説明

植付け物植付け機構および植付け物ホルダー

【課題】 鱗茎類野菜等の植付けを、簡易な構造によって効率的に行うことのできる植付け物植付け機構を提供すること。
【解決手段】 第一クランク4、第二クランク6、両クランク4、6を連結するロッド5、植付け物ホルダー20、ならびに該植付け物ホルダー20と第二クランク6とを連結するホルダー連結部30とを有してなり、第一クランク4はその回転によりロッド5を回転させ、ロッド5は第一クランク4の回転運動を第二クランク6に伝え、第二クランク6はロッド5の回転運動により回転運動等ならびに滑動運動を行うよう構成され、植付け物ホルダー20は植付け物を収納するための植付け物収納部201ならびにロッド5の先端が略最下点を通過もしくは略最下点に到達する際に作動するように構成された植付け物開放手段205を備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植付け物植付け機構および植付け物ホルダーに係り、特に、ニンニク等の鱗茎類野菜・芋類・球根等の植付けを効率的に行うことのできる、植付け物植付け機構および植付け物ホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
ニンニク等の鱗茎類野菜・芋類・球根等の植付けは、発根・発芽部位が適正な位置となるように姿勢を揃えて植え付ける必要があり、労力のかかる作業である。かかる状況を改善するために、あるいは改善し得るものとして、従来種々の提案がなされている。
【0003】
たとえば後掲特許文献1では、にんにく等の球根を適正な姿勢で自動的に植付けることを課題として、細長いシートの下端部に発根側部位を下にした姿勢で固定した球根等をシートが起立する姿勢で各セルに収容したセルトレイの各セルを機体の設定個所に一セルづつ順に繰出す繰出装置と、繰出装置により繰出されるセルに収容される球根等をシートを掴んで取出す取出装置と、取出装置が掴んだシートを放して落下する球根等を受けとって圃場に植付ける植付装置を設けた球根等の植付機を開示している。
【0004】
また特許文献2では、植付作業の省力化を課題に、生分解性のテープを用いた種ニンニクテープを繰り出すテープ繰出部と、種ニンニクテープを圃場に植付ける植付部とを具備し、テープ繰出部から繰り出された種ニンニクテープを植付部により植付けるべく構成したニンニク植付機を開示している。
【0005】
【特許文献1】特開2004-033010「球根等の植付機」特許請求の範囲、要約、図4。
【特許文献2】特開平10-117520「ニンニク植付機」特許請求の範囲、要約、図1。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これらの特許文献に開示された提案は、装置として構成が複雑あるいは大掛かりであったり、植付けのための準備作業がかえって煩雑であったりという難点がある。より簡便な構造にて圃場において植付け作業の省力化を図れる手段があれば便宜である。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点を除き、ニンニク等の鱗茎類野菜・芋類・球根等の植付けを、簡易な構造によって効率的に行うことのできる、植付け物植付け機構および植付け物ホルダーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は上記課題について検討した結果、植付け物を専用のホルダーに装填する作業のみにより植付け物を連続的に植付けることのできる構成に想到し、本発明に至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される、もしくは少なくとも開示される発明は、以下のとおりである。
【0009】
(1) 鱗茎類野菜・芋類・球根等の植付け物を植付けるための植付け物植付け機構であって、該機構は第一クランク、第二クランク、両クランクを連結するロッド、植付け物ホルダー、ならびに該植付け物ホルダーと該第二クランクとを連結するホルダー連結部とを有してなり、該第一クランクはその回転により該ロッドを回転させ、該ロッドは該第一クランクの回転運動を第二クランクに伝え、該第二クランクは該ロッドの回転運動により回転もしくは揺動運動ならびに滑動運動を行い、該植付け物ホルダーは植付け物を収納するための植付け物収納部、ならびに該ロッドの先端が略最下点を通過もしくは略最下点に到達する際に該植付け物収納部が開放作動するように構成された植付け物開放手段を有することを特徴とする、植付け物植付け機構。
