説明

歩行型田植機

【課題】ガイド軸と移送体との相対回転および相対移動によって苗載せ台を横移送するものでありながら、大きさや重量バランスの面で有利となる歩行型田植機を提供する。
【解決手段】一つの走行車輪1と、走行車輪1よりも車体後方側に設けた操縦ハンドル3と、走行車輪1よりも車体後方側に車体横方向に移動自在に設けた苗載せ台80と、車体横方向に並んだ二つの苗植付け機構6とを有した苗植付け部8を備えている。車体横向きのガイド軸102と、ガイド軸102に相対回転及び相対摺動自在に係合した移送体101とが相対回転するよう駆動されることにより、苗載せ台80に横移送力を付与して、苗載せ台80を苗植付け機構6の苗植え運動に連動させて車体横方向に往復移送する苗横送り機構100を、苗載せ台80よりも車体前方側に、走行車輪1の車軸芯Xを通る鉛直線Aよりも車体後方側で、かつ走行車輪1の外周よりも外側に配置して設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つの走行車輪と、前記走行車輪よりも車体後方側に設けた操縦ハンドルとを有した自走車を備え、前記走行車輪よりも車体後方側に上端側ほど車体後方側に位置する傾斜姿勢で車体横方向に移動自在に設けた苗載せ台と、車体横方向に並んだ二つの苗植付け機構とを有した苗植付け部を備えた歩行型田植機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した歩行型田植機として、従来、たとえば特許文献1に記載されたものがあった。
特許文献1に記載された歩行型田植機では、エンジンが上面に取付く伝動ケースと該伝動ケースの左右端部から後方に延びる左右一対の中空状サイドフレームにて構成された車体フレームと、前記伝動ケースに一体形に設けた走行ミッションケースにスイングケースを介して支持された走行車輪と、前記両サイドフレームの後端に固着した苗植付ケースから後方に延びる操縦ハンドルとを備え、前記両植付ケースに設けた苗植機構と、両操縦ハンドル間に装架したガイドレールとレール機構とによって左右の横方向に移動自在に支持した苗載台とを備えている。
【0003】
特許文献1に記載された歩行型田植機では、苗載台の裏面側に横送り機構を配設し、この横送り機構によって苗載台を左右横送りする。
すなわち、横送り機構は、苗載台の移動方向と平行に配設した横送り軸と、この横送り軸に摺動自在に被嵌した摺動ボス体とを備えている。
横送り軸の両端は、操縦ハンドルの上面に取付く軸受けにて軸支されている。摺動ボス体には、横送り軸が有する往復ねじ溝に係合する舟形キーを設けてある。摺動ボス体に一体形に造形した係合片を、苗載台の裏面に取付く筒型受金に連結しており、横送り軸の回転で苗載台を左右に往復して横送りする。
【0004】
【特許文献1】特開平5−292815号公報(段落〔0005〕−〔0008〕、図1−3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した歩行型田植機において、車体横向きのガイド軸と、このガイド軸に相対回転及び相対摺動自在に係合した移送体との相対回転によって苗載せ台を苗植付け機構の苗植え運動に連動させて車体横方向に往復移送させるように構成するのに、特許文献1に記載された従来の技術を採用すると、田植機全体の大きさあるいは重量バランスの面で不利になりがちであった。
つまり、上記した従来の技術を採用すると、苗横送り機構が苗載せ台よりも車体後方側に位置し、走行車輪の車軸芯から苗横送り機構の設置箇所までの距離が大になる。これにより、田植機の車軸芯から車体後方側に遠く離れた部位での重量が大となって田植機全体としての前後重量のバランスが悪くなりがちであった。また、前後重量のバランスをよくするには、車体前方側に設ける装置の設置箇所の車軸芯からの距離を大にする必要があり、田植機全体の前後長さが長くなりがちであった。
【0006】
本発明の目的は、ガイド軸と移送体との相対回転および相対移動によって苗載せ台を横移送するものでありながら、大きさや重量バランスの面で有利となる歩行型田植機を得られるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本第1発明は、一つの走行車輪と、前記走行車輪よりも車体後方側に設けた操縦ハンドルとを有した自走車を備え、前記走行車輪よりも車体後方側に上端側ほど車体後方側に位置する傾斜姿勢で車体横方向に移動自在に設けた苗載せ台と、車体横方向に並んだ二つの苗植付け機構とを有した苗植付け部を備えた歩行型田植機において、
車体横向きのガイド軸と、前記ガイド軸に相対回転及び相対摺動自在に係合した移送体とが相対回転するよう駆動されることにより、前記苗載せ台に横移送力を付与して、前記苗載せ台を前記苗植付け機構の苗植え運動に連動させて車体横方向に往復移送する苗横送り機構を、前記苗載せ台よりも車体前方側に、前記走行車輪の車軸芯を通る鉛直線よりも車体後方側で、かつ前記走行車輪の外周よりも外側に配置して設けてあることにある。
【0008】
本第1発明の構成によると、苗横送り機構が苗載せ台よりも車体前方側に位置し、走行車輪の車軸芯から苗横送り機構の設置箇所までの距離が、従来技術を採用した場合のその距離よりも小になる。これにより、車体前方側に設ける装置の設置箇所の車軸芯からの距離を、従来技術を採用した場合のその距離よりも小にしても、田植機全体の前後重量がバランスしやすい。
【0009】
従って、田植機全体の前後重量のバランスが良いとともに前後長さが極力短くて操縦が容易となる高品質の歩行型田植機を得ることができる。
【0010】
本第2発明では、前記走行車輪が揺動昇降自在に支持され、前記走行車輪の最上昇状態で、前記ガイド軸が前記走行車輪の最後端部位よりも車体前方側に位置する。
【0011】
本第2発明の構成によると、車軸芯から苗横送り機構の設置箇所までの距離がより小となり、車体前方側に設ける装置の設置箇所の車軸芯からの距離をより小にしても、田植機全体の前後重量がバランスしやすい。
【0012】
従って、田植機全体の前後重量のバランスが良いとともに前後長さがより短くて操縦が一層容易となる高品質の歩行型田植機を得ることができる。
【0013】
本第3発明では、前記苗横送り機構に動力伝達する伝動ケースを、車体側面視で前記走行車輪と重合する配置で備えている。
【0014】
本第3発明の構成によると、車軸芯から伝動ケースの設置箇所までの距離が小となり、苗横送り機構の伝動系の重量に起因した前後重量のバランスの悪化や機体前後長さの増大を発生しにくくしながら苗横送り機構に動力伝達することができる。
【0015】
従って、苗横送り機構の伝動系に起因した重量バランスおよび機体前後長さの悪化が発生しにくくて容易に操縦することができる歩行型田植機を得ることができる。
【0016】
本第4発明では、前記ガイド軸と前記移送体とのうちの前記苗載せ台に横移送力を出力する部材と、前記苗載せ台とを一体移動自在に連結する連結手段に、前記苗載せ台の前記出力をする部材に対する苗載せ台横方向での連結位置を調節する調節部を備えてある。
【0017】
苗横送り機構の横移送力を出力する部材に対する苗載せ台の苗載せ台横方向での連結位置に位置ずれが発生すると、苗横送り機構によって横移送される苗載せ台の苗植付け機構に対する横移動範囲が不適切になる。すると、苗載せ台が横移動のストロークエンドに到達しても、実際には、苗植付け機構による苗取り出しが苗載せ台の苗の横方向での一端まで至らず、苗の横一端側に取り残しが発生することがある。また、苗載せ台が横移動のストロークエンドに到達した際、苗植付け機構が苗載せ台の苗からその横外側に外れた箇所に取り出し作用し、実際には、取り出し苗が小さくなる取り出しミスとなることがある。
