説明

溶融高炉スラグの処理方法及び処理装置

【課題】高炉から排出される溶融スラグが保有する熱を回収するとともに,簡易に硬質(コンクリート細骨材用)スラグあるいは軟質(セメント用)スラグを作り分けることが可能な,溶融高炉スラグの処理装置及び処理方法を提供する。
【解決手段】高炉から排出される溶融スラグを,回転ドラム5に当てて粒滴化するとともに飛翔させ,セメント原料向けの軟質スラグを製造する場合は,回転筒2の長手方向における回転ドラム5からの飛翔距離2m未満で,コンクリート細骨材向けの硬質スラグを製造する場合は,回転筒2の長手方向における回転ドラム5からの飛翔距離2mから7mの範囲で飛翔中の粒子に複数のノズル7から水を噴霧して200〜950℃まで冷却した後,回転筒2に落下させ,次いで,回転筒2から排出した高温スラグ粒子の顕熱を下流側の熱交換器3で回収すると共に,セメント原料用スラグ又はコンクリート細骨材用スラグを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,スラグ粒の再融着を防止しつつ溶融高炉スラグが保有する熱を回収するとともに,必要に応じ,簡易に硬質(コンクリート細骨材用)スラグあるいは軟質(セメント用)スラグを作り分けることが可能な,溶融高炉スラグの処理装置及び処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高炉から排出される銑鉄から比重分離した溶融スラグを冷却処理してスラグ粒子が製造されている。溶融高炉スラグの処理方法として,溶融高炉スラグを大量の水で急冷してスラグ粒子を製造する水砕による処理方法と,流下する溶融高炉スラグに機械的な打撃を加えて粒子化し,冷却してスラグ粒子を製造する乾式粒滴化法による処理方法がある。また,処理したスラグの用途としては,主に建設資材用(コンクリート細骨材)とセメント用の2種が主である。前者は砂代替品として需要が高まりつつあり,硬質であることが要求される。後者は潜在水硬性を活かしたセメント用としての需要が高く,軟質でガラス化率が95%以上と高く反応性に富むことが要求される。
【0003】
溶融高炉スラグが保有する熱を回収する方法としては,特許文献1に開示されているような技術がある。一方,冷却流体として水を使用したり,間接冷却する冷却固化装置が特許文献2に開示されている。また,溶融高炉スラグが保有する熱を回収するとともに,硬質(コンクリート細骨材用)スラグあるいは軟質(セメント用)スラグに作り分けることが可能な方法としては,例えば,特許文献3や特許文献4に開示されている発明がある。また,特許文献5や特許文献6に開示されている発明では,硬質(コンクリート細骨材用)スラグあるいは軟質(セメント用)スラグを作り分けことは可能である。更に,特許文献7には,粒スラグに気水スプレーから霧化水を吹き付け,800℃に冷却した粒スラグをホッパーに装入し,熱回収する発明が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特公昭58−17136号公報
【特許文献2】特開2001−97748号公報
【特許文献3】特開平11−236608号公報
【特許文献4】特開平11−236609号公報
【特許文献5】特開2000−34138号公報
【特許文献6】特開平11−314946号公報
【特許文献7】特開昭59−24184号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,特許文献1に開示されているような技術は,空冷のみで冷却するため,スラグは硬質化するが,融着して大径・異形の粒子となったり,熱交換器内で付着して大塊になったり,軟質(セメント用)スラグを製造できない等の課題があった。一方,特許文献2に開示された冷却固化装置では,硬質(コンクリート細骨材用)スラグあるいは軟質(セメント用)スラグを作り分けることができないとともに,水冷ドラムが損傷する等の課題があった。また,特許文献3や特許文献4に開示されている発明は,スラグの冷却がガスとの熱交換のみで行われる方式のため,冷却速度が不足し粒子同士の融着が起こり,大径・異形の粒子となったり,スラグウールが生成し,コンクリート細骨材としての利用が不可能となる問題があった。また,特許文献5や特許文献6に開示されている発明では,水砕による処理方法のため,溶融高炉スラグの保有する熱が低温の温水として回収され,有効に利用することができない問題があった。更に,特許文献7に記載された発明では,硬質(コンクリート細骨材用)スラグあるいは軟質(セメント用)スラグを作り分けることができないとともに,スラグウールの発生量が多い等の課題がある。
