検査装置および検査方法
【課題】検査対象を撮像して検査する場合の検査の高速化を図る。
【解決手段】ラインセンサカメラ6を、液晶パネル9に対して、矢符A1に示すように正方向に移動させて液晶パネル9を撮像し、矢符B1に示すようにライン幅方向にずらし、矢符A2に示すように逆方向に移動させて液晶パネル9を撮像し、以下同様にラインセンサカメラ6を、正方向および逆方向に移動させて液晶パネル9を1ライン分ずつ撮像する。正方向に移動させて撮像した画像30と、逆方向に移動させて撮像した画像31とは、上下が反転するので、正逆方向判別部17でいずれの方向であるかを判別し、画像処理部18では、テンプレート画像19を、判別された方向に応じて、反転処理し、あるいは、反転処理することなく、マッチングを行い、更に、欠陥を検査する。
【解決手段】ラインセンサカメラ6を、液晶パネル9に対して、矢符A1に示すように正方向に移動させて液晶パネル9を撮像し、矢符B1に示すようにライン幅方向にずらし、矢符A2に示すように逆方向に移動させて液晶パネル9を撮像し、以下同様にラインセンサカメラ6を、正方向および逆方向に移動させて液晶パネル9を1ライン分ずつ撮像する。正方向に移動させて撮像した画像30と、逆方向に移動させて撮像した画像31とは、上下が反転するので、正逆方向判別部17でいずれの方向であるかを判別し、画像処理部18では、テンプレート画像19を、判別された方向に応じて、反転処理し、あるいは、反転処理することなく、マッチングを行い、更に、欠陥を検査する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象を撮像して検査を行う検査装置および検査方法に関し、更に詳しくは、液晶パネルやプラズマディスプレイパネル等の基板を撮像して、パーティクルや配線のショート・オープンなどの欠陥を検査するのに好適な検査装置および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭用TV等の大型化に伴って、液晶パネルやプラズマディスプレイパネルといったフラットディスプレイパネル基板も大型化、複雑化が進み、パーティクルや配線のショート・オープンなどの欠陥が生じる割合も増加している。このため、フラットディスプレイパネル基板の生産工程において、上記欠陥を検査し、欠陥箇所を特定して修復等を行うことが求められている。
【0003】
従来から、液晶基板等の欠陥を検査する技術が多数提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開平7−27713号公報
【特許文献2】特開2007−206641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶基板の検査装置では、例えば、図11に示すように、矩形の液晶パネル40を、ラインセンサカメラ41によって、液晶パネル40の一端40aから他端40bに向かって、一方向(図の下方)に撮像し、撮像された1ライン分の画像43を、画像入力ボード42で取り込んで一定の長さのフレーム画像44とし、各フレーム画像44に対して、例えば、予め準備したテンプレート画像とテンプレートマッチングを行ってマッチングした座標位置を基準として、例えば、パターン比較によって欠陥の有無を判定するといった処理が行なわれる。
【0005】
かかる従来例では、図12に示すように、矢符A1で示される1ライン分の撮像が終了すると、矢符B1で示されるように逆方向にラインセンサ41を、元の位置である液晶パネル40の一端40a側までライン幅方向にずらしながら移動させ、矢符A2で示されるように、次の1ライン分の撮像を行い、同様の動作を繰り返すことによって、液晶パネル40の全面の欠陥を検査するようにしている。なお、全面の欠陥を検査するのではなく、前工程の検査において、特定された箇所を詳細に検査して修復位置を特定する場合もある。
【0006】
近年、液晶パネルのサイズは、益々、大型化しており、1ライン分の撮像の度に、元の位置までラインセンサカメラ41を移動させる従来例では、移動回数および移動距離が増大し、移動に多くの時間を費やすことになり、高速な基板検査の妨げとなっている。
【0007】
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、検査対象を撮像して検査を行う場合の検査時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の検査装置は、検査対象に対して、正方向および逆方向に相対移動して、前記検査対象の異なる領域を撮像する撮像手段と、前記正方向または前記逆方向のいずれの方向での撮像であるかを判別する判別手段と、予めテンプレート画像が記憶される記憶手段と、前記撮像手段で撮像される撮像画像および前記テンプレート画像に基づき、前記いずれの方向での撮像であるかに応じた画像処理を行なって前記検査対象を検査する画像処理手段とを備えている。
【0009】
検査対象とは、欠陥などを検査する対象をいい、例えば、基板や部品などをいう。
【0010】
前記正方向および逆方向の相対移動は、撮像手段を移動させてもよいし、検査対象を移動させてもよく、あるいは、両者を移動させてもよい。
【0011】
正方向とは、検査対象に対して一方向、例えば、検査対象である矩形の基板の対向する両辺の一方の辺から他方の辺に向かう方向をいい、逆方向とは、前記一方向とは逆の方向、例えば、前記他方の辺から前記一方の辺へ向かう方向をいう。この正方向と逆方向とは、互いに平行であるのが好ましい。
【0012】
検査対象は、周期的な繰り返しのパターンを有するのが好ましい。
【0013】
本発明の検査装置によると、正方向および逆方向の相対移動時に撮像手段によって検査対象を撮像し、いずれの方向の撮像であるかに応じた画像処理を行って検査するので、一方向の移動時しか撮像を行わない従来の構成に比べて、検査対象の撮像に要する時間を短縮して検査時間を短くすることができる。
