説明

水田作業機の整地装置

【課題】サイド整地輪体を夾雑物の絡み付きが発生しにくい状態で装備できる水田作業機の整地装置を提供する。
【解決手段】支持部材81より機体横外側で駆動軸61のうちの支持部材81から機体横外側に突出する端部61aで一体回転自在に支持されるサイド整地輪体90を設けてある。サイド整地輪体90を、駆動軸61の端部61aに連結される回転板部93と回転板部93の外周側部の回転板部周方向での複数箇所に設けた整地爪部94とを備えて構成してある。整地爪部94の回転板部93の内向き側面93bから機体横内側向きに突出する内向き突出長さT2を、整地爪部94の回転板部93の外向き側面93aから機体横外側向きに突出する外向き突出長さT1より長く設定してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業装置の横端部に位置する支持部材に回転自在に支持される駆動回転自在な機体横向きの駆動軸と、前記支持部材より機体横内側で前記駆動軸に一体回転自在に支持される整地ロータとを備えた水田作業機の整地装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示される乗用型田植機があった。この乗用型田植機では、苗植付装置における支持フレームの左端付近に位置する伝動ケースと前記支持フレームの右端付近に位置する支持アームとを貫通する駆動軸を備え、駆動軸のうちの伝動ケースと支持アームの間に位置する部位、伝動ケースから機体横外側に突出する部位、支持アームから機体横外側に突出する部位のそれぞれにレーキ状の整地体を有した回転体を設けて、代掻き装置が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−341881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した水田作業機の整地装置において、駆動軸に支持部材から機体横外側に突出する端部を備え、この端部に一体回転自在に支持されるサイド整地輪体を設けると、例えば、整地ロータによってその横外側に泥土が押し出されることがあっても、押し出された泥土にサイド整地輪体が作用して押し出された泥土が盛り上がったままの状態では残りにくいなど有利に整地を行なうことができる。しかし、サイド整地輪体にワラ屑などが絡み付いた場合、駆動負荷が増大して安全クラッチが働きやすくなるとか、走行負荷が増大して作業性が低下しがちになる。また、絡み付いた夾雑物による泥水の掻き乱しが発生しがちになる。
【0005】
本発明の目的は、サイド整地輪体を夾雑物の絡み付きが発生しにくい状態で装備できる水田作業機の整地装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、作業装置の横端部に位置する支持部材に回転自在に支持される駆動回転自在な機体横向きの駆動軸と、前記支持部材より機体横内側で前記駆動軸に一体回転自在に支持される整地ロータとを備えた水田作業機の整地装置であって、
前記駆動軸のうちの前記支持部材から機体横外側に突出する端部で前記駆動軸と一体回転自在に支持されるサイド整地輪体を設け、
前記サイド整地輪体を、前記駆動軸の端部に連結される回転板部とこの回転板部の外周側部の回転板部周方向での複数箇所に設けた整地爪部とを備えて構成し、
前記整地爪部それぞれの前記回転板部の機体横内側向きの側面から内側に突出する内向き突出長さを、前記回転板部の機体横外側向きの側面から外側に突出する外向き突出長さより長く設定してある。
【0007】
本第1発明の構成によると、サイド整地輪体は、整地爪部が回転板部から機体横内側及び機体横外側に突出し、整地爪部の内向き突出長さが長く、整地爪部の外向き突出長さが短いものとなる。サイド整地輪体より機体横内側では、整地ロータによる整地作用の影響で夾雑物の沈下や後方への流動が発生しやすく、整地爪部の内向き突出長さが長くても、整地爪部への夾雑物の入り込みが発生しにくい。サイド整地輪体より機体横外側では、整地ロータによる整地作用が無くて機体横内側に比して泥土層の表面や浅い部位に夾雑物が発生しやすくても、整地爪部の外向き突出長さが短いことにより、整地爪部に夾雑物が入り込んでも外れやすく、さらにサイド整地輪体の内部に機体横外側から夾雑物が入り込むことを回転板部によって阻止することができ、整地爪部全体としての機体横方向での長さを長くしても、夾雑物の絡み付きを回避しやすい。
