説明

油圧ポンプのニュートラル復帰装置

油圧ポンプは、ハウジング、シリンダブロック、複数のピストン、斜板、トラニオンアーム、第一付勢機構、及び第二付勢機構を有する。シリンダブロックは、ハウジングの内部に回転運動のために配置されており、複数のピストンチェインバーを有する。シリンダブロックは、シリンダブロック回転軸を中心に回転する。各ピストンは、それぞれのピストンチェインバーに受け入れられる。斜板は、ハウジングの内部に揺動動作のために配置されており、ピストンと協働してピストンチェインバーの可動範囲を変える。斜板は、ピボット軸を揺動の軸としている。トラニオンアームは、円筒軸部及びその軸部と連結又は一体形成されたカム部を具えている。トラニオンアームは、斜板の揺動動作をコントロールするために、斜板に作用するように連結される。円筒軸部は、ピボット軸と平行、且つ、偏心した位置にあるトラニオンアーム回動軸を画定する。カム部は、ハウジング内に配置され、また、トラニオンアーム回動軸と交差し、且つ、トラニオンアーム回動軸と直角で交わるカム部を通るカム部中心線の反対側に第一側方カム面及び第二側方カム面を有している。第一付勢機構は、ハウジング内に配置され、カム部をニュートラルポジションに向かう第一方向に動かすために第一側方カム面と協働する。第二付勢機構は、ハウジング内に配置され、カム部をニュートラルポジションに向かう第二方向に動かすために第二側方カム面と協働する。第二方向は、第一方向と反対方向である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、油圧軸流ポンプのニュートラル復帰(return to neutral、略称「RTN」)装置及びそのRTN装置を含む油圧ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧軸流ピストンポンプは、多くの場合、油圧回路を通じて油圧モータと油圧で連結されている。ポンプは、通常、プーリ及びベルトに連結される入力軸により駆動される。プーリ及びベルトは、内燃機関と連結される。ポンプ内の軸流ピストンは揺動可能な斜板と連動し、ポンプを回すとピストンが斜板と連動する。ピストンの動作は、ポンプからモータへの作動油の動きをもたらす。斜板の揺動動作は、通常、油圧ポンプ及びモータを有する車両の操縦者により操作される手動コントロール又はフットペダル機構のいずれかとリンク機構で連結されるトラニオンアームによってコントロールされる。
【0003】
上記に説明した油圧ポンプは、ポンプの回転がポンプ外への作動油の一切の動きを生じさせないように、ポンプのピストンが軸方向に動かない位置にニュートラルポジションを有する。RTN装置は、トラニオンアームを回動させる力が作用しないとき、斜板をニュートラルポジションに戻すように斜板に作動する。このような装置は、車両の不測の動作を最小限にすることができ、車両の操縦者が、トラニオンアームとリンク機構を通じて連結される手動コントロール又はフットペダル機構に関与することができなくなった場合にポンプをニュートラルに戻すことができる。
【発明の概要】
【0004】
改良されたニュートラル戻り装置設計を有する油圧ポンプは、ハウジング、シリンダブロック、複数のピストン、斜板、トラニオンアーム、第一付勢機構、及び第二付勢機構を有する。シリンダブロックは、ハウジングの内部に回転運動のために配置されており、複数のピストンチェインバーを有する。シリンダブロックは、シリンダブロック回転軸を中心に回転する。各ピストンは、それぞれのピストンチェインバーに受け入れられる。斜板は、ハウジングの内部に揺動動作のために配置されており、ピストンと協働してピストンチェインバーの可動範囲を変える。斜板は、ピボット軸を揺動の軸としている。トラニオンアームは、円筒軸部及びその軸部と連結又は一体形成されたカム部を具えている。トラニオンアームは、斜板の揺動動作をコントロールするために、斜板に作用するように連結される。円筒軸部は、ピボット軸と平行、且つ、偏心した位置にあるトラニオンアーム回動軸を画定する。カム部は、ハウジング内に配置され、また、トラニオンアーム回動軸と交差し、且つ、トラニオンアーム回動軸と直角で交わるカム部を通るカム部中心線の反対側に第一側方カム面及び第二側方カム面を有している。第一付勢機構は、ハウジング内に配置され、カム部をニュートラルポジションに向かう第一方向に動かすために第一側方カム面と協働する。第二付勢機構は、ハウジング内に配置され、カム部をニュートラルポジションに向かう第二方向に動かすために第二側方カム面と協働する。第二方向は、第一方向と反対方向である。
