説明

消臭殺菌ポータブルトイレ。

【課題】排泄物の臭気を消臭殺菌した後、ポータブルトイレ内の空気を外部へ放出することで排泄物貯留ポット内の消臭殺菌能力を促進しながら室内全体を消臭殺菌する消臭殺菌ポータブルトイレを提供する。
【解決手段】排泄物貯留ポットに通気孔を設け、ポータブルトイレ本体の内壁面に消臭殺菌装置を着脱自在として装備し、消臭殺菌された空気をポータブルトイレ本体より外部へ自然放出又はファンによる強制循環させる構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬性の消臭殺菌ポータブルトイレに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢化時代を迎え余儀なく家庭介護を必要とする傾向にあるのは否定できない。トイレに移動するのが困難な状況にある人は自分の意思に係わらずポータブルトイレを使用することになる。室内に持ち込んだポータブルトイレは排泄、排尿の後始末が介護者にとって大変な苦労になっている。又、排泄に伴う臭いは使用中から室内に拡散し介護を受ける本人も精神的、心理的に多大な負担を覚えるものである。
【0003】
ポータブルトイレの欠点である室内に籠もる排泄物臭気の消臭対策の方法として、数々の提案があるが、これら従来の方法でも充分な臭気消臭対策のポータブルトイレとしてその解決策はまだ完成されておらず問題を残している。
【0004】
例えば従来の解決策としては、消臭剤を散布する方法、排泄物の加熱、微生物分解、攪拌方式、発酵分解方式で処理する方法等数々の提案がある。
【0005】
【特許文献】
【特許文献1】特開平11−244193 浄化剤供給
【特許文献2】特開平2000−166810A 熱触媒
【特許文献3】特開平2001−258791 脱臭ユニット
【特許文献4】特開平2000−201856 活性炭、オゾン発生器
【0006】
これら従来の方法と本発明とは基本的に考え方が異なるもので、従来の方式はすべてポータブルトイレ内に具備するバケツ形の排泄物貯留ポットに蓋をして排泄物の臭気を外部へ洩れないように密閉状態で処理しようする考え方によるものだが、本発明では排泄物貯留ポット内に籠もる臭気を外気に放出し、さらに消臭殺菌処理能力を促進して室内の空気全体を清浄化する目的を可能とした逆の考え方を提案したものである。
【0007】
特開2004−267706に本発明の出願人による発明があり、当然本発明と考え方は同じであるが、特開2004−267706では利便性にやや問題があり、本発明はそれらの欠点を解決してさらなる完璧性を求め完成させたものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明では排泄物の悪臭を消臭殺菌するに止まらず、部屋に籠もりっきりでいるとどうしても気になる老人特有の加齢臭も消臭殺菌してお部屋全体を快適な環境にする。
【0009】
又、排泄物貯留ポットに籠もる排泄物の臭気を消臭殺菌するための効率的手段としてポータブルトイレ内の空気の流れを自然又は強制循環して外部へ放出することで排泄物貯留ポット内の消臭殺菌能力を促進しながら室内に拡散する臭気までも循環消臭し結果的に室内全体を消臭殺菌しようとするのを可能とした消臭殺菌ポータブルトイレを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の消臭殺菌ポータブルトイレは、ポータブルトイレ本体の内壁面に消臭殺菌装置を装備し、排泄物貯留ポット内の臭気を消臭殺菌するとともに脱臭作用効果を促進し外気へ放出させることで室内全体の空気を清浄化する構造とする。
【0011】
消臭殺菌装置の消臭殺菌機能を促進させて効率化を図るために排泄物貯留ポットに通気孔を設けるのを特徴とする構造とする。
【0012】
排泄物貯留ポットに設ける通気孔を左右側面の二箇所と内壁面後方に位置する消臭殺菌装置の装着位置に隣接して一箇所の計三箇所を適当として設け、該、通気孔を持ち手としても使える構造とする。
【0013】
消臭殺菌ポータブルトイレは、ポータブルトイレ本体の内壁面に装着する消臭殺菌装置を着脱自在とした構造とする。
【0014】
ポータブルトイレ本体の内壁面に装着した消臭殺菌装置で発生するオゾン・紫外線は通気孔より進入し排泄物貯留ポット内の臭気を消臭殺菌する構造とする。
【0015】
排泄物貯留ポット内で消臭殺菌された空気をポータブルトイレ本体より外部へ自然放出又は強制循環させることで室内全体の空気を清浄化できる構造とする。
【0016】
消臭殺菌ポータブルトイレの消臭殺菌装置は、消臭殺菌方法をオゾン発生による分解消臭と紫外線照射による消臭殺菌を可能とし、自然放出又はファンによる強制循環機能を備える構造となっている。
【発明の効果】
【0017】