【0008】
従って、機体横方向での長さが長い整地爪部を有したサイド整地輪体を装備して極力広範囲にわたって整地できる整地装置を、サイド整地輪体における夾雑物の絡み付きによる駆動負荷の増大や泥水の掻き乱しなどが生じ難いものにできる。
【0009】
本第2発明は、作業装置の横端部に位置する支持部材に回転自在に支持される駆動回転自在な機体横向きの駆動軸と、前記支持部材より機体横内側で前記駆動軸に一体回転自在に支持される整地ロータとを備えた水田作業機の整地装置であって、
前記駆動軸のうちの前記支持部材から機体横外側に突出する端部で前記駆動軸と一体回転自在に支持されるサイド整地輪体を設け、
前記サイド整地輪体を、前記駆動軸の端部に連結される回転板部とこの回転板部の外周側部の回転板部周方向での複数箇所に設けた整地爪部とを備えて構成し、
前記整地爪部それぞれを、前記回転板部の機体横外側向きの側面から外側に突出せず、前記回転板部の機体横内側向きの側面から内側に突出するよう形成してある。
【0010】
本第2発明の構成によると、サイド整地輪体は、整地爪部が回転板部から機体横内側に突出し、機体横外側には突出しないものとなる。サイド整地輪体より機体横内側では、整地ロータによる整地作用の影響で夾雑物の沈下や後方への流動が発生しやすい。よって、回転板部から機体横内側に整地爪部が突出していても、整地爪部への夾雑物の入り込みが発生しにくい。サイド整地輪体より機体横外側では、整地ロータによる整地作用が無く、機体横内側に比して泥土層の表面や浅い部位に夾雑物が発生しやすい。しかし、回転板部から機体横外側に整地爪部が突出していないことにより、整地爪部への夾雑物の絡み付きが発生しない。さらにサイド整地輪体の内部に機体横外側から夾雑物が入り込むことを回転板部によって阻止することができ、整地爪部の機体横方向での長さを長くしても、夾雑物の絡み付きを回避しやすい。
【0011】
従って、機体横方向での長さが長い整地爪部を有したサイド整地輪体を装備して極力広範囲にわたって整地できる整地装置を、サイド整地輪体における夾雑物の絡み付きによる駆動負荷の増大や泥水の掻き乱しなどが生じ難いものにできる。
【0012】
本第3発明は、前記サイド整地輪体を前記駆動軸の端部に連結するボス部を、前記サイド整地輪体の回転軸芯方向での中央位置に対して前記支持部材側に偏倚させてある。
【0013】
本第3発明の構成によると、サイド整地輪体を駆動軸の端部に連結するのに、ボス部を支持部材に極力寄せて連結できて、支持部材から機体横外側に突出する駆動軸の端部の突出長さを極力短く抑制できる。
【0014】
従って、サイド整地輪体を取り外した場合、駆動軸を装着したままにしても、駆動軸が支持部材から機体横外側にあまり長く突出せず、機体を畦に寄せやすくなるうえ、狭い運搬スペースに収容しやすなる。
【0015】
本第4発明は、前記回転板部の外周縁部から機体横内側向きに延出され、かつ前記回転板部の全周にわたる環状に形成されて前記整地爪部それぞれを支持する環状支持部を備えてある。
【0016】
本第4発明の構成によると、整地爪部を機体横方向での広い範囲にわたって環状支持部を介して回転板部に連結できて、回転板部に対する整地爪部の連結を強固にできる。
【0017】
従って、硬い泥土の場合でも、整地爪部を強い整地反力に抗して強固に回転駆動して仕上がりが良い整地を行わせることができる。
【0018】
本第5発明は、前記環状支持部によって形成される前記サイド整地輪体の機体横内側向き開口を閉じるように前記環状支持部の延出端側に配備される板状体を備えてある。
【0019】
本第5発明の構成によると、サイド整地輪体の内部に機体横内側から泥水などが入り込むことを板状体によって防止できる。
【0020】
従って、サイド整地輪体の内部に泥土が堆積して駆動負荷が増大するなどのトラブル発生を回避しやすい。
【0021】
本第6発明は、前記板状体と前記回転板部とを連結する連結ボルトの端部が入り込む凹入部を、前記回転板部の外向き側面に設けてある。
【0022】
本第6発明の構成によると、連結ボルトの端部が回転板部から機体横外側に突出することをなくしたり、突出量を小に抑制したりして、連結ボルトの端部に泥土や夾雑物を付着しにくくできる。
【0023】
従って、ボルトの端部に泥土や夾雑物が付着や絡み付いて外しにくくなるとか泥水の掻き乱しが発生することを回避しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】水田作業機の全体を示す側面図である。
