説明

歩行型耕耘機

【課題】耕耘爪により掻き上げられて隣り合うロータ板の間に入り込んだ土がロータ板の壁面に付着することを防止して歩行型耕耘機の作業効率を高めることである。
【解決手段】駆動軸36の両先端に、外周部にギヤケース33の側に向けて傾斜する複数の耕耘爪41bを備えた外側ロータ板41を固定し、駆動軸36の外側ロータ板41とギヤケース33との間に、外周部に外側ロータ板41の側とギヤケース33の側とに向けて交互に傾斜する複数の耕耘爪42b1,42b2を備えた内側ロータ板42を固定するとともに、駆動軸36の外側ロータ板41と内側ロータ板42との間に、外周部に外側ロータ板41の側と内側ロータ板42の側とに向けて交互に傾斜するとともに耕耘爪41b,42b1,42b2よりも径方向内側に配置される複数の補助爪51b1,51b2を備えた補助ロータ板51を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が操作ハンドルを操作して歩行しながら耕耘作業を行う歩行型耕耘機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、田畑や家庭菜園等の土壌を耕耘するために歩行型耕耘機が使用されている。歩行型耕耘機はエンジンや電動モータ等の駆動源を備え、駆動源に回転駆動される耕耘爪により土壌を耕耘するようになっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、エンジンにより回転駆動される駆動軸にロータ板を固定し、このロータ板の外周部に周方向に並べて複数の耕耘爪を設け、エンジンによりロータ板とともに回転駆動される耕耘爪により土壌を耕耘するようにした歩行型耕耘機が記載されている。
【0004】
このような歩行型耕耘機では、エンジンが搭載される機体フレームに操作ハンドルが連結され、作業者は操作ハンドルの操作により、ロータ板の耕耘爪を土壌に押し付けて土壌の耕耘作業を行うことができる。また、複数のロータ板が回転することにより、動力により駆動される駆動輪が無くても、耕耘機はロータ板の回転により前進駆動され、作業者は耕耘機の前進に合わせて歩行しながら土壌の耕耘作業を行うことができる。ロータ板は、外周方向に突出する複数の凸部を外周部に備えた花型の板材の凸部を折り曲げることにより形成されており、各耕耘爪はロータ板に対して軸方向に傾斜した板状に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−98601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような歩行型耕耘機では、一度の耕耘で残し無く土壌を耕耘できるように、隣り合うロータ板は、互いの耕耘爪の移動経路が一部重複するように近接して配置されている。そのため、耕耘爪により掻き上げられた土が隣り合うロータ板の間に入り込むと、その土がロータ板の壁面に付着し易い。特に、湿った土壌を耕耘すると、ロータ板の間に入り込んだ土がロータ板の壁面に大量に付着し、耕耘爪が土壌に入り込みづらくなったり、駆動軸の回転抵抗が大きくなったりして、耕耘機の作業効率が大きく低下することになる。
【0007】
また、ロータ板の壁面に付着した土が駆動軸にこびりついてしまうと、メンテナンス等のためにロータ板を駆動軸から取り外す作業が困難となる。
【0008】
本発明の目的は、耕耘爪により掻き上げられて隣り合うロータ板の間に入り込んだ土がロータ板の壁面に付着することを防止して歩行型耕耘機の作業効率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の歩行型耕耘機は、駆動源が搭載される機体フレームに操作ハンドルが連結された歩行型耕耘機であって、前記駆動源により回転駆動される駆動軸と、前記駆動軸の軸方向の一方側に向けて傾斜する複数の第1耕耘爪が外周部に周方向に並べて設けられ、前記駆動軸に固定される第1ロータ板と、前記第1ロータ板に対して前記第1耕耘爪が傾斜する軸方向の一方側にずれて前記駆動軸に固定され、前記第1ロータ板の側に向けて傾斜する複数の第2耕耘爪が外周部に設けられる第2ロータ板と、前記第1ロータ板と前記第2ロータ板との間において前記駆動軸に固定され、前記第1耕耘爪と前記第2耕耘爪よりも径方向内側に配置される複数の補助爪が外周部に設けられる補助ロータ板とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の歩行型耕耘機は、前記第1耕耘爪と前記第2耕耘爪に対して前記補助爪が周方向にずれて配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の歩行型耕耘機は、周方向に並ぶ前記補助爪が、前記第1ロータ板の側と前記第2ロータ板の側とに向けて交互に傾斜していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、駆動軸に固定される第1ロータ板と第2ロータ板との間に、第1ロータ板に設けられる第1耕耘爪と第2ロータ板に設けられる第2耕耘爪よりも径方向内側に配置される複数の補助爪を外周部に備えた補助ロータ板を設けるようにしたので、第1ロータ板と第2ロータ板との間に入り込んだ土を補助爪により粉砕して第1ロータ板と第2ロータ板との間から外部にこぼれ落ちやすくすることができる。これにより、耕耘爪により掻き上げられて隣り合うロータ板の間に入り込んだ土がロータ板の壁面に付着することを防止して、歩行型耕耘機の作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態である歩行型耕耘機の斜視図である。
【図2】図1に示す耕耘装置の正面図である。
【図3】図1に示す耕耘装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
図1に示す歩行型耕耘機11は、作業者が歩行しながら耕耘作業を行うものであり、田畑や家庭菜園等の土壌を耕耘するために使用される。
【0016】
歩行型耕耘機11は金属や樹脂製のパイプ材により形成された左右一対の操作ハンドル12a,12bを備えており、各操作ハンドル12a,12bの先端にはそれぞれハンドルグリップ13a,13bが装着されている。これらのハンドルグリップ13a,13bは作業者の持ち手となる部分であり、作業者はこれらのハンドルグリップ13a,13bを把持して歩行型耕耘機11を操作することができる。
【0017】
各操作ハンドル12a,12bは中間フレーム14を介して機体フレーム15に連結されている。中間フレーム14は金属や樹脂製のパイプ材によりU字形に形成されており、各操作ハンドル12a,12bはノブ付きボルト16により中間フレーム14の両側部に固定されている。機体フレーム15はU字形に曲げられた金属や樹脂製のパイプ材の中間部をL字状に曲げた形状に形成されており、中間フレーム14の下端側にノブ付きボルト17により固定されている。
【0018】
機体フレーム15には駆動源としてエンジン21が搭載されている。エンジン21としては2サイクルのガソリンエンジンが用いられており、そのクランク軸21aを下方側に向けて突出させるように機体フレーム15に縦置きに配置されている。機体フレーム15には金属や強化プラスチック等により形成された収容ケース22が取り付けられており、エンジン21や始動装置等が収容ケース22の内部に収容されている。また、エンジン21の側部には燃料タンク23が取り付けられている。
【0019】
右側の操作ハンドル12aにはハンドルグリップ13aに隣接してスロットルレバー24が取り付けられており、このスロットルレバー24はスロットルケーブル25を介してエンジン21に連結されている。作業者は、ハンドルグリップ13a,13bを握りながらスロットルレバー24を操作することにより、エンジン21の回転数を制御することができる。
【0020】
エンジン21の下方側には耕耘装置31が設けられており、エンジン21の駆動力を受けて作動する耕耘装置31により土壌が耕耘される。エンジン21と耕耘装置31との間に位置して機体フレーム15には土よけカバー32が取り付けられており、この土よけカバー32により耕耘作業時にエンジン21に土が付着することが防止されるようになっている。
【0021】
図2に示すように、耕耘装置31はエンジン21に固定されるギヤケース(軸ホルダ)33を備えており、このギヤケース33はクランク軸21aと同軸となってエンジン21から下方に向けて突出している。ギヤケース33の内部にはクランク軸21aと同軸状に配置されたウォーム軸34が回転自在に収容されており、ウォーム軸34は遠心クラッチ35を介してクランク軸21aに連結されている。ギヤケース33の先端部分にはウォーム軸34と直交するとともに水平方向に向けて駆動軸(耕耘軸)36が装着されている。駆動軸36は中央部分においてギヤケース33に回転自在に支持されており、その両端部分はそれぞれギヤケース33から突出している。また、駆動軸36の中央部分にはウォームホイル37が固定されており、このウォームホイル37がウォーム軸34に噛み合わされている。
