説明

検査用プローブおよび電気光学装置の製造方法

【課題】 コネクタを嵌合せずに電子機器の検査を行うことができる検査用プローブを提供すること。
【解決手段】 本発明は、被検査部と検査機器とを電気的に接続するための検査用プローブであって、互いに側部を向き合わせた状態で揺動可能な2本のアーム部と、前記2本のアーム部の相互に向き合った側部及び前記側部の反対側の側部の少なくとも一方に設けられたコンタクト部と、前記コンタクト部の表面に形成された導電性材料部と、前記2本のアーム部の相互に向き合った側部に形成されたアーム側カム部と、前記被検査部によって端部が押されることにより、前記2本のアーム部間に挟まれた経路に沿って移動するように支持された棒状の芯部と、前記芯部の側部に設けられ、前記芯部の前記経路に沿った移動の過程において前記2本のアームのカム部と当接し、前記2本のアーム間の距離を変化させる芯側カム部とを有する、電子機器の検査用プローブを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の検査に好適なプローブおよびその検査プローブを用いた検査工程を含む、電気光学装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶パネルやEL(Electro-Luminescence)パネルに代表される電気光学装置が広く普及している。この種の電気光学装置においては、液晶などの電気光学物質を保持するためのパネル基板の面上に、当該電気光学物質に対して電圧を印加するための電極が形成された構成が一般的である。さらに、これらの電極に対して外部から制御信号を供給するために、当該パネル基板の面上にFPC(Flexible Printed Circuit)などの配線基板が実装された構成も知られている。
【0003】
このような電気光学装置の製造工程において、配線の断線や短絡といった不具合の発生を完全に排除することは極めて困難であり、ある程度の確率でこれらの欠陥が発生してしまうのは避けられないのが現状である。このため、製造後の電気光学パネルについて欠陥の有無を検査する必要がある。このような検査の方法として、従来から、電気光学パネルによって表示された所定のテストパターンを観察することによって、各画素が正常に点灯するか否かを判定する方法(いわゆる点灯検査)が知られている。この種の点灯検査の手順について一例を挙げると、以下の通りである(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2003−130906号公報
【特許文献2】特開平10−186393号公報
【0004】
まず、上記配線基板の面上に設けられたコネクタ(以下、「パネル側コネクタ」という)に対して検査用のコネクタ(以下、「検査用コネクタ」という)を嵌合させる。次に、検査装置から当該検査用コネクタおよびパネル側コネクタを介して、検査対象たる電気光学パネルに検査信号を供給する。この検査信号は、電気光学パネルが所定のテストパターンの表示を行なうように予めその内容が決定された信号である。そして、電気光学パネルに表示されたテストパターンを観察することによって当該電気光学パネルの良否を判定する。この良否判定のあと、検査用コネクタをパネル側コネクタから取り外す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、パネル側コネクタから検査用コネクタを取り外すために検査用コネクタに力を加えると、パネル側コネクタと配線基板との接合部分にも力が作用し、この結果としてパネル側コネクタが配線基板から剥がれてしまう場合がある。あるいは、パネル側コネクタが剥がれないまでも、パネル用コネクタの金属配線(電極)が剥がれてしまう場合もある。この場合、テストパターンを表示させて良否判定を行なう段階まではパネル側コネクタが配線基板に対して適正に実装されているにもかかわらず、その後にパネル側コネクタの剥離が発生することとなる。したがって、上述した点灯検査によってはかかる剥離を発見することはできず、検査結果の妥当性に重大な影響を及ぼすこととなる。これらの問題は、上述した電気光学パネルのみにおいて生ずるものではなく、検査に際して検査用コネクタが接続されるコネクタを配線基板上に備えた、全ての電子機器において同様に生じ得る問題である。
