説明

椅子

【課題】座支持フレームに座体を取付ける前に、係合部と被係合部との係合状態を確認しうるようにし、互いの係合精度を向上させうるようにした椅子を提供する。
【解決手段】脚体の上部に支持され、前後複数の係合溝20を有する座支持フレーム13と、座支持フレーム13に前後位置調節可能として支持された座体3と、係合溝20と係脱可能な係合突片33を有するとともに、座支持フレーム13に、前後方向に移動可能かつ係合突片33が係合溝20と係合する方向に付勢された位置から、係合突片33が係合溝20より離脱する位置までの間を回動操作可能として設けられ、さらに、座体3に、前後方向に移動不能かつ係合突片33が係合溝20より離脱した状態において、座体3と共に前後方向に連動しうるように連係された操作レバー31とを備えるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脚体の上部に設けた座支持フレームに、座体を、前後位置調節可能に支持してなる椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
このような、座体の前後位置を調整可能とした椅子においては、不動側の座支持フレームに、係合溝等の被係合部を設け、可動側である座体に設けた操作レバーにおける係合部を、操作レバーの上下方向への回動操作により、上記被係合部と係脱させて、座体の前後位置を調節するようにしているのが殆どである(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−102147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載されている椅子のように、座支持フレーム側に被係合部を、座体側に係合部を有する操作レバーを設けると、座支持フレームに座体を取付けてからでないと、係合部が被係合部に適正に係合するか否か等の係合状態を確認することができない。
そのため、係合部と被係合部との係合精度に誤差が生じた際には、再度座体を取り外したり、操作レバーの取付位置を調整したりする必要があり、それらの作業が面倒である。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、座支持フレームに座体を取付ける前に、係合部と被係合部との係合状態を確認しうるようにし、互いの係合精度を向上させうるようにした椅子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は、次の各項のようにして解決される。
(1)脚体と、この脚体の上部に支持され、前後複数の被係合部を有する座支持フレームと、この座支持フレームに前後位置調節可能として支持された座体と、前記被係合部と係脱可能な係合部を有するとともに、前記座支持フレームに、前後方向に移動可能かつ前記係合部が被係合部と常時係合する方向に付勢された位置から、係合部が被係合部より離脱する位置までの間を回動操作可能として設けられ、さらに、前記座体に、前後方向に移動不能かつ前記係合部が被係合部より離脱した状態において、座体と共に前後方向に連動しうるように連係された操作レバーとを備えるものとする。
【0007】
このような構成によると、座支持フレームに、被係合部と、この被係合部に係合する係合部を有する操作レバーを設けたことにより、座支持フレームに座体を取付ける前に、係合部と被係合部との係合状態を確認し、かつ係合位置を調整したうえで座体を取付けることができるので、互いの係合精度に誤差が生じる恐れはなく、係合部を被係合部に確実に係脱させることができる。
また、係合部が被係合部より離脱すると、座体に前後方向に移動不能に連係させた操作レバーが、座体と共に前後方向に連動し、任意の位置において係合部を前後いずれかの被係合部に選択的に係合させうるので、座体の前後位置を支障なく簡単に調節することができる。
さらに、操作レバーは、係合部を被係合部より離脱させた状態において、座体と共に連動するので、座支持フレーム側に操作レバーを設けたにも拘わらず、座体の前後位置を調節しても、座体と操作レバーとの位置関係は変わらず、従って、一度座体の位置を調節した後の再調節が容易となる。