オゾン・紫外線は強力な酸化力を持ち、細菌やウィルス、カビの細胞膜を短時間で破壊・分解するため室内全体の空気を浄化し、室内にいやな臭いが籠もることもなく外部から訪問者があっても不快感を与えることもない。消臭殺菌された排泄物は臭いも気にならず後始末が楽で、衛生面でも殺菌処理後は安全性も高く、介護を受ける本人にしても心理的、精神的にも心の負担を軽減する。又、特開2004−267706では通気孔の数は16個前後から成る集合配列群を3箇所設けるのを適当としているが、本発明では手の指先が入る程度の大きさとしたため通気孔の中空部分は持ち手としても使え、持ち易くて持ち運びが楽になった。また16個前後から成る集合配列群の通気孔では排泄物が目詰まりする状態もあったが、その目詰まりもなくなり洗いやすく清潔になった。そして市販の可搬性のポータブルトイレを改良して製作することも可能で、コスト面でも有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下本発明を実施するための最良の形態を実施例にもとづき図面に従い以下説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は本発明の実施例1とする消臭殺菌ポータブルトイレ11の構造を示す要部側断面図である。
【0020】
図2は本発明のバケツ形状の排泄物貯留ポット13に通気孔14を設けた構造を示す斜視図である。
【0021】
本実施例1の消臭殺菌ポータブルトイレ11は簡易型の可搬性ポータブルとトイレで、ポータブルトイレ本体12と排泄物を貯留するためのバケツ形状の排泄物貯留ポット13に通気孔14を設け、該排泄物貯留ポット13との組み合わせで構成する消臭殺菌ポータブルトイレ11である。
【0022】
従来のポータブルトイレ本体12には開閉自在に便座15と便座蓋16が設けられ、排便後は便座蓋16で蓋をして排泄物の臭気が直接外部へ拡散しないようにして処置する構造となっている。
【0023】
そこで本発明では、ポータブルトイレ本体12の内壁面に消臭殺菌装置17を装着し、消臭殺菌装置17で発生するオゾン・紫外線は通気孔14より進入し排泄物貯留ポット13内の臭気を消臭殺菌する構造として脱臭作用効果を促進し消臭殺菌された空気をポータブルトイレ本体12の外部へ自然放出させることで室内全体の空気を清浄化するのを特徴とした請求項1に記載の消臭殺菌ポータブルトイレである。
【0024】
消臭殺菌装置17はオゾンと紫外線を同時発生するランプを採用するものとして、強力な酸化力で排泄物貯留ポット14内の細菌やウィルス、カビの細胞膜を短時間で破壊、分解し、根強い悪臭成分を元から強力に酸化分解して消臭殺菌するものである。
【0025】
上述する消臭殺菌装置17の機能等についてはすでによく知られているので詳細は省略する。
【0026】
尚、消臭殺菌装置17は本発明の実施例1で示す、オゾンと紫外線を同時発生するランプだけに限らず、消臭殺菌能力と使用環境に応じて効果的素材を採用する消臭殺菌装置17とするものである。
【0027】
本発明の実施例1の消臭殺菌装置17の装着方法は、マグネットで着脱自在として装着するものである。但しその装着方法はこの他にもネジ止め・ボルト締めなどいろいろ想定されその装着方法を特定するものではない請求項2に記載の消臭殺菌ポータブルトイレである。
【0028】
本発明ではバケツ形状の排泄物貯留ポット13に通気孔14を設け、消臭殺菌装置17で発生するオゾン・紫外線が通気孔14を通り抜け排泄物貯留ポット13内への進入を容易にして消臭殺菌作用を効率的に促進させる構造としたものである。
【0029】
即ち、排泄物貯留ポット13内の臭気を消臭殺菌するために排泄物貯留ポット13に通気孔14を設けるのを特徴とした請求項4に記載の消臭殺菌ポータブルトイレ11である。
【0030】
排泄物貯留ポット13に設ける通気孔14は左右側面の二箇所と内壁面に位置する消臭殺菌装置の装着位置に隣接して一箇所の計三箇所を適当として設け、通気孔の中空寸法径は縦30ミリ横70〜80ミリの指先が差し込める程度を最適とし、持ち手としても使えるのを特徴とした請求項5に記載の消臭殺菌ポータブルトイレ11である。
【0031】
即ち、通気孔14の中空部分は持ち手としても使える大きさの寸法であるため排出物が目詰まりすることがない。
【実施例2】
【0032】
図3は本発明の実施例2とする消臭殺菌ポータブルトイレ21の構造を示す要部側断面図である。
【0033】
又、図3は本発明の実施例2とする消臭殺菌ポータブルトイレ本体22とそれに具備する排泄物貯留ポット13の設置状況を示したものである。
【0034】
図4は消臭殺菌ポータブルトイレ本体22の消臭殺菌装置27の収納部分を示す背面斜視図である。
【0035】
本発明の実施例1の場合は消臭殺菌された空気をポータブルトイレ本体12の外部へ自然放出させるのを特徴としているが、本発明の実施例2では消臭殺菌ポータブルトイレ本体22に具備する排泄物貯留ポット13内で消臭殺菌された空気をポータブルトイレ本体22の外部へ強制循環放出させることで室内全体の空気を清浄化するのを特徴とした消臭殺菌ポータブルトイレである。