【0006】
そこで,本発明は上記問題点を解消し,溶融高炉スラグが保有する熱を回収するとともに,必要に応じ,簡易に硬質(コンクリート細骨材用)スラグあるいは軟質(セメント用)スラグを作り分けことが可能な,溶融高炉スラグの処理方法及び処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため,本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)高炉から排出される溶融スラグを,回転ドラムに供給して粒子化するとともに飛翔させ,回転筒の長手方向における回転ドラムからの飛翔距離2m未満で水を噴霧して200〜950℃まで冷却した後,回転筒内に落下させ,次いで,回転筒から排出したスラグ粒子の顕熱を熱交換器で回収すると共に,セメント原料用スラグを製造することを特徴とする溶融高炉スラグの処理方法。
(2)高炉から排出される溶融スラグを,回転ドラムに供給して粒子化するとともに飛翔させ,回転筒の長手方向における回転ドラムからの飛翔距離2mから7mの範囲で水を噴霧して200〜950℃まで冷却した後,回転筒に落下させ,次いで,回転筒から排出したスラグ粒子の顕熱を熱交換器で回収すると共に,コンクリート細骨材用スラグを製造することを特徴とする溶融高炉スラグの処理方法。
(3)回転ドラムに供給する際の溶融スラグの温度が1350〜1400℃のとき,回転ドラムの周速を毎秒7〜10mとし,溶融スラグの温度が1400超〜1450℃のとき,回転ドラムの周速を毎秒7〜15mとし,溶融スラグの温度が1450超〜1570℃のとき,回転ドラムの周速を毎秒7〜20mとすることを特徴とする(1)又は(2)記載の溶融高炉スラグの処理方法。
(4)高炉から排出された溶融スラグの顕熱を回収する溶融高炉スラグの処理装置において,入り側よりも出側が低くなるように垂直方向に斜めに設置された回転筒と,前記回転筒の入り側に設置された回転ドラム,及び前記回転筒内の長手方向に移動自在で,かつ噴霧量を調整自在なノズルと,前記回転筒から排出されたスラグ粒子を搬送するスラグ搬送手段と,スラグの顕熱を回収する熱交換器と,コンクリート細骨材用スラグ又はセメント用スラグ製造手段を有することを特徴とする溶融高炉スラグの処理装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明の溶融高炉スラグの処理方法及び処理装置により,溶融高炉スラグが保有する顕熱を回収するとともに,必要に応じ,簡易に硬質(コンクリート細骨材用)スラグあるいは軟質(セメント用)スラグを作り分けることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下,本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は,本発明の実施の形態に係る溶融高炉スラグの処理装置の構成を示す。また,図2に図1の一部透過斜視図を示す。高炉から排出された溶融スラグを,溶融スラグ樋1を介して前方方向(図1中において時計回転方向)に回転する水平方向に設けた1対の回転ドラム5に上から供給する。これら1対の回転ドラム5は,回転筒2の入り側(図1中において回転筒2の左端側)に配置されており,かつ,各回転ドラム5の回転軸が回転筒2の長手方向に対して直交するように配置されている。
【0010】
回転ドラム5は,溶融スラグ樋1を介して上から供給された溶融スラグを,その回転によって粒滴化するとともに回転筒2の内部に向けて飛翔させる。入り側(図1中において回転筒2の左端側)よりも出側(図1中において回転筒2の右端側)が低くなるように斜めに傾けた回転筒2の内部の上方に設けた複数の水噴霧ノズル7より噴霧される水によって飛翔したスラグ粒子を冷却し,回転筒2内部に落下させ,回転筒2の出側下方に配置した出口9から排出させる。また,噴霧された水は蒸発して固気分離部10でスラグ粒子と分離され,回転筒2の出側から排気される。こうして出口9から排出したスラグ粒子を,スラグ搬送手段である耐熱コンベア8を介して熱交換器3に導入してスラグ顕熱をガスによって回収し,廃熱ボイラー4でスラグから回収した熱を水蒸気に変換するよう形成してある。熱風のみを製造したい場合は,廃熱ボイラー4は不要である。
