2に示すように、支持フレーム4の突起部である後横軸45は、外周面の一部に円周溝451が設けてあり、突起部の外周である当該円周溝451の溝底には、異形部として円周方向に沿って肉盗み452を設け、この肉盗み452以外の外周面が間欠的な凸状摺動面453とされている。これと嵌め合わされる前記背フレーム5の前向き開口凹部53の側方には、図4に示す前記支持フレーム4の突起部である後横軸45と係合した際に当該後横軸45の突出端面454にさしかかるカバー部54が一体的に設けてある。なお、肉盗み452はグリス溜めとして用いることもでき、このように使用すればより摺動抵抗を低減させることができる。また、突起部である各々の横軸44、45、52に異形部として鍔状の大径部を形成し、嵌め合わせる各開口凹部742、618、53、64の軸方向への位置ずれを防止することも可能である。さらには、各開口凹部742、618、53、64との相対運動を阻害しなければ、組立に利した形を有する異形部を各横軸44、45、52の一部に設けても良い。
【0047】
さらに、この実施形態は、図7および図8に示すような、背フレーム5および座フレーム6のロッキング動作を所定の位置で拘束する、図10および図11に示すような、ロック機構8を有する。
【0048】
このロック機構8は、座フレーム6内に取り付けられるストッパケース81と、その中に納められる板状のストッパ部材82と、バネケース71の後方に設けられストッパ部材82が差し込まれるための係合孔715を備えた可動板部714と、ストッパ部材82を上下に進退させる進退機構85とから構成される。このようにロック機構8を構成することによって、ストッパケース81と座フレーム6との間でバネケース71の後端部としての可動板部714が挟みこまれるようにして上下方向に規制されることになる。また、上述したようにバネケース71はその左右の側壁712が、座フレームの左右の内側壁612間に収められており、後端部近傍で第2のスライドガイド部67によって左右方向にも相対移動が規制されている。従って、バネケース71の後端部は座フレーム6に対して上下方向と左右方向の相対移動が不能となっており、前後方向のみの相対移動が可能となっている。そして、この前後方向の相対移動も、ロック機構8の動作により所定の位置で固定される。
【0049】
進退機構85はストッパ部材82に対して上下方向の操作力を付与するためのバネであるねじりコイルバネ83と操作レバー84とから構成される。ストッパ部材82は下部に2箇所の矩形状の突出部821を有する板状をなすようにスチールまたは樹脂素材により一体成型されたものであり、上部近傍にねじりコイルバネ83の端部831を取り付けるための挿入孔822が設けられている。ストッパケース81は一対の対向壁である前壁811と後壁812とを固定板部である底壁813でつないだ3つの平面で構成されるチャネル状をなすようにスチールまたは樹脂素材により一体成型または折り曲げ加工されたものであり、底壁813には、図12に示すように、ストッパ部材82下部の突出部821とほぼ同形状のスリット状の係合孔814が開口されている。
【0050】
また、バネケース71後方の可動板部714における前記係合孔715もストッパ部材82下部の突出部821とほぼ同形状のスリットであり、前後方向に所定ピッチで複数箇所設けられている。なお、座フレーム6の底壁616においても、ストッパ部材82の突出部821と対応した位置に、それとほぼ同形状のスリット状の係合孔618が設けられている。
【0051】
図10および図11に示すように、操作レバー84は概ね断面が略長方形となる棒状の形状に形成され、人が操作を行う操作端841は扁平状に形成され、他端のストッパ部材82を上下させる作用端842側においては、側面にねじりコイルバネの端部831を挿入する挿入孔843が設けられるとともに、ねじりコイルバネ83がその中に納まるよう一部が切り欠かれるようにして形成された逃げ部845が設けられている。また、操作端841と作用端842との間には操作レバー84を座フレーム6に対し取り付けるための取付軸844が、操作レバー84の長手方向と直交する方向に一対設けられている。
【0052】
ストッパケース81は座フレーム6の後方近傍に固定され、このストッパケース81の内側にストッパ部材82が、その片面が前壁811に当接してガイドされつつ上下方向に進退自在に設けられるとともに、これを操作させるための操作レバー84における作用端842がストッパケース81の横方向より挿入され、ストッパケース81内で前後方向にストッパ部材82と操作レバー84の作用端842とが緊密に配置されるよう構成されている。なお、片面をストッパケース81の前壁811に当接させるのは、操作レバー84の作用端とともに緊密に納めることで、当該前壁811をガイドとしてストッパ部材82の位置を安定させるためであり、これをストッパケース81の後壁812と当接するように構成しても同様の効果が得られ、差し支えない。
【0053】
また、ストッパ部材82と操作レバー84との間にはねじりコイルバネ83が、操作レバー84の作用端842近傍に設けられた逃げ部845の中に納まるよう取り付けられ、バネの巻方向と直交する方向で反対方向に突き出した2つのバネ端831が、それぞれストッパ部材82および操作レバー84に設けられた挿入孔822、843に嵌挿されている。さらに、操作レバー84の操作端841は座フレーム6の側壁に設けられたレバー挿入孔691を通過して人が操作可能な位置まで張り出すとともに、取付軸844は座フレーム6の外側壁613の外面に設けられた、前記取付軸844を把持するように構成されているレバー取付部692によって回転自在に係合されている。
【0054】
そのため、操作レバー84の操作端841を上下方向に操作することで、ストッパケース81内で操作レバー84の作用端842が上下動を行い、これがねじりコイルバネ83を介してストッパ部材82を上下駆動させ、当該ストッパ部材82はストッパケース81の前壁811に当接して、当該前壁によってガイドされた状態で上下し、ストッパケース81の底壁813に設けた係合孔815よりストッパ部材82の突出部821が進退するようになっている。
【0055】
そして、ストッパ部材82の突出部821がストッパケース81の係合孔815より突出し、その下側に位置する、バネケース71の可動板部714に設けられたスリット状の係合孔715に差し込まれた状態となった時、座フレーム6とバネケース71との相対動作が規制され、ロッキング動作のロックが行われることになる。
【0056】
具体的には以下のように各部が動作し、ロックが行われる。
【0057】
まず、操作レバー84を操作し、図12(a)に示すように、最初は上側に位置したストッパ部材82に対して、これを下側に移動させる方向にバネ力が作用した場合、ストッパケース81の底壁813に設けられた係合孔814からストッパ部材82の突出部821が飛び出し、下側にあるバネケース71に接触する。この時、バネケース71の可動板部714に設けられたスリット状の係合孔715が対応する位置にある場合、図12(b)に示すように、この中にストッパ部材の突出部821が挿入される。可動板部714に設けられたスリット状の係合孔715が、ストッパ部材82の突出部821と対応する位置にない場合でも、図7および図8のように、背フレーム5の傾きを変えることにより座フレーム6とバネケース71との相対位置が変わることで、図12(b)または図12(c)に示すように、ストッパ部材82に対応する位置に可動板部714の係合孔715が合致すれば、ストッパ部材の突出部821が挿入されることになる。さらに、ストッパ部材82は座フレーム6の底壁616のスリット状係合孔618にも同時に挿入される。
【0058】
このように座フレーム6に対してストッパケース81を介して前後方向に規制されたストッパ部材82の突出部821が、バネケース71の可動板部714に設けられたスリット状の係合孔715に嵌まり込むことにより、座フレーム6とバネケース71間の相対運動が規制されロッキング位置のロックが行われる。このとき、ストッパ部材82の突出部821と、可動板部714の係合孔715とが、前後方向に緊密に嵌まり込むよう、寸法を設定することで、ロック後の位置ずれを少なくすることが可能である。さらに、本実施態用では、ストッパ部材82が座フレーム6の底壁616のスリット状係合孔618にも同時に挿入されることから、ストッパ部材82に作用するせん断力が先端の突出部821近傍にのみ集中するため、ストッパ部材82の変形が抑えられている。
【0059】
また、上述したように、バネケース71の後端部である可動板部714は座フレーム6に対して上下方向に相対移動が規制されており、常に可動板部714の係合孔715と座フレーム6の底壁616のスリット状係合孔618とが上下方向に近接した位置となることで、位置ずれが生じにくくなり、これらにストッパ部材82を同時に嵌め込むことが容易となっている。さらに、バネケース71の後端部である可動板部714は座フレーム6に対して左右方向の相対移動も規制されていることから、可動板部714の係合孔715と座フレーム6のスリット状係合孔618とは平行を保ちやすく、よりストッパ部材82のはめ込みが容易となっている。これらの結果、ストッパ部材82の操作性が良くなるとともに、ストッパ部材82の突出部821と、係合孔715およびスリット状係合孔618との間の寸法差を小さくして、ガタを少なくすることが可能となっている。
【0060】
ロックを解除する際には、図10に示す操作レバー84を操作することにより、図12(a)のようにストッパ部材82を上方に持ち上げ、その突出部821を座フレーム6の係合孔618およびバネケース71の係合孔715から抜くことにより、座フレーム6、バネケース71間の相対運動の規制が解かれ、再びロッキング動作が可能となる。このような動作を行うことによって、ロッキング位置も図12(b)、(c)のように所望の位置に変更することが可能となる。
【0061】
また、本実施形態においては、図11および図13に示すように、操作レバー84とストッパ部材82の間をねじりコイルバネ83で連結し、当該1個のバネ部材のみによってストッパ部材82に対し上向きまたは下向きの異なる向きの力を付与することが可能となるように構成されている。
【0062】
すなわち、図11および図13に示すように、操作レバー84の作用端842付近に設けたねじりコイルバネ端部831の挿入孔843と、ストッパ部材82に設けたねじりコイルバネ端部831の挿入孔822とは、左右方向にずらした位置関係とし、両者にねじりコイルバネ83の端部831をそれぞれ取り付けた場合には、常にバネの両端部831、831の間で拡開力が作用するように構成してある。そして、ねじりコイルバネ83はそれぞれの挿入孔で回転運動が可能となるよう支持されているため、双方の挿入孔843、822の位置関係により最もバランスの良い位置に自動的に方向を変えるよう構成されている。