【0008】
(2)上記(1)項において、操作レバーにおける係合部の反対側に、側方に突出する突部を設けるとともに、座体における前記突部と対向する部分に、突部側に開口する凹部を設け、この凹部に、前記突部を、前後方向に移動不能、かつ操作レバーの回動操作を許容しうるように常時嵌合する。
【0009】
このような構成によると、係合部と被係合部の係合部分と、突部と座体の凹部への嵌合部分とが、左右方向に並び、座体のロック時において操作レバーに曲げ荷重が加わることがないので、座体の前後移動を確実に阻止しうるとともに、操作レバーを安価な樹脂等により製作して、コスト低減を図ることができる。
また、突部を設けたことにより、凹部との嵌合領域が大となるので、座体のロック時において前後方向にぐらつく恐れがない。
さらに、簡単な手段で、操作レバーと座体とを連係して、操作レバーを座体と共に前後方向に確実に連動させることができる。
【0010】
(3)上記(1)または(2)項において、操作レバーを、上向きに操作可能な外側方を向く操作部と、この操作部の内側端より起立する起立部とを有する、正面視ほぼL字状をなすものとし、前記起立部の上端部の外側面に、係合部としての前後複数の係合突片を設け、かつ前記座支持フレームの側端部の内側面に、前後方向に一定間隔おきに並ぶ、被係合部としての内側方に開口する複数の係合溝を設ける。
【0011】
このような構成によると、操作レバーの操作部を上向きに回動操作することにより、起立部の上端部に設けた外側方を向く係合突片を、係合溝に側方より容易に係脱させうるとともに、前後複数の係合突片が、前後に隣接する複数の係合溝と係合するので、係合強度が大となり、座体の前後移動を確実にロックすることができる。
【0012】
(4)上記(3)項において、係合部よりも下方において、起立部の上下方向の中間部を、座支持フレームに設けた前後方向を向く支持軸に、回動可能かつ前後方向に摺動可能に嵌合して支持する。
【0013】
このような構成によると、操作部を上向きに回動操作すると、起立部が支持軸を中心として側方に回動して、その上端部に設けた係合部を、被係合部に確実に係脱させることができる。
また、操作レバーを、支持軸に沿って安定よく前後方向に移動することができる。
【0014】
(5)上記(4)項において、操作レバーを取付けた支持軸を、ブラケットに組付け、このブラケットを座支持フレームに取付ける。
【0015】
このような構成によると、操作レバー及び支持軸を予めブラケットに組み付けてユニット化し、ブラケットのみを座支持フレームに取付ければよく、各部材を個々に組み付ける必要がないので、組付作業が極めて容易となるとともに、組付誤差が生じる恐れが小さくなる。
【0016】
(6)上記()〜(5)項のいずれかにおいて、操作レバーの係合部が被係合部と常時係合する方向に付勢する付勢手段を、V字状をなす板ばねとし、その一方の上向片の上端部を、操作レバーの突部に設けた下方に開口する係止孔に嵌合するとともに、他方の上向片の上端部を、座体に設けた凹部内に嵌合して保持する。
【0017】
このような構成によると、板ばねの付勢力を、係合部と被係合部との係合部分に効果的に働かせることができ、それらの係合を確実なものとしうるとともに、板ばねを簡単に組み付けることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、座支持フレームに、被係合部と、この被係合部に係合する係合部を有する操作レバーを設けたことにより、座支持フレームに座体を取付ける前に、係合部と被係合部との係合状態を確認し、かつ係合位置を調整したうえで座体を取付けることができるので、互いの係合精度に誤差が生じる恐れはなく、係合部を被係合部に確実に係脱させることができる。
また、係合部が被係合部より離脱すると、座体に前後方向に移動不能に連係させた操作レバーが、座体と共に前後方向に連動し、任意の位置において係合部を前後いずれかの被係合部に選択的に係合させうるので、座体の前後位置を支障なく簡単に調節することができる。