【0005】
油圧軸流ポンプのニュートラル復帰(return to neutral、略称「RTN」)装置の一つの例は、トラニオンアーム回動軸を有するトラニオンアームの円筒部と連結又は一体形成され、油圧ポンプの斜板に作用するように連結されるカム部を有する。カム部は、油圧ポンプ内に配置され、トラニオンアーム回動軸と交差し、且つ、トラニオンアーム回動軸と直角で交わるカム部を通るカム部中心線と対称な反対側に第一側方湾曲カム面及び第二側方湾曲カム面を有する。また、RTN装置は、第一付勢機構及び第二付勢機構を有している。第一付勢機構は、油圧ポンプ内に配置され、カム部をニュートラルポジションに向かう第一方向に動かすために第一側方カム面と協働する。第二付勢機構は、油圧ポンプ内に配置され、カム部をニュートラルポジションに向かう第二方向に動かすために第二側方カム面と協働する。第二方向は、第一方向と反対方向である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】改良されたニュートラル戻り(return to neutral、略称「RTN」)装置を有する油圧軸流ポンプの分解斜視図。
【図2】RTN装置を表す、図1のポンプのハウジングの縦断面図。
【図3】油圧ポンプの他の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1を参照すると、油圧ポンプ10は、ハウジング12、シリンダブロック14、複数のピストン16、斜板18、トラニオンアーム22、第一付勢機構24、及び第二付勢機構26を有する。付勢機構24、26は、ポンプの回転が、ポンプに接続される油圧モータのような外部の装置へ向かうポンプ外への作動油の一切の動きを生じさせないように、ポンプ10をニュートラルポジションにするためにトラニオンアーム22と協働する。
【0008】
実施例に示されるように、ポンプ10は、第一側壁30、第二側壁32、第三側壁34、及び第四側壁36の4つの側壁を有することで構成されている。側壁30乃至36は、内部空洞38、第一開口42、及び第二開口44を画定する。実施例に示されるように、第一開口42は、全体として、長方形又は正方形の形状であり、第二開口44は、全体として、円形又は円筒形の形状である。また、内部空洞38は、ハウジング12の側壁(図示は第一側壁30)にその空洞38から外向きに延びるカットアウト46を有する。
【0009】
ハウジング12は、さらに、ハウジング12の外面から内部空洞38へ延びる複数の孔を有する。例えば、ハウジング12の第二側壁32は、ハウジング12の外面から内部空洞38へ延びる排出口48を具える。また、ハウジング12は、排出部50を具えることができる。図3を参照すると、排出部50は、ハウジング12の外面から延出する円筒形状の穴であるが、それぞれの側壁(例えば、第三側壁34。)からハウジング12の内部空洞38内に貫き延びているものではない。排出口48と排出部50は、図1に示されている以外のハウジング12の側壁に設けることができる。また、ハウジング12は、ハウジング(図示されている実施例でいう第一側壁30)の外面から内部空洞内へ延びるトラニオンアーム孔52(図3)を有する。トラニオンアーム22はトラニオンアーム孔52によって受けられ、且つ、それを貫き延びている。
【0010】
また、図2において明瞭に示されているように、ハウジング12は、第一付勢機構用孔54及び第二付勢機構用孔56を含む付勢機構用孔を有する。第一付勢機構用孔54は、ハウジング12の外面と隣接した雌ねじ付座ぐり穴58を具えることができる。同様に、第二付勢機構用孔56は、ハウジング12の外面と隣接した雌ねじ付座ぐり穴62を具えることができる。図2を見ると明らかなように、図示されている実施例の第一付勢機構用孔54は、全体として円筒形状で、同様に全体として円筒形状である第二付勢機構用孔56と同軸である。
