照明デバイスおよび照明装置
【課題】交差点用の道路照明に用いた場合であっても簡単に配光特性を制御することができる照明デバイスおよび照明装置を提供する。
【解決手段】光学素子1は、光源2の前方に出射された光を光源2の前方の集光領域に集光して出射する一方、光源2の後方に出射された光を、光学素子1の短軸方向の拡散領域に拡散させて出射するようになっている。
【解決手段】光学素子1は、光源2の前方に出射された光を光源2の前方の集光領域に集光して出射する一方、光源2の後方に出射された光を、光学素子1の短軸方向の拡散領域に拡散させて出射するようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路灯、防犯灯、街路灯、およびトンネル灯等に適用される照明デバイスおよび照明デバイスを備えた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
交通安全および犯罪防止等のために、多数の照明装置が屋外に設置されている。例えば、道路灯あるいはトンネル灯等の道路照明においては、運転手が道路状態を確実に把握できること、また走行中に照明装置からの光によって視認性が妨げられるのを防ぐことを目的として、照明された道路の平均輝度、輝度の均斉度、およびグレア等に関する評価値が規定されている。
【0003】
一般に国内における道路灯は、設置高さおよそ7〜10m、設置間隔およそ30〜40mで使用される場合が多く、トンネル灯は、設置高さおよそ5m、設置間隔およそ12〜15mで使用される場合が多い。これらの照明装置に必要とされる配光の特徴としては、照明装置から±60°付近にピークを備え、かつ、±75°以上の光をカットするというような特性である。また、海外においても、各国の道路事情に応じた照明装置の特性が要求されている。このような配光特性を実現し、道路灯およびトンネル灯に要求される規定値のうち、より高い基準をクリアするためには、照明装置の配光を精密に制御する必要がある。
【0004】
照明装置の配光特性を制御するための技術として、特許文献1に記載の方法がある。特許文献1に記載された照明装置は、扁平面および回転楕円体からなる光学レンズを備えており、1つの光源と光学レンズとの組み合わせによって広角配光を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−177028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された照明装置を道路照明に用いた場合、道路以外の場所を照明する不要光が生じてしまったり、照明分布が不均一であったりする等、配光の制御は十分ではない。その結果、照明装置の取り付け角度ならびに設置位置が大きく制限されてしまう。
【0007】
特に、交差点用の道路照明では、交差点内の照射と共に、車線軸方向にも照射することが要求される。しかし、配光制御が不十分であると、この要求を満足することができない。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、交差点用の道路照明に用いた場合であっても簡単に配光特性を制御することができる照明デバイスおよび照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る照明デバイスは、上記の課題を解決するために、光源と、上記光源の光が入射する光入射面と、上記光入射面から入射した光を出射する光出射面とを有する光学素子とを備え、上記光学素子は、上記光源から光軸に対して所定方向側へ出射された光を、上記光軸に対して上記所定方向側に位置する集光領域に向けて集光して出射する一方、上記光源から上記光軸に対して上記所定方向側とは逆方向側に出射された光を、上記光軸および上記所定方向の双方に垂直な拡散領域に向けて拡散して出射するようになっていることを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、光学素子によって、光源からの出射光のうち、光軸に対して所定方向側に出射された光が集光領域に向けて集光される一方、所定方向側とは逆方向側に出射された光が、拡散領域に向けて拡散される。「集光領域」は、光軸に対して上記所定方向側に位置する領域である。一方、「拡散領域」は、上記光軸および上記所定方向の双方に垂直な領域である。つまり、照明デバイスにおける上記所定方向側へは集光性を高めた照射が可能となり、照明デバイスにおける上記所定方向側とは逆方向側へは拡散性を高めた照射が可能となる。従って、交差点用の道路照明に用いた場合であっても簡単に配光特性を制御することができる。
【0011】
特に、照明デバイスを交差点用の道路照明(照明装置)に適用する場合は、照明デバイスの集光領域が照明装置の前方の交差点内となり、上記拡散領域が道路の進行方向(車線軸方向)となるように設定する。これにより、照明装置から前方に離れた交差点内に集光させると共に、照明装置の直下または後方の光を車線軸方向に拡散させることができる。すなわち、照明装置からの距離が遠く、暗くなりやすい交差点内(特に交差点中央部)の光の強度が相対的に大きくなる一方、照明装置との距離が短い照明装置直下の光の強度が相対的に小さくなる。従って、交差点内への照射と共に、車線軸方向への照射が必要となる、交差点の道路照明の配光特性を実現することができる。つまり、簡易に交差点を含む道路面内を均一に照射することができる。なお、交差点とは、十字路、T字路、Y字路など、複数の車道(道路)が交わる部分を示す。
【0012】
本発明に係る照明デバイスでは、上記光学素子の光出射面に、上記光源から上記光軸に対して上記所定方向側とは逆方向側に出射された光を、上記拡散領域に向けて拡散する突起部が形成されていることが好ましい。
【0013】
上記の構成によれば、突起部に入射した光が、光軸および上記所定方向の双方に垂直な拡散領域に向けて拡散して出射される。従って、照明デバイスにおける上記所定方向側とは逆方向側への拡散性を、より高めた照射が可能となる。それゆえ、照明デバイスを交差点用の道路照明(照明装置)に適用する場合には、車線軸方向へ確実に拡散させることができる。
【0014】
本発明に係る照明デバイスでは、上記光学素子は、上記所定方向側とは逆方向側の端部に、上記光源から上記光軸に対して上記所定方向側とは逆方向側に出射された光を、上記光源の直下方向に屈折させる屈折面を有することが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、屈折面に入射した光を、光源の直下方向(照明デバイスの直下方向)に屈折させて出射させることができる。
【0016】
特に、交差点用の道路照明(照明装置)では、交差点内(照明装置の前方)、車線軸方向、および照明装置の直下に光を照射する必要があるものの、照明装置の後方(歩道側)には光を照射する必要がない。従って、上記照明デバイスを交差点用の道路照明(照明装置)に適用する場合には、そのような照射する必要のない光を、照明装置の直下に照射することができる。
【0017】
本発明に係る照明デバイスでは、上記光学素子は、上記光出射面の周囲の少なくとも一部に上記光源側に窪んだ段差部を有することが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、光学素子に段差部が形成されているため、段差部が形成された領域は、局所的に光学素子の厚さが薄くなる。これにより、段差部が形成されていない場合に光学素子内部を導光する光を、取り出すことができる。従って、光源から出射された光の取り出し効率を高めることができる。
【0019】
本発明に係る照明装置は、上記の課題を解決するために、前記いずれかの照明デバイスを備えていることを特徴としている。従って、交差点用の道路照明に用いた場合であっても簡単に配光特性を制御することができる照明装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の照明デバイスおよび照明装置によれば、交差点用の道路照明に用いた場合であっても簡単に配光特性を制御することができる照明デバイスおよび照明装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の一形態に係る照明デバイスの外観を示す図であり、(a)および(b)は出射面側の斜視図であり、(c)は裏面側の斜視図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係る照明デバイスの出射面側の正面図である。
