説明

潜熱蓄熱材への蓄熱方法、及び潜熱蓄熱材を用いた室内温度の制御方法

【課題】複雑な演算を不要にしながらも、潜熱蓄熱材に対して的確に且つ効率良く蓄熱する。
【解決手段】潜熱蓄熱材への蓄熱方法として、潜熱蓄熱材の相状態を検出手段により検出し、潜熱蓄熱材の少なくとも一部が固相状態であることが検出されたときに潜熱蓄熱材への加熱を開始し、加熱されている潜熱蓄熱材が全て液相状態となったことが検出されたときに潜熱蓄熱材への加熱を終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜熱蓄熱材への蓄熱方法、及び潜熱蓄熱材を用いた室内温度の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家屋における室内温度は、主に暖房設備や冷房設備によって調整されているが、近年、上記暖房設備等の消費電力を低減することが強く要請されている。そこで、潜熱蓄熱材を家屋の天井や床に配設して室内温度の変化を緩和することが知られている。例えば、特許文献1には、床に配設した潜熱蓄熱材の融点を、天井に配設した潜熱蓄熱材の融点よりも低いものとすることにより、1年を通じて室空間の温度変化を緩和して、冷暖房負荷を低減しようすることが開示されている。
【0003】
ここで、「潜熱蓄熱材」は、PCM(Phase Change Material)とも呼ばれ、物質が固相と液相との間で相変化する際の潜熱を利用した蓄熱材である。すなわち、固相の潜熱蓄熱材の温度が上昇して当該潜熱蓄熱材の融点に達すると、潜熱蓄熱材は融解して融解熱を外部から吸収する。一方、液相の潜熱蓄熱材の温度が低下して当該潜熱蓄熱材の凝固点に達すると、潜熱蓄熱材は凝固して凝固熱を外部に放出する。なお、一般に、融点と凝固点とは互いに一致するので、以下では「融点」の用語を用いる。
【0004】
また、一般に、比較的安価な夜間電力によって夜間に潜熱蓄熱材等の蓄熱材を積極的に蓄熱し、その蓄熱された温熱又は冷熱を夜間以外の時間帯で利用することも知られている。夜間において蓄熱材に蓄熱する場合には、十分に蓄熱された蓄熱材の温度が所定温度まで低下したときに蓄熱を再開するような蓄熱制御を行うことにより、蓄熱材の温度を所定温度以上に維持することが可能である。
【0005】
しかし、気候等の環境負荷が小さいときには、深夜電力時間帯の全てに亘って蓄熱することが不要になるため、タイマーによって夜間電力を所定時間だけ使用するように蓄熱制御することが好ましい。例えば、特許文献2には、夜間において所定時間だけ発熱体に通電することによって蓄熱体に蓄熱する蓄熱式暖房装置について、測定した蓄熱体の温度等に基づいて発熱体への通電時間を算出することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−1677号公報
【特許文献2】特開2001−147023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2に開示されている蓄熱方法では、深夜電力時間帯の一定時間前における蓄熱体温度の時間換算データと、メモリーに記憶させた前日の同時刻の蓄熱体温度の時間換算データと、前日の通電時間データとを用いて、通電時間を算出するようにしており、その算出に種々の測定データが必要となるため、算出方法が非常に複雑であるという問題がある。
【0008】
また、例えば時間制御によって蓄熱体への加熱を行う場合、外部環境の条件によっては、蓄熱体中の潜熱蓄熱材が全て融解しているにもかかわらず無駄な加熱を行ったり、過剰加熱を行う結果、その安全性が損なわれる虞がある。上記特許文献2では蓄熱体の温度を検知することにより過剰加熱を防ぐことを目的としており、例えばその特許文献2の段落[0028]に記載されているように、室温設定を18℃に保つために蓄熱体の温度を50℃以上に加熱することが想定されており、室温に対して、明らかに過剰に加熱されている。
【0009】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、種々の測定データに基づく複雑な演算を不要にしながらも、潜熱蓄熱材に対して的確に且つ効率良く蓄熱しようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、潜熱蓄熱材への蓄熱方法を対象としている。そして、潜熱蓄熱材の相状態を検出手段により検出し、上記潜熱蓄熱材の少なくとも一部が固相状態であることが検出されたときに上記潜熱蓄熱材への加熱を開始し、加熱されている上記潜熱蓄熱材が全て液相状態となったことが検出されたときに上記潜熱蓄熱材への加熱を終了する。
【0011】
この第1の発明では、潜熱蓄熱材の相状態を検出手段によって直接に検出し、その潜熱蓄熱材の少なくとも一部が固相状態であるときに当該潜熱蓄熱材を加熱して蓄熱を行うと共に、潜熱蓄熱材の全てが液相状態となったときに加熱を終了するようにしたので、複数の種々の測定データに基づく複雑な演算を不要にしながらも、直接的に潜熱蓄熱材の相状態を検出することにより、環境条件に左右されず、的確に且つ効率良く潜熱蓄熱材に蓄熱することが可能になる。