これに対し、本第4発明の構成によると、苗横送り機構の横移送力を出力する部材に対する苗載せ台の苗載せ台横方向での連結位置を調節部によって調節し、苗載せ台の苗植付け機構に対する横移動範囲を適切な横移動範囲になるよう調節することができる。すなわち、苗載せ台が横移動のストロークエンドに到達した際、苗植付け機構が苗載せ台の苗に対して適切に位置し、苗植付け機構による苗取り出しが前記した取り残しや取り出しミスが発生しない状態で行われるよう調節することができる。
【0018】
従って、苗横送り機構の横移送力を出力する部材に対する苗載せ台の連結位置が適切になる状態にして出力部材と苗載せ台とを連結し、前記した苗の取り残しや取り出しミスがない精度のよい苗取り出しが行われる歩行型田植機を得ることができる。
【0019】
本第5発明では、前記苗載せ台を前記苗植付け機構に対して苗載せ台縦方向に移動調節する苗取り量調節手段を備え、前記ガイド軸と前記移送体とのうちの前記苗載せ台に横移送力を出力する部材と、前記苗載せ台とを一体移動自在に連結する連結手段に、前記苗載せ台の前記出力をする部材に対する苗載せ台縦方向での相対移動を許容する融通を備えてある。
【0020】
苗取り量調節手段による苗取り量調節を行った際の苗載せ台の苗載せ台縦方向での移動を許容させるのに、苗横送り機構のガイド軸と移送体との一方が苗載せ台との連結のために他方に対して回転するように構成してもできる。この場合、ガイド軸と移送体とが相対回転すれば、ガイド軸と移送体とが相対摺動することに起因し、ガイド軸と移送体との相対摺動による苗載せ台の若干の横移動が発生する。
これに対し、本第5発明の構成によると、苗取り量調節手段による苗取り量調節を行った際、前記融通の作用により、苗横送り機構の横移送力を出力する部材に対して苗載せ台が苗載せ台縦方向に移動する。これにより、苗取り量調節手段による苗取り量調節を行うのに、苗載せ台の横移動を伴わないで行うことができる。
【0021】
従って、苗取り量調節手段による苗取り量調節を行うに当たり、苗の苗載せ台横方向での取り量が変化せず、苗の苗載せ台縦方向での取り量だけが変化した精度のよい取り量調節を行うことができる。
【0022】
本第6発明では、前記ガイド軸と前記移送体とのうちの前記苗載せ台に横移送力を出力する部材と、前記苗載せ台とを一体移動自在に連結する連結手段に、前記ガイド軸の直径よりも大の車体上下方向での大きさを備えた連結板体を設け、前記連結板体に、この連結板体の車体横方向での両端側が前記苗載せ台の横端部に連結され、かつ、前記連結板体が車体側面視で前記走行車輪の外周に沿った組み付け姿勢を備えてある。
【0023】
本第6発明の構成によると、苗横送り機構による横移送力が連結板体によって苗載せ台の両端側に分散させて伝達されるとともに、苗載せ台が連結板体によって変形しにくいように補強され、苗載せ台をスムーズに横移動させることができる。
また、本第6発明の構成によると、走行車輪による泥土の跳ね上げが発生した場合、泥土が連結板体によって受け止められて苗載せ台まで飛散しにくくなる。
【0024】
従って、苗横送りをスムーズに行わせて植付け苗の大きさが極力揃った仕上がりのよい苗植え付けを行うことができる。連結板体を飛散防止手段に利用した簡単な構造で苗の泥汚れを防止することができる。
【0025】
本第7発明では、前記ガイド軸が回転駆動され、前記移送体が前記ガイド軸に沿わせて移動操作されて前記苗載せ台に横移送力を出力するように構成し、前記ガイド軸に一体回転自在に設けた縦送り駆動アームと、前記苗載せ台が備える苗縦送り体に連動されるとともに前記苗載せ台と共に横移動する縦送り操作部材とを備えるとともに、前記苗載せ台が横移動ストロークエンドに到達すると、前記縦送り操作部材が前記縦送り駆動アームに当接してこの縦送り駆動アームによって揺動駆動されることによって前記苗縦送り体を操作するよう構成してある。
【0026】
本第7発明の構成によると、苗載せ台が横移動のストロークエンドに到達すると、縦送り操作部材が縦送り駆動アームに当接して横送り軸の駆動力によって駆動され、これによって苗縦送り体が駆動されて苗載せ台の苗を縦送りする。
【0027】
従って、横送り軸を縦送り手段に利用した簡単な構造によって苗の縦送りを行うことができる。
【0028】
本第8発明では、前記縦送り操作部材が前記移送体に揺動自在に支持されている。
【0029】
本第8発明の構成によると、縦送り操作部材がガイド軸に連結した移送体に支持されるので、縦送り操作部材を適切な待機位置に確実に保持させ、苗載せ台が横移動のスロトークエンドに到達した際、縦送り操作体が縦送り駆動アームによる操作を精度よく受けるようにできる。
【0030】
従って、縦送り操作部材を移送体に支持させるだけの簡単な支持構造の採用により、苗載せ台が横移動のスロトークエンドに到達した際の苗縦送りを精度よく行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係る歩行型田植機の全体側面図である。図2は、本発明の実施例に係る歩行型田植機の全体平面図である。これらの図に示すように、本実施例に係る歩行型田植機は、一つの駆動自在な走行車輪1によって自走するよう構成され、かつ車体前端部に設けたエンジン2と、車体後端部に設けた操縦ハンドル3が装備された操縦部4とを有した自走車を備え、前記走行車輪1の後部付近で車体フレーム5に車体横方向に並べて支持させた二つの苗植付け機構6,6と、前記車体フレーム5の下部に車体横方向に並べて支持させた二つの接地フロート7,7とを有した苗植付け部8を備えている。
【0032】
この歩行型田植機は、二条の苗植付け作業を行う。
すなわち、前記走行車輪1は、前記車体フレーム5に上下揺動自在に支持された車輪駆動ケース10の遊端部に駆動自在に支持されており、前記車輪駆動ケース10が油圧シリンダ11によって揺動操作されることによって車体フレーム5に対して昇降操作される。走行車輪1が昇降操作されると、車体フレーム5が地面に対して昇降操作され、苗植付け部8は、前記二つの接地フロート7,7が田面に接地した下降作業状態と、前記接地フロート7が田面から上昇した上昇非作業状態とに昇降する。苗植付け部8を下降作業状態にして自走車を走行させると、苗植付け部8は、前記エンジン2の出力によって駆動され、前記二つの苗植付け機構6,6によって苗植付けを行う。
【0033】
前記自走車は、前記走行車輪1と前記エンジン2と前記操縦部4とを備える他、前記エンジン2の上方に設けたエンジン用の燃料タンク12と、この燃料タンク12及び前記走行車輪1の上方を覆うボンネット13と、このボンネット13の後端側の上方に位置した予備苗載せ台14とを備えている。
【0034】
図3は、前記車体フレーム5の平面図である。図4は、前記車体フレーム5の苗植付け機構配設部での後面図である。これらの図に示すように、前記車体フレーム5は、前記エンジン2を支持するミッションケース15と、このミッションケース15から車体後方向きに延出した左右一対の車体メインフレーム16,16と、前記左右一対の車体メインフレーム16,16の後端部に前端側が連結したハンドルフレーム17と、前記左右一対の車体メインフレーム16,16のうちの左側の車体メインフレーム16の後端部に下端部が連結された車体上下向きの支柱フレーム18と、前記左右一対の車体メインフレーム16,16のうちの右側の車体メインフレーム16の後端部に下端部が連結された車体上下向きの伝動ケース19と、前記支柱フレーム18と前記伝動ケース19との上端側に下端側が連結している苗載せ台支柱70と、前記左右の苗載せ台支柱70,70の基部どうしを連結する車体横向きの連結フレーム20とを備えて構成してある。
【0035】
図3に示すように、前記ハンドルフレーム17は、左右一対のフレーム本体17a,17aと、この左右一対のフレーム本体17a,17aの前端側を連結する板形の連結フレーム17bと、前記左右一対のフレーム本体17a,17aの後端側を連結する板形の連結フレーム17cとを備えている。
【0036】