【図3】図2の照明デバイスにおけるA−A断面図である。
【図4】本発明の実施の一形態に係る照明デバイスの側面図である。
【図5】図2の照明デバイスにおけるB−B断面図である。
【図6】図2の照明デバイスにおけるC−C断面図である。
【図7】図2の照明デバイスにおけるD−D断面図である。
【図8】図2の照明デバイスにおけるE−E断面図である。
【図9】図8の断面図において、照明デバイスに溝が形成されていない場合を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の一形態に係る照明デバイスを備えた照明装置の概略構成を示す斜視図である。
【図11】図10の照明装置の分解斜視図である。
【図12】交差点における照明装置の照射領域を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を以下の実施の形態により詳細に説明する。なお、以下の説明においては、同一の機能および作用を示す部材については、同一の符号を付し、説明を省略する。また、以下の説明では、光学素子の切断面における長手方向を長軸とし、それに直交する方向を短軸とする。また、以下の説明では、説明の便宜上、図中に示すx軸、y軸、およびz軸を用いて各方向および各面を説明する。+x軸方向とは、図中に示すx軸の矢印方向であり、−x軸方向とは、図中に示すx軸の矢印方向とは反対の方向であり、いずれも光学素子の長軸方向である。一方、+y軸方向とは、図中に示すy軸の矢印方向であり、−y軸方向とは、図中に示すy軸の矢印方向とは反対の方向であり、いずれも光学素子の短軸方向である。また、+z軸方向とは、図中に示すz軸の矢印方向であり、−z軸方向とは、図中に示すz軸の矢印方向とは反対の方向であり、いずれも照明デバイスの光軸方向である。ここで言う光軸とは、光源から出射される光の立体的な出射光束の中心軸である。
【0023】
そして、x−z平面とは、x軸およびz軸を含む平面であり、長軸を含み、なおかつ、短軸に垂直な平面である。一方、y−z平面とは、y軸およびz軸を含む平面であり、短軸を含み、なおかつ、長軸に垂直な平面である。また、x−y平面とは、x軸およびy軸を含む平面であり、長軸および短軸を含む平面である。
【0024】
(照明デバイスの構成)
本実施の形態に係る照明デバイスの構成について、図1,図2,図12を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る照明デバイス30の外観を示す図であり、(a)および(b)は出射面側の斜視図であり、(c)は裏面側の斜視図である。図2は、本実施の形態に係る照明デバイス30の出射面側の正面図である。図12は、交差点における照明装置の照射領域を示す概略図である。
【0025】
図1の(a)(b)および図2に示すように、照明デバイス30は、光学素子1および光源2を備えている。本実施形態の照明デバイス30は、一例として、交差点用の道路灯としての適用が想定されている。具体的には、図12に示すように、照明デバイス30を道路灯(照明装置40)として適用する場合、交差点の対角に配置された道路灯は、図中破線で示す照射領域のように、道路灯の前方の交差点内(特に照明装置40から最も離れた交差点中央部)および車線軸方向に照射する必要がある。従って、照明デバイス30を道路灯として適用する場合、図2に示すように、光学素子1の+x軸方向が、交差点中央方向(すなわち照明デバイス30の前方)、光学素子1の−x軸方向が歩道方向(すなわち照明デバイス30の後方)、光学素子1の斜め後方が、車線軸方向となる。
【0026】
光学素子1は、光軸に対して照明デバイス30の+x軸方向である前方側(所定方向側)に位置する集光領域に向けて、+x軸方向に集光性を高めて出射する一方、照明デバイス30の−x軸方向である後方(所定方向とは逆方向)には±y軸方向の拡散領域に向けて拡散性を高めて出射させる部材である。具体的には、光学素子1は、レンズ部11と、平坦部12とから構成されている。
【0027】
レンズ部11は、光源2の光が入射されるとともに、入射された光を出射する。照明デバイス30では、レンズ部11は、回転楕円体をその長軸(±x軸方向)に平行な面で切断して得られる凸形状(楕円半球体)であり、さらにその凸形状における長軸方向の一方の端部(図1では−x軸側(後方側)の端部)が、光軸方向(短軸方向)に切断された形状である。すなわち、レンズ部11は、曲面11aと、平坦な端面11bとからなる凸形状となっている。
【0028】
さらに、照明デバイス30では、曲面11a上に、三角錐状の突起部11cが形成されている。具体的には、突起部11cは、端面11bの頂部から長軸方向(+x軸方向)に沿って形成されている。つまり、突起部11cの光軸方向における断面の面積は、端面11bから離れるにしたがい、狭くなっている。
【0029】
このように、レンズ部11の光出射面側は、曲面11a、端面11b、および突起部11cから形成されている。そして、レンズ部11の表面、つまり曲面11a、端面11b、および突起部11cの表面が、光学素子1における光出射面(後述する光出射面3b)となる。
【0030】
一方、図1の(c)に示すように、レンズ部11の裏面には、光出射面側に凹んだ凹部11dが形成されており、この凹部11d内に光源2が配置されている。そして、凹部11dの表面が、光学素子1における光入射面(後述する光入射面3a)となる。
【0031】
一方、平坦部12は、レンズ部11から連続して形成された板状の平面部である。平坦部12は、光学素子1の強度を保つ部分である。平坦部12には、堀状の溝部12aが形成されている。溝部12aは、平坦部12が光源2側に窪んだ段差部である。照明デバイス30では、溝部12aは、レンズ部11の端面11bの周囲に形成されている。このため、溝部12aが形成された領域は、光学素子1の厚さ(平坦部12の厚さ)が、他の領域よりも薄くなっている。
【0032】
なお、光学素子1は、例えばアクリル樹脂の他、ポリスチレン樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、またはガラス等を用いることが好ましい。しかし、特に限定はなく、可視光域において透明性がよく、透過率が大きい材料であれば好適である。また、レンズ部11と平坦部12とは、同一部材から形成されていてもよいし、別部材から形成されていてもよい。レンズ部11と平坦部12とが同一部材から形成されていれば、射出成形等による方法で、光学素子1を一挙に大量生産することが可能である。
【0033】
一方、光源2は、LEDを用いることができる他、蛍光体、エレクトロルミネッセンス素子、半導体レーザー等の光源も適用可能であるが、特に限定はない。また、光源の色は任意に設定すればよい。ただし、光源2がLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)の場合、長寿命、低消費電力といった利点を有する。
【0034】
(光学素子1の断面形状および光路)
次に、図3〜図8に基づいて光学素子1の形状および光源2から光学素子1に入射される光の出射について詳細に説明する。図3は、図2の照明デバイス30におけるA−A断面図である。図4は、本実施形態に係る照明デバイス30の側面図である。図5は、図2の照明デバイス30におけるB−B断面図である。図6は、図2の照明デバイス30におけるC−C断面図である。図7は、図2の照明デバイスにおけるD−D断面図である。図8は、図2の照明デバイス30におけるE−E断面図である。
【0035】
図3に示すように、光学素子1は、光入射面3aおよび光出射面3bを有している。光入射面3aは、光源2から出射された光が入射する面を言う。光出射面3bは、光入射面3aから入射した光を出射する面を言う。光入射面3aは、光学素子1の裏面(光源2側)に形成された凹部11dの表面である。光出射面3bは、曲面11a、端面11b、および突起部11cの各表面である。
【0036】
図12に示すように、道路灯より後方は、車線軸を除いて、光を照射する必要がない。また、図12に示すように交差点内(交差点と車線軸との境目:図中破線部分)は、道路灯からの距離が遠くなっているため、暗くなりやすい。特に、交差点中央部は、道路灯からの距離が最も遠くなっているため暗くなりやすい。このため、交差点内には、集中的に光を照射し、光の強度を大きくすることが好ましい。また、道路灯の直下は、道路灯との距離が近いため、明るくなりやすい。このため、この部分は、車線軸方向に光を拡散させ、光の強度を小さくすることが好ましい。さらに、道路灯の後方は、光を照射する必要がないため、その光は車線軸方向など、光を照射する必要のある領域に照射することが好ましい。
