説明

無線タグシステム

【課題】要求/応答モードと間欠送信モードの切り替えが可能なタグを用い、車載リーダと携帯リーダの双方に対応可能な無線タグシステムを提供する。
【解決手段】タグは、要求/応答モードと間欠送信モードを切り替えるモード制御手段と、モード切り替えを行うモード設定信号および要求信号を電磁誘導方式で受信する電磁誘導用アンテナと、要求信号の受信に応じた応答信号または間欠信号を電波方式で送信する電波用アンテナとを備え、車載リーダは、モード設定信号と要求信号を電磁誘導方式で送信する電磁誘導用アンテナを備え、応答信号を電波方式で受信する電波用アンテナを備え、携帯リーダは、間欠信号を電波方式で受信する電波用アンテナを備え、タグのモード制御手段は、車載リーダから受信するモード設定信号により要求/応答モードまたは間欠送信モードに設定し、要求信号に応じた応答信号の送信または間欠信号の送信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方が移動するリーダとタグとの間で情報交換を行う無線タグシステムに関する。
【0002】
例えば、マンホール内の保守監視情報を収集蓄積するタグと、マンホールのある道路上を通過する車両に搭載したリーダ(以下、「車載リーダ」という)およびマンホール近傍の歩道上の作業員が携行するリーダ(以下、「携帯リーダ」という)とにより構成され、タグが収集蓄積したマンホールの保守監視情報(センサ情報)を車載リーダまたは携帯リーダに対して送信する無線タグシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
図11は、従来の無線タグシステムの第1の構成例を示す。
図11において、例えば橋梁などの保守監視対象物50の状態を測定するセンサ61を備えたタグ60は、送信部63からセンサ61で測定した測定データを間欠信号として周期的に送信するアクティブタグであり、車両40に搭載されたリーダ41がその間欠信号を受信できる位置に移動したときに受信し、センサ61の測定データを収集する。アクティブタグは、信号の間欠送信に応じて発生する送信時電流がタグ全体の消費電流の大部分を占めているので、高速に移動するリーダが受信できるように送信間隔を短くすると消費電流がさらに増え、電池駆動の場合には長時間の稼働ができなかった。
【0004】
図12は、従来の無線タグシステムの第2の構成例を示す(特許文献1)。
図12において、例えば橋梁などの保守監視対象物50の状態を測定するセンサ61を備えたタグ60は、車両40に搭載したリーダ41から送信された要求信号を受信部62で受信し、当該要求信号をトリガとしてセンサ61で測定した測定データを応答信号として送信部63から送信し、リーダ41が当該応答信号を受信してセンサ61の測定データを収集する。ここで、受信部62と送信部63との間で応答信号のタイミングを制御することにより、車両40が保守監視対象物50を通過している間にセンサ61が保守監視対象物50の状態を測定し、車両40が送信部63の通信圏を通過するタイミングでその測定データを受け取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−295051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
保守監視対象物50としてマンホール内の状態をマンホールの出入り口の蓋を開けずに、無線タグシステムを利用して把握できれば、マンホールを保守点検する作業が大幅に簡易なものとなる。このような無線タグシステムを利用する際に、タグが送信する無線信号をリーダで受信する方法として2つの方法がある。
【0007】
第1の方法は、図11に示すようなセンサ61の測定データを間欠送信するアクティブタグを用いるもので、「間欠送信モード」という。作業員が携帯リーダを所持してマンホールのある道路の脇にあたる歩道上まで行き、このマンホールから少し離れた場所において(歩道上にて)、アクティブタグから間欠送信される信号を受信する。なお、携帯リーダは軽量化のために、車載リーダのような要求信号を送信する機能がなく、タグの送信信号を受動的に受信する受信部のみを備えた構成である。
【0008】
