説明

液晶表示パネル

【課題】表示領域の視野を妨げることなく、また、コストアップを伴うことなく、表示領域内の表示電極配線と、その周りの非表示領域に形成される引き回し配線との配線密度の相違による見栄えを改善する。
【解決手段】それぞれが互いに直交する方向に沿って形成された帯状をなす複数本の表示電極11,21を有する2枚の基板が周辺シール材40を介して圧着され、対向する表示電極11,21を含む表示領域50と周辺シール材40との間に非表示領域60が存在し、表示電極11と直交する側の非表示領域61,62に、各表示電極11から細幅として引き出された引き回し配線12が形成されているとともに、非表示領域60の周辺シール材40側の一部分が額縁枠によって環状に覆われている液晶表示パネルにおいて、引き回し配線12を非表示領域61,62のうちの額縁枠にて覆われる部分に配置し、かつ、各表示電極11を表示領域50から少なくとも額縁枠の内縁BLに至る部分にまで、その帯状の幅を変えることなく引き出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルに関し、さらに詳しく言えば、表示電極よりなるアクティブな表示領域と、その周りに存在する非表示領域に形成される表示電極の引き回し配線との配線密度の相違による見栄えを改善する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
単純マトリクス表示型の液晶表示パネルでは、X方向に沿って互いに平行に延びる帯状の表示電極と、これとは直交するY方向に沿って互いに平行に延びる帯状の表示電極とにより、その交点部分を1画素とする表示領域が形成される。表示領域の周りには、表示に寄与しない非表示領域が設けられ、この非表示領域に表示電極の引き回し配線が形成される。
【0003】
その具体的な従来例の構成を図3および図4により説明する。なお、図3は液晶表示パネルの構成を模式的に示す正面図で、図4は図3中の丸囲み部分Cの拡大図である。
【0004】
液晶表示パネル1は、第1および第2の2枚の基板10,20を備える。この場合、第1基板10は図3の紙面手前側に位置するフロント側の基板で、第2基板20はその背面側に位置するリア側の基板である。
【0005】
この例では、第2基板20側に端子部20aが連設されており、第2基板20は端子部20aを有する分第1基板10よりもサイズが大きい。この液晶表示パネル1はCOG(Chip On Glass)型であり、端子部20aには表示駆動用のチップ部品30が実装されている。
【0006】
第1基板10と第2基板20は、第1基板10の周縁に沿って塗布された周辺シール材40を介して圧着されている。なお、作図の都合上、図3には周辺シール材40が一部分しか示されていないが、周辺シール材40は第1基板10の全周に沿って存在しており、これによって囲まれたセル内に所定の液晶物質が封入されている。
【0007】
第1基板10と第2基板20の各内面には、ITO(Indium Tin Oxide)からなる表示電極がそれぞれ形成されている。単純マトリクス表示の場合、一方の基板側の表示電極が走査電極、他方の基板側の表示電極が信号電極として用いられる。
【0008】
この例では、第1基板10側にX方向に沿って一方の表示電極11が多数本帯状として互いに平行に形成され、第2基板20側にはX方向と直交するY方向に沿って他方の表示電極21(図4参照)が多数本帯状として互いに平行に形成されている。なお、以下の説明において、一方の表示電極11をX表示電極,他方の表示電極21をY表示電極ということがある。
【0009】
これら表示電極11,21により、パネル面内に各電極交点部分を1画素とするアクティブな表示領域50が形成される。表示領域50の周り、すなわち表示領域50と周辺シール材40との間には、表示に寄与しない非表示領域60が設けられ、この非表示領域60に表示電極11,21の引き回し配線12,22が形成される。
【0010】
このうち、Y表示電極21の引き回し配線22は、表示領域50の図3において下辺側の非表示領域60内で端子部20aの中央部分に集められ、図示されていないが、そこから直接に端子部20a上に引き出されてチップ部品30の所定の信号出力端子に接続される。
【0011】
これに対して、第1基板10側では、特許文献1に記載されているように、表示領域50内を仮想的に上下の2つの表示領域51,52に分け、上側の表示領域51に含まれるX表示電極11については、その引き回し配線12を図3において右側の非表示領域61に形成し、下側の表示領域52に含まれるX表示電極11については、その引き回し配線12を図3において左側の非表示領域62に形成するようにしている。
【0012】
なお、右側の非表示領域61と左側の非表示領域62とに形成された各引き回し配線12,12は、周辺シール材40に設けられている図示しないトランスファを介して端子部20aの両側に集められ、そこから図示しないリード配線を介してチップ部品30の所定の信号出力端子に接続される。
【0013】
【特許文献1】特開2003−57680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、図4に拡大して示すように、引き回し配線12,22は表示電極11,21から細幅として引き出され、また、その線間ピッチも表示領域50内と異なることから、特に表示領域50と、その両側に存在する非表示領域61,62とで配線密度が異なっている。
【0015】
そのため、無点灯時の背景色が表示領域50と非表示領域61,62とで異色を呈し、見栄え上好ましくない。この異色はX表示電極11と引き回し配線12との折り曲がり部分に沿って斜めに現れる。