【0063】
具体的には、以下のように動作を行う。
【0064】
まず、図13(a)の左図のように、操作レバー84がロックのオフ位置にあり、その作用端842が下側にあり、ストッパ部材82が上方向に持ち上げられた状態においては、右図のようにねじりコイルバネ83は挿入孔843、822に対して図の右方向に位置し、かつ操作レバー作用端842よりも上方に位置している。こうした位置関係においては、ねじりコイルバネ83による拡開力は操作レバー84の作用端842を更に下方向へ、ストッパ部材82を更に上方向へそれぞれ向かわせる力を付与するものとなり、より現在の状態を安定させるものとなる。操作レバー84をロックのオン位置に変位させた場合、それぞれの位置関係は図13(b)左図、(c)左図、(d)左図の過程をたどり、(e)左図のような操作レバー84の作用端842が下側にあり、ストッパ部材82が下方向へと移動した位置関係に落ち着く。こうした動作の過程において、ねじりコイルバネ83は(b)右図、(c)右図、(d)右図、(e)右図のように図の左方向へと移動していくことになる。そして、ねじりコイルバネの拡開力は、ロックのオフ位置のときとは逆に、操作レバー84の作用端842を更に上方向へ、ストッパ部材82を更に下方向へそれぞれ向かわせる力を付与し安定状態を維持する。この状態より、再度操作レバー84をロックのオフ位置に変化させた場合、図13(f)の過程を経て、図13(g)の状態、すなわち図13(a)と同じ状態に戻ることになる。
【0065】
また、本実施形態の椅子においては、図2および図14に示すように、座面32に対する高さ調整機構2が組み込まれ、これは概ね支柱12に組み込まれたガススプリング21と、その上部にある突没子211を押圧するためのガススプリングレバー22とから構成される。そして、ガススプリングレバー22の操作端221を上方に引き上げることで、係合部223を支点として作用端222を下方に移動させ、ガススプリング21の突没子211を押圧することで、支持フレーム4を介して座面32の高さ調整を行うことができるようにしてある。
【0066】
図14および図15に示すように、ガススプリング21を組み込んだ支柱12はその軸方向の一部に凸部121を備えた略円筒形状であり、下端を脚羽根11の上部に嵌挿する。そして上端には、支持フレーム4の支柱取付孔としてのボス孔42を嵌挿し、前記凸部121で重量を受けつつ支持フレーム4を回転自在に支承する。この際、ボス孔42の上部からはガススプリングレバー22上部の突没子211が突出する。
【0067】
ガススプリングレバー22は略棒状の形状を有し、これを操作する操作端221および前記突没子211を押圧する作用端222は、非操作位置で水平面に対しほぼ平行となる扁平形状としている。また、ガススプリングレバー22の下面には、操作端221と作用端222との間で、ガススプリングレバー22の長手方向における重心位置よりも作用端222よりの位置において支持フレーム4に下方から係合するための係合部223が設けられている。当該係合部223はガススプリングレバー22の本体の下面よりさらに下に若干張り出して作用端222側に延出した、L字のフック状突出部であり、ガススプリングレバー22の本体と一体となって成型されている。
【0068】
支持フレーム4においては、ボス孔42の上部近傍には、図4に基づいて既述したように取付孔431を備えたガススプリングレバー取付部43が設けられている。図14および図15に示すように、ガススプリングレバー22はその係合部223が支持フレーム4に設けた取付孔431に挿入される形で支持され、この部分を中心に一定の範囲で回動が可能となっており、操作端221は椅子の側方に張り出すとともに、作用端222は椅子中心部のガススプリング21の突没子211の上部に位置づけられる。
【0069】
ガススプリングレバー22は、その重心が係合部223よりも操作端221よりにあるため、係合部223を支持フレーム4のガススプリングレバー取付部43における取付孔431に引っ掛けるのみで、係合部223を中心に操作端221を下側にするように回転しようとし、当該係合部223の後方の下面224が、ガススプリングレバー取付部43の上面に当接する位置で安定する。よって、この状態で、支持フレーム4に対して楽に支柱12を組み込むことが可能となる。
【0070】
さらに、本実施形態においては、図16および図17に示すように、ガススプリングレバー22の作用端222側を下にして水平面から一定以上の角度をもつ場合でしか、係合部223の取付孔431への挿脱はできないようにしており、さらには、図15で示したように、ガススプリングレバー22の作用端222側を支持フレーム4のボス孔42内部に入り込むことが可能であるように構成している。さらに、当該組立時のガススプリングレバー22の作用端222の位置に対し、支持フレーム4のボス孔42に支柱12を組み込んだ後には、当該支柱12の上部が干渉し、ガススプリングレバー22は挿脱可能な角度を取ることができないように構成してある。そのため、支柱12を組み込んだ後には、支柱12を支持フレーム4から離脱させることなしにガススプリングレバー22を支持フレーム4から取り外すことは不能となる。
【0071】
具体的には、図15で示すように、ガススプリングレバー22の下面に設けられたフック状の係合部223を、支持フレーム4の取付孔431に対し挿脱可能とするためには、ガススプリングレバー22が水平面となす角度をα以上にすることを要する。
【0072】
ここで、ガススプリングレバー22が挿脱可能な限界角度αとは、図22に模式的に示したように、ガススプリングレバー取付部の厚みt1と、ガススプリングレバー22の係合部223先端の厚みt2と、取付孔431の幅BによってB×sinα−t1×cosα=t2の関係を持つ角度として一意に決定されるものである。
【0073】
図15に示すように、支柱12を抜き去っていると、ガススプリングレバー22の作用端が他の部材に干渉することなく、α以上の角度とすることができ、ガススプリングレバー22を支持フレーム4に対し挿脱することが可能となる
【0074】
しかしながら、図21に示すように、支柱12が支持フレーム4に組み込まれている場合には、ガススプリングレバー22を操作して、ガススプリング21の突没子211を最大限に押し込んだ状態でも、作用端222がガススプリング21本体と干渉して、水平面となす角度はβまでしかとることができない。βはαよりも十分小さくなるように構成してあるため、当該角度では一旦取り付けたガススプリングレバー22を抜き去ることはできないようになっている。
【0075】
また、支持フレーム4の取付孔431は、図4にも示したように、これと係合するガススプリングレバー22の長手方向に対し直交する辺を長辺とした略長方形の形状としている。そして、ガススプリングレバー22の下面に設けた係合部223は、当該取付孔431の形状に合わせた当接面を有するよう、断面が略長方形となるように構成してある。そのため、ガススプリングレバー22は操作中、鉛直面内を安定して回動することができ、の突没子211の上方からずれることが無くなる。
【0076】
このように配置することで、ガススプリングレバー22の操作端221を上方に引き上げると、係合部223を支点として作用端222が下方に移動し、ガススプリング21の突没子211を押圧することが可能となり、座面の高さ調整を行うことができる。
【0077】
以上のように、本実施形態の椅子は、支柱12に支持された支持フレーム4と、この支持フレーム4に対して起倒動作可能な背フレーム5と、前記背フレーム5に連動して背フレーム5の起倒動作に沿う方向に移動するように前記支持フレーム4と前記背フレーム5とに関連づけられた座フレーム6と、前記支持フレーム4に対する前記座フレーム6および前記背フレーム5の連動動作に抗するバネ力を蓄積させる反力機構7と、前記支持フレーム4に対する前記座フレーム6および前記背フレーム5の連動動作を拘束するロック機構8とを具備するものにおいて、前記反力機構7が前記座フレーム6内に設けたバネケース71と、このバネケース71と座フレーム6とに関係づけられたバネ83とを備えており、前記バネケース71は前記連動動作中に前端部及び後端部が前記座フレーム6に一部拘束されたなかで当該座フレーム6とともに傾きながら当該座フレーム6に対して前後方向に相対移動する連動動作を行うように関連づけられ、前記ロック機構8は前記バネケース71と前記座フレーム6の前後方向の相対位置を固定することで前記支持フレーム4に対する前記座フレーム6および前記背フレーム5の連動動作を拘束するように構成したものである。
【0078】
このようにすることで、シンクロロッキング機構を簡単な構成で実現できるとともに、ロッキング位置を固定するロック機構8も、位置規制すべき部材が一部で相対運動を規制されている座フレーム6とバネケース71だけであるため、設置場所についての制約が少なく、シンプルで部品点数の少ない構成で実現できる。そのため、コンパクト化と同時にコスト削減や動作安定性の向上を図ることが可能となる。さらに、座フレーム6とバネケース71とは常に近接した状態を保つため、これらの位置固定にかかる操作性も向上し、固定後の位置ずれも低減できる。
【0079】
また、前記バネケース71が、前端部及び後端部において、前記座フレーム6に対する上下方向の相対移動が拘束されるようにして構成しているため、ロッキング位置のロックに係る操作性を向上させつつ、ロック後のロッキング位置にずれを生じさせず確実に固定することが可能となる。
【0080】
さらに、前記バネケース71が、前端部及び後端部において、前記座フレーム6内に設けられて当該座フレーム6に対する左右方向の相対移動が拘束されるようにして構成しているため、操作性の向上、ロッキング位置ずれの低減の点でなお有利となる。
【0081】
また、前記ロック機構8を、前後方向と直交する方向に進退自在に構成されたストッパ部材82と、このストッパ部材82を進退させる進退機構85と、前記ストッパ部材82が差し込まれる係合孔715とからなり、前記座フレーム6若しくは前記バネケース71のうちいずれか一方に前記ストッパ部材82および前記進退機構85を設け、他方に前記係合孔715を設けるようにして構成することで、より上記の効果を高めることが可能となっている。
【0082】
さらには、前記バネケース71と前記ストッパ部材82と前記進退機構85とがそれぞれ座フレーム6の高さ寸法内に収められるよう構成させることで、より一層のコンパクト化を可能としている。
【0083】