【0022】
エンジン21が作動し、スロットルレバー24の操作によりクランク軸21aの回転数が所定回転数以上とされると、遠心クラッチ35が動力伝達状態に切り替わる。遠心クラッチ35が動力伝達状態となると、クランク軸21aの回転がウォーム軸34とウォームホイル37とを介して駆動軸36に伝達され、駆動軸36がエンジン21に駆動されて回転する。
【0023】
ギヤケース33から突出する駆動軸36の両先端には、それぞれ第1ロータ板としての外側ロータ板41が取り付けられている。また、駆動軸36の外側ロータ板41とギヤケース33との間の部分には、それぞれ第2ロータ板としての内側ロータ板42が取り付けられている。つまり、駆動軸36のギヤケース33を挟んで突出する両側には、それぞれギヤケース33を挟んで対称に一対のロータ板41,42が取り付けられている。各ロータ板41,42は、それぞれ駆動軸36とともにエンジン21により回転駆動され、回転するロータ板41,42を土壌に押し付けることにより土壌を耕耘することができる。
【0024】
ギヤケース33にはコネクトバー43が取り付けられている。コネクトバー43は耕耘装置31に対して後方側つまり機体フレーム15に対して操作ハンドル12a,12bが曲がる側に突出しており、その先端には一対の車輪44が回転自在に取り付けられている。
【0025】
次に、耕耘装置31の詳細について説明する。
【0026】
外側ロータ板41は、それぞれ平板状に形成されたロータ本体41aと、ロータ本体41aの外周部に周方向に等間隔に並べて設けられた4つの耕耘爪(第1耕耘爪)41bとを備えている。ロータ本体41aの軸心には円筒状のボス41cが固定されており、このボス41cにおいて外側ロータ板41は駆動軸36に固定されている。各耕耘爪41bは、その回転方向前方側を向く一辺が回転方向に対して鋭角に傾斜し、回転方向後方側の一辺が回転方向に対して略直角となった三角形の板状に形成されており、それぞれロータ本体41a(駆動軸36の径方向)に対して駆動軸36の軸方向の一方側つまりギヤケース33の側に向けて傾斜している。なお、各ロータ板41,42の回転方向は図3において反時計回り方向である。
【0027】
内側ロータ板42は、それぞれ平板状に形成されたロータ本体42aと、ロータ本体42aの外周部に周方向に等間隔に並べて設けられた4つの耕耘爪42b1,42b2とを備えている。ロータ本体42aの軸心には円筒状のボス42cが固定されており、このボス42cにおいて内側ロータ板42は外側ロータ板41に対して耕耘爪41bが傾斜する軸方向の一方側に所定の距離だけずれて駆動軸36に固定されている。内側ロータ板42の耕耘爪42b1,42b2は、外側ロータ板41の耕耘爪41bと同様に、その回転方向前方側を向く一辺が回転方向に対して鋭角に傾斜し、回転方向後方側の一辺が回転方向に対して略直角となった三角形の板状に形成されている。また、内側ロータ板42の互いに回転対称に配置される一対の耕耘爪(第2耕耘爪)42b1はロータ本体42a(駆動軸36の径方向)に対して外側ロータ板41の側に向けて傾斜しており、互いに回転対称に配置される残りの一対の耕耘爪42b2はロータ本体42aに対してギヤケース33の側に向けて傾斜している。つまり、内側ロータ板42の4つの耕耘爪42b1,42b2は、ロータ本体42aに対して軸方向の一方側と他方側とに交互に逆向きに傾斜している。
【0028】
図示する場合では、外側ロータ板41と内側ロータ板42は、それぞれ打ち抜き加工やプレス加工等により外周部に周方向に等間隔(90度毎)に並ぶとともに外周側に突出する4つの凸形状を有する鋼板等の金属板を形成し、この金属板の凸形状の先端側をプレス装置等により曲げ加工することにより、平板状のロータ本体41a、42aと4つの傾斜した耕耘爪41bまたは耕耘爪42b1,42b2とを備えた形状に形成されている。
【0029】
