説明

歩行型農作業機

【課題】取り外した変速レバーを収納する際や、収納した変速レバーを取り付ける際の作業を容易にする。
【解決手段】エンジンと、エンジン動力を変速する変速装置が内装されたミッションケース2と、ミッションケース2から出力される動力で機体を走行させる車輪4と、ミッションケース2から上方に突設されるハンドルフレーム7と、ハンドルフレーム7の上端部に折り畳み自在に設けられるハンドルと、変速装置を変速操作する変速レバー12と、を備える歩行型農作業機において、変速レバー12を、ミッションケース2からハンドルフレーム7に沿って延出させると共に、変速レバー12の一部又は全体を着脱自在に構成し、さらに、ハンドルフレーム7の一側面部に、取り外した変速レバー12を着脱自在に収納可能な変速レバー収納部14を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行型管理機などの歩行型農作業機に関し、特に、コンパクトに格納可能な歩行型農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行型管理機などの歩行型農作業機が知られている。この種の歩行型農作業機のなかでも、特に家庭菜園などの用途に適した小型のものでは、収納や運搬を容易にするために、非使用時にはコンパクトに格納できるようにすることが求められている。例えば、特許文献1に示される歩行型農作業機では、機体から後方上方に延出するハンドルを折畳み自在に構成すると共に、同様に後方上方に延出する変速レバーの一部又は全体を着脱自在に構成し、取り外した変速レバーをロータリカバーの上部に収納可能に構成している。このような歩行型農作業機によれば、ハンドルの折り畳みや変速レバーの取り外しにより、機体をコンパクトに格納できるだけでなく、取り外した変速レバーの紛失も防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−191866公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の歩行型農作業機では、本来の変速レバー位置と、取り外した変速レバーの収納位置が離れているので、取り外した変速レバーを収納する際や、収納した変速レバーを取り付ける際の作業が面倒に感じられることがあった。また、特許文献1の歩行型農作業機では、取り外した変速レバーを機体の幅方向に沿って収納するので、収納された変速レバーの一部が機体の左右幅から突出し、邪魔になる惧れがあった、
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、エンジンと、エンジン動力を変速する変速装置が内装されたミッションケースと、ミッションケースから出力される動力で機体を走行させる走行装置と、ミッションケースから上方に突設されるハンドルフレームと、ハンドルフレームの上端部に折り畳み自在に設けられるハンドルと、変速装置を変速操作する変速レバーと、を備える歩行型農作業機において、前記変速レバーを、ミッションケースからハンドルフレームに沿って延出させると共に、変速レバーの一部又は全体を着脱自在に構成し、さらに、ハンドルフレームの一側面部に、取り外した変速レバーを着脱自在に収納可能な変速レバー収納部を設けたことを特徴とする。
また、請求項2の発明は、前記変速レバー収納部に収納した変速レバーの下端側が、ミッションケースの一側面部に沿うことを特徴とする。
また、請求項3の発明は、前記変速レバー収納部に収納した変速レバーの上端が、ハンドルフレームの上端よりも下方に位置し、かつ、変速レバー収納部に収納した変速レバーの下端が、ミッションケースの下端よりも上方に位置することを特徴とする。
また、請求項4の発明は、前記ハンドルフレームに変速レバーのレバーガイドを備え、取り外した変速レバーを変速レバー収納部の適正位置に収納したとき、側面視で変速レバーのグリップ下端位置とレバーガイド位置が略一致することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、ハンドルフレームの一側面部に、取り外した変速レバーを着脱自在に収納可能な変速レバー収納部を設けたので、本来の変速レバー位置と、取り外した変速レバーの収納位置が近くなり、取り外した変速レバーを収納する際や、収納した変速レバーを取り付ける際の作業が容易になる。
また、請求項2の発明によれば、変速レバー収納部に収納した変速レバーの下端側が、ミッションケースの一側面部に沿うので、収納した変速レバーの下端側が機体から突出して邪魔になることがない。
また、請求項3の発明によれば、収納した変速レバーの上端が、ハンドルフレームの上端よりも下方に位置し、かつ、収納した変速レバーの下端が、ミッションケースの下端よりも上方に位置するので、収納した変速レバーを、歩行型農作業機の格納容積内に確実に収めることができる。