【0011】
溶融スラグは高炉から排出される溶銑から樋または鍋で比重分離した物であり,通常1350〜1570℃の温度範囲で使用する。スラグ温度の上限は溶銑温度から,下限は回転ドラムに供給するためのスラグの流動性から決まる。
【0012】
溶融スラグ樋1の内面には耐火物を施工することが望ましいが,耐火物を施工しなくても良い。耐火物がない場合は,溶融スラグが冷却されて固化し,耐火物の代わりの役目をするからである。回転ドラム5はスラグ製造条件によって,周速を変えられるようにしてあり,溶融スラグと直接接する羽根部は水冷構造とすることが好ましい。水噴霧ノズル7もスラグ製造条件によって,水量や円筒内長手方向に噴霧位置を変えられるようにしてある。
【0013】
回転筒2の長手方向は水平軸に対し下方に傾斜2°で傾いており,入り側よりも出側が低く配置されている。このように入り側よりも出側が低く配置された回転筒2を回転させることにより,回転筒2の内部においてスラグ粒子を入り側から出側に向けて順次搬送させることができる。回転筒2は,例えばSS鋼でできており,熱変形防止及びスラグ粒子の融着防止のために,外冷水ノズル6で冷却できる構造とすることが好ましい。回転筒2の回転数はスラグの融着を防止する観点から決め,直径2.8mの回転筒の場合,3rpm以上とすることが好ましい。耐熱コンベア8は高温のスラグ粒子を搬送できるよう,SUS鋼製のバケットコンベアとすることが好ましい。熱交換器3は耐火物で内張りした多段流動床とすることが好ましく,廃熱ボイラー4は12kg/cm2程度の低圧蒸気を製造するためのボイラーとすることが好ましい。
【0014】
溶融高炉スラグを粒滴化する際,針状または繊維状のスラグウールの発生が問題となる。スラグウールはスラグ粘度が増加,または,スラグ温度が低い程,発生し易く,回転ドラム5の周速が速い程,発生し易い。従って,スラグウールの発生を抑制するために,溶融高炉スラグの温度に合わせて回転ドラム5の周速を調整することが好ましい。具体的には溶融高炉スラグの温度が1350〜1400℃の際は回転ドラム5の周速を毎秒7〜10mとし,溶融高炉スラグの温度が1400超〜1450℃の際は回転ドラム5の周速を毎秒7〜15mとし,溶融高炉スラグの温度が1450超〜1570℃の際は回転ドラム5の周速を毎秒7〜20mになるように調整することが好ましい。
【0015】
本発明者らは種々の試験を行い,回転筒2内の噴霧水量が過少でスラグ粒子の温度が950℃を超えると,スラグ粒子が互いに融着し,コンクリート細骨材としての利用が不可能となることを見いだした。また,噴霧水量が過多でスラグ粒子の温度が200℃を下回ると,スラグ粒子からの顕熱回収の効果が小さくなる。この問題を解決するために,回転筒2から排出されるスラグ粒子の温度を200〜950℃になるように水噴霧ノズル7の水量を調節する。尚,スラグ粒子の温度は回転筒2出側の排出口に設置した温度計で計測した値とする。
【0016】
溶融高炉スラグは,通常1350〜1570℃で当該装置に導入され,回転ドラム5で粒子化するとともに回転筒2内に飛翔し,飛翔中に雰囲気ガスおよび水噴霧ノズル7からの噴霧水によって冷却され固化する。このとき,回転筒2内の水噴霧ノズル7を使用しスラグ粒子を回転筒2の長手方向における回転ドラム5からの飛翔距離2m未満の範囲で200〜950℃に急冷することで,ガラス化率が95%以上の軟質(セメント用)スラグを製造することが可能である。尚,回転ドラム5における飛翔の始点は,溶融スラグ樋1を介して上から供給される溶融高炉スラグが回転ドラム5に当たった位置とする。
【0017】
また,回転筒2内の回転筒内水噴霧ノズル7を使用しスラグ粒子を回転筒2の長手方向における回転ドラム5からの飛翔距離2mから7mの範囲で200〜950℃に冷却することで,JIS−A5011−1に記載のコンクリート用高炉スラグ細骨材の品質を満足する硬質(コンクリート細骨材用)スラグを製造することが可能である。
【0018】