図5は、前記エンジン2の出力を前記走行車輪1と前記苗植付け部8とに伝達する伝動装置の線図である。図6は、自走車の前記エンジン2と前記ミッションケース15とが配設された部位での平面図である。図7は、自走車の前部の側面図である。これらの図に示すように、前記ミッションケース15は、前記エンジン2の下部の車体左横側の側壁部に連結されたミッションケース本体15aと、このミッションケース本体15aの下部から車体右横向きに前記エンジン2の下方を通って延出した筒形の走行出力ケース部15bと、ミッションケース本体15aの下部から車体右横向きに前記エンジン2の下方を通って前記走行出力ケース部15bと平行に延出した筒形の植付け出力ケース部15cとを備えている。
【0037】
前記ミッションケース本体15aは、前記エンジン2の側壁部から車体左横向きに突出した出力軸2aに一対の入力ギヤ21,21が連結しているミッションMを収容している。このミッションMは、前記一対の入力ギヤ21,21を有した変速ミッション部22と、この変速ミッション部22の走行用出力ギヤ23にギヤ24を介して連動した走行クラッチ部25と、前記変速ミッション部22の植付け用出力ギヤ26の駆動力がギヤ27を介して入力されるトルクリミッター部28と、このトルクリミッター部28に入力軸31が連動している株間変速部30と、この株間変速部30の出力軸32から伝動される植付けクラッチ部35とを備えている。
【0038】
前記走行出力ケース部15bは、前記走行クラッチ部25から動力伝達される走行用出力軸36の一端側を収容している。前記植付け出力ケース部15cは、前記植付けクラッチ部35から動力伝達される植付け用出力軸37の一端側を収容している。前記植付け出力ケース部15cは、前記走行出力ケース部15bよりも少し車体前方側に、走行出力ケース部15bよりも少し低い配置高さで位置しており、前記植付け用出力軸37と前記走行用出力軸36とは、植付け用出力軸37が走行用出力軸36よりも車体前方側に走行用出力軸36よりも少し低い配置高さで位置する状態で車体前後方向に並んでいる。
【0039】
前記車輪駆動ケース10は、前記走行出力ケース部15bにおける延出端部に上下揺動自在に支持されている。この車輪駆動ケース10は、車輪駆動ケース10の後端部から車体左向きに突出した車軸1aを介して前記走行車輪1を回転自在に支持し、車輪駆動ケース10に収容された回転軸形の伝動手段38で前記走行用出力軸36の駆動力を前記車軸1aに伝達すことによって走行車輪1に伝達する。
【0040】
前記左右一対の車体メインフレーム16,16は、この車体メインフレーム16の後端部から前記走行車輪1が位置する側(車体内側)に突出した駆動軸39を介して前記左右一対の苗植付け機構6,6のうちの左側あるいは右側の苗植付け機構6を支持している。この左右一対の車体メインフレーム16,16は、前記植付け用出力軸37の駆動力を車体メインフレーム16に収容された回転軸形の伝動手段40によって前記苗植付け機構6の前記駆動軸39に伝達するよう伝動ケースになっている。
【0041】
つまり、前記ミッションケース15は、エンジン2の出力軸2aの駆動力を変速ミッション部22によって高速と低速との二段階に変速して走行用と植付け用とに分配し、走行用に分配した駆動力を、走行クラッチ部25を介して走行用出力軸36に伝達してこの走行用出力軸36から車輪駆動ケース10に伝達することによって走行車輪1に伝達する。このミッションンケース15は、変速ミッション部22によって植付け用に分配した駆動力を、トルクリミッター部28と株間変速部30と植付けクラッチ部35とを介して植付け用出力軸37に伝達してこの植付け用出力軸37から左右一対の車体メインフレーム16,16に伝達することによって左右一対の苗植付け機構6,6に伝達する。
【0042】
図3に示すように、前記走行車輪1は、車体平面視で自走車の左右方向での中心線CLの線上に位置している。前記車輪駆動ケース10は、前記走行車輪1に対して車体右横側に偏倚しており、車輪駆動ケース10の重量が前記中心線CLよりも車体右横側で自走車に掛かることから、ミッションケース15と伝動ケース19とは、自走車の左右重量をバランスさせやすくして車体フレーム5を構成する。
【0043】
すなわち、ミッションケース15の前記変速ミッション部22が内部に位置する部位での重量が他の部位での重量よりも大になり、ミッションケース15の重量は、変速ミッション部22が位置する部位で自走車に掛かるとみなすことができる。ミッションケース15は、これの内部に位置する前記変速ミッション部22が走行車輪1に対して前記車輪駆動ケース10が位置する側と反対の車体左横側に偏倚し、ミッションケース15の重量が前記中心線CLに対して車輪駆動ケース10と伝動ケース19との重量が掛かる側とは反対側で自走車に掛かる状態で車体フレーム5を構成する。伝動ケース19は、前記走行車輪1に対してミッションケース15の変速ミッション部22が位置する側と反対の車体右横側に偏倚し、伝動ケース19の重量が車輪駆動ケース10の重量と共に前記中心線CLに対してミッションケース15の重量が掛かる側とは反対側で自走車に掛かる状態で車体フレーム5を構成する。
【0044】
図8は、前記ミッションケース15と前記車輪駆動ケース10との断面図である。この図に示すように、前記ミッションケース15は、前記車輪駆動ケース10の入力ギヤ42のこれの回転軸芯と直行する方向での両横側に分散配置して前記走行出力ケース部15bに設けた一対の支持部15d,15dを備え、この一対の支持部15d,15dによって車輪駆動ケース10の円筒形の基部10aの両端側を前記走行用出力軸36の軸芯まわりに回転自在に支持している。前記一対の支持部15d、15dのうち、走行出力ケース部15bのミッションケース本体15aが位置する側と反対側に位置する支持部15dは、この支持部15dと前記植付け出力ケース部15cの延出端部とを連結する連結部15eを介してエンジン2に連結しており、走行出力ケース部15bは、基部側がミッションケース本体15aに連結して支持され、延出端側がエンジン2に連結して支持されるという両持ち支持で支持されている。
すなわち、ミッションケース15は、車輪駆動ケース10の基部10aの両端部に支持部15dが支持作用するという両持ち支持で、車輪駆動ケース10を上下揺動自在に支持している。
【0045】
前記一対の支持部15d,15dの一方の支持部15dは、前記基部10aの一端部分に軸受け体43を介して外嵌した状態で前記基部10aを回転自在に支持している。前記一対の支持部15d,15dの他方の支持部15dは、前記基部10aの他端部分に軸受け体44を介して内嵌した状態で前記基部10aを回転自在に支持している。
【0046】
図7に示すように、前記伝動ケース19は、前記走行車輪1の上下位置変化にかかわらず車体側面視で伝動ケース19の下端側と前記走行車輪1の後端部とが重合する配置で支持されており、伝動ケース19の重量が走行車輪1の近くで自走車に掛かる状態で車体フレーム5を構成する。
【0047】
図6,9に示すように、前記自走車は、前記ミッションケース本体15aの上部に連設された油圧ユニット48を備え、この油圧ユニット48が備える車輪昇降弁47と前記左右一対の接地フロート7,7の前端側とを連動させている連動機構60を備えており、走行車輪1の圃場の耕盤凹部への入り込みや耕盤突部への乗り上がりにかかわらず、前記左右一対の苗植付け機構6,6の苗植え深さを一定あるいはほぼ一定に維持する。
【0048】
つまり、前記車輪昇降弁47は、前記油圧シリンダ11を伸縮操作して前記車輪駆動ケース10を揺動昇降操作することにより、前記走行車輪1を車体フレーム5に対して昇降操作する。
【0049】
図10は、前記接地フロート7の支持部の平面視での構造を示している。図11は、前記接地フロート7の支持構造の側面図である。これらの図に示すように、前記左右一対の接地フロート7,7の後端側は、接地フロート7の上面側に固定された後ブラケット50と、前記ハンドルフレーム17のメインフレーム17aに支持された車体横向きのフロート支軸51から延出された支持アーム52に前記後ブラケット50を連結している連結ピン53とを介し、前記支持アーム52に回転自在に支持されている。