第2の方法は、図12の形態と同様に、車載リーダを搭載した車両が走行しながら要求信号を送信し、マンホールの上または近傍に差しかかったときにマンホール内のタグが要求信号を受信し、この要求信号に対する応答信号を送信して車載リーダで受信するもので、「要求/応答モード」という。
【0009】
ところで、マンホール内にセンサおよびタグを設置したままマンホールの蓋を開けることなく、車載リーダおよび携帯リーダの双方に対応するには、マンホール内のタグに対して外部から要求/応答モードと間欠送信モードの切り替えを可能にすることである。
【0010】
本発明は、要求/応答モードと間欠送信モードの切り替えが可能なタグを用い、車載リーダと携帯リーダの双方に対応可能な無線タグシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、保守監視対象物に設置されるタグと、保守監視対象物の近傍を通過する車両に搭載される車載リーダおよび作業員が携行する携帯リーダとにより構成され、車載リーダから要求信号を送信し、当該要求信号を受信したタグから保守監視対象物のセンサ情報を含む応答信号を送信し、当該応答信号を車載リーダが受信する無線タグシステムにおいて、タグは、車載リーダとの間で要求信号の受信および応答信号の送信を行う「要求/応答モード」と、携帯リーダに対してセンサ情報を含む所定周期の間欠信号を送信する「間欠送信モード」を切り替えるモード制御手段と、要求/応答モードと間欠送信モードの切り替えを行うモード設定信号および要求信号を電磁誘導方式で受信する電磁誘導用アンテナと、要求信号の受信に応じた応答信号または間欠信号を電波方式で送信する電波用アンテナとを備え、車載リーダは、モード設定信号と要求信号を電磁誘導方式で送信する電磁誘導用アンテナを備え、応答信号を電波方式で受信する電波用アンテナを備え、携帯リーダは、間欠信号を電波方式で受信する電波用アンテナを備え、タグのモード制御手段は、車載リーダから受信するモード設定信号により要求/応答モードまたは間欠送信モードに設定し、要求信号に応じた応答信号の送信または間欠信号の送信を行う構成である。
【0012】
本発明の無線タグシステムにおいて、タグのモード制御手段は、間欠送信モードを定常状態とし、モード設定信号により要求/応答モードに切り替えた後に、応答信号の送信後に自動的に間欠送信モードに復帰する制御を行う。
【0013】
本発明の無線タグシステムにおいて、車載リーダは、電磁誘導方式により間欠送信モードの間欠時間を設定する間欠時間設定信号を送信し、タグのモード制御手段は、車載リーダから受信する間欠時間設定信号により設定される間欠送信モードの間欠時間で、間欠信号の送信を行う構成である。
【0014】
本発明の無線タグシステムにおいて、車載リーダを搭載する車両は、保守監視対象物が設置されるエリアを走行する車両または作業者が手押しする車両であり、車載リーダの電磁誘導用アンテナとタグの電磁誘導用アンテナが正対する位置で信号伝送が可能な構成である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の無線タグシステムでは、1つのタグで要求/応答モードと間欠送信モードの切り替えが可能である。間欠送信モードでは、作業員が携行する携帯リーダを用いて間欠信号を受信することにより、センサ情報を取得することができる。さらに、要求/応答モードに切り替えることにより、車両に搭載される車載リーダを用いて要求信号に対する応答信号により、センサ情報を取得することができる。
【0016】
本発明の無線タグシステムでは、例えばマンホール外から電磁誘導方式によりモード設定信号を送信し、マンホール内のタグの2つの動作モードを切り替えることができる。
【0017】
また、タグの動作モードとして間欠送信モードを定常状態とし、モード設定信号により要求/応答モードに切り替えた後に、応答信号の送信後に自動的に間欠送信モードに復帰するようにすれば、1つのモード設定信号で対応可能である。
【0018】
また、モード設定信号と同様の電磁誘導方式により、間欠送信モードにおける間欠時間を設定、変更することも可能であり、柔軟な運用な可能な無線タグシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の無線タグシステムの実施例を示す図である。
