説明

気泡シールド工法における掘削土の消泡方法及び消泡材

【課題】気泡を十分に消泡して、掘削土の残土処理を容易にすることができる気泡シールド工法における掘削土の消泡方法及び消泡材を提供する。
【解決手段】気泡を注入しながら地盤を掘削し、その掘削土に消泡材を添加して残土処理を施す気泡シールド工法における掘削土の消泡方法であって、気泡は、起泡剤と、増粘剤(グアガム)と、変質防止剤(ソマサイド)と、を含有する起泡材[OK−1+OK−3(ゲル化剤ありorゲル化剤なし)]を発泡させて得られたものであり、消泡材として、掘削土に含まれる気泡を消泡するための消泡剤(OK−01)と、消泡剤の消泡作用を促進するためのマンナナーゼ(OK−03)と、を含有する消泡材[OK−01+OK−03(マンナナーゼ含有)]を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気泡シールド工法における残土処理に関し、特に、気泡シールド工法における掘削土の消泡方法及び消泡材に関する。
【背景技術】
【0002】
気泡シールド工法(Rheological Foam Shield Tunneling Method)は、切羽あるいはチャンンバ内に特殊起泡材により生起された気泡を注入しながら掘進し、地盤を掘削するための工法である。かかる気泡シールド工法によれば、注入される微細なシェービングクリーム状の気泡が掘削土の流動性と止水性を向上させ、チャンバー内での掘削土の付着を防止するため、切羽の安定性を確保しながらスムーズな掘進が可能になる。
【0003】
そして、この気泡シールド工法では、掘進地盤の性状、すなわち粒径加積曲線から特殊起泡材のタイプが選定されており(非特許文献1参照)、例えば、図1(a)及び(b)に示すように、(1)粘土、シルト、細砂などからなるIゾーンの地盤には、Aタイプの特殊起泡材(OK−1)が適用され、(2)細砂、粗砂などからなるIIゾーンの地盤には、Aタイプの特殊起泡材あるいはBタイプの特殊起泡材[OK−1+OK−2若しくはOK−1+OK−3(増粘剤あり、ゲル化剤なし)]が適用される。また、(3)粗砂、細礫などからなるIIIゾーンの地盤には、Bタイプの特殊起泡材[OK−1+OK−2若しくはOK−1+OK−3(増粘剤あり、ゲル化剤なし)]が適用される。
【0004】
一方、(4)細礫、礫などからなるIVゾーンの地盤には、Bタイプの特殊起泡材[OK−1+OK−3(増粘剤あり、ゲル化剤なし)]と他の添加材あるいは補助工法の併用を必要としていたが、近年、本発明者らは新しいタイプ(以下「Cタイプ」という。)の特殊起泡材[OK−1+OK−3(増粘剤あり、ゲル化剤あり)]を開発しており、IVゾーンの地盤に適用されるに至っている(例えば、特許文献1参照)。このCタイプの特殊起泡材には、各種界面活性剤を気泡土作成用として特別に調整した特殊起泡剤(上記のOK−1参照)に加えて、増粘剤(例えば、グアガム,CMC等)と、増粘剤の変質を防止するための変質防止剤(例えば、ソマサイド等)と、増粘剤をゲル化するためのゲル化剤(例えば、ミョウバンや塩化鉄等の金属イオン)と、が含まれている。なお、ゲル化剤が含まれていないものは、前述したBタイプの特殊起泡材[OK−1+OK−2]と同様の性状を示すことから、Bタイプの特殊起泡材として取り扱われている。
【0005】
ところで、気泡シールド工法で掘削した掘削土には気泡が含まれており、そのままの状態では廃棄処理等ができず、消泡させた上で残土処理する必要がある。そして、Aタイプの特殊起泡材を用いた場合には、掘削土に含まれる気泡は自然消泡しやすいため、特殊消泡材を添加することなく消泡できる。しかし、Bタイプ若しくはCタイプの特殊起泡材を用いた場合には、掘削土に含まれる気泡は安定化されているが故に自然消泡しにくく、そのままの状態では消泡することが困難となる。そのため、これらの特殊起泡材を用いた場合には、別途、掘削土に特殊消泡材を添加して消泡する必要がある。
【0006】
そこで、従来、Bタイプの特殊起泡材[OK−1+OK−2]を用いた場合には、消泡材として、Bタイプの特殊消泡材[OK−01+OK−02]が用いられている(図1(b)参照)。また、Bタイプの特殊起泡材[OK−1+OK−3(増粘剤あり、ゲル化剤なし)]を用いた場合やCタイプの特殊起泡材[OK−1+OK−3(増粘剤あり、ゲル化剤あり)]を用いた場合にも、未だこれらに対応した特殊消泡材が開発されていないことから、Bタイプの特殊消泡材[OK−01+OK−02]が流用もしくは転用されていた。
