説明

植物栽培容器

【課題】 自動給水機構を簡単な構成で実現する。
【解決手段】 底壁および周壁を備えた上面開口の容器本体と、 前記容器本体の内部空間に底壁あるいは/および周壁の内面から突出させて底壁との間に貯水用空間をあけて、固形培地を載置可能とする支持部と、前記支持部の固形培地載置面上に、一部を乗せると共に他部を底壁まで垂らして前記貯水用空間に供給される貯水に浸漬されるように配置する給水材とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物栽培容器に関し、詳しくは、観葉植物等の植木鉢に自動給水手段を簡単な構成で付設するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、シクラメンや蘭等の室内用の観葉植物の鉢植えには、毎日給水できない場合、給水忘れ対策、給水量を所定量とすること等を目的として、自動給水機能を備えたものが提供されている。この種の自動給水手段は、植木鉢と別あるいは一体的に貯水部を設け、貯水部と植木鉢の間に給水用の紐を架け渡し、紐により発生する毛細管現象を利用して貯水部から植木鉢内部に自動給水を行うものが多い。
【0003】
例えば、特開2005−102665号公報(特許文献1)では、図7に示す如く、外側植木鉢1と内側植木鉢2とを備えた二重壁構造とされ、内外周壁の間が貯水空間3とされると共に内側植木鉢2に穴2aがあけられ、この穴2aに紐4が通されている。内側植木2内に入れられる植木の土に紐4の毛細管現象を利用して貯水空間3の水が吸水される構成とされている。
【0004】
また、特開平10−304783号公報(特許文献2)では、図8に示すように、貯水した給水タンク5の蓋5a上に植木鉢6を載置し、該植木鉢6の底壁の水抜き穴6aに給水用紐4’の先端を通し、該給水用紐も4’を給水タンク5内に垂らし、給水用紐4’の毛細管現象を利用して植木鉢6内に吸水している。
【0005】
【特許文献1】特開2005−102665号公報
【特許文献2】特開平10−304783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のように、従来提供されている毛細管現象を利用して給水する自動給水手段は、特許文献1のように植木鉢に仕切壁を設けて貯水部を一体的に付設したものと、特許文献2のように別置きする貯水槽を必要とするものからなる。
いずれも、植木の土壌収容部と貯水部とは遮断された別空間とされ、よって、全体的に大型化して設置スペースを取ると共に、構造が複雑化でコスト高になる問題がある。
【0007】
また、毛細管現象により土壌へ給水する給水紐は、その一端を土壌中に位置させる必要があるため、植物の栽培開始前に植木鉢内に給水紐を固定しておき、この状態で土壌を植木鉢内に入れる必要がある。よって、給水紐と接触させる土壌面が空隙が少ない場合は、給水紐からの吸水効率が悪くなるが、給水紐が土壌中にあるため、簡単に改善できない問題がある。
さらに、土壌中の空隙を制御できなため、給水紐から吸水した水を毛細管現象で土壌中に均一に供給できない場合も多い。
【0008】
本発明は前記した問題に鑑みてなされたもので、簡単な構成で確実に適量の水を植物に自動給水出来る植物栽培容器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、底壁および周壁を備えた上面開口の容器本体と、
前記容器本体の内部空間に底壁あるいは/および周壁の内面から突出させて、底壁との間に貯水用空間をあけて、固形培地を載置可能とする支持部と、
前記支持部の固形培地載置面上に、一部を乗せると共に他部を前記貯水用空間に供給される貯水に浸漬されるように垂らしている給水材と、
を備えていることを特徴とする植物栽培容器を提供している。
【0010】
前記のように、本発明の容器は、固形培地を載置する支持部を設けていることで、固形培地との間に仕切壁を設けることなく、容器内部の下部を貯水用空間としている。即ち、容器の底壁から支持部を立設し、あるいは周壁の内面から支持部を突設するだけでよく、従来のように容器を内外二重壁としたり上下に容器を積層する構成とする必要がなく、容器の構造を極めて簡単とすることができ、かつ容器の小型化および軽量化を図ることができる。かつ、支持部を設ける位置は固形培地を保持できる位置であれば、どこに設けても良いためデザインの自由度を高めることができる。