【0014】
(2)本発明の検査装置の一つの実施形態では、前記画像処理手段は、前記いずれの方向での撮像であるかに応じて、前記テンプレート画像を反転処理して、あるいは、反転処理することなく、前記撮像画像とマッチングさせる。
【0015】
正方向の相対移動時に撮像した画像を画像メモリに記憶させた撮像画像と、逆方向の相対移動時に撮像した画像を画像メモリに記憶させた撮像画像とでは、画像が反転することになるが、この実施形態によると、いずれの方向での撮像であるかに応じて、テンプレート画像を反転処理し、あるいは、反転処理することなく、撮像画像とマッチングさせるので、一方向に対応するテンプレート画像のみを記憶しておけばよい。また、テンプレート画像を反転処理する方が、撮像画像全体を反転処理するのに比べて、高速な処理が可能となる。
【0016】
(3)上記(2)の実施形態では、前記撮像手段は、ラインイメージセンサを備え、前記画像処理手段は、前記正方向または前記逆方向で撮像された1ライン分の撮像画像を、複数のフレーム画像に分割する画像入力部を備えるようにしてもよい。
【0017】
この実施形態によると、フレーム画像単位で画像処理を行なって欠陥を検査することができる。
【0018】
(4)上記(2)または(3)の実施形態では、前記画像処理手段は、前記マッチングによって得られた位置を基準として、予め登録された基準画像との比較、あるいは、前記撮像画像に隣接する撮像画像との比較によって、前記基板の欠陥を検査するようにしてもよい。
【0019】
この実施形態によると、マッチングによって得られた位置を基準として、検査対象領域の撮像画像と基準画像とを比較して欠陥の有無を判定し、あるいは、検査対象領域の撮像画像とそれに隣接する領域の撮像画像とを比較して欠陥の有無を判定することができる。
【0020】
(5)本発明の検査方法は、検査対象に対して、正方向および逆方向に撮像手段を相対移動させて、前記検査対象の異なる領域を撮像する撮像ステップと、前記正方向または前記逆方向のいずれの方向での撮像であるか判別する判別ステップと、前記撮像ステップで撮像される撮像画像およびテンプレート画像に基づき、前記判別ステップによる判別結果に応じた画像処理を行なう画像処理ステップとを備えている。
【0021】
本発明の検査方法によると、撮像ステップでは、正方向および逆方向の相対移動時に、撮像手段によって検査対象を撮像し、画像処理ステップでは、いずれの方向の撮像であるかに応じた画像処理を行って検査するので、一方向の移動時しか撮像を行わない従来の構成に比べて、検査対象の撮像に要する時間を短縮して検査時間を短くすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、正方向および逆方向の相対移動時に撮像手段によって検査対象を撮像し、いずれの方向の撮像であるかに応じた画像処理を行って検査するので、一方向の移動時しか撮像を行わない従来の構成に比べて、検査対象の撮像に要する時間を短縮して検査時間を短くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面によって本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0024】
この実施形態の検査置は、検査対象として、液晶基板を撮像して画像を取り込む画像取り込み装置と、取り込んだ画像を処理して検査を行なうとともに、各部の制御を行なう後述の制御装置とを備えている。
【0025】
図1は、画像取り込み装置1の斜視図である。この画像取り込み装置1は、基台2と、液晶基板3を設置するためのステージ4と、このステージ4を跨ぐように設置された門型の架台5と、この架台5に設置されて液晶基板3を撮像する撮像手段としてのラインセンサカメラ6とを備えており、架台5は、基台2上に設置された一対のガイド7,7を含む移動機構によって図1に示されるY軸に沿って移動可能であり、また、ラインセンサカメラ6は、移動機構8によって、図1に示されるX軸に沿って移動可能である。
【0026】
ラインセンサカメラ6は、照明光を出射する光源、対物レンズを含む光学系およびライン(リニア)イメージセンサ等を備えている。
【0027】
図2は、液晶基板3の平面図であり、配線パターンの一部を拡大して示している。液晶基板3は、複数、この例では4枚の液晶パネル9を備えており、各液晶パネル9は、多数の繰り返しの配線パターンが規則的に形成されている。この例では、格子状のパターンの内部に、格子の一辺に連なる円形の特徴なパターンを有しており、この特徴的なパターン部分が、後述のようにテンプレート画像とされる。なお、特徴的なパターン部分は、この例のような一辺に連なる円形のパターンに限らず、様々である。格子内において、唯一独立な形状が格子内の他の形状に比べて特徴的であれば、マッチングに用いるテンプレート画像として好適である。
【0028】
この実施形態の画像取り込み装置1は、図3に示されるように、Y軸の正方向(図の下方向)にラインセンサカメラ6を矢符A1で示すように移動させながら液晶パネル9を1ライン分撮像する。
【0029】
更に、この実施形態では、基板検査の高速化を図るために、1ライン分の撮像が終了した後は、矢符B1で示すようにラインセンサカメラ6を、ライン幅だけX軸方向に移動させた後、矢符A2で示すように、Y軸の逆(負)方向(図の上方向)にラインセンサカメラ6を移動させながら液晶パネル9の次の1ライン分撮像する。次に、矢符B2で示すようにラインセンサカメラ6を、ライン幅だけX軸方向に移動させた後、矢符A3で示すように、Y軸の正方向に沿ってラインセンサカメラ6を移動させながら液晶パネルの次の1ライン分撮像する。以下、同様にY軸の正方向および逆方向の両方向で液晶パネル9の撮像を繰り返して液晶パネル9の全面を撮像して欠陥を検査する。なお、この例では、全面を撮像して欠陥を検査しているが、前工程の検査において、特定された箇所を詳細に撮像して検査してもよい。