【0006】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、コネクタを嵌合せずに電子機器の検査を行うことができる検査用プローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するため、本発明は、被検査部と検査機器とを電気的に接続するための検査用プローブであって、互いに側部を向き合わせた状態で揺動可能な2本のアーム部と、前記2本のアーム部の相互に向き合った側部及び前記側部の反対側の側部の少なくとも一方に設けられたコンタクト部と、前記コンタクト部の表面に形成された導電性材料部と、前記2本のアーム部の相互に向き合った側部に形成されたアーム側カム部と、前記被検査部によって端部が押されることにより、前記2本のアーム部間に挟まれた経路に沿って移動するように支持された棒状の芯部と、前記芯部の側部に設けられ、前記芯部の前記経路に沿った移動の過程において前記2本のアームのカム部と当接し、前記2本のアーム間の距離を変化させる芯側カム部とを有する、電子機器の検査用プローブを提供する。この検査用プローブによれば、コネクタを嵌合せずに電子機器の検査を行うことができる。
また、本発明は、凹部を有する被検査部と検査機器とを電気的に接続するための検査用プローブであって、互いに側部を向き合わせた状態で揺動可能であり、その先端が前記凹部に収容される2本のアーム部と、前記2本のアーム部の相互に向き合った側部及び前記側部の反対側の側部の少なくとも一方に設けられたコンタクト部と、前記コンタクト部の表面に形成された導電性材料部と、前記2本のアーム部の相互に向き合った側部の裏側に形成されたアーム側カム部と、前記2本のアーム部に挿入され、前記2本のアーム部に沿った移動の過程において前記2本のアームのアーム側カム部と当接し、前記2本のアーム間の距離を変化させるリング部とを有する、電子機器の検査用プローブを提供する。この検査用プローブによれば、メスコネクタを有する電子機器に対してコネクタを嵌合せずに検査を行うことができる。
また、本発明は、被検査部と検査機器との電気的接続を確立するための検査用プローブであって、互いに側部を向き合わせた状態で揺動可能な2本のアーム部と、前記2本のアーム部の相互に向き合った側部及び前記側部の反対側の側部の少なくとも一方に設けられたコンタクト部と、前記コンタクト部の表面に形成された導電性材料部と、前記2本のアーム部間の所定の位置に固定された回転軸を有し、該回転軸を中心とした回転により前記2本のアームのカム部と当接し、前記2本のアーム間の距離を変化させる回転カム部とを有する、電子機器の検査用プローブを提供する。この検査用プローブによれば、コネクタを嵌合せずに電子機器の検査を行うことができる。
さらに、本発明は、配線基板と電気光学パネルとを有する電気光学装置の製造方法であって、請求項1〜3のいずれかの項に記載の検査用プローブを用いて前記電気光学パネルの検査を行う検査工程と、前記検査工程後に前記配線基板の電気光学パネル実装面の端面にモールド材を塗布するモールド材塗布工程とを有する、電気光学装置の製造方法を提供する。この製造方法によれば、検査工程においてコネクタを嵌合せずに電子機器の検査を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。本実施形態では、液晶パネルの点灯検査について説明するが、本発明の検査対象は液晶パネルに限られるものではなく、あらゆる電子機器に適用可能である。また、検査の内容も点灯検査に限られるものではなく、検査対象電子機器に外部から信号を供給して行う検査であれば、いかなる検査にも適用可能である。
【0009】
<A.液晶パネルの構成>
図1は、本実施形態に係る液晶パネル1の全体構成を示す平面図であり、図2は、図1におけるA−A’線からみた液晶パネル1の断面図である。