さらに、操作レバーは、係合部を被係合部より離脱させた状態において、座体と共に連動するので、座支持フレーム側に操作レバーを設けたにも拘わらず、座体の前後位置を調節しても、座体と操作レバーとの位置関係は変わらず、従って、一度座体の位置を調節した後の再調節が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態の椅子の側面図である。
【図2】同じく、座支持フレーム及び座体の分解斜視図である。
【図3】同じく、座支持フレーム及び座体の底面図である。
【図4】図3のIV-IV線拡大縦断正面図である。
【図5】同じく、V-V線拡大縦断正面図である。
【図6】操作レバーを操作して、座体のロックを解除したときの図5と同部位の縦断正面図である。
【図7】座支持フレームへの操作レバー装置取付前の斜視図である。
【図8】同じく、座支持フレームに操作レバー装置を取付けた状態の斜視図である。
【図9】同じく、操作レバー装置を取付けた座支持フレームに、座体を取付けた状態を下方より見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用した椅子の側面図で、この椅子1は、脚体2と、その上部に設けられた座体3と、背凭れ4と、左右1対の肘掛け5とを備えている。
【0021】
脚体2は、先端にキャスタ6が取付けられた放射状をなす5本の脚杆7と、それらの中心に立設され、内部に収容されたガススプリング(図示略)により伸縮可能な脚柱8と、その上端に後端部が固着された支基9とからなっている。
【0022】
背凭れ4は、背凭れ支持フレーム10と、その前面上部に取付けられた背当て11とからなり、背凭れ支持フレーム10における下端部の左右1対の前方を向く支持アーム10aの前端部が、支基9における後端部の左右両側部に、左右方向を向く枢軸12により回動可能に枢着されている。
【0023】
枢軸12は、支基9の内部に設けられた前向付勢手段に連係され、この前向付勢手段により、背凭れ支持フレーム10は、常時起立する方向に付勢され、かつ付勢手段に抗して後傾させうるようになっている。
肘掛け5は、左右の支持アーム10aの前端部上面に取付けられている。
【0024】
座体3は、図2の分解斜視図及び図3の底面図に示すように、金属製の座支持フレーム13により支持された合成樹脂製の座板14と、座板14の上面に取付けられたクッション材15とからなっている。
なお、座体3及び座支持フレーム13は、図2の左手前及び図3の上方が前である。
座支持フレーム13は、左右方向を向くとともに、両側端部が若干上向きに折曲されたパイプよりなる前後複数(本実施形態では3本)の横フレーム16と、各横フレーム16の両側端部に、前後両端部が溶接により固着された正面視ほぼ上向コ字状をなす左右1対の側部フレーム17、17とからなり、座支持フレーム13の全体形は、平面視枠状に形成されている。
【0025】
3本の横フレーム16のうち、後部側の2本の横フレーム16は、互いに近接して配設されている。
各横フレーム16における両端部は、そのほぼ上半部を、左右の側部フレーム17の下端部に形成された切欠き溝18に嵌合した状態で固着され、各横フレーム16の下端部は、側部フレーム17の下端よりも若干下方に突出している。
【0026】
左右の側部フレーム17における内側の上向片17aの上端には、ほぼ水平をなす係合片19、19が、互いに対向するように内向きに連設され、座者の左側に位置する一方の係合片19(図2及び図3においては右側)のやや前方寄りには、後記する操作レバー装置26と係脱することにより、座体3の前後位置を調節するための内方に開口する複数の係合溝20が、前後方向に一定の間隔をもって形成されている。
【0027】
図1に示すように、支基9の前端部には、上下方向を向く左右1対の座支持アーム21の下端部が、左右方向を向く枢軸22により回動可能に枢着され、この両座支持アーム21の上端に形成された上方に開口する凹部(図示略)に、座支持フレーム13の前部の横フレーム16における左右両側部が、回動可能に嵌合して受支されている。
【0028】
座支持フレーム13の後部は、その後部の2本の横フレーム16における両側端部を、背凭れ支持フレーム10の左右の支持アーム10aの上面に、図示しない枢支具をもって回動可能に取付けることにより、背凭れ支持フレーム10により支持されている。
