説明

照明器具

【課題】照明利用効率を高めることができる照明器具を提供すること。
【解決手段】回転放物面を有する反射鏡4に設けた円形の挿入開口14から放電ランプ2を挿入し、当該反射鏡4の焦点位置Fに放電ランプ2の発光管10を配置し、前記放電ランプ2の放射光を前記反射鏡4で反射させ略平行光化して照射する照明器具1において、前記反射鏡4の光軸K上に、前記放電ランプ2の放射光のうち前記反射鏡4に入射せずに進行する直射光Ldが通過する範囲の断面径と前記挿入開口14の直径Qとが等しくなる位置に、レンズ径Pが当該挿入開口14の径と同一、或いは、若干小さく、入射した直射光を略平行光化して出射する平凸レンズ20を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば看板や垂れ幕等の投光照明に用いて好適な照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源の光を反射鏡で反射して遠方の所定エリアを照明する照明器具が知られている。また、この種の照明器具では、光源の直射光や反射光をレンズ等で集光しつつ、所定エリアの外に向かう漏れ光をマスクやフードなどでカットすることで、照明範囲を所定エリアに限定したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−111032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、漏れ光には、反射光のみならず光源の直接光の成分も多分に含まれることから、漏れ光をカットすると、器具効率の低下や照明利用効率の低下を招く、という問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、照明利用効率を高めることができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、回転放物面を有する反射鏡に設けた円形の挿入開口からランプを挿入し、当該反射鏡の焦点位置にランプの発光部を配置し、前記ランプの放射光を前記反射鏡で反射させ略平行光化して照射する照明器具において、前記反射鏡の光軸上に、前記ランプの放射光のうち前記反射鏡に入射せずに進行する直射光が通過する範囲の断面径と前記挿入開口の径とが等しくなる位置に、レンズ径が当該挿入開口の径と同一、或いは、若干小さく、入射した直射光を略平行光化して出射する光学レンズを配置したことを特徴とする。
【0006】
また本発明は、上記照明器具において、前記光学レンズと前記反射鏡の照射開口との間に、前記光学レンズのレンズ径と略同じ径の遮光筒を前記光軸と同軸に設けたことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記照明器具において、前記遮光筒の端部に挿入された光学レンズの光入射側の面を押さえるリング状の押さえ部を備え、該押さえ部を、前記光軸に沿って延び前記遮光筒の外周面に掛止する掛止片で保持したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、反射鏡の光軸上に、入射した直射光を略平行光化して出射する光学レンズを配置する構成とした。この構成により、光学レンズによって放射光の直射光が略平行光化されるため、照明器具の出射光が略平行光となり照明利用効率の良い照明器具が実現できる。特に、直射光が通過する範囲の断面径とランプの挿入開口の径とが等しくなる位置に光学レンズを配置し、この光学レンズのレンズ径を当該挿入開口の径と同一、或いは、若干小さくしたため、反射鏡による反射光の光学レンズへの入射を防止して非平行な光の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る照明装置の斜視図である。
【図2】照明装置の側面図である。
【図3】照明器具の反射鏡内の構成を示す図である。
【図4】遮光筒への平凸レンズの固定構造を示す分解斜視図である。
【図5】平凸レンズの固定構造の一部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係る照明器具1の外観構成を示す斜視図であり、図2は照明器具1の側面を示す一部透視側面図である。
照明器具1は、ライトアップ照明や、看板又はサイン広告の投光照明に用いて好適な器具であり、これらの図に示すように、照明器具1は、光源たる放電ランプ2と、この放電ランプ2や安定器(図示せず)等を収容する略筒状の光源筒3と、この光源筒3の開口端3Aに基部が結合された反射鏡4とを備えている。
反射鏡4は、その反射面4Aが回転放物面として構成されている。反射鏡4の先端の照射開口5には、透明な前面ガラス6が固定されている。また、この光源筒3には、反射鏡4と光源筒3の重量の中心位置近くに取付角度調整機構を備えたアーム取付片8が一体に形成され、このアーム取付片8にアーム9がボルト9Aにより回動自在に締結されている。
【0011】
放電ランプ2には、HIDランプやメタルハライドランプ等のランプが好適に用いられる。この放電ランプ2は、図2に示すように、発光部としての発光管10と、当該発光管10を収容する円筒状の外管11とを有して構成されている。