図2に示すように、外側ロータ板41と内側ロータ板42との軸方向の間隔は、外側ロータ板41の耕耘爪41bの移動経路と、内側ロータ板42の外側ロータ板41の側に向けて傾斜する一対の耕耘爪42b1の移動経路とが一部重複する間隔、つまり駆動軸36の軸方向についての外側ロータ板41の耕耘爪41bの位置と内側ロータ板42の耕耘爪42b1の位置とが一部重複する間隔に設定されている。また、図3に示すように、外側ロータ板41と内側ロータ板42は、外側ロータ板41の耕耘爪41bに対して内側ロータ板42の耕耘爪42b1,42b2が周方向に45度ずれるように配置されている。つまり、内側ロータ板42の各耕耘爪42b1,42b2は、周方向について外側ロータ板41の隣り合う耕耘爪41bの間に配置されている。これにより、駆動軸36とともに外側ロータ板41と内側ロータ板42とが回転すると、外側ロータ板41の耕耘爪41bと内側ロータ板42の耕耘爪42b1,42b2とが交互に土壌に食い込んで耕耘が行われることになる。また、このとき、外側ロータ板41の耕耘爪41bと内側ロータ板42の耕耘爪42b1は互いに移動経路を一部重複させて配置され、それぞれの内側ロータ板42の他の耕耘爪42b2はギヤケース33の側に曲げられて互いに近接配置されているので、一度歩行型耕耘機11が通過した場所の土壌を各ロータ板41,42の耕耘爪41b,42b1,42b2により残し無く耕耘することができる。
【0030】
この歩行型耕耘機11では、外側ロータ板41の耕耘爪41bまたは内側ロータ板42の耕耘爪42b1により掻き上げられて外側ロータ板41と内側ロータ板42との間に入り込んだ土を粉砕するために、外側ロータ板41と内側ロータ板42との間にそれぞれ補助ロータ板51を設けるようにしている。
【0031】
補助ロータ板51は、それぞれ平板状に形成されたロータ本体51aと、ロータ本体51aの外周部に周方向に等間隔に並べて設けられた8つの補助爪51b1,51b2とを備えている。ロータ本体51aの軸心には円筒状のボス51cが固定されており、このボス51cが外側ロータ板41のボス41cと内側ロータ板42のボス42cとの間に配置されたスペーサ52a,52bの間に挟み込まれることにより、このボス51cにおいて補助ロータ板51は外側ロータ板41と内側ロータ板42との中間位置において駆動軸36に固定されている。各補助爪51b1,51b2は、その回転方向前方側を向く一辺が回転方向に対して鋭角に傾斜し、回転方向後方側の一辺が回転方向に対して略直角となった三角形の板状に形成されており、その大きさは外側ロータ板41の耕耘爪41bや内側ロータ板42の耕耘爪42b1,42b2よりも小さくなっている。
【0032】
図示する場合では、補助ロータ板51は、打ち抜き加工やプレス加工等により外周部に周方向に等間隔(45度毎)に並ぶとともに外周側に突出する8つの凸形状を有する鋼板等の金属板を形成し、この金属板の凸形状の先端側をプレス装置等により曲げ加工することにより、平板状のロータ本体51aと8つの傾斜した補助爪51b1,51b2を備えた形状に形成されている。
【0033】
図3に示すように、補助ロータ板51の外径寸法は外側ロータ板41や内側ロータ板42よりも小さくされており、補助爪51b1,51b2は外側ロータ板41の耕耘爪41bや内側ロータ板42の耕耘爪42b1よりも径方向内側に配置されている。つまり、補助爪51b1,51b2は耕耘爪41bと耕耘爪42b1との移動経路が重複する部分の径方向内側に配置されている。また、補助ロータ板51は、それぞれの補助爪51b1,51b2が外側ロータ板41の耕耘爪41bまたは内側ロータ板42の耕耘爪42b1,42b2に対して周方向に22.5度ずれるように配置されている。つまり、補助ロータ板51の補助爪51b1,51b2は、隣り合う外側ロータ板41の耕耘爪41bと内側ロータ板42の耕耘爪42b1,42b2との間に配置されている。外側ロータ板41の耕耘爪41bの回転方向後方側に並んで配置されることになる補助爪51b1はロータ本体51a(駆動軸36の径方向)に対して外側ロータ板41の側に傾斜しており、内側ロータ板42の耕耘爪42b1,42b2の回転方向後方側に並んで配置されることになる補助爪51b2はロータ本体51a(駆動軸36の径方向)に対して内側ロータ板42の側に傾斜している。つまり、補助爪51b1,51b2は、ロータ本体51aに対して軸方向の一方側と他方側とに交互に逆向きに傾斜している。
【0034】
