無線通信装置
【課題】 太陽電池による蓄電の安定化と、アンテナによる通信の安定化を可能にした無線通信装置を提供すること。
【解決手段】 太陽電池による発電機能および二次電池による蓄電機能を有する電源装置を備える無線通信装置であり、摩擦が少なく透明な液体4が充填されたアクリル製の外皮ケース3内に光透過性のよい球体ケース2を入れ、この球体ケース2内に太陽電池パネル5、回路部6およびバランス錘7を収容し、球体ケース2の姿勢角度をバランス錘7で一定に保つことにより、常に太陽電池パネル5と回路部6のアンテナとを最適な向きまたは方位に保つ。
【解決手段】 太陽電池による発電機能および二次電池による蓄電機能を有する電源装置を備える無線通信装置であり、摩擦が少なく透明な液体4が充填されたアクリル製の外皮ケース3内に光透過性のよい球体ケース2を入れ、この球体ケース2内に太陽電池パネル5、回路部6およびバランス錘7を収容し、球体ケース2の姿勢角度をバランス錘7で一定に保つことにより、常に太陽電池パネル5と回路部6のアンテナとを最適な向きまたは方位に保つ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽電池による自己発電型電源を備えた無線通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外で使用する無線通信装置には、有線で電源供給を行うものと、内蔵電池で電源を供給するものがある。ビルオートメーションやセキュリティなど、屋内で用いられる場合は有線で電源が供給されるが、環境モニタリングなどに用いられ、屋外にて有線で電源供給が困難な場所では電源供給に内蔵電池が使われる。このとき、内蔵電池に二次電池を使用し、装置に太陽電池を設けて二次電池に蓄電し、電池の寿命を延ばし、また太陽電池で装置を駆動させることもできる。
【0003】
しかし、太陽電池は通信装置にてその位置が固定されている。このため装置がひっくり返った場合、また倒れた場合などに上面に配置していた太陽電池に太陽光が照射されなくなり、電源への蓄電が止まり通信装置の寿命が低下してしまう。
【0004】
この太陽電池の位置を機械駆動で制御する方法もある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−280449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来技術にあっては、太陽電池の位置を調節するにあたり、装置が特定の姿勢で設置されるのが前提であり、装置が倒れた場合やひっくり返った場合に太陽電池の向きを調節することは困難である。装置の転倒防止対策も、設置の規模が大きくなるほど困難となる。また、太陽電池の位置調節に機械を使用すると、装置も大掛かりなものになり、製造のコストも上がってしまう。
【0007】
また、通信装置のアンテナを使用する場合も、装置を特定の姿勢で設置した場合に意図した指向性で使用されることが前提となっているため、装置が倒れた場合やひっくり返った場合に通信も困難になる可能性がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべくなされたもので、太陽電池による蓄電の安定化と、アンテナによる通信の安定化を可能にした無線通信装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、太陽電池による発電機能および二次電池による蓄電機能を有する電源装置を備える無線通信装置であって、電源を含む無線通信の回路部が、光を透過する素材で作られた球体形状のケース内に収納されており、該球体形状のケース内部での前記回路部の設置位置以外の場所にバランス錘が設置されており、前記球体形状のケースは光を透過する素材で作られた外皮ケースに収納されており、該球体形状のケースと該外皮ケースとの間には、光を透過する物質であり、かつ摩擦の少ない液状またはゲル状の物質が充填されていることを特徴とする無線通信装置である。この発明では、外皮ケースの設置角度によらず、バランス錘によって球体形状のケースは摩擦の少ない液状またはゲル状の物質の中で一定角度を保つため、この通信機器を常に意図した角度で使用することが可能である。
【0010】
また本発明は、前記太陽電池は前記球状体のケース内部に設置された少なくとも1つの太陽電池パネルからなり、前記バランス錘が前記球状体のケース中心に対し下方の安定位置にあるときに前記太陽電池パネルの受光面は上方または側方に向かうように設置されたことを特徴とする無線通信装置である。この発明では、太陽電池パネルは常に地面と対向しない位置に固定されるため、光が照射される環境で安定して二次電池の充電を行うことが可能となる。