【0011】
図1に戻って参照すると、シリンダブロック14はハウジング12の内部に回転運動のために配置され、複数のピストンチェインバー60(図1では一つのみが極めて細い線で示されている。)を有する。シリンダブロック14は、シリンダブロック回転軸62(図3、シリンダブロック14は図示せず。)を中心に回転する。また、各ピストン16は、各ピストン16を斜板18方向に付勢するそれぞれのばね66を受ける全体として円筒形状の孔64を有する。また、シリンダブロック14は、内歯スプライン72を有する中心孔68を有する。中心孔68は、シリンダブロック回転軸62と同軸の中心軸を有する円筒形状である。
【0012】
斜板18は、ハウジング12の内部に揺動動作のために配置され、ピストンチェインバー60の可動範囲を変えるためにピストン16と協働する。斜板18は、ピボット軸80を揺動の軸としている。斜板18は、側面の外側表面に切欠部82、及び円筒形状の斜板用ベアリング86を受ける円筒形状の凹部84を有する。また、斜板18は、ハウジング12の内部空洞38内に受けられるクレイドル軸受92と協働する凸状の軸受表面88を有する。斜板用ベアリング86は、シリンダブロック14がシリンダブロック回転軸62(図3)を中心に回転するとき、ピストンチェインバー60の可動範囲を変えるピストン16に抗して動く。図3を参照すると、斜板18は、中央開口部90を有する。
【0013】
また、図1に戻って参照すると、油圧ポンプ10は、ポンプのハウジング上部の機能を果たすポートプレート100を有する。ポートプレート100は、ハウジング12の第一開口42を封止する。ポートプレート100は、ピストンチェインバー60と流体連結し、且つ、ポンプ10により駆動され、それぞれ、液体をモータ又は他の外部装置に供給する戻りライン及び供給ラインとの接続を構成する注入・排出口102を有する。ポートプレート100は、さらに、ポンプ10に組込むことができる安全弁(図示せず。)というようなバルブを受けるために構成される孔104のような追加的な孔を具えることができる。また、ポートプレート100は、油圧ポンプ10を含む回路に作動油を供給するための電荷ポンプ(図示せず。)と繋がる液体供給用注入口106を具えることができる。ポートプレート100は、ボルト108のような従来の締め具によって、ハウジング12に取付けられる。
【0014】
また、図1に示されている油圧ポンプ10は、内燃機関のような外部装置によって、プーリ及びベルト(図示せず。)、又はこれに類似する伝達機構を通じて駆動される入力軸120を有する。入力軸120は、ハウジング12の第二開口44及び斜板90の中央開口部90を通じて受けられる。入力軸120は、中心孔68に受けられることによりシリンダブロック14に連結される。入力軸120は、入力軸120のシリンダブロック回転軸62を中心とする回転が、結果としてシリンダブロック14のシリンダブロック回転軸の回転となるように、シリンダブロック14の中心孔68の内歯スプライン72と噛合う外歯スプライン122を具える。キー124は、入力軸を駆動させるプーリとの噛合いを可能にさせるために入力軸120に連結される。シール部材126は、ハウジング12の内部空洞38を密閉するために、入力軸120をハウジングの第二開口44で受ける。ベアリング部材128及びばね132は、ハウジングの空洞38の内部で入力軸120を包囲する。
【0015】
実施例に示されているトラニオンアーム22は、円筒シャフト部140及びそのシャフト部に連結又は一体形成されたカム部142を有する。トラニオンアーム22は、斜板の揺動動作をコントロールするために、斜板18に作用するように連結される。図3を参照すると、トラニオンアーム22の円筒シャフト部140は、ピボット軸80と平行、且つ、偏心した位置にある、トラニオンアーム回動軸144を画定する。円筒シャフト部140は、ハウジング12の第一側壁30に設けられるトラニオンアーム孔52を貫き延びている。
【0016】