(2) 前記第二クランクは回転運動および滑動運動を行い、該滑動運動は、前記植付け物ホルダーがその長手方向が略鉛直方向となる姿勢をとる位置に来た際に、それまでの回転運動から切り替わって該第二クランクがスライダとなって略鉛直方向下方に滑動するものであり、該切り替わりの位置に該植付け物ホルダーが戻った以降は再度回転運動に切り替わるように構成されていることを特徴とする、(1)に記載の植付け物植付け機構。
(3) 前記第二クランクは揺動運動および滑動運動を行い、該滑動運動は、前記植付け物ホルダーがその長手方向が略鉛直方向となる姿勢をとる位置に来た際に、それまでの回転運動から切り替わって該第二クランクがスライダとなって略鉛直方向下方に滑動するものであり、該切り替わりの位置に該植付け物ホルダーが戻った以降は再度、反対方向の揺動運動に切り替わるように構成されていることを特徴とする、(1)に記載の植付け物植付け機構。
(4) 前記植付け物収納部はその先端の開放部が拡径自在に構成され、前記植付け物開放手段は前記ロッドの先端が略最下点を通過もしくは略最下点に到達する際に該植付け物収納部を開放作動するように構成された押出し桿部であり、該押出し桿部は、該ロッドの先端が略最下点を通過もしくは略最下点に到達する際の下方への滑動運動により、該植付け物収納部に収納された植付け物を下方へ押出す作動を行うことを特徴とする、(1)ないし(3)のいずれかに記載の植付け物植付け機構。
(5) 前記植付け物収納部はその先端の開放部が拡径自在に構成され、前記植付け物開放手段は前記ロッドの先端が略最下点を通過もしくは略最下点に到達する際に該植付け物収納部を開放作動するように構成されたホルダー軸であり、該ホルダー軸は、該ロッドの先端が略最下点を通過もしくは略最下点に到達する際の下方への滑動運動により押下され、その先に設けられている該植付け物収納部の開放部を拡径させる作動を行うことを特徴とする、(1)ないし(3)のいずれかに記載の植付け物植付け機構。
【0010】
(6) (4)に記載の植付け物植付け機構に用いることのできる植付け物ホルダーであって、該植付け物ホルダーは、
(A)前記押出し桿部が貫挿され、前記開放部側端部に後記収納部バネ受けが設けられたホルダー軸と、
(B)該開放部側端部に押出し体の設けられた押出し桿部と、
(C)該ホルダー軸およびその先端部を囲繞して設けられた苞状構造と、
(D)該ホルダー軸に摺設された苞状桿部受けと、
(E)該ホルダー軸に設けられ、該苞状桿部受けの軸方向上位置を調節可能なことにより、前記植付け物収納部のサイズ調節を行うことのできる弾性調節部と、からなり、
該苞状構造は、
(C−1)前記植付け物収納部を形成し、該収納部バネ受けに一端が固定された収納部バネと、
(C−2)該収納部バネの他端に取着され、該苞状桿部受けに他端が固定された苞状桿部と、を有してなり、
また該弾性調節部は、
(E−1)該苞状桿部受けを該開放部側へ押圧する弾性部材と、
(E−2)該弾性部材の伸縮を調節するための調節部材とからなり、
該押出し桿部が押されることによって該押し出し体が開放部側へ押し出されることを特徴とする、植付け物ホルダー。
【0011】
(7) (5)に記載の植付け物植付け機構に用いることのできる植付け物ホルダーであって、該植付け物ホルダーは、
(A’)前記開放部側端部に後記収納部バネ受けが設けられたホルダー軸と、
(C’)該ホルダー軸およびその先端部を囲繞して設けられた苞状構造と、
(D’)該ホルダー軸に摺設された苞状桿部受けと、
(E’)該ホルダー軸に設けられ、該苞状桿部受けの軸方向上位置を調節可能なことにより、前記植付け物収納部のサイズ調節を行うことのできる弾性調節部と、からなり、
該苞状構造は、
(C’−1)前記植付け物収納部を形成し、該収納部バネ受けに一端が固定された収納部バネと、
(C’−2)該収納部バネの他端に取着され、該苞状桿部受けに他端が固定された苞状構造と、を有してなり、
また該弾性調節部は、
(E’−1)該苞状桿部受けを該開放部側へ押圧する弾性部材と、
(E’−2)該弾性部材の伸縮を調節するための調節部材とからなり、