また、前記係合孔715を設ける部分を板状に形成し、対応するストッパ部材82の抜き差しに必要となるストロークも小さくした上で、前記ストッパ部材82が進退するストローク範囲内で座フレーム6の高さ寸法に収まるように構成させることで、コンパクト化をより進めることが可能となる。
【0084】
また、前記係合孔715が前後方向とは直交する方向に延びたスリットであって、所定ピッチで前後方向に複数個設けられる一方、前記ストッパ部材82が板状に構成されるとともに前記係合孔715と嵌まりあう突出部821をその一部に備え、前記ストッパ部材82の一方の面が当該ストッパ部材82を納めるストッパケース81の内面にガイドされつつ前記ストッパ部材82の進退が行われるよう構成されているため、ロッキングのロック位置を細かく変更可能とし、ロック後は位置ずれを生じさせないとの基本機能をより高めることが可能となっている。
【0085】
さらに、前記ストッパケース81を前記座フレーム6に固定し、前記係合孔715を前記バネケース71に設けるとともに、前記ストッパ部材82の突出部821が緊密に進退可能な補助係合孔618を座フレーム6に設け、前記ストッパ部材82の突出部821が、前記係合孔715と前記補助係合孔618とが重なり合った位置で、同時に差し込まれるよう構成することにより、ストッパ部材82に対してせん断力が作用する位置を突出部821近傍のみに集中させることが可能となり、ストッパ部材82に無理な力を作用させず、破断防止およびストッパ部材82の上下への進退動作の容易化を図ることが可能となっている。
【0086】
さらに、前記進退機構85が、前記ストッパ部材82を納めるストッパケース81と、前記ストッパ部材82の進退を操作する操作レバー84と、前記操作レバー84の変位により前記ストッパ部材82に対し進退させる力を付与するバネ部材83とからなり、前記バネ部材83を解除位置とロック位置で付勢方向が切り替わるよう配置することにより、部品点数を少なくし、よりコンパクトな構成とすることが可能となっている。
【0087】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0088】
例えば、上述の実施形態では、図10に示すように、ストッパケース81を座フレーム6側に固定し、座フレーム6に対し前後方向を規制されつつストッパ部材82が上下に進退可能に構成し、バネケース71側に設けた係合孔715に対してストッパ部材82が嵌挿するよう構成しているが、単にロッキング動作のロックを行うためには、ストッパケース81および進退機構85がバネケース71側に固定され、ストッパ部材82と対応する係合孔715が座フレーム6側にあってもよい。ただし、着座した者がロック操作を行うためには、座面が固定される座フレーム6と操作レバー84とが一体となって前後方向に動くほうが好ましく、そのためには座フレーム6側にストッパ部材82および進退機構85を設け、前記係合孔715を前記バネケース71に設けるよう構成することが望ましい。6
【0089】
また、上述の実施態様のようにストッパ部材82を進退させる方向を上下方向とすることは必須ではなく、前後方向と直交する方向であれば良い。例えば、座フレーム6とバネケース71の側壁612、712に係合孔618、715を設け、これらの係合孔に対して、左右方向よりストッパ部材82を嵌め込むようにして前後方向への相対移動を規制するよう構成することも可能である。
【符号の説明】
【0090】
4…支持フレーム
5…背フレーム
6…座フレーム
7…反力機構
8…ロック機構
71…バネケース
72…圧縮コイルバネ
73…可動バネ受け
81…ストッパケース
82…ストッパ部材
83…ねじりコイルバネ
84…操作レバー
85…進退機構
714…可動板部
715…係合孔
821…突出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、座面後側の下降動作と背の後傾動作とが連動したいわゆるシンクロロッキング機構、および、それら動作を所望の位置で固定するロック機構を備えた椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
こうした機構を備える椅子については、様々なタイプのものが提案されている。例えば、特許文献1においては、シンクロロッキング機構を実現するための構成として、メインフレームに対する座や背の連結構造を示すとともに、背の倒れ角に応じて反力が増減する反力機構の支持構造についての提案を行っている。また、ロッキング動作のロック機構を実現する構成としては、特許文献2において、ガススプリングの弁の開閉によりロックおよび解除を行うものが示されている。さらに、特許文献3においては、背の後傾に伴って移動する部材に対し、これを規制する部材を当接させることでロックを行うものが、特許文献4においては、背の後傾に伴って移動または回転するギア面を有する部材に対し、これと噛み合うギア面を有する部材を当接させることでロックを行うものが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6796611号公報
【特許文献2】特公平2−24527号公報
【特許文献3】特開2001−128774号公報
【特許文献4】特開2003−189967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に示された従来技術においては、シンクロロッキング機構を実現するための構成が複雑であるとともに、ロッキング動作を規制するロック機構を設けることのできる位置が制約されてしまう。
【0005】
こうした構成を基にさらに特許文献2〜4のようなロック機構を加えると、ますます構成が複雑で部品点数の多いものとなり、コンパクト化を図ることやコスト削減が困難となるとともに動作不良といった問題が生じやすくなる。さらには、操作性が悪く速やかにロッキング位置のロックが行うことが不能であったり、ロック後でもロッキング位置にズレが生じたりするような不具合が発生するケースが考えられる。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、部品点数が少なくシンプルな構成をとり、コンパクトで動作安定性が高く、安価で操作性の良いシンクロロッキング機構のロック機構を備えた椅子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる目的を達成するため、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明の椅子は、支柱に支持された支持フレームと、この支持フレームに対して起倒動作可能な背フレームと、前記背フレームに連動して背フレームの起倒動作に沿う方向に移動するように前記支持フレームと前記背フレームとに関連づけられた座フレームと、前記支持フレームに対する前記座フレームおよび前記背フレームの連動動作に抗するバネ力を蓄積させる反力機構と、前記支持フレームに対する前記座フレームおよび前記背フレームの連動動作を拘束するロック機構とを具備するものにおいて、前記反力機構が前記座フレーム内に設けたバネケースと、このバネケースと座フレームとに関係づけられたバネを備えており、前記バネケースは前記連動動作中に前端部及び後端部が前記座フレームに一部拘束されたなかで当該座フレームとともに傾きながら当該座フレームに対して前後方向に相対移動する連動動作を行うように関連づけられ、前記ロック機構は前記バネケースと前記座フレームの前後方向の相対位置を固定することで前記支持フレームに対する前記座フレームおよび前記背フレームの連動動作を拘束することを特徴とする。
【0009】
このようにすることで、シンクロロッキング機構を簡単な構成で実現できるとともに、ロッキング位置を固定するロック機構も、位置規制すべき部材が一部で相対運動を規制されている座フレームとバネケースだけであるため、設置場所についての制約が少なく、シンプルで部品点数の少ない構成で実現できる。そのため、コンパクト化と同時にコスト削減や動作安定性の向上を図ることが可能となる。さらに、座フレームとバネケースとは常に近接した状態を保つため、これらの位置固定にかかる操作性も向上し、固定後の位置ずれも低減できる。
【0010】
さらに操作性を向上させ、ロッキング位置にずれを生じさせないよう確実に固定可能とするためには、前記バネケースが、前端部及び後端部において、当該座フレームに対する上下方向の相対移動が拘束されるようにして構成することが好ましく、前端部及び後端部において、前記座フレーム内に設けられて当該座フレームに対する左右方向の相対移動が拘束されるようにして構成することがなお好ましい。
【0011】
また、上記の効果をさらに高めるには、前記ロック機構を、前後方向と直交する方向に進退自在に構成されたストッパ部材と、このストッパ部材を進退させる進退機構と、前記ストッパ部材が差し込まれる係合孔とからなり、前記座フレーム若しくは前記バネケースのうちいずれか一方に前記ストッパ部材および前記進退機構を設け、他方に前記係合孔を設けるようにして構成することが好ましい。
【0012】
さらに、コンパクト化をより進めるためには、前記バネケースと前記ストッパ部材と前記進退機構とがそれぞれ座フレームの高さ寸法内に収められるよう構成することが好ましく、前記係合孔を設ける部分が板状であり、前記ストッパ部材が進退するストローク範囲内で座フレームの高さ寸法に収まるように構成することがより好ましい。
【0013】
また、ロッキングのロック位置を細かく変更可能とし、ロック後は位置ずれを生じさせないとの基本機能をより高めるためには、前記係合孔が前後方向とは直交する方向に延びたスリットであって、所定ピッチで前後方向に複数個設けられる一方、前記ストッパ部材が板状に構成されるとともに前記係合孔と嵌まりあう突出部をその一部に備え、前記ストッパ部材の一方の面が当該ストッパ部材を納めるストッパケースの内面にガイドされつつ前記ストッパ部材の進退が行われるよう構成されていることが好ましい。
【0014】
さらに、前記ストッパ部材への負荷を軽減し、動作安定性を高めるためには、前記ストッパケースを前記座フレームに固定し、前記係合孔を前記バネケースに設けるとともに、前記ストッパ部材の突出部が緊密に進退可能な補助係合孔を座フレームに設け、前記ストッパ部材の突出部が、前記係合孔と前記補助係合孔とが重なり合った位置で、同時に差し込まれるよう構成することが好ましい。
【0015】
さらに、よりコンパクトな構成とするためには、前記進退機構が、前記ストッパ部材を納めるストッパケースと、前記ストッパ部材の進退を操作する操作レバーと、前記操作レバーの変位により前記ストッパ部材に対し進退させる力を付与するバネ部材とからなり、前記バネ部材を解除位置とロック位置で付勢方向が切り替わるよう配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