このように簡易に硬質スラグあるいは軟質スラグを作り分けることができるように,水噴霧ノズル7は回転筒2内の長手方向に移動することができる,または,回転筒2内に水噴霧ノズル7を長手方向に沿って複数設け各ノズルの噴霧量を任意に調整できるようにする必要がある。水噴霧ノズル7の位置は,回転筒2外部からヘッダー管毎移動させる手法が単純で望ましい。また,ヘッダー管を移動させなくても,ノズルを複数設け,各ノズルに電磁弁を装備して噴霧量を調整しても良い。
【0019】
溶融高炉スラグを水で急冷すればガラス化率が高くなるとともに発泡して硬質スラグにはなりにくいことは一般的に知られている。一方,飛翔距離2m以降で水で急冷することで硬質スラグを製造することができるのは,飛翔したスラグ粒子の表面が固化して,水と反応しなくなるためと思われる。
【0020】
また,飛翔距離7mを超えて水を噴霧しても,融着したスラグ粒子が増加するとともに排出されるスラグ粒子の温度が低下するため,硬質スラグを製造する場合の水噴霧位置は飛翔距離2〜7mの範囲が最適である。
【0021】
本発明により,スラグ粒子が融着する問題とスラグウールが発生する問題を解決しつつ,スラグが保有する熱を回収するとともに,必要に応じ,簡易に硬質(コンクリート細骨材用)スラグあるいは軟質(セメント用)スラグを作り分けることが可能となった。
【実施例1】
【0022】
主に,ステンレス鋳鋼製の直径980mmの回転ドラム5と,普通鋼製の直径2.8m,長さ8mの回転筒2から構成され,回転筒2を水平方向から2°斜め下方向に傾斜させて,40本の水噴霧ノズル7を回転筒2の長手方向に20cm間隔で設置し,回転筒2の先端(入り側)がスラグ粒子の飛翔の出発点となるようにした図1,2に示す装置にて,温度を変えた溶融高炉スラグを20t/Hrの供給速度で処理した際の,回転ドラム5の周速とスラグウール発生割合の関係を図3に示す。回転ドラム5の周速を遅くする程,スラグウール発生割合は減少し,回転ドラム5に供給する溶融高炉スラグの温度を高くする程,スラグウール発生割合は減少する。また,回転ドラム5の周速が毎秒7m未満では,機械的な打撃が弱く,粒径10mm以上のスラグ粒子が0〜5wt%発生し,コンクリート用細骨材またはセメント原料には不適切であった。スラグウールは,スラグ粒子を搬送する際に障害になったり,排水溝を詰まらせたり,セメント原料や細骨材原料として不適切なため,スラグウールの発生割合は1wt%以下が望ましい。従って,溶融高炉スラグの温度が1350〜1400℃の際は回転ドラム5の周速を毎秒7〜10m,溶融高炉スラグの温度が1400超〜1450℃の際は回転ドラム5の周速を毎秒7〜15m,溶融高炉スラグの温度が1450超〜1570℃の際は回転ドラム5の周速を毎秒7〜20mとすることが望ましい。高炉スラグの温度が1350℃未満では流動性が悪化して,スラグを当該装置に供給する事ができない。また,溶融高炉スラグの温度は高炉操業の観点から1570℃以下と考えられる。
【実施例2】
【0023】
水噴霧ノズル7を回転筒2内の長手方向で移動自在に制御した点を除いて実施例1と同じ装置を用いて,溶融高炉スラグを20t/Hrの供給速度で処理した際の,溶融高炉スラグの温度と回転筒2内の水噴霧ノズル7の位置及び処理したスラグのガラス化率の関係を図4に示す。回転筒2の出側から排出されるスラグ粒子の温度を600℃で管理し,水噴霧ノズル7の噴霧水量を調整した。例えば,図4中の0〜2mとは,使用した全ての水噴霧ノズル7の回転筒2先端(入り側)からの距離,つまり回転筒2の長手方向におけるスラグ粒子の飛翔距離が0〜2m未満となるように位置を制御した結果であり,回転筒2内の前段で噴霧し,スラグ粒子を急冷する程,処理したスラグのガラス化率は増加する。
【0024】
また,溶融高炉スラグの温度を高くする程,処理したスラグのガラス化率は増加する。軟質(セメント用)スラグの目標はガラス化率が95%以上であるため,溶融高炉スラグの温度が1350℃〜1570℃の範囲で,軟質(セメント用)スラグを作るためには,回転筒2内における水噴霧ノズル7の位置を回転筒2の先端から2m未満とすることが望ましい。
【実施例3】
【0025】