【0012】
第2の発明は、潜熱蓄熱材への蓄熱方法を対象としている。そして、潜熱蓄熱材の相状態を検出手段により検出し、上記潜熱蓄熱材の少なくとも一部が液相状態であることが検出されたときに上記潜熱蓄熱材の冷却を開始し、冷却されている上記潜熱蓄熱材が全て固相状態となったことが検出されたときに上記潜熱蓄熱材の冷却を終了する。
【0013】
この第2の発明では、潜熱蓄熱材の相状態を検出手段によって直接に検出し、その潜熱蓄熱材の少なくとも一部が液相状態であるときに当該潜熱蓄熱材を冷却して蓄熱を行うと共に、潜熱蓄熱材の全てが固相状態となったときに冷却を終了するようにしたので、上記第1の発明と同様に、複数の種々の測定データに基づく複雑な演算を不要にしながらも、直接的に潜熱蓄熱材の相状態を検出することにより、環境条件に左右されず、的確に且つ効率良く潜熱蓄熱材に蓄熱することが可能になる。
【0014】
第3の発明は、上記第1又は2の発明において、上記潜熱蓄熱材は、弾性材料を含むと共に、変形可能に構成された収容体に収容され、上記検出手段は、上記収容体の外部から一定の外力で押圧された上記潜熱蓄熱材の変形度合いを計測することによって、上記潜熱蓄熱材の相状態を検出する。
【0015】
この第3の発明では、潜熱蓄熱材が弾性材料を含むため、例えば、一定の外力で押圧されている潜熱蓄熱材が固相から液相に変化するに連れて、その変形度合いは大きくなっていく。したがって、潜熱蓄熱材の変形度合いを計測することにより、当該潜熱蓄熱材の相状態を検出することが可能になる。
【0016】
第4の発明は、上記第1又は2の発明において、上記潜熱蓄熱材は収容体に収容され、上記検出手段は、上記収容体の内部の気圧を計測することによって、上記潜熱蓄熱材の相状態を検出する。
【0017】
この第4の発明では、収容体に収容された潜熱蓄熱材に例えばパラフィン系の潜熱蓄熱材を使用した場合は、該潜熱蓄熱材が液相から固相に変化すると、潜熱蓄熱材の体積が小さくなって、当該収容体の内部の気圧が低くなる。これとは逆に、潜熱蓄熱材が固相から液相に変化すると、潜熱蓄熱材の体積が大きくなって、当該収容体の内部の気圧が高くなる。よって、収容体の内部の気圧を計測することにより、当該潜熱蓄熱材の相状態を検出することが可能になる。
【0018】
また、第5の発明は、潜熱蓄熱材への蓄熱方法を対象としている。そして、第1潜熱蓄熱材の相状態を検出し、上記第1潜熱蓄熱材の少なくとも一部が固相状態であることが検出されたときに上記第1潜熱蓄熱材への加熱を開始し、加熱されている上記第1潜熱蓄熱材が全て液相状態となったことが検出されたときに上記第1潜熱蓄熱材への加熱を終了する第1制御モードを冬期に行う一方、第2潜熱蓄熱材の相状態を検出し、上記第2潜熱蓄熱材の少なくとも一部が液相状態であることが検出されたときに上記第2潜熱蓄熱材の冷却を開始し、冷却されている上記第2潜熱蓄熱材が全て固相状態となったことが検出されたときに上記第2潜熱蓄熱材の冷却を終了する第2制御モードを夏期に行う。
【0019】
この第5の発明では、冬期に第1制御モードが行われる。そして、潜熱蓄熱材の相状態が検出手段により直接に検出され、潜熱蓄熱材の少なくとも一部が固相状態であるときに当該潜熱蓄熱材を加熱して蓄熱を行うと共に、潜熱蓄熱材の全てが液相状態となったときに加熱を終了する。一方、夏期には第2制御モードに切り替えられる。そして、潜熱蓄熱材の相状態が検出手段により直接に検出され、潜熱蓄熱材の少なくとも一部が液相状態であるときに当該潜熱蓄熱材を冷却して蓄熱を行うと共に、潜熱蓄熱材の全てが固相状態となったときに冷却を終了する。よって、1年を通じて、複雑な演算を不要にしながらも、環境条件に左右されず、的確に且つ効率良く潜熱蓄熱材に蓄熱できることとなる。
【0020】
第6の発明は、上記第1の発明に係る潜熱蓄熱材への蓄熱方法により蓄熱された潜熱蓄熱材を用いて、室内を冷房する冷房機器が設けられた家屋の室内温度を制御する方法を対象としている。そして、上記冷房機器の運転を開始する前に、予め上記潜熱蓄熱材の全てを固相状態にしておく。
【0021】
この第6の発明では、予め潜熱蓄熱材の全てが固相状態となった状態で、冷房機器の運転を開始できるので、運転当初に冷房能力が潜熱蓄熱材への蓄熱のために消費されない。その結果、冷房運転の効率が高められるため、運転当初から室内温度が好適に制御される。
【0022】
第7の発明は、上記第2の発明に係る潜熱蓄熱材への蓄熱方法により蓄熱された潜熱蓄熱材を用いて、室内を暖房する暖房機器が設けられた家屋の室内温度を制御する方法を対象としている。そして、上記暖房機器の運転を開始する前に、予め上記潜熱蓄熱材の全てを液相状態にしておく。
【0023】