【0050】
図6,9に示すように、前記左右一対の接地フロート7,7の前端部は、接地フロート前端部に固定された前ブラケット54と、この前ブラケット54に後端部が回転自在に連結された連結リンク55とを介し、この連結リンク55の前端側に位置する長孔55aに摺動自在に係入するように構成して前記車体メインフレーム16に固定された車体横向きの支軸56に支持されている。
すなわち、左右一対の接地フロート7,7は、フロート後端側で、かつ苗植付け機構6の苗植付け箇所の近くに位置する前記連結ピン53の車体横向き軸芯まわりに車体フレーム5に対して上下揺動するよう支持されており、走行車輪1が耕盤凹部に入り込み、車体フレーム5が田面に対して下降して苗植付け機構6の植付け深さが設定深さよりも深くなると、接地フロート7の前端側が接地反力によって上昇する。走行車輪1が耕盤突部に乗り上がり、車体フレーム5が田面に対して上昇して苗植付け機構6の植付け深さが設定深さよりも浅くなると、接地フロート7の前端側がフロート重量によって下降する。
【0051】
図6,9に示すように、前記連動機構60は、前記車輪昇降弁47の回転操作軸47aに一体回転自在に連結された弁切り換え体61と、車体フレーム5に車体横向き姿勢で支持された支軸62と、この支軸62の一端側に中間部が回転自在に支持された連動リンク63と、前記支軸62から車体後方向きに揺動自在に延出した左右一対の揺動杆64,64と、前記左側の揺動杆64の延出端部を前記左側の接地フロート7の前記前ブラケット54に連結している連動ロッド65と、前記右側の揺動杆64の延出端部を前記右側の接地フロート7の前記前ブラケット54に連結している連動ロッド65とを備えて構成してある。
【0052】
前記左右一対の揺動杆64,64は、前記支軸62の軸芯まわりに各別に揺動する。この左右一対の揺動杆64,64は、左側の揺動杆64の基部と、右側の揺動杆64のアーム部64aとにわたって取り付けた連動ピン66を備えている。前記弁切り換え体61は、これのアーム部61aに連結されたスプリング67によって下降操作側に揺動付勢されている。前記スプリング67は、弁切り換え体61を揺動付勢することにより、弁切り換え体61のローラで成る受動部61bと連動リンク63の操作アーム部63aとが当接し合うように、かつ、連動リンク63の突部で成る受動部63bと前記連動ピン66とが当接し合うように連動リンク63を揺動付勢している。
【0053】
左右一対の接地フロート7,7の前端側が共に基準位置から上昇すると、左右一対の揺動杆64,64が共に連動ロッド65によって上昇操作される。すると、連動ピン66が全体にわたって上昇操作されて連動リンク63の受動部63bに押し上げ作用し、連動リンク63が支軸62の軸芯まわりに揺動操作されてアーム部63aを下降させ、このアーム部63aが弁切り換え体61の受動部61bに押圧作用して弁切り換え体61を揺動操作し、弁切り換え体61が車輪昇降弁47を車輪下降側に切り換え操作する。
【0054】
左右一対の接地フロート7,7の前端側が共に基準位置から下降すると、左右一対の揺動杆64,64が共に連動ロッド65によって下降操作される。すると、連動ピン66が全体にわたって下降操作され、連動リンク63がスプリング67によって支軸62の軸芯まわりに揺動操作されてアーム部63aを上昇させ、弁切り換え体61がスプリング67によって揺動操作されて車輪昇降弁47を車輪上昇側に切り換え操作する。
【0055】
左右一対の接地フロート7,7の一方の前端側が基準位置から上昇し、他方の前端側が基準位置から下降した場合、左右一対の揺動杆64,64が互いに逆方向に昇降操作される。すると、連動ピン66は、連動リンク63の受動部63bに対して一端側が下降し、他端側が上昇した傾斜状態に操作されて連動リンク63を揺動操作せず、連動リンク63が中立姿勢を維持し、弁切り換え体61が中立状態に維持されて車輪昇降弁47を中立位置に操作する。
【0056】
すなわち、連動機構60は、左右一対の接地フロート7,7が共に基準位置から上昇揺動すると、この上昇揺動によって車輪昇降弁47を車輪上昇側に切り換え操作し、左右一対の接地フロート7,7が共に基準位置から下降揺動すると、この下降揺動によって車輪昇降弁47を車輪下降側に切り換え操作し、左右一対の接地フロート7,7が基準位置から互いに逆方向に昇降した場合、車輪昇降弁47を中立状態に維持するように左右一対の接地フロート7,7と車輪昇降弁47とを連動させている。
【0057】
図3,6に示すように、前記左右一対の車体メインフレーム16,16は、左右一対の車体メインフレーム16,16の車体横方向での間隔が車体メインフレーム前端側ほど小になり、かつ、左右一対の車体メインフレーム16,16の前端側が前記連動機構60における前記支軸62の端よりも車体横方向での内側に位置した配置状態を備え、車体メインフレーム16の重量が自走車の横方向での極力内側に掛かる状態で車体フレーム5を構成している。
【0058】
図1,2に示すように、前記予備苗載せ台14は、網状に組み合わせて連結された丸棒材によって構成してあり、予備マット状苗の一枚を載置して収容する大きさの載置面を備えている。この予備苗載せ台14は、収容した予備マット状苗の長辺方向(苗縦方向)が車体横向きになり、収容した予備マット状苗の短辺方向(苗横方向)が車体前後向きになる取り付け姿勢で、前記左右一対の苗載せ台支柱70,70に支持されている。
【0059】
図2,7に示すように、前記ボンネット13は、これの後端側に設けた貫通孔13aを備えている。この貫通孔13aは、前記予備苗載せ台14の下方に位置している。
すなわち、ボンネット13は、自走車の後方の操縦位置から前記左右一対の苗載せ台支柱70,70の間と、前記貫通孔13aとを介して田面の走行車輪接地箇所の前方近くを見通すことを可能にしている。
【0060】
図7に示すように、前記ボンネット13の後端側は、前記連結フレーム20に回転自在に支持されており、このボンネット13は、前記連結フレーム20の車体横向きの軸芯まわりに上下に揺動開閉する。このボンネット13は、開閉された際、ボンネット13の前端側に設けたロック機構71によって上昇開き姿勢と下降閉じ姿勢とに固定される。
【0061】
図12は、前記ロック機構71の側面図である。図13は、前記ロック機構71の平面図である。これらの図に示すように、前記ロック機構71は、前記燃料タンク12の車体前方側の端部を支持するステー72に上下揺動自在に支持された支持杆73を備え、ボンネット13の前端部の内側に設けた支持杆ホルダー74と板バネで成るロックバネ75とを備えて構成してある。
【0062】
前記支持杆73は、前記ステー72に基部が回動自在に支持された左右一対のアーム杆部73a,73aと、左右一対のアーム杆部73a,73aの遊端側を連結する連結杆部73bとを備えている。前記支持杆ホルダー74は、これの左右一対の支持片部74a,74aが備えるボンネット前後方向の長孔74bによって前記連結杆部73bを摺動自在に保持している。
【0063】
図12(b)は、ロック機構71のボンネット開き状態での側面図である。この図に示すように、ボンネット13が上昇操作されると、支持杆73が支持杆ホルダー74による引き上げ操作によって上昇揺動操作され、支持杆73の連結杆部73bが長孔74bを移動する。ボンネット13が上昇開き姿勢になると、連結杆部73bが長孔74bの後端箇所に位置し、ロックバネ75の作用部75aが連結杆部73bを長孔74bの後端箇所に押圧操作し、支持杆73がボンネット13の荷重に抗して上昇姿勢に保持されてボンネット13を上昇開き姿勢に突っ張り支持する。これにより、ロック機構71は、ボンネット13を上昇開き姿勢に固定する。