【0037】
そこで、図3に示すように、光学素子1の曲面11aは、交差点中央方向(光源2の前方)については、光軸に対して前方(+x方向)側である所定方向側に位置する集光領域に向けて集光されるような集光レンズ(凸レンズ)を構成している。具体的には、光源2の前方については、光入射面3aを形成する凹部11dは、光軸から離れるにつれて、光源2から光入射面3aまでの距離が小さくなるように形成されている。また、光学素子1の光軸方向の厚さは、光軸から離れるにつれて厚くなっている。
【0038】
これにより、光路A1〜A4に示すように、光源2の前方(交差点内)に入射した光は、光軸に対して所定方向側に位置する集光領域に集光するように出射される。特に、光路A1,A2を経由した出射光は、道路灯から距離が離れた位置に集中的に集光させている。このため、暗くなりやすい交差点内(特に交差点中央部)の光の強度を相対的に大きくすることができる。
【0039】
さらに、照明デバイス30では、光学素子1の内側の凹部11d(光入射面3aなど)が、光源2の光軸に対して、光源2の後方(端面11b)側にオフセットされている。これにより、光軸が、光源2の後方(端面11b側)にオフセットされている。すなわち、図3に示すように、光源2の発光面の直上は、曲面11aの中心から、後方(端面11b側)にずれている。このように、光軸を端面11b側にオフセットすることによって、光路A3,A4に示すように、集光領域への配光を大きくすることができる。
【0040】
なお、本願明細書において「集光領域へ集光する」とは、特定の焦点を結ばずとも、入射の配光に対して狭い配光で集光領域に出射することを意図しており、集光領域に軸上の一点で焦点を結ぶような状態を意図するものではない。
【0041】
一方、光源2の直下および後方については、車線軸方向に拡散して出射されるような拡散レンズを構成している。具体的には、図3に示す断面においては、光源2の直下および後方については、光入射面3aを形成する凹部11dは、光出射面3bまでの距離がほぼ同一である。また、光学素子1の光軸方向の厚さもほぼ同一である。
【0042】
これにより、光路A5,A6に示すように、光源2の直下および後方(交差点中央方向とは逆方向)に入射した光は、やや後方に拡散して出射される。このため、明るくなりやすい道路灯の直下の光の強度を相対的に小さくすることができる。
【0043】
また、光学素子1の後方の端部、つまり光源2の真後ろには、端面11bが形成されている。この端面11bは、光軸方向(光源の出射面に対して垂直な方向)に対して、光源2の前方側へ傾斜した傾斜面である。そして、この端面11bは、光源2の後方に出射した光を、光源2の直下方向に屈折させる屈折面となっている。
【0044】
これにより、光路A7に示すように、光源2の後方から端面11bに入射した光は、光源2側、より詳細には光源2の直下方向に屈折されて出射される。このため、車線軸を除く道路灯の後方は光を照射する必要がないため、その光は車線軸方向など、光を照射する必要のある領域に照射することができる。すなわち、道路灯の真後ろ(歩道側)は通常、光を照射する必要がないので、不要な光をやや光源2側(前方)へ屈折して出射させることができる。
【0045】
次に、図4のB−B〜E−Eに示す照明デバイス30の断面図によって、光学素子1の形状および光路をさらに詳細に説明する。
【0046】
図5のB−B断面方向は、光源2の前方に相当するため、光を集光する必要がある。つまり、図5の構成では、光学素子1は光源2の前方への集光性を高める必要がある。一方、図6のC−C断面方向は、光源2の直下(道路灯の直下)に相当するため、光を車線軸方向(より具体的には、交差点中央方向および車道に対して垂直方向)に拡散させる必要がある。これは、C−C断面方向には、車線を横断した向かい側および車線と交差点との境目が位置するため、より遠くに配光(拡散)する必要があるためである。
【0047】
このため、図5および図6を比較すると、凹部11dの深さ(光入射面3aまでの距離)は、光源2から交差点中央方向(前方)に離れた図5の構成よりも、光源2に近い図6の構成の方が深く(長く)なっている。つまり、光学素子1の厚さは、図5の構成では、光軸方向が厚く、その両側に向かって薄くなっている。一方、図6の構成では、光学素子1の厚さは、光軸方向が薄く、その両側に向かって厚くなっている。これにより、図5に示すように、光源2の前方に出射される光は、光路B1,B2,B3に示すように、比較的集光して出射される。これに対し、図6に示すように、光路C1に示すように光軸方向の光は直進して出射されるのに対し、光路C2,C3に示すように光軸方向の両側の光は、比較的光軸から離れるように拡散して出射される。すなわち、光軸に対して後方側に出射された光の一部は、光路C2,C3に示すように、光軸および図3における所定方向の双方に垂直な拡散領域に向けて拡散して出射される。従って、車線軸方向に光が拡散されて出射される。
【0048】
一方、図7に示すように、本実施形態では、光学素子1には、突起部11cが形成されている。突起部11cは、上述のように、端面11bの頂部(先端)から、光源2の前方に沿って形成された三角錐状の部材である。これにより、突起部11cの第1の側面11c’から入射した光は、光路D1に示すように、突起部11cの第2の側面11c’’へ反射され、第2の側面11c’’を透過して出射される。同様に、突起部11cの第2の側面11c’’から入射した光は、光路D2に示すように、突起部11cの第1の側面11c’へ反射され、第1の側面11c’を透過して出射される。しかも、第1の側面11c’および第2の側面11c’’から出射された光は、光軸から離れるように拡散するように屈折されて出射される。従って、車線軸方向に光が拡散されて出射される。
【0049】
一方、図8および図9は、光学素子1(平坦部12)に形成された溝部12aの有無による光路の違いを比較する図である。図8に示すように、光学素子1は、光源2の後方から入射した光を車線軸方向に拡散させるため拡散レンズとなっている。すなわち、光軸方向の凹部11dの深さ(光入射面3aまでの距離)が深く(長く)、光学素子1の厚さが薄くなっている。そして、光軸から離れるにつれて、光学素子1が厚くなっている。このため、光路E1,E2に示すように、光軸方向に対し両側の光は、車線軸方向に拡散される。
【0050】
ここで、図9に示すように、光学素子1に溝部12aが形成されていない場合、拡散レンズの効果によって拡散された光は、光路E3,E4に示すように、平坦部12を透過せず全反射される。その結果、光学素子1(平坦部12)内を導光し、光出射面3b側へ光を取り出すことができない。
【0051】
これに対し、図8に示すように、光学素子1に溝部12aが形成されている場合、拡散レンズの効果によって拡散された光は、光路E1,E2に示すように、平坦部12には入射されず、光学素子1の光出射面3bから出射される。その結果、溝部12aを形成しない場合に取り出すことのできなかった光を取り出すことができる。従って、光の利用効率を高めることができる。
【0052】
なお、溝部12aは、光源2の後方(端面11bの周囲)に形成されている。しかし、溝部12aは、光出射面3bの周囲の少なくとも一部に形成されていればよい。ただし、特に、交差点用の道路灯は、光源2の後方の光を車線軸方向に拡散させている。このため、溝部12aは、光源2の後方を含むように形成されていることが好ましい。これにより、溝部12aを形成しない場合に取り出すことのできなかった光を取り出すことができる。従って、光の利用効率を高めることができる。
【0053】
さらに、端面11bの周囲にのみ溝部12aを形成すれば、平坦部12の局所的に溝部12aが形成されることになる。これにより、光学素子1の強度を維持しつつ、光取り出し効率を高めることができる。なお、光源2の高さを変えることによっても、光取り出し効率を高めることも可能である。しかし、光学系全体の厚さ(光学素子1+光源2の厚さ)が増えてしまう。
【0054】