これは植物の培地として、通常の下方に土が落下する土壌を用いるのでは無く、形状保持力を有する固形培地を用いるようにしていることで、仕切壁を設けることなく下部を貯水部とすることを可能としている。
【0011】
また、給水材は、固形培地と接触する支持部上面と貯水用空間に架け渡すだけであり、かつ、給水材の上端を支持部上面に乗せると、その上に載置される固形培地との間に狭持されることで保持でき、該給水材の毛細管現象を利用して給水材に自動給水する機構を極めて簡単とすることができる。
特に、前記支持部の固形培地載置面に凹凸部を形成して、給水材位置決め部を設けていることが好ましい。具体的には一対のリブを突設し、該リブの間に給水材を狭持する構成とし、あるいは、所要幅の溝を設け、該溝に給水材を挿入する構成としている。該構成とすると、支持部の上端面の固形培地載置面が小面積であっても、確実に給水材を支持部の上面に位置ずれなく保持できる。
【0012】
具体的には、前記容器本体は樹脂成形品とし、その底壁の中央部から1個の前記支持部を一体的に突設し、あるいは複数の前記支持部を間隔をあけて一体的に突設し、該支持部は円柱、角柱、円錐柱形状として上端面を前記固形培地載置面としていることが好ましい。
容器本体は必ずしも樹脂成型品に限定されないが、樹脂成形品とすると、支持部を一体成形で設けることができる利点がある。ガラス、金属等から容器本体を形成した場合には、支持部は別体として、容器本体に半田付けや溶接で取り付けられる。このように、デザイン上の観点から適宜の素材で容器本体を設けることができる。
【0013】
前記容器本体は、全面透明あるいは半透明とし、あるいは少なくとも底壁から支持部の上端までの貯水用空間が外観できる透明な窓部を備えていることが好ましい。
前記構成とすると、容器内部の貯水量を外部から見られるようにすることで、給水忘れを防ぐことができる。そのさい、樹脂成形品とすると簡単に透明あるいは半透明とすることができる。
【0014】
前記給水材は、毛細管現象で前記貯水用空間内の貯水を吸水して前記固形培地に給水する機能を有する不織布、繊維からなる紐、金属線材の集束体、樹皮等から形成している。該給水材を帯状とし、その上端を、前記したように、支持部の固形培地載置面に置くと共に下端側を前記貯水用空間に垂下させ、給水材による毛細管現象で固形培地に給水している。
前記のように、給水材は毛細管現象を確実に発生する素材であればよく、特に限定されないが、不織布からなる帯を用いると、支持部の固形培地載置面上に添わせて配置できると共に不織布の上面に固形培地を密着配置でき、不織布から固形培地に確実に給水させることができる、かつ、不織布は取り扱いが容易であると共に、所要幅で且つ所要長さの給水材を簡単に得ることができる。
前記給水材の取り付け方は、支持部上面の固形培地載置面に給水材の中央部を乗せて両側を底壁側へ垂らすことが好ましい。その場合、給水材が支持部上面からずり落ちることが抑制できると共に、両側部から固形培地載置面上の中央部に給水することができる。なお、給水材の一端側を支持部上面の固形培地載置面上の乗せる一方、他端側を底壁へと垂らしてもよい。
【0015】
さらに、本発明は、底壁および周壁を備えた上面開口の容器本体と、
前記容器本体の内部空間に底壁から突出させて、該底壁との間に貯水用空間をあけて固形培地を載置可能とする支持部を備え、該支持部を毛細管現象で吸水機能を発生する給水材で形成していることを特徴とする植物栽培容器を提供している。
即ち、本発明の植物栽培容器では、例えば、不織布を円柱形状や台円錐形状に固めて固形化したものを支持部として利用し、あるいは、金属線材を集束したものを支持材として利用し、給水機能を備えた支持部としている。該支持部は底壁に窪み部を設け、該窪み部に支持部の下端を挿入し、位置決め保持して立設することが好ましい。
【0016】
さらに、本発明は、前記支持部の固形培地載置面上に前記給水材を挟んで載置されると共に、周壁内面と所要の空隙をあけて、容器本体内に前記固形培地を予め収容しており、
前記固形培地として、前記給水材との接触面から吸水する機能と該吸水された水を保水する機能を有する空隙を備えると共に、植え付けられる植物を支持する機能と、型崩を発生させない保形性を有する多孔質体を用いている植物栽培容器を提供している。