【非特許文献1】気泡シールド工法技術資料「土質と特殊気泡材の選定基準」平成15年3月シールド工法技術協会発行;http://www.shield-method.gr.jp/gijyutsu/kiho.pdf
【特許文献1】特開2005−76285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、Bタイプの特殊起泡材[OK−1+OK−3(増粘剤あり、ゲル化剤なし)]を用いた気泡シールド工法にあっては、掘削土に増粘剤で安定強化された気泡が含まれているので、従来のBタイプの特殊消泡材[OK−01+OK−02]では消泡されにくい。また、Cタイプの特殊起泡材[OK−1+OK−3(増粘剤あり、ゲル化剤あり)]を用いた気泡シールド工法(以下「ゲル化気泡シールド工法」という。)にあっても、掘削土に増粘剤及びゲル化剤でより安定強化されたゲル化気泡が含まれているので、従来のBタイプの特殊消泡材では消泡されにくい。
【0008】
しかも、これらの特殊起泡材には、いずれも増粘剤の変質を防止するための変質防止剤が含まれており、この変質防止剤はBタイプの特殊消泡材の消泡作用を著しく低下させてしまう。そのため、従来の技術では、気泡を十分に消泡することができず、気泡シールド工法で掘削した掘削土の残土処理が困難であった。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、気泡を十分に消泡して掘削土の残土処理を容易にすることができる気泡シールド工法における掘削土の消泡方法及び消泡材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、気泡を注入しながら地盤を掘削し、その掘削土に消泡材を添加して残土処理を施す気泡シールド工法における掘削土の消泡方法であって、前記気泡は、気泡を生起するための起泡剤と、該起泡剤により生起された気泡を安定強化するための増粘剤と、該増粘剤の変質を防止するための変質防止剤と、を含有する起泡材を発泡させて得られたものであり、前記消泡材として、前記掘削土に含まれる気泡を消泡するための消泡剤と、該消泡剤の消泡作用を促進するためのマンナナーゼと、を含有する消泡材を用いることとする。
【0011】
また、本発明は、気泡を注入しながら地盤を掘削し、その掘削土に消泡材を添加して残土処理を施す気泡シールド工法における掘削土の消泡方法であって、前記気泡は、気泡を生起するための起泡剤と、該起泡剤により生起された気泡を安定強化するためのグアガムと、該増粘剤の変質を防止するための変質防止剤と、を含有する起泡材を発泡させて得られたものであり、前記消泡材として、前記掘削土に含まれる気泡を消泡するための消泡剤と、該消泡剤の消泡作用を促進するためのマンナナーゼと、を含有する消泡材を用いることとする。
【0012】
また、本発明は、ゲル化気泡を注入しながら地盤を掘削し、その掘削土に消泡材を添加して残土処理を施す気泡シールド工法における掘削土の消泡方法であって、前記ゲル化気泡は、気泡を生起するための起泡剤と、該起泡剤により生起された気泡を安定強化するための増粘剤と、該増粘剤の変質を防止するための変質防止剤と、を含有する起泡材を発泡させた後、前記増粘剤をゲル化するためのゲル化剤を添加して得られたものであり、前記消泡材として、前記掘削土に含まれるゲル化気泡を消泡するための消泡剤と、該消泡剤の消泡作用を促進するためのマンナナーゼと、を含有する消泡材を用いることとする。
【0013】
また、本発明は、ゲル化気泡を注入しながら地盤を掘削し、その掘削土に消泡材を添加して残土処理を施す気泡シールド工法における掘削土の消泡方法であって、前記ゲル化気泡は、気泡を生起するための起泡剤と、該起泡剤により生起された気泡を安定強化するためのグアガムと、該増粘剤の変質を防止するための変質防止剤と、を含有する起泡材を発泡させた後、前記増粘剤をゲル化するためのゲル化剤を添加して得られたものであり、前記消泡材として、前記掘削土に含まれるゲル化気泡を消泡するための消泡剤と、該消泡剤の消泡作用を促進するためのマンナナーゼと、を含有する消泡材を用いることとする。
【0014】
