説明

浴室作業用ブーツ

【課題】単純な構造で、不使用時に内部がシャワーの水や跳ね水などが内部に浸入しにくく濡れにくい浴室作業用ブーツを提供する。
【解決手段】ブーツ1の踵部5に、床9に接する平面形成部7を設け、ブーツ1を倒立して置くことができるものにする。踵部5の立ち上り内面6を角度θ1傾斜させ、内部に浸入した水を、排水可能とする。また、平面形成部7とブーツ1の底部2とが成す角度θ2を90度より小さくし、よってブーツ1の底部2は上方を向き、したがって足の挿入部分3は下方を向くことにし、シャワーの水や跳ね水などが足の挿入部分3から内部により浸入しにくくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴室で作業をする際に用いるブーツの形状に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室で作業をする際に用いるブーツは、主にプラスチック製で、足がすっぽり入るように大きめに作られる。このようなブーツは、内部へ浸入した水が出にくく乾きにくいので、よって内部が濡れやすく、作業者は不快な思いをしやすい。
このため、例えば下記の特許文献1には、作業中に足の甲から足首にかけての部分を覆う蓋が、ブーツに一体的に設けられる技術が開示される。そして作業をしない不使用時には、この蓋は、ブーツの足を入れる部分を覆い、シャワーの水や跳ね水などが内部に浸入しないようにする。
【特許文献1】実開昭64-43704
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記特許文献1の技術は、ブーツに一体的に蓋を設けなければならず、この蓋は、ブーツの不使用時には自動的に足を入れる部分を覆うように工夫しなければならず、構造が複雑になってしまう。その分、蓋の取り付け部分の破損などが心配され、ブーツのコストも高くなってしまう。
【0004】
この発明は、以上の問題点を解決するために、単純な構造で、不使用時に内部がシャワーの水や跳ね水などが内部に浸入しにくく濡れにくい浴室作業用ブーツを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、第一発明は、浴室で作業をする際に用いるブーツの踵部に形成された平面形成部と、この平面形成部を下にして前記ブーツを倒立して置くことができる前記平面形成部の大きさと、を有することを特徴とする浴室作業用ブーツである。 第二発明は、さらに、前記ブーツの踵部の立ち上り内面と前記平面形成部とが成す排水可能な排水角度が0度より大きいことを特徴とする浴室作業用ブーツである。
第三発明は、さらに、前記平面形成部とブーツの底部とが成す倒立角度が90度より小さいことを特徴とする浴室作業用ブーツである。
【発明の効果】
【0006】
第一、第二、又は第三発明によれば、単純な構造で、ブーツを不使用時に倒立して置くことができるため、シャワーの水や跳ね水などが内部に浸入しにくくできる。また、倒立により、平面形成部が必要とする床などの保管面積は小さくて済む。
第二、又は第三発明によれば、さらに、仮にブーツの内部へシャワーの水や跳ね水などが浸入しても、その浸入水は、踵部の立ち上り内面が、排水可能な角度を有して傾斜しているので、踵部から外部へ排水されやすく、次の使用時までには乾燥してしまい、よって濡れにくくできる。
【0007】
第三発明によれば、さらに、ブーツの底部は上方を向き、したがって足の挿入部分は下方を向くことになるので、シャワーの水や跳ね水などが内部により浸入しにくくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明の実施形態を、図1〜図4に示す。
この実施形態のブーツ1は、プラスチック製で、全体及び足の挿入部分3は、足がすっぽり入るようにやや大きめに作られる。ブーツ1の踵部5の外側には、踵部5から上方左右へ伸びる平面形成部7が形成される。この平面形成部7は、浴室の床9などに接する部分であり、この実施形態では床9に全面的に接する平面を形成している。また、この平面形成部7は、向きを下にして床9に接することで、ブーツ1を倒立して置くことができる大きさを有する。この大きさは、ブーツ1の形状、材質の質量分布などで異なる。また、この平面形成部7を肉厚部にして、重量により倒立状態が維持されやすくし、その分、面積の大きさを小さくする。
【0009】
ブーツ1の踵部5の立ち上り内面6と、平面形成部7とが成す排水可能な排水角度θ1は、0度より大きく、約5度である。よって、この立ち上り内面6は排水しやすいように傾斜していることとなる。
また、平面形成部7とブーツ1の底部2とが成す倒立角度θ2は、足の挿入部分3が下方を向くように、90度より小さく、約60度である。
【0010】
「実施形態の効果」
この実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)踵部5に平面形成部7を設けるという単純な構造で、ブーツ1を不使用時に倒立して置くことができるため、シャワーの水や跳ね水などが、足の挿入部分3から内部に浸入しにくくできる。
(2)また、倒立により、ブーツ1の不使用時に平面形成部7が接する床9などの保管面積は、従来の底部2が接する面積に比べ、小さくて済む。
【0011】
(3)不使用時に仮にブーツ1の内部へシャワーの水や跳ね水などが浸入しても、その浸入水は、踵部5の立ち上り内面6が、排水可能な角度θ1を有して傾斜しているので、この傾斜に沿って、踵部5から外部へ排水されやすい。従って、ブーツ1の次の使用時までには乾燥してしまい、内部を濡れにくくできる。
【0012】
(4)θ2は約60度でブーツ1の底部2はかなり上方を向き、したがって足の挿入部分3はかなり下方を向くことになるので、シャワーの水や跳ね水などが内部により浸入しにくくできる。約60度とすることで、あまり小さな角度にならず保管面積をそれほど増加させない。
【0013】
(5)また、平面形成部7を肉厚部にして、重量により倒立状態が維持されやすくし、その分、平面形成部7の面積すなわち保管面積の大きさを小さくできる。
【0014】
「他の実施形態」
以上の実施形態では、平面形成部7は全面的に床9に接する平面を形成していたが、他の実施形態では、平面形成部7は大きな凹みを形成し、この凹みの縁部だけが床9に接するものとしてもよい。あるいは、平面形成部7には大きな凹みの中に一つあるいは複数のフランジが、平面形成部7に直角に形成され、このフランジの縁部と凹みの縁部が、床9に接するものとしてもよい。
【0015】
以上の実施形態では、角度θ2は約60度としたが、他の実施形態では、60度よりも小さいものとしてもよい。例えば30度程度までは可能である。また、60度より大きくできる。90度より大きくもできる。90度より大きくしても、倒立による効果は得られる。
【0016】
以上の実施形態では、角度θ1は約5度であったが、他の実施形態では、5度より小さくてもよいし、5度より大きくてもよい。θ2を小さくすれば、θ1を無理なく大きくできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施形態を示すブーツの倒立状態を示す側面図である。
【図2】図1のブーツの通常の状態の斜視図である。
【図3】図2のブーツの背面図である。
【図4】図2のブーツの正面図である。
【符号の説明】
【0018】
1…ブーツ、2・・底部、3…挿入部分、5…踵部、6・・立ち上り内面、7…平面形成部、9…床。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室で作業をする際に用いるブーツの踵部に形成された平面形成部と、この平面形成部を下にして前記ブーツを倒立して置くことができる前記平面形成部の大きさと、を有することを特徴とする浴室作業用ブーツ。
【請求項2】
前記ブーツの踵部の立ち上り内面と前記平面形成部とが成す排水可能な排水角度が0度より大きいことを特徴とする請求項1に記載の浴室作業用ブーツ。
【請求項3】
前記平面形成部とブーツの底部とが成す倒立角度が90度より小さいことを特徴とする請求項1、又は2に記載の浴室作業用ブーツ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−110023(P2006−110023A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−299542(P2004−299542)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(504383678)
【Fターム(参考)】