【図2】苗植付装置及び整地装置を示す側面図である。
【図3】苗植付装置及び整地装置を示す正面図である。
【図4】苗植付装置及び整地装置を示す平面図である。
【図5】サイド整地ロータ部の分解状態での斜視図である。
【図6】単位ロータ体を示す側面図である。
【図7】左側のサイド整地輪体の配設部を示す横断平面図である。
【図8】右側のサイド整地輪体の配設部を示す横断平面図である。
【図9】サイド整地輪体を示す側面図である。
【図10】サイド整地輪体の分解状態での斜視図である。
【図11】図9のXI−XI断面矢視図である。
【図12】昇降操作装置を示す側面図である。
【図13】別の実施構造を備えたサイド整地輪体を示す斜視図である。
【図14】別の実施構造を備えたサイド整地輪体を示す横断平面図である。
【図15】別の実施構造を備えたサイド整地輪体を示す横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて、本発明に係る水田作業機の実施形態について説明する。
図1に示すように、水田作業機は、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2で支持された走行機体Aの後部に、リンク機構3により6条植型式の苗植付装置5(作業装置に相当)が昇降自在に支持され、リンク機構3を昇降駆動する油圧式の昇降シリンダ4が備えられて構成されている。後述するように、苗植付装置5が、田面Gに接地する作業位置と田面Gから大きく離れて上方する非作業位置(リンク機構3の上限位置)とにわたって昇降シリンダ4により昇降自在に構成されている。
【0026】
次に、苗植付装置5について説明する。
図1,2,4に示すように、苗植付装置5は、1個のフィードケース17、3個の伝動ケース6、伝動ケース6の後部に回転駆動自在に支持された一対の回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、左右中央に位置する接地フロート9(以下、センターフロート9という)、及び、左右両側に位置する接地フロート11(以下、サイドフロート11という),6個の苗のせ面を備えて左右方向に往復横送り駆動される苗のせ台10、苗のせ台10の苗のせ面それぞれに備えられた縦送り機構25等を備えて構成されている。左右方向に延びる角筒状のメインフレーム18に、フィードケース17及び伝動ケース6が固定されており、フィードケース17がリンク機構3の後部下部の前後軸芯P1(図3参照)周りに左右揺動自在に支持されている。
【0027】
図4に示すように、フィードケース17から横送り軸19が延出され、横送り軸19の端部が支持部材20を介してメインフレーム18に支持されて、横送り軸19の回転に伴って往復横送り駆動される送り部材21が横送り軸19に外嵌されており、送り部材21が苗のせ台10に接続されている。伝動ケース6にガイドレール38が左右方向に支持されて、苗のせ台10の下部がガイドレール38に沿って横移動自在に支持されている。図2及び図3に示すように、メインフレーム18の右及び左の端部に縦支持部材26が固定され上方に延出されて、縦支持部材26の上部に亘って横支持部材50が固定されており、苗のせ台10の上部の前面にガイドレール27が固定され、横支持部材50に支持されたローラー51にガイドレール27が横移動自在に支持されている。
【0028】
図1及び図4に示すように、エンジン49の動力が植付クラッチ(図示せず)及びPTO軸22を介して、フィードケース17に備えられた入力軸28に伝達され、入力軸28の動力が横送り変速機構29を介して横送り軸19に伝達され、横送り軸19が回転駆動される。入力軸28の動力が伝動チェーン30、伝動ケース6に亘って架設された伝動軸23、伝動ケース6に備えられた入力軸32に伝達され、入力軸32の動力がトルクリミッター33、伝動チェーン34、少数条クラッチ24及び駆動軸35を介して回転ケース7に伝達される。伝動ケース6に亘って円筒状のカバー60が固定されており、カバー60により伝動軸23が覆われている。
【0029】