【0011】
また本発明は、前記太陽電池パネルと同一平面上に送受信アンテナを有することを特徴とする無線通信装置である。この発明では、アンテナを太陽電池パネルの周囲に配置することによって、アンテナ専用スペースが不要となり、省スペース化が可能となる。同時に、パネルの周辺ではアンテナの設置場所を稼ぐことも容易であり、低周波数帯での通信にも適している。
【0012】
また本発明は、前記太陽電池パネルの下面側に送受信アンテナを設置したことを特徴とする無線通信装置である。この発明では、アンテナを太陽電池パネルの発電面の裏にアンテナを納めることで、通信装置の省スペース化を行うことが可能となる。
【0013】
また本発明は、前記太陽電池パネルの側方に送受信アンテナを設置したことを特徴とする無線通信装置である。この発明では、側方に送受信アンテナを設置することで、設置の自由が効き指向性の調節が容易となる。またアンテナを複数側方に配置することで無線周波数のマルチバンド化を容易に行うことが可能である。
【0014】
また本発明は、前記送受信アンテナの指向性は無指向性であることを特徴とする無線通信装置である。この発明では、無指向性アンテナを使用することで、例えば通信装置のケースが動いて横方向(水平面内)でアンテナの向きが変わっても安定して通信を行うことが可能となる。
【0015】
また本発明は、前記送受信アンテナの指向性は前記太陽電池パネルの設置面が広がる方向に強い指向性を持つことを特徴とする無線通信装置である。この発明では、太陽電池と同時にアンテナ指向性も地面と対向しない方向に固定されるため、一般的に通信目的が存在する通信機器の上方との通信を効率よく行うことが可能となる。
【0016】
また本発明は、前記送受信アンテナの指向性について、前記球体形状のケースの中心からバランス錘の重心に向かう方向の指向性が最も弱いことを特徴とする無線通信装置である。このように、バランス錘による自動調節によって、バランス錘が向く地面の方向の指向性を弱めることで、一般的に通信目的のない方向への使用エネルギーを弱めることでアンテナの送受信を効率よく行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
以上記述したように、この発明では、無線通信装置の太陽電池および送受信アンテナの位置が、装置自体が傾き、また転倒することで変わっても、摩擦の少ない物質が充填された外皮ケース内で球体ケースがケース内のバランス錘によって位置を調節し、太陽電池および送受信アンテナを使用意図に即した位置に固定する。
【0018】
したがってこの発明によれば、太陽電池による自己発電型電源を備えた無線通信装置において、安定した電源供給と通信が可能な無線通信装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係わり、太陽電池による自己発電型電源を備えた無線通信装置の構成を示す内部透視斜視図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の通信装置1は、透明なアクリル製の球体ケース2と、このケースを包むアクリル製の直方体の外皮ケース3と、球体ケース2と外皮ケース3の間に充填された光を透過する摩擦の少ない液体4と、球体ケース2内上部に設けられた太陽電池パネル5と球体ケース2に内蔵された回路部6と球体ケース2内下部に設けられたバランス錘7で構成される。そのバランス錘7は球体ケース2内下部に配置され、太陽電池パネル5は球体ケース2内上部に配置され、その受光面はケース上部に向けられる。
【0021】
上記のような構成では、外皮ケース3の姿勢状態に係わらず、球体ケース2はバランス錘7の配置された下部が常に地面方向を向くため、太陽電池パネル5は常に水平に保たれ上方を向く。傾斜がある場所に通信装置1を配置しても、内部の太陽電池パネル5は水平に上方を向き、また外皮ケースがひっくり返るなどして装置の傾きが大きく変わっても、太陽電池パネルは即時に上方に向きなおす。このようにして、光が照射される状態で安定して蓄電を行うことが可能となる。本実施の形態では太陽電池パネルは球体ケース内で下部のバランス錘に対して上部に設置しているが、球体ケース2の中心に対してバランス錘と同じ方向でない位置関係であれば、側面等に設置してもよい。また、液体4に代えて、透明で摩擦の少ないものであればゲル状物質を用いてもよい。
【0022】