【0030】
このようにラインセンサカメラ6をY軸の正方向および逆方向に移動させながら液晶パネル9を撮像して、画像メモリに記憶させると、図3の配線パターンの一部拡大図およびその特徴なパターン部分を拡大して示す図4に示すように、Y軸の正方向に移動させて撮像した場合の画像(図4(a))と、Y軸の逆方向に移動させて撮像した場合の画像(図4(b))とでは、画像が反転し、配線パターンが上下逆向きとなる。
【0031】
このため、画像取り込み装置1で取り込んだ画像を処理して検査を行なう後述の制御装置では、正方向および逆方向に応じた画像処理を行うようにしている。
【0032】
図5は、この実施形態の撮像と画像処理との関係を模式的に示す図である。
【0033】
上述のように、ラインセンサカメラ6を、液晶パネル9に対して、Y軸の正方向および逆方向に移動させなから、液晶パネル9を1ライン分ずつ撮像する。ラインセンサカメラ6を、正方向に移動させて撮像することによって、撮像画像30が得られ、逆方向に移動させて撮像することによって、反転した撮像画像31が得られる。
【0034】
テンプレート画像19は、正方向の撮像画像30の特徴的な円形のパターン部分を有するものである。なお、テンプレート画像は、この例に限らず、例えば、格子内で唯一独立な形状を有する特徴的なパターン部分であるのが好ましい。
【0035】
この実施形態では、正方向の撮像であるか、あるいは、逆方向の撮像であるかを正逆方向判別部17で判別し、正方向である場合には、テンプレート画像19をそのまま用いて画像処理部18でテンプレートマッチング等の画像処理を行って欠陥を検査し、負方向である場合には、テンプレート画像19を反転させた反転テンプレート画像を用いて画像処理部18でテンプレートマッチング等の画像処理を行って欠陥を検査するものである。
【0036】
図6は、画像取り込み装置1で取り込んだ画像を処理して検査を行なうととともに、各部の制御を行なう制御装置のブロック図であり、正方向および逆方向に応じた画像処理を行うものである。
【0037】
この実施形態の制御装置10は、ラインセンサカメラ6からの画像信号が入力される画像入力ボード11と、テンプレートマッチングするためのテンプレート画像および制御プログラムなどが記憶されるとともに、撮像した画像が記憶される記憶部12と、キーボードやマウスなどの入力装置13と、上述の正方向または逆方向の撮像に応じて、画像入力ボード11からの撮像画像と記憶部12のテンプレート画像とのテンプレートマッチング、それに基づく演算などを行って欠陥検査を行うとともに、架台5やラインセンサカメラ6等の移動機構7,8を制御するための制御演算を行う演算部14と、演算部14の検査結果および演算結果に基づいて、表示装置15に対して検査結果などを出力するとともに、架台5やラインセンサカメラ6等の移動機構7,8へ制御出力を与える出力部16と、ラインセンサカメラ6の移動方向が、上述の正方向であるか逆方向であるかを判別する正逆方向判別部17とを備えており、画像入力ボード11、記憶部12および演算部14によって、画像処理部18が構成される。
【0038】
この制御装置10は、例えば、パーソナルコンピュータによって構成される。
【0039】
正逆方向判別部17は、ラインセンサカメラ6をY軸の正方向または逆方向に移動させる架台5の移動方向を判別するものであり、例えば、架台5の移動機構を構成するエンコーダからのパルス数を計数して、正方向の移動であるか、逆方向の移動であるかを判別する。
【0040】
この実施形態の液晶パネル9には、上述の図2の一部拡大図に示されるように、多数の繰り返しの配線パターンが規則的に形成されており、記憶部12には、かかる配線パターンの内、図7(a)に示される特徴的な円形のパターン部分が、テンプレート画像19として予め記憶される。上述のように、テンプレート画像は、この例に限らず、例えば、格子内で唯一独立な形状を有する特徴的なパターン部分であるのが好ましい。
【0041】
ラインセンサカメラ6をY軸の正方向または逆方向に移動させながら液晶パネル9を撮像し、撮像した画像を、画像入力ボード11を介して取り込んで記憶部12の画像メモリに記憶させると、上述のように、Y軸の正方向に移動させて撮像した場合と、Y軸の逆方向に移動させて撮像した場合とでは、画像が反転し、配線パターンが上下逆向きとなる。
【0042】
ラインセンサカメラ6で撮像された画像は、画像入力ボード11で一定の長さのフレーム画像に分割され、各フレーム画像に対して、図7(a)のテンプレート画像19とテンプレートマッチングを行うのであるが、正方向と逆方向とで画像が反転するために、演算部14では、正逆方向判別部17の出力に基づいて、テンプレート画像19をそのまま、あるいは、図7(b)に示すように反転処理したテンプレート画像20として、マッチングを行うようにしている。
【0043】
すなわち、ラインセンサカメラ6を正方向に移動させて撮像した撮像画像では、図7(a)のテンプレート画像19をそのままマッチングさせ、負方向に移動させて撮像した撮像画像では、テンプレート画像を反転処理した図7(b)のテンプレート画像20でマッチングを行う。
【0044】
このテンプレートマッチングは、例えば、次のようにして行われる。
【0045】
すなわち、ラインセンサカメラ6を、正方向に移動させて撮像した場合には、図8に示されるように、撮像画像内からテンプレート画像19と同じサイズの画像21を切り出し、テンプレート画像19と比較する。この処理を、切り出した画像21が、テンプレート画像19と一致するまで、切り出し位置を順次ずらしながら繰り返し行う。そして、テンプレート画像19と一致したときの位置を、基準座標位置として取得するものである。なお、ラインセンサカメラ6を、逆方向に移動させて撮像した場合には、反転処理したテンプレート画像20を用いて同じ処理を行なう。
【0046】