該ホルダー軸が押下されることによって該収納部バネが拡径することを特徴とする、植付け物ホルダー。
【0012】
(8) 前記収納部バネは、谷部と山部を有するように二の屈曲部が形成された線状材料からなることを特徴とする、(6)または(7)に記載の植付け物ホルダー。
(9) 鱗茎類野菜・芋類・球根等の植付け物を植付けるための植付け物植付け機構であって、該機構は、植付け物ホルダー、該植付け物ホルダーを取着可能なベルト、該ベルトを巻回してこれを回動させることのできる回動手段とを有してなり、該植付け物ホルダーは植付け物を収納するための植付け物収納部、ならびに該植付け物ホルダーの先端が略最下点を通過もしくは略最下点に到達する際に該植付け物収納部が開放作動するように構成された植付け物開放手段を有することを特徴とする、植付け物植付け機構。
【発明の効果】
【0013】
本発明の植付け物植付け機構および植付け物ホルダーは上述のように構成されるため、これによれば、ニンニク等の鱗茎類野菜・芋類・球根等の植付けを、簡易な構造によって効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を図面により詳細に説明する。
図1は、本発明の植付け物植付け機構の構成例を示す説明図である。図示するように本機構1は、鱗茎類野菜・芋類・球根等の植付け物を植付けるための機構であって、該機構1は第一クランク4、第二クランク6、両クランク4、6を連結するロッド5、植付け物ホルダー20、ならびに該植付け物ホルダー20と該第二クランク6とを連結するホルダー連結部30とを有してなり、該第一クランク4はその回転により該ロッド5を回転させ、該ロッド5は該第一クランク4の回転運動を第二クランク6に伝え、該第二クランク6は該ロッド5の回転運動により回転もしくは揺動運動ならびに滑動運動を行うように構成され、該植付け物ホルダー20は、植付け物を収納するための植付け物収納部201、ならびに該ロッド5の先端が略最下点を通過もしくは略最下点に到達する際に作動するように構成された植付け物開放手段205を備えて構成されることを、基本とする(上記(1)の発明)。
【0015】
本植付け物植付け機構1は上述のように構成されるため、該植付け物ホルダー20の該植付け物収納部201には植付け物が収納され、収納された状態で、該第一クランク4が回転運動することにより該ロッド5が回転運動し、該ロッド5が回転運動することにより該第一クランク4の回転運動が第二クランク6に伝えられ、それにより該第二クランク6は回転もしくは揺動運動と、ならびに滑動運動とを行う。該第二クランク6の下方に向かう回転もしくは揺動運動は、その回転もしくは揺動運動の略最下点において下方への滑動運動に切り替わり、該ロッド5の先端が最下点を通過する際に該植付け物開放手段205が作動してこれが開放し、収納されていた植付け物が、下方(植付け用の地面側)に落下する。かかる一連の作用により、植付け物の植付けがなされる。
【0016】
回転もしくは揺動運動を滑動運動に切り替える機構は、従来公知の構造を適宜用いて構成することができる。
【0017】
本発明の植付け物植付け機構1は、前記第二クランク6は回転運動および滑動運動を行い、該滑動運動は、前記植付け物ホルダー20がその長手方向が略鉛直方向となる姿勢をとる位置に来た際に、それまでの回転運動から切り替わって該第二クランク6がスライダとなって略鉛直方向下方に滑動するものであり、該切り替わりの位置に該植付け物ホルダー20が戻った以降は再度回転運動に切り替わるように構成することができる(上記(2)の発明)。
【0018】
図2−1は、第2クランクが回転運動を行う本発明の植付け物植付け機構の動作を経時的な姿勢の変化により示す説明図である。また、
図2−2は、図2−1に示す一の姿勢について特に拡大した説明図である。これらの図に示されるように、本植付け物植付け機構1は上述のように構成されるため、該植付け物ホルダー20の該植付け物収納部201には植付け物が収納され、収納された状態で、該第一クランク4が回転運動することにより該ロッド5が回転運動し、該ロッド5が回転運動することにより該第一クランク4の回転運動が第二クランク6に伝えられ、それにより該第二クランク6は回転運動ならびに滑動運動とを行う。該第二クランク6の下方に向かう回転運動は、その回転運動の略最下点において下方への滑動運動に切り替わり、該ロッド5の先端が最下点を通過する際に該植付け物開放手段205が作動してこれが開放し、収納されていた植付け物が、下方(植付け用の地面側)に落下する。かかる一連の作用により、植付け物の植付けがなされる。