即ち、容器本体内に予め固形培地を収容保持した状態としている。
この場合、前記のように固形培地を支持部の固形培地載置面に載置すると、底壁との間に貯水用空間があけられ、かつ、固形培地は容器周壁との間に隙間をあけて貯水用空間に隙間を介して大気に開放している。この隙間は固形培地が容器本体内で倒れたり傾いたりしない程度の僅かな空隙としている。該空隙を保持するために、容器周壁の内面から間隔をあけてリブを突設してもよい。
【0017】
前記固形培地を構成する前記多孔質体としては、培土基材に熱融着性繊維が配合され、該熱融着繊維同士が熱融着されて所要形状に保形されたもの、あるいは、スポンジやロックウール等から構成している。
【0018】
前記培土基材に熱融着性繊維が配合され、該熱融着繊維同士が熱融着されて所要形状に保形されたものとしては、本出願人の出願に係わる特開2002−58340号で開示した固形培地が好適に用いられる。即ち、熱融着性繊維として、繊維長が2mmを超え15mm以下、アスペクト比が20〜1000、繊維水分率が繊維質量に対し10%以下および捲縮数が6個/cm以下で、繊維形成性重合体と、該繊維形成性重合体よりも融点または軟化点が20℃以上低い熱可塑性重合体とからなる熱融着性の複合紡糸繊維および/または混合紡糸繊維を用い、ピートモスおよび/またはパーライトを主体とする粉状体の培土基材とを組成物とし、培土基材と熱融着性繊維の配合割合を質量比で99:1〜85:15とし、熱融着性繊維を溶融接着されて所定形状としたものである。
前記構成の固形培地は、熱融着性繊維同士の接着、および熱融着性繊維と培土基材中の成分とが接着して、三次元の網目状構造の多孔質体となり、給水材からの水を吸い上げる毛細管現象を発生させると共に吸水した水を保持する保水力を備え、かつ、該固形培地に植えられる植物の根をしっかりと保持する機能と、型崩しない形状保持力を備えている。
【0019】
前記固形培地の上面に窪み部を設け、該窪み部は予め種、苗、植木を植え付けている多孔質材からなる育苗用培地の充填部としてもよい。
前記固形培地の窪みには、予め所要の植物を植え付けた状態として育苗用培地を充填しておいても良いし、ユーザーが任意に所要の植物の種を植え付けた育苗用培地を充填できるようにしておいてもよい。
【0020】
前記育苗用培土に植え付けておく観葉植物としては、シクラメン、蘭、アゲラタム、イソトマ、インパチェンス、エキザカム、ガーベラ、ガザニア、カルセオラリア、クリサンセマム、コリウス、サルビア、シザンサス、シネラリア、ゼラニウム、トレニア、パンジー、ビンカ、プリムラ、ペチュニア、ベコニア、マリーゴールド、ラナンキュラス、カーネーションなどが挙げられる。
また、育苗用培土に播種するのに適する植物としては、切り花用途としては、キンギョソウ、ブプレウルム、ユーストマ、ストック、アネモネ、カンパニュラ、ダリア、スカピオサ、デルフィニウム、ラークスパー、ニゲラ、ハナシノブ、ブルーレースフラワー、マトリカリア、シンテッポウユリ、リモニウムシニュアータ、オキシペタルム、クラスペディア、ユウギリソウなどが挙げられる。
野菜苗用途としては、セルリー、ビート、ネギ、タマネギ、ニラ、キャベツ、コールラピ、メキャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、ハクサイ、ツケナ、ゴマ、フダンソウ、シュンギグ、ミツバ、シソ、ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、パセリ、エンダイブ、リーキなどが挙げられる。
果菜苗用途としては、メロン、ピーマン、キュウリ、スイカ、カボチャ、トウガン、キンシウリ、トマト、ナス、オクラ、スイートコーン、インゲン、エンドウ、エダマメ、ソラマメなどが挙げられる。
さらに、育苗用培土に挿し木するのに適する植物としては、キク、カーネーション、宿根カスミソウなどの挿し木で繁殖できる植物が挙げられる。
【発明の効果】
【0021】