なお、以上では、光学素子1の具体的な形状を示したが、これはあくまでも一例であり、必ずしもこれに限定されるわけではなく、光学素子1は種々の形状を有していてもよい。つまり、目的とする配光特性を実現するように光学素子1の形状を任意に設定すればよい。すなわち、光学素子1は、光源2から光軸に対して所定方向側に出射された光を上記所定方向側に位置する集光領域に向けて集光して出射する一方、光源2から上記光軸に対して上記所定方向側とは逆方向側に出射された光を、上記光軸および上記所定方向の双方に垂直な拡散領域に向けて拡散して出射するようになっていればよい。
【0055】
以上のように、本実施形態の照明デバイス30によれば、光学素子1によって、光源2からの出射光のうち、光軸に対して所定方向側(光源2の前方)に出射された光が集光領域に向けて集光される一方、所定方向側とは逆方向側(光源2の後方)に出射された光が拡散領域(短軸方向)に向けて拡散される。つまり、照明デバイス30における上記所定方向側へは集光性を高めた照射が可能となり、照明デバイス30における上記所定方向側とは逆方向側へは拡散性を高めた照射が可能となる。従って、簡単に配光特性を制御することができる。
【0056】
特に、照明デバイス30を交差点用の道路照明(道路灯,照明装置40)に適用する場合は、照明デバイス30の集光領域が照明装置40の前方の交差点内となり、上記拡散領域が道路の進行方向(車線軸方向)となるように設定する。これにより、照明装置40から前方に離れた交差点内に集光させると共に、照明装置40の直下または後方の光を車線軸方向に拡散させることができる。すなわち、照明装置40からの距離が遠く、暗くなりやすい交差点内(特に交差点中央部)の光の強度が相対的に大きくなる一方、照明装置との距離が短い照明装置直下の光の強度が相対的に小さくなる。従って、交差点内への照射と共に、車線軸方向への照射が必要となる、交差点の道路照明の配光特性を実現することができる。つまり、簡易に交差点を含む道路面内を均一に照射することができる。
【0057】
また、本実施形態の照明デバイス30では、光学素子1の光出射面3bに、光源2から上記光軸に対して上記所定方向側とは逆方向(光源2の後方)側に出射された光を、上記拡散領域に屈折させる突起部11cが形成されている。このため、突起部11cに入射した光が、光軸および上記所定方向の双方に垂直な拡散領域(短軸方向)に向けて拡散して出射される。従って、照明デバイス30における上記所定方向側とは逆方向側への拡散性を、より高めた照射が可能となる。それゆえ、照明デバイス30を交差点用の道路照明(照明装置)に適用する場合には、車線軸方向へ確実に拡散させることができる。
【0058】
さらに、本実施形態の照明デバイス30では、光学素子1は、上記所定方向側とは逆方向側の端部(光源2の後方側の端部)に、光源2から上記光軸に対して上記所定方向側とは逆方向側に出射された光を、光源2の直下方向に屈折させる屈折面となる端面11bを有している。このため、端面11bに入射した光を、光源2の直下方向(照明デバイス30の直下方向)に屈折させて出射させることができる。
【0059】
特に、交差点用の道路照明(照明装置)では、交差点内(照明装置の前方)、車線軸方向、および照明装置の直下に光を照射する必要があるものの、照明装置の後方(歩道側)には光を照射する必要がない。従って、上記照明デバイス30を交差点用の道路照明(照明装置)に適用する場合には、そのような照射する必要のない光を、照明装置の直下に照射することができる。
【0060】
また、本実施形態の照明デバイス30では、光学素子1は、光出射面3bの周囲(具体的には、端面11bの周囲)に光源2側に窪んだ溝部12aを有している。すなわち、光学素子1に段差部が形成されている。このため、溝部12aが形成された領域は、局所的に光学素子1の厚さが薄くなる。これにより、溝部12aが形成されていない場合に光学素子1内部(平坦部12内部)を導光する光を、取り出すことができる。従って、光源2から出射された光の取り出し効率を高めることができる。すなわち、配光が広い成分においても光を取り出すことが可能となる。また、光学素子1の強度を維持できる程度に溝部12aを形成すれば、反りの少ない光学素子1を実現することができる。
【0061】
このように、本実施の形態に係る照明デバイス30によれば、1つの光学素子1のみによって、例えば、光源2の前方および後方の配光特性を制御し、その配光特性を最適化することができる。また、光源2の取り付けが容易であり、道路灯に必要な配光を満足するための配光制御が容易である。このため、照明デバイス30の設置位置が制約されにくい。また、本実施の形態に係る照明デバイス30を備えた照明装置を用いれば、リフレクタ等を使用せずとも、道路照明に用いる照明装置として適した配光分布および照度を有する照明装置を実現することができる。
【0062】
また、光源2が複数になって光源面積が大きくなった場合においても、本実施の形態に係る照明デバイス30はコンパクトであるため、照明デバイス30を搭載した照明装置においては、装置の大型化を招くことなく、優れた配光特性を実現することが可能となる。
【0063】
(照明装置への適用例)
以下には、本実施の形態に係る照明デバイス30を照明装置に適用する場合の一具体例を示す。図10は、本実施形態に係る照明デバイス30を備えた照明装置40の概略構成を示す斜視図である。図11は、図10の照明装置40の分解斜視図である。
【0064】
図10および図11に示すように、照明装置40は、シャーシ41内に、光源ユニット42およびレンズユニット43が格納され、シャーシ41がカバー44によって閉じられている。シャーシ41は、アルミニウム等の金属からなる筺体である。光源ユニット42は、光源基板42a上に、複数の光源2がマトリクス状に配置された構成である。レンズユニット43は、各光源2に対して設けられた複数の光学素子1が一体的に形成された構成である。なお、シャーシ41内には、図示しない電源装置等も格納されている。
【0065】
このような照明装置40は、上述のような交差点用の道路灯として利用することが好ましい。これにより、交差点内の照射と共に、車線軸方向にも照射することができるため、道路灯に要求される配光特性を実現することができる。
【0066】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0067】
例えば、以上では各実施の形態に係る照明デバイスを備えた照明装置を道路灯あるいはトンネル灯に適用する例を挙げているが、必ずしもこれに限定されるわけではない。各実施の形態に係る照明デバイスおよび該照明デバイスを備える照明装置は、防犯灯、街路灯、公園灯、および看板照明等の屋外照明、あるいはその他の照明に幅広く用いることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 光学素子
2 光源
3a 光入射面
3b 光出射面
11a 曲面
11b 端面
11c 突起部
12 平坦部
12a 溝部(段差部)
30 照明デバイス
40 照明装置
42 光源ユニット
43 レンズユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路灯、防犯灯、街路灯、およびトンネル灯等に適用される照明デバイスおよび照明デバイスを備えた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
交通安全および犯罪防止等のために、多数の照明装置が屋外に設置されている。例えば、道路灯あるいはトンネル灯等の道路照明においては、運転手が道路状態を確実に把握できること、また走行中に照明装置からの光によって視認性が妨げられるのを防ぐことを目的として、照明された道路の平均輝度、輝度の均斉度、およびグレア等に関する評価値が規定されている。
【0003】
一般に国内における道路灯は、設置高さおよそ7〜10m、設置間隔およそ30〜40mで使用される場合が多く、トンネル灯は、設置高さおよそ5m、設置間隔およそ12〜15mで使用される場合が多い。これらの照明装置に必要とされる配光の特徴としては、照明装置から±60°付近にピークを備え、かつ、±75°以上の光をカットするというような特性である。また、海外においても、各国の道路事情に応じた照明装置の特性が要求されている。このような配光特性を実現し、道路灯およびトンネル灯に要求される規定値のうち、より高い基準をクリアするためには、照明装置の配光を精密に制御する必要がある。
【0004】