【0019】
回転運動を滑動運動に切り替える機構は、従来公知の構造を適宜用いて構成することができる。
【0020】
図3は、第2クランクが揺動運動を行う本発明の植付け物植付け機構の構成例示す説明図である。図において本機構1bは、前記第二クランク6bは揺動運動および滑動運動を行い、該滑動運動は、前記植付け物ホルダー20bがその長手方向が略鉛直方向となる姿勢をとる位置に来た際に、それまでの回転運動から切り替わって該第二クランク6bがスライダとなって略鉛直方向下方に滑動するものであり、該切り替わりの位置に該植付け物ホルダー20bが戻った以降は再度、反対方向の揺動運動に切り替わるように構成することができる(上記(3)の発明)。
【0021】
図4−1は、図3に例示した、第2クランクが揺動運動を行う本発明の植付け物植付け機構の動作を経時的な姿勢の変化により示す説明図である。また、
図4−2、4−3はともに、図4−1に示す一の姿勢について特に拡大した説明図である。本植付け物植付け機構1bは上述のように構成されるため、これらの図に示されるように、該植付け物ホルダー20bの該植付け物収納部201bには植付け物が収納され、収納された状態で、該第一クランク4bが回転運動することにより該ロッド5bが回転運動し、該ロッド5bが回転運動することにより該第一クランク4bの回転運動が第二クランク6bに伝えられ、それにより該第二クランク6bは揺動運動ならびに滑動運動とを行う。該第二クランク6bの下方に向かう揺動運動は、その揺動運動の略最下点において下方への滑動運動に切り替わり、該ロッド5bの先端が最下点を通過する際に該植付け物開放手段205bが作動してこれが開放し、収納されていた植付け物が、下方(植付け用の地面側)に落下する。かかる一連の作用により、植付け物の植付けがなされる。
【0022】
揺動運動を滑動運動に切り替える機構は、従来公知の構造を適宜用いて構成することができる。
【0023】
図5は、本発明の植付け物植付け機構に用いる植付け物ホルダーの構成例を示す写真図である。図において、本植付け物植付け機構では、その植付け物収納部201Aをその先端の開放部202Aが拡径自在に構成されたものとし、前記植付け物開放手段を前記ロッド5の先端が略最下点を通過もしくは略最下点に到達する際に作動するように構成された押出し桿部205Aとすることができ、該押出し桿部205Aは、該ロッド5の先端が略最下点を通過もしくは略最下点に到達する際の下方への滑動運動により、該植付け物収納部201Aに収納された植付け物を下方へ押出す作動を行える構成とすることができる(上記(4)の発明)。
【0024】
図示するように本植付け物ホルダー20Aは、
(A)前記押出し桿部205Aが貫挿され、前記開放部202A側端部に後記収納部バネ受け203Aが設けられたホルダー軸215Aと、
(B)該開放部202A側端部に押出し体206Aの設けられた押出し桿部205Aと、
(C)該ホルダー軸215Aおよびその先端部を囲繞して設けられた苞状構造(207A、209A)と、
(D)該ホルダー軸215Aに摺設された苞状桿部受け204Aと、
(E)該ホルダー軸215Aに設けられ、該苞状桿部受け204Aの軸方向上位置を調節可能なことにより、前記植付け物収納部201Aのサイズ調節を行うことのできる弾性調節部(208A、210A)と、からなり、
該苞状構造は、
(C−1)前記植付け物収納部201Aを形成し、該収納部バネ受け203Aに一端が固定された収納部バネ209Aと、
(C−2)該収納部バネ209Aの他端に取着され、該苞状桿部受け204Aに他端が固定された苞状桿部207Aと、を有してなり、
また該弾性調節部は、
(E−1)該苞状桿部受け204Aを該開放部202A側へ押圧する弾性部材210Aと、
(E−2)該弾性部材210Aの伸縮を調節するための調節部材208Aとからなるものとすることができる(上記(6)の発明)。
【0025】