上述したように、本発明に係わる植物栽培容器では、内外二重壁や上下仕切壁等を設ける必要はなく、底壁あるいは周壁から固形培地載置用の支持部を突設するだけで、その下部に貯水用空間を確保でき、該貯水用空間と支持部の固形培地載置面との間に毛細管現象を発生させる給水材を架け渡すだけで、簡単かつ確実に自動給水を行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1、図2は第一実施形態の植物栽培容器を示す。該植物栽培容器は、シクラメン等の観葉植物の植木鉢に相当するもので、自動給水機能を備えている。
【0023】
植物栽培容器は、容器本体10と給水材18との2部材から構成している。
容器本体10は、底壁11と周壁12を備え、上面が開口した大略四角筒状で、全面透明の樹脂成形品からなる。
【0024】
容器本体10の底壁11の中央部から、後入れされる固形培地13を載置するための支持部14を一体成形で突設している。該支持部14は円錐台形状とし、上端側から底壁11側に向かって拡径させている。支持部14は上端面は固形培地載置面15とし、図2に示すように所要幅をあけて一対のリブ15a、15bを設け、該リブ15aと15bの間の前記給水材18を通すようにしている。
容器本体10の底壁11から支持部14の上端面の固形培地載置面15までの空間を貯水用空間Sとしている。よって、支持部14の高さはは所要量の貯水ができる寸法に設定しており、栽培する植物の種類に応じて相違すると共に、自動給水する日数に応じても相違し、かつ、一定の貯水量とする場合にも容器本体10の断面積が大きい場合には高さは低くなり、断面積が小さい場合には高さは大となる。
この貯水用空間Sには使用時に水16あるいは/および栽培用養液を供給し、其の際、液面と支持部14の上端面との間に空隙C1をあけるようにしている。
【0025】
また、容器本体10の周壁12の上部内面には、各辺の中央部にリブ17を突設し、該容器本体10内に収容する固形培地13と周壁12との間に所要空隙C2をあけるようにしている。
【0026】
前記支持部14の上端面からなる固形培地載置面15上には、帯状の不織布からなる給水材18の中央部上端を乗せて、前記リブ15aと15bの間に通すともに、該給水材18の両側下端側を貯水用空間Sへと垂らして、貯水用空間Sにためられる水16に浸漬されるようにしている。
給水材18を構成する不織布は、本実施形態では1.7デニールで5cmの繊維熱融着性ポリエステル繊維を熱融着させて形成したものを用い、形成される空隙により毛細管現象を有するものとしている。
【0027】
前記支持部14の固形培地載置面15には前記給水材18を挟んで直方体形状(あるいは立方体形状)の固形培地13を載置するようにしている。該固形培地13は固形培地載置面15上に載置した状態で、その上面が周壁12の上端面より若干下方に位置し、かつ、外周面が前記リブ17に当接して通気用の空隙C2をあけて位置決め保持される形状としている。
【0028】
固形培地13は、給水材18との接触面から吸水する機能と吸水された水を保水する機能を有する空隙を備えると共に、植え付けられる植物20を支持する機能と、型崩れを発生させない保形性を有する多孔質体かなる。
本実施形態では、固形培地13として、培土基材に熱融着繊維を配合して加熱処理し、熱融着繊維同士が熱融着されて直方体形状に保形されたものを用いている。
【0029】
前記熱融着繊維としては、芯成分がポリエチレンテレフタレートおよび鞘成分がイソフタル酸45モル%共重合ポリエチレンテレフタレートよりなる芯鞘型複合繊維[芯成分:鞘成分の質量比=1:1、鞘成分の融点=110℃、芯成分の融点=260℃、単繊維繊度=2.2dtex;繊維長=5mm、アスペクト比=340、水分率=0%、捲縮数=0個/cm(非捲縮)]を用い、培土基材としては、土(赤玉土)100質量部にビートモス20質量部およびバーミキュライト10質量部を混合して得た混合物100質量部に対して、湿潤剤(ポリエチレングリコール)を0.01質量部および肥料を0.5質量部の割合で配合している。
前記培土基材90質量部と前記熱融着繊維10質量部をミキサー容器に入れて攪拌し、これを所望の固形培地13の形状と同一サイズの容器に充填して灌水した後、100℃で15分間加熱処理することにより固形培地13を形成している。
【0030】
前記固形培地13の上面中央には窪み13aを設け、該窪み13aに固形培地13と同一の構成からなる育苗用培地22を予め充填している。この育苗用培地22には予め育てた植木20が植え付けられており、育苗用培地22を固形培地13内に充填することにより植物20の根は固形培地13側へと張り出している。本実施形態の植物20はシクラメンとしている。