次に、図2は、図1で回路部6として示した通信装置回路部の構成を示すブロック図である。図2に示すように、本発明の通信装置の回路部は、CPU部8、無線部9、送受信アンテナ10、電源部11、二次電池12、太陽電池13で構成されている。無線部9は、CPU部8からのディジタルデータ信号を無線で他の端末に送信するものである。さらに、電源部11は、CPU部8および無線部9を駆動するための電力を供給する機能と、太陽電池13の発電電力を二次電池12に蓄電する機能とを有する。
【0023】
図3は従来技術による通信装置のアンテナ指向性を示す模式的外観図であり、図3(a)は通常使用時の状態、図3(b)は90°転倒時の状態を示す。
【0024】
図4は実施の形態1での通信装置のアンテナ指向性を示す模式的外観図である。本実施の形態では、球体ケースのバランス錘7が下方の安定位置にあるとき、送受信アンテナ10は水平になるように球体ケース2内の回路部6に設置されている。また、送受信アンテナ10の指向性は紙面内で8の字形状である。
【0025】
図3に示すように従来の通信装置14は、その送受信アンテナ10がケース内で固定されているため通信装置14が転倒すると送受信アンテナの向きも変化し、その指向性は目的方向から外れ、通信が困難となる場合がある。しかし、上記のように構成された本実施の形態では通信装置1のケースが転倒しても、図4のように、球体ケース内の送受信アンテナ10は水平に保たれ、指向性は図4の状態のまま固定され、通信を安定させることができる。
【0026】
(実施の形態2)
図5は本発明の実施の形態2での太陽電池パネル5と送受信アンテナ15の位置関係を示す平面図である。本発明の実施の形態2では、図5に示すように、太陽電池パネル5と同一平面上に送受信アンテナ15を設置しているが、他は実施の形態1と共通である。
【0027】
上記のような構成により、太陽電池パネル5と送受信アンテナ15をコンパクトにまとめ、省スペースを実現している。また、太陽電池パネル5の周りを囲むように送受信アンテナ15を配置しており、低周波数帯通信のためのアンテナ長を確保することが容易な構造となっている。
【0028】
(実施の形態3)
図6は本発明の実施の形態3での太陽電池パネル5と送受信アンテナ16の位置関係を示す側面図である。本発明の実施の形態3では、図6に示すように太陽電池パネル5の下側に送受信アンテナ16を設置している。
【0029】
上記のような構成により、送受信アンテナが太陽電池パネルの受光を邪魔することもなく、また送受信アンテナを太陽電池パネルの裏に納めてしまうことで太陽電池パネルと送受信アンテナをコンパクトにまとめ、省スペースを実現している。
【0030】
(実施の形態4)
図7は実施の形態4の太陽電池パネル5と送受信アンテナ17の位置関係を示す、側方からの斜視図である。本発明の実施の形態4では、図7に示すように太陽電池パネル5の側方に送受信アンテナ17を複数設置している。アンテナの構成以外は実施の形態1と共通である。このように、太陽電池パネルの側方であれば、送受信アンテナが太陽電池パネルの受光を邪魔することもなく、またアンテナを複数配置することで、無線周波数のマルチバンド化やアンテナの指向性の調節を容易に行うことが可能となる。
【0031】
(実施の形態5)
図8は実施の形態5のアンテナ指向性を示す模式的外観図である。本発明の実施の形態5の通信装置18では、図8に示すように無指向性の送受信アンテナ19を使用している。 アンテナの指向性以外は実施の形態1と共通である。
【0032】
実施の形態1では、外皮ケースが動くことでアンテナの傾きが変わっても、バランス錘によって元に戻る機構となっている。しかし、水平面内ではアンテナの向きが変わり、水平面内での指向性は変化してしまう恐れがある。本実施の形態では無指向性のアンテナを使用することで、内部のアンテナの水平面内での向きが変わっても通信を安定して行うことが可能である。
【0033】
(実施の形態6)
図9は実施の形態6のアンテナ指向性を示す模式的外観図である。本発明の実施の形態6の通信装置20では、図9に示すように太陽電池パネルの設置面の方向(上下方向)に強い指向性を持つ送受信アンテナ21を使用している。アンテナの指向性以外は実施の形態1と共通である。本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、太陽パネルが常に上向きに保たれるが、通信装置20を地表に設置し、通信の対象が通信装置20の上方にくる場合、本実施の形態ではアンテナの指向性を通信装置20の上方に向けることで、無駄な電力消費を抑えることができる。
【0034】
(実施の形態7)