このような支持形態とすることにより、座支持フレーム13及びそれに取付けられた座体3は、背凭れ4の傾動と連動して、前後及び後下方に移動することができるようになっている。
【0029】
図3及び図4に示すように、座板14における左右両側部の下面には、座支持フレーム13の左右の側部フレーム17が嵌合可能な下方に開口する左右1対の上向きの凹部23、23が形成されている。両凹部23の前後寸法と左右寸法は、側部フレーム17の前後寸法と左右寸法よりも大きく、かつ左右の凹部23における内側の側壁23a、23aの外面間の寸法Lを、左右の側部フレーム17における係合片19の対向面間の寸法とほぼ等しいか、もしくは僅かに大としてある。
【0030】
正面視右側の凹部23における内側の側壁23aの下端には、前後複数の外向係止片24が突設され、各外向係止片24と、凹部23内の下面との対向面間には、外側方と前後両方向に開口する第1係合溝25が形成されている。
また、左側の凹部23における内側の側壁23aの下端に突設された垂下片26の下端には、内向きに弾性変形可能な斜め外上方を向く弾性係合片27が、正面視V字状をなすようにして、前後複数形成され、各弾性係合片27の上端と、凹部23内の下面との対向面間には、外側方と前後両方向に開口する第2係合溝28が形成されている。
【0031】
座板14を座支持フレーム13に取付けるには、まず、座板14における正面視右側の凹部23に、座支持フレーム13の右側の側部フレーム17を嵌合し、それらを左右方向に相対移動させることにより、側部フレーム17の係合片19を、複数の第1係合溝25に係合させる(図4の2点鎖線参照)。
【0032】
ついで、座支持フレーム13の左側部を、図4の矢印で示すように押上げるか、もしくは座体3の左側部を押下げて、左側の凹部23に、左側の側部フレーム17を嵌合する。この嵌合時において、側部フレーム17の係合片19の内端が、各弾性係合片27の外面に当接し、これを内向きに弾性変形させることにより、係合片19の内端部が、第2係合溝25内に突入する。これと同時に、弾性係合片27が外方に弾性復元し、その上端が係合片19の直下に位置することにより、係合片19が第2係合溝28より離脱するのが防止される。
【0033】
これにより、座支持フレーム13の上部に、座体3が、左右方向に移動するのが防止されて取付けられ、かつ座体3は、座板14の凹部23の前後寸法を、側部フレーム17のそれよりも大としてあるため、座支持フレーム13に対し、前後方向に移動することができる。
【0034】
座支持フレーム13における右側の側部フレーム17の下面には、座体3の前後位置調節用の操作レバー装置29が取付けられている。
図5〜図9に詳細を示すように、操作レバー装置29は、側部フレーム17に取付可能なブラケット30と、操作レバー31とを備えている。ブラケット30は、側部フレーム17の下面に固着される基片30aと、その内端より起立し、側部フレーム17の内方の側面に当接可能な起立片30bと、起立片30bの前後両端に連設された1対の内向片30c、30cとを有している。
【0035】
操作レバー31は、斜め前外側方を向くほぼ水平かつ平板状の操作部31aと、その内端より起立する前後方向を向く摺動部31bと、この摺動部31bの中央部上端に立設された起立部31cとを有し、正面視ほぼL字状をなしている。摺動部31bの内側面には、上下方向を向く左右複数のリブ32が突設され、操作部31aと摺動部31bの曲げ剛性を高めている。
【0036】
起立部31cには、その外側面を平面視外向きコ字状とすることにより、前述した座支持フレーム13の係合溝20と係脱可能な前後2条の上下方向を向く係合突片33、33が突設されている。
また、起立部31cの上端部の、両係合突片33と平行をなして内方に突出する内向突部34には、上下方向を向くとともに、上下両方向に開口する角形孔35が形成され、この角形孔35には、正面視ほぼV字状をなす板ばね36における外方の上向片36aの上端部が、下方より嵌合されている。
【0037】
操作レバー31は、その摺動部31bを、ブラケット30の両内向片30cに取付けられた前後方向を向く支持軸37に挿通することにより、ブラケット30に対し、前後に移動可能かつ支持軸37回りに回動自在に支持されている。