以上説明した本発明によれば、シンクロロッキング機構と、その動作を規制するロック機構とを有し、ロックした後にはその位置がずれないという基本機能を充足しつつ操作性を向上させることが可能となる。さらには、ロック機構を簡単な構成で実現できるため、コンパクト化が可能となるとともに、部品点数減少により製造コストを低減させ、動作安定性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る椅子の側面図。
【図2】同椅子の分解斜視図。
【図3】同椅子のフレーム間のリンク機構を説明する要部斜視図。
【図4】同椅子を構成する支持フレームの斜視図。
【図5】同椅子を構成する座フレームの中心線縦断面斜視図。
【図6】同椅子の反力機構およびロック機構の分解斜視図。
【図7】同椅子の反力機構の断面斜視図。
【図8】同椅子の背フレームが後傾したときの反力機構の断面斜視図。
【図9】同椅子の座フレームおよび反力機構を支持フレームおよび背フレームに係合させる際の反力機構の動作を説明する断面図。
【図10】同椅子のストッパ機構の組立状態を示す要部斜視図。
【図11】同椅子のストッパ機構の分解状態を示す要部斜視図。
【図12】同椅子のストッパ部材とストッパケース、バネケース、座フレームの可動板との位置関係を示す断面図。
【図13】同椅子のロッキングストッパの動作機構を説明する要部断面図。
【図14】同椅子の座面の高さ調整機構を説明する要部斜視図。
【図15】同椅子の座面の高さ調整機構の組立方法を説明する要部断面図。
【図16】同椅子の支持フレームにガススプリングレバーを組込んだ状態の要部斜視図。
【図17】同椅子の支持フレームにガススプリングレバーを組込む前の状態の要部斜視図。
【図18】同椅子の反力調節部の動作を説明する要部斜視図。
【図19】同椅子の各係合部における軸受領域を説明する要部断面図。
【図20】同椅子の前横軸に対する軸受部材とスライド孔の係合状態を示す要部斜視図。
【図21】同椅子のガススプリングレバーを操作した際の要部断面図。
【図22】同椅子のガススプリングレバーの挿脱角度を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
この実施形態の椅子は、図1および図2に示すように、脚羽根11に支柱12を介して椅子本体3を回転可能に取り付けた回転椅子であり、支柱12に支持された支持フレーム4と背フレーム5および座フレーム6とを具備し、図3に示すように、それぞれが係合することでリンク機構を構成している。
【0020】
ここで、本発明においては、椅子の中心から背31に向けた方向を後方向とし、その反対方向を前方向とする。すなわち、図1における左方向が前方向となり、右方向が後方向となる。そして鉛直方向を上下方向または縦方向と呼び、さらには前後方向および上下方向に直交する方向を横方向または左右方向とする。
【0021】
支持フレーム4は、図4に示すように、アルミダイキャストや樹脂等の素材を用いて一体成型されるもので、左右の側壁411、後壁412、前壁413および底壁414を含む舟形のメインフレーム41を主体とし、このメインフレーム41に、支柱12を取り付けるための取付孔であるボス孔42と、左右の側壁411、411間を連結する横リブ415と、前壁413、後壁412および横リブ413の間を連結し或いは前記ボス孔42をメインフレーム41に対して支持するための縦リブ416、斜めリブ417とが少なくとも一体成型してある。また、ボス孔42の上部近傍には、後述するガススプリングレバーを取り付けるための取付孔431を備えたガススプリングレバー取付部43が設けてある。そして、メインフレーム41の前壁413の上部には、左右に突出する突起部を一体として連結した、前横軸44を一体成型している。前横軸44は、3つの領域に機能的に分けられ、メインフレーム41から左右に突出した領域が座フレーム6を係合させる第2の横軸としての係合部441、メインフレーム41内に形成された領域が後述するバネケースを係合させる第4の横軸としての係合部442に設定され、これらが同軸上になるように構成されている。また、メインフレーム41の左右の側壁411には、それぞれ左右に突出する第1の横軸としての後横軸45を一体成型している。
【0022】
背フレーム5は、図2に示すように、アルミダイキャストや樹脂等の素材を用いて一体成型されるもので、左右一対のフレームメンバ51の中間部が、第3の横軸としての突起部である中間横軸52で連結された構造をなし、下端部に円筒を一部切り欠いた形状の前向き開口凹部53が形成されている。フレームメンバ51には、延伸方向と異なる方向すなわち背フレーム5の起立方向に延びる緩やかな山形の隆起部511が一体成型され、前記中間横軸52は左右の隆起部511の内面間を連結する位置に配置されている。
【0023】
座フレーム6は、図5および図6に示すように、樹脂素材を用いて一体成型されるもので、前後方向に延びるように形成された左右一対の主フレーム61を前壁611および底壁616でつないだ形状に構成され、当該主フレーム61は、板状に形成された内側壁612と外側壁613とを横リブ614でつないだ形状に構成されている。そして、座フレーム6には、上側に後述するバネケースを内蔵するための空洞部65が設けられ、その後方は開口端69とされるとともに、内側壁612の前方と前壁611とに渡る位置には上蓋615が設けられている。さらに、底壁616や内側壁612は上蓋615の下にさしかかるあたりで終わっていて、上蓋615の下方に連結用空間63が形成され、内側壁612には側面視長孔状の回転スライド孔62が、一部を切り欠いた状態で下方に開口されている。
【0024】
なお、本実施形態における座フレーム6は上記の通り、上方が開口された空洞部65を具備しているが、必ずしも当該空洞部65の上方を開口した形状にする必要はなく、空洞部65の上方を閉止する形状としても、下方を開口した形状としてもよい。
【0025】
また、座フレーム6の内側壁612および外側壁613は、底壁616よりも後方に延出しており、その延出部の下方に、円筒を一部切り欠いた形状の下向き開口凹部64を形成している。この下向き開口凹部64は、内奥が部分円筒面に沿った軸受面とされ、開口端が斜め前下方を向いている。
【0026】
そして、図4、図5および図7に示したように、座フレーム6の連結用空間63に、支持フレーム4の前壁413を差しこみ、その上部の前横軸44の両端部付近に設けられた座フレーム係合部441を、座フレーム6の左右の内側壁612に設けられた回転スライド孔62に係合させることで前横軸44と回転スライド孔62が回転スライド係合部91を構成している。そして、図3で示したように、背フレーム5の前向き開口凹部53を支持フレーム4の後横軸45に起倒動作可能に係合させ、さらに背フレーム5の中間横軸52に座フレーム6の下向き開口凹部64を係合させることで、図3、図7および図8に示したような、背フレーム5と支持フレーム4の係合部92と、座フレーム6と背フレーム5の係合部93を構成し、座フレーム6が前記背フレーム5の後傾動作に連動して後部が沈み込みながら後方へ移動しまた背フレーム5の起立動作に連動して後部が持ち上がりながら前方へ移動するシンクロロッキング動作を実現している。
【0027】
また、前記支持フレーム4に対する前記座フレーム6および前記背フレーム5の連動動作に抗するバネ力を蓄積すべく、反力機構7を構成している。
【0028】
この反力機構7は、図6、図7および図8に示すように、本発明のバネ支持部として構成された下向きに開口するバネケース71にバネ72および可動バネ受け73を収容し、前記バネケース71を前記支持フレーム4の前横軸44に係合させて、背フレーム5の後傾に伴うバネケース71に対する座フレーム6の相対的なスライド動作によって可動バネ受け73を変位させてバネ72の圧縮が起こるように構成される。
【0029】
このバネケース71は後に詳述するように、前端部が支持フレーム4と係合するとともに、座フレーム6によって上下方向と左右方向とに規制されており、さらに、後述のロック機構8を構成することにより後端部も座フレーム6によって上下方向と左右方向に規制されている。その結果、バネケース71は座フレーム6と一体的に上下方向に動き、前後方向の相対移動のみを行うことが可能となっている。
【0030】
以下、その具体的に構成について述べる。
【0031】
バネケース71は、図6および図7に示すように、スチール素材等を用いて、上壁711と左右の側壁712と後壁713とを含み下向きに開口する直方体状に形成され、延出部である後壁713の下部からは、さらにこの後壁713と直交する後方向にバネケース71の後端部としての可動板部714が延出されている。また、バネケース71は、上壁711の前端側に設定した凹部からなる基点部716に対し、これに対応する凸部741を有する、軸受面となる部分的な円筒面によって下向き開口凹部742を形成する軸受部材74を取り付け、基点から後方へ変位して延出部である前記後壁713の中心部近傍を基準バネ受け75としている。この基準バネ受け75には貫通孔751が設けられている。
【0032】
このバネケース71は、前端部の基点部716において軸受部材74を介して支持フレーム4と係合するとともに、上壁711の上部に座フレーム6の上蓋615が配置されるように構成することで上方向への移動が規制されている。また、前端部近傍においては、左右の側壁712が座フレーム6の内側壁612によって左右方向への相対移動が規制されている。ここで、前述したように座フレーム6は支持フレーム4の前横軸44と回転スライド孔62が係合して回転スライド係合部91を構成しているため、当該箇所において支持フレーム4によって上下方向には拘束されている。そのためバネケース71の前端部は、座フレームの上蓋615と支持フレーム4の前横軸44との間で挟み込まれるようにして上下方向に規制されることになる。このようにして、バネケースの前端部は座フレーム6に対して前後方向以外への相対移動が規制される。
【0033】
さらに、バネケース71の後端部である可動板部714は、座フレーム6とともに、後に詳述するようなロック機構を構成することにより、座フレーム6に対して上下および左右方向への相対移動が規制されている。これらの結果、バネケース71は、全体として座フレーム6に対して前後方向の相対移動のみを行うことが可能となっている。
【0034】