また、請求項4の発明によれば、取り外した変速レバーを変速レバー収納部の適正位置に収納したとき、側面視で変速レバーのグリップ下端位置とレバーガイド位置が略一致するようにしたので、変速レバーのグリップ下端位置を基準とすることにより、変速レバーを適正位置に容易に収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】歩行型農作業機の側面図である。
【図2】歩行型農作業機の平面図である。
【図3】変速レバー収納状態を示す要部側面図である。
【図4】(A)はキャッチ部材の平面図、(B)はキャッチ部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1及び図2において、1は歩行型農作業機(歩行型管理機)であって、該歩行型農作業機1は、機体フレームに兼用される側面視略への字状のミッションケース2を備えている。ミッションケース2の後端部左右両側には、車軸3を介して車輪(走行装置)4が軸支され、また、ミッションケース2の前端部には、左右外側方に延出するロータリ耕耘軸5が軸支されている。
【0009】
ミッションケース2の上部には、エンジン6が搭載されている。エンジン6は、テンションクラッチからなるメインクラッチ(図示せず)を介して、ミッションケース2に動力を入力している。ミッションケース2には、走行動力を変速する走行変速機構と、耕耘動力を変速する耕耘変速機構とを含むトランスミッションが内装されている。すなわち、本実施形態のミッションケース2は、エンジン6から車輪4に駆動力を伝動する走行伝動ケースと、エンジン6からロータリ耕耘軸5に駆動力を伝動する耕転伝動ケースとに兼用されている。
【0010】
ミッションケース2の後部には、斜め上方に向かって突出するハンドルフレーム7がボルト固定されている。ハンドルフレーム7は、左右一対のハンドルブラケット7aと、ハンドルブラケット7aの後端部同士を一体的に連結するパイプ7bとを備えて構成されており、パイプ7bの左右両端部には、平面視で略U字状に形成されるハンドル9の基端部がノブ付きボルト10を介して取り付けられている。ノブ付きボルト10を締めると、ハンドル9がパイプ7aに対して固定される一方、ノブ付きボルト10を緩めると、ノブ付きボルト10を回動支点とするハンドル9の前後回動が許容される。すなわち、図1及び図2に示すように、作業時には、ハンドル9を後方斜め上方に突出する姿勢で固定しているが、非作業時には、ノブ付きボルト10を緩めてハンドル9を前倒し方向に回動させることにより、ハンドル9を折畳み状に格納できるようにしてある。これにより、機体がコンパクトに格納され、機体の運搬や収納が容易になる。
【0011】
ハンドル9には、メインクラッチの入り切りを操作するクラッチ操作具11が設けられている。このクラッチ操作具11の操作により、車輪4及びロータリ耕耘軸5の駆動を入り切りすることが可能になる。また、ミッションケース2からは、後方斜め上方に向かって変速レバー12が突設されている。変速レバー12は、車輪4及びロータリ耕耘軸5の変速操作に兼用されるものであり、レバーガイド13のガイド孔に沿って前後及び左右に操作される。また、変速レバー12には、着脱部12aが構成されている。この着脱部12aは、変速レバー12の一部又は全体を着脱自在にするためのものであり、例えば、雌ねじと雄ねじからなる継手で構成することができる。このような着脱部12aを設けると、ハンドル9の折畳み時に変速レバー12を取り外し、機体をよりコンパクトに格納することが可能になる。
【0012】
図3に示すように、ハンドルフレーム7の一側面部には、取り外した変速レバー12を着脱自在に収納可能な変速レバー収納部14が構成されている。例えば、ハンドルフレーム7の一側面部に、変速レバー12を係合保持可能なキャッチ部15を設けて変速レバー収納部14とする。このように、ハンドルフレーム7の一側面部に、取り外した変速レバー12を着脱自在に収納可能な変速レバー収納部14を設けると、本来の変速レバー位置と、取り外した変速レバー12の収納位置が近くなり、取り外した変速レバー12を収納する際や、収納した変速レバー12を取り付ける際の作業が容易になる。なお、キャッチ部15は、図4に示すように、先端側が変速レバー12の径よりも幅狭で、かつ、基端側が変速レバー12の径よりも幅広又は同等な間隔を存して立設される一対の係合爪15aを有し、その先端部間に変速レバー12の軸部を押し込むことにより、変速レバー12が係合保持される。
【0013】
本実施形態では、図3に示すように、変速レバー収納部14に収納した変速レバー12の下端側を、ミッションケース2の一側面部に沿わせる構成としてある。このようにすると、変速レバー収納部14に収納した変速レバー12の下端側が、機体から突出して邪魔になるという不都合がない。
【0014】
また、本実施形態では、図3に示すように、変速レバー収納部14に収納した変速レバー12の上端を、ハンドルフレーム7の上端よりも下方に位置させ、かつ、変速レバー収納部14に収納した変速レバー12の下端を、ミッションケース2の下端よりも上方に位置させる構成としてある。このようにすると、収納した変速レバー12を、歩行型農作業機1の格納容積内に確実に収めることができる。