【0038】
このようにして予め組み付けられた操作レバー装置29は、ブラケット30の基片30aの前端隅部に上向き突設された位置決めピン38を、側部フレーム17の前端部下面に穿設された位置決め孔39に下方より嵌合し、かつ基片30aの前後2個の取付孔40、40に下方より挿入したボルト41を、側部フレーム17の下面の2個のめねじ孔42、42に螺合することにより、座支持フレーム13における正面視右側の側部フレーム17の前端部に、操作レバー31の操作部31aが、側部フレーム17と離間する下方において、斜め前方を向くようにして取付けられている(図8、図9参照)。
【0039】
座板14における右側の凹部23と近接する内方の下面中央部には、底面視外向きコ字状をなす係止突部43が、下向きに突設され、この係止突部43内の下方と外側方に開口する凹部44には、上記板ばね36の内方の起立片36bの上端部が、若干外方に撓ませた状態で下方より嵌合されている。
また、上記凹部44には、操作レバー31における起立部31cの内向突部34が、前後方向に移動するのが規制されるようにして、挿脱可能に常時嵌合されている。
【0040】
操作レバー装置29の取付後において、操作レバー31の上端部の起立部31cが、板ばね36により外方に付勢されることにより、前後の係合突片33は、側部フレーム17の係合溝20における互いに隣接するいずれか2個のものと常時係合している。また、操作レバー31の内向突部34も、座板14における係止突部43の凹部44に常時嵌合しているので、座支持フレーム13に対し座板14がロックされ、座体3が前後方向に移動するのが防止される(図5、図9参照)。
【0041】
図6に示すように、操作レバー31の操作部31aを上向きに回動操作すると、起立部31cの両係合突片33が係合溝20より離脱することにより、ロックが解除され、座支持フレーム13に対し座体3が前後方向に移動可能となる。この際、操作レバー31の内向突部34は、座板14における係止突部43の凹部44内に深く入り込むのみで、凹部44より離脱はしないため、座体3を前後に移動させると、操作レバー31全体も支持軸37に沿って前後に移動する。
【0042】
従って、座体3を前後方向に移動させ、任意のところで操作部31aから手を離せば、係合突片33が、再度別の係合溝20のいずれかと係合することにより、座体3はロックされ、その前後位置が調節される。
【0043】
以上説明したように、上記実施形態の椅子においては、座支持フレーム13の側部フレーム17に、前後複数の係合溝20を設けるとともに、操作レバー装置29、すなわち係合溝20に係脱する係合突片33を有する操作レバー31、支持軸37、及び板ばね36を予め組み付けたブラケット30を取付けているので、
座支持フレーム13に座体3を取付ける前に、係合溝20と係合突片33との係合状態を確認し、かつ調整したうえで座体3を取付けることができる。
従って、係合溝20と係合突片33との係合精度に誤差が生じる恐れがなく、係合突片33の係合溝20への係脱が確実に行われる。
【0044】
また、操作レバー31等の各部材は、予めブラケット30に組付けられてユニット化され、ブラケット30のみを側部フレーム17に取付けるだけでよく、各部材を個々に取付ける必要がないので、組付作業が極めて容易となり、かつ組付誤差が生じる恐れが小さくなる。
【0045】
なお、上記実施形態では、操作レバー31の操作部31aを上向きに回動操作したとき、係合突片33が係合溝20より離脱するようにしているが、それとは反対に、操作部31aを下向きに回動操作したとき、係合突片33が係合溝20より離脱するようにすることもできる。
【0046】
この際には、係合溝20を、上記実施形態とは反対に、外側方に開口させるとともに、係合溝20の外側方に操作レバー装置29を配設して、操作レバー31の係合突片33を内向きに、かつ突部34を外向きとし、さらに、座板14の下面における係止突部43の凹部44を、突部34と対向する外方において内方に開口するものとすればよい。
【0047】