【0016】
この点を解決するには、最終製品形態とする際に液晶表示パネル1に被せられるベゼルと呼ばれる図示しない額縁枠の内縁を表示領域50の大きさとして、その額縁枠にて非表示領域61,62を隠せばよい。
【0017】
しかしながら、そうすると額縁枠の板厚が表示領域50に対する視野の妨げになることがあり好ましくない。すなわち、表示領域50を真正面から観察する場合には問題ないが、表示領域50を斜め方向から観察する場合に、表示領域50の縁部分の表示が額縁枠の板厚の陰となってしまう。
【0018】
また、別の解決策として、非表示領域61,62を含む非表示領域60全体にブラックマスクを形成する方法もあるが、無点灯時の背景色がノーマリーホワイトの場合には、ブラックマスクとのコントラストが強すぎになり、また、ブラックマスクを形成する分コストアップになるため、好ましい解決策とは言えない。
【0019】
したがって、本発明の課題は、表示領域の視野を妨げることなく、また、コストアップを伴うことなく、表示領域内の表示電極配線と、その周りの非表示領域に形成される引き回し配線との配線密度の相違による見栄えを改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するため、本発明は、請求項1に記載されているように、それぞれが互いに直交する方向に沿って形成された帯状をなす複数本の表示電極を有する第1基板と第2基板とが周辺シール材を介して対向的に圧着され、対向する上記表示電極を含む表示領域と上記周辺シール材との間に表示に寄与しない非表示領域が存在し、上記表示電極と直交する側の上記非表示領域に、上記各表示電極から細幅として引き出された引き回し配線が形成されているとともに、上記非表示領域の上記周辺シール材側の一部分が額縁枠によって環状に覆われている液晶表示パネルにおいて、上記引き回し配線が上記非表示領域のうちの上記額縁枠にて覆われる部分に配置され、上記各表示電極が上記表示領域から少なくとも上記額縁枠の内縁に至る部分にかけて、その帯状の幅を変えることなく引き出されている上記表示電極の延長部分を備えていることを特徴としている。
【0021】
本発明の好ましい態様によれば、請求項2に記載されているように、上記額縁枠の内縁と上記表示領域との間で、上記表示電極の延長部分が存在しない所定の部分には、上記表示電極とほぼ同幅のダミー電極が上記表示領域とほぼ同一の線密度で形成される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、引き回し配線を非表示領域のうちの額縁枠にて覆われる部分に配置する一方で、各表示電極を表示領域から少なくとも額縁枠の内縁に至る部分にまでその帯状の幅を変えることなく引き出すようにしたことにより、額縁枠内において非表示領域と表示領域の配線密度がほぼ同じとなり、無点灯時の背景色を均一にすることができ、その見栄えが改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、図1および図2により、本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態に係る液晶表示パネルを模式的に示した正面図、図2(A)は図1中の丸囲み部分Aの拡大図,図2(B)は図1中の丸囲み部分Bの拡大図である。なお、この実施形態の説明において、先の図3,図4で説明した従来例と同一もしくは同一と見なされてよい構成要素には同じ参照符号を付している。
【0024】
図1に示すように、この液晶表示パネル1Aは、第1および第2の2枚の基板10,20を備えているが、この場合においても、第1基板10は図1の紙面手前側に位置するフロント側の基板で、第2基板20はその背面側に位置するリア側の基板である。
【0025】
この実施形態においても、第2基板20側に端子部20aが連設されており、第2基板20は端子部20aを有する分第1基板10よりもサイズが大きい。この実施形態における液晶表示パネル1Aは、端子部20aに表示駆動用のチップ部品30が実装されているCOG型であるが、チップ部品が実装されたフレキシブル基板(COF)などが端子部20aに接続されてもよい。
【0026】
第1基板10と第2基板20は、第1基板10の周縁に沿って塗布された周辺シール材40を介して圧着されている。なお、作図の都合上、図1においても周辺シール材40が一部分しか示されていないが、周辺シール材40は第1基板10の全周に沿って存在しており、これによって囲まれたセル内に所定の液晶物質が封入されている。
【0027】
第1基板10と第2基板20の各内面には、ITO(Indium Tin Oxide)からなる表示電極がそれぞれ形成されている。単純マトリクス表示の場合、先にも説明したように、一方の基板側の表示電極が走査電極、他方の基板側の表示電極が信号電極として用いられる。
【0028】
この例では、第1基板10側にX方向に沿って一方の表示電極11が多数本帯状として互いに平行に形成され、第2基板20側にはX方向と直交するY方向に沿って他方の表示電極21(図2参照)が多数本帯状として互いに平行に形成されている。なお、この実施形態の説明においても、一方の表示電極11をX表示電極,他方の表示電極21をY表示電極ということがある。
【0029】
これら表示電極11,21により、パネル面内に各電極交点部分を1画素とするアクティブな表示領域50が形成される。表示領域50の周り、すなわち表示領域50と周辺シール材40との間には、表示に寄与しない非表示領域60が設けられ、この非表示領域60に表示電極11,21の引き回し配線が形成される。