図10は実施の形態7のアンテナ指向性を示す模式的外観図である。本発明の実施の形態7の通信装置22では、図10に示すように、球体形状のケースの中心からバランス錘の重心に向かう方向の指向性が最も弱い送受信アンテナ23を使用しているが、その他は実施の形態1と共通である。本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、バランス錘7が常に下向きの水平状態に保たれる。通信装置を地表に設置する場合、本実施の形態では地面内に向かうアンテナの指向性を抑えることで、無駄な電力消費を抑えることができる。
【0035】
(実施の形態8)
図11は実施の形態8の無線通信装置を示す内部透視斜視図である。実施の形態1では、外皮ケースの中に1個の球体ケースを使用しているが、図11のように、実施の形態8では外皮ケース25を広げ、球体ケース2を2個使用している。ところで、外皮ケースの形状、大きさを変え、3個以上の球体ケースを用いたものを実施できるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態1での通信装置の内部透視斜視図。
【図2】本発明に係わる通信装置回路部を示すブロック図。
【図3】従来技術による通信装置のアンテナ指向性を示し、図3(a)は通常使用時の模式的外観図、図3(b)は90°転倒時の模式的外観図。
【図4】本発明の実施の形態1での通信装置のアンテナ指向性の模式的外観図。
【図5】本発明の実施の形態2での太陽電池パネルと送受信アンテナの位置関係を示した平面図。
【図6】本発明の実施の形態3での太陽電池パネルと送受信アンテナの位置関係を示した側面図。
【図7】本発明の実施の形態4での太陽電池パネルと送受信アンテナの位置関係を示した斜視図。
【図8】本発明の実施の形態5での通信装置のアンテナ指向性を示した模式的外観図。
【図9】本発明の実施の形態6での通信装置のアンテナ指向性を示した模式的外観図。
【図10】本発明の実施の形態7での通信装置のアンテナ指向性を示した模式的外観図。
【図11】本発明の実施の形態8での通信装置の内部透視斜視図。
【符号の説明】
【0037】
1,14,18,20,22,24 通信装置
2 球体ケース
3,25 外皮ケース
4 液体
5 太陽電池パネル
6 回路部
7 バランス錘
8 CPU部
9 無線部
10,15,16,17,19,21,23 送受信アンテナ
11 電源部
12 二次電池
13 太陽電池
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽電池による自己発電型電源を備えた無線通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外で使用する無線通信装置には、有線で電源供給を行うものと、内蔵電池で電源を供給するものがある。ビルオートメーションやセキュリティなど、屋内で用いられる場合は有線で電源が供給されるが、環境モニタリングなどに用いられ、屋外にて有線で電源供給が困難な場所では電源供給に内蔵電池が使われる。このとき、内蔵電池に二次電池を使用し、装置に太陽電池を設けて二次電池に蓄電し、電池の寿命を延ばし、また太陽電池で装置を駆動させることもできる。
【0003】
しかし、太陽電池は通信装置にてその位置が固定されている。このため装置がひっくり返った場合、また倒れた場合などに上面に配置していた太陽電池に太陽光が照射されなくなり、電源への蓄電が止まり通信装置の寿命が低下してしまう。
【0004】
この太陽電池の位置を機械駆動で制御する方法もある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−280449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来技術にあっては、太陽電池の位置を調節するにあたり、装置が特定の姿勢で設置されるのが前提であり、装置が倒れた場合やひっくり返った場合に太陽電池の向きを調節することは困難である。装置の転倒防止対策も、設置の規模が大きくなるほど困難となる。また、太陽電池の位置調節に機械を使用すると、装置も大掛かりなものになり、製造のコストも上がってしまう。
【0007】