トラニオンアーム22のカム部142は、ハウジング12の内部、より具体的には、空洞38のカットアウト46内に配置される。図2を参照すると、カム部142は、トラニオンアーム回動軸144と交差し、且つ、トラニオンアーム回動軸と直角で交わるカム部142を通るカム部中心線158の反対側に設けられる第一側方カム面154及び第二側方カム面156を有する。第一付勢機構54は、ハウジング12内に配置され、カム部をニュートラルポジションに向かう第一方向(図2において左方向)に動かすために第一側方カム面154と協働する。第二付勢機構56は、ハウジング12内に配置され、カム部142をニュートラルポジションに向かう第二方向(図2において右方向)に動かすために第二側方カム面156と協働する。図2に示されるように、第二方向は、第一方向と反対方向である。
【0017】
引き続き図2を参照すると、側方カム面154、156は、いずれも凸状である。実施例に示されているように、側方カム面は、それぞれ、カム部中心線158が存在する面のカム部142の断面において変曲点を画定する。例えば、第一側方カム面は第一変曲点164を、そして、第二側方カム面156は第二変曲点166を画定する。図2は、ニュートラルポジションにあるカム部142を表しており、変曲点164及び166の双方を横切る線168は、カム部中心線158と直角に交わる。このような変曲点を設けることで、モーメントアーム、すなわち、トラニオンアーム回動軸144とカム部142が付勢機構54、56のそれぞれと接する位置との距離は、カム部142がニュートラルポジションから回動しているときとほぼ同じに縮小又は維持される。このような形状は、ニュートラルポジション方向のカム部142への必要な付勢力を減少させることができ、ニュートラルポジションからカム部142を回動させるためにポンプ10の操縦者が要求される力を減少させることができる。
【0018】
また、図1に戻って参照すると、ポンプ10は、スライドブロック180を有する。上述したように、斜板18は切欠部82を具えている。斜板18の切欠部82は、トラニオンアーム22を斜板18に連結するためにスライドブロック180を受ける。スライドブロック180は、円筒孔182を有する。トラニオンアーム22は、図3に示すように、スライドブロック180の円筒孔182内に受けられる円筒延長部184を有する。図1に戻って参照すると、中空円筒鞘186は、トラニオンアーム22の円筒部140を受ける。その鞘186は、トラニオンアーム孔52に受けられる。また、ベアリング及びシール部材188もトラニオンアーム22の円筒部140に受けられ、トラニオンアーム孔52を密封する。
【0019】
図2を参照すると、第一付勢機構54及び第二付勢機構56は、いずれもハウジング12内に配置されている。外部に取付けられるニュートラル復帰(RTN)装置と比較すると、ハウジング12内に付勢部材54及び56を設けることで、付勢部材が外部の環境にさらされることが抑制されるため、非常に望ましい。上述したように、ハウジング12は、第一付勢機構24を受ける円筒形状の第一付勢機構用孔54、及び第二付勢機構26を受ける円筒形状の第二付勢機構用孔56を有する。図2を参照すると、付勢機構用孔54、56は、それぞれ、シリンダブロック14及びトラニオンアーム22のカム部142を受けるハウジング12内の空洞38に向けて開口している。付勢機構24、26は、それぞれ、各々の付勢機構用孔54、56からハウジングの空洞38内、より具体的には、空洞のカットアウト46内へ延びている。付勢機構用孔54、56は、それぞれ、ハウジング12の外面からハウジングの空洞38へ延びている。具体的には、第一付勢機構用孔54は、ハウジング12の第二側壁32の外面から空洞38へ延び、第二付勢機構用孔56は、ハウジング12の第三側壁36の外面から空洞38へ延びている。
【0020】