図1および図2に示すように、液晶パネル1は、長方形の枠状に形成されたシール材13を介して背面側基板11と観察側基板12とが貼り合わされるとともに、両基板とシール材13とによって囲まれた領域に、TN(Twisted Nematic)型などの液晶14が封入された構成となっている。背面側基板11および観察側基板12は、ガラスや石英、プラスチックなどの光透過性を有する板状部材である。このうち背面側基板11は、観察側基板12の縁辺から張り出した領域(すなわち、観察側基板12と対向しない領域である。以下、「張出領域」という)11aを有する。張出領域11aには、当該液晶パネル1を駆動するためのドライバIC15がCOG(Chip On Glass)技術を用いて実装されている。さらに、張出領域11aの縁辺近傍には、FPC(Flexible Printed Circuit)2が接合されている。なお、液晶パネル1が携帯電話機などの電子機器に搭載される場合、FPC2は、図2に示すように、当該液晶パネル1の背面側に折り曲げられることとなる。ただし、図1においては、FPC2が折り曲げられる前の状態が示されている。また、液晶パネル1の背面側(より詳細には、折り曲げられたFPC2と液晶パネル1の背面側基板11との間)には、当該液晶パネル1に対して光を照射するバックライトユニットが配置されるが、図示は省略されている。かかる構成の下、バックライトユニットによる照射光が背面側基板11、液晶14および観察側基板12を透過して観察者に視認される。
【0010】
背面側基板11の内側(液晶14側)表面には、図1に示すY方向に延在する複数のセグメント電極111が形成されている。このセグメント電極111は、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電材料によって形成された電極である。なお、図1においては、図面が煩雑になるのを防ぐため、各セグメント電極111は1本の直線として図示されているが、実際のセグメント電極111は、所定の幅を有する帯状の電極である(後述するコモン電極121についても同様である)。
【0011】
各セグメント電極111は、背面側基板11上において、観察側基板12と対向する領域(シール枠内の領域)から張出領域11a(シール枠外の領域)に至るとともに、その端部がドライバIC15の出力側バンプ15a(突起電極)に接続される。より具体的には、図2に示すように、ドライバIC15が背面側基板11上に接着剤161を介して接合された状態において、ドライバIC15の出力端子に形成された出力側バンプ15aとセグメント電極111の端部とが、当該接着剤161中に分散された導電性粒子162を介して導通される。
【0012】
一方、観察側基板12の内側表面のうち背面側基板11と対向する領域には、セグメント電極111と直行する方向(すなわち図1に示すX方向)に延在する複数のコモン電極121が形成されている。各コモン電極121は、ITOなどの透明導電材料によって形成された帯状の電極である。セグメント電極111は、観察側基板12のうち張出領域11aに接する縁辺近傍に引き出されるとともに、その端部が、観察側基板12のうちシール材13の形成された部分に至るようになっている。そして、この端部は、当該シール材13に分散された導電性粒子(図示略)を介して、背面側基板11上に形成された引廻し配線112と電気的に接続される。各引廻し配線112は、張出領域11a内においてドライバIC15に向かって延在するとともに、その端部が当該ドライバIC15の出力側バンプ15aに接続される。
【0013】
また、図1および図2に示すように、張出領域11aには、当該張出領域11aの縁辺からドライバIC15が実装された領域に至るようにパッド113が形成されている。図2に示すように、これらのパッド113の一端は、接着剤161中の導電性粒子162を介して、ドライバIC15の入力端子に形成された入力側バンプ15bと導通する。
【0014】
なお、実際には、セグメント電極111が形成された背面側基板11の表面、およびコモン電極121が形成された観察側基板12の表面は、所定の方向にラビング処理が施された配向膜によって覆われているが、図示は省略されている。また、背面側基板11および観察側基板12の外側の表面には、偏光板や位相差板が貼着されるが、これらについても図示は省略されている。
【0015】
一方、FPC2は、基材21と、当該基材21上に設けられた配線22とを有する。このうち基材21は、ポリイミドなどからなるフィルム状の部材であり、可撓性を有する。各配線22は、図2に示すプリント基板4から出力された制御信号をドライバIC15の入力端子に供給するためのものである。図2に示すように、FPC2の基材21は、接着剤171を介して背面側基板11に接合される。そして、基材21上の配線22は、当該接着剤171中に分散された導電性粒子172を介して、背面側基板11上のパッド113と導通する。