照明装置の配光特性を制御するための技術として、特許文献1に記載の方法がある。特許文献1に記載された照明装置は、扁平面および回転楕円体からなる光学レンズを備えており、1つの光源と光学レンズとの組み合わせによって広角配光を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−177028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された照明装置を道路照明に用いた場合、道路以外の場所を照明する不要光が生じてしまったり、照明分布が不均一であったりする等、配光の制御は十分ではない。その結果、照明装置の取り付け角度ならびに設置位置が大きく制限されてしまう。
【0007】
特に、交差点用の道路照明では、交差点内の照射と共に、車線軸方向にも照射することが要求される。しかし、配光制御が不十分であると、この要求を満足することができない。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、交差点用の道路照明に用いた場合であっても簡単に配光特性を制御することができる照明デバイスおよび照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る照明デバイスは、上記の課題を解決するために、光源と、上記光源の光が入射する光入射面と、上記光入射面から入射した光を出射する光出射面とを有する光学素子とを備え、上記光学素子は、上記光源から光軸に対して所定方向側へ出射された光を、上記光軸に対して上記所定方向側に位置する集光領域に向けて集光して出射する一方、上記光源から上記光軸に対して上記所定方向側とは逆方向側に出射された光を、上記光軸および上記所定方向の双方に垂直な拡散領域に向けて拡散して出射するようになっていることを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、光学素子によって、光源からの出射光のうち、光軸に対して所定方向側に出射された光が集光領域に向けて集光される一方、所定方向側とは逆方向側に出射された光が、拡散領域に向けて拡散される。「集光領域」は、光軸に対して上記所定方向側に位置する領域である。一方、「拡散領域」は、上記光軸および上記所定方向の双方に垂直な領域である。つまり、照明デバイスにおける上記所定方向側へは集光性を高めた照射が可能となり、照明デバイスにおける上記所定方向側とは逆方向側へは拡散性を高めた照射が可能となる。従って、交差点用の道路照明に用いた場合であっても簡単に配光特性を制御することができる。
【0011】
特に、照明デバイスを交差点用の道路照明(照明装置)に適用する場合は、照明デバイスの集光領域が照明装置の前方の交差点内となり、上記拡散領域が道路の進行方向(車線軸方向)となるように設定する。これにより、照明装置から前方に離れた交差点内に集光させると共に、照明装置の直下または後方の光を車線軸方向に拡散させることができる。すなわち、照明装置からの距離が遠く、暗くなりやすい交差点内(特に交差点中央部)の光の強度が相対的に大きくなる一方、照明装置との距離が短い照明装置直下の光の強度が相対的に小さくなる。従って、交差点内への照射と共に、車線軸方向への照射が必要となる、交差点の道路照明の配光特性を実現することができる。つまり、簡易に交差点を含む道路面内を均一に照射することができる。なお、交差点とは、十字路、T字路、Y字路など、複数の車道(道路)が交わる部分を示す。
【0012】
本発明に係る照明デバイスでは、上記光学素子の光出射面に、上記光源から上記光軸に対して上記所定方向側とは逆方向側に出射された光を、上記拡散領域に向けて拡散する突起部が形成されていることが好ましい。
【0013】
上記の構成によれば、突起部に入射した光が、光軸および上記所定方向の双方に垂直な拡散領域に向けて拡散して出射される。従って、照明デバイスにおける上記所定方向側とは逆方向側への拡散性を、より高めた照射が可能となる。それゆえ、照明デバイスを交差点用の道路照明(照明装置)に適用する場合には、車線軸方向へ確実に拡散させることができる。
【0014】
本発明に係る照明デバイスでは、上記光学素子は、上記所定方向側とは逆方向側の端部に、上記光源から上記光軸に対して上記所定方向側とは逆方向側に出射された光を、上記光源の直下方向に屈折させる屈折面を有することが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、屈折面に入射した光を、光源の直下方向(照明デバイスの直下方向)に屈折させて出射させることができる。
【0016】
特に、交差点用の道路照明(照明装置)では、交差点内(照明装置の前方)、車線軸方向、および照明装置の直下に光を照射する必要があるものの、照明装置の後方(歩道側)には光を照射する必要がない。従って、上記照明デバイスを交差点用の道路照明(照明装置)に適用する場合には、そのような照射する必要のない光を、照明装置の直下に照射することができる。
【0017】
本発明に係る照明デバイスでは、上記光学素子は、上記光出射面の周囲の少なくとも一部に上記光源側に窪んだ段差部を有することが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、光学素子に段差部が形成されているため、段差部が形成された領域は、局所的に光学素子の厚さが薄くなる。これにより、段差部が形成されていない場合に光学素子内部を導光する光を、取り出すことができる。従って、光源から出射された光の取り出し効率を高めることができる。
【0019】
本発明に係る照明装置は、上記の課題を解決するために、前記いずれかの照明デバイスを備えていることを特徴としている。従って、交差点用の道路照明に用いた場合であっても簡単に配光特性を制御することができる照明装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の照明デバイスおよび照明装置によれば、交差点用の道路照明に用いた場合であっても簡単に配光特性を制御することができる照明デバイスおよび照明装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の一形態に係る照明デバイスの外観を示す図であり、(a)および(b)は出射面側の斜視図であり、(c)は裏面側の斜視図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係る照明デバイスの出射面側の正面図である。
【図3】図2の照明デバイスにおけるA−A断面図である。
【図4】本発明の実施の一形態に係る照明デバイスの側面図である。
【図5】図2の照明デバイスにおけるB−B断面図である。
【図6】図2の照明デバイスにおけるC−C断面図である。
【図7】図2の照明デバイスにおけるD−D断面図である。
【図8】図2の照明デバイスにおけるE−E断面図である。
【図9】図8の断面図において、照明デバイスに溝が形成されていない場合を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の一形態に係る照明デバイスを備えた照明装置の概略構成を示す斜視図である。
【図11】図10の照明装置の分解斜視図である。
【図12】交差点における照明装置の照射領域を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を以下の実施の形態により詳細に説明する。なお、以下の説明においては、同一の機能および作用を示す部材については、同一の符号を付し、説明を省略する。また、以下の説明では、光学素子の切断面における長手方向を長軸とし、それに直交する方向を短軸とする。また、以下の説明では、説明の便宜上、図中に示すx軸、y軸、およびz軸を用いて各方向および各面を説明する。+x軸方向とは、図中に示すx軸の矢印方向であり、−x軸方向とは、図中に示すx軸の矢印方向とは反対の方向であり、いずれも光学素子の長軸方向である。一方、+y軸方向とは、図中に示すy軸の矢印方向であり、−y軸方向とは、図中に示すy軸の矢印方向とは反対の方向であり、いずれも光学素子の短軸方向である。また、+z軸方向とは、図中に示すz軸の矢印方向であり、−z軸方向とは、図中に示すz軸の矢印方向とは反対の方向であり、いずれも照明デバイスの光軸方向である。ここで言う光軸とは、光源から出射される光の立体的な出射光束の中心軸である。
【0023】