これにより、植付クラッチが伝動状態に操作されると、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動され、苗のせ台10の往復横送り駆動に伴って回転ケース7が図2の紙面反時計方向に回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面Gに植え付ける。植付クラッチが遮断状態に操作されると、苗のせ台10の往復横送り駆動及び回転ケース7の回転駆動が停止される。
【0030】
図2に示すように、苗のせ台10の6個の苗のせ面それぞれに、ベルト式の縦送り機構25が備えられている。図4に示すように、フィードケース17から縦送り軸36が延出され、縦送り軸36の端部が支持部材37を介してメインフレーム18に支持されて、入力軸28の動力により縦送り軸36が回転駆動され、縦送り軸36に一対の駆動アーム36aが固定されている。6個の縦送り機構25に動力を伝達する入力部(図示せず)が苗のせ台10に備えられており、入力部が縦送り軸36の駆動アーム36aの間に位置している。これにより、苗のせ台10が往復横送り駆動の右又は左端部に達すると、入力部が縦送り軸36の一方の駆動アーム36aに達して、縦送り軸36の一方の駆動アーム36aにより入力部が駆動され、6個の縦送り機構25により苗のせ台10の苗が下方に送られる。
【0031】
図1及び図2に示すように、運転座席31の後側に、肥料を貯留するホッパー12及びそれぞれが2つの植付条に対応した3個の繰り出し部13が備えられており、運転座席31の下側にブロア14が備えられている。センターフロート9及びサイドフロート11に2個の作溝器15が固定されて、6個の作溝器15が備えられており、繰り出し部13と作溝器15とに亘って6本のホース16が接続されている。これにより、前述のような苗の植え付けに伴って、ホッパー12から肥料が所定量ずつ繰り出し部13によって繰り出され、ブロア14の送風により肥料がホース16を通って作溝器15に供給されるのであり、作溝器15を介して肥料が田面Gに供給される。
【0032】
図1,2に示すように、苗植付装置5に、整地装置53をセンターフロート9及びサイドフロート11の前方に配置して設けてある。
図3,4に示すように、整地装置53は、苗植付装置5の左右の横端部に各別に位置する左右一対の支持部材81,81に回転自在に支持される機体横向きの断面形状が正方形の駆動軸61と、左側の支持部材81より機体横内側及び右側の支持部材81より機体横内側に位置する箇所、すなわち左右一対の支持部材81,81の間に位置する箇所で駆動軸61に一体回転自在に支持される整地ロータ62と、左側の支持部材81より機体横外側に位置する箇所で駆動自在に支持される左側のサイド整地輪体90と、右側の支持部材81より機体横外側に位置する箇所で駆動自在に支持される右側のサイド整地輪体90とを備えて構成してある。
【0033】
図7は、左側のサイド整地輪体90の配設部を示す横断平面図である。図8は、右側のサイド整地輪体90の配設部を示す横断平面図である。これらの図に示すように、左側及び右側のサイド整地輪体90は、駆動軸61のうちの支持部材81から機体横外側に突出する端部61aで駆動軸61と一体回転自在に支持されている。
【0034】
左側の支持部材81は、メインフレーム18の左の端部に固定されたボス部材64が回転自在に支持する伝動軸75の端部と駆動軸61とにわたって取り付けた伝動ケースによって構成してある。左側の支持部材81は、伝動軸75の軸芯で成り、支持部材81の後端側に位置する横軸芯P2まわりに上下に揺動する。右側の支持部材81は、メインフレーム18の右の端部に固定されたブラケット82から機体前方向きに横軸芯P2まわりに上下揺動自在に延出している。
【0035】
整地装置53の駆動構造について説明する。
図4に示すように、伝動ケース6に備えられた入力軸32に接続された伝動軸75が、ボス部材64及び支持部材81の内部に配置されている。支持部材81の内部において、伝動軸75にスプロケット78が相対回転自在に外嵌され、駆動軸61にスプロケット79が固定されて、スプロケット78,79に亘って伝動チェーン80が巻回されており、伝動軸75とスプロケット78との間に安全クラッチ77が備えられている。
【0036】
図1及び図4に示すように、エンジン49の動力が植付クラッチ(図示せず)及びPTO軸22を介して、入力軸28、伝動チェーン30、伝動軸23及び入力軸32に伝達され、入力軸32の動力が伝動軸75、安全クラッチ77及び伝動チェーン80を介して駆動軸61に伝達されて、駆動軸61が整地ローラ62及び左右のサイド整地輪体90,90を図2の紙面反時計方向に回転駆動する。