この第7の発明では、予め潜熱蓄熱材の全てが液相状態となった状態で、暖房機器の運転を開始できるので、運転当初に暖房能力が潜熱蓄熱材への蓄熱のために消費されない。その結果、暖房運転の効率が高められるため、運転当初から室内温度が好適に制御される。
【0024】
第8の発明は、上記第5の発明に係る潜熱蓄熱材への蓄熱方法により蓄熱された潜熱蓄熱材を用いて、冷房運転及び暖房運転を行う空調装置が設けられた家屋の室内温度を制御する方法を対象としている。そして、上記空調装置が暖房運転するときに上記第1制御モードを行う一方、上記空調装置が冷房運転するときに上記第2制御モードを行う。
【0025】
この第8の発明では、冬期に第1制御モードが行われると共に、夏期には第2制御モードに切り替えられる。そうして、潜熱蓄熱材の相状態が検出手段により直接に検出しつつ、潜熱蓄熱材への蓄熱が適切に行われる。その結果、1年を通じて、複雑な演算を不要にしながらも、環境条件に左右されず、的確に且つ効率良く潜熱蓄熱材に蓄熱して、室内温度を好適に制御できることとなる。
【発明の効果】
【0026】
第1の発明によると、潜熱蓄熱材の相状態を検出手段によって直接に検出し、その潜熱蓄熱材の少なくとも一部が固相状態であるときに当該潜熱蓄熱材を加熱して蓄熱を行うと共に、潜熱蓄熱材の全てが液相状態となったときに加熱を終了するようにしたので、複数の種々の測定データに基づく複雑な演算を不要にしながらも、環境条件に左右されず、的確に且つ効率良く潜熱蓄熱材に蓄熱することができる。
【0027】
第2の発明によると、潜熱蓄熱材の相状態を検出手段によって直接に検出し、その潜熱蓄熱材の少なくとも一部が液相状態であるときに当該潜熱蓄熱材を冷却して蓄熱を行うと共に、潜熱蓄熱材の全てが固相状態となったときに冷却を終了するようにしたので、複数の種々の測定データに基づく複雑な演算を不要にしながらも、環境条件に左右されず、的確に且つ効率良く潜熱蓄熱材に蓄熱することができる。
【0028】
第3の発明によると、一定の外力で押圧された弾性材料を含む潜熱蓄熱材の変形度合いを計測することにより、当該潜熱蓄熱材の相状態を好適に検出することができる。
【0029】
第4の発明によると、潜熱蓄熱材を収容する収容体の内部の気圧を計測することにより、当該潜熱蓄熱材の相状態を好適に検出することができる。
【0030】
第5の発明によると、冬期に第1制御モードを行うと共に、夏期には第2制御モードを行うようにしたので、1年を通じて、複雑な演算を不要にしながらも、環境条件に左右されず、的確に且つ効率良く潜熱蓄熱材に蓄熱できることとなる。
【0031】
第6の発明によると、予め潜熱蓄熱材の全てが固相状態となった状態で、冷房機器の運転を開始できるので、運転当初に冷房能力が潜熱蓄熱材への蓄熱のために消費されず、運転当初から室内温度を好適に制御することができる。
【0032】
第7の発明によると、予め潜熱蓄熱材の全てが液相状態となった状態で、暖房機器の運転を開始できるので、運転当初に暖房能力が潜熱蓄熱材への蓄熱のために消費されず、運転当初から室内温度を好適に制御することができる。
【0033】
第8の発明によると、冬期に第1制御モードを行うと共に、夏期には第2制御モードを行うようにしたので、1年を通じて、複雑な演算を不要にしながらも、的確に且つ効率良く潜熱蓄熱材に蓄熱して、室内温度を好適に制御できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本実施形態における室内温度が制御される家屋を示す斜視図である。
【図2】図2は、室内が暖房される場合の第1潜熱蓄熱材への蓄熱方法を示すフローチャートである。
【図3】図3は、室内が冷房される場合の第2潜熱蓄熱材への蓄熱方法を示すフローチャートである。
【図4】図4は、本実施形態1における第1蓄熱部の構成を概略的に示す説明図である。
【図5】図5は、本実施形態1における第2蓄熱部の構成を概略的に示す説明図である。
【図6】図6は、本実施形態2における第1蓄熱部について、第1潜熱蓄熱材が液相である状態を示す説明図である。
【図7】図7は、本実施形態2における第1蓄熱部について、第1潜熱蓄熱材が固相である状態を示す説明図である。
【図8】図8は、本実施形態2における第2蓄熱部の構成を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0036】
《発明の実施形態1》
図1〜図5は、本発明の実施形態1を示している。
【0037】
図1は、本実施形態における室内温度が制御される家屋10を示す斜視図である。図2は、室内が暖房される場合の第1潜熱蓄熱材21への蓄熱方法を示すフローチャートである。図3は、室内が冷房される場合の第2潜熱蓄熱材23への蓄熱方法を示すフローチャートである。図4は、本実施形態1における第1蓄熱部30の構成を概略的に示す説明図である。図5は、本実施形態1における第2蓄熱部40の構成を概略的に示す説明図である。