かかる構成により本植付け物ホルダー20Aでは、該植付け物収納部201Aのサイズは該弾性調節部(208A、210A)によって調節される。つまり、該調節部材208Aによって該弾性部材210Aの伸縮が調節され、たとえばこれが該開放部202A側へ移動して固定されると、該弾性部材210Aによって該苞状桿部受け204Aが該開放部202A側へより押圧され、そのために該苞状桿部207Aがより該開放部202A側へと伸びるように移動し、それにつれて収納部バネ209Aが内方へ収縮し、開放部202Aおよび植付け物収納部201Aの径が縮小される。
【0026】
逆に、該調節部材208Aによる該弾性部材210Aの伸縮が該開放部202A反対側へ移動して固定されると、該弾性部材210Aによる該苞状桿部受け204Aの該開放部202A側への押圧が緩和され、そのために該苞状桿部207Aがより外方へと開き、それにつれて収納部バネ209Aが外方へ開き、開放部202Aおよび植付け物収納部201Aの径が拡大される。
【0027】
サイズの調節は、植付け物を該植付け物収納部201Aに無理なく押し入れることができ、かつ該開放部202Aを下方に向けても、植付け物が自然には脱落しない程度に、該収納部バネ209A先端により形成される該開放部202Aが開いているように、なされる。
【0028】
該調節部材208Aとしてはナット、該弾性部材210Aとしてはバネを、それぞれ用いることができる。
【0029】
所定サイズに調節された該植付け物収納部201Aには鱗茎類野菜等の植付け物が収納される。本植付け物ホルダー20Aはその状態で、上述の回転運動もしくは揺動運動がなされ、いずれ回転運動もしくは揺動運動としての最下点へと向かい、下方への滑動運動がなされる。
【0030】
滑動運動の略最下点を通過もしくは略最下点に到達する際に、本植付け物ホルダー20Aの該押出し桿部205Aは、該開放部202A側に押されるように構成されているため、そのように押され、該収納部バネ受け203Aの先端部から、該ホルダー軸215Aに貫挿された該押出し桿部205Aの先端部の押し出し体206Aが、該植付け物収納部201A内の植付け物を該開放部202A側に押出し、植付け物は、本植付け物ホルダー20Aから押し出される。
【0031】
図6は、本発明の植付け物植付け機構に用いる植付け物ホルダーの別の構成例を示す写真図である。図において、本植付け物植付け機構では、その植付け物収納部201Bをその先端の開放部202Bが拡径自在に構成されたものとし、前記植付け物開放手段を前記ロッド5の先端が略最下点を通過もしくは略最下点に到達する際に作動するように構成されたホルダー軸215Bとすることができ、該ホルダー軸215Bは、該ロッドの先端が略最下点を通過もしくは略最下点に到達する際の下方への滑動運動により押下され、その先に設けられている該植付け物収納部201Bの開放部202Bを拡径させる作動を行える構成とすることができる(上記(5)の発明)。
【0032】
図示するように本植付け物ホルダー20Bは、
(A’)前記開放部202B側端部に後記収納部バネ受け203Bが設けられたホルダー軸215Bと、
(C’)該ホルダー軸215Bおよびその先端部を囲繞して設けられた苞状構造(207B、209B)と、
(D’)該ホルダー軸215Bに摺設された苞状桿部受け204Bと、
(E’)該ホルダー軸215Bに設けられ、該苞状桿部受け204Bの軸方向上位置を調節可能なことにより、前記植付け物収納部201Bのサイズ調節を行うことのできる弾性調節部(208B、210B)と、からなり、
該苞状構造は、
(C’−1)前記植付け物収納部201Bを形成し、該収納部バネ受け203Bに一端が固定された収納部バネ209Bと、
(C’−2)該収納部バネ209Bの他端に取着され、該苞状桿部受け203Bに他端が固定された苞状桿部207Bと、を有してなり、
また該弾性調節部は、
(E’−1)該苞状桿部受け204Bを該開放部202B側へ押圧する弾性部材210Bと、
(E’−2)該弾性部材210Bの伸縮を調節するための調節部材208Bとからなるものとすることができる(上記(7)の発明)。
【0033】
かかる構成により本植付け物ホルダー20Bでは、該植付け物収納部201Bのサイズは該弾性調節部(208B、210B)によって調節される。つまり、該調節部材208Bによって該弾性部材210Bの伸縮が調節され、たとえばこれが該開放部202B側へ移動して固定されると、該弾性部材210Bによって該苞状桿部受け204Bが該開放部202B側へより押圧され、そのために該苞状桿部207Bがより該開放部202B側へと伸びるように移動し、それにつれて収納部バネ209Bが内方へ収縮し、開放部202Bおよび植付け物収納部201Bの径が縮小される。径の拡大は、該弾性部材210Bの緩和によってなされる。