第一付勢機構24は、圧縮ばね200、圧縮ばねの内側の端部に対して設けられるばね取付座202、及び圧縮ばねの外側の端部に対して設けられるばね固定部材204を有する。同様に、第二付勢機構26は、圧縮ばね210、圧縮ばねの内側の端部に対して設けられるばね取付座212、及び圧縮ばねの外側の端部に対して設けられるばね固定部材214を有する。図2を参照すると、両付勢機構24、26は、同軸且つ斜板18のピボット軸80及びトラニオンアーム回動軸144と直角をなす位置の、それぞれのコイル軸を有する圧縮ばね200、210を有する。第一圧縮ばね200は、第一付勢機構用孔54内の雌ねじ付座ぐり穴58にねじ込まれるばね固定部材204によって、第一付勢機構用孔54内に支持されている。同様に、第二圧縮ばね210は、第二付勢機構用孔56内の雌ねじ付座ぐり穴62にねじ込まれるばね固定部材214によって、第二付勢機構用孔56内に支持されている。第一ばね取付座202は、トラニオンアーム22のカム部142の第一側方カム面154に接し、カム部142、そして、トラニオンアーム22を第一方向(図2において左方向)に付勢している。第二ばね取付座212は、カム部142の第二側方カム面156に接し、カム部142、そして、トラニオンアーム22を第二方向(図2において右方向)に付勢している。図示されている実施例にあるように、カム部142は、カム部中心線158で対称である。それ故、それぞれの圧縮ばね200及び210による付勢する力は、いずれの方向へのトラニオンアーム22の回動であっても一様にニュートラルポジションの方向に付勢されるように、等しく、且つ、互いに逆方向である。
【0021】
作動中は、トラニオンアーム22は、操縦者がトラニオンアームとリンク機構を通じて連結されるハンドル又はフットペダルを操作することにより、トラニオンアーム回動軸144を中心に回動される。図2を参照すると、トラニオンアーム22のカム部142が反時計回り方向に回動される場合、トラニオンアームに掛かる力がなくなると、第一付勢機構24はカム部を時計回り方向に動かす。トラニオンアーム22が時計回り方向に回動される場合は、トラニオンアームに掛かる力がなくなると、第二付勢機構26が第二側方カム面156に抗して作動し、トラニオンアームを反時計回り方向に回動させるようにトラニオンアームのカム部142を動かす。必要に応じて、引張ばねをトラニオンアーム22のカム部142に取付け、それぞれの引張ばねがトラニオンアーム回動軸144を中心とするトラニオンアームの回動を反対方向に動かすように、圧縮ばね202及び210を引張ばねに置換えることもできる。
【0022】
油圧ポンプ及び油圧ポンプのRTN装置が、上記に詳細に説明された。改良及び変更は、前述の詳細な説明を読み、理解した上ですることができるであろう。本発明は、上述した実施例及び代替手段に限られるものではない。そうではなく、本発明の範囲は、添付された請求項及びその均等物により、広く定められるものである。
【0023】
上記に開示された様々なもの、他の機構及び機能、又はその均等物若しくはそのシステムが、多くの異なるシステム又は用途において、望ましいように組合わされることが理解されるであろう。また、後に、当業者によってなされる、現在予見又は予期しないその均等物、変更、バリエーション、又は改良も、下記請求項に含まれるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧ポンプであって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に回転運動のために配置され、複数のピストンチェインバーを有する、シリンダブロックの回転軸を中心に回転するシリンダブロックと、
各ピストンがそれぞれのピストンチェインバーに受け入れられる、複数のピストンと、
前記ハウジングの内部に揺動動作のために配置され、ピストンと協働してピストンチェインバーの可動範囲を変える、ピボット軸を揺動の軸とする斜板と、
円筒軸部及び該軸部と連結又は一体形成されたカム部を有し、前記斜板の揺動動作をコントロールするために、該斜板に作用するように連結され、前記円筒軸部が、前記ピボット軸と平行、且つ、偏心した位置にあるトラニオンアーム回動軸を画定し、前記カム部は、前記ハウジング内に配置され、前記トラニオンアーム回動軸と交差し、且つ、該トラニオンアーム回動軸と直角で交わる前記カム部を通るカム部中心線の反対側に第一側方カム面及び第二側方カム面が設けられているトラニオンアームと、
前記ハウジング内に配置され、前記第一側方カム面と協働して前記カム部をニュートラルポジションに向かう第一方向に動かす第一付勢機構と、