【図2】車載リーダ10、携帯リーダ30、タグ20の構成例を示す図である。
【図3】タグの状態遷移例1を示す状態遷移図である。
【図4】タグの動作例1を示すタイムチャートである。
【図5】タグの状態遷移例2を示す状態遷移図である。
【図6】タグの動作例2を示すタイムチャートである。
【図7】タグの状態遷移例3を示す状態遷移図である。
【図8】タグの動作例3を示すタイムチャートである。
【図9】タグの状態遷移例4を示す状態遷移図である。
【図10】タグの動作例4を示すタイムチャートである。
【図11】従来の無線タグシステムの第1の構成例を示す図である。
【図12】従来の無線タグシステムの第2の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(無線タグシステムの実施例)
図1は、本発明の無線タグシステムの実施例を示す。図1(1) は、走行車両や作業員の手押し車(例えば台車)に搭載の車載リーダを用いてセンサ情報収集を行う「要求/応答モード」に対応する構成例を示す。図1(2) は、主に歩行作業者が携行する携帯リーダを用いてセンサ情報収集する「間欠送信モード」に対応する構成例を示す。
【0021】
図1(1) において、車両1に搭載される車載リーダ10には、モード設定信号および要求信号の送信に用いる電磁誘導用アンテナ11および応答信号の受信に用いる電波用アンテナ12が接続される。車両1が走行する道路の下(地中)に保守監視対象物5であるマンホールがあり、マンホール内に設置されるタグ20には、モード設定信号および要求信号の受信に用いる電磁誘導用アンテナ21および応答信号の送信に用いる電波用アンテナ22が接続される。
【0022】
車載リーダ10は、電磁誘導用アンテナ11からモード設定信号および要求信号を送信し、電磁誘導用アンテナ11とタグ20に接続される電磁誘導用アンテナ21が正対したときに、電磁誘導方式によりモード設定信号および要求信号が車載リーダ10からタグ20に伝達される。タグ20はモード設定信号の受信により、タグ20の動作モード(要求/応答モードまたは間欠送信モード)を設定する。さらに、タグ20は、要求/応答モードに設定された場合は、要求信号の受信により電波用アンテナ22から応答信号を送信し、当該応答信号が車載リーダ10の電波用アンテナ12に受信される。
【0023】
図1(2) において、作業員が携行する携帯リーダ30には、間欠信号の受信に用いる電波用アンテナ31が接続される。作業員が歩行する歩道近傍の車道下(地中)に保守監視対象物5であるマンホールがあり、マンホール内に設置されるタグ20には、間欠信号の送信に用いる電波用アンテナ22が接続される。間欠送信モードに設定されたタグ20は、センサ情報を間欠信号として送信し、当該間欠信号が携帯リーダ30の電波用アンテナ31に受信される。
【0024】
なお、間欠送信モードは、タグ20が電源投入後にリセット処理を経て自動的に初期設定される形態、図1(1) に示す車載リーダ10が要求/応答モードに設定して応答信号を受信した後に切替設定する形態、応答信号を送信した後に自動的に要求/応答モードから間欠送信モードに移行する形態のいずれでもよい。詳しくは、後述する。
【0025】
図2は、車載リーダ10、携帯リーダ30、タグ20の構成例を示す。
図2おいて、車載リーダ10は、モード設定信号および要求信号を生成して電磁誘導用アンテナ11から送信する送信部13と、電波用アンテナ12に受信した応答信号の受信・復号処理を行い、応答信号に含まれセンサ情報の表示、蓄積、読み出しを行う受信部14を備える。
【0026】
携帯リーダ30は、電波用アンテナ31に受信する間欠信号の受信・復号処理を行い、間欠信号に含まれるセンサ情報の表示、蓄積、読み出しを行う受信部32を備える。
【0027】
タグ20は、電磁誘導用アンテナ21を介して受信するモード設定信号または要求信号の復号処理を行う受信部23、モード設定信号に応じて要求/応答モードまたは間欠送信モードのいずれかに設定し、センサ26のセンサ情報を要求信号に応じた応答信号として、あるいは間欠信号として出力するモード制御部24、モード制御部24の設定モードに応じた方式で応答信号または間欠信号を送信する送信部25を備える。