【0034】
サイズの調節は、植付け物を該植付け物収納部201Bに無理なく押し入れることができ、かつ該開放部202Bを下方に向けても、植付け物が自然には脱落しない程度に、該収納部バネ209B先端により形成される該開放部202Bが開いているように、なされる。
【0035】
該調節部材208Bとしてはナット、該弾性部材210Bとしてはバネを、それぞれ用いることができる。
【0036】
所定サイズに調節された該植付け物収納部201Bには鱗茎類野菜等の植付け物が収納される。本植付け物ホルダー20Bはその状態で、上述の回転運動もしくは揺動運動がなされ、いずれ回転運動もしくは揺動運動としての最下点へと向かい、下方への滑動運動がなされる。
【0037】
滑動運動の略最下点を通過もしくは略最下点に到達する際に、本植付け物ホルダー20Bの該ホルダー軸215Bは、該開放部202B側に押下されるように構成されているため、そのように押下され、それによって該苞状桿部受け204Bと該収納部バネ受け203Bとの間は離隔され、それによって該収納部バネ209Bは外方へより開いて該開放部202Bが拡径し、これによって該植付け物収納部201B内の植付け物は下方に脱落可能となり、植付け物は、本植付け物ホルダー20Bから落下する。
【0038】
図5、6に示した各植付け物ホルダー例において、前記収納部バネ209A等は、谷部と山部を有するように二の屈曲部が形成された線状材料から形成するものとすることができる(上記(8)の発明)。線状材料としては、ステンレス鋼製線材等を用いることができる。
【実施例】
【0039】
<実施例1 植付け装置>
図7−1は、本発明の植付け物植付け機構、植付け物ホルダーを用いた植付け装置の構成例であり、植付け物ホルダーが上方に位置しており、これに植付け物が収納された状態を示す断面方向視の説明図、また、
図7−2は、図7−1の状態から植付け物ホルダーが下方に移動し、植付け物が地中に植え付けられた状態を示す断面方向視の説明図である。
【0040】
図示するように、輸送用機械に本発明の植付け物植付け機構を備え、圃場を走行させながら機構を運転し、植付け物を植付け物ホルダーに収納させることによって、植付け物の植付け作業を効率化、低労力化することができる。
【0041】
図中、符号8で示されるものは土壌被覆資材開口用のナイフ等の切断部材、符号9で示されるものは該切断部材が設けられた環状部材である。該植付け物ホルダー20が下方に滑動運動することにより該環状部材がこれに押下されて下方に直線運動し、該植付け物ホルダー20の地面到達よりさきに、地面上に被覆された被覆資材表面に該切断部材が到着してこれを切断し、被覆資材下の植付け用地面を露出させ、そこに後から降りてくる該植付け物ホルダー20から植付け物が開放され、植付けがなされる。
【0042】
<実施例2 ベルト式植付け物植付け機構>
図8は、ベルトを用いて構成した植付け物植付け機構の例を示す説明図である。図示するように、本機構80は、植付け物ホルダー82、該植付け物ホルダー82を取着可能なベルト88、該ベルト88を巻回してこれを回動させることのできる回動手段84とを有してなり、該植付け物ホルダー82は植付け物を収納するための植付け物収納部、ならびに該植付け物ホルダー82の先端が略最下点を通過もしくは略最下点に到達する際に該植付け物収納部が開放作動するように構成された植付け物開放手段を有することを、主たる構成とする(上記(9)の発明)。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の植付け物植付け機構および植付け物ホルダーは上述のように構成されるため、これによれば、ニンニク等の鱗茎類野菜・芋類・球根等の植付けを、簡易な構造によって効率的に行うことができる。また、作業労力を低減することができる。したがって、産業上利用価値が高い発明である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の植付け物植付け機構の構成例を示す説明図である。
【図2−1】第2クランクが回転運動を行う本発明の植付け物植付け機構の動作を経時的な姿勢の変化により示す説明図である。