【0037】
駆動軸61が、機体の走行速度よりも高速で回転駆動され、整地ロータ62及び左右のサイド整地輪体90,90は、これらの周速度が後輪2の周速度より高速になる状態で回転駆動される。これにより、植付アーム8の前方の田面Gが整地(代掻き)される。整地ロータ62から後方の苗植付装置5への泥の飛散が、泥除けカバー66によって防止される。
【0038】
整地ロータ62は、左右のサイドフロート11の機体前方側に配置して駆動軸61に一体回転自在に設けた左右一対の大径のサイド整地ロータ部62A,62Aと、センターフロート9の機体前方側に配置して駆動軸61に一体回転自在に設けた左右一対の小径のセンタ整地ロータ部62B,62Bと、を備えて構成されている。左右一対のセンタ整地ロータ部62B,62Bの間、左右一対のサイド整地ロータ部62A,62Aの間、及びセンタ整地ロータ部62Aと右側のサイド整地ロータ部62Aとの間それぞれに配置したスペーサ63が駆動軸61に外嵌されている。センタ整地ロータ部62Bと左側のサイド整地ロータ部62Aとの間に配置した昇降リンク58のボス部57が駆動軸61に外嵌されている。このボス部57は、スペーサの機能を備えている。
【0039】
図5は、サイド整地ロータ部62Aの分解状態での斜視図である。図6は、サイド整地ロータ部62Aを構成する大径の単位ロータ体71を示す側面図である。これらの図及び図3に示すように、各サイド整地ロータ部62Aは、駆動軸61の軸芯方向に並べて連結された複数個の大径の単位ロータ体70,71によって構成されている。単位ロータ体70,71のうちの単位ロータ体70は、駆動軸61に外嵌する正方形の取付け孔70aを有した取付け板部70bと、この取付け板部70bの外周側部の複数箇所から延出する整地バー部70cとを備えて構成してある。単位ロータ体70は、取付け板部70b及び整地バー部70cを合成樹脂材で一体形成されて備えている。単位ロータ体70,71のうちの単位ロータ体71は、サイド整地ロータ部62Aの一端側の端に配置されるものであり、駆動軸61に外嵌する正方形の取り付け孔71aを有した合成樹脂材製の板状体によって構成してある。単位ロータ体70の各整地バー部70cは、これの延出端部を隣り合う単位ロータ体70又は単位ロータ体71に設けられた連結部70d,71bに内嵌させることにより、隣り合う単位ロータ体70あるいは単位ロータ体71に連結する構成になっている。
【0040】
各センタ整地ロータ部62Bは、駆動軸61の軸芯方向に並べて連結された複数の小径の単位ロータ体72,73によって構成されている。センタ整地ロータ部62Bを構成する単位ロータ体72,73は、サイド整地ロータ部62Aを構成する単位ロータ体70,71とは外径の点で異なる構成になっているが、その他の点ではサイド整地ロータ部62Aを構成する単位ロータ体70,71と同じ構成になっている。
【0041】
図7〜11に示すように、左側及び右側のサイド整地輪体90は、駆動軸61の端部61aに連結ボルト100によって連結されるボス部91を中心部に有した板状体92と、この板状体92に対して機体横外側(支持部材81が位置する側とは反対側)に位置する配置で板状体92に3本の連結ボルト101によって一体回転自在に連結される回転板部93と、この回転板部93の外周側部に回転板部93の周方向に分散配置して設けた複数の整地爪94とを備えて構成してある。サイド整地輪体90は、1本の連結ボルト100を脱着するだけで脱着できる。
【0042】
回転板部93は、サイド整地輪体90のうちの機体横外側に位置し、苗植え付けが済んだ隣接地に波を行きにくくする。回転板部93は、回転板部93の外周縁部から機体横内側向きに延出され、かつ回転板部93の全周囲にわたる環状に形成された環状支持部95を備え、この環状支持部95を介して複数の整地爪94を整地反力に抗して強固に支持する構成になっている。回転板部93、複数の整地爪94及び環状支持部95は、合成樹脂材で一体形成されている。
【0043】