上記実施形態では、操作レバー31と一体をなす起立部31cの内向突部34を、座板14の下面に設けた係止突部43の凹部44に嵌合しているが、例えば操作レバー31と別体をなす起立部材を、凹部44に、前後方向に相対移動不能に嵌合するとともに、操作レバー31と共に前後に摺動しうるように、支持軸37に嵌合してもよい。
【0048】
起立部31cに内向突部34を設けないで、起立部31cの上端部のほぼ全体を、座板14の下面に設けた凹部に嵌合することもある。
【符号の説明】
【0049】
1 椅子
2 脚体
3 座体
4 背凭れ
5 肘掛け
6 キャスタ
7 脚杆
8 脚柱
9 支基
10 背凭れ支持アーム
10a 支持アーム
11 背当て
12 枢軸
13 座支持フレーム
14 座板
15 クッション材
16 横フレーム
17 側部フレーム
17a 上向片
18 切欠き溝
19 係合片
20 係合溝
21 座支持アーム
22 枢軸
23 凹部
23a 側壁
24 外向係止片
25 第1係合溝
26 垂下片
27 弾性係合片
28 第2係合溝
29 操作レバー装置
30 ブラケット
30a 基片
30b 起立片
30c 内向片
31 操作レバー
31a 操作部
31b 摺動部
31c 起立部
32 リブ
33 係合突片
34 内向突部
35 角形孔(係止孔)
36 板ばね
36a 上向片
36b 上向片
37 支持軸
38 位置決めピン
39 位置決め孔
40 取付孔
41 ボルト
42 めねじ孔
43 係止突部
44 凹部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚体と、
この脚体の上部に支持され、前後複数の被係合部を有する座支持フレームと、
この座支持フレームに前後位置調節可能として支持された座体と、
前記被係合部と係脱可能な係合部を有するとともに、前記座支持フレームに、前後方向に移動可能かつ前記係合部が被係合部と常時係合する方向に付勢された位置から、係合部が被係合部より離脱する位置までの間を回動操作可能として設けられ、さらに、前記座体に、前後方向に移動不能かつ前記係合部が被係合部より離脱した状態において、座体と共に前後方向に連動しうるように連係された操作レバー
とを備えることを特徴とする椅子。
【請求項2】
操作レバーにおける係合部の反対側に、側方に突出する突部を設けるとともに、座体における前記突部と対向する部分に、突部側に開口する凹部を設け、この凹部に、前記突部を、前後方向に移動不能、かつ操作レバーの回動操作を許容しうるように常時嵌合してなる請求項1記載の椅子
【請求項3】
操作レバーを、上向きに操作可能な外側方を向く操作部と、この操作部の内側端より起立する起立部とを有する、正面視ほぼL字状をなすものとし、前記起立部の上端部の外側面に、係合部としての前後複数の係合突片を設け、かつ前記座支持フレームの側端部の内側面に、前後方向に一定間隔おきに並ぶ、被係合部としての内側方に開口する複数の係合溝を設けてなる請求項1または2記載の椅子。
【請求項4】
係合部よりも下方において、起立部の上下方向の中間部を、座支持フレームに設けた前後方向を向く支持軸に、回動可能かつ前後方向に摺動可能に嵌合して支持してなる請求項3記載の椅子。
【請求項5】
操作レバーを取付けた支持軸を、ブラケットに組付け、このブラケットを座支持フレームに取付けてなる請求項4記載の椅子。
【請求項6】
操作レバーの係合部が被係合部と常時係合する方向に付勢する付勢手段を、V字状をなす板ばねとし、その一方の上向片の上端部を、操作レバーの突部に設けた下方に開口する係止孔に嵌合するとともに、他方の上向片の上端部を、座体に設けた凹部内に嵌合して保持してなる請求項2〜5のいずれかに記載の椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−205933(P2012−205933A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−168006(P2012−168006)
【出願日】平成24年7月30日(2012.7.30)
【分割の表示】特願2007−17306(P2007−17306)の分割
【原出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】