【0064】
図12(a)は、ロック機構71のボンネット閉じ状態での側面図である。この図に示すように、ボンネット13が下降操作されると、支持杆73が支持杆ホルダー74による押し下げ操作によって下降揺動操作され、支持杆73の連結杆部73bが長孔74bを移動する。ボンネット13が下降閉じ姿勢になると、連結杆部73bが長孔74bの後端箇所に位置し、ロックバネ75の作用部75aが連結杆部73bを長孔74bの後端箇所に押圧操作し、支持杆73が下降姿勢に保持されてボンネット13を下降閉じ姿勢に突っ張り支持する。これにより、ロック機構71は、ボンネット13を下降閉じ姿勢に固定する。
【0065】
図7に示すように、前記燃料タンク12の車体後方側での端部は、前記ミッションケース15に下端部が連結されたタンク支持部材78の上端部に支持されている。前記タンク支持部材78は、エンジン2および燃料タンク12と、走行車輪1との間に位置して走行車輪1の前方上方を覆う大きさを備え、走行車輪1から飛んだ泥土をエンジン2および燃料タンク12に付着しないよう受け止める泥除けカバーを構成している。
【0066】
図1,2に示すように、前記苗植付け部8は、前記左右一対の苗植付け機構6,6と、前記左右一対の接地フロート7,7とを備える他、前記ハンドルフレーム17の上方に設けた一つの苗載せ台80を備えている。前記苗載せ台80は、上端側ほど車体後方側に位置する後上がりの傾斜姿勢になっている。
【0067】
図4,14,15に示すように、前記各苗植付け機構6は、前記車体メインフレーム16の後端部の車体内方側に駆動アーム82と揺動リンク83とを介して支持された植付けアーム6aと、この植付けアーム6aの先端側に設けた苗植付け爪6bとを備えて構成してある。
【0068】
各苗植付け機構6は、前記駆動アーム82が前記駆動軸39によって回転駆動されることにより、苗植付け爪6bの先端側が前記苗載せ台80の下端側に配置して車体フレーム5に支持させてあるガイドレール84に設けた苗取り出し口85(図16参照)と、田面との間を図14の如き回転軌跡Tを描きながら往復する苗植え運動を行う。
これにより、各苗植付け機構6は、前記苗取り出し口85において苗載せ台82のマット状苗の下端部から一株分のブロック苗を切断して取り出し、取り出したブロック苗を苗取り出し口85から下降搬送して田面の前記接地フロート7によって整地された箇所に植え付ける。
【0069】
図16,17,18に示すように、前記苗載せ台80は、前記左右一対の苗植付け機構6,6に各別に苗供給する一対の苗載置部80a,80aを車体横方向に並べて備えた状態で前記ガイドレール84に車体横方向に摺動移動自在に支持されている。この苗載せ台80は、苗載せ台80の下端側から車体前方側に突出した連結手段90を備えている。この連結手段90は、前記苗載せ台80よりも車体前方側に設けた苗横送り機構100の移送体101と苗載せ台80とを連動させている。図1に示すように、前記苗横送り機構100は、前記走行車輪1の車軸芯Xを通る鉛直線Aよりも車体後方側で、かつ前記走行車輪1の外周よりも外側に配置してある。
【0070】
つまり、苗載せ台80は、前記苗横送り機構100によって苗植付け機構6の苗植え運動に連動させて前記ガイドレール84に沿わせて車体横方向に往復移送され、左右一対の苗植付け機構6,6が対応する苗載置部80aのマット状苗の下端部からブロック苗を取り出すのに、マット状苗の横方向での一端側から他端側に向けて順次に取り出していくよう、各苗載置部80aのマット状苗を対応する前記苗取り出し口85に対して車体横方向に往復移送する。
【0071】
図17,18は、前記苗横送り機構100の側面図である。図20は、前記苗横送り機構100の平面図である。これらの図に示すように、前記苗横送り機構100は、前記移送体101を備える他、この移送体101の筒体部101aが外嵌した車体横向きのガイド軸102を備えて構成してある。
【0072】
前記ガイド軸102は、前記伝動ケース19の上端部と前記支柱フレーム18の上端部とに回転駆動自在に支持されている。ガイド軸102は、前記移送体101とガイド軸102に端部とにわたって取り付けた蛇腹管103によってカバーされている。図17に二点鎖線で示す走行車輪1は、上昇限界での走行車輪を示している。この図に示すように、前記ガイド軸102は、前記走行車輪1の最上昇状態で、この走行車輪1の最後端部位1bよりも車体前方側に位置し、苗横送り機構100の重量が走行車輪1の近くで自走車に掛かる状態で苗横送り機構100を構成している。
【0073】
前記ガイド軸102は、これの外周面に螺旋状に設けた一対の送り溝104,104を備えている。一対の送り溝104,104は、互いに異なる螺旋方向を備えており、かつガイド軸102の両端側において前記筒体部101aに設けた係合爪105が一方の送り溝104から他方の送り溝104に移動するよう互いに連通し合っている。
【0074】
図15に示すように、前記ガイド軸102は、前記右側の苗植付け機構6の前記駆動軸39の駆動力を前記伝動ケース19によって伝達されて駆動される。すなわち、前記伝動ケース19は、前記駆動軸39を入力軸とした苗送り変速部110と、この苗送り変速部110の出力軸111と前記ガイド軸102とにわたって巻回された伝動チェーン115とを備えた伝動手段を収容している。
【0075】
前記移送体101の前記筒体部101aが前記ガイド軸102に相対回転及び相対摺動自在に外嵌するとともに前記係合爪105が前記送り溝104に摺動自在に係入していることにより、移送体101は、一対の送り溝104,104の係合爪105に対する送り作用によってガイド軸102に沿って車体横方向に往復移送されるようガイド軸102に係合している。移送体101の移送方向は、係合爪105が係入している送り溝104の螺旋方向によって決まり、係合爪105が一方の送り溝104に係入していると車体右向き方向となり、係合爪105が他方の送り溝104に係入していると車体左向き方向となる。
【0076】
前記移送体101は、前記筒体部101aの両端部に設けたブシュ106を備えており、このブシュ106の作用によって筒体部101aとガイド軸102との間のこじれを発生させないでガイド軸102に対して回転及び摺動する。
【0077】
図16,18に示すように、前記連結手段90は、苗載せ台80の下端側の両横端部にわたって連結された車体上下方向視で門形の連結枠体91と、この連結枠体91の連結板体93を前記移送体101の左右一対の連結板部10b、10bの下端側に連結する連結体92とを備えて構成してある。
【0078】
つまり、苗横送り機構100は、前記駆動軸39から前記伝動ケース19の伝動手段によって伝達される駆動力によってガイド軸102を回転駆動し、このガイド軸102によって移送体101をガイド軸102に沿わせて車体横方向に往復移動させて移送体101によって横移送力を出力させ、この横移送力を前記連結体92と前記連結枠体91とを介して苗載せ台80に伝達し、これによって苗載せ台80をガイドレール84に沿わせて車体横方向に往復移送する。
【0079】
図16,17に示すように、前記苗載せ台80は、前記各苗載置部80aの下端部の裏面側に苗載せ台80の横方向と縦方向とに並べて設けた複数の回転自在な苗縦送り体120,121を備えている。前記複数の苗縦送り体120,121のうち、上段側で苗載せ台横方向に一列に並んでいる上側の苗縦送り体120は、一本の上縦送り軸122に一体回転自在に支持されている。下段側で苗載せ台横方向に一列に並んでいる下側の苗縦送り体121は、一本の下縦送り軸123に一体回転自在に支持されている。前記上縦送り軸122と前記下縦送り軸123とは、苗載せ台80の横一端側で連動チェーン124(図20参照)によって苗縦送り方向に連動して回転するよう連動されている。前記上縦送り軸122は、この上縦送り軸122の苗載せ台横方向での中間部に設けた入力アーム125を備えている。