また、通信装置のアンテナを使用する場合も、装置を特定の姿勢で設置した場合に意図した指向性で使用されることが前提となっているため、装置が倒れた場合やひっくり返った場合に通信も困難になる可能性がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべくなされたもので、太陽電池による蓄電の安定化と、アンテナによる通信の安定化を可能にした無線通信装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、太陽電池による発電機能および二次電池による蓄電機能を有する電源装置を備える無線通信装置であって、電源を含む無線通信の回路部が、光を透過する素材で作られた球体形状のケース内に収納されており、該球体形状のケース内部での前記回路部の設置位置以外の場所にバランス錘が設置されており、前記球体形状のケースは光を透過する素材で作られた外皮ケースに収納されており、該球体形状のケースと該外皮ケースとの間には、光を透過する物質であり、かつ摩擦の少ない液状またはゲル状の物質が充填されていることを特徴とする無線通信装置である。この発明では、外皮ケースの設置角度によらず、バランス錘によって球体形状のケースは摩擦の少ない液状またはゲル状の物質の中で一定角度を保つため、この通信機器を常に意図した角度で使用することが可能である。
【0010】
また本発明は、前記太陽電池は前記球状体のケース内部に設置された少なくとも1つの太陽電池パネルからなり、前記バランス錘が前記球状体のケース中心に対し下方の安定位置にあるときに前記太陽電池パネルの受光面は上方または側方に向かうように設置されたことを特徴とする無線通信装置である。この発明では、太陽電池パネルは常に地面と対向しない位置に固定されるため、光が照射される環境で安定して二次電池の充電を行うことが可能となる。
【0011】
また本発明は、前記太陽電池パネルと同一平面上に送受信アンテナを有することを特徴とする無線通信装置である。この発明では、アンテナを太陽電池パネルの周囲に配置することによって、アンテナ専用スペースが不要となり、省スペース化が可能となる。同時に、パネルの周辺ではアンテナの設置場所を稼ぐことも容易であり、低周波数帯での通信にも適している。
【0012】
また本発明は、前記太陽電池パネルの下面側に送受信アンテナを設置したことを特徴とする無線通信装置である。この発明では、アンテナを太陽電池パネルの発電面の裏にアンテナを納めることで、通信装置の省スペース化を行うことが可能となる。
【0013】
また本発明は、前記太陽電池パネルの側方に送受信アンテナを設置したことを特徴とする無線通信装置である。この発明では、側方に送受信アンテナを設置することで、設置の自由が効き指向性の調節が容易となる。またアンテナを複数側方に配置することで無線周波数のマルチバンド化を容易に行うことが可能である。
【0014】
また本発明は、前記送受信アンテナの指向性は無指向性であることを特徴とする無線通信装置である。この発明では、無指向性アンテナを使用することで、例えば通信装置のケースが動いて横方向(水平面内)でアンテナの向きが変わっても安定して通信を行うことが可能となる。
【0015】
また本発明は、前記送受信アンテナの指向性は前記太陽電池パネルの設置面が広がる方向に強い指向性を持つことを特徴とする無線通信装置である。この発明では、太陽電池と同時にアンテナ指向性も地面と対向しない方向に固定されるため、一般的に通信目的が存在する通信機器の上方との通信を効率よく行うことが可能となる。
【0016】
また本発明は、前記送受信アンテナの指向性について、前記球体形状のケースの中心からバランス錘の重心に向かう方向の指向性が最も弱いことを特徴とする無線通信装置である。このように、バランス錘による自動調節によって、バランス錘が向く地面の方向の指向性を弱めることで、一般的に通信目的のない方向への使用エネルギーを弱めることでアンテナの送受信を効率よく行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
以上記述したように、この発明では、無線通信装置の太陽電池および送受信アンテナの位置が、装置自体が傾き、また転倒することで変わっても、摩擦の少ない物質が充填された外皮ケース内で球体ケースがケース内のバランス錘によって位置を調節し、太陽電池および送受信アンテナを使用意図に即した位置に固定する。
【0018】