この例では、ラインセンサカメラ6を逆方向に移動させて撮像した画像の画像処理毎に、テンプレート画像19を反転させたけれども、本発明の他の実施形態として、例えば、システムの起動時に、テンプレート画像19を反転させた反転テンプレート画像20を生成して記憶し、正方向または逆方に応じて、テンプレート画像19または反転テンプレート画像20を用いてテンプレートマッチングを行ってもよい。
【0047】
なお、テンプレート画像を反転するのではなく、逆方向の撮像画像を反転してもよいが、検査対象である液晶パネル9のサイズが大きくなると、反転処理に要する時間が長くなり、好ましくない。また、撮像された画像は、上述のように、画像入力ボード11によって画像処理の単位となるフレーム画像に分割されるので、それぞれのフレーム画像で反転処理を行なうと、フレーム間の境界が複雑となり、単純に反転処理するだけでは、反転した画像が得られない場合があり、好ましくない。
【0048】
上述のテンプレートマッチングによって、基準座標位置を取得した後、例えば、パターン比較法あるいはDie to Die比較法によって、欠陥を検査する。
【0049】
パターン比較法では、予め欠陥のない基準画像を、データベース26に登録しておく。この基準画像は、例えば、図9に示すように、テンプレートマッチングによって得られた位置決め領域22と位置決め領域始点23とを用いて、検査対象領域24を切り出した画像であって、欠陥のない画像である。この基準画像を、予め、データベース26に登録しておく。なお、このデータベース26は、上述の制御装置10に接続され、制御装置10からアクセス可能となっている。
【0050】
検査時も同様に、テンプレートマッングによって得られた位置決め領域22と位置決め領域始点23を用いて、検査対象の撮像画像内の検査対象領域24を切り出し、検査画像25を生成する。生成された検査画像25とデータベース26の基準画像とを照合することで、検査結果を出力する。
【0051】
このパターン比較法では、テンプレートマッチングの場合と同様に、正方向の撮像画像であるか逆方向の撮像画像であるかに応じて、データベース26の基準画像を、反転処理し、あるいは、反転処理することなく照合する。
【0052】
また、Die to Die比較法では、比較する対象を予めデータベースに登録するのではなく、基板のパターンの周期性を利用し、例えば、図10に示すように、検査対象の撮像画像内の検査対象領域の画像27と、それに隣接する同サイズの画像28とを比較することで検査結果を出力する。この隣接する画像との比較は、左右のみならず、上下についても行われる。
【0053】
液晶パネルの検査では、正常な検査対象領域が大部分であり、このDie to Die比較法は有効である。
【0054】
以上のように、正方向および逆方向の両方向について、液晶パネルの撮像を行って欠陥の検査を行うので、上述の図12の従来例のように、一方向で液晶パネルを撮像し、逆方向へは撮像することなく移動しか行わない構成に比べて、液晶パネルの撮像に要する時間を短縮し、これによって、検査に要する時間を短縮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、液晶基板などの欠陥検査に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態に係る検査装置を構成する画像取り込み装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1の液晶基板の平面図である。
【図3】液晶パネルに対するラインセンサカメラの撮像方向を示す図である。
【図4】正逆方向の撮像画像を示す図である。
【図5】撮像方向と画像処理との関係を模式的に示す図である。
【図6】検査装置を構成する制御装置のブロック図である。
【図7】テンプレート画像を示す図である。
【図8】テンプレートマッング処理を示す図である。
【図9】パターン比較法を示す図である。
【図10】Die to Die比較法を示す図である。
【図11】液晶パネルの撮像処理を説明するための図である。
【図12】従来例の液晶パネルの撮像方向を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 画像取り込み装置
3 液晶基板
6 ラインセンサカメラ
4 制御装置
9 液晶パネル
10 制御装置
12 記憶部
17 正逆方向判別部
18 画像処理部
19,20 テンプレート画像
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象を撮像して検査を行う検査装置および検査方法に関し、更に詳しくは、液晶パネルやプラズマディスプレイパネル等の基板を撮像して、パーティクルや配線のショート・オープンなどの欠陥を検査するのに好適な検査装置および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭用TV等の大型化に伴って、液晶パネルやプラズマディスプレイパネルといったフラットディスプレイパネル基板も大型化、複雑化が進み、パーティクルや配線のショート・オープンなどの欠陥が生じる割合も増加している。このため、フラットディスプレイパネル基板の生産工程において、上記欠陥を検査し、欠陥箇所を特定して修復等を行うことが求められている。
【0003】
従来から、液晶基板等の欠陥を検査する技術が多数提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開平7−27713号公報
【特許文献2】特開2007−206641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶基板の検査装置では、例えば、図11に示すように、矩形の液晶パネル40を、ラインセンサカメラ41によって、液晶パネル40の一端40aから他端40bに向かって、一方向(図の下方)に撮像し、撮像された1ライン分の画像43を、画像入力ボード42で取り込んで一定の長さのフレーム画像44とし、各フレーム画像44に対して、例えば、予め準備したテンプレート画像とテンプレートマッチングを行ってマッチングした座標位置を基準として、例えば、パターン比較によって欠陥の有無を判定するといった処理が行なわれる。