このような補助ロータ板51を外側ロータ板41と内側ロータ板42との間に設けることにより、駆動軸36とともに外側ロータ板41、内側ロータ板42および補助ロータ板51が回転すると、土壌を耕耘した外側ロータ板41の耕耘爪41bには補助爪51b1が追従し、土壌を耕耘した内側ロータ板42の耕耘爪42b1には補助爪51b2が追従することになる。
【0035】
この歩行型耕耘機11は、エンジン21により外側ロータ板41と内側ロータ板42とを回転駆動し、作業者が操作ハンドル12a,12bを操作することにより、回転する外側ロータ板41の耕耘爪41bと内側ロータ板42の耕耘爪42b1,42b2とを土壌に押し付けて土壌の耕耘作業を行うことができる。この歩行型耕耘機11には動力により駆動される駆動輪が設けられていないが、各ロータ板は図3においてそれぞれ反時計回りに回転することから、外側ロータ板41と内側ロータ板42の回転により前進駆動され、作業者は歩行型耕耘機11の前進に合わせて歩行しながら土壌の耕耘作業を行うことができる。また、操作ハンドル12a,12bの操作により、コネクトバー43に設けられた車輪44を支点として土壌に対して各ロータ板41,42を上下に移動させることで、歩行型耕耘機11の進行速度や耕耘深さなどを調整することができる。
【0036】
エンジン21により回転駆動される外側ロータ板41と内側ロータ板42とを土壌に押し付けて土壌を耕耘すると、各ロータ板41,42の耕耘爪41b、42b1により掻き上げられた土が外側ロータ板41と内側ロータ板42との間に入り込むことになる。本発明の歩行型耕耘機11では、外側ロータ板41と内側ロータ板42との間に補助爪51b1,51b2を備えた補助ロータ板51を設けるようにしているので、耕耘爪41b、42b1により掻き上げられて外側ロータ板41と内側ロータ板42との間に入り込んだ土は、外側ロータ板41と内側ロータ板42との間に設けた補助ロータ板51の補助爪51b1,51b2により粉砕されることになる。つまり、外側ロータ板41の耕耘爪41bの後にはこの耕耘爪41bよりも径方向内側において内側ロータ板42の側に傾斜する補助爪51b2が追従するので、外側ロータ板41の耕耘爪41bにより掻き上げられて外側ロータ板41と内側ロータ板42との間に入り込んだ土は、その後に追従する補助爪51b2により粉砕される。また、内側ロータ板42の外側ロータ板41の側に傾斜する耕耘爪42b1の後にはこの耕耘爪42b1よりも径方向内側において内側ロータ板41の側に傾斜する補助爪51b1が追従しているので、内側ロータ板42の耕耘爪42b1により掻き上げられて外側ロータ板41と内側ロータ板42との間に入り込んだ土は、その後に追従する補助爪51b1により粉砕される。このように、各ロータ板41,42の耕耘爪41b、42b1により掻き上げられた土が外側ロータ板41と内側ロータ板42との間に入り込んでも、その土はこれを掻き上げた耕耘爪41b、42b1に追従する補助爪51b1,51b2により順次細かく粉砕されるので、外側ロータ板41と内側ロータ板42との間に入り込んだ土を各ロータ板41,42の間から外部にこぼれ落ち易くすることができる。特に、湿った土を耕耘する際には、耕耘爪41b,42b1により掻き上げられた大量の土が外側ロータ板41と内側ロータ板42との間に入り込んでも、その土を耕耘爪41b、42b1に追従する補助爪51b1,51b2により順次細かく粉砕して、各ロータ板41,42の間から外部に排出させることができる。これにより、耕耘作業時に、耕耘爪41b、42b1により掻き上げられて外側ロータ板41と内側ロータ板42との間に入り込んだ土が各ロータ板41,42のロータ本体41a、42aや耕耘爪41b、42b1の壁面に付着して、耕耘爪41b、42b1が土壌に入り込みづらくなったり、駆動軸36の回転抵抗が大きくなったりして、この歩行型耕耘機11の作業効率が低下することを防止することができる。
【0037】
このように、本発明の歩行型耕耘機11では、外側ロータ板41と内側ロータ板42との間に補助爪51b1,51b2を備えた補助ロータ板51を設けるようにしたので、耕耘作業時に外側ロータ板41の耕耘爪41bや内側ロータ板42の耕耘爪42b1により掻き上げられて隣り合うロータ板41,42の間に入り込んだ土が、ロータ本体41a、42aや耕耘爪41b,42b1の壁面に付着することを防止して、この歩行型耕耘機11の作業効率を高めることができる。