前記ハウジング内に配置され、前記第二側方カム面と協働して前記カム部をニュートラルポジションに向かう第二方向に動かす第二付勢機構とを具える、
油圧ポンプ。
【請求項2】
前記カム部が前記カム部中心線で対称である、請求項1の油圧ポンプ。
【請求項3】
前記各側方カム面が凸状形状を有している、請求項1の油圧ポンプ。
【請求項4】
前記各側方カム面が変曲点を形成していて、双方の変曲点を横切る線が前記カム部中心線と直角に交わる、請求項3の油圧ポンプ。
【請求項5】
スライドブロックをさらに具え、前記斜板が該スライドブロックを受ける切欠部を有し、前記トラニオンアームが前記スライドブロックの円筒孔に受けられる円筒延長部を有し、前記円筒延長部の中心軸がカム部中心線と交差している、請求項3の油圧ポンプ。
【請求項6】
前記カム部がニュートラルポジションのとき、前記カム部中心線が前記シリンダブロックの回転軸と平行である、請求項1の油圧ポンプ。
【請求項7】
前記ハウジングが前記第一付勢機構を受ける第一付勢機構用孔及び前記第二付勢機構を受ける第二付勢機構用孔を有し、それぞれの付勢機構用孔が、前記シリンダブロック及びカム部を受ける前記ハウジング内の空洞に向けて開口し、それぞれの付勢機構が、各々の前記付勢機構用孔から前記ハウジングの空洞内へ延びている、請求項1の油圧ポンプ。
【請求項8】
前記空洞が前記ハウジングの側壁に該空洞から外向きに延びるカットアウトを有し、該カットアウトに前記カム部が存在する、請求項7の油圧ポンプ。
【請求項9】
前記第一付勢機構用孔が前記第二付勢機構用孔と同軸である、請求項7の油圧ポンプ。
【請求項10】
それぞれの付勢機構用孔が前記ハウジングの外面から該ハウジングの空洞へ延びている、請求項7の油圧ポンプ。
【請求項11】
前記両付勢機構がコイル軸を有する圧縮ばねをそれぞれ有し、前記両コイル軸が同軸且つ前記トラニオンアーム回動軸と直角をなす、請求項5の油圧ポンプ。
【請求項12】
それぞれの付勢機構用孔がハウジングの外面から該ハウジングの空洞へ延びている、請求項7の油圧ポンプ。
【請求項13】
油圧軸流ピストンポンプのニュートラル復帰装置であって、
トラニオンアーム回動軸を有するトラニオンアームの円筒部と連結又は一体形成されるカム部及び油圧ポンプに動作可能に連結される斜板を有し、前記カム部が前記油圧ポンプ内に配置され、前記トラニオンアーム回動軸と交差し、且つ該トラニオンアーム回動軸と直角で交わる前記カム部を通るカム部中心線と対称な反対側に第一側方湾曲カム面及び第二側方湾曲カム面を有し、
前記カム部をニュートラルポジションに向かう第一方向に動かすために、前記第一側方カム面と協働する前記油圧ポンプ内の第一付勢機構と、
前記カム部をニュートラルポジションに向かう第二方向に動かすために、前記第二側方カム面と協働する前記油圧ポンプ内の第二付勢機構とで構成され、前記第二方向が前記第一方向と反対方向である、
ニュートラル復帰装置。
【請求項14】
それぞれの側方カム面が変曲点を形成し、前記カム部がニュートラルポジションのとき、それぞれの変曲点を横切る線がカム部中心線と直角に交わる、請求項13のニュートラル復帰装置。
【請求項15】
前記両付勢機構がコイル軸を有する圧縮ばねをそれぞれ含み、前記両コイル軸が同軸且つ前記トラニオンアーム回動軸と直角をなす、請求項13の油圧ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−530204(P2012−530204A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515323(P2012−515323)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際出願番号】PCT/CN2010/071133
【国際公開番号】WO2011/113205
【国際公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(511304280)ホワイト・(チャイナ)・ドライブ・プロダクツ、カンパニー、リミテッド (1)
【Fターム(参考)】