【0016】
さらに、基材21上にはパネル側コネクタ5が実装されている。パネル側コネクタ5は、液晶パネル1と外部との接続を行なうためのコネクタである。例えば、本実施形態におけるパネル側コネクタ5は、図2に示すように、プリント基板4上に設けられたPCB側コネクタ3(詳細は後述する)と接続される。
図3は、パネル側コネクタ5の構成を示す斜視図である。パネル側コネクタ5は、ハウジング部材51を有する。ハウジング部材51は、例えばプラスチックなどによって形成された部材であり、プリント基板4とほぼ平行な平面部511と、当該平面部511から突出する凸部512とを有する。パネル側コネクタ5の凸部512は、平面視長方形状のハウジング部材51における一対の対辺同士を連結するように延在する。したがって、図2および図3に示すように、ハウジング部材51の断面形状は、ほぼ「凸」字状となっている。
【0017】
ハウジング部材51の凸部512には、当該凸部512の延在方向にそって列をなす複数の接続端子52が形成されている。すなわち、各接続端子52は、凸部512を構成する一方の側面512aから、当該凸部512の頂上面512bおよび他方の側面512cに至るように形成された端子である。これらの接続端子52の各々は、凸部512の頂上面512bからプリント基板4に至るように設けられたスルーホール(図示略)を介して、当該プリント基板4に設けられた配線の各々に対して電気的に接続されている。
【0018】
一方、図2に示すように、FPC2に接続されるプリント基板4には、ドライバIC15の動作を規定するためのクロック信号など所定の制御信号を生成するための回路(図示略)と、これらの回路に接続されたPCB側コネクタ3が設けられている。ここで、図4は、PCB側コネクタ3の構成を示す斜視図である。図4に示すように、PCB側コネクタ3は、ハウジング部材31を有する。ハウジング部材31は、例えばプラスチックなどによって形成された部材であり、FPC2の表面とほぼ平行な平面部311と、当該平面部311に設けられた凹部312とを有する。図1および図3に示すように、凹部312は、平面視長方形状のハウジング部材31における一対の対辺同士を連結するように延在する溝である。したがって、図2および図3に示すように、ハウジング部材31の断面形状は、ほぼ「凹」字状となっている。
【0019】
ハウジング部材31の凹部312には、当該凹部312の延在方向に沿って列をなす複数の接続端子32が形成されている。すなわち、各接続端子32は、凹部312を構成する一方の側面312aから、当該凹部312の底面312bおよび他方の側面312cに至るように形成された端子である。これらの接続端子32の各々は、凹部312の底面312bからFPC2の基材21にわたって設けられたスルーホール(図示略)を介して、当該基材21に設けられた配線22の各々に対して電気的に接続されている。
【0020】
図5は、パネル側コネクタ5とPCB側コネクタ3とが接続された状態を示す断面図である。図3および図4に示したように、PCB側コネクタ3における平面部311からみた凹部312の深さH3とパネル側コネクタ5における平面部511からみた凸部512の高さH5とはほぼ同一であり、PCB側コネクタ3における凹部312の幅W3とパネル側コネクタ5における凸部512の幅W5とはほぼ同一である。したがって、図5に示すように、PCB側コネクタ3の凹部312とパネル側コネクタ5の凸部512とが完全に嵌合した状態で、PCB側コネクタ3の接続端子32は、凹部312の側面312a、312cおよび頂上面312bに形成された全体にわたって、パネル側コネクタ5の接続端子52と接触することとなる。
【0021】