さらに、本発明は、気泡シールド工法で掘削した掘削土に、残土処理を施すために添加する気泡シールド工法における掘削土の消泡材であって、前記掘削土に含まれる気泡を消泡するための消泡剤と、該消泡剤の消泡作用を促進するためのマンナナーゼと、を含有することとする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、掘削土に含まれる気泡を十分に消泡して、掘削土の残土処理を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の各実施形態について説明する。本実施形態に係る掘削土の消泡方法は、気泡シールド工法により掘削した掘削土に、消泡材として本発明に係る特殊消泡材[OK−01+OK−03(マンナナーゼ含有)]を添加し、残土処理を施すものであり、地盤を掘削する際に、第1実施形態ではCタイプの特殊起泡材[OK−1+OK−3(増粘剤あり、ゲル化剤あり)]を用い、第2実施形態ではBタイプの特殊起泡材[OK−1+OK−3(増粘剤あり、ゲル化剤なし)]を用いている。
【0017】
===第1実施形態===
本実施形態は、ゲル化気泡シールド工法により掘削した掘削土に、消泡材として本発明の特殊消泡材[OK−01+OK−03(マンナナーゼ含有)]を添加し、残土処理を施すものである。なお、掘削土は主にIVゾーンの地盤を対象とし、特殊起泡材として、Cタイプの特殊起泡材[OK−1+OK−3(増粘剤あり、ゲル化剤あり)]を用いている。
【0018】
<ゲル化気泡シールド工法>
ゲル化気泡シールド工法は、ゲル化気泡を注入しながらIVゾーンの地盤(図1参照)を掘進する工法であり、起泡材としてCタイプの特殊起泡材[OK−1+OK−3(増粘剤あり、ゲル化剤あり)]を用いている(例えば、特許文献1参照)。なお、地盤に注入するゲル化気泡は、かかる起泡材を用いて発泡させた後、ゲル化剤を添加して得られたものである。
【0019】
Cタイプの特殊起泡材は、特殊起泡剤(「OK−1」に属する)と、特殊添加剤(「OK−3」に属する)とで構成される。特殊起泡剤は、各種界面活性剤を気泡土作成用として特別に調整したものであり、発泡性に優れた起泡剤である。一方、特殊添加剤は、起泡剤により生起された気泡を安定強化するための増粘剤と、増粘剤をゲル化するためのゲル化剤と、増粘剤の変質を防止するための変質防止剤とで構成される。増粘剤としては、例えば、CMC,グアガム、アルギン酸の中から選ばれた一種ないしはそれらの混合物が挙げられる。また、変質防止剤としては、例えば、ソマサイド、トミサイド、PCMX(パラクロロメタキシレノール)などが挙げられる。
【0020】
ゲル化剤は、上記の増粘剤をゲル化するための添加剤であり、特に、三価金属イオンまたはカルシウムイオン等の金属イオンが好ましく、例えば、アルミニウム化合物(ミョウバン、硫酸バンド等)、硫酸鉄、塩化鉄、アルミン酸ソーダ、ホウ砂、ホウ酸などの三価金属イオンや、塩化カルシウムなどのカルシウムイオンが挙げられる。
【0021】
<本発明の特殊消泡材>
次に、本発明の特殊消泡材は、ゲル化気泡シールド工法の掘削土に、残土処理を施すための消泡材であり、特殊消泡剤(「OK−01」に属する)と、消泡添加剤(「OK−03」に属する)とを含有する。但し、特殊消泡剤、消泡添加剤は、掘削土に対し同時若しくは順次に添加することとしてもよい。
【0022】
特殊消泡剤は、掘削土に含まれるゲル化気泡を消泡するための消泡剤であり、例えば、各種界面活性剤の混合物からなる。一方、消泡添加剤は、セルロース分解酵素であるマンナナーゼを含有する添加剤である。マンナナーゼは、一般のセルロース分解酵素(例えば、セルラーゼ等)とは異なり、増粘剤(例えば、グアガム等)の高分解活性を備えており、消泡剤の消泡作用を促進する。なお、かかるマンナナーゼとしては、例えば、(a)Bacillus sp.(b)Bacillus subtilis(c)Aspergillus niger等を起源とするものがあり、上記の性質を備えたものであれば、特に限定されるものではない。
【0023】
ところで、本発明者らは、上記のマンナナーゼが一般のセルロース分解酵素と比べ、特に優れたグアガム分解活性を示すことを確認した。以下に示す確認試験では、マンナナーゼとして、特開2004−249275号公報の第3頁に示されたNS44076(ノボザイム:ノボザイムズ社製)を用い、他方、一般のセルロース分解酵素として、セルラーゼ(Y−NC:ヤクルト薬品製、キシラナーゼ:メニコン製)を用いて、各酵素間における起泡材の粘度変化を比較した。その結果を表1及び表2に示す。
【0024】