各整地爪94は、回転板部93の機体横外側向きの側面93aから外側に外向き突出長さT1で突出し、回転板部93の機体横内側向きの側面93bから内側に内向き突出長さT2で突出する機体横方向長さを備えて構成してある。各整地爪94の前記内向き突出長さT2は、各整地爪94の前記外向き突出長さT1より長く設定してある。各整地爪94は、整地爪94の機体横方向での全体にわたる範囲において、サイド整地輪体内側での端が回転板部93及び環状支持部95の外周縁より内側に位置し、サイド整地輪体外側での端が回転板部93及び環状支持部95の外周縁より外側に位置するサイド整地輪体内外方向での大きさを備えて構成してある。各整地爪94は、回転板部93及び環状支持部95の外周縁から外側に突出している部位の機体横方向での中央部に設けた破砕用突部94aを備え、この破砕用突部94aによって泥土の塊を崩しながら整地する。
【0044】
回転板部93は、周方向での3箇所に機体横内側向きに膨出する内側向き膨出部を形成して設けられた連結部96を備え、各連結部96と板状体92に設けられたボルト孔92aとに装着された連結ボルト101によって板状体92に連結されている。各連結ボルト101は、回転板部93の機体横外側向きの側面93aに連結部96を構成する内側向き膨出部の形成によって形成された凹入部97に連結ボルト101の端部101a及びナット102が入り込む状態で装着されており、連結ボルト101の端部101a及びナット102にワラ屑や泥土などが付きにくくなっている。板状体93を駆動軸61の端部61aに連結している連結ボルト100の頭部は、回転板部93の機体横外側面93aに形成された凹入部98に入り込んでおり、連結ボルト100の頭部にワラ屑や泥土などが付きにくくなっている。
【0045】
板状体92は、板金材によって構成されている。板状体92は、これの中心部に位置する部位とこの部位における機体横内側向きの側面に付設された板金材とにより、正方形の取付け孔91aを有したボス部91を形成している。ボス部91は、サイド整地輪体90の回転軸芯方向での中央位置Cに対して支持部材81が位置する側に偏倚する配置で形成されている。ボス部91は、駆動軸61の端部61aにおける端面に当て付けて連結ボルト100で締め付け連結されることにより、サイド整地輪体90を駆動軸61の端部61aに一体回転自在に連結する。板状体92は、環状支持部95の延出端側に位置する配置で連結されており、環状支持部95によってサイド整地輪体90の内部に形成される空洞部99の機体横内側向きの開口99aを閉じて泥土を空洞部99に入り込みにくくする。サイド整地輪体90の内部に泥土が入り込むことがあっても、板状体92を取り外して簡単に除去できる。
【0046】
板状体92は、外周縁部に整地爪部94が入り込むよう形成された切り欠き凹部92bを備えており、図9及び図11に示す如く板状体92の外周部が環状支持部95から外周側に突出することがない状態で空洞部99の開口99aを閉じる。
【0047】
図12は、整地装置53を昇降操作する昇降操作装置を示す側面図である。
昇降操作装置は、メインフレーム18に固定された支持フレーム52にステー52aを介して支持される電動モータ56、支持フレーム52に横軸芯P3周りに上下揺動自在に支持される扇型の昇降ギヤ54、昇降ギヤ54と駆動軸61とに取付けられた昇降リンク58を備えている。
【0048】
昇降操作装置は、電動モータ56が減速ギヤ機構55のピニオンギヤ55aを駆動してこのピニオンギヤ55aによって昇降ギヤ54を揺動操作することにより、昇降リンク58を昇降操作して駆動軸61を左右の支持部材81の揺動軸芯P2まわりに昇降操作し、これによって整地ロータ62及び左右のサイド整地輪体90を田面G及びメインフレーム18に対して昇降操作する。図12に示す74は、回転ポテンショメータであり、昇降ギヤ54の揺動角を基に整地ロータ62及びサイド整地輪体90の整地高さを検出するものである。
【0049】
〔別実施例〕
図13は、別の実施構造を備えたサイド整地輪体90を示す斜視図である。図14,15は、別の実施構造を備えたサイド整地輪体90を示す横断平面図である。これらの図に示すように、別の実施構造を備えたサイド整地輪体90では、整地爪94は、回転板部93の機体横外側向きの側面93aから外側に突出せず、回転板部93の機体横内側向きの側面93bから内側に内向き突出する機体横方向長さを備えて構成してある。別の実施構造を備えたサイド整地輪体90は、この点以外の点では、上記した実施形態で説明したサイド整地輪体90と同じ構成を備えている。
【0050】
〔別実施形態〕
(1)上記した実施形態では、支持部材81より機体横内側に位置する整地ロータ62を、小外径のセンタ整地ロータ部62Bと大外径のサイド整地ロータ部62Aとを備えて構成した例を示したが、外径が同じセンタ整地ロータ部62Bとサイド整地ロータ部62Aとを備えて構成してもよい。また、支持部材81より機体横内側に位置する整地ロータ62として、機体横方向に一連の整地ロータを採用して実施してもよい。