【0015】
また、本実施形態では、図3に示すように、取り外した変速レバー12を変速レバー収納部14の適正位置に収納したとき、側面視で変速レバー12に設けられるグリップ12bの下端位置とレバーガイド13の位置が略一致する構成としてある。このようにすると、変速レバー12のグリップ下端位置を基準とすることにより、変速レバー12を適正位置に容易に収納することができる。
【0016】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、エンジン6と、エンジン動力を変速する変速装置が内装されたミッションケース2と、ミッションケース2から出力される動力で機体を走行させる車輪4と、ミッションケース2から上方に突設されるハンドルフレーム7と、ハンドルフレーム7の上端部に折り畳み自在に設けられるハンドル9と、変速装置を変速操作する変速レバー12と、を備える歩行型農作業機1において、変速レバー12を、ミッションケース2からハンドルフレーム7に沿って延出させると共に、変速レバー12の一部又は全体を着脱自在に構成し、さらに、ハンドルフレーム7の一側面部に、取り外した変速レバー12を着脱自在に収納可能な変速レバー収納部14を設けたので、本来の変速レバー位置と、取り外した変速レバー12の収納位置が近くなり、取り外した変速レバー12を収納する際や、収納した変速レバー12を取り付ける際の作業が容易になる。
【0017】
また、本実施形態では、変速レバー収納部14に収納した変速レバー12の下端側が、ミッションケース2の一側面部に沿うので、収納した変速レバー12の下端側が機体から突出して邪魔になることがない。
【0018】
また、本実施形態では、変速レバー収納部14に収納した変速レバー12の上端が、ハンドルフレーム7の上端よりも下方に位置し、かつ、変速レバー収納部14に収納した変速レバー12の下端が、ミッションケース2の下端よりも上方に位置するので、収納した変速レバー12を、歩行型農作業機1の格納容積内に確実に収めることができる。
【0019】
また、本実施形態では、ハンドルフレーム7に変速レバー12のレバーガイド13を備え、取り外した変速レバー12を変速レバー収納部14の適正位置に収納したとき、側面視で変速レバー12のグリップ下端位置とレバーガイド位置が略一致するので、変速レバー12のグリップ下端位置を基準とすることにより、変速レバー12を適正位置に容易に収納することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 歩行型農作業機
2 ミッションケース
4 車輪
6 エンジン
7 ハンドルフレーム
9 ハンドル
12 変速レバー
12b グリップ
12a 着脱部
13 レバーガイド
14 変速レバー収納部
15 キャッチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
エンジン動力を変速する変速装置が内装されたミッションケースと、
ミッションケースから出力される動力で機体を走行させる走行装置と、
ミッションケースから上方に突設されるハンドルフレームと、
ハンドルフレームの上端部に折り畳み自在に設けられるハンドルと、
変速装置を変速操作する変速レバーと、
を備える歩行型農作業機において、
前記変速レバーを、ミッションケースからハンドルフレームに沿って延出させると共に、変速レバーの一部又は全体を着脱自在に構成し、さらに、ハンドルフレームの一側面部に、取り外した変速レバーを着脱自在に収納可能な変速レバー収納部を設けたことを特徴とする歩行型農作業機。
【請求項2】
前記変速レバー収納部に収納した変速レバーの下端側が、ミッションケースの一側面部に沿うことを特徴とする請求項1記載の歩行型農作業機。
【請求項3】
前記変速レバー収納部に収納した変速レバーの上端が、ハンドルフレームの上端よりも下方に位置し、かつ、変速レバー収納部に収納した変速レバーの下端が、ミッションケースの下端よりも上方に位置することを特徴とする請求項2記載の歩行型農作業機。
【請求項4】
前記ハンドルフレームに変速レバーのレバーガイドを備え、取り外した変速レバーを変速レバー収納部の適正位置に収納したとき、側面視で変速レバーのグリップ下端位置とレバーガイド位置が略一致することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の歩行型農作業機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−193777(P2010−193777A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42354(P2009−42354)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】