【0038】
家屋10は、図1に示すように、天井部12と、床部14と、壁部16とを備えており、これらで囲まれて室内空間Aが構成されている。また、天井部12の上部には屋根17が設けられており、天井部12と屋根17との間には小屋裏空間Bが形成されている。さらに、室内空間Aと地面との間には床下空間Cが形成されている。そして、家屋10は、例えば新省エネルギー基準(IV地域)に相当する断熱性能を有している。
【0039】
また、家屋10には、冷房運転及び暖房運転を行うように構成された空調装置5が壁部16に設けられている。すなわち、空調装置5は冷房機器であり暖房機器でもある。
【0040】
床部14には、複数の第1蓄熱部30及びシート状の発熱体29が設けられている。発熱体29は、例えば電気ヒータによって形成されている。第1蓄熱部30は、図4に示すように、例えばパラフィンワックス及びエラストマーが混合された第1潜熱蓄熱材21と、その第1潜熱蓄熱材21を収容する収容体19とを有している。収容体19は、変形可能に構成されており、例えばアルミパックによって構成されている。そして、第1蓄熱部30は、発熱体29の上に載置されている。
【0041】
このとき、パラフィンワックスとしてはノルマルパラフィンが好適に用いられる。例えば暖房運転を想定する場合、室内温度設定を18℃〜24℃とする場合、16℃〜26℃程度の温度帯が融点である第1潜熱蓄熱材(例えばノルマルヘプタデカン)が好適に用いられる。また、この場合、エラストマーとしては、熱可塑性エラストマー(例えばスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー等)が好適に用いられる。そして、ノルマルパラフィン70〜90重量%と熱可塑性エラストマー10〜30重量%とを均一混合した潜熱蓄熱材が好適に使用される。
【0042】
この場合、ノルマルパラフィンと熱可塑性エラストマーは混合割合で融点が変わるものではなく、ノルマルパラフィンは潜熱蓄熱材として、熱可塑性エラストマーはノルマルパラフィンの流動性をなくし、弾性体を構成する目的で添加されている。
【0043】
天井部12には、複数の第2蓄熱部40及び冷却部39が設けられている。冷却部39は、例えば空冷方式、水冷方式又は電気的方式等によって、第2蓄熱部40を冷却するためのものである。第2蓄熱部40は、図5に示すように、例えばパラフィンワックス及びエラストマーが混合された第2潜熱蓄熱材23と、その第2潜熱蓄熱材23を収容する収容体19とを有している。そして、第2蓄熱部40は、冷却部39の上に載置されている。
【0044】
このとき、パラフィンワックスとしてはノルマルパラフィンが好適に用いられる。例えば冷房運転を想定する場合、室内温度設定を22℃〜26℃とする場合、20℃〜28℃程度の温度帯が融点である第2潜熱蓄熱材(例えばノルマルオクタデカン)が好適に用いられる。また、この場合、エラストマーとしては、熱可塑性エラストマー(例えばスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー等)が好適に用いられる。そして、ノルマルパラフィン70〜90重量%と熱可塑性エラストマー10〜30重量%とを均一混合した潜熱蓄熱材が好適に使用される。
【0045】
そして、本実施形態では、第1潜熱蓄熱材21及び第2潜熱蓄熱材23の相状態を検出するための検出手段50が設けられている。検出手段50は、図4及び図5に示すように、第1蓄熱部30及び第2蓄熱部40の上に載置された押圧手段としての重り36と、計測手段としてのセンサ37と、制御部38とを有している。
【0046】
そうして、検出手段50は、収容体19の外部から重り36の荷重による一定の外力で押圧された第1潜熱蓄熱材21及び第2潜熱蓄熱材23の変形度合いを計測することによって、上記第1潜熱蓄熱材21及び第2潜熱蓄熱材23の相状態を検出するように構成されている。
【0047】
ここで、第1潜熱蓄熱材21及び第2潜熱蓄熱材23は、弾性材料である熱可塑性エラストマーを含むために変形可能になっている。エラストマーに混合されたノルマルパラフィンが固相から液相に変化すると、重り36の荷重により押圧されて圧縮変形する度合いが変化するようになっている。そうして、第1潜熱蓄熱材21又は第2潜熱蓄熱材23が固相から液相に変化して硬度が低下するに連れて、重り36が下方へ変位することとなる。
【0048】
センサ37は、重り36の鉛直方向の変位量を計測するための変位センサである。制御部38には、センサ37によって計測された変位データが入力されるようになっている。また、制御部38には、第1潜熱蓄熱材21又は第2潜熱蓄熱材23が完全に固相であるときの基準位置からの変位量と、上記第1又は第2潜熱蓄熱材21,23が完全に液相であるときの基準位置からの変位量とが予め入力保持されている。
【0049】