したがってこの発明によれば、太陽電池による自己発電型電源を備えた無線通信装置において、安定した電源供給と通信が可能な無線通信装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係わり、太陽電池による自己発電型電源を備えた無線通信装置の構成を示す内部透視斜視図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の通信装置1は、透明なアクリル製の球体ケース2と、このケースを包むアクリル製の直方体の外皮ケース3と、球体ケース2と外皮ケース3の間に充填された光を透過する摩擦の少ない液体4と、球体ケース2内上部に設けられた太陽電池パネル5と球体ケース2に内蔵された回路部6と球体ケース2内下部に設けられたバランス錘7で構成される。そのバランス錘7は球体ケース2内下部に配置され、太陽電池パネル5は球体ケース2内上部に配置され、その受光面はケース上部に向けられる。
【0021】
上記のような構成では、外皮ケース3の姿勢状態に係わらず、球体ケース2はバランス錘7の配置された下部が常に地面方向を向くため、太陽電池パネル5は常に水平に保たれ上方を向く。傾斜がある場所に通信装置1を配置しても、内部の太陽電池パネル5は水平に上方を向き、また外皮ケースがひっくり返るなどして装置の傾きが大きく変わっても、太陽電池パネルは即時に上方に向きなおす。このようにして、光が照射される状態で安定して蓄電を行うことが可能となる。本実施の形態では太陽電池パネルは球体ケース内で下部のバランス錘に対して上部に設置しているが、球体ケース2の中心に対してバランス錘と同じ方向でない位置関係であれば、側面等に設置してもよい。また、液体4に代えて、透明で摩擦の少ないものであればゲル状物質を用いてもよい。
【0022】
次に、図2は、図1で回路部6として示した通信装置回路部の構成を示すブロック図である。図2に示すように、本発明の通信装置の回路部は、CPU部8、無線部9、送受信アンテナ10、電源部11、二次電池12、太陽電池13で構成されている。無線部9は、CPU部8からのディジタルデータ信号を無線で他の端末に送信するものである。さらに、電源部11は、CPU部8および無線部9を駆動するための電力を供給する機能と、太陽電池13の発電電力を二次電池12に蓄電する機能とを有する。
【0023】
図3は従来技術による通信装置のアンテナ指向性を示す模式的外観図であり、図3(a)は通常使用時の状態、図3(b)は90°転倒時の状態を示す。
【0024】
図4は実施の形態1での通信装置のアンテナ指向性を示す模式的外観図である。本実施の形態では、球体ケースのバランス錘7が下方の安定位置にあるとき、送受信アンテナ10は水平になるように球体ケース2内の回路部6に設置されている。また、送受信アンテナ10の指向性は紙面内で8の字形状である。
【0025】
図3に示すように従来の通信装置14は、その送受信アンテナ10がケース内で固定されているため通信装置14が転倒すると送受信アンテナの向きも変化し、その指向性は目的方向から外れ、通信が困難となる場合がある。しかし、上記のように構成された本実施の形態では通信装置1のケースが転倒しても、図4のように、球体ケース内の送受信アンテナ10は水平に保たれ、指向性は図4の状態のまま固定され、通信を安定させることができる。
【0026】
(実施の形態2)
図5は本発明の実施の形態2での太陽電池パネル5と送受信アンテナ15の位置関係を示す平面図である。本発明の実施の形態2では、図5に示すように、太陽電池パネル5と同一平面上に送受信アンテナ15を設置しているが、他は実施の形態1と共通である。
【0027】
上記のような構成により、太陽電池パネル5と送受信アンテナ15をコンパクトにまとめ、省スペースを実現している。また、太陽電池パネル5の周りを囲むように送受信アンテナ15を配置しており、低周波数帯通信のためのアンテナ長を確保することが容易な構造となっている。
【0028】
(実施の形態3)
図6は本発明の実施の形態3での太陽電池パネル5と送受信アンテナ16の位置関係を示す側面図である。本発明の実施の形態3では、図6に示すように太陽電池パネル5の下側に送受信アンテナ16を設置している。
【0029】
上記のような構成により、送受信アンテナが太陽電池パネルの受光を邪魔することもなく、また送受信アンテナを太陽電池パネルの裏に納めてしまうことで太陽電池パネルと送受信アンテナをコンパクトにまとめ、省スペースを実現している。
【0030】
(実施の形態4)
図7は実施の形態4の太陽電池パネル5と送受信アンテナ17の位置関係を示す、側方からの斜視図である。本発明の実施の形態4では、図7に示すように太陽電池パネル5の側方に送受信アンテナ17を複数設置している。アンテナの構成以外は実施の形態1と共通である。このように、太陽電池パネルの側方であれば、送受信アンテナが太陽電池パネルの受光を邪魔することもなく、またアンテナを複数配置することで、無線周波数のマルチバンド化やアンテナの指向性の調節を容易に行うことが可能となる。
【0031】