実施例2と同じ装置を用いて,溶融高炉スラグを20t/Hrの供給速度で処理した際の,溶融高炉スラグの温度と回転筒2内の水噴霧ノズル7の位置及び処理したスラグの絶乾密度の関係を図5に示す。JIS−A5011−1に記載のコンクリート用高炉スラグ細骨材の品質には,単位容積質量,絶乾密度及び吸水率があるが,ここでは,例として,絶乾密度のデータを示す。単位容積質量,絶乾密度及び吸水率には相関があり,JIS規格A5011-1:2003解説にも述べられており,どれを取り上げても良いと考えられるため,今回は絶乾密度のデータを取り上げた。
【0026】
回転筒2の出側から排出されるスラグ粒子の温度を600℃で管理し,水噴霧ノズル7の噴霧水量を調整した。図5から明らかなように,回転筒2内の後段で噴霧し,スラグ粒子の飛翔初期の冷却を弱める程,処理スラグは硬質化する。また,溶融高炉スラグの温度を低くする程,処理スラグは硬質化する。硬質(コンクリート細骨材用)スラグの目標は絶乾密度が2.5g/cm3以上であるため,溶融高炉スラグの温度が1350℃〜1570℃の範囲で,硬質(コンクリート細骨材用)スラグを作るためには,回転筒2内における水噴霧ノズル7の位置を回転筒2の先端から2〜7mとすることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は,溶融高炉スラグの処理において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係る溶融高炉スラグの処理装置の概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る溶融高炉スラグの処理装置の一部透過斜視図である。
【図3】回転ドラムの周速とスラグウール発生割合の関係を示した図である。
【図4】溶融高炉スラグの温度と処理物のガラス化率の関係を示した図である。
【図5】溶融高炉スラグの温度と処理物の絶乾密度の関係を示した図である。
【符号の説明】
【0029】
1 溶融高炉スラグ樋
2 回転筒
3 熱交換器
4 廃熱ボイラー
5 回転ドラム
6 外冷水ノズル
7 水噴霧ノズル
8 耐熱コンベア(スラグ搬送手段)
9 回転筒の出口
10 固気分離部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉から排出された溶融スラグを,回転ドラムに供給して粒子化するとともに飛翔させ,回転筒の長手方向における回転ドラムからの飛翔距離2m未満で水を噴霧して200〜950℃まで冷却した後,回転筒に落下させ,次いで,回転筒から出たスラグ粒子の顕熱を熱交換器で回収すると共に,セメント原料用スラグを製造することを特徴とする溶融高炉スラグの処理方法。
【請求項2】
高炉から排出される溶融スラグを,回転ドラムに供給して粒子化するとともに飛翔させ,回転筒の長手方向における回転ドラムからの飛翔距離2mから7mの範囲で水を噴霧して200〜950℃まで冷却した後,回転筒に落下させ,次いで,回転筒から排出したスラグ粒子の顕熱を熱交換器で回収すると共に,コンクリート細骨材用スラグを製造することを特徴とする溶融高炉スラグの処理方法。
【請求項3】
回転ドラムに供給する際の溶融スラグの温度が1350〜1400℃のとき,回転ドラムの周速を毎秒7〜10mとし,溶融スラグの温度が1400超〜1450℃のとき,回転ドラムの周速を毎秒7〜15mとし,溶融スラグの温度が1450超〜1570℃のとき,回転ドラムの周速を毎秒7〜20mとすることを特徴とする請求項1又は2記載の溶融高炉スラグの処理方法。
【請求項4】
高炉から排出された溶融スラグの顕熱を回収する溶融高炉スラグの処理装置において,
入り側よりも出側が低くなるように斜めに設置された回転筒と,
前記回転筒の入り側に設置された回転ドラム,及び前記回転筒内の長手方向に移動自在で,かつ噴霧量を調整自在なノズルと,
前記回転筒の出側から排出されたスラグ粒子を搬送するスラグ搬送手段と,
スラグの顕熱を回収する熱交換器と,
コンクリート細骨材用スラグ又はセメント用スラグ製造手段を有することを特徴とする溶融高炉スラグの処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−284263(P2007−284263A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−110194(P2006−110194)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】