【0028】
本発明では、車載リーダ10がモード設定信号および要求信号を送信する電磁誘導用アンテナ11は車両1の下部に取り付け、モード設定信号および要求信号を真下方向に送信することで、車両1がタグ20のあるマンホールの上の通過したときに、タグ20の電磁誘導用アンテナ21がモード設定信号および要求信号を受信する。
【0029】
通常の車両1は車高(地上から車両の床下面まで)が20cm程度であり、またマンホールの深さは3m以内のものがほとんどである。また、日本では電磁誘導方式としてLF帯やHF帯が使用されており、アスファルトや土壌等による電波の損失はほとんどない場合が多い。この場合には、自由空間において3m以上通信可能であれば、マンホール内に設置したタグ20の電磁誘導用アンテナ21と、車両1の下面に取り付けた電磁誘導用アンテナ11との間で通信が可能である。実際に、電磁誘導用アンテナのサイズが1m×1m程度で、通信距離が5mまで通信可能な市販製品も存在する。また、車両1の下面は、小型車や軽自動車でも長さ 1.7m以上、幅1m以上のサイズはあるため、1m×1m程度の電磁誘導用アンテナ11を取り付けることにより、タグ20の電磁誘導用アンテナ21との間で5m程度の通信は可能である。
【0030】
また、車載リーダ10とタグ20が通信可能な時間は、車載リーダ10の電磁誘導用アンテナ11がタグ20の電磁誘導用アンテナ21の上の通過する時間T1 (s) と等しいが、この時間T1 (s) は電磁誘導用アンテナ11の長さL(m) と車両の移動速度V(m/s) より、
1 =L/V
と決まる。例えば、電磁誘導用アンテナ11の長さLが 1.7m、車両1の移動速度Vが60km/h≒16.7m/s の場合、通信可能時間T1 は約 0.1秒となる。
【0031】
次に、要求信号の送信間隔をI1(s)、タグ20の受信回数をN1 (回) とすると
1 =T1 /N1
となるので、車両1が通過する間にタグ20で要求信号を受信したい回数N1 を決めると要求信号の送信間隔I1 が決定される。例えば、長さ 1.7mの電磁誘導用アンテナ11を搭載し、時速60kmで走行中の車両1から要求信号を2回受信したい場合は、要求信号の送信間隔I1 を約0.05秒(=50msec) とする必要がある。なお、モード設定信号および要求信号は電磁誘導方式で伝送されるので、例えば20msec程度が必要であるが、その送信間隔が50msecであれば十分に対応可能である。
【0032】
(タグの状態遷移例1)
図3は、タグの状態遷移例1を示す状態遷移図である。図4は、タグの動作例1を示すタイムチャートである。
【0033】
図3および図4において、タグは、電池なし状態/給電停止状態、待機状態、間欠送信モード、要求/応答モードのいずれかの状態をとる。なお、図4には、後述する例で用いる設定状態も設けている。
【0034】
電池なし状態/給電停止状態はタグの初期状態であり、電池挿入/給電開始によりリセット動作を経て、待機状態に移行する(S11、t11)。待機状態のタグは、車載リーダから受信するモード設定信号に応じたモード切替を行う。ここでは、モード設定信号が間欠送信モード切替を指示しているので、間欠送信モードに移行する(S12、t12)。あるいは、タグが電源投入後にリセット動作、待機状態を経て自動的に間欠送信モードに移行する形態でもよい。
【0035】
間欠送信モードでは、所定の周期でセンサ情報を含む間欠信号を送信し、携帯リーダ(図1,2の30)での受信が可能になる。ここで、車載リーダから送信されたモード設定信号を受信し、それが間欠送信モードの停止および要求/応答モード切替を指示していれば、待機状態を経て(S13、t13)、要求/応答モードに移行する(S14、t14)。なお、S13,S14を経ずに間欠送信モードから要求/応答モードに直接移行する形態でもよい。
【0036】