(実施の形態5)
図8は実施の形態5のアンテナ指向性を示す模式的外観図である。本発明の実施の形態5の通信装置18では、図8に示すように無指向性の送受信アンテナ19を使用している。 アンテナの指向性以外は実施の形態1と共通である。
【0032】
実施の形態1では、外皮ケースが動くことでアンテナの傾きが変わっても、バランス錘によって元に戻る機構となっている。しかし、水平面内ではアンテナの向きが変わり、水平面内での指向性は変化してしまう恐れがある。本実施の形態では無指向性のアンテナを使用することで、内部のアンテナの水平面内での向きが変わっても通信を安定して行うことが可能である。
【0033】
(実施の形態6)
図9は実施の形態6のアンテナ指向性を示す模式的外観図である。本発明の実施の形態6の通信装置20では、図9に示すように太陽電池パネルの設置面の方向(上下方向)に強い指向性を持つ送受信アンテナ21を使用している。アンテナの指向性以外は実施の形態1と共通である。本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、太陽パネルが常に上向きに保たれるが、通信装置20を地表に設置し、通信の対象が通信装置20の上方にくる場合、本実施の形態ではアンテナの指向性を通信装置20の上方に向けることで、無駄な電力消費を抑えることができる。
【0034】
(実施の形態7)
図10は実施の形態7のアンテナ指向性を示す模式的外観図である。本発明の実施の形態7の通信装置22では、図10に示すように、球体形状のケースの中心からバランス錘の重心に向かう方向の指向性が最も弱い送受信アンテナ23を使用しているが、その他は実施の形態1と共通である。本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、バランス錘7が常に下向きの水平状態に保たれる。通信装置を地表に設置する場合、本実施の形態では地面内に向かうアンテナの指向性を抑えることで、無駄な電力消費を抑えることができる。
【0035】
(実施の形態8)
図11は実施の形態8の無線通信装置を示す内部透視斜視図である。実施の形態1では、外皮ケースの中に1個の球体ケースを使用しているが、図11のように、実施の形態8では外皮ケース25を広げ、球体ケース2を2個使用している。ところで、外皮ケースの形状、大きさを変え、3個以上の球体ケースを用いたものを実施できるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態1での通信装置の内部透視斜視図。
【図2】本発明に係わる通信装置回路部を示すブロック図。
【図3】従来技術による通信装置のアンテナ指向性を示し、図3(a)は通常使用時の模式的外観図、図3(b)は90°転倒時の模式的外観図。
【図4】本発明の実施の形態1での通信装置のアンテナ指向性の模式的外観図。
【図5】本発明の実施の形態2での太陽電池パネルと送受信アンテナの位置関係を示した平面図。
【図6】本発明の実施の形態3での太陽電池パネルと送受信アンテナの位置関係を示した側面図。
【図7】本発明の実施の形態4での太陽電池パネルと送受信アンテナの位置関係を示した斜視図。
【図8】本発明の実施の形態5での通信装置のアンテナ指向性を示した模式的外観図。
【図9】本発明の実施の形態6での通信装置のアンテナ指向性を示した模式的外観図。
【図10】本発明の実施の形態7での通信装置のアンテナ指向性を示した模式的外観図。
【図11】本発明の実施の形態8での通信装置の内部透視斜視図。
【符号の説明】
【0037】
1,14,18,20,22,24 通信装置
2 球体ケース
3,25 外皮ケース
4 液体
5 太陽電池パネル
6 回路部
7 バランス錘
8 CPU部
9 無線部
10,15,16,17,19,21,23 送受信アンテナ
11 電源部
12 二次電池
13 太陽電池
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池による発電機能および二次電池による蓄電機能を有する電源装置を備える無線通信装置であって、
電源を含む無線通信の回路部が、光を透過する素材で作られた球体形状のケース内に収納されており、
該球体形状のケース内部での前記回路部の設置位置以外の場所にバランス錘が設置されており、
前記球体形状のケースは光を透過する素材で作られた外皮ケースに収納されており、