【0005】
かかる従来例では、図12に示すように、矢符A1で示される1ライン分の撮像が終了すると、矢符B1で示されるように逆方向にラインセンサ41を、元の位置である液晶パネル40の一端40a側までライン幅方向にずらしながら移動させ、矢符A2で示されるように、次の1ライン分の撮像を行い、同様の動作を繰り返すことによって、液晶パネル40の全面の欠陥を検査するようにしている。なお、全面の欠陥を検査するのではなく、前工程の検査において、特定された箇所を詳細に検査して修復位置を特定する場合もある。
【0006】
近年、液晶パネルのサイズは、益々、大型化しており、1ライン分の撮像の度に、元の位置までラインセンサカメラ41を移動させる従来例では、移動回数および移動距離が増大し、移動に多くの時間を費やすことになり、高速な基板検査の妨げとなっている。
【0007】
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、検査対象を撮像して検査を行う場合の検査時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の検査装置は、検査対象に対して、正方向および逆方向に相対移動して、前記検査対象の異なる領域を撮像する撮像手段と、前記正方向または前記逆方向のいずれの方向での撮像であるかを判別する判別手段と、予めテンプレート画像が記憶される記憶手段と、前記撮像手段で撮像される撮像画像および前記テンプレート画像に基づき、前記いずれの方向での撮像であるかに応じた画像処理を行なって前記検査対象を検査する画像処理手段とを備えている。
【0009】
検査対象とは、欠陥などを検査する対象をいい、例えば、基板や部品などをいう。
【0010】
前記正方向および逆方向の相対移動は、撮像手段を移動させてもよいし、検査対象を移動させてもよく、あるいは、両者を移動させてもよい。
【0011】
正方向とは、検査対象に対して一方向、例えば、検査対象である矩形の基板の対向する両辺の一方の辺から他方の辺に向かう方向をいい、逆方向とは、前記一方向とは逆の方向、例えば、前記他方の辺から前記一方の辺へ向かう方向をいう。この正方向と逆方向とは、互いに平行であるのが好ましい。
【0012】
検査対象は、周期的な繰り返しのパターンを有するのが好ましい。
【0013】
本発明の検査装置によると、正方向および逆方向の相対移動時に撮像手段によって検査対象を撮像し、いずれの方向の撮像であるかに応じた画像処理を行って検査するので、一方向の移動時しか撮像を行わない従来の構成に比べて、検査対象の撮像に要する時間を短縮して検査時間を短くすることができる。
【0014】
(2)本発明の検査装置の一つの実施形態では、前記画像処理手段は、前記いずれの方向での撮像であるかに応じて、前記テンプレート画像を反転処理して、あるいは、反転処理することなく、前記撮像画像とマッチングさせる。
【0015】
正方向の相対移動時に撮像した画像を画像メモリに記憶させた撮像画像と、逆方向の相対移動時に撮像した画像を画像メモリに記憶させた撮像画像とでは、画像が反転することになるが、この実施形態によると、いずれの方向での撮像であるかに応じて、テンプレート画像を反転処理し、あるいは、反転処理することなく、撮像画像とマッチングさせるので、一方向に対応するテンプレート画像のみを記憶しておけばよい。また、テンプレート画像を反転処理する方が、撮像画像全体を反転処理するのに比べて、高速な処理が可能となる。
【0016】
(3)上記(2)の実施形態では、前記撮像手段は、ラインイメージセンサを備え、前記画像処理手段は、前記正方向または前記逆方向で撮像された1ライン分の撮像画像を、複数のフレーム画像に分割する画像入力部を備えるようにしてもよい。
【0017】
この実施形態によると、フレーム画像単位で画像処理を行なって欠陥を検査することができる。
【0018】
(4)上記(2)または(3)の実施形態では、前記画像処理手段は、前記マッチングによって得られた位置を基準として、予め登録された基準画像との比較、あるいは、前記撮像画像に隣接する撮像画像との比較によって、前記基板の欠陥を検査するようにしてもよい。
【0019】
この実施形態によると、マッチングによって得られた位置を基準として、検査対象領域の撮像画像と基準画像とを比較して欠陥の有無を判定し、あるいは、検査対象領域の撮像画像とそれに隣接する領域の撮像画像とを比較して欠陥の有無を判定することができる。
【0020】
(5)本発明の検査方法は、検査対象に対して、正方向および逆方向に撮像手段を相対移動させて、前記検査対象の異なる領域を撮像する撮像ステップと、前記正方向または前記逆方向のいずれの方向での撮像であるか判別する判別ステップと、前記撮像ステップで撮像される撮像画像およびテンプレート画像に基づき、前記判別ステップによる判別結果に応じた画像処理を行なう画像処理ステップとを備えている。
【0021】
本発明の検査方法によると、撮像ステップでは、正方向および逆方向の相対移動時に、撮像手段によって検査対象を撮像し、画像処理ステップでは、いずれの方向の撮像であるかに応じた画像処理を行って検査するので、一方向の移動時しか撮像を行わない従来の構成に比べて、検査対象の撮像に要する時間を短縮して検査時間を短くすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、正方向および逆方向の相対移動時に撮像手段によって検査対象を撮像し、いずれの方向の撮像であるかに応じた画像処理を行って検査するので、一方向の移動時しか撮像を行わない従来の構成に比べて、検査対象の撮像に要する時間を短縮して検査時間を短くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面によって本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0024】