例えば、重り36の重量を例えば500gとした。この場合、重り36は、少なくとも下面が凸曲面状に形成されている。例えば、球状の重り36としてもよい。さらに、第1又は第2潜熱蓄熱材21,23が完全に固相状態であるときの重り36の変位量を基準位置から0mmであるとした。このとき、第1又は第2潜熱蓄熱材21,23が完全に液相状態であるときの重り36の変位量は、0.15mmであった。
【0050】
そうして、制御部38は、センサ37により計測された重り36の変位量から、第1潜熱蓄熱材21又は第2潜熱蓄熱材23の相状態をそれぞれ検出するようになっている。
【0051】
具体的には、発熱体29に接続されている制御部38は、液相状態であった第1潜熱蓄熱材21の少なくとも一部が固相状態になったことがセンサ37により検出されたときに、発熱体29への通電を許容して第1潜熱蓄熱材21を加熱するようになっている。その後、制御部38は、第1潜熱蓄熱材21の全てが液相状態となったことがセンサ37により検出されたとき(例えば設置された複数のセンサ37の全てについて、計測された変移量が0.15mmを超えたとき)に、発熱体29への通電を遮断し、第1潜熱蓄熱材21の加熱を終了するようになっている。こうして、第1潜熱蓄熱材21の蓄熱は効率良く行われる。
【0052】
一方、冷却部39に接続されている制御部38は、固相状態であった第2潜熱蓄熱材23の少なくとも一部が液相状態になったことがセンサ37により検出されたときに、冷却部39による第2潜熱蓄熱材23の冷却を許容するようになっている。その後、この制御部38は、第2潜熱蓄熱材23の全てが固相状態となったことがセンサ37により検出されたとき(例えば、設置された複数のセンサ37の全てについて、計測された変移量が0mmになったとき)に、冷却部39による第2潜熱蓄熱材23の冷却を終了するようになっている。こうして、第2潜熱蓄熱材23の蓄熱も効率良く行われる。
【0053】
−潜熱蓄熱材への蓄熱方法−
次に、第1潜熱蓄熱材21及び第2潜熱蓄熱材23への蓄熱方法について説明する。本実施形態における蓄熱方法では、例えば、深夜電力時間帯に蓄熱を行う。
【0054】
<第1潜熱蓄熱材への蓄熱方法(第1制御モード)>
第1潜熱蓄熱材21に蓄熱する場合には、例えば、図2のステップS11に示すように、現在が深夜電力時間帯であるか否かを判断する。現在が深夜電力時間帯でなければ、第1潜熱蓄熱材21への蓄熱を行わない。一方、現在が深夜電力時間帯であれば、ステップS12に進む。
【0055】
ステップS12では、第1潜熱蓄熱材21(図2ではPCMとして図示している)の相状態を検出手段50により検出し、第1潜熱蓄熱材21の少なくとも一部が固相状態であるか否かを判断する。すなわち、第1潜熱蓄熱材21が全て液相状態である場合の重り36の位置を基準位置とした場合において、重り36の上方への変位がセンサ37により計測されたときに、制御部38は第1潜熱蓄熱材21の少なくとも一部が固相状態になっていると判断する。
【0056】
第1潜熱蓄熱材21の少なくとも一部が固相状態になっていると判断されたときは、ステップS13に進む。一方、重り36の上昇変位が計測されず、第1潜熱蓄熱材21が全て液相状態であると判断された場合には、ステップS13に進まずに、重り36の変位の計測を継続した状態で、ステップS12の判断を繰り返す。
【0057】
ステップS13では、制御部38が発熱体29への通電を許容することにより、発熱体29による第1潜熱蓄熱材21の加熱を開始する。その後、ステップS14に進む。ステップS14では、第1潜熱蓄熱材21の全てが液相状態であるか否かが判断される。すなわち、重り36の下降変位が計測されて重り36が基準位置に戻ったときに、第1潜熱蓄熱材21の全てが液相状態であると判断され、ステップS15に進む。一方、重り36の位置が基準位置にないことが計測されれば、加熱を継続しつつステップS14の判断を繰り返す。
【0058】
ステップS15では、発熱体29への通電を遮断して加熱を終了し、第1潜熱蓄熱材21への蓄熱を中断する。その後、ステップS11へ戻る。こうして、一連のステップS11〜S15(第1制御モード)が深夜電力時間帯の間で繰り返される。
【0059】
また、ここでは深夜電力時間帯を勘案した制御モードに基づいて説明したが、必ずしも深夜電力時間帯にのみ加熱を行うことを目的としているのではない。上記実施例に限らず、第1潜熱蓄熱材21に蓄熱を行うときに、第1潜熱蓄熱体に近接して設けられた発熱体29から直接的に第1蓄熱体に加熱が行われるため、例えばエアコンやパネルヒーター等の室内空調機器により、固相の第1潜熱蓄熱材を液相になるまで加熱するよりも、集中的・効率的かつスピーディーに加熱を行うことが可能である。
【0060】
例えば空調装置5の電源オンと同時に第1潜熱蓄熱材21への蓄熱を発熱体29により開始し、センサ37により相状態を確認しながら完全に液相状態になったところで加熱を終了することにより、効率的かつ集中的な加熱が可能であり、省エネルギーに寄与する制御方法を提供することが可能である。