このバネケース71は、前記座フレーム6の空洞部65の後方に位置する開口端69から挿脱可能とされ、前記座フレーム6の空洞部65内に収容された状態で座フレーム6とほぼ同じ高さをなし、座フレーム6の左右の内側壁612間に当該バネケース71の左右の側壁712が収められる。軸受部材74は、図20にも示すように支持フレーム4の前横軸44に引っ掛けるように係合して回転可能に係合部94を構成するのに対して、座フレーム6は前述したように回転スライド係合部91において前後へスライド移動するため、バネケース71に対する座フレーム6の相対移動が生じる。バネケース71はバネ72を圧縮しながら図9(a)に示す組立位置より図9(b)の過程を経て、図9(c)に示す使用位置に向かって回転するため、バネ反力はバネケース71を組立位置に戻す方向に作用している。また、バネケース71は前後方向以外には座フレームに対する相対移動を規制している。その規制手段として、例えば、図5で示すように、前記バネケース71の前記座フレーム6と当接する部分に、両者を円滑に摺動させるための第1、第2のスライドガイド部66、67を設けている。
【0035】
第1のスライドガイド部66は、前記座フレーム6の内側壁612の上縁に一体的に設けられて当該座フレーム6の底壁616と平行に延びる突部であり、この突部は下に緩やかな凸をなすように湾曲していて、図7に示すようにバネケース71を組込んだ際には、バネケース71の上面に対して前後方向と直交する横方向に線接触して当該バネケース71を下方に押し付けている。また、図5で示すように、第2のスライドガイド部67は、座フレーム6の左右の内側壁612に一体的に設けられて縦方向に延びる突部であり、この突部は内側に緩やかな凸をなすように湾曲していて、図6で示すバネケース71の左右の側壁712に対して前後方向と直交する上下方向に線接触して、バネケース71の左右方向への振れ止めを図っている。バネケース71の基準位置の設定や座フレーム6の製作の行いやすさの点から、本実施形態においてこれら第1のスライドガイド部66と第2のスライドガイド部67とは前後方向で同一の箇所に設けてある。
【0036】
また、図5で示すように、座フレーム6の後方に、第1のスライドガイド部66とは前後方向で異なる位置に、第3のスライドガイド部68を補助的に設けている。第3のスライドガイド部68は、座フレーム6の底壁616の内側に緩やかな凸をなすように湾曲した形状で一体的に設けられた凸部であり、図6および図7のようにして組込むバネケース71の可動板部714の下面と摺動可能な位置に設けられ、バネケース71の可動板部714の下面に対して前後方向と直交する横方向に線接触することができるものである。このように構成することで、第3のスライドガイド部68以外に、底壁616には特別高い精度が必要なくなり、座フレーム6の加工が更に容易になる。
【0037】
図5に示すように、これら第1、第2、第3のスライドガイド部66、67、68は、それぞれ前後方向に沿って1箇所にのみ設けられている。
【0038】
図6および図7に示すように、反力機構7におけるバネ72は螺旋状をなす圧縮コイルバネである。
【0039】
可動バネ受け73は、バネ当接面733からバネ受け伸張アーム731を一体的に延出させたもので、このバネ受け伸張アーム731は先端734がバネ72の内部を通過して前記基準バネ受け75の貫通孔751に挿し通した状態に配置されて、当該可動バネ受け73が基準バネ受け75に対向される。バネ当接面733はチャネル状の変位伝達部材732の一部であり、この変位伝達部材732は背フレーム5の後傾に伴う座フレーム6のスライド変位を、反力調節部76を介してバネ72に伝える役割を果たす。反力調節部76は、図18に示すように、調節量入力部材761と調節量出力部材762の斜面767、768同士を突き合わせ、調節量入力部材761の左右方向の移動を調節量出力部材762の前後方向の移動に変換して、変位伝達部材732の位置すなわちバネ当接面733の位置を図7に示したバネ72が圧縮する方向またはその逆方向に変更するもので、図6および図18に示した調節量入力部材761は、図5および図7に示すように、座フレーム6の底壁616に設けた起立部617に、一部を前後方向と直交する方向にスライド可能に係合させた状態で座フレーム6の前後移動に追従して前後方向に移動する。そして、図18(a)および(b)に示すように、この調節量入力部材761に設けたねじ孔763に反力調節レバー764を螺合させ、この反力調節レバー764の外方端に設けたグリップ部765を操作することによって、前記調節量入力部材761をねじ送り可能としている。また、反力調節レバー764の一部は、図3および図6に示すように、座フレーム6の適宜位置に回転可能かつ軸上に設けた鍔部766を座フレーム6の一部に軸方向に移動しないように係合させて取り付けてある。反力調節レバー764は座フレーム6と一体となって前後方向に移動するため、着座者との相対位置は一定に保たれる。
【0040】
ここで、図9を用いて、支持フレーム4、座フレーム6、背フレーム5およびバネケース71の組立手順について説明する。
【0041】
バネケース71の軸受部材74は下向き開口凹部742の形状によって、図9(a)に示すように、少なくとも使用角度よりも起立した組立角度で支持フレーム4の前横軸44に対して交差する方向から着脱可能となるようにされており、同様に、座フレーム6の回転スライド孔62もまた、座フレーム6の内部にバネケース71を含む反力機構7を内部に収容した状態で、前記組立角度で支持フレーム4の前横軸44に対して交差する方向から開口を介して着脱可能とされている。従って、組立時においては、まずバネケース71を含む反力機構7を座フレーム6内に組込んだ上で、バネケース71と座フレーム6とは、所定の組立角度をもって同時に支持フレーム4の前横軸44に係合させることができる。
【0042】
そして、図9(b)、図9(c)に示すように、座フレーム6をバネケース71とともに前横軸44に係合させた状態で、組立角度から使用角度に向かって座フレーム6を反力機構7とともに一体的に回転可能としている。その際、前記支持フレーム4には、組立角度から使用角度に向かう前記バネケース71の移動に伴って可動バネ受け73をバネ圧縮方向に付勢するカム面46が設けてある。このカム面46は、前記前横軸44からほぼ接線方向に沿って後ろ下方に延び、R部を介して下方に向きを変えているものであり、図5に示す、座フレーム6の底壁616の前方に設けられた起立部617の前面と摺動するように構成されている。これにより、図9(a)、(b)および(c)に示すように、バネケース71が軸受部材74において前横軸44を中心に回転するのに対して、座フレーム6は回転スライド孔62内に前横軸44を遊動させながら後方へスライド移動し、この間に初期反力を蓄積する。カム面46は図4に示すように前記前横軸44を補強するリブの役割もなしている。
【0043】
そして、図9(a)、(b)および(c)に示すように、背フレーム5の前向き開口凹部53を支持フレーム4の後横軸45に直交方向から係合させ、この背フレーム5の中間横軸52に座フレーム6の下向き開口凹部64を引っ掛けるようにして嵌め合わせることで、前記支持フレーム4と前記背フレーム5の間、前記支持フレーム4と前記座フレーム6の間、前記座フレーム6と前記背フレーム5、および前記支持フレーム4と座フレーム内に収容されたバネケース71の間に、図7で示したような、係脱可能な嵌め合い部(係合部)92、91、93、94をそれぞれ構成する。これらの係合部91、94、93、92は、それぞれ図19(a)、(b)、(c)、(d)のような軸と凹部の組み合わせからなり、概ね同図内における斜線で示した箇所951、961、952、962、953、963、954、964がそれぞれ摺動するため、これらの箇所は軸受領域として、滑らかな表面となるように処理してある。
【0044】
図7及び図9(c)に示す状態でのバネ72の初期反力は座フレーム6の下向き開口凹部64を介して背フレーム5の中間横軸52を支持フレーム4の前横軸44の方向に引き寄せるように作用するため、座フレーム6と背フレーム5の嵌め合いが強まる方向に、また背フレーム5の前向き開口凹部53が支持フレーム4の後横軸45に押し付けられて背フレーム5と支持フレーム4の嵌め合いが強まる方向にそれぞれ作用し、さらには座フレーム6内に組み込まれたバネケース71の軸受部材74と支持フレーム4の前横軸44との間の嵌め合いも強まる。この結果、これらの嵌め合い部は、前記反力機構7の初期反力を利用して互いに嵌め合い状態を維持する。さらに、図7→図8に示すように、前記背フレーム5および前記座フレーム6の連動動作に伴って前記反力機構7の初期反力を越える反力が生じ、座フレーム6と背フレーム5の嵌め合い、背フレーム5と支持フレーム4の嵌め合い、および支持フレーム4と座フレーム6の嵌め合いをそれぞれ深める方向に作用する力を強めるものとなる。
【0045】
特に、図7、図8および図19に示すように、背凭れが起立位置から後傾位置の間でロッキングする間、軸受部材74は前横軸44の中央部近傍のバネケース係合部442に引っ掛かった状態で当該前横軸44の所定の軸受領域952を摺動するとともに、座フレーム6の回転係合孔618は前横軸44の両端部付近の座フレーム係合部441の所定の軸受領域951を摺動する。さらに、図9に示す位置関係を有する、背フレーム5の前向き開口凹部53は支持フレーム4の後横軸45に嵌り合った状態で当該後横軸45のうち特に嵌め合い力が作用する軸受領域954を摺動し、座フレーム6の下向き開口凹部64は背フレーム5の中間横軸52に嵌り合った状態で当該中間横軸52のうち特に嵌め合い力が作用する面に沿った軸受領域953を摺動する。そこで、少なくともこれらの横軸44、45、52の軸受領域は、図4に例として図示した、各々の横軸44、45、52の中心を通る左右方向の軸線である互いに平行な横軸線mの回りの滑らかな凸状摺動面として構成され、また、各開口凹部742、618、53、64は同様に互いに平行な横軸線mの回りの滑らかな凹状摺動面として構成されている。回転スライド孔62もこれに準じて構成される。
【0046】
特に、図4および図2に示すように、支持フレーム4の突起部である後横軸45は、外周面の一部に円周溝451が設けてあり、突起部の外周である当該円周溝451の溝底には、異形部として円周方向に沿って肉盗み452を設け、この肉盗み452以外の外周面が間欠的な凸状摺動面453とされている。これと嵌め合わされる前記背フレーム5の前向き開口凹部53の側方には、図4に示す前記支持フレーム4の突起部である後横軸45と係合した際に当該後横軸45の突出端面454にさしかかるカバー部54が一体的に設けてある。なお、肉盗み452はグリス溜めとして用いることもでき、このように使用すればより摺動抵抗を低減させることができる。また、突起部である各々の横軸44、45、52に異形部として鍔状の大径部を形成し、嵌め合わせる各開口凹部742、618、53、64の軸方向への位置ずれを防止することも可能である。さらには、各開口凹部742、618、53、64との相対運動を阻害しなければ、組立に利した形を有する異形部を各横軸44、45、52の一部に設けても良い。