また放電ランプ2は、図3に示すように、反射鏡4の光軸Kと同軸であり発光管10が反射鏡4の焦点位置Fに位置するように配置される。これにより、発光管10の放射光のうち反射鏡4の反射面4Aで反射する反射光Lrは、全て略平行光化されることとなる。
【0012】
ここで、放電ランプ2の放射光は、上記反射光Lrと、反射鏡4に入射せずに照射開口5から出射される直射光Ldとの2つに分類される。この直射光Ldは、配光制御されずに照射開口5から出射されるため、何ら対策を施さなければ、図3中に仮想線で示すように、直進方向によっては照射開口5から広がりを持って出射される。このため、照明器具1の照射開口5と同程度の照明エリアを照明する際には、該照明エリアの外に向かう光成分の分だけ照明エリアでの照度が低くなり、また、照明エリアの外に対する光は、いわゆる漏れ光となって光害を招くことがある。そこで、出力がワンランク高い放電ランプ2を光源に設けることで照明エリアの照度不足を補い、また、照射開口5にルーバーを設ける構成とすれば、当該照射開口5から光軸Kとは非平行に出射される光を遮蔽し漏れ光を防止することができる。しかしながら、この構成においては、ランニングコストが増加し、また、照射開口5にルーパーを設けると装置が大型化し重量が増す、という問題がある。さらに、ルーバーで遮蔽される光の分だけ放電ランプ2の出力が無駄になり、また、軸光度も低下するという問題もある。
【0013】
そこで、本実施形態の照明器具1においては、次のようにして放射光の直射光Ldを略平行光化して出射することで、照射開口5から光軸Kとは略平行に出射されない成分を減らして照明利用効率を高めることとしている。
詳細には、図2及び図3に示すように、照明器具1の反射鏡4の中に、直射光Ldを略平行光化して照射開口5から出射する光学レンズとしての平凸レンズ20を配置する構成としている。係る構成により、放射光の直射光Ldも反射光Lrと同様に略平行光化されるため、照明利用効率の良い照明器具1が得られることとなる。
【0014】
直射光Ldの略平行光化について更に詳述する。
上記平凸レンズ20を、放電ランプ2から放射された全ての直射光Ldが通過するように反射鏡4の中に配置することで、照明器具1の出射光が全て略平行光化される。このとき、反射鏡4の中で直射光Ldが通過する直射光通過範囲Gは、発光管10(焦点位置F)と照射開口5とを結ぶ直線Dで囲まれる、焦点位置Fを頂点とした光軸Kと同軸の円錐状の範囲となる。すなわち、光軸Kに沿って、焦点位置Fから所定距離Mだけ離れた位置に、その位置における直射光通過範囲Gの断面径と同じ大きさのレンズ径Pであって、焦点距離が所定距離Mと等しい平凸レンズ20を配置することで、全ての直射光Ldを略平行光化される。
【0015】
この所定距離Mは、直射光Ldを略平行光化するという目的だけであれば、発光管10から照射開口5に至るまでの間であれば任意に設定できる。しかしながら、所定距離Mが大きくなるほど平凸レンズ20が要するレンズ径が大きくなるため、器具のコストが増大する。これに加え、反射鏡4で反射した反射光Lrの一部が平凸レンズ20に入射すると、進行方向を光軸Kと非平行な方向に向けられ、非平行な成分が生じてしまう。
【0016】
そこで本実施形態では、反射光Lrが入射しない位置に平凸レンズ20を配置している。具体的には、反射鏡4の底部4Bには、放電ランプ2を挿入し発光管10を反射鏡4の焦点位置Fに位置させるための直径Qの円形の挿入開口14が光軸Kと同心に設けられている。この挿入開口14では反射が生じないため、平凸レンズ20に要求されるレンズ径Pが挿入開口14の直径Qと等しくなる位置に当該平凸レンズ20を配置すれば、反射光Lrが平凸レンズ20に入射されることはなく、直射光Ldだけを通すことができ、また、平凸レンズ20の大きさを必要最小限とすることができる。
このとき、挿入開口14の開口縁で乱反射した成分の入射の影響を小さくするため、平凸レンズ20のレンズ径Pを挿入開口14の直径Qよりも幅2δだけ若干小さくされている。
【0017】
また、発光管10が点光源ではなく所定の大きさを有するため、平凸レンズ20の焦点位置を発光管10に合わせたとしても、当該平凸レンズ20を透過した光の一部に光軸Kと非平行な成分が含まれる。そこで、本実施形態では、平凸レンズ20を透過した光のうち光軸Kと非平行な成分を遮光する遮光筒30を反射鏡4の中に設けている。この遮光筒30は、平凸レンズ20と略同一径の筒状に構成され当該平凸レンズ20と同軸に配置されており、さらに、その内面30Aが光の反射を抑制するように黒色に着色されている。これにより、平凸レンズ20から出射される非平行な成分は、その進行に伴って遮光筒30の内面30Aに入射しカットされることとなる。この遮光筒30は、平凸レンズ20の配置位置から照射開口5まで延在し、反射鏡4の内部で可能な限り、平凸レンズ20から出射された非平行成分を遮光する構成となっている。
【0018】
次いで、遮光筒30及び平凸レンズ20の固定構造について説明する。
遮光筒30は、図1に示すように、照射開口5側の端部が複数の支持フレーム32で照射開口5に支持される。また、この遮光筒30の放電ランプ2側の端部には上記平凸レンズ20が固定されている。平凸レンズ20を遮光筒30に固定する際に、遮光筒30の外側面に突出部位が存在すると、この突出部位が影となって、照明利用効率の低下を招く虞がある。そこで本実施形態では、遮光筒30への平凸レンズ20の固定構造に、次のような構造を採用している。