この実施形態の検査置は、検査対象として、液晶基板を撮像して画像を取り込む画像取り込み装置と、取り込んだ画像を処理して検査を行なうとともに、各部の制御を行なう後述の制御装置とを備えている。
【0025】
図1は、画像取り込み装置1の斜視図である。この画像取り込み装置1は、基台2と、液晶基板3を設置するためのステージ4と、このステージ4を跨ぐように設置された門型の架台5と、この架台5に設置されて液晶基板3を撮像する撮像手段としてのラインセンサカメラ6とを備えており、架台5は、基台2上に設置された一対のガイド7,7を含む移動機構によって図1に示されるY軸に沿って移動可能であり、また、ラインセンサカメラ6は、移動機構8によって、図1に示されるX軸に沿って移動可能である。
【0026】
ラインセンサカメラ6は、照明光を出射する光源、対物レンズを含む光学系およびライン(リニア)イメージセンサ等を備えている。
【0027】
図2は、液晶基板3の平面図であり、配線パターンの一部を拡大して示している。液晶基板3は、複数、この例では4枚の液晶パネル9を備えており、各液晶パネル9は、多数の繰り返しの配線パターンが規則的に形成されている。この例では、格子状のパターンの内部に、格子の一辺に連なる円形の特徴なパターンを有しており、この特徴的なパターン部分が、後述のようにテンプレート画像とされる。なお、特徴的なパターン部分は、この例のような一辺に連なる円形のパターンに限らず、様々である。格子内において、唯一独立な形状が格子内の他の形状に比べて特徴的であれば、マッチングに用いるテンプレート画像として好適である。
【0028】
この実施形態の画像取り込み装置1は、図3に示されるように、Y軸の正方向(図の下方向)にラインセンサカメラ6を矢符A1で示すように移動させながら液晶パネル9を1ライン分撮像する。
【0029】
更に、この実施形態では、基板検査の高速化を図るために、1ライン分の撮像が終了した後は、矢符B1で示すようにラインセンサカメラ6を、ライン幅だけX軸方向に移動させた後、矢符A2で示すように、Y軸の逆(負)方向(図の上方向)にラインセンサカメラ6を移動させながら液晶パネル9の次の1ライン分撮像する。次に、矢符B2で示すようにラインセンサカメラ6を、ライン幅だけX軸方向に移動させた後、矢符A3で示すように、Y軸の正方向に沿ってラインセンサカメラ6を移動させながら液晶パネルの次の1ライン分撮像する。以下、同様にY軸の正方向および逆方向の両方向で液晶パネル9の撮像を繰り返して液晶パネル9の全面を撮像して欠陥を検査する。なお、この例では、全面を撮像して欠陥を検査しているが、前工程の検査において、特定された箇所を詳細に撮像して検査してもよい。
【0030】
このようにラインセンサカメラ6をY軸の正方向および逆方向に移動させながら液晶パネル9を撮像して、画像メモリに記憶させると、図3の配線パターンの一部拡大図およびその特徴なパターン部分を拡大して示す図4に示すように、Y軸の正方向に移動させて撮像した場合の画像(図4(a))と、Y軸の逆方向に移動させて撮像した場合の画像(図4(b))とでは、画像が反転し、配線パターンが上下逆向きとなる。
【0031】
このため、画像取り込み装置1で取り込んだ画像を処理して検査を行なう後述の制御装置では、正方向および逆方向に応じた画像処理を行うようにしている。
【0032】
図5は、この実施形態の撮像と画像処理との関係を模式的に示す図である。
【0033】
上述のように、ラインセンサカメラ6を、液晶パネル9に対して、Y軸の正方向および逆方向に移動させなから、液晶パネル9を1ライン分ずつ撮像する。ラインセンサカメラ6を、正方向に移動させて撮像することによって、撮像画像30が得られ、逆方向に移動させて撮像することによって、反転した撮像画像31が得られる。
【0034】
テンプレート画像19は、正方向の撮像画像30の特徴的な円形のパターン部分を有するものである。なお、テンプレート画像は、この例に限らず、例えば、格子内で唯一独立な形状を有する特徴的なパターン部分であるのが好ましい。
【0035】
この実施形態では、正方向の撮像であるか、あるいは、逆方向の撮像であるかを正逆方向判別部17で判別し、正方向である場合には、テンプレート画像19をそのまま用いて画像処理部18でテンプレートマッチング等の画像処理を行って欠陥を検査し、負方向である場合には、テンプレート画像19を反転させた反転テンプレート画像を用いて画像処理部18でテンプレートマッチング等の画像処理を行って欠陥を検査するものである。
【0036】
図6は、画像取り込み装置1で取り込んだ画像を処理して検査を行なうととともに、各部の制御を行なう制御装置のブロック図であり、正方向および逆方向に応じた画像処理を行うものである。
【0037】
この実施形態の制御装置10は、ラインセンサカメラ6からの画像信号が入力される画像入力ボード11と、テンプレートマッチングするためのテンプレート画像および制御プログラムなどが記憶されるとともに、撮像した画像が記憶される記憶部12と、キーボードやマウスなどの入力装置13と、上述の正方向または逆方向の撮像に応じて、画像入力ボード11からの撮像画像と記憶部12のテンプレート画像とのテンプレートマッチング、それに基づく演算などを行って欠陥検査を行うとともに、架台5やラインセンサカメラ6等の移動機構7,8を制御するための制御演算を行う演算部14と、演算部14の検査結果および演算結果に基づいて、表示装置15に対して検査結果などを出力するとともに、架台5やラインセンサカメラ6等の移動機構7,8へ制御出力を与える出力部16と、ラインセンサカメラ6の移動方向が、上述の正方向であるか逆方向であるかを判別する正逆方向判別部17とを備えており、画像入力ボード11、記憶部12および演算部14によって、画像処理部18が構成される。