【0080】
前記入力アーム125は、前記苗載せ台80の車体前方側に設けた苗縦送り機構130の縦送り操作部材131に、連動ロッドで成る連動手段126を介して連動されている。前記連動手段126は、苗載せ台80の一対の苗載置部80a,80aの間に位置する仕切り壁に設けた貫通孔127と、前記連結枠体91の連結板体93に設けた貫通孔128とを挿通している。
【0081】
つまり、前記苗載せ台80は、左右の横移動スロトークエンドに到達すると、前記苗縦送り機構130による縦送り操作力を連動手段126を介して入力アーム125に入力し、この入力アーム125によって前記上縦送り軸122を回転駆動し、かつこの上縦送り軸122の駆動力を連動チェーン124によって前記下縦送り軸123の一端側に伝達してこの下縦送り軸123を回転駆動し、全ての苗縦送り回転体120,121を苗縦送り方向に設定回転角だけ回転駆動して各苗載置部80aのマット状苗を上段側の苗縦送り回転体120と下段側の苗縦送り回転体121とによって前記苗取り出し口85に向けて縦送りする。
すなわち、苗載せ台80は、左右の横移動ストロークエンドに到達すると、各苗載置部80aのマット状苗を上段側と下段側との苗縦送り回転体120,121によって前記苗取り出し口85に向けて縦送りし、後に苗載せ台80が横移送された際の各苗植付け機構6によるマット状苗下端部からのブロック苗の取り出しを可能にする。
【0082】
図18,20に示すように、前記苗縦送り機構130は、前記縦送り操作部材131を備える他、前記ガイド軸102の両端部に設けた縦送り駆動アーム132を備えて構成してある。
【0083】
前記各縦送り駆動アーム132は、前記ガイド軸102に一体回転自在に支持されており、ガイド軸102によって常に回転方向B(図18参照)に回転駆動される。
【0084】
前記縦送り操作部材131は、前記移送体101の前記左右一対の連結板部101b、101bの上端側に連結ピン133を介して枢支されており、移送体101に対して連結ピン133の車体横向き軸芯まわりに揺動し、かつガイド軸102に対して移動体101と共に移動する。
すなわち、縦送り操作部材131は、前記移送体101によって苗載せ台80と共に車体横方向に往復移送され、苗載せ台80が左右の横移動ストロークエンドに到達した際、縦送り操作部材131に板金部材を取り付けて設けてある左右一対の車体横向きの受動アーム134,134のうちの苗載せ台80の横移動ストロークエンドに対応する側の受動アーム134が前記縦送り駆動アーム132のローラで成る駆動部132aに当接し、この縦送り駆動アーム132によって前記連結ピン133の車体横向き軸芯まわりに揺動駆動される。
【0085】
前記入力アーム125は、前記上縦送り軸122に一方向回転クラッチ135を介して連結されている。前記一方向回転クラッチ135は、入力アーム125が正回転方向に駆動された際、入力アーム125の駆動力が上縦送り軸122に伝達するよう入力アーム125と上縦送り軸122とを連動させる。この一方向回転クラッチ135は、入力アーム125が待機位置にリターンバネによって復帰操作される際、入力アーム125の回動力が上縦送り軸122に伝達しないよう入力アーム125と上縦送り軸122とを相対回転させる。
【0086】
つまり、苗縦送り機構130は、苗載せ台80が左右の横移動ストロークエンドに到達した際、苗載せ台80横移送ストロークエンドに対応した側の縦送り駆動アーム132によって受動アーム134を介して縦送り操作部材131を設定角度だけ揺動駆動してこの縦送り操作部材131から縦送り操作力を出力し、この縦送り操作力を連動手段126を介して前記入力アーム125に伝達してこの入力アーム125を待機位置から設定角度だけ揺動操作し、これによって苗載せ台80の全ての縦送り体120,121を苗縦送り方向に設定回転角度だけ回転駆動する。
【0087】
図1に示すように、前記操縦部4は、前記操縦ハンドル3を備える他、この操縦ハンドル3の下方に車体横方向に並べて設けた一対の操作具140,141と、前記左右一対の操作具140,141が挿通している操作ガイド142とを備えている。
【0088】
図1,3に示すように、前記操縦ハンドル3は、一本の屈曲パイプ材によって構成してあり、左右一対の車体前後向きのハンドル本体3a,3aと、左右一対のハンドル本体3a,3aの前端部どうしを連結する車体横向きの連結杆3bとを備えている。この操縦ハンドル3は、前記連結杆3bで前記ハンドルフレーム17の後端部に上下揺動による取り付け角調節自在に取り付けてあり、この取り付け角調節が行われることにより、前記左右一対のハンドル本体3a,3aの後端部に位置する握り部の高さを変更する。
【0089】
前記左右一対の操作具140,141と前記操作ガイド142とは、前記走行車輪1に対して前記車輪駆動ケース10が位置する側と同じ車体横側方に偏倚した配置で前記ハンドルフレーム17に支持させてあり、操作具140,141と操作ガイド142との重量が車輪駆動ケース10の重量と共に前記中心線CLに対して前記ミッションケース15の重量が掛かる側とは反対側で自走車に掛かる状態になっている。
【0090】
図10,11に示すように、前記左右一対の操作具140,141のうちの一方の操作具141は、前記フロート支軸51から一体回転自在に延出しており、前記フロート支軸51の軸芯まわりに前記操作ガイド142のガイド溝143に沿わせて揺動調節されることにより、前記各苗植付け機構6の苗植付け深さを変更する。
【0091】
つまり、前記フロート支軸51は、前記操作具140の揺動調節によって回転調節され、前記左右一対の支持アーム52,52をフロート支軸51の軸芯まわりに上下に揺動調節する。すると、各支持アーム52は、前記連結ピン53を昇降調節して前記接地フロート7の後端側の車体フレーム5に対する取り付け高さを増減調節する。左右一対の接地フロート7,7は、車体フレーム5に対する取り付け高さを調節されると、田面への接地によって設定する車体フレーム5の設定対地高さを変更し、各苗植付け機構6の苗植え深さを操作具140の操作位置に対応した深さに変更する。
【0092】
図10,14に示すように、前記左右一対の操作具140,141のうちの他方の操作具140は、苗取り量調節手段となっている。
つまり、操作具140は、前記ハンドルフレーム17に回転自在に支持された車体横向きの苗取り量調節軸144から一体回転自在に延出しており、前記苗取り量調節軸144の軸芯まわりに前記操作具ガイド142のガイド溝145に沿わせて揺動調節されることにより、前記各苗植付け機構6のマット状苗縦方向での苗取り量を変更する。
【0093】
すなわち、前記苗取り量調節軸144は、これの両端側から車体前方向き一体回転自在に延出した操作アーム146を備えている。前記左右一対の操作アーム146,146は、前記苗取り量調節軸144が回転調節されると、この苗取り量調節軸144によって上下に揺動調節され、前記ガイドレール84の支軸147に連結された操作部148に作用して前記支軸147を支持部材149に対して上下に摺動調節し、前記ガイドレール84と前記苗載せ台80とを苗植付け機構6の前記回転軌跡Tに対して苗載せ台縦方向に沿った方向に昇降調節する。ガイドレール84と苗載せ台80とが回転軌跡Tに対して上昇調節されると、各苗植付け機構6の苗植付け爪6bがマット状苗からブロック苗を取り出す際のマット状苗に対する苗縦方向での入り込み量が小になり、苗植付け機構6の苗取り量が小になる。ガイドレール84と苗載せ台80とが回転軌跡Tに対して下降調節されると、各苗植付け機構6の苗植付け爪6bがマット状苗からブロック苗を取り出す際のマット状苗に対する苗縦方向での入り込み量が大になり、苗植付け機構6の苗取り量が大になる。
【0094】