【0019】
図4は遮光筒30への平凸レンズ20の固定構造を示す分解斜視図であり、図5は固定構造の一部を拡大して示す断面図である。
これらの図に示すように、平凸レンズ20は、リング状の樹脂製のパッキン40に挿入され、このパッキン40とともに遮光筒30に挿入され、その底部(光の入射面)がリング状の押さえ部41Aを有する取付金具41で抜け落ちないように保持される。この取付金具41には、押さえ部41Aから光軸Kに沿って平行に遮光筒30に向かって延びる複数の板状の掛止片42が設けられている。各掛止片42の先端部には内側に向かって折れ曲げられた爪部42Aが形成されており、これら爪部42Aが遮光筒30の外周面に形成された引掛孔31に引っ掛けられることで、取付金具41が遮光筒30に固定される。
係る固定構造によれば、遮光筒30の外側に突出する部位は殆ど無いため、平凸レンズ20の固定する際に影になる部分を非常に小さくできる。
【0020】
このように、本実施形態によれば、反射鏡4の光軸K上に、入射した直射光Ldを略平行光化して出射する平凸レンズ20を配置する構成とした。この構成により、平凸レンズ20によって放射光の直射光Ldが略平行光化されるため、照明器具1の出射光が略全て平行光となり照明利用効率の良い照明器具1が得られる。
特に、放電ランプ2の放射光のうち直射光Ldが通過する範囲の断面径と放電ランプ2の挿入開口14の直径Qとが等しくなる位置に平凸レンズ20を配置し、この平凸レンズ20のレンズ径Pを当該挿入開口14の直径Qと同一、或いは、若干小さくしたため、平凸レンズ20への反射鏡4による反射光Lrの入射を防止し非平行な光の発生を抑制できる。
これにより、照射光が広がることなく照射エリアを照射するため、放電ランプ2にワンランク低い出力のランプを用いても従来と同程度の照度を達成でき、効率が良く、また、漏れ光の影響のない照明器具1が実現できる。
【0021】
また本実施形態によれば、平凸レンズ20と反射鏡4の照射開口5との間に、平凸レンズ20のレンズ径Pと略同じ径の遮光筒30を光軸Kと同軸に設ける構成とした。
この構成により、発光管10が所定の大きさを有することで生じる、平凸レンズ20の透過光の非平行な成分を遮光することができ、漏れ光の発生を抑えることができる。
【0022】
また本実施形態によれば、遮光筒30の端部に挿入された平凸レンズ20の光入射側の面を押さえるリング状の押さえ部41Aを備え、該押さえ部41Aを、光軸Kに沿って延び遮光筒30の外周面に掛止する掛止片42で保持する構成とした。
この構成により、平凸レンズ20を遮光筒30に固定する際に、この遮光筒30から外側に突出する部位が殆ど無いため、平凸レンズ20の固定により影になる部分を非常に小さくできる。
【0023】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能であることは勿論である。
例えば、上述した実施形態において、平凸レンズ20のレンズ径Pを挿入開口14よりもδだけ若干小さくしたが、これに限らず、挿入開口14と同じ径としても良い。
また例えば、上述した実施形態において、放電ランプ2として、外管11が円筒状のものを例示したが、これに限らない。すなわち、反射鏡4の外にあるソケットにランプの口金が装着されるとともに該ランプの発光管10が反射鏡4内の焦点位置Fに配置される型のランプであれば、任意のランプを用いることができる。
【符号の説明】
【0024】
1 照明器具
2 放電ランプ(ランプ)
4 反射鏡
4A 反射面
5 照射開口
10 発光管(発光部)
14 挿入開口
20 平凸レンズ(光学レンズ)
30 遮光筒
41 取付金具
41A 押さえ部
42 掛止片
F 焦点位置
G 直射光通過範囲
K 光軸
Ld 直射光
Lr 反射光
P レンズ径
Q 挿入開口の直径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転放物面を有する反射鏡に設けた円形の挿入開口からランプを挿入し、当該反射鏡の焦点位置にランプの発光部を配置し、前記ランプの放射光を前記反射鏡で反射させ略平行光化して照射する照明器具において、
前記反射鏡の光軸上に、前記ランプの放射光のうち前記反射鏡に入射せずに進行する直射光が通過する範囲の断面径と前記挿入開口の径とが等しくなる位置に、レンズ径が当該挿入開口の径と同一、或いは、若干小さく、入射した直射光を略平行光化して出射する光学レンズを配置したことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記光学レンズと前記反射鏡の照射開口との間に、前記光学レンズのレンズ径と略同じ径の遮光筒を前記光軸と同軸に設けたことを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記遮光筒の端部に挿入された光学レンズの光入射側の面を押さえるリング状の押さえ部を備え、該押さえ部を、前記光軸に沿って延び前記遮光筒の外周面に掛止する掛止片で保持したことを特徴とする請求項1又は2に記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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