【0031】
次に、本発明の植物栽培容器の使用方法について説明する。
容器本体10の内部には、給水材18を支持部14の上端の固形培地載置面15を跨ぐように両側下端を底壁11に接するように垂らしている。
最初、支持部14の上端の固形培地載置面15より下方の貯水用空間Sに水16を供給する。その後、植物20が受け付けられている固形培地13を支持部14の上端の固形培地載置面15に給水材18を挟んで載置する。この状態で、容器本体10の上側部には周壁12との間に通気用の空隙C2をあけて固形培地13が収容され、該固形培地13の底面と貯水された水16の液面と支持部14の上端面との間に空隙C1をあけるようにしている。
【0032】
この状態で、容器本体10内の貯水用空間Sに貯水された水16を固形培地載置面15から垂下させた給水材18により効率的に吸水させるとともに、固形培地載置面15で接触する固形培地13に適量の水を給水させることができる。よって、固形培地13に植え付けられた植物20には、常に適量の水が自動的に給水され、植物を健やかに成育させることができる。
【0033】
また、固形培地13は支持部14の固形培地載置面15に載置されるだけの構成で固形培地13を自由に取り外すことが可能であるため、貯水された水の残量が微量となると、固形培地13の上方から水を供給すると、水は固形培地13の空隙を通して下方の貯水用空間Sに溜めておくことができる。あるいは、容器本体10から固形培地を取り外して水を供給することもできる。
【0034】
固形培地13に植えられた植物の寿命が終わると、あるいは涸れてしまっても、固形培地を取り除いて、新たな固形培地を収容して容器本体10を再使用することができる。
【0035】
図3は第一実施形態の変形例を示し、底壁11から突設する支持部14を2個として、間隔をあけて突設している。図3(A)に示すように、これら2本の支持部14にそれぞれ給水材18を取り付けても良いし、図3(B)に示すように、2個の支持部14の上端面に1個の給水材18を架け渡して取り付けてもよい。
【0036】
図4は第二実施形態を示し、支持部14を容器本体10の周壁12の左右対向する内面から棚状に突出させている。これら一対の支持部14の上面を固形培地載置面15とし、それぞれ給水材18の上端部を乗せて、下端を底壁11側へと垂れ下げている。
固形培地13の底面の左右両端を前記支持部14の上面に給水材18を挟んで載置している。
この第二実施形態においても、支持部14の下面から底壁11の間に構成される貯水用空間Sに水を貯水しておくと、給水材18の毛細管現象をにより固形培地13に自動吸水することができる。
【0037】
図5は第三実施形態を示し、不織布を空隙を残存させて毛細管現象を発生させる状態で円錐台状に成形して、支持部14として用いている。容器本体10の底壁11には支持部14の下端部を嵌合保持する凹部11aを設け、該凹部11a内に支持部14を挿入して立設している。
前記支持部14の上面に固形培地13を載置すると、支持部14自体からの毛細管現状で固形培地13に自動給水を行うことができる。
他の構成および作用効果は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0038】
図6は第四実施形態を示し、容器本体10は比較的大型とし、複数の植物を植えることができるプランタとしている。
該容器本体内には間隔をあけた複数の支持部14を突設し、各支持部14にそれぞれ給水材18を取り付けている。
前記複数の支持部14の上面の固形培地載置面15上に、1つの大きな固形培地13を載置している。該固形培地13には、各支持部14と対向した位置に窪み13aを設けている。本実施形態では前後左右に間隔をあけて10個の窪み13aを設けている。よって、底壁11から突設する前記支持部14も10個とし、かつ、これら支持部14に取り付ける給水材18も10枚としている。
【0039】
前記複数の窪み13aを設けたままの状態としておき、ユーザーが使用時に所要の種が植え付けられている育苗用培地22を窪み13aに充填できるようにしている。