【0038】
また、外側ロータ板41の耕耘爪41bに追従して、内側ロータ板42の側に傾斜する補助爪51b2を、内側ロータ板42の耕耘爪42b1に追従して、外側ロータ板41の側に傾斜する補助爪51b1を、それぞれ設けており、即ち耕耘爪と同じ方向に傾斜する補助爪を追従させるようにしていることから、耕耘爪と補助爪の刃先の間隔が過度に狭まることがなく、掻き上げられた土を効率的に粉砕し、排出することができる。
【0039】
また、各ロータ板41,42の壁面に付着した土が駆動軸36にこびりつくことを防止することができるので、メンテナンス等のために外側ロータ板41や内側ロータ板42を駆動軸36から取り外す作業を容易にすることができる。
【0040】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、前記実施の形態においては、エンジン21として2サイクルガソリンエンジンを用いているが、これに限らず、4サイクルガソリンエンジンや、ガソリン以外の燃料を用いたエンジンなど、他の形式のエンジンを用いてもよい。
【0041】
また、駆動源としては、エンジン21に限らず、例えば同期電動機や誘導電動機などの電動モータを用いるようにしてもよい。この場合、収容ケース22には二次電池や燃料電池等のバッテリを収容するようにしてもよい。
【0042】
さらに、前記実施の形態においては、外側ロータ板41、内側ロータ板42および補助ロータ板51を、金属板の曲げ加工により、ロータ本体に耕耘爪や補助爪を一体に設けるようにした構成としているが、これに限らず、ロータ本体とは別体に形成し耕耘爪や補助爪をロータ本体に取り付ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0043】
11 歩行型耕耘機
12a,12b 操作ハンドル
13a,13b ハンドルグリップ
14 中間フレーム
15 機体フレーム
16,17 ノブ付きボルト
21 エンジン(駆動源)
21a クランク軸
22 収容ケース
23 燃料タンク
24 スロットルレバー
25 スロットルケーブル
31 耕耘装置
32 土よけカバー
33 ギヤケース
34 ウォーム軸
35 遠心クラッチ
36 駆動軸
37 ウォームホイル
41 外側ロータ板(第1ロータ板)
41a ロータ本体
41b 耕耘爪(第1耕耘爪)
41c ボス
42 内側ロータ板(第2ロータ板)
42a ロータ本体
42b1 耕耘爪(第2耕耘爪)
42b2 耕耘爪
42c ボス
43 コネクトバー
44 車輪
51 補助ロータ板
51a ロータ本体
51b1,51b2 補助爪
51c ボス
52a,52b スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源が搭載される機体フレームに操作ハンドルが連結された歩行型耕耘機であって、
前記駆動源により回転駆動される駆動軸と、
前記駆動軸の軸方向の一方側に向けて傾斜する複数の第1耕耘爪が外周部に周方向に並べて設けられ、前記駆動軸に固定される第1ロータ板と、
前記第1ロータ板に対して前記第1耕耘爪が傾斜する軸方向の一方側にずれて前記駆動軸に固定され、前記第1ロータ板の側に向けて傾斜する複数の第2耕耘爪が外周部に設けられる第2ロータ板と、
前記第1ロータ板と前記第2ロータ板との間において前記駆動軸に固定され、前記第1耕耘爪と前記第2耕耘爪よりも径方向内側に配置される複数の補助爪が外周部に設けられる補助ロータ板とを有することを特徴とする歩行型耕耘機。
【請求項2】
前記第1耕耘爪と前記第2耕耘爪に対して前記補助爪が周方向にずれて配置されていることを特徴とする請求項1記載の歩行型耕耘機。
【請求項3】
周方向に並ぶ前記補助爪が、前記第1ロータ板の側と前記第2ロータ板の側とに向けて交互に傾斜していることを特徴とする請求項1または2記載の歩行型耕耘機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−59288(P2013−59288A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200155(P2011−200155)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】