そして、x−z平面とは、x軸およびz軸を含む平面であり、長軸を含み、なおかつ、短軸に垂直な平面である。一方、y−z平面とは、y軸およびz軸を含む平面であり、短軸を含み、なおかつ、長軸に垂直な平面である。また、x−y平面とは、x軸およびy軸を含む平面であり、長軸および短軸を含む平面である。
【0024】
(照明デバイスの構成)
本実施の形態に係る照明デバイスの構成について、図1,図2,図12を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る照明デバイス30の外観を示す図であり、(a)および(b)は出射面側の斜視図であり、(c)は裏面側の斜視図である。図2は、本実施の形態に係る照明デバイス30の出射面側の正面図である。図12は、交差点における照明装置の照射領域を示す概略図である。
【0025】
図1の(a)(b)および図2に示すように、照明デバイス30は、光学素子1および光源2を備えている。本実施形態の照明デバイス30は、一例として、交差点用の道路灯としての適用が想定されている。具体的には、図12に示すように、照明デバイス30を道路灯(照明装置40)として適用する場合、交差点の対角に配置された道路灯は、図中破線で示す照射領域のように、道路灯の前方の交差点内(特に照明装置40から最も離れた交差点中央部)および車線軸方向に照射する必要がある。従って、照明デバイス30を道路灯として適用する場合、図2に示すように、光学素子1の+x軸方向が、交差点中央方向(すなわち照明デバイス30の前方)、光学素子1の−x軸方向が歩道方向(すなわち照明デバイス30の後方)、光学素子1の斜め後方が、車線軸方向となる。
【0026】
光学素子1は、光軸に対して照明デバイス30の+x軸方向である前方側(所定方向側)に位置する集光領域に向けて、+x軸方向に集光性を高めて出射する一方、照明デバイス30の−x軸方向である後方(所定方向とは逆方向)には±y軸方向の拡散領域に向けて拡散性を高めて出射させる部材である。具体的には、光学素子1は、レンズ部11と、平坦部12とから構成されている。
【0027】
レンズ部11は、光源2の光が入射されるとともに、入射された光を出射する。照明デバイス30では、レンズ部11は、回転楕円体をその長軸(±x軸方向)に平行な面で切断して得られる凸形状(楕円半球体)であり、さらにその凸形状における長軸方向の一方の端部(図1では−x軸側(後方側)の端部)が、光軸方向(短軸方向)に切断された形状である。すなわち、レンズ部11は、曲面11aと、平坦な端面11bとからなる凸形状となっている。
【0028】
さらに、照明デバイス30では、曲面11a上に、三角錐状の突起部11cが形成されている。具体的には、突起部11cは、端面11bの頂部から長軸方向(+x軸方向)に沿って形成されている。つまり、突起部11cの光軸方向における断面の面積は、端面11bから離れるにしたがい、狭くなっている。
【0029】
このように、レンズ部11の光出射面側は、曲面11a、端面11b、および突起部11cから形成されている。そして、レンズ部11の表面、つまり曲面11a、端面11b、および突起部11cの表面が、光学素子1における光出射面(後述する光出射面3b)となる。
【0030】
一方、図1の(c)に示すように、レンズ部11の裏面には、光出射面側に凹んだ凹部11dが形成されており、この凹部11d内に光源2が配置されている。そして、凹部11dの表面が、光学素子1における光入射面(後述する光入射面3a)となる。
【0031】
一方、平坦部12は、レンズ部11から連続して形成された板状の平面部である。平坦部12は、光学素子1の強度を保つ部分である。平坦部12には、堀状の溝部12aが形成されている。溝部12aは、平坦部12が光源2側に窪んだ段差部である。照明デバイス30では、溝部12aは、レンズ部11の端面11bの周囲に形成されている。このため、溝部12aが形成された領域は、光学素子1の厚さ(平坦部12の厚さ)が、他の領域よりも薄くなっている。
【0032】
なお、光学素子1は、例えばアクリル樹脂の他、ポリスチレン樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、またはガラス等を用いることが好ましい。しかし、特に限定はなく、可視光域において透明性がよく、透過率が大きい材料であれば好適である。また、レンズ部11と平坦部12とは、同一部材から形成されていてもよいし、別部材から形成されていてもよい。レンズ部11と平坦部12とが同一部材から形成されていれば、射出成形等による方法で、光学素子1を一挙に大量生産することが可能である。
【0033】
一方、光源2は、LEDを用いることができる他、蛍光体、エレクトロルミネッセンス素子、半導体レーザー等の光源も適用可能であるが、特に限定はない。また、光源の色は任意に設定すればよい。ただし、光源2がLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)の場合、長寿命、低消費電力といった利点を有する。
【0034】
(光学素子1の断面形状および光路)
次に、図3〜図8に基づいて光学素子1の形状および光源2から光学素子1に入射される光の出射について詳細に説明する。図3は、図2の照明デバイス30におけるA−A断面図である。図4は、本実施形態に係る照明デバイス30の側面図である。図5は、図2の照明デバイス30におけるB−B断面図である。図6は、図2の照明デバイス30におけるC−C断面図である。図7は、図2の照明デバイスにおけるD−D断面図である。図8は、図2の照明デバイス30におけるE−E断面図である。
【0035】
図3に示すように、光学素子1は、光入射面3aおよび光出射面3bを有している。光入射面3aは、光源2から出射された光が入射する面を言う。光出射面3bは、光入射面3aから入射した光を出射する面を言う。光入射面3aは、光学素子1の裏面(光源2側)に形成された凹部11dの表面である。光出射面3bは、曲面11a、端面11b、および突起部11cの各表面である。
【0036】
図12に示すように、道路灯より後方は、車線軸を除いて、光を照射する必要がない。また、図12に示すように交差点内(交差点と車線軸との境目:図中破線部分)は、道路灯からの距離が遠くなっているため、暗くなりやすい。特に、交差点中央部は、道路灯からの距離が最も遠くなっているため暗くなりやすい。このため、交差点内には、集中的に光を照射し、光の強度を大きくすることが好ましい。また、道路灯の直下は、道路灯との距離が近いため、明るくなりやすい。このため、この部分は、車線軸方向に光を拡散させ、光の強度を小さくすることが好ましい。さらに、道路灯の後方は、光を照射する必要がないため、その光は車線軸方向など、光を照射する必要のある領域に照射することが好ましい。
【0037】
そこで、図3に示すように、光学素子1の曲面11aは、交差点中央方向(光源2の前方)については、光軸に対して前方(+x方向)側である所定方向側に位置する集光領域に向けて集光されるような集光レンズ(凸レンズ)を構成している。具体的には、光源2の前方については、光入射面3aを形成する凹部11dは、光軸から離れるにつれて、光源2から光入射面3aまでの距離が小さくなるように形成されている。また、光学素子1の光軸方向の厚さは、光軸から離れるにつれて厚くなっている。
【0038】
これにより、光路A1〜A4に示すように、光源2の前方(交差点内)に入射した光は、光軸に対して所定方向側に位置する集光領域に集光するように出射される。特に、光路A1,A2を経由した出射光は、道路灯から距離が離れた位置に集中的に集光させている。このため、暗くなりやすい交差点内(特に交差点中央部)の光の強度を相対的に大きくすることができる。
【0039】
さらに、照明デバイス30では、光学素子1の内側の凹部11d(光入射面3aなど)が、光源2の光軸に対して、光源2の後方(端面11b)側にオフセットされている。これにより、光軸が、光源2の後方(端面11b側)にオフセットされている。すなわち、図3に示すように、光源2の発光面の直上は、曲面11aの中心から、後方(端面11b側)にずれている。このように、光軸を端面11b側にオフセットすることによって、光路A3,A4に示すように、集光領域への配光を大きくすることができる。
【0040】
なお、本願明細書において「集光領域へ集光する」とは、特定の焦点を結ばずとも、入射の配光に対して狭い配光で集光領域に出射することを意図しており、集光領域に軸上の一点で焦点を結ぶような状態を意図するものではない。
【0041】