なお、本確認試験では、特殊起泡剤(OK−1)として、AOS(アルファオレフィン系スルホン酸ナトリウム)を主成分とする界面活性剤1%を用い、特殊添加剤(OK−3)として、増粘剤:グアガム1%と、変質防止剤:ソマサイド0.1%とを含有するものを用いた。但し、表1の起泡材(実施例1)には、変質防止剤としてソマサイドが含まれているが、表2の起泡材(比較例1)には、変質防止剤が含まれていない。また、ゲル化剤として、金属イオン:ホウ砂0.04%を用いた。表1の起泡材の初期粘度は、1,600mPa・Sに調整し、表2の起泡材の初期粘度は、1,700mPa・Sに調整した。
【0025】
一方、特殊消泡剤(OK−01)として、流動パラフィン10%を用い、消泡添加剤(OK−03)として、上記の各セルロース分解酵素0.2%を用いた(酵素添加率1%)。
【0026】

【0027】
表1及び表2に示すように、本発明のセルロース分解酵素(マンナナーゼ)を用いた場合には、一般のセルロース分解酵素(セルラーゼ)を用いた場合と比べ、起泡材の粘度が短時間で著しく低下し、消泡作用を促進する結果を示した。両者の差異は、特に変質防止剤(ソマサイド)を添加した場合に顕著となった(表1の実施例1参照)。具体的には、1,600mPaのゲル化気泡に対して、従来のBタイプの特殊消泡材[OK−01+OK−02)を用いた場合には、酵素添加後30分で1,100mPaとなり、酵素添加後6時間で400mPaの粘度となった。一方、本発明の特殊消泡材[OK−01+OK−03(マンナナーゼ含有)]を用いた場合には、酵素添加後15〜30分で10mPaまで粘度が低下しており、起泡材の粘度が短時間で著しく低下した。
【0028】
このことから、マンナナーゼは特に優れたグアガム分解活性を備えており、変質防止剤の影響を受けにくく、ゲル化気泡を効果的に消泡するといえる。また、本発明者らは、掘削土に含まれるゲル化気泡の消泡作用においても、同様の結果を示すものと推測し、さらには、グアガム以外の増粘剤を用いた場合にも同様であると推測した。その上で、Cタイプの特殊起泡材を用いたゲル化気泡シールド工法において、本発明の特殊消泡材が残土処理に有効であると判断した。
【0029】
すなわち、ゲル化気泡シールド工法で掘削した掘削土には、Cタイプの特殊起泡材[OK−1+OK−3(増粘剤あり、ゲル化剤あり)]で安定強化されたゲル化気泡が含まれており、従来のBタイプの特殊消泡材[OK−01+OK−02]では消泡されにくい。しかし、本発明の特殊消泡材[OK−01+OK−03(マンナナーゼ含有)]を用いた場合には、ゲル化気泡は消泡されやすくなる。また、Cタイプの特殊起泡材には変質防止剤が含まれており、Bタイプの特殊消泡材の消泡作用を著しく低下させるが、本発明の特殊消泡材の消泡作用を低下させることはなく、むしろ消泡作用を促進する。
【0030】
以上のように、ゲル化気泡シールド工法で掘削した掘削土に対し、本発明の特殊消泡材を添加することにより、ゲル化気泡を十分に消泡することができる。その結果、掘削土の残土処理が容易となる。
【0031】
===第2実施形態===
次に、本実施形態は、第1実施形態と同様、消泡材として本発明の特殊消泡材[OK−01+OK−03(マンナナーゼ含有)]を用いて、掘削土の残土処理を施すものである。しかし、本実施形態では、第1実施形態と異なり、地盤を掘削する際にゲル化させていない気泡を用いており、残土処理を施す掘削土にはゲル化気泡が含まれていない。なお、掘削土は主にIIとIIIゾーンの地盤を対象とし、特殊起泡材として、Bタイプの特殊起泡材[OK−1+OK−3(増粘剤あり、ゲル化剤なし)]を用いている。
【0032】
そして、本実施形態においても第一実施形態と同様の確認試験を行った。但し、本確認試験における起泡材には、ゲル化剤は含まれていない。その試験結果を表3及び表4に示す。なお、表3の起泡材(実施例2)には、変質防止剤であるソマサイドが含まれているが、表4の起泡材(比較例2)には、変質防止剤が含まれていない。また、本確認試験でも、特殊起泡剤(OK−1)として、AOS(アルファオレフィン系スルホン酸ナトリウム)を主成分とする界面活性剤1%を用い、特殊添加剤(OK−3)として、増粘剤:グアガム1%と、変質防止剤:ソマサイド0.1%とを含有するものを用いた。表3及び表4の起泡材の初期粘度は、1,400mPa・Sに調整した。その他の条件は第一実施形態における確認試験と同一とした。
【0033】

【0034】