このようにPCB側コネクタ3とパネル側コネクタ5とが嵌合した状態で、プリント基板4上の制御回路から出力された制御信号は、PCB側コネクタ3の接続端子32からパネル側コネクタ3の接続端子52、FPC2の配線22、および背面側基板11上のパッド113を介してドライバIC15の入力端子に供給される。ドライバIC15は、こうして制御回路から受信した信号に応じて走査信号およびデータ信号を生成し、それぞれコモン電極121(引廻し配線112)およびセグメント電極111に出力する。そして、背面側基板11および観察側基板12によって挟まれた液晶14は、コモン電極121に与えられた走査信号とセグメント電極111に与えられたデータ信号とに応じた電圧が印加されることによってその配向方向が変化する。すなわち、バックライトユニットから液晶パネル1を通過して観察者によって視認される光は、コモン電極121とセグメント電極111との交差に対応する画素ごとに、その光量が制御されるのである。
【0022】
既に述べたように、このようにコネクタを嵌合させてプリント基板4から検査用の駆動信号(検査信号)を供給すると、検査終了時にパネル側コネクタ5とPCB側コネクタ3を外さなければならない場合がある。その際にパネル側コネクタ5が破損するおそれがあるため、本実施形態においては、検査時には以下で説明する検査用プローブを用いて液晶パネル1と、検査信号の信号源とを電気的に接続する。
【0023】
<B.検査用プローブの構成>
図6は本実施形態に係るオスコネクタ用検査用プローブ7の外観を示す斜視図であり、図7はオスコネクタ用検査用プローブ7の分解斜視図である。図6に示されるように、オスコネクタ用検査用プローブ7は、芯部8およびプローブ部9から構成される。図7に示されるように、プローブ部9は、長方形の上板の平行な2辺からアーム部97(側板)がそれぞれ垂直下向きに延びている。上板には、芯部8の突出部81を貫通するための開口部96が存在する。2枚のアーム部97の中間部分には、それぞれ内側に突起したアーム側カム部91が存在する。さらに、2枚のアーム部97の下端部分には、それぞれ内側に向かって延びるコンタクト部92が存在する。コンタクト部92には、パネル側コネクタ3の接続端子32と電気的接続を確立するための金属等の導電性材料からなるコンタクトメタル93が複数設けられている。コンタクトメタル93は、コンタクト部92からアーム部97の外面下部まで形成されている。上板には、それぞれコンタクトメタル93と対応するパッド94が形成されている。パッド94とコンタクトメタル93とは配線95で電気的に接続されており、パッド94を介して外部の信号源に接続することにより検査対象である液晶パネル1に駆動信号を供給することができる。
【0024】
芯部8は、本体から上方に延びる突出部81と、下方に延びる突出部83と、突出部81および突出部83に垂直な方向に突起する芯側カム部82とを有する。プローブ部9の開口部96の開口部分の面積と、突出部81の水平方向の断面積はほぼ同一であり、突出部81を開口部96にはめ込むことができる。突出部81は開口部96内を摺動可能である。通常の状態ではプローブ部9のアーム側カム部91と芯部8の芯側カム部82とがぶつかるため、図6に示されるように、アーム側カム部91が芯側カム部82の上に乗った状態となっている。また、この状態ではコンタクト部92よりも突出部83の方が下方に位置している。芯側カム部82およびアーム側カム部91の位置および形状は、検査対象となる液晶パネル1のパネル側コネクタ5の形状および大きさに適合するように設計される。また、芯部8の突出部83の長さも、アーム部97の長さとパネル側コネクタ5の形状および大きさとに適合するように設計される。
【0025】
なお、プローブ部9は、図8に示されるように変形する必要があり、また複数の電極にそれぞれ個別の検査信号(駆動信号)を供給可能である必要があるため、プラスチック等の絶縁性と弾性とを兼ね備えた材料を用いることが望ましい。芯部8は変形せず、また表面に電極あるいは配線が形成されることはないので、金属等の導電性の材料を用いることも可能である。
【0026】
<C.使用方法>
以下、オスコネクタ用検査用プローブ7の使用方法について説明する。
図8(a)〜図8(e)は、オスコネクタ用検査用プローブ7の使用方法を説明する図である。作業者はオスコネクタ用検査用プローブ7を持ち、検査対象である液晶パネル1のパネル側コネクタ5へ近づける(図8(a))。通常の状態ではコンタクト部92よりも突出部83の方が下方に位置しているため、まず突出部83がパネル側コネクタ5に接することとなる(図8(b))。この状態で作業者が上板の中央部分を下向きに押すと、プローブ部9に下向きの力が作用する。ここで、プローブ部9のアーム側カム部91および芯部8の芯側カム部82はともに斜めにカットされているため、アーム側カム部91と芯側カム部82との接触面においては、アーム側カム部91は、芯側カム部82の形に沿って表面を滑るように移動する。これにより、2枚のアーム部97は下部が開く形になる(図8(c))。