一方、光源2の直下および後方については、車線軸方向に拡散して出射されるような拡散レンズを構成している。具体的には、図3に示す断面においては、光源2の直下および後方については、光入射面3aを形成する凹部11dは、光出射面3bまでの距離がほぼ同一である。また、光学素子1の光軸方向の厚さもほぼ同一である。
【0042】
これにより、光路A5,A6に示すように、光源2の直下および後方(交差点中央方向とは逆方向)に入射した光は、やや後方に拡散して出射される。このため、明るくなりやすい道路灯の直下の光の強度を相対的に小さくすることができる。
【0043】
また、光学素子1の後方の端部、つまり光源2の真後ろには、端面11bが形成されている。この端面11bは、光軸方向(光源の出射面に対して垂直な方向)に対して、光源2の前方側へ傾斜した傾斜面である。そして、この端面11bは、光源2の後方に出射した光を、光源2の直下方向に屈折させる屈折面となっている。
【0044】
これにより、光路A7に示すように、光源2の後方から端面11bに入射した光は、光源2側、より詳細には光源2の直下方向に屈折されて出射される。このため、車線軸を除く道路灯の後方は光を照射する必要がないため、その光は車線軸方向など、光を照射する必要のある領域に照射することができる。すなわち、道路灯の真後ろ(歩道側)は通常、光を照射する必要がないので、不要な光をやや光源2側(前方)へ屈折して出射させることができる。
【0045】
次に、図4のB−B〜E−Eに示す照明デバイス30の断面図によって、光学素子1の形状および光路をさらに詳細に説明する。
【0046】
図5のB−B断面方向は、光源2の前方に相当するため、光を集光する必要がある。つまり、図5の構成では、光学素子1は光源2の前方への集光性を高める必要がある。一方、図6のC−C断面方向は、光源2の直下(道路灯の直下)に相当するため、光を車線軸方向(より具体的には、交差点中央方向および車道に対して垂直方向)に拡散させる必要がある。これは、C−C断面方向には、車線を横断した向かい側および車線と交差点との境目が位置するため、より遠くに配光(拡散)する必要があるためである。
【0047】
このため、図5および図6を比較すると、凹部11dの深さ(光入射面3aまでの距離)は、光源2から交差点中央方向(前方)に離れた図5の構成よりも、光源2に近い図6の構成の方が深く(長く)なっている。つまり、光学素子1の厚さは、図5の構成では、光軸方向が厚く、その両側に向かって薄くなっている。一方、図6の構成では、光学素子1の厚さは、光軸方向が薄く、その両側に向かって厚くなっている。これにより、図5に示すように、光源2の前方に出射される光は、光路B1,B2,B3に示すように、比較的集光して出射される。これに対し、図6に示すように、光路C1に示すように光軸方向の光は直進して出射されるのに対し、光路C2,C3に示すように光軸方向の両側の光は、比較的光軸から離れるように拡散して出射される。すなわち、光軸に対して後方側に出射された光の一部は、光路C2,C3に示すように、光軸および図3における所定方向の双方に垂直な拡散領域に向けて拡散して出射される。従って、車線軸方向に光が拡散されて出射される。
【0048】
一方、図7に示すように、本実施形態では、光学素子1には、突起部11cが形成されている。突起部11cは、上述のように、端面11bの頂部(先端)から、光源2の前方に沿って形成された三角錐状の部材である。これにより、突起部11cの第1の側面11c’から入射した光は、光路D1に示すように、突起部11cの第2の側面11c’’へ反射され、第2の側面11c’’を透過して出射される。同様に、突起部11cの第2の側面11c’’から入射した光は、光路D2に示すように、突起部11cの第1の側面11c’へ反射され、第1の側面11c’を透過して出射される。しかも、第1の側面11c’および第2の側面11c’’から出射された光は、光軸から離れるように拡散するように屈折されて出射される。従って、車線軸方向に光が拡散されて出射される。
【0049】
一方、図8および図9は、光学素子1(平坦部12)に形成された溝部12aの有無による光路の違いを比較する図である。図8に示すように、光学素子1は、光源2の後方から入射した光を車線軸方向に拡散させるため拡散レンズとなっている。すなわち、光軸方向の凹部11dの深さ(光入射面3aまでの距離)が深く(長く)、光学素子1の厚さが薄くなっている。そして、光軸から離れるにつれて、光学素子1が厚くなっている。このため、光路E1,E2に示すように、光軸方向に対し両側の光は、車線軸方向に拡散される。
【0050】
ここで、図9に示すように、光学素子1に溝部12aが形成されていない場合、拡散レンズの効果によって拡散された光は、光路E3,E4に示すように、平坦部12を透過せず全反射される。その結果、光学素子1(平坦部12)内を導光し、光出射面3b側へ光を取り出すことができない。
【0051】
これに対し、図8に示すように、光学素子1に溝部12aが形成されている場合、拡散レンズの効果によって拡散された光は、光路E1,E2に示すように、平坦部12には入射されず、光学素子1の光出射面3bから出射される。その結果、溝部12aを形成しない場合に取り出すことのできなかった光を取り出すことができる。従って、光の利用効率を高めることができる。
【0052】
なお、溝部12aは、光源2の後方(端面11bの周囲)に形成されている。しかし、溝部12aは、光出射面3bの周囲の少なくとも一部に形成されていればよい。ただし、特に、交差点用の道路灯は、光源2の後方の光を車線軸方向に拡散させている。このため、溝部12aは、光源2の後方を含むように形成されていることが好ましい。これにより、溝部12aを形成しない場合に取り出すことのできなかった光を取り出すことができる。従って、光の利用効率を高めることができる。
【0053】
さらに、端面11bの周囲にのみ溝部12aを形成すれば、平坦部12の局所的に溝部12aが形成されることになる。これにより、光学素子1の強度を維持しつつ、光取り出し効率を高めることができる。なお、光源2の高さを変えることによっても、光取り出し効率を高めることも可能である。しかし、光学系全体の厚さ(光学素子1+光源2の厚さ)が増えてしまう。
【0054】
なお、以上では、光学素子1の具体的な形状を示したが、これはあくまでも一例であり、必ずしもこれに限定されるわけではなく、光学素子1は種々の形状を有していてもよい。つまり、目的とする配光特性を実現するように光学素子1の形状を任意に設定すればよい。すなわち、光学素子1は、光源2から光軸に対して所定方向側に出射された光を上記所定方向側に位置する集光領域に向けて集光して出射する一方、光源2から上記光軸に対して上記所定方向側とは逆方向側に出射された光を、上記光軸および上記所定方向の双方に垂直な拡散領域に向けて拡散して出射するようになっていればよい。
【0055】
以上のように、本実施形態の照明デバイス30によれば、光学素子1によって、光源2からの出射光のうち、光軸に対して所定方向側(光源2の前方)に出射された光が集光領域に向けて集光される一方、所定方向側とは逆方向側(光源2の後方)に出射された光が拡散領域(短軸方向)に向けて拡散される。つまり、照明デバイス30における上記所定方向側へは集光性を高めた照射が可能となり、照明デバイス30における上記所定方向側とは逆方向側へは拡散性を高めた照射が可能となる。従って、簡単に配光特性を制御することができる。
【0056】
特に、照明デバイス30を交差点用の道路照明(道路灯,照明装置40)に適用する場合は、照明デバイス30の集光領域が照明装置40の前方の交差点内となり、上記拡散領域が道路の進行方向(車線軸方向)となるように設定する。これにより、照明装置40から前方に離れた交差点内に集光させると共に、照明装置40の直下または後方の光を車線軸方向に拡散させることができる。すなわち、照明装置40からの距離が遠く、暗くなりやすい交差点内(特に交差点中央部)の光の強度が相対的に大きくなる一方、照明装置との距離が短い照明装置直下の光の強度が相対的に小さくなる。従って、交差点内への照射と共に、車線軸方向への照射が必要となる、交差点の道路照明の配光特性を実現することができる。つまり、簡易に交差点を含む道路面内を均一に照射することができる。
【0057】