【0061】
<第2潜熱蓄熱材への蓄熱方法(第2制御モード)>
第2潜熱蓄熱材23に蓄熱する場合には、まず、図3のステップS21に示すように、現在が深夜電力時間帯であるか否かを判断する。現在が深夜電力時間帯でなければ、第2潜熱蓄熱材23への蓄熱を行わない。一方、現在が深夜電力時間帯であれば、ステップS22に進む。
【0062】
ステップS22では、第2潜熱蓄熱材23(図3ではPCMとして図示している)の相状態を検出手段50により検出し、第2潜熱蓄熱材23の少なくとも一部が液相状態であるか否かを判断する。すなわち、第2潜熱蓄熱材23が全て固相状態である場合の重り36の位置を基準位置とした場合において、重り36の下方への変位がセンサ37により計測されたときに、制御部38は第2潜熱蓄熱材23の少なくとも一部が液相になっていると判断する。
【0063】
第2潜熱蓄熱材23の少なくとも一部が液相状態になっていると判断されたときは、ステップS23に進む。一方、重り36の下降変位が計測されず、第2潜熱蓄熱材23が全て固相状態であると判断された場合には、ステップS23に進まずに、重り36の変位の計測を継続した状態で、ステップS22の判断を繰り返す。
【0064】
ステップS23では、制御部38が冷却部39による第2潜熱蓄熱材23の冷却を許容する。その後、ステップS24に進む。ステップS24では、第2潜熱蓄熱材23の全てが固相状態であるか否かが判断される。すなわち、重り36の上昇変位が計測されて重り36が基準位置に戻ったときに、第2潜熱蓄熱材23の全てが固相状態であると判断され、ステップS25に進む。一方、重り36の位置が基準位置にないことが計測されれば、冷却を継続しつつステップS24の判断を繰り返す。
【0065】
ステップS25では、第2潜熱蓄熱材23の冷却を終了して、第2潜熱蓄熱材23への蓄熱を中断する。その後、ステップS21へ戻る。こうして、一連のステップS21〜S25(第2制御モード)が深夜電力時間帯の間で繰り返される。
【0066】
そうして、上記第1制御モード及び第2制御モードは、例えば季節に応じて切り替えられる。すなわち、冬期には第1制御モードを行う一方、夏期には第2制御モードを行う。
【0067】
また、第1制御モードと同様に、必ずしも深夜電力時間帯にのみ冷却を行うことを目的としているのではない。上記実施例に限らず、第2潜熱蓄熱材23を冷却するときに、第2潜熱蓄熱体23に近接して設けられた冷却部39から直接的に第2潜熱蓄熱体23に冷却が行われるため、例えばエアコンやパネルヒーター等の室内空調機器により液相の第2潜熱蓄熱材23を固相になるまで冷却するより、集中的・効率的かつスピーディーに冷却を行うことが可能である。
【0068】
例えば空調装置5の電源オンと同時に第2潜熱蓄熱材23への蓄熱を冷却部39により開始し、センサ37により相状態を確認しながら完全に固相状態になったところで冷却を終了することにより、効率的かつ集中的な冷却が可能であり、省エネルギーに寄与する制御方法を提供することが可能である。
【0069】
−潜熱蓄熱材を用いた室内温度の制御方法−
次に、第1潜熱蓄熱材21及び第2潜熱蓄熱材23を用いた室内温度の制御方法について説明する。
【0070】
家屋10の室内温度は、暖房時において、第1潜熱蓄熱材21の温熱と、空調装置5の暖房運転とによって制御される(第1制御モード)。一方、家屋10の室内温度は、冷房時において、第2潜熱蓄熱材23の冷熱と、空調装置5の冷房運転とによって制御される(第2制御モード)。
【0071】
そして、暖房時に室内温度を制御する場合には、空調装置5の暖房運転を開始する前に、上記第1制御モードを行って予め第1潜熱蓄熱材21の全てを液相状態にしておく。一方、冷房時に室内温度を制御する場合には、空調装置5の冷房運転を開始する前に、上記第2制御モードを行って予め第2潜熱蓄熱材23の全てを固相状態にしておく。
【0072】
また上述のようなセンサ37を複数設け、全てのセンサ37が液相(または固相)を示したときに、加熱(冷却)を停止するのが好ましい制御である。
【0073】
第1制御モード及び第2制御モードは、例えば空調装置5による暖房運転及び冷房運転に応じて切り替えられる。すなわち、空調装置5が暖房運転をする場合に第1制御モードを行って上記第1潜熱蓄熱材21に蓄熱する一方、空調装置5が冷房運転する場合に第2制御モードに切り替えて第2潜熱蓄熱材23に蓄熱する。
【0074】
−実施形態1の効果−