【0030】
なお、図1には表示電極11の引き回し配線12のみが示され、表示電極21の引き回し配線22は図示されていないが、表示電極21の引き回し配線22には、先に説明した図3と同じ配線形態であってよい。また、各引き回し配線12,22とチップ部品30との接続関係も先に説明した従来例と同じであってよい。
【0031】
この実施形態においても、第1基板10側では、表示領域50内が仮想的に上下の2つの表示領域51,52に分けられ、各表示領域51,52内のX表示電極11の引き回し配線12は、X表示電極11と直交する側の非表示領域60に形成される。
【0032】
すなわち、上側の表示領域51に含まれるX表示電極11の引き回し配線12は図1において右側の非表示領域61に形成され、下側の表示領域52に含まれるX表示電極11の引き回し配線12は図1において左側の非表示領域62に形成される。
【0033】
この液晶表示パネル1Aには、最終製品形態とされる際にベゼルと呼ばれる図示しない額縁枠が被せられるが、図1および図2(A)(B)に、その額縁枠の内縁をベゼルラインBLとして示す。
【0034】
この場合、額縁枠は表示領域50の視野の妨げとならないように、非表示領域60の上記周辺シール材側の一部分を環状に覆う大きさで、ベゼルラインBLは表示領域50の外側に位置している。
【0035】
図2(A)(B)を参照して、本発明では、外部に露出されるベゼルラインBL内において、表示領域50と非表示領域60の配線密度が同じとなるように、まず、右側の非表示領域61および左側の非表示領域62ともに、X表示電極11の引き回し配線12をベゼルラインBLの外側、すなわち額縁枠にて覆われる部分に配置して外部から見えないようにする。
【0036】
これに伴って、各X表示電極11を表示領域50から少なくともベゼルラインBLに至るまで帯状の幅およびその配線ピッチを変えることなくそのまま引き出す。
【0037】
これにより、非表示領域61,62のうち、外部に露出されるベゼルラインBLよりも内側部分がX表示電極11の延長部分11aにて埋め尽くされ、表示領域50内とほぼ同じ配線密度になる。
【0038】
換言すれば、X表示電極11の引き回し配線12は、ベゼルラインBLの外側においてX表示電極11から細幅として引き出される。
【0039】
なお、X表示電極11の引き回し配線12をベゼルラインBLの外側、すなわち額縁枠にて覆われる部分に配置すると、特に右側の非表示領域61におけるベゼルラインBLの内側(下側の表示領域52の右側)は無配線部分となる。また、表示領域50の下辺側の非表示領域60も、表示領域50とは異なる配線密度となるおそれがある。
【0040】
そのため、X表示電極11の延長部分11aが形成されない右側の非表示領域61におけるベゼルラインBLの内側および表示領域50の下辺側には、図2(A)(B)に示すように、X表示電極11とほぼ同幅で、かつ、同一ピッチのダミー電極13を形成することが好ましい。
【0041】
このダミー電極13は、表示に寄与しない電極で、走査電極もしくは信号電極のいずれにも含まれない電極であるため、ベゼルラインBLの内側の外部に露出される部分に均一に形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶表示パネルを模式的に示した正面図。
【図2】(A)は図1中の丸囲み部分Aを示す拡大図,(B)は図1中の丸囲み部分Bを示す拡大図。
【図3】従来の液晶表示パネルの構成を模式的に示す正面図。
【図4】図3中の丸囲み部分Cを示す拡大図。
【符号の説明】
【0043】
1A 液晶表示パネル
10 第1基板
11 X表示電極
11a X表示電極の延長部分
12 引き回し配線
13 ダミー電極
20 第2基板
20a 端子部
21 Y表示電極
30 チップ部品
50 表示領域
60 非表示領域
61 右側の非表示領域
62 左側の非表示領域
BL ベゼルライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが互いに直交する方向に沿って形成された帯状をなす複数本の表示電極を有する第1基板と第2基板とが周辺シール材を介して対向的に圧着され、対向する上記表示電極を含む表示領域と上記周辺シール材との間に表示に寄与しない非表示領域が存在し、上記表示電極と直交する側の上記非表示領域に、上記各表示電極から細幅として引き出された引き回し配線が形成されているとともに、上記非表示領域の上記周辺シール材側の一部分が額縁枠によって環状に覆われている液晶表示パネルにおいて、
上記引き回し配線が上記非表示領域のうちの上記額縁枠にて覆われる部分に配置され、上記各表示電極が上記表示領域から少なくとも上記額縁枠の内縁に至る部分にかけて、その帯状の幅を変えることなく引き出されている上記表示電極の延長部分を備えていることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項2】
上記額縁枠の内縁と上記表示領域との間で、上記表示電極の延長部分が存在しない所定の部分には、上記表示電極とほぼ同幅のダミー電極が上記表示領域とほぼ同一の線密度で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−275841(P2008−275841A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118589(P2007−118589)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】