要求/応答モードでは、さらに車載リーダから送信された要求信号を受信すると、センサ情報を含む応答信号を送信し、車載リーダ(図1,2の10)に受信される。なお、要求/応答モードを指示するモード設定信号として要求信号を用い、車載リーダから送信された要求信号を受信することで待機状態から要求/応答モードに移行し、その要求信号に応じた応答信号を送信するようにしてもよい。要求/応答モードは応答信号を所定回数送信することにより終了し、待機状態に戻る(S15、t15)。さらに、車載リーダは、応答信号の受信により間欠送信モード切替を指示するモード設定信号を送信し、当該モード設定信号を受信したタグは間欠送信モードに移行する(S12、t16)。
【0037】
なお、車載リーダが応答信号を受信した時点でマンホールを通りすぎており、車載リーダからタグへのモード設定信号の伝送ができない場合は、タグは待機状態のままになる。その場合には、ふただびマンホールに差しかかった車載リーダから送信されるモード設定信号をタグが受信し、間欠送信モードまたは要求/応答モードに設定されることになる。
【0038】
また、待機状態または間欠送信モードにおいて、電池を外すことによって給電停止になった場合には、電池なし状態/給電停止状態の初期状態に戻る。
【0039】
(タグの状態遷移例2)
図5は、タグの状態遷移例2を示す状態遷移図である。図6は、タグの動作例2を示すタイムチャートである。
【0040】
図3に示す状態遷移例1では、必ず待機状態を経て間欠送信モードまたは要求/応答モードに設定されたが、本状態遷移例2は、間欠送信モードを定常状態とし、要求/応答モードに切り替えて応答信号の送信後に自動的に間欠送信モードに復帰する例である。
【0041】
図5および図6において、タグは、電池なし状態/給電停止状態、間欠送信モード、要求/応答モードのいずれかの状態をとる。なお、図6には、他の例との対比のために設定状態および待機状態も設けている。
【0042】
電池なし状態/給電停止状態はタグの初期状態であり、電池挿入/給電開始によりリセット動作を経て、間欠送信モードに移行する(S21、t21)。
【0043】
間欠送信モードでは、所定の周期でセンサ情報を含む間欠信号を送信し、携帯リーダ(図1,2の30)での受信が可能になる。ここで、車載リーダから送信されたモード設定信号を受信し、それが要求/応答モード切替を指示していれば、要求/応答モードに移行する(S22、t22)。
【0044】
要求/応答モードでは、車載リーダから送信された要求信号を受信すると、センサ情報を含む応答信号を送信し、車載リーダ(図1,2の10)に受信される。なお、要求/応答モードを指示するモード設定信号として要求信号を用い、車載リーダから送信された要求信号を受信することで間欠送信モードから要求/応答モードに移行し、その要求信号に応じた応答信号を送信するようにしてもよい。要求/応答モードは応答信号を所定回数送信することにより終了し、自動的に間欠送信モードに移行する(S23、t23)。
【0045】
これにより、車載リーダが応答信号を受信した時点でマンホールを通りすぎており、車載リーダからタグへのモード設定信号の伝送ができない場合でも、タグは自動的に間欠送信モードに戻るので、それ以降に携帯リーダを携行した作業者がマンホールにやってきても、センサ情報を含む間欠信号の受信が可能である。
【0046】
また、間欠送信モードにおいて、電池を外すことによって給電停止になった場合には、電池なし状態/給電停止状態の初期状態に戻る。
【0047】
(タグの状態遷移例3)
図7は、タグの状態遷移例3を示す状態遷移図である。図8は、タグの動作例3を示すタイムチャートである。ここでは、図3の状態遷移例1に、間欠送信モードにおける間欠時間の設定を行うシーケンスを含む例を示す。
【0048】
図7および図8において、タグは、電池なし状態/給電停止状態、待機状態、間欠時間設定状態、間欠送信モード、要求/応答モードのいずれかの状態をとる。
【0049】
電池なし状態/給電停止状態はタグの初期状態であり、電池挿入/給電開始によりリセット動作を経て、待機状態に移行する(S31、t31)。待機状態のタグは、車載リーダから受信するモード設定信号が間欠送信モードにおける間欠時間の設定であれば、間欠時間設定状態に移行する(S32、t32)。間欠時間設定状態では間欠時間を設定し、設定終了により待機状態に戻る(S33、t33)。次に、車載リーダから受信するモード設定信号に応じたモード切替を行う。ここでは、モード設定信号が間欠送信モード切替を指示しているので、間欠送信モードに移行する(S34、t34)。