つまり、苗取り量調節軸144は、前記操作具140が揺動調節されると、この操作具140によって回転調節されてガイドレール84と苗載せ台80とを苗植付け機構6に対して苗載せ台縦方向に移動調節し、各苗植付け機構6のマット状苗縦方向での苗取り量を操作具140の操作位置に対応した量に変更する。
【0095】
図16,17に示すように、前記連結手段90の前記連結枠体91は、前記連結板体93を備える他、この連結板体93の車体横方向での両端側に連結板体93と苗載せ台80の横端部とを連結するよう設けた横連結板94とを備えて構成してある。
【0096】
前記連結板体93は、前記ガイド軸102の直径Dよりも大の車体上下方向での大きさWを備えている。この連結板体93は、車体側面視で前記走行車輪1の外周に沿って位置するとともに苗載せ台80の前方に苗載せ台80の全幅にわたって位置した組み付け姿勢を備えている。
これにより、前記連結板体93は、走行車輪1によって跳ね上げられた泥土を苗載せ台80に向かって飛散することを防止するよう受け止め、苗載せ台80のマット状苗の泥土付着を防止する泥除けカバーを構成している。この連結板体93は、苗載せ台80の各苗載置部80aに載置されたマット状苗の苗葉を苗横送り機構100と苗縦送り機構130とに倒れ込まないように受け止め、苗葉の苗横送り機構100及び苗縦送り機構130との接触による損傷を回避する苗ステーを構成している。
【0097】
前記連結手段90は、図19に示す如く連結体92に設けた調節部95を備えている。
前記調節部95は、前記連結体92と前記連結板体93とを連結する連結ボルト96を装着するように構成し、かつ車体横方向に沿った長孔に構成したボルト孔によって構成してあり、連結枠体91と連結体92との車体横方向での連結位置を調節させ、これによって苗載せ台80の前記移送体101に対する苗載せ台横方向での連結位置を調節させる。
すなわち、前記調節部95は、苗載せ台80が横移動のストロークエンドに到達し際の苗植付け機構6による苗取り出しがマット状苗の横一端側に取り残しを発生させない状態で行われるよう、苗載せ台80の移送体101に対する苗載せ台横方向での連結位置を調節させる。
【0098】
前記連結手段90は、図19に示す如く前記連結体92に設けた融通97を備えている。
前記融通97は、前記移送体101の前記連結板部101bと前記連結体92とを連結する連結ピン98を摺動自在に装着するように構成し、かつ苗載せ台80の前記苗取り量調節軸144による移動方向に沿った長孔に構成したピン孔によって構成してあり、前記操作具140による苗取り量調節が行われた際の苗載せ台80の移送体101に対する相対移動を許容している。
つまり、苗取り量調節に伴う苗載せ台80の移動が移送体101に伝達されると、移送体101がガイド軸102に対して回転する。すると、係合爪105の送り溝104に対する係入のために移送体101がガイド軸102に対してガイド軸102の軸芯方向に移動し、苗載せ台80の横移動が発生してマット状苗の苗取り出し口85に対する移動が発生する。前記融通97は、操作具140による苗取り量調節を前記した苗移動を発生させないで行わせる。
【0099】
図21は、前記株間変速部30の側面図である。図22は、前記株間変速部30の平面図である。これらの図に示すように、前記株間変速部30は、前記入力軸31と前記出力軸32とを備える他、小径ギヤ33と、この小径ギヤ33に噛合う大径ギヤ34とを備えている。前記小径ギヤ33と前記大径ギヤ34とは、前記入力軸31と前記出力軸32とに付け替えできるように、かつ入力軸31と出力軸32とのいずれにも一体回転自在に係合するよう構成した取り付け孔を備えている。
【0100】
つまり、図21(a)は、株間変速部30の高速状態での側面図である。この図に示すように、株間変速部30は、前記大径ギヤ34が入力軸31に取り付けられ、前記小径ギヤ33が出力軸32に取り付けられると、入力軸31の駆動力を大径ギヤ34と小径ギヤ33とによって増速して出力軸32から出力するよう高速状態になる。株間変速部30は、高速状態に切り換えられると、各苗植付け機構6の駆動速度を速くし、各苗植付け機構6の植付け苗の自走車走行方向での間隔(株間)を小にする。
【0101】
図21(b)は、株間変速部30の低速状態での側面図である。この図に示すように、株間変速部30は、前記小径ギヤ33が入力軸31に取り付けられ、前記大径ギヤ34が出力軸32に取り付けられると、入力軸31の駆動力を小径ギヤ33と大径ギヤ34とによって減速して出力軸32から出力するよう低速状態になる。株間変速部30は、低速状態に切り換えられると、各苗植付け機構6の駆動速度を遅くし、各苗植付け機構6の植付け苗の自走車走行方向での間隔(株間)を大にする。
【0102】
図22に示すように、前記入力軸31と前記出力軸32とは、前記大径ギヤ34と前記小径ギヤ33の全体がミッションケース15の外部に露出した状態で大径ギヤ34と小径ギヤ33とを支持するよう、ギヤ支持部31a,32aをミッションケース15の外部に露出させて備えている。前記ミッションケース15は、ミッションケース15の側部に連結ボルト30aによって脱着自在に止着されて前記大径ギヤ34と前記小径ギヤ33とを覆うギヤカバー30bを備えている。このギヤカバー30bは、ミッションケース15に止着された状態で、ミッションケース15から露出する大径ギヤ34と小径ギヤ33を全体にわたって収容するケース内凹部を備えたオイルパン形の容器形状を備えている。
つまり、株間変速部30の変速を行う際、ギヤカバー30bを取り外すと、大径ギヤ34と小径ギヤ33とが全体にわたってミッションケース15から露出してギヤ34,33の取扱が容易にとなり、ギヤ33,34の入力軸31と出力軸32とに対する付け替えを迅速に行うことができる。
【0103】
図23は、前記横送り変速部110の側面図である。この図と図15とに示すように、前記横送り変速部110は、前記駆動軸39に一体回転自在に支持される入力ギヤ112a,112bと、この入力ギヤ112a,112bに噛合った状態で前記出力軸111に一体回転自在に支持される出力軸ギヤ113と、入力ギヤ112a,112bと出力軸ギヤ113とを覆うギヤカバー114とを備えている。
【0104】
前記ギヤカバー114は、連結ボルト114aによって伝動ケース19に脱着自在に止着される。
【0105】
前記出力軸ギヤ113は、転移ギヤに構成されており、横送り変速部110の高速状態と低速状態との切り換えを前記入力ギヤの交換だけで行わせる。
すなわち、図23(a)は、横送り変速部110の高速状態での側面図である。この図に示すように、横送り変速部110は、駆動軸39に歯数が多い入力ギヤ112aを取り付けられると、入力ギヤ112aと出力軸ギヤ113とによって低減速比を設定し、駆動軸39の駆動力を設定低減速比で減速して出力軸111から出力するよう高速状態になる。横送り変速部110は、高速状態に切り換えられると、苗横送り機構100の移送体101の移送速度を速くし、各苗植付け機構6のマット状苗横方向での苗取り回数を少なくする。
【0106】
図23(b)は、横送り変速部110の低速状態での側面図である。この図に示すように、横送り変速部110は、駆動軸39に歯数が少ない入力ギヤ112bを取り付けられると、入力ギヤ112bと出力軸ギヤ113とによって高減速比を設定し、駆動軸39の駆動力を設定高減速比で減速して出力軸111から出力するよう低速状態になる。横送り変速部110は、低速状態に切り換えられると、苗横送り機構100の移送体101の移送速度を遅くし、各苗植付け機構6のマット状苗横方向での苗取り回数を多くする。
【0107】
図24は、別の実施構造を備えた苗横送り機構110の側面図である。この苗横送り機構110では、前記移送体101は、これの前記連結板部101bと前記連結体92との連結ピン98を装着するよう前記連結板部101bに設けたピン孔107をガイド軸102の軸芯を通る直線に沿った長孔に構成して備えている。
【0108】