【0027】
アーム側カム部91が芯側カム部82の頂点部分を通過するとき、2枚のアーム部97のコンタクト部92の間隔は最大となる(図8(d))。ここからさらにプローブ部9を下方に押し込むと、2枚のアーム部97のコンタクト部92の間隔は芯側カム部82の形に応じて徐々に狭くなっていく。最終的に、2つのコンタクト部92が接続端子52を両側面から挟み込む形となる(図8(e))。すなわち、コンタクト部92は、パネル側コネクタ5の側面と接触することにより電気的接続を確立する。これにより、外部の信号源からオスコネクタ用検査用プローブ7を介して、液晶パネル1に対して駆動信号(検査信号)の供給が可能となる。
【0028】
このように、本実施形態に係るオスコネクタ用検査用プローブ7によれば、パネル側コネクタ5と嵌合する検査用コネクタを用いることなく、液晶パネル1との電気的接続を確立することができる。したがって、パネル側コネクタ5を破損あるいは劣化させることなく液晶パネル1の検査を行うことができる。
【0029】
<D.変形例>
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。
上述の実施形態においては、検査対象である液晶パネル1のパネル側コネクタ5がオスコネクタである場合について説明したが、本発明はメスコネクタにも適用可能である。
図9はこの変形例に係るメスコネクタ用検査用プローブ17の外観を示す斜視図である。オスコネクタ用検査用プローブ7と異なり、アーム側カム部191およびコンタクト部192は、アーム部197の外側に設けられている。検査用プローブ7と同様、コンタクト部192の表面には、コンタクトメタル193が形成されている。また、アーム部197の内側に配線が設けられ、アーム部197上部のパッド194に接続されている。作業者がリング部18を押し下げることにより2本のアーム部197間の距離を変化させることができる。
【0030】
上述の実施形態においては、芯部8およびプローブ部9の双方にカム部を設ける態様について説明したが、プローブ部9にはカム部を設けず、芯部8に回転式のカム84を設ける構成としてもよい。
図10は、この変形例に係るオスコネクタ用検査用プローブ7’の動作原理を示す概念図である。カム84の短軸がアーム部97と垂直方向になっている場合(図10(a))、2本のアーム部間の距離は最小となっている。カム84を回転させ、カム84の長軸がアーム部と垂直方向になったとき(図10(b))、2本のアーム部間の距離は最大となっている。作業者は、この状態でパネル側コネクタ5の上にオスコネクタ用検査用プローブ7’を位置し、再びカム84を回転させてアーム部を閉じる。これにより、パネル側コネクタ5の側面と電気的接続を確立することができる。
【0031】
また、上述の実施形態に係る検査プローブを用いた検査工程を、液晶パネル等の電気光学装置の製造工程に導入することもできる。すなわち、上述の実施形態に係る検査プローブを用いて液晶パネル1と検査用電源とを電気的に接続した後、検査用の駆動信号を供給し液晶パネル1の検査を行う。検査後、検査に合格した電気光学装置に対して、FPC2における液晶パネル1の実装面端面にモールド材を塗布する。この工程を含む製造方法によれば、パネル側コネクタ5と嵌合する検査用コネクタを用いることなく行われた検査に合格した液晶パネル1が次の工程に供される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施形態に係る液晶パネル1の全体構成を示す平面図である。
【図2】液晶パネル1の断面図である。
【図3】パネル側コネクタ5の構成を示す斜視図である。
【図4】PCB側コネクタ3の構成を示す斜視図である。
【図5】パネル側コネクタ5とPCB側コネクタ3とが接続された状態を示す断面図である。
【図6】オスコネクタ用検査用プローブ7の外観を示す斜視図である。