【0047】
さらに、この実施形態は、図7および図8に示すような、背フレーム5および座フレーム6のロッキング動作を所定の位置で拘束する、図10および図11に示すような、ロック機構8を有する。
【0048】
このロック機構8は、座フレーム6内に取り付けられるストッパケース81と、その中に納められる板状のストッパ部材82と、バネケース71の後方に設けられストッパ部材82が差し込まれるための係合孔715を備えた可動板部714と、ストッパ部材82を上下に進退させる進退機構85とから構成される。このようにロック機構8を構成することによって、ストッパケース81と座フレーム6との間でバネケース71の後端部としての可動板部714が挟みこまれるようにして上下方向に規制されることになる。また、上述したようにバネケース71はその左右の側壁712が、座フレームの左右の内側壁612間に収められており、後端部近傍で第2のスライドガイド部67によって左右方向にも相対移動が規制されている。従って、バネケース71の後端部は座フレーム6に対して上下方向と左右方向の相対移動が不能となっており、前後方向のみの相対移動が可能となっている。そして、この前後方向の相対移動も、ロック機構8の動作により所定の位置で固定される。
【0049】
進退機構85はストッパ部材82に対して上下方向の操作力を付与するためのバネであるねじりコイルバネ83と操作レバー84とから構成される。ストッパ部材82は下部に2箇所の矩形状の突出部821を有する板状をなすようにスチールまたは樹脂素材により一体成型されたものであり、上部近傍にねじりコイルバネ83の端部831を取り付けるための挿入孔822が設けられている。ストッパケース81は一対の対向壁である前壁811と後壁812とを固定板部である底壁813でつないだ3つの平面で構成されるチャネル状をなすようにスチールまたは樹脂素材により一体成型または折り曲げ加工されたものであり、底壁813には、図12に示すように、ストッパ部材82下部の突出部821とほぼ同形状のスリット状の係合孔814が開口されている。
【0050】
また、バネケース71後方の可動板部714における前記係合孔715もストッパ部材82下部の突出部821とほぼ同形状のスリットであり、前後方向に所定ピッチで複数箇所設けられている。なお、座フレーム6の底壁616においても、ストッパ部材82の突出部821と対応した位置に、それとほぼ同形状のスリット状の係合孔618が設けられている。
【0051】
図10および図11に示すように、操作レバー84は概ね断面が略長方形となる棒状の形状に形成され、人が操作を行う操作端841は扁平状に形成され、他端のストッパ部材82を上下させる作用端842側においては、側面にねじりコイルバネの端部831を挿入する挿入孔843が設けられるとともに、ねじりコイルバネ83がその中に納まるよう一部が切り欠かれるようにして形成された逃げ部845が設けられている。また、操作端841と作用端842との間には操作レバー84を座フレーム6に対し取り付けるための取付軸844が、操作レバー84の長手方向と直交する方向に一対設けられている。
【0052】
ストッパケース81は座フレーム6の後方近傍に固定され、このストッパケース81の内側にストッパ部材82が、その片面が前壁811に当接してガイドされつつ上下方向に進退自在に設けられるとともに、これを操作させるための操作レバー84における作用端842がストッパケース81の横方向より挿入され、ストッパケース81内で前後方向にストッパ部材82と操作レバー84の作用端842とが緊密に配置されるよう構成されている。なお、片面をストッパケース81の前壁811に当接させるのは、操作レバー84の作用端とともに緊密に納めることで、当該前壁811をガイドとしてストッパ部材82の位置を安定させるためであり、これをストッパケース81の後壁812と当接するように構成しても同様の効果が得られ、差し支えない。
【0053】
また、ストッパ部材82と操作レバー84との間にはねじりコイルバネ83が、操作レバー84の作用端842近傍に設けられた逃げ部845の中に納まるよう取り付けられ、バネの巻方向と直交する方向で反対方向に突き出した2つのバネ端831が、それぞれストッパ部材82および操作レバー84に設けられた挿入孔822、843に嵌挿されている。さらに、操作レバー84の操作端841は座フレーム6の側壁に設けられたレバー挿入孔691を通過して人が操作可能な位置まで張り出すとともに、取付軸844は座フレーム6の外側壁613の外面に設けられた、前記取付軸844を把持するように構成されているレバー取付部692によって回転自在に係合されている。
【0054】
そのため、操作レバー84の操作端841を上下方向に操作することで、ストッパケース81内で操作レバー84の作用端842が上下動を行い、これがねじりコイルバネ83を介してストッパ部材82を上下駆動させ、当該ストッパ部材82はストッパケース81の前壁811に当接して、当該前壁によってガイドされた状態で上下し、ストッパケース81の底壁813に設けた係合孔815よりストッパ部材82の突出部821が進退するようになっている。
【0055】
そして、ストッパ部材82の突出部821がストッパケース81の係合孔815より突出し、その下側に位置する、バネケース71の可動板部714に設けられたスリット状の係合孔715に差し込まれた状態となった時、座フレーム6とバネケース71との相対動作が規制され、ロッキング動作のロックが行われることになる。
【0056】
具体的には以下のように各部が動作し、ロックが行われる。
【0057】
まず、操作レバー84を操作し、図12(a)に示すように、最初は上側に位置したストッパ部材82に対して、これを下側に移動させる方向にバネ力が作用した場合、ストッパケース81の底壁813に設けられた係合孔814からストッパ部材82の突出部821が飛び出し、下側にあるバネケース71に接触する。この時、バネケース71の可動板部714に設けられたスリット状の係合孔715が対応する位置にある場合、図12(b)に示すように、この中にストッパ部材の突出部821が挿入される。可動板部714に設けられたスリット状の係合孔715が、ストッパ部材82の突出部821と対応する位置にない場合でも、図7および図8のように、背フレーム5の傾きを変えることにより座フレーム6とバネケース71との相対位置が変わることで、図12(b)または図12(c)に示すように、ストッパ部材82に対応する位置に可動板部714の係合孔715が合致すれば、ストッパ部材の突出部821が挿入されることになる。さらに、ストッパ部材82は座フレーム6の底壁616のスリット状係合孔618にも同時に挿入される。
【0058】
このように座フレーム6に対してストッパケース81を介して前後方向に規制されたストッパ部材82の突出部821が、バネケース71の可動板部714に設けられたスリット状の係合孔715に嵌まり込むことにより、座フレーム6とバネケース71間の相対運動が規制されロッキング位置のロックが行われる。このとき、ストッパ部材82の突出部821と、可動板部714の係合孔715とが、前後方向に緊密に嵌まり込むよう、寸法を設定することで、ロック後の位置ずれを少なくすることが可能である。さらに、本実施態用では、ストッパ部材82が座フレーム6の底壁616のスリット状係合孔618にも同時に挿入されることから、ストッパ部材82に作用するせん断力が先端の突出部821近傍にのみ集中するため、ストッパ部材82の変形が抑えられている。
【0059】
また、上述したように、バネケース71の後端部である可動板部714は座フレーム6に対して上下方向に相対移動が規制されており、常に可動板部714の係合孔715と座フレーム6の底壁616のスリット状係合孔618とが上下方向に近接した位置となることで、位置ずれが生じにくくなり、これらにストッパ部材82を同時に嵌め込むことが容易となっている。さらに、バネケース71の後端部である可動板部714は座フレーム6に対して左右方向の相対移動も規制されていることから、可動板部714の係合孔715と座フレーム6のスリット状係合孔618とは平行を保ちやすく、よりストッパ部材82のはめ込みが容易となっている。これらの結果、ストッパ部材82の操作性が良くなるとともに、ストッパ部材82の突出部821と、係合孔715およびスリット状係合孔618との間の寸法差を小さくして、ガタを少なくすることが可能となっている。
【0060】
ロックを解除する際には、図10に示す操作レバー84を操作することにより、図12(a)のようにストッパ部材82を上方に持ち上げ、その突出部821を座フレーム6の係合孔618およびバネケース71の係合孔715から抜くことにより、座フレーム6、バネケース71間の相対運動の規制が解かれ、再びロッキング動作が可能となる。このような動作を行うことによって、ロッキング位置も図12(b)、(c)のように所望の位置に変更することが可能となる。
【0061】
また、本実施形態においては、図11および図13に示すように、操作レバー84とストッパ部材82の間をねじりコイルバネ83で連結し、当該1個のバネ部材のみによってストッパ部材82に対し上向きまたは下向きの異なる向きの力を付与することが可能となるように構成されている。
【0062】
すなわち、図11および図13に示すように、操作レバー84の作用端842付近に設けたねじりコイルバネ端部831の挿入孔843と、ストッパ部材82に設けたねじりコイルバネ端部831の挿入孔822とは、左右方向にずらした位置関係とし、両者にねじりコイルバネ83の端部831をそれぞれ取り付けた場合には、常にバネの両端部831、831の間で拡開力が作用するように構成してある。そして、ねじりコイルバネ83はそれぞれの挿入孔で回転運動が可能となるよう支持されているため、双方の挿入孔843、822の位置関係により最もバランスの良い位置に自動的に方向を変えるよう構成されている。
【0063】
具体的には、以下のように動作を行う。
【0064】
まず、図13(a)の左図のように、操作レバー84がロックのオフ位置にあり、その作用端842が下側にあり、ストッパ部材82が上方向に持ち上げられた状態においては、右図のようにねじりコイルバネ83は挿入孔843、822に対して図の右方向に位置し、かつ操作レバー作用端842よりも上方に位置している。こうした位置関係においては、ねじりコイルバネ83による拡開力は操作レバー84の作用端842を更に下方向へ、ストッパ部材82を更に上方向へそれぞれ向かわせる力を付与するものとなり、より現在の状態を安定させるものとなる。操作レバー84をロックのオン位置に変位させた場合、それぞれの位置関係は図13(b)左図、(c)左図、(d)左図の過程をたどり、(e)左図のような操作レバー84の作用端842が下側にあり、ストッパ部材82が下方向へと移動した位置関係に落ち着く。こうした動作の過程において、ねじりコイルバネ83は(b)右図、(c)右図、(d)右図、(e)右図のように図の左方向へと移動していくことになる。そして、ねじりコイルバネの拡開力は、ロックのオフ位置のときとは逆に、操作レバー84の作用端842を更に上方向へ、ストッパ部材82を更に下方向へそれぞれ向かわせる力を付与し安定状態を維持する。この状態より、再度操作レバー84をロックのオフ位置に変化させた場合、図13(f)の過程を経て、図13(g)の状態、すなわち図13(a)と同じ状態に戻ることになる。