【0038】
この制御装置10は、例えば、パーソナルコンピュータによって構成される。
【0039】
正逆方向判別部17は、ラインセンサカメラ6をY軸の正方向または逆方向に移動させる架台5の移動方向を判別するものであり、例えば、架台5の移動機構を構成するエンコーダからのパルス数を計数して、正方向の移動であるか、逆方向の移動であるかを判別する。
【0040】
この実施形態の液晶パネル9には、上述の図2の一部拡大図に示されるように、多数の繰り返しの配線パターンが規則的に形成されており、記憶部12には、かかる配線パターンの内、図7(a)に示される特徴的な円形のパターン部分が、テンプレート画像19として予め記憶される。上述のように、テンプレート画像は、この例に限らず、例えば、格子内で唯一独立な形状を有する特徴的なパターン部分であるのが好ましい。
【0041】
ラインセンサカメラ6をY軸の正方向または逆方向に移動させながら液晶パネル9を撮像し、撮像した画像を、画像入力ボード11を介して取り込んで記憶部12の画像メモリに記憶させると、上述のように、Y軸の正方向に移動させて撮像した場合と、Y軸の逆方向に移動させて撮像した場合とでは、画像が反転し、配線パターンが上下逆向きとなる。
【0042】
ラインセンサカメラ6で撮像された画像は、画像入力ボード11で一定の長さのフレーム画像に分割され、各フレーム画像に対して、図7(a)のテンプレート画像19とテンプレートマッチングを行うのであるが、正方向と逆方向とで画像が反転するために、演算部14では、正逆方向判別部17の出力に基づいて、テンプレート画像19をそのまま、あるいは、図7(b)に示すように反転処理したテンプレート画像20として、マッチングを行うようにしている。
【0043】
すなわち、ラインセンサカメラ6を正方向に移動させて撮像した撮像画像では、図7(a)のテンプレート画像19をそのままマッチングさせ、負方向に移動させて撮像した撮像画像では、テンプレート画像を反転処理した図7(b)のテンプレート画像20でマッチングを行う。
【0044】
このテンプレートマッチングは、例えば、次のようにして行われる。
【0045】
すなわち、ラインセンサカメラ6を、正方向に移動させて撮像した場合には、図8に示されるように、撮像画像内からテンプレート画像19と同じサイズの画像21を切り出し、テンプレート画像19と比較する。この処理を、切り出した画像21が、テンプレート画像19と一致するまで、切り出し位置を順次ずらしながら繰り返し行う。そして、テンプレート画像19と一致したときの位置を、基準座標位置として取得するものである。なお、ラインセンサカメラ6を、逆方向に移動させて撮像した場合には、反転処理したテンプレート画像20を用いて同じ処理を行なう。
【0046】
この例では、ラインセンサカメラ6を逆方向に移動させて撮像した画像の画像処理毎に、テンプレート画像19を反転させたけれども、本発明の他の実施形態として、例えば、システムの起動時に、テンプレート画像19を反転させた反転テンプレート画像20を生成して記憶し、正方向または逆方に応じて、テンプレート画像19または反転テンプレート画像20を用いてテンプレートマッチングを行ってもよい。
【0047】
なお、テンプレート画像を反転するのではなく、逆方向の撮像画像を反転してもよいが、検査対象である液晶パネル9のサイズが大きくなると、反転処理に要する時間が長くなり、好ましくない。また、撮像された画像は、上述のように、画像入力ボード11によって画像処理の単位となるフレーム画像に分割されるので、それぞれのフレーム画像で反転処理を行なうと、フレーム間の境界が複雑となり、単純に反転処理するだけでは、反転した画像が得られない場合があり、好ましくない。
【0048】
上述のテンプレートマッチングによって、基準座標位置を取得した後、例えば、パターン比較法あるいはDie to Die比較法によって、欠陥を検査する。
【0049】
パターン比較法では、予め欠陥のない基準画像を、データベース26に登録しておく。この基準画像は、例えば、図9に示すように、テンプレートマッチングによって得られた位置決め領域22と位置決め領域始点23とを用いて、検査対象領域24を切り出した画像であって、欠陥のない画像である。この基準画像を、予め、データベース26に登録しておく。なお、このデータベース26は、上述の制御装置10に接続され、制御装置10からアクセス可能となっている。
【0050】
検査時も同様に、テンプレートマッングによって得られた位置決め領域22と位置決め領域始点23を用いて、検査対象の撮像画像内の検査対象領域24を切り出し、検査画像25を生成する。生成された検査画像25とデータベース26の基準画像とを照合することで、検査結果を出力する。
【0051】
このパターン比較法では、テンプレートマッチングの場合と同様に、正方向の撮像画像であるか逆方向の撮像画像であるかに応じて、データベース26の基準画像を、反転処理し、あるいは、反転処理することなく照合する。
【0052】
また、Die to Die比較法では、比較する対象を予めデータベースに登録するのではなく、基板のパターンの周期性を利用し、例えば、図10に示すように、検査対象の撮像画像内の検査対象領域の画像27と、それに隣接する同サイズの画像28とを比較することで検査結果を出力する。この隣接する画像との比較は、左右のみならず、上下についても行われる。
【0053】
液晶パネルの検査では、正常な検査対象領域が大部分であり、このDie to Die比較法は有効である。
【0054】