【0050】
間欠送信モードでは、設定された間欠時間でセンサ情報を含む間欠信号を送信し、携帯リーダ(図1,2の30)での受信が可能になる。ここで、車載リーダから送信されたモード設定信号を受信し、それが間欠送信モードの停止および要求/応答モード切替を指示していれば、待機状態を経て(S35、t35)、要求/応答モードに移行する(S36、t36)。なお、S35,S36を経ずに間欠送信モードから要求/応答モードに直接移行する形態でもよい。
【0051】
要求/応答モードでは、さらに車載リーダから送信された要求信号を受信すると、センサ情報を含む応答信号を送信し、車載リーダ(図1,2の10)に受信される。なお、要求/応答モードを指示するモード設定信号として要求信号を用い、車載リーダから送信された要求信号を受信することで待機状態から要求/応答モードに移行し、その要求信号に応じた応答信号を送信するようにしてもよい。要求/応答モードは応答信号を所定回数送信することにより終了し、待機状態に戻る(S37、t37)。さらに、車載リーダは、応答信号の受信により間欠送信モード切替を指示するモード設定信号を送信し、当該モード設定信号を受信したタグは間欠送信モードに移行する(S34、t38)。
【0052】
なお、車載リーダが応答信号を受信した時点でマンホールを通りすぎており、車載リーダからタグへのモード設定信号の伝送ができない場合は、タグは待機状態のままになる。その場合には、ふただびマンホールに差しかかった車載リーダから送信されるモード設定信号をタグが受信し、間欠送信モードまたは要求/応答モードに設定されることになる。
【0053】
また、待機状態または間欠送信モードにおいて、電池を外すことによって給電停止になった場合には、電池なし状態/給電停止状態の初期状態に戻る。
【0054】
(タグの状態遷移例4)
図9は、タグの状態遷移例4を示す状態遷移図である。図10は、タグの動作例4を示すタイムチャートである。
【0055】
図7に示す状態遷移例3では、必ず待機状態を経て間欠送信モードまたは要求/応答モードに設定されたが、本状態遷移例4は、要求/応答モードに切り替えて応答信号の送信後に自動的に間欠送信モードに復帰する例である。
【0056】
図9および図10において、タグは、電池なし状態/給電停止状態、待機状態、間欠時間設定状態、間欠送信モード、要求/応答モードのいずれかの状態をとる。
【0057】
電池なし状態/給電停止状態はタグの初期状態であり、電池挿入/給電開始によりリセット動作を経て、待機状態に移行する(S41、t41)。待機状態のタグは、車載リーダから受信するモード設定信号が間欠送信モードにおける間欠時間の設定であれば、間欠時間設定状態に移行する(S42、t42)。間欠時間設定状態では間欠時間を設定し、設定終了により待機状態に戻る(S43、t43)。次に、車載リーダから受信するモード設定信号に応じたモード切替を行う。ここでは、モード設定信号が間欠送信モード切替を指示しているので、間欠送信モードに移行する(S44、t44)。
【0058】
間欠送信モードでは、設定された間欠時間でセンサ情報を含む間欠信号を送信し、携帯リーダ(図1,2の30)での受信が可能になる。ここで、車載リーダから送信されたモード設定信号を受信し、それが要求/応答モード切替を指示していれば、要求/応答モードに移行する(S45、t45)。
【0059】
要求/応答モードでは、車載リーダから送信された要求信号を受信すると、センサ情報を含む応答信号を送信し、車載リーダ(図1,2の10)に受信される。なお、要求/応答モードを指示するモード設定信号として要求信号を用い、車載リーダから送信された要求信号を受信することで間欠送信モードから要求/応答モードに移行し、その要求信号に応じた応答信号を送信するようにしてもよい。要求/応答モードは応答信号を所定回数送信することにより終了し、自動的に間欠送信モードに移行する(S46、t46)。ここで、車載リーダから送信されたモード設定信号を受信し、それが間欠送信モード停止を指示していれば、待機状態に戻る(S47、t47)。さらに、間欠送信モード切替を指示するモード設定信号を受信すれば、間欠送信モードに移行する(S44、t48)。