前記育苗用培地22として例えば野菜の種を植え付けたものを用いると、家庭菜園用として本発明の栽培容器を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第一実施形態を示す断面図である。
【図2】第一実施形態で用いる容器本体を示し、(A)は垂直断面図、(B)は平面図である。
【図3】第一実施形態の変形例を示す断面図である。
【図4】第二実施形態を示す断面図である。
【図5】第三実施形態を示す断面図である。
【図6】第四実施形態を示し、(A)は断面図、(B)は平面図である。
【図7】従来例を示す図面である。
【図8】他の従来例を示す図面である。
【符号の説明】
【0041】
10 容器本体
11 底壁
12 周壁
13 固形培地
14 支持部
15 固形培地載置面
16 水
18 給水材
S 貯水用空間
C1、C2 空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁および周壁を備えた上面開口の容器本体と、
前記容器本体の内部空間に底壁あるいは/および周壁の内面から突出させて、底壁との間に貯水用空間をあけて、固形培地を載置可能とする支持部と、
前記支持部の固形培地載置面上に、一部を乗せると共に他部を前記貯水用空間に供給される貯水に浸漬されるように垂らしている給水材と、
を備えていることを特徴とする植物栽培容器。
【請求項2】
前記容器本体は樹脂成形品とし、その底壁の中央部から1個の前記支持部を一体的に突設し、あるいは複数の前記支持部を間隔をあけて一体的に突設し、該支持部は円柱、角柱、円錐柱形状として上端面を前記固形培地載置面としている一方、
前記給水材は、毛細管現象で前記貯水用空間内の貯水を吸水して前記固形培地に給水する機能を発生する不織布、線材集束体、樹皮等からなり、
前記給水材を帯状とし、その上端を前記支持部の固形培地載置面に置くと共に下端側を前記貯水用空間に垂下させている請求項1に記載の植物栽培容器。
【請求項3】
底壁および周壁を備えた上面開口の容器本体と、
前記容器本体の内部空間に底壁から突出させて、該底壁との間に貯水用空間をあけて固形培地を載置可能とする支持部を備え、該支持部を毛細管現象で吸水機能を発生する給水材で形成していることを特徴とする植物栽培容器。
【請求項4】
前記容器本体は、全面透明あるいは半透明とし、あるいは少なくとも底壁から支持部の上端までの貯水用空間が外観できる透明な窓部を備えている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の植物栽培容器。
【請求項5】
前記支持部の固形培地載置面に凹凸部を形成して給水材位置決め部を設けている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の植物栽培容器。
【請求項6】
前記支持部の固形培地載置面上に前記給水材を挟んで載置されると共に、周壁内面と所要の空隙をあけて、容器本体内に前記固形培地が収容されており、
前記固形培地は、前記給水材との接触面から吸水する機能と該吸水された水を保水する機能を有する空隙を備えると共に、植え付けられる植物を支持する機能と、型崩を発生させない保形性を有する多孔質体からなる請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の植物栽培容器。
【請求項7】
前記固形培地を構成する前記多孔質体は、培土基材に熱融着性繊維が配合され、該熱融着繊維同士が熱融着されて所要形状に保形されたもの、スポンジ、あるいはロックウールからなる請求項6に記載の植物栽培容器。
【請求項8】
前記固形培地の上面に窪み部を設け、該窪み部は予め種、苗、植木を植え付けている多孔質材からなる育苗用培地の充填部としている請求項6または請求項8に記載の植物栽培容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−6729(P2007−6729A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−188892(P2005−188892)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000100469)みのる産業株式会社 (158)
【出願人】(592042808)京和グリーン株式会社 (2)
【Fターム(参考)】