【図2−2】図2−1に示す一の姿勢について特に拡大した説明図である。
【図3】第2クランクが揺動運動を行う本発明の植付け物植付け機構の構成例示す説明図である。
【図4−1】図3に例示した、第2クランクが揺動運動を行う本発明の植付け物植付け機構の動作を経時的な姿勢の変化により示す説明図である。
【図4−2】図4−1に示す一の姿勢について特に拡大した説明図である。
【図4−3】図4−1に示す一の姿勢について特に拡大した説明図である。
【図5】本発明の植付け物植付け機構に用いる植付け物ホルダーの構成例を示す写真図である。
【図6】本発明の植付け物植付け機構に用いる植付け物ホルダーの別の構成例を示す写真図である。
【図7−1】本発明の植付け物植付け機構、植付け物ホルダーを用いた植付け装置の構成例であり、植付け物ホルダーが上方に位置しており、これに植付け物が収納された状態を示す断面方向視の説明図である。
【図7−2】図7−1の状態から植付け物ホルダーが下方に移動し、植付け物が地中に植え付けられた状態を示す断面方向視の説明図である。
【図8】ベルトを用いて構成した植付け物植付け機構の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1、1b…植付け物植付け機構
2…エンジン
3…スプロケット
4、4b…第一クランク
5、5b…ロッド
6、6b…第二クランク
7…スプリング
8…刃(被覆資材切断部)
9…台座部(被覆資材切断部)
10…ミッション
11…前輪
12…後輪
13…スプロケット
20、20b…植付け物ホルダー
30、30b…ホルダー連結部
80…植付け物植付け機構
82…植付け物ホルダー
84…回動手段
88…ベルト
201、201b…植付け物収納部
205、205b…植付け物開放手段
20A、20B…植付け物ホルダー
201A、201B…植付け物収納部
202A、202B…開放部
203A、203B…収納部バネ受け
204A、204B…苞状桿部受け
205A…押出し桿部
206A…押出し体
207A、207B…苞状構造
208A、208B…調節部材(弾性調節部の一部)
209A、209B…収納部バネ
210A、210B…弾性部材(弾性調節部の一部)
215A、215B…ホルダー軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鱗茎類野菜・芋類・球根等の植付け物を植付けるための植付け物植付け機構であって、該機構は第一クランク、第二クランク、両クランクを連結するロッド、植付け物ホルダー、ならびに該植付け物ホルダーと該第二クランクとを連結するホルダー連結部とを有してなり、該第一クランクはその回転により該ロッドを回転させ、該ロッドは該第一クランクの回転運動を第二クランクに伝え、該第二クランクは該ロッドの回転運動により回転もしくは揺動運動ならびに滑動運動を行い、該植付け物ホルダーは植付け物を収納するための植付け物収納部、ならびに該ロッドの先端が略最下点を通過もしくは略最下点に到達する際に該植付け物収納部が開放作動するように構成された植付け物開放手段を有することを特徴とする、植付け物植付け機構。
【請求項2】
前記第二クランクは回転運動および滑動運動を行い、該滑動運動は、前記植付け物ホルダーがその長手方向が略鉛直方向となる姿勢をとる位置に来た際に、それまでの回転運動から切り替わって該第二クランクがスライダとなって略鉛直方向下方に滑動するものであり、該切り替わりの位置に該植付け物ホルダーが戻った以降は再度回転運動に切り替わるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の植付け物植付け機構。
【請求項3】
前記第二クランクは揺動運動および滑動運動を行い、該滑動運動は、前記植付け物ホルダーがその長手方向が略鉛直方向となる姿勢をとる位置に来た際に、それまでの回転運動から切り替わって該第二クランクがスライダとなって略鉛直方向下方に滑動するものであり、該切り替わりの位置に該植付け物ホルダーが戻った以降は再度、反対方向の揺動運動に切り替わるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の植付け物植付け機構。
【請求項4】