該球体形状のケースと該外皮ケースとの間には、光を透過する物質であり、かつ摩擦の少ない液状またはゲル状の物質が充填されていることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記太陽電池は前記球状体のケース内部に設置された少なくとも1つの太陽電池パネルからなり、前記バランス錘が前記球状体のケース中心に対し下方の安定位置にあるときに前記太陽電池パネルの受光面は上方または側方に向かうように設置されたことを特徴とする、請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記太陽電池パネルと同一平面上に送受信アンテナを有することを特徴とする、請求項2記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記太陽電池パネルの下面側に送受信アンテナを設置したことを特徴とする、請求項2記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記太陽電池パネルの側方に送受信アンテナを設置したことを特徴とする、請求項2記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記送受信アンテナの指向性は無指向性であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記送受信アンテナの指向性は前記太陽電池パネルの設置面が広がる方向に強い指向性を持つことを特徴とする、請求項2〜5のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記送受信アンテナの指向性は、前記球体形状のケースの中心からバランス錘の重心に向かう方向の指向性が最も弱いことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項1】
太陽電池による発電機能および二次電池による蓄電機能を有する電源装置を備える無線通信装置であって、
電源を含む無線通信の回路部が、光を透過する素材で作られた球体形状のケース内に収納されており、
該球体形状のケース内部での前記回路部の設置位置以外の場所にバランス錘が設置されており、
前記球体形状のケースは光を透過する素材で作られた外皮ケースに収納されており、
該球体形状のケースと該外皮ケースとの間には、光を透過する物質であり、かつ摩擦の少ない液状またはゲル状の物質が充填されていることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記太陽電池は前記球状体のケース内部に設置された少なくとも1つの太陽電池パネルからなり、前記バランス錘が前記球状体のケース中心に対し下方の安定位置にあるときに前記太陽電池パネルの受光面は上方または側方に向かうように設置されたことを特徴とする、請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記太陽電池パネルと同一平面上に送受信アンテナを有することを特徴とする、請求項2記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記太陽電池パネルの下面側に送受信アンテナを設置したことを特徴とする、請求項2記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記太陽電池パネルの側方に送受信アンテナを設置したことを特徴とする、請求項2記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記送受信アンテナの指向性は無指向性であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記送受信アンテナの指向性は前記太陽電池パネルの設置面が広がる方向に強い指向性を持つことを特徴とする、請求項2〜5のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記送受信アンテナの指向性は、前記球体形状のケースの中心からバランス錘の重心に向かう方向の指向性が最も弱いことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−16516(P2009−16516A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175906(P2007−175906)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】
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