表4及び表5に示すように、Bタイプの特殊起泡材[OK−1+OK−3(増粘剤あり、ゲル化剤なし)]を用いた場合であっても、Cタイプの特殊起泡材[OK−1+OK−3(増粘剤あり、ゲル化剤あり)]を用いた場合と同様に、本発明のセルロース分解酵素(マンナナーゼ)を用いると、一般のセルロース分解酵素(セルラーゼ)よりも起泡材の粘度が短時間で著しく低下し、消泡作用を促進する結果を示した。従って、本発明の特殊消泡材は、地盤を掘削する際にCタイプの特殊起泡材[OK−1+OK−3(増粘剤あり、ゲル化剤あり)]を用いた場合のみならず、Bタイプの特殊起泡材[OK−1+OK−3(増粘剤あり、ゲル化剤なし)]を用いた場合にも適用することができ、これにより掘削土の残土処理が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】掘進地盤の性状(I〜IV)に基づく起泡材及び消泡材の選定基準(A〜Cタープ)を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気泡を注入しながら地盤を掘削し、その掘削土に消泡材を添加して残土処理を施す気泡シールド工法における掘削土の消泡方法であって、
前記気泡は、
気泡を生起するための起泡剤と、該起泡剤により生起された気泡を安定強化するための増粘剤と、該増粘剤の変質を防止するための変質防止剤と、を含有する起泡材を発泡させて得られたものであり、
前記消泡材として、
前記掘削土に含まれる気泡を消泡するための消泡剤と、
該消泡剤の消泡作用を促進するためのマンナナーゼと、
を含有する消泡材を用いることを特徴とする気泡シールド工法における掘削土の消泡方法。
【請求項2】
気泡を注入しながら地盤を掘削し、その掘削土に消泡材を添加して残土処理を施す気泡シールド工法における掘削土の消泡方法であって、
前記気泡は、
気泡を生起するための起泡剤と、該起泡剤により生起された気泡を安定強化するためのグアガムと、該増粘剤の変質を防止するための変質防止剤と、を含有する起泡材を発泡させて得られたものであり、
前記消泡材として、
前記掘削土に含まれる気泡を消泡するための消泡剤と、
該消泡剤の消泡作用を促進するためのマンナナーゼと、
を含有する消泡材を用いることを特徴とする気泡シールド工法における掘削土の消泡方法。
【請求項3】
ゲル化気泡を注入しながら地盤を掘削し、その掘削土に消泡材を添加して残土処理を施す気泡シールド工法における掘削土の消泡方法であって、
前記ゲル化気泡は、
気泡を生起するための起泡剤と、該起泡剤により生起された気泡を安定強化するための増粘剤と、該増粘剤の変質を防止するための変質防止剤と、を含有する起泡材を発泡させた後、前記増粘剤をゲル化するためのゲル化剤を添加して得られたものであり、
前記消泡材として、
前記掘削土に含まれるゲル化気泡を消泡するための消泡剤と、
該消泡剤の消泡作用を促進するためのマンナナーゼと、
を含有する消泡材を用いることを特徴とする気泡シールド工法における掘削土の消泡方法。
【請求項4】
ゲル化気泡を注入しながら地盤を掘削し、その掘削土に消泡材を添加して残土処理を施す気泡シールド工法における掘削土の消泡方法であって、
前記ゲル化気泡は、
気泡を生起するための起泡剤と、該起泡剤により生起された気泡を安定強化するためのグアガムと、該増粘剤の変質を防止するための変質防止剤と、を含有する起泡材を発泡させた後、前記増粘剤をゲル化するためのゲル化剤を添加して得られたものであり、
前記消泡材として、
前記掘削土に含まれるゲル化気泡を消泡するための消泡剤と、
該消泡剤の消泡作用を促進するためのマンナナーゼと、
を含有する消泡材を用いることを特徴とする気泡シールド工法における掘削土の消泡方法。
【請求項5】
気泡シールド工法で掘削した掘削土に、残土処理を施すために添加する気泡シールド工法における掘削土の消泡材であって、
前記掘削土に含まれる気泡を消泡するための消泡剤と、
該消泡剤の消泡作用を促進するためのマンナナーゼと、
を含有することを特徴とする気泡シールド工法における掘削土の消泡材。


【図1】
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【公開番号】特開2006−348727(P2006−348727A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17318(P2006−17318)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(504162800)京浜ソイル株式会社 (7)
【出願人】(505125071)有限会社大翔化学研究所 (2)
【Fターム(参考)】