説明

照明装置、ランプ、点灯回路装置、照明器具

【課題】ランプが交換された場合に、ランプの累積点灯時間を確実にリセットできる照明装置、ランプ、点灯回路装置、照明器具を提供する。
【解決手段】ランプ1は照度補正部12を備え、照度補正部12は、発光素子11の累積点灯時間を計時する計時部と、累積点灯時間を記憶するメモリ120とを有している。照度補正部12には、発光素子11の光束減退特性に基づいて照度補正特性が設定されている。照度補正特性は、照度補正値としての調光比と累積点灯時間との対応関係を表し、発光素子11の累積点灯時間が増加しても発光素子11の光出力が一定に保たれるように設定される。照度補正部12は、照度補正特性を使用し、発光素子11の累積点灯時間に基づいて発光素子11の調光比を決定し、この調光比を表すPWM信号を点灯回路装置2に出力する。点灯回路装置2は、PWM信号に従ってランプ1の調光比を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、累積点灯時間が増加してもランプの光出力を一定に保つことができる照明装置、ランプ、点灯回路装置、照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、蛍光ランプの経年変化や長期間の使用に伴う汚れによる光出力の低下分を補正するために、蛍光ランプの交換後からの点灯時間を累積的に計時し、累積点灯時間の増加に伴って調光比を増加させるように調光制御する照明装置が提供されている。この種の照明装置は、たとえば定格の70%を調光比の初期値とし、累積点灯時間の増加に伴って調光比を徐々に増加させることにより、経年劣化等による光出力の低下を防止して蛍光ランプの光出力を略一定に保つことができる。
【0003】
また、近年では、蛍光ランプに代えて、発光ダイオード等の発光素子をランプに用いた照明装置が提供されており、この種の照明装置でも、発光素子に使用される蛍光体や樹脂の劣化に伴い光束が減退することがある。この種の照明装置として、累積点灯時間の増加に伴って調光比を増加させることにより、累積点灯時間が増加しても光出力が低下することがないようにした照明装置が提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
さらに、照明装置として、寿命を迎えたランプを新品に交換する際に、ランプの寿命末期やランプが取り外されたことを検出し、自動的に累積点灯時間をリセットして調光比を初期値に戻すように構成された照明装置も提案されている(たとえば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−41650号公報
【特許文献2】特開2001−15276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2に記載の照明装置では、ランプ交換時に調光比を初期値に確実に戻すために、ランプの交換の判別に複雑な制御が必要であり、コストアップの要因となる。また、ランプが蛍光ランプの場合には、寿命末期に所謂エミレス状態となり半波放電状態になるから、ランプの寿命末期を電気的な特性として検出可能である。これに対して、ランプに発光ダイオード等の発光素子を用いた場合、ランプの寿命末期を電気的な特性として検出することは難しく、ランプの交換の有無を判別することはさらに困難である。
【0007】
照明装置は、ランプの交換の有無が判別できなければ、累積点灯時間をリセットできないため、交換後のランプに最適な調光比でランプを点灯させることができず、ランプの光出力を一定に保つことができなくなる。
【0008】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであって、ランプが交換された場合に、ランプの累積点灯時間を確実にリセットできる照明装置、ランプ、点灯回路装置、照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の照明装置は、少なくとも1つの発光素子を有し交換可能なランプと、前記ランプに電力を供給し前記発光素子を点灯させる点灯装置と、前記ランプを調光制御する照度補正部とを備え、前記照度補正部は、前記発光素子の累積点灯時間を計時する計時部と、前記計時部にて計時された前記累積点灯時間を記憶する記憶部とを有し、前記発光素子の前記累積点灯時間が増加しても前記発光素子の光出力が一定に保たれるように前記累積点灯時間と前記発光素子の調光比との対応関係が設定された照度補正特性を使用し、前記記憶部に記憶されている累積点灯時間に基づいて前記発光素子の前記調光比を決定し、前記記憶部は前記ランプに設けられていることを特徴とする。
【0010】
この照明装置において、前記計時部は前記ランプに設けられていることが望ましい。
【0011】
この照明装置において、前記照度補正部は、前記発光素子の前記累積点灯時間が所定の停止時間を超えると、前記点灯装置に対して前記ランプへの出力を停止させるように指示を与える出力停止部を有することがより望ましい。
【0012】
この照明装置において、前記照度補正部は、前記ランプの周囲温度を測定する温度測定部を有し、前記温度測定部で測定された周囲温度に応じて、使用する前記照度補正特性を決定することがより望ましい。
【0013】
この照明装置において、前記点灯装置はフライバック型コンバータを有し、前記フライバック型コンバータの出力電圧を前記ランプに印加することがより望ましい。
【0014】
この照明装置において、前記点灯装置は降圧チョッパ回路を有し、前記降圧チョッパ回路の出力電圧を前記ランプに印加することがより望ましい。