【0060】
これにより、車載リーダが応答信号を受信した時点でマンホールを通りすぎており、車載リーダからタグへのモード設定信号の伝送ができない場合でも、タグは自動的に間欠送信モードに戻るので、それ以降に携帯リーダを携行した作業者がマンホールにやってきても、センサ情報を含む間欠信号の受信が可能である。
【0061】
また、間欠送信モードにおいて、電池を外すことによって給電停止になった場合には、電池なし状態/給電停止状態の初期状態に戻る。
【符号の説明】
【0062】
1 車両
5 保守監視対象物(マンホール)
10 車載リーダ
11 電磁誘導用アンテナ
12 電波用アンテナ
13 送信部
14 受信部
20 タグ
21 電磁誘導用アンテナ
22 電波用アンテナ
23 受信部
24 モード制御部
25 送信部
26 センサ
30 携帯リーダ
31 電波用アンテナ
32 受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保守監視対象物に設置されるタグと、前記保守監視対象物の近傍を通過する車両に搭載される車載リーダおよび作業員が携行する携帯リーダとにより構成され、前記車載リーダから要求信号を送信し、当該要求信号を受信した前記タグから保守監視対象物のセンサ情報を含む応答信号を送信し、当該応答信号を前記車載リーダが受信する無線タグシステムにおいて、
前記タグは、前記車載リーダとの間で前記要求信号の受信および前記応答信号の送信を行う「要求/応答モード」と、前記携帯リーダに対して前記センサ情報を含む所定周期の間欠信号を送信する「間欠送信モード」を切り替えるモード制御手段と、前記要求/応答モードと前記間欠送信モードの切り替えを行うモード設定信号および前記要求信号を電磁誘導方式で受信する電磁誘導用アンテナと、前記要求信号の受信に応じた前記応答信号または前記間欠信号を電波方式で送信する電波用アンテナとを備え、
前記車載リーダは、前記モード設定信号と前記要求信号を電磁誘導方式で送信する電磁誘導用アンテナを備え、前記応答信号を電波方式で受信する電波用アンテナを備え、
前記携帯リーダは、前記間欠信号を電波方式で受信する電波用アンテナを備え、
前記タグのモード制御手段は、前記車載リーダから受信する前記モード設定信号により要求/応答モードまたは間欠送信モードに設定し、前記要求信号に応じた前記応答信号の送信または前記間欠信号の送信を行う構成である
ことを特徴とする無線タグシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線タグシステムにおいて、
前記タグのモード制御手段は、前記間欠送信モードを定常状態とし、前記モード設定信号により前記要求/応答モードに切り替えた後に、前記応答信号の送信後に自動的に前記間欠送信モードに復帰する制御を行う
ことを特徴とする無線タグシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の無線タグシステムにおいて、
前記車載リーダは、前記電磁誘導方式により前記間欠送信モードの間欠時間を設定する間欠時間設定信号を送信し、
前記タグのモード制御手段は、前記車載リーダから受信する前記間欠時間設定信号により設定される前記間欠送信モードの間欠時間で、前記間欠信号の送信を行う構成である
ことを特徴とする無線タグシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の無線タグシステムにおいて、
前記車載リーダを搭載する車両は、前記保守監視対象物が設置されるエリアを走行する車両または作業者が手押しする車両であり、前記車載リーダの電磁誘導用アンテナと前記タグの電磁誘導用アンテナが正対する位置で信号伝送が可能な構成である
ことを特徴とする無線タグシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−62583(P2013−62583A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198250(P2011−198250)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】