以上のように、正方向および逆方向の両方向について、液晶パネルの撮像を行って欠陥の検査を行うので、上述の図12の従来例のように、一方向で液晶パネルを撮像し、逆方向へは撮像することなく移動しか行わない構成に比べて、液晶パネルの撮像に要する時間を短縮し、これによって、検査に要する時間を短縮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、液晶基板などの欠陥検査に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態に係る検査装置を構成する画像取り込み装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1の液晶基板の平面図である。
【図3】液晶パネルに対するラインセンサカメラの撮像方向を示す図である。
【図4】正逆方向の撮像画像を示す図である。
【図5】撮像方向と画像処理との関係を模式的に示す図である。
【図6】検査装置を構成する制御装置のブロック図である。
【図7】テンプレート画像を示す図である。
【図8】テンプレートマッング処理を示す図である。
【図9】パターン比較法を示す図である。
【図10】Die to Die比較法を示す図である。
【図11】液晶パネルの撮像処理を説明するための図である。
【図12】従来例の液晶パネルの撮像方向を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 画像取り込み装置
3 液晶基板
6 ラインセンサカメラ
4 制御装置
9 液晶パネル
10 制御装置
12 記憶部
17 正逆方向判別部
18 画像処理部
19,20 テンプレート画像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象に対して、正方向および逆方向に相対移動して、前記検査対象の異なる領域を撮像する撮像手段と、
前記正方向または前記逆方向のいずれの方向での撮像であるかを判別する判別手段と、
予めテンプレート画像が記憶される記憶手段と、
前記撮像手段で撮像される撮像画像および前記テンプレート画像に基づき、前記いずれの方向での撮像であるかに応じた画像処理を行なって前記検査対象を検査する画像処理手段と、
を備えることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記画像処理手段は、前記いずれの方向での撮像であるかに応じて、前記テンプレート画像を反転処理して、あるいは、反転処理することなく、前記撮像画像とマッチングさせる請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、ラインイメージセンサを備え、
前記画像処理手段は、前記正方向または前記逆方向で撮像された1ライン分の撮像画像を、複数のフレーム画像に分割する画像入力部を備える請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記画像処理手段は、前記マッチングによって得られた位置を基準として、予め登録された基準画像との比較、あるいは、前記撮像画像に隣接する撮像画像との比較によって、前記基板の欠陥を検査する請求項2または3に記載の検査装置。
【請求項5】
検査対象に対して、正方向および逆方向に撮像手段を相対移動させて、前記検査対象の異なる領域を撮像する撮像ステップと、
前記正方向または前記逆方向のいずれの方向での撮像であるか判別する判別ステップと、
前記撮像ステップで撮像される撮像画像およびテンプレート画像に基づき、前記判別ステップによる判別結果に応じた画像処理を行なう画像処理ステップと、
を備えることを特徴とする検査方法。
【請求項1】
検査対象に対して、正方向および逆方向に相対移動して、前記検査対象の異なる領域を撮像する撮像手段と、
前記正方向または前記逆方向のいずれの方向での撮像であるかを判別する判別手段と、
予めテンプレート画像が記憶される記憶手段と、
前記撮像手段で撮像される撮像画像および前記テンプレート画像に基づき、前記いずれの方向での撮像であるかに応じた画像処理を行なって前記検査対象を検査する画像処理手段と、
を備えることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記画像処理手段は、前記いずれの方向での撮像であるかに応じて、前記テンプレート画像を反転処理して、あるいは、反転処理することなく、前記撮像画像とマッチングさせる請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、ラインイメージセンサを備え、
前記画像処理手段は、前記正方向または前記逆方向で撮像された1ライン分の撮像画像を、複数のフレーム画像に分割する画像入力部を備える請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記画像処理手段は、前記マッチングによって得られた位置を基準として、予め登録された基準画像との比較、あるいは、前記撮像画像に隣接する撮像画像との比較によって、前記基板の欠陥を検査する請求項2または3に記載の検査装置。
【請求項5】
検査対象に対して、正方向および逆方向に撮像手段を相対移動させて、前記検査対象の異なる領域を撮像する撮像ステップと、
前記正方向または前記逆方向のいずれの方向での撮像であるか判別する判別ステップと、
前記撮像ステップで撮像される撮像画像およびテンプレート画像に基づき、前記判別ステップによる判別結果に応じた画像処理を行なう画像処理ステップと、
を備えることを特徴とする検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−107290(P2010−107290A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278184(P2008−278184)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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