【0051】
(2)上記した実施形態では、作業装置5の両横端部に分散して位置する左右一対の支持部材81,81に支持される一本の駆動軸61を備えた例を示したが、作業装置5の左横端部に位置する支持部材81とこの支持部材81より機体横内側に位置する支持部材とに支持される左側の駆動軸を備えて成る左側用の整地ロータ、作業装置5の右端部に位置する支持部材81とこの支持部材81より機体横内側に位置する支持部材とに支持される右側の駆動軸を備えて成る右側用の整地ロータを備え、そして、左側用の整地ロータ及び右側用の整地ロータを支持する横外側の支持部材81より横外側にサイド整地輪体90を設け、左側用の整地ロータ及び右側用の整地ロータを支持する横内側の支持部材より横外側にサイド整地輪体を設けないものにおいても適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、苗植付装置を備えた水田作業機の他、播種作業を行なう作業装置を備えた水田作業機に利用できる。
【符号の説明】
【0053】
5 作業装置
61 駆動軸
61a 駆動軸の端部
62 整地ロータ
81 支持部材
90 サイド整地輪体
91 ボス部
92 板状体
93 回転板部
93a 機体横外側向きの側面
93b 機体横内側向きの側面
94 整地爪部
95 環状支持部
97 凹入部
99a 開口
100 連結ボルト
100a 連結ボルトの端部
C 中央位置
T1 外向き突出長さ
T2 内向き突出長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置の横端部に位置する支持部材に回転自在に支持される駆動回転自在な機体横向きの駆動軸と、前記支持部材より機体横内側で前記駆動軸に一体回転自在に支持される整地ロータとを備えた水田作業機の整地装置であって、
前記駆動軸のうちの前記支持部材から機体横外側に突出する端部で前記駆動軸と一体回転自在に支持されるサイド整地輪体を設け、
前記サイド整地輪体を、前記駆動軸の端部に連結される回転板部とこの回転板部の外周側部の回転板部周方向での複数箇所に設けた整地爪部とを備えて構成し、
前記整地爪部それぞれの前記回転板部の機体横内側向きの側面から内側に突出する内向き突出長さを、前記回転板部の機体横外側向きの側面から外側に突出する外向き突出長さより長く設定してある水田作業機の整地装置。
【請求項2】
作業装置の横端部に位置する支持部材に回転自在に支持される駆動回転自在な機体横向きの駆動軸と、前記支持部材より機体横内側で前記駆動軸に一体回転自在に支持される整地ロータとを備えた水田作業機の整地装置であって、
前記駆動軸のうちの前記支持部材から機体横外側に突出する端部で前記駆動軸と一体回転自在に支持されるサイド整地輪体を設け、
前記サイド整地輪体を、前記駆動軸の端部に連結される回転板部とこの回転板部の外周側部の回転板部周方向での複数箇所に設けた整地爪部とを備えて構成し、
前記整地爪部それぞれを、前記回転板部の機体横外側向きの側面から外側に突出せず、前記回転板部の機体横内側向きの側面から内側に突出するよう形成してある水田作業機の整地装置。
【請求項3】
前記サイド整地輪体を前記駆動軸の端部に連結するボス部を、前記サイド整地輪体の回転軸芯方向での中央位置に対して前記支持部材側に偏倚させてある請求項1又は2記載の水田作業機の整地装置。
【請求項4】
前記回転板部の外周縁部から機体横内側向きに延出され、かつ前記回転板部の全周にわたる環状に形成されて前記整地爪部それぞれを支持する環状支持部を備えてある請求項1〜3のいずれか一項に記載の水田作業機の整地装置。
【請求項5】
前記環状支持部によって形成される前記サイド整地輪体の機体横内側向き開口を閉じるように前記環状支持部の延出端側に配備される板状体を備えてある請求項4記載の水田作業機の整地装置。
【請求項6】
前記板状体と前記回転板部とを連結する連結ボルトの端部が入り込む凹入部を、前記回転板部の外向き側面に設けてある請求項5記載の水田作業機の整地装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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