【0065】
また、本実施形態の椅子においては、図2および図14に示すように、座面32に対する高さ調整機構2が組み込まれ、これは概ね支柱12に組み込まれたガススプリング21と、その上部にある突没子211を押圧するためのガススプリングレバー22とから構成される。そして、ガススプリングレバー22の操作端221を上方に引き上げることで、係合部223を支点として作用端222を下方に移動させ、ガススプリング21の突没子211を押圧することで、支持フレーム4を介して座面32の高さ調整を行うことができるようにしてある。
【0066】
図14および図15に示すように、ガススプリング21を組み込んだ支柱12はその軸方向の一部に凸部121を備えた略円筒形状であり、下端を脚羽根11の上部に嵌挿する。そして上端には、支持フレーム4の支柱取付孔としてのボス孔42を嵌挿し、前記凸部121で重量を受けつつ支持フレーム4を回転自在に支承する。この際、ボス孔42の上部からはガススプリングレバー22上部の突没子211が突出する。
【0067】
ガススプリングレバー22は略棒状の形状を有し、これを操作する操作端221および前記突没子211を押圧する作用端222は、非操作位置で水平面に対しほぼ平行となる扁平形状としている。また、ガススプリングレバー22の下面には、操作端221と作用端222との間で、ガススプリングレバー22の長手方向における重心位置よりも作用端222よりの位置において支持フレーム4に下方から係合するための係合部223が設けられている。当該係合部223はガススプリングレバー22の本体の下面よりさらに下に若干張り出して作用端222側に延出した、L字のフック状突出部であり、ガススプリングレバー22の本体と一体となって成型されている。
【0068】
支持フレーム4においては、ボス孔42の上部近傍には、図4に基づいて既述したように取付孔431を備えたガススプリングレバー取付部43が設けられている。図14および図15に示すように、ガススプリングレバー22はその係合部223が支持フレーム4に設けた取付孔431に挿入される形で支持され、この部分を中心に一定の範囲で回動が可能となっており、操作端221は椅子の側方に張り出すとともに、作用端222は椅子中心部のガススプリング21の突没子211の上部に位置づけられる。
【0069】
ガススプリングレバー22は、その重心が係合部223よりも操作端221よりにあるため、係合部223を支持フレーム4のガススプリングレバー取付部43における取付孔431に引っ掛けるのみで、係合部223を中心に操作端221を下側にするように回転しようとし、当該係合部223の後方の下面224が、ガススプリングレバー取付部43の上面に当接する位置で安定する。よって、この状態で、支持フレーム4に対して楽に支柱12を組み込むことが可能となる。
【0070】
さらに、本実施形態においては、図16および図17に示すように、ガススプリングレバー22の作用端222側を下にして水平面から一定以上の角度をもつ場合でしか、係合部223の取付孔431への挿脱はできないようにしており、さらには、図15で示したように、ガススプリングレバー22の作用端222側を支持フレーム4のボス孔42内部に入り込むことが可能であるように構成している。さらに、当該組立時のガススプリングレバー22の作用端222の位置に対し、支持フレーム4のボス孔42に支柱12を組み込んだ後には、当該支柱12の上部が干渉し、ガススプリングレバー22は挿脱可能な角度を取ることができないように構成してある。そのため、支柱12を組み込んだ後には、支柱12を支持フレーム4から離脱させることなしにガススプリングレバー22を支持フレーム4から取り外すことは不能となる。
【0071】
具体的には、図15で示すように、ガススプリングレバー22の下面に設けられたフック状の係合部223を、支持フレーム4の取付孔431に対し挿脱可能とするためには、ガススプリングレバー22が水平面となす角度をα以上にすることを要する。
【0072】
ここで、ガススプリングレバー22が挿脱可能な限界角度αとは、図22に模式的に示したように、ガススプリングレバー取付部の厚みt1と、ガススプリングレバー22の係合部223先端の厚みt2と、取付孔431の幅BによってB×sinα−t1×cosα=t2の関係を持つ角度として一意に決定されるものである。
【0073】
図15に示すように、支柱12を抜き去っていると、ガススプリングレバー22の作用端が他の部材に干渉することなく、α以上の角度とすることができ、ガススプリングレバー22を支持フレーム4に対し挿脱することが可能となる
【0074】
しかしながら、図21に示すように、支柱12が支持フレーム4に組み込まれている場合には、ガススプリングレバー22を操作して、ガススプリング21の突没子211を最大限に押し込んだ状態でも、作用端222がガススプリング21本体と干渉して、水平面となす角度はβまでしかとることができない。βはαよりも十分小さくなるように構成してあるため、当該角度では一旦取り付けたガススプリングレバー22を抜き去ることはできないようになっている。
【0075】
また、支持フレーム4の取付孔431は、図4にも示したように、これと係合するガススプリングレバー22の長手方向に対し直交する辺を長辺とした略長方形の形状としている。そして、ガススプリングレバー22の下面に設けた係合部223は、当該取付孔431の形状に合わせた当接面を有するよう、断面が略長方形となるように構成してある。そのため、ガススプリングレバー22は操作中、鉛直面内を安定して回動することができ、の突没子211の上方からずれることが無くなる。
【0076】
このように配置することで、ガススプリングレバー22の操作端221を上方に引き上げると、係合部223を支点として作用端222が下方に移動し、ガススプリング21の突没子211を押圧することが可能となり、座面の高さ調整を行うことができる。
【0077】
以上のように、本実施形態の椅子は、支柱12に支持された支持フレーム4と、この支持フレーム4に対して起倒動作可能な背フレーム5と、前記背フレーム5に連動して背フレーム5の起倒動作に沿う方向に移動するように前記支持フレーム4と前記背フレーム5とに関連づけられた座フレーム6と、前記支持フレーム4に対する前記座フレーム6および前記背フレーム5の連動動作に抗するバネ力を蓄積させる反力機構7と、前記支持フレーム4に対する前記座フレーム6および前記背フレーム5の連動動作を拘束するロック機構8とを具備するものにおいて、前記反力機構7が前記座フレーム6内に設けたバネケース71と、このバネケース71と座フレーム6とに関係づけられたバネ83とを備えており、前記バネケース71は前記連動動作中に前端部及び後端部が前記座フレーム6に一部拘束されたなかで当該座フレーム6とともに傾きながら当該座フレーム6に対して前後方向に相対移動する連動動作を行うように関連づけられ、前記ロック機構8は前記バネケース71と前記座フレーム6の前後方向の相対位置を固定することで前記支持フレーム4に対する前記座フレーム6および前記背フレーム5の連動動作を拘束するように構成したものである。
【0078】
このようにすることで、シンクロロッキング機構を簡単な構成で実現できるとともに、ロッキング位置を固定するロック機構8も、位置規制すべき部材が一部で相対運動を規制されている座フレーム6とバネケース71だけであるため、設置場所についての制約が少なく、シンプルで部品点数の少ない構成で実現できる。そのため、コンパクト化と同時にコスト削減や動作安定性の向上を図ることが可能となる。さらに、座フレーム6とバネケース71とは常に近接した状態を保つため、これらの位置固定にかかる操作性も向上し、固定後の位置ずれも低減できる。
【0079】
また、前記バネケース71が、前端部及び後端部において、前記座フレーム6に対する上下方向の相対移動が拘束されるようにして構成しているため、ロッキング位置のロックに係る操作性を向上させつつ、ロック後のロッキング位置にずれを生じさせず確実に固定することが可能となる。
【0080】
さらに、前記バネケース71が、前端部及び後端部において、前記座フレーム6内に設けられて当該座フレーム6に対する左右方向の相対移動が拘束されるようにして構成しているため、操作性の向上、ロッキング位置ずれの低減の点でなお有利となる。
【0081】
また、前記ロック機構8を、前後方向と直交する方向に進退自在に構成されたストッパ部材82と、このストッパ部材82を進退させる進退機構85と、前記ストッパ部材82が差し込まれる係合孔715とからなり、前記座フレーム6若しくは前記バネケース71のうちいずれか一方に前記ストッパ部材82および前記進退機構85を設け、他方に前記係合孔715を設けるようにして構成することで、より上記の効果を高めることが可能となっている。
【0082】
さらには、前記バネケース71と前記ストッパ部材82と前記進退機構85とがそれぞれ座フレーム6の高さ寸法内に収められるよう構成させることで、より一層のコンパクト化を可能としている。
【0083】
また、前記係合孔715を設ける部分を板状に形成し、対応するストッパ部材82の抜き差しに必要となるストロークも小さくした上で、前記ストッパ部材82が進退するストローク範囲内で座フレーム6の高さ寸法に収まるように構成させることで、コンパクト化をより進めることが可能となる。
【0084】
また、前記係合孔715が前後方向とは直交する方向に延びたスリットであって、所定ピッチで前後方向に複数個設けられる一方、前記ストッパ部材82が板状に構成されるとともに前記係合孔715と嵌まりあう突出部821をその一部に備え、前記ストッパ部材82の一方の面が当該ストッパ部材82を納めるストッパケース81の内面にガイドされつつ前記ストッパ部材82の進退が行われるよう構成されているため、ロッキングのロック位置を細かく変更可能とし、ロック後は位置ずれを生じさせないとの基本機能をより高めることが可能となっている。
【0085】