また、本実施形態の照明デバイス30では、光学素子1の光出射面3bに、光源2から上記光軸に対して上記所定方向側とは逆方向(光源2の後方)側に出射された光を、上記拡散領域に屈折させる突起部11cが形成されている。このため、突起部11cに入射した光が、光軸および上記所定方向の双方に垂直な拡散領域(短軸方向)に向けて拡散して出射される。従って、照明デバイス30における上記所定方向側とは逆方向側への拡散性を、より高めた照射が可能となる。それゆえ、照明デバイス30を交差点用の道路照明(照明装置)に適用する場合には、車線軸方向へ確実に拡散させることができる。
【0058】
さらに、本実施形態の照明デバイス30では、光学素子1は、上記所定方向側とは逆方向側の端部(光源2の後方側の端部)に、光源2から上記光軸に対して上記所定方向側とは逆方向側に出射された光を、光源2の直下方向に屈折させる屈折面となる端面11bを有している。このため、端面11bに入射した光を、光源2の直下方向(照明デバイス30の直下方向)に屈折させて出射させることができる。
【0059】
特に、交差点用の道路照明(照明装置)では、交差点内(照明装置の前方)、車線軸方向、および照明装置の直下に光を照射する必要があるものの、照明装置の後方(歩道側)には光を照射する必要がない。従って、上記照明デバイス30を交差点用の道路照明(照明装置)に適用する場合には、そのような照射する必要のない光を、照明装置の直下に照射することができる。
【0060】
また、本実施形態の照明デバイス30では、光学素子1は、光出射面3bの周囲(具体的には、端面11bの周囲)に光源2側に窪んだ溝部12aを有している。すなわち、光学素子1に段差部が形成されている。このため、溝部12aが形成された領域は、局所的に光学素子1の厚さが薄くなる。これにより、溝部12aが形成されていない場合に光学素子1内部(平坦部12内部)を導光する光を、取り出すことができる。従って、光源2から出射された光の取り出し効率を高めることができる。すなわち、配光が広い成分においても光を取り出すことが可能となる。また、光学素子1の強度を維持できる程度に溝部12aを形成すれば、反りの少ない光学素子1を実現することができる。
【0061】
このように、本実施の形態に係る照明デバイス30によれば、1つの光学素子1のみによって、例えば、光源2の前方および後方の配光特性を制御し、その配光特性を最適化することができる。また、光源2の取り付けが容易であり、道路灯に必要な配光を満足するための配光制御が容易である。このため、照明デバイス30の設置位置が制約されにくい。また、本実施の形態に係る照明デバイス30を備えた照明装置を用いれば、リフレクタ等を使用せずとも、道路照明に用いる照明装置として適した配光分布および照度を有する照明装置を実現することができる。
【0062】
また、光源2が複数になって光源面積が大きくなった場合においても、本実施の形態に係る照明デバイス30はコンパクトであるため、照明デバイス30を搭載した照明装置においては、装置の大型化を招くことなく、優れた配光特性を実現することが可能となる。
【0063】
(照明装置への適用例)
以下には、本実施の形態に係る照明デバイス30を照明装置に適用する場合の一具体例を示す。図10は、本実施形態に係る照明デバイス30を備えた照明装置40の概略構成を示す斜視図である。図11は、図10の照明装置40の分解斜視図である。
【0064】
図10および図11に示すように、照明装置40は、シャーシ41内に、光源ユニット42およびレンズユニット43が格納され、シャーシ41がカバー44によって閉じられている。シャーシ41は、アルミニウム等の金属からなる筺体である。光源ユニット42は、光源基板42a上に、複数の光源2がマトリクス状に配置された構成である。レンズユニット43は、各光源2に対して設けられた複数の光学素子1が一体的に形成された構成である。なお、シャーシ41内には、図示しない電源装置等も格納されている。
【0065】
このような照明装置40は、上述のような交差点用の道路灯として利用することが好ましい。これにより、交差点内の照射と共に、車線軸方向にも照射することができるため、道路灯に要求される配光特性を実現することができる。
【0066】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0067】
例えば、以上では各実施の形態に係る照明デバイスを備えた照明装置を道路灯あるいはトンネル灯に適用する例を挙げているが、必ずしもこれに限定されるわけではない。各実施の形態に係る照明デバイスおよび該照明デバイスを備える照明装置は、防犯灯、街路灯、公園灯、および看板照明等の屋外照明、あるいはその他の照明に幅広く用いることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 光学素子
2 光源
3a 光入射面
3b 光出射面
11a 曲面
11b 端面
11c 突起部
12 平坦部
12a 溝部(段差部)
30 照明デバイス
40 照明装置
42 光源ユニット
43 レンズユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
上記光源の光が入射する光入射面と、上記光入射面から入射した光を出射する光出射面とを有する光学素子とを備え、
上記光学素子は、
上記光源から光軸に対して所定方向側に出射された光を、上記光軸に対して上記所定方向側に位置する集光領域に向けて集光して出射する一方、
上記光源から上記光軸に対して上記所定方向側とは逆方向側に出射された光を、上記光軸および上記所定方向の双方に垂直な拡散領域に向けて拡散して出射するようになっていることを特徴とする照明デバイス。
【請求項2】
上記光学素子の光出射面に、上記光源から上記光軸に対して上記所定方向側とは逆方向側に出射された光を、上記拡散領域に向けて拡散する突起部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の照明デバイス。
【請求項3】
上記光学素子は、上記所定方向側とは逆方向側の端部に、上記光源から上記光軸に対して上記所定方向側とは逆方向側に出射された光を、上記光源の直下方向に屈折させる屈折面を有することを特徴とする請求項1または2に記載の照明デバイス。
【請求項4】
上記光学素子は、上記光出射面の周囲の少なくとも一部に上記光源側に窪んだ段差部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明デバイス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の照明デバイスを備えた照明装置。
【請求項1】
光源と、
上記光源の光が入射する光入射面と、上記光入射面から入射した光を出射する光出射面とを有する光学素子とを備え、
上記光学素子は、
上記光源から光軸に対して所定方向側に出射された光を、上記光軸に対して上記所定方向側に位置する集光領域に向けて集光して出射する一方、
上記光源から上記光軸に対して上記所定方向側とは逆方向側に出射された光を、上記光軸および上記所定方向の双方に垂直な拡散領域に向けて拡散して出射するようになっていることを特徴とする照明デバイス。
【請求項2】
上記光学素子の光出射面に、上記光源から上記光軸に対して上記所定方向側とは逆方向側に出射された光を、上記拡散領域に向けて拡散する突起部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の照明デバイス。
【請求項3】
上記光学素子は、上記所定方向側とは逆方向側の端部に、上記光源から上記光軸に対して上記所定方向側とは逆方向側に出射された光を、上記光源の直下方向に屈折させる屈折面を有することを特徴とする請求項1または2に記載の照明デバイス。
【請求項4】
上記光学素子は、上記光出射面の周囲の少なくとも一部に上記光源側に窪んだ段差部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明デバイス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の照明デバイスを備えた照明装置。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1】
【公開番号】特開2013−93202(P2013−93202A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234337(P2011−234337)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]