【0036】
実施例2での消臭殺菌装置27は、強制循環ファン28を内蔵し、オゾン発生ランプと紫外線ランプの出力を変えることでオゾンと紫外線を同時に発生させてふたつの効果で消臭殺菌機能を持つ消臭殺菌装置27である。
【0037】
オゾン・紫外線はダクト30で排泄物貯留ポット13内に誘導され、強制循環させることで消臭殺菌能力を促進し室内全体の空気を清浄化するものである。
【0038】
消臭殺菌装置27に装備するオゾン発生ランプと紫外線ランプの機能等についてはすでによく知られているので詳細は省略する。
【0039】
図5は消臭殺菌ポータブルトイレ21の空気の流れを示す正面要部断面図であり、図面矢印は空気の流れを示す。
図6は消臭殺菌ポータブルトイレ21の空気の流れを示す部分斜視図であり、図面矢印は空気の流れを示す。
【0040】
即ち、空気の流れは吸入口29より外気を取り入れ消臭殺菌装置27で消臭殺菌能力を充分に持ちつつダクト30で排泄物貯留ポット13内に誘導され、排泄物の悪臭等を除菌、脱臭して通気孔14を通り便座25、便座蓋26等の隙間から外部へ強制的に放出される。
【0041】
このように、強制循環を繰り返しながら消臭殺菌装置27を室内の空気が通り抜けることで消臭殺菌能力を促進し室内全体の空気を清浄化するのである。
【0042】
又、本発明の消臭殺菌ポータブルトイレにセンサー32を装備し自動でスイッチのON、OFFを可能とすることで利便性を高める、
【0043】
尚、ONの場合はスイッチが瞬時に入り、OFFでは使用後時間差をおいてスイッチが切れる方法とする。この時間差の調整を可能とすることでお部屋の大きさに合わせてお部屋全体の空気の浄化能力を調整できる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係わる消臭殺菌ポータブルトイレのポータブルトイレ本体は工業的に量産することも可能であり、現在市販されているポータブルトイレを改良量産して本発明の消臭殺菌ポータブルトイレとすることも可能であり、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】消臭殺菌ポータブルトイレ11の構造を示す要部側断面図。
【図2】排泄物貯留ポット13に通気孔14を設けた構造を示す斜視図。
【図3】消臭殺菌ポータブルトイレ21の構造を示す要部側断面図。
【図4】消臭殺菌装置27の収納部分を示す背面斜視図。
【図5】消臭殺菌ポータブルトイレ21の空気の流れを示す正面要部断面図。
【図6】消臭殺菌ポータブルトイレ21の空気の流れを示す部分斜視図。
【符号の説明】
【0046】
11、21 消臭殺菌ポータブルトイレ
12、22 ポータブルトイレ本体
13 排泄物貯留ポット
14 通気孔
15、25 便座
16、26 便座蓋
17、27 消臭殺菌装置
28 強制循環ファン
29 吸入口
30 ダクト
31 ダクト排出口
32 センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポータブルトイレ本体の内壁面に消臭殺菌装置を装着し、排泄物貯留ポット内の臭気を消臭殺菌するとともに脱臭作用効果を促進し外気へ放出させることで室内全体の空気を清浄化するのを特徴とした消臭殺菌ポータブルトイレ。
【請求項2】
消臭殺菌装置の消臭殺菌方法は、オゾン発生による分解消臭と紫外線照射による消臭殺菌を可能とし、自然排気又はファンによる強制循環排気機能を備えるのを特徴とした請求項1に記載の消臭殺菌ポータブルトイレ。
【請求項3】
ポータブルトイレ本体の内壁面に装着する消臭殺菌装置は着脱自在とするのを特徴とした請求項1及び請求項2に記載の消臭殺菌ポータブルトイレ。
【請求項4】
排泄物貯留ポット内で消臭殺菌された空気を外気へ放出する為に排泄物貯留ポットに通気孔を設けるのを特徴とした請求項1請求項2及び請求項3に記載の消臭殺菌ポータブルトイレ。
【請求項5】
排泄物貯留ポットに設ける通気孔は左右側面の二箇所と内壁面に位置する消臭殺菌装置の装着位置に隣接して一箇所の計三箇所を適当として設け、通気孔を持ち手としても使えるのを特徴とした請求項1、〜4に記載の消臭殺菌ポータブルトイレ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−72554(P2009−72554A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274412(P2007−274412)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(507300711)
【Fターム(参考)】