前記植付け物収納部はその先端の開放部が拡径自在に構成され、前記植付け物開放手段は前記ロッドの先端が略最下点を通過もしくは略最下点に到達する際に該植付け物収納部を開放作動するように構成された押出し桿部であり、該押出し桿部は、該ロッドの先端が略最下点を通過もしくは略最下点に到達する際の下方への滑動運動により、該植付け物収納部に収納された植付け物を下方へ押出す作動を行うことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の植付け物植付け機構。
【請求項5】
前記植付け物収納部はその先端の開放部が拡径自在に構成され、前記植付け物開放手段は前記ロッドの先端が略最下点を通過もしくは略最下点に到達する際に該植付け物収納部を開放作動するように構成されたホルダー軸であり、該ホルダー軸は、該ロッドの先端が略最下点を通過もしくは略最下点に到達する際の下方への滑動運動により押下され、その先に設けられている該植付け物収納部の開放部を拡径させる作動を行うことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の植付け物植付け機構。
【請求項6】
請求項4に記載の植付け物植付け機構に用いることのできる植付け物ホルダーであって、該植付け物ホルダーは、
(A)前記押出し桿部が貫挿され、前記開放部側端部に後記収納部バネ受けが設けられたホルダー軸と、
(B)該開放部側端部に押出し体の設けられた押出し桿部と、
(C)該ホルダー軸およびその先端部を囲繞して設けられた苞状構造と、
(D)該ホルダー軸に摺設された苞状桿部受けと、
(E)該ホルダー軸に設けられ、該苞状桿部受けの軸方向上位置を調節可能なことにより、前記植付け物収納部のサイズ調節を行うことのできる弾性調節部と、からなり、
該苞状構造は、
(C−1)前記植付け物収納部を形成し、該収納部バネ受けに一端が固定された収納部バネと、
(C−2)該収納部バネの他端に取着され、該苞状桿部受けに他端が固定された苞状桿部と、を有してなり、
また該弾性調節部は、
(E−1)該苞状桿部受けを該開放部側へ押圧する弾性部材と、
(E−2)該弾性部材の伸縮を調節するための調節部材とからなり、
該押出し桿部が押されることによって該押し出し体が開放部側へ押し出されることを特徴とする、植付け物ホルダー。
【請求項7】
請求項5に記載の植付け物植付け機構に用いることのできる植付け物ホルダーであって、該植付け物ホルダーは、
(A’)前記開放部側端部に後記収納部バネ受けが設けられたホルダー軸と、
(C’)該ホルダー軸およびその先端部を囲繞して設けられた苞状構造と、
(D’)該ホルダー軸に摺設された苞状桿部受けと、
(E’)該ホルダー軸に設けられ、該苞状桿部受けの軸方向上位置を調節可能なことにより、前記植付け物収納部のサイズ調節を行うことのできる弾性調節部と、からなり、
該苞状構造は、
(C’−1)前記植付け物収納部を形成し、該収納部バネ受けに一端が固定された収納部バネと、
(C’−2)該収納部バネの他端に取着され、該苞状桿部受けに他端が固定された苞状構造と、を有してなり、
また該弾性調節部は、
(E’−1)該苞状桿部受けを該開放部側へ押圧する弾性部材と、
(E’−2)該弾性部材の伸縮を調節するための調節部材とからなり、
該ホルダー軸が押下されることによって該収納部バネが拡径することを特徴とする、植付け物ホルダー。
【請求項8】
前記収納部バネは、谷部と山部を有するように二の屈曲部が形成された線状材料からなることを特徴とする、請求項6または7に記載の植付け物ホルダー。
【請求項9】
鱗茎類野菜・芋類・球根等の植付け物を植付けるための植付け物植付け機構であって、該機構は、植付け物ホルダー、該植付け物ホルダーを取着可能なベルト、該ベルトを巻回してこれを回動させることのできる回動手段とを有してなり、該植付け物ホルダーは植付け物を収納するための植付け物収納部、ならびに該植付け物ホルダーの先端が略最下点を通過もしくは略最下点に到達する際に該植付け物収納部が開放作動するように構成された植付け物開放手段を有することを特徴とする、植付け物植付け機構。



【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図5】
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【図6】
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