さらに、前記ストッパケース81を前記座フレーム6に固定し、前記係合孔715を前記バネケース71に設けるとともに、前記ストッパ部材82の突出部821が緊密に進退可能な補助係合孔618を座フレーム6に設け、前記ストッパ部材82の突出部821が、前記係合孔715と前記補助係合孔618とが重なり合った位置で、同時に差し込まれるよう構成することにより、ストッパ部材82に対してせん断力が作用する位置を突出部821近傍のみに集中させることが可能となり、ストッパ部材82に無理な力を作用させず、破断防止およびストッパ部材82の上下への進退動作の容易化を図ることが可能となっている。
【0086】
さらに、前記進退機構85が、前記ストッパ部材82を納めるストッパケース81と、前記ストッパ部材82の進退を操作する操作レバー84と、前記操作レバー84の変位により前記ストッパ部材82に対し進退させる力を付与するバネ部材83とからなり、前記バネ部材83を解除位置とロック位置で付勢方向が切り替わるよう配置することにより、部品点数を少なくし、よりコンパクトな構成とすることが可能となっている。
【0087】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0088】
例えば、上述の実施形態では、図10に示すように、ストッパケース81を座フレーム6側に固定し、座フレーム6に対し前後方向を規制されつつストッパ部材82が上下に進退可能に構成し、バネケース71側に設けた係合孔715に対してストッパ部材82が嵌挿するよう構成しているが、単にロッキング動作のロックを行うためには、ストッパケース81および進退機構85がバネケース71側に固定され、ストッパ部材82と対応する係合孔715が座フレーム6側にあってもよい。ただし、着座した者がロック操作を行うためには、座面が固定される座フレーム6と操作レバー84とが一体となって前後方向に動くほうが好ましく、そのためには座フレーム6側にストッパ部材82および進退機構85を設け、前記係合孔715を前記バネケース71に設けるよう構成することが望ましい。6
【0089】
また、上述の実施態様のようにストッパ部材82を進退させる方向を上下方向とすることは必須ではなく、前後方向と直交する方向であれば良い。例えば、座フレーム6とバネケース71の側壁612、712に係合孔618、715を設け、これらの係合孔に対して、左右方向よりストッパ部材82を嵌め込むようにして前後方向への相対移動を規制するよう構成することも可能である。
【符号の説明】
【0090】
4…支持フレーム
5…背フレーム
6…座フレーム
7…反力機構
8…ロック機構
71…バネケース
72…圧縮コイルバネ
73…可動バネ受け
81…ストッパケース
82…ストッパ部材
83…ねじりコイルバネ
84…操作レバー
85…進退機構
714…可動板部
715…係合孔
821…突出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱に支持された支持フレームと、この支持フレームに対して起倒動作可能な背フレームと、前記背フレームに連動して背フレームの起倒動作に沿う方向に移動するように前記支持フレームと前記背フレームとに関連づけられた座フレームと、前記支持フレームに対する前記座フレームおよび前記背フレームの連動動作に抗するバネ力を蓄積させる反力機構と、前記支持フレームに対する前記座フレームおよび前記背フレームの連動動作を拘束するロック機構とを具備するものにおいて、前記反力機構が前記座フレーム内に設けたバネケースと、このバネケースと座フレームとに関係づけられたバネとを備えており、前記バネケースは前記連動動作中に前端部及び後端部が前記座フレームに一部拘束されたなかで当該座フレームとともに傾きながら当該座フレームに対して前後方向に相対移動する連動動作を行うように関連づけられ、前記ロック機構は前記バネケースと前記座フレームの前後方向の相対位置を固定することで前記支持フレームに対する前記座フレームおよび前記背フレームの連動動作を拘束することを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記バネケースは、前端部及び後端部において、前記座フレームに対する上下方向の相対移動が拘束されている請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記バネケースは、前端部及び後端部において、前記座フレーム内に設けられて当該座フレームに対する左右方向の相対移動が拘束されている請求項1または2に記載の椅子。
【請求項4】
前記ロック機構が、前後方向と直交する方向に進退自在に構成されたストッパ部材と、このストッパ部材を進退させる進退機構と、前記ストッパ部材が差し込まれる係合孔とからなり、前記座フレーム若しくは前記バネケースのうちいずれか一方に前記ストッパ部材および前記進退機構を設け、他方に前記係合孔を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の椅子。
【請求項5】
前記バネケースと前記ストッパ部材と前記進退機構とがそれぞれ座フレームの高さ寸法内に収められていることを特徴とする請求項4に記載の椅子。
【請求項6】
前記係合孔を設ける部分が板状であり、前記ストッパ部材が進退するストローク範囲内で座フレームの高さ寸法に収まることを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載の椅子。
【請求項7】
前記係合孔が前後方向とは直交する方向に延びたスリットであって、所定ピッチで前後方向に複数個設けられる一方、前記ストッパ部材が板状に構成されるとともに前記係合孔と嵌まりあう突出部をその一部に備え、前記ストッパ部材の一方の面が当該ストッパ部材を納めるストッパケースの内面にガイドされつつ前記ストッパ部材の進退が行われるよう構成されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の椅子。
【請求項8】
前記ストッパケースを前記座フレームに固定し、前記係合孔を前記バネケースに設けるとともに、前記ストッパ部材の突出部が緊密に進退可能な補助係合孔を座フレームに設け、前記ストッパ部材の突出部が、前記係合孔と前記補助係合孔とが重なり合った位置で、同時に差し込まれるよう構成したことを特徴とする請求項7に記載の椅子
【請求項9】
前記進退機構が、前記ストッパ部材を納めるストッパケースと、前記ストッパ部材の進退を操作する操作レバーと、前記操作レバーの変位により前記ストッパ部材に対し進退させる力を付与するバネ部材とからなり、前記バネ部材を解除位置とロック位置で付勢方向が切り替わるよう配置している請求項4〜8のいずれかに記載の椅子。
【請求項1】
支柱に支持された支持フレームと、この支持フレームに対して起倒動作可能な背フレームと、前記背フレームに連動して背フレームの起倒動作に沿う方向に移動するように前記支持フレームと前記背フレームとに関連づけられた座フレームと、前記支持フレームに対する前記座フレームおよび前記背フレームの連動動作に抗するバネ力を蓄積させる反力機構と、前記支持フレームに対する前記座フレームおよび前記背フレームの連動動作を拘束するロック機構とを具備するものにおいて、前記反力機構が前記座フレーム内に設けたバネケースと、このバネケースと座フレームとに関係づけられたバネとを備えており、前記バネケースは前記連動動作中に前端部及び後端部が前記座フレームに一部拘束されたなかで当該座フレームとともに傾きながら当該座フレームに対して前後方向に相対移動する連動動作を行うように関連づけられ、前記ロック機構は前記バネケースと前記座フレームの前後方向の相対位置を固定することで前記支持フレームに対する前記座フレームおよび前記背フレームの連動動作を拘束することを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記バネケースは、前端部及び後端部において、前記座フレームに対する上下方向の相対移動が拘束されている請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記バネケースは、前端部及び後端部において、前記座フレーム内に設けられて当該座フレームに対する左右方向の相対移動が拘束されている請求項1または2に記載の椅子。
【請求項4】
前記ロック機構が、前後方向と直交する方向に進退自在に構成されたストッパ部材と、このストッパ部材を進退させる進退機構と、前記ストッパ部材が差し込まれる係合孔とからなり、前記座フレーム若しくは前記バネケースのうちいずれか一方に前記ストッパ部材および前記進退機構を設け、他方に前記係合孔を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の椅子。
【請求項5】
前記バネケースと前記ストッパ部材と前記進退機構とがそれぞれ座フレームの高さ寸法内に収められていることを特徴とする請求項4に記載の椅子。
【請求項6】
前記係合孔を設ける部分が板状であり、前記ストッパ部材が進退するストローク範囲内で座フレームの高さ寸法に収まることを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載の椅子。
【請求項7】
前記係合孔が前後方向とは直交する方向に延びたスリットであって、所定ピッチで前後方向に複数個設けられる一方、前記ストッパ部材が板状に構成されるとともに前記係合孔と嵌まりあう突出部をその一部に備え、前記ストッパ部材の一方の面が当該ストッパ部材を納めるストッパケースの内面にガイドされつつ前記ストッパ部材の進退が行われるよう構成されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の椅子。
【請求項8】
前記ストッパケースを前記座フレームに固定し、前記係合孔を前記バネケースに設けるとともに、前記ストッパ部材の突出部が緊密に進退可能な補助係合孔を座フレームに設け、前記ストッパ部材の突出部が、前記係合孔と前記補助係合孔とが重なり合った位置で、同時に差し込まれるよう構成したことを特徴とする請求項7に記載の椅子
【請求項9】
前記進退機構が、前記ストッパ部材を納めるストッパケースと、前記ストッパ部材の進退を操作する操作レバーと、前記操作レバーの変位により前記ストッパ部材に対し進退させる力を付与するバネ部材とからなり、前記バネ部材を解除位置とロック位置で付勢方向が切り替わるよう配置している請求項4〜8のいずれかに記載の椅子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−135398(P2012−135398A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289159(P2010−289159)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]