したがって、この実施形態1によると、第1及び第2潜熱蓄熱材21,23の相状態を検出手段50によって直接に検出し、第1制御モード時には、第1潜熱蓄熱材21の少なくとも一部が固相状態であるときに当該潜熱蓄熱材21を加熱して蓄熱を行うと共に、第1潜熱蓄熱材21の全てが液相状態となったときに加熱を終了する一方、第2制御モード時には、第2潜熱蓄熱材23の少なくとも一部が液相状態であるときに当該潜熱蓄熱材23を冷却して蓄熱を行うと共に、第2潜熱蓄熱材23の全てが固相状態となったときに冷却を終了するようにしたので、複数の種々の測定データに基づく複雑な演算を不要にしながらも、直接的に第1及び第2潜熱蓄熱材21,23の相状態を検出することにより、環境条件に左右されず、的確に且つ効率良く第1及び第2潜熱蓄熱材21,23に蓄熱することができる。
【0075】
さらに、重り36及びセンサ37を含む検出手段50により、一定の外力で押圧された弾性材料を含む第1及び第2潜熱蓄熱材21,23の変形度合いを計測するようにしたので、当該潜熱蓄熱材21,23の相状態を好適に検出することができる。
【0076】
さらにまた、予め第1潜熱蓄熱材21の全てが液相状態となった状態で暖房機器の運転を開始すると共に、予め第2潜熱蓄熱材23の全てが固相状態となった状態で空調装置5の冷房運転を開始するようにしたので、運転当初に暖房能力又は冷房能力が上記潜熱蓄熱材21,23への蓄熱のために消費されず、運転当初から室内温度を好適に制御することができる。
【0077】
また、冬期に第1制御モードを行うと共に、夏期には第2制御モードを行うようにしたので、1年を通じて、複雑な演算を不要にしながらも、的確に且つ効率良く潜熱蓄熱材に蓄熱して、室内温度を好適に制御できる。
【0078】
《発明の実施形態2》
図6〜図8は、本発明の実施形態2を示している。尚、以降の各実施形態では、図1〜図5と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0079】
上記実施形態1では、重り36の変位量を計測することによって第1及び第2潜熱蓄熱材21,23の相状態を検出したのに対し、本実施形態では、収容体41内の気圧を計測することによって第1及び第2潜熱蓄熱材21,23の相状態を検出するようにしたものである。
【0080】
本実施形態における第1及び第2潜熱蓄熱材21,23は、例えばパラフィン系ワックス等からなり、上記実施形態1におけるものと同様である。また、本実施形態における第1蓄熱部30及び第2蓄熱部40は、図6〜図8に示すように、例えばポリエチレン等の容器からなる収容体41を有している。収容体41の上部内壁面には、当該収容体41の内部の気圧を計測するための圧力センサ42が設けられている。圧力センサ42が計測した圧力データは制御部43に入力されるようになっている。また、第1蓄熱部30の収容体41は、発熱体29の上に載置されている。一方、第2蓄熱部40の収容体は、冷却部39の上に載置されている。
【0081】
収容体41に収容された第1及び第2潜熱蓄熱材21,23は、液相状態から固相状態に変化すると、当該潜熱蓄熱材21,23の体積が減少するため、収容体41の内部の気圧が低下する。一方、第1及び第2潜熱蓄熱材21,23が固相状態から液相状態に変化すると、当該潜熱蓄熱材21,23の体積が増加するため、収容体41の内部の気圧が高くなる。
【0082】
制御部43には、第1及び第2潜熱蓄熱材21,23が全て固相状態であるときの収容体41内の気圧と、当該潜熱蓄熱材21,23が全て液相状態であるときの収容体41内の気圧とが予め計測されて入力保持されている。本実施形態における検出手段50は、上記収容体41内の気圧の変化を圧力センサ42により計測して、第1及び第2潜熱蓄熱材21,23の相状態を検出するようになっている。
【0083】
ここで、第1及び第2潜熱蓄熱材21,23を冷却し、全て固相状態にしたところ、ポリエチレンからなる収容体41は殆ど変形せず、圧力センサ42は減圧状態を示した。
【0084】
そして、図2に示す第1制御モードでは、ステップS12の判断を上記圧力センサ42及び制御部43によって行う。すなわち、圧力センサ42により計測された気圧が、第1潜熱蓄熱材21の全てが液相状態である場合よりも低ければ、その少なくとも一部が固相状態であると判断する。
【0085】
一方、図3に示す第2制御モードにおいても、ステップS22の判断を上記圧力センサ42及び制御部43によって行う。すなわち、圧力センサ42により計測された気圧が、第2潜熱蓄熱材23の全てが液相状態である場合よりも高ければ、その少なくとも一部が液相状態であると判断する。
【0086】
また上述のようなセンサ42を複数設け、全てのセンサ42が液相(または固相)を示したときに、加熱(冷却)を停止するのが好ましい制御である。
【0087】
−実施形態2の効果−
したがって、この実施形態2によると、上記実施形態1と同様に、第1及び第2潜熱蓄熱材21,23の相状態を検出手段50によって直接に検出して、第1及び第2潜熱蓄熱材21,23の蓄熱制御を行うようにしたので、複数の種々の測定データに基づく複雑な演算を不要にしながらも、直接的に第1及び第2潜熱蓄熱材21,23の相状態を検出することにより、環境条件に左右されず、的確に且つ効率良く第1及び第2潜熱蓄熱材21,23に蓄熱することができる。