すなわち、苗載せ台80が前記操作具140による苗取り量調節のために苗載せ台縦方向に移動調節された際、移送体101は、苗載せ台80によって連結枠体90と連結体92と連結ピン98とを介して付与される操作力と、ピン孔107の長孔による作用とのためにガイド軸102の軸芯まわりに回転し、これによって苗載せ台80の移動を可能にする。
【0109】
図25は、別の実施構造を備えた株間変速部30の側面図である。この株間変速部30は、入力軸31に一体回転自在に支持される入力軸ギヤ150a,150bと、この入力軸ギヤ150a,150bに噛合った状態で出力軸32に一体回転自在に支持される出力軸ギヤ151とを備えている。
【0110】
前記出力軸ギヤ151は、転移ギヤに構成されており、株間変速部30の高速状態と低速状態との切り換えを前記入力軸ギヤの交換だけで行わせる。
すなわち、図25(a)は、株間変速部30の高速状態での側面図である。この図に示すように、株間変速部30は、入力軸31に歯数が多い入力軸ギヤ150aを取り付けられると、入力軸ギヤ150aと出力軸ギヤ151とによって低減速比を設定し、入力軸31の駆動力を設定低減速比で減速して出力軸32から出力するよう高速状態になる。株間変速部30は、高速状態に切り換えられると、各苗植付け機構6の駆動速度を速くし、各苗植付け機構6の植付け苗の自走車走行方向での間隔(株間)を小にする。
【0111】
図25(b)は、株間変速部30の低速状態での側面図である。この図に示すように、株間変速部30は、入力軸31に歯数が少ない入力軸ギヤ150bを取り付けられると、入力軸ギヤ150bと出力軸ギヤ151とによって高減速比を設定し、入力軸31の駆動力を設定高減速比で減速して出力軸32から出力するよう低速状態になる。株間変速部30は、低速状態に切り換えられると、各苗植付け機構6の駆動速度を遅くし、各苗植付け機構6の植付け苗の自走車走行方向での間隔(株間)を大にする。
【0112】
〔別実施例〕
上記実施例の苗横送り機構100に替え、移送体101が定位置で回転駆動され、ガイド軸102が移送体101によって車体横方向に往復移送されて苗載せ台80に横移送力を出力する構成を採用した場合にも本発明の目的を達成するのであり、この構成を採用して実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】歩行型田植機の全体側面図
【図2】歩行型田植機の全体平面図
【図3】車体フレームの平面図
【図4】車体フレームの苗植付け機構配設部での後面図
【図5】伝動装置の線図
【図6】自走車のエンジンとミッションケースとの配設部での平面図
【図7】自走車の前部の側面図
【図8】ミッションケースと車輪駆動ケースとの断面図
【図9】(a)は、連動機構の接地フロート上昇状態での側面図、(b)は、連動機構の接地フロート下降状態での側面図
【図10】接地フロート支持構造と操作具配設部との平面図
【図11】接地フロート支持構造の側面図
【図12】(a)は、ロック機構のボンネット閉じ状態での側面図、(b)は、ロック機構のボンネット開き状態での側面図
【図13】ロック機構の平面図
【図14】苗植付け部の側面図
【図15】苗植付け機構の後面図
【図16】苗載せ台下部の平面図
【図17】苗載せ台と苗横送り機構と苗縦送り機構との側面図
【図18】苗載せ台と苗横送り機構と苗縦送り機構との側面図
【図19】連結体の斜視図
【図20】苗横送り機構と苗縦送り機構との平面図
【図21】(a)は、株間変速部の高速状態での側面図、(b)は、株間変速部の低速状態での側面図
【図22】株間変速部の平面図
【図23】横送り変速部の
【図24】別実施構造を備えた苗横送り機構の側面図
【図25】(a)は、別の実施構造を備え株間変速部の高速状態での側面図、(b)は、別の実施構造を備え株間変速部の低速状態での側面図
【符号の説明】
【0114】
1 走行車輪
1b 走行車輪の最後端部位
3 操縦ハンドル
6 苗植付け機構
8 苗植付け部
19 伝動ケース
80 苗載せ台
90 連結手段
93 連結板体
95 調節手段
97 融通
100 苗横送り機構
101 移送体
102 ガイド軸
140 苗取り量調節手段
A 鉛直線
D ガイド軸の直径
W 連結板体の大きさ
X 車軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの走行車輪と、前記走行車輪よりも車体後方側に設けた操縦ハンドルとを有した自走車を備え、前記走行車輪よりも車体後方側に上端側ほど車体後方側に位置する傾斜姿勢で車体横方向に移動自在に設けた苗載せ台と、車体横方向に並んだ二つの苗植付け機構とを有した苗植付け部を備えた歩行型田植機であって、
車体横向きのガイド軸と、前記ガイド軸に相対回転及び相対摺動自在に係合した移送体とが相対回転するよう駆動されることにより、前記苗載せ台に横移送力を付与して、前記苗載せ台を前記苗植付け機構の苗植え運動に連動させて車体横方向に往復移送する苗横送り機構を、前記苗載せ台よりも車体前方側に、前記走行車輪の車軸芯を通る鉛直線よりも車体後方側で、かつ前記走行車輪の外周よりも外側に配置して設けてある歩行型田植機。
【請求項2】
前記走行車輪が揺動昇降自在に支持され、
前記走行車輪の最上昇状態で、前記ガイド軸が前記走行車輪の最後端部位よりも車体前方側に位置する請求項1記載の歩行型田植機。
【請求項3】
前記苗横送り機構に動力伝達する伝動ケースを、車体側面視で前記走行車輪と重合する配置で備えている請求項1記載の歩行型田植機。
【請求項4】
前記ガイド軸と前記移送体とのうちの前記苗載せ台に横移送力を出力する部材と、前記苗載せ台とを一体移動自在に連結する連結手段に、前記苗載せ台の前記出力をする部材に対する苗載せ台横方向での連結位置を調節する調節部を備えてある請求項1〜3のいずれか一項に記載の歩行型田植機。
【請求項5】
前記苗載せ台を前記苗植付け機構に対して苗載せ台縦方向に移動調節する苗取り量調節手段を備え、
前記ガイド軸と前記移送体とのうちの前記苗載せ台に横移送力を出力する部材と、前記苗載せ台とを一体移動自在に連結する連結手段に、前記苗載せ台の前記出力をする部材に対する苗載せ台縦方向での相対移動を許容する融通を備えてある請求項1〜3のいずれか一項に記載の歩行型田植機。
【請求項6】
前記ガイド軸と前記移送体とのうちの前記苗載せ台に横移送力を出力する部材と、前記苗載せ台とを一体移動自在に連結する連結手段に、前記ガイド軸の直径よりも大の車体上下方向での大きさを備えた連結板体を設け、
前記連結板体に、この連結板体の車体横方向での両端側が前記苗載せ台の横端部に連結され、かつ、前記連結板体が車体側面視で前記走行車輪の外周に沿った組み付け姿勢を備えてある請求項1〜5のいずれか一項に記載の歩行型田植機。
【請求項7】
前記ガイド軸が回転駆動され、前記移送体が前記ガイド軸に沿わせて移動操作されて前記苗載せ台に横移送力を出力するように構成し、
前記ガイド軸に一体回転自在に設けた縦送り駆動アームと、前記苗載せ台が備える苗縦送り体に連動されるとともに前記苗載せ台と共に横移動する縦送り操作部材とを備えるとともに、前記苗載せ台が横移動ストロークエンドに到達すると、前記縦送り操作部材が前記縦送り駆動アームに当接してこの縦送り駆動アームによって揺動駆動されることによって前記苗縦送り体を操作するよう構成してある請求項1〜6のいずれか一項に記載の歩行型田植機。
【請求項8】
前記縦送り操作部材が前記移送体に揺動自在に支持されている請求項7記載の歩行型田植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−136248(P2009−136248A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−318625(P2007−318625)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】