【図7】オスコネクタ用検査用プローブ7の分解斜視図である。
【図8】オスコネクタ用検査用プローブ7の使用方法を説明する図である。
【図9】メスコネクタ用検査用プローブ17の外観を示す斜視図である。
【図10】本発明の変形例に係るオスコネクタ用検査用プローブ7’の動作原理を示す概念図である。
【符号の説明】
【0033】
1…液晶パネル、2…FPC、3…PCB側コネクタ、4…プリント基板、5…パネル側コネクタ、7…オスコネクタ用検査用プローブ、8…芯部、9…プローブ部、11…背面側基板、12…観察側基板、13…シール材、14…液晶、15…ドライバIC、17…メスコネクタ用検査用プローブ、18…リング部、21…基材、22…配線、51…ハウジング部材、52…接続端子、81…突出部、82…芯側カム部、83…突出部、84…カム、91…アーム側カム部、92…コンタクト部、93…コンタクトメタル、94…パッド、95…配線、96…開口部、97…アーム部、111…セグメント電極、112…各引廻し配線、113…パッド、121…コモン電極、161…接着剤、162…導電性粒子、171…接着剤、172…導電性粒子、191…アーム側カム部、192…コンタクト部、193…コンタクトメタル、511…平面部、512…凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査部と検査機器とを電気的に接続するための検査用プローブであって、
互いに側部を向き合わせた状態で揺動可能な2本のアーム部と、
前記2本のアーム部の相互に向き合った側部及び前記側部の反対側の側部の少なくとも一方に設けられたコンタクト部と、
前記コンタクト部の表面に形成された導電性材料部と、
前記2本のアーム部の相互に向き合った側部に形成されたアーム側カム部と、
前記被検査部によって端部が押されることにより、前記2本のアーム部間に挟まれた経路に沿って移動するように支持された棒状の芯部と、
前記芯部の側部に設けられ、前記芯部の前記経路に沿った移動の過程において前記2本のアームのカム部と当接し、前記2本のアーム間の距離を変化させる芯側カム部と
を有する、電子機器の検査用プローブ。
【請求項2】
凹部を有する被検査部と検査機器とを電気的に接続するための検査用プローブであって、
互いに側部を向き合わせた状態で揺動可能であり、その先端が前記凹部に収容される2本のアーム部と、
前記2本のアーム部の相互に向き合った側部及び前記側部の反対側の側部の少なくとも一方に設けられたコンタクト部と、
前記コンタクト部の表面に形成された導電性材料部と、
前記2本のアーム部の相互に向き合った側部の裏側に形成されたアーム側カム部と、
前記2本のアーム部に挿入され、前記2本のアーム部に沿った移動の過程において前記2本のアームのアーム側カム部と当接し、前記2本のアーム間の距離を変化させるリング部と、
を有する、電子機器の検査用プローブ。
【請求項3】
被検査部と検査機器との電気的接続を確立するための検査用プローブであって、
互いに側部を向き合わせた状態で揺動可能な2本のアーム部と、
前記2本のアーム部の相互に向き合った側部及び前記側部の反対側の側部の少なくとも一方に設けられたコンタクト部と、
前記コンタクト部の表面に形成された導電性材料部と、
前記2本のアーム部間の所定の位置に固定された回転軸を有し、該回転軸を中心とした回転により前記2本のアームのカム部と当接し、前記2本のアーム間の距離を変化させる回転カム部と
を有する、電子機器の検査用プローブ。
【請求項4】
配線基板と電気光学パネルとを有する電気光学装置の製造方法であって、
請求項1〜3のいずれかの項に記載の検査用プローブを用いて前記電気光学パネルの検査を行う検査工程と、
前記検査工程後に前記配線基板の電気光学パネル実装面の端面にモールド材を塗布するモールド材塗布工程と
を有する、電気光学装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−58217(P2006−58217A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242234(P2004−242234)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】