【0088】
しかも、第1及び第2潜熱蓄熱材21,23を収容する収容体41の内部の気圧を計測するようにしたので、当該潜熱蓄熱材21,23の相状態を好適に検出することができる。
【0089】
《その他の実施形態》
上記実施形態1では重り36の変位量を計測し、上記実施形態2では収容体41内の気圧を計測するようにしたが、第1及び第2潜熱蓄熱材21,23の電気伝導率の変化を計測するようにしてもよい。そのことによっても、電気伝導率の変化に基づいて、第1及び第2潜熱蓄熱材21,23の相状態を検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上説明したように、本発明は、潜熱蓄熱材への蓄熱方法、及び潜熱蓄熱材を用いた室内温度の制御方法について有用である。
【符号の説明】
【0091】
5 空調装置(冷房機器、暖房機器)
19,41 収容体
21 第1潜熱蓄熱材
23 第2潜熱蓄熱材
29 発熱体
37 センサ
38,43 制御部
39 冷却部
42 圧力センサ
50 検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜熱蓄熱材の相状態を検出手段により検出し、上記潜熱蓄熱材の少なくとも一部が固相状態であることが検出されたときに上記潜熱蓄熱材への加熱を開始し、加熱されている上記潜熱蓄熱材が全て液相状態となったことが検出されたときに上記潜熱蓄熱材への加熱を終了する
ことを特徴とする潜熱蓄熱材への蓄熱方法。
【請求項2】
潜熱蓄熱材の相状態を検出手段により検出し、上記潜熱蓄熱材の少なくとも一部が液相状態であることが検出されたときに上記潜熱蓄熱材の冷却を開始し、冷却されている上記潜熱蓄熱材が全て固相状態となったことが検出されたときに上記潜熱蓄熱材の冷却を終了する
ことを特徴とする潜熱蓄熱材への蓄熱方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された潜熱蓄熱材への蓄熱方法において、
上記潜熱蓄熱材は、弾性材料を含むと共に、変形可能に構成された収容体に収容され、
上記検出手段は、上記収容体の外部から一定の外力で押圧された上記潜熱蓄熱材の変形度合いを計測することによって、上記潜熱蓄熱材の相状態を検出する
ことを特徴とする潜熱蓄熱材への蓄熱方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された潜熱蓄熱材への蓄熱方法において、
上記潜熱蓄熱材は収容体に収容され、
上記検出手段は、上記収容体の内部の気圧を計測することによって、上記潜熱蓄熱材の相状態を検出する
ことを特徴とする潜熱蓄熱材への蓄熱方法。
【請求項5】
第1潜熱蓄熱材の相状態を検出し、上記第1潜熱蓄熱材の少なくとも一部が固相状態であることが検出されたときに上記第1潜熱蓄熱材への加熱を開始し、加熱されている上記第1潜熱蓄熱材が全て液相状態となったことが検出されたときに上記第1潜熱蓄熱材への加熱を終了する第1制御モードを冬期に行う一方、
第2潜熱蓄熱材の相状態を検出し、上記第2潜熱蓄熱材の少なくとも一部が液相状態であることが検出されたときに上記第2潜熱蓄熱材の冷却を開始し、冷却されている上記第2潜熱蓄熱材が全て固相状態となったことが検出されたときに上記第2潜熱蓄熱材の冷却を終了する第2制御モードを夏期に行う
ことを特徴とする潜熱蓄熱材への蓄熱方法。
【請求項6】
請求項1に記載された潜熱蓄熱材への蓄熱方法により蓄熱された潜熱蓄熱材を用いて、室内を冷房する冷房機器が設けられた家屋の室内温度を制御する方法であって、
上記冷房機器の運転を開始する前に、予め上記潜熱蓄熱材の全てを固相状態にしておく
ことを特徴とする潜熱蓄熱材を用いた室内温度の制御方法。
【請求項7】
請求項2に記載された潜熱蓄熱材への蓄熱方法により蓄熱された潜熱蓄熱材を用いて、室内を暖房する暖房機器が設けられた家屋の室内温度を制御する方法であって、
上記暖房機器の運転を開始する前に、予め上記潜熱蓄熱材の全てを液相状態にしておく
ことを特徴とする潜熱蓄熱材を用いた室内温度の制御方法。
【請求項8】
請求項5に記載された潜熱蓄熱材への蓄熱方法により蓄熱された潜熱蓄熱材を用いて、冷房運転及び暖房運転を行う空調装置が設けられた家屋の室内温度を制御する方法であって、
上記空調装置が暖房運転するときに上記第1制御モードを行う一方、上記空調装置が冷房運転するときに上記第2制御モードを行う
ことを特徴とする潜熱蓄熱材を用いた室内温度の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−76522(P2013−76522A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217047(P2011−217047)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】