【0015】
また、本発明のランプは、上記いずれかの照明装置に用いられることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の点灯回路装置は、上記ランプと共に上記いずれかの照明装置を構成し、スイッチング電源を有しており、上記ランプからなる第1のランプが接続された状態で当該第1のランプを点灯させる第1の動作モードと、蛍光ランプからなる第2のランプが接続された状態で当該第2のランプを点灯させる第2の動作モードとを切替可能であって、前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとで前記スイッチング電源の構成要素の一部が共用されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の照明器具は、上記点灯回路装置を備え、前記第1のランプと前記第2のランプとの両方を適合ランプとすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、ランプが交換された場合に、ランプの累積点灯時間を確実にリセットできるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態1の基本構成を示す概略ブロック図である。
【図2】同上の構成を示す概略回路図である。
【図3】同上に用いるランプの外観形状を示す概略斜視図である。
【図4】同上の照度補正部の構成を示す概略回路図である。
【図5】同上の照度補正特性を示す説明図である。
【図6】同上の照明器具を示す概略斜視図である。
【図7】同上の変形例を示す概略回路図である。
【図8】同上の変形例を示す概略回路図である。
【図9】同上の変形例を示す概略回路図である。
【図10】実施形態2の構成を示す概略斜視図である。
【図11】同上の変形例を示す概略斜視図である。
【図12】実施形態3の構成を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態1)
本実施形態の照明装置は、図1に示すようにランプ1と点灯回路装置2とを備えている。
【0021】
点灯回路装置2は、フライバック型のDC−DCコンバータからなる点灯装置を有し、点灯装置からランプ1内の発光素子11に電力供給することによりランプ1を点灯させる。詳しくは後述するが、ランプ1には発光素子11のほか、メモリ120を有する照度補正部12が内蔵されている。ここでいう発光素子は、たとえば発光ダイオード(LED)や有機ELなど電力供給を受けて発光する素子を意味しており、本実施形態では発光ダイオードが発光素子11として用いられる。
【0022】
点灯回路装置2は、図2に示すように、商用電源21からの入力を整流する整流回路22と、整流回路22の出力電圧を平滑する平滑コンデンサ23とを有する。平滑コンデンサ23にはトランス24の1次巻線とMOSFETからなるスイッチング素子25とが直接に接続されている。スイッチング素子25にはコンデンサ26が並列接続されている。コンデンサ26は、スイッチング素子25のスイッチングロスを低減し、回路効率を改善する。
【0023】
点灯回路装置2は、後述する制御回路30にてスイッチング素子25を交互にオンオフさせることにより高周波の交流電圧を発生させ、この交流電圧をトランス24の1次巻線に印加する。点灯回路装置2は、この交流電圧をトランス24にて変圧し、トランス24の2次側に設けた整流ダイオード27および平滑コンデンサ28で平滑することによって直流電圧を得る。点灯回路装置2はこのようにして得られた直流電圧(平滑コンデンサ28の両端電圧)をランプ1に印加する。
【0024】
ランプ1は、図3に例示するように、直管形の蛍光ランプと略同一の外観形状を有している。すなわち、ランプ1は、透光性材料からなる円筒状の管部17と、管部17の長手方向の両端に形成された口金部18とを有している。管部17内には、発光素子11が複数実装された実装基板13が収納され、口金部18は実装基板13と電気的に接続されている。ここでは、実装基板13は管部17の長手方向に細長い矩形状に形成され、その長手方向に沿って複数の発光素子11が一列に並べて配置されている。これら複数の発光素子11は直列に接続されており、点灯回路装置2から口金部18を通して実装基板13に電圧が印加されることにより点灯する。
【0025】
また、実装基板13には、発光素子11の直列回路と並列に接続された照度補正部12が搭載されている。照度補正部12は、図4に示すように、発光素子11の累積点灯時間をカウントする計時部としてのマイコン121と、累積点灯時間を記憶する不揮発性のメモリ(記憶部)120と、これらに安定した電源電圧を印加するレギュレータ122とを有している。さらに、照度補正部12は、レギュレータ122の入力端間に接続されたコンデンサ123、およびレギュレータ122の出力端間に接続されたコンデンサ124を有している。図4に示す端子T1、T2、T3はそれぞれ図3に示す端子T1、T2、T3に対応している。なお、図3に示す端子T4は、ランプ1を照明器具のソケットに保持させる目的で設けられたものであり、電気的にはフリーであるため省略することも可能である。
【0026】
マイコン121は、点灯回路装置2からランプ1に電圧が印加されレギュレータ122の出力電圧が所定の安定電圧に達すると、その時点でメモリ120に保存されている累積点灯時間のデータを読み出す。その後、マイコン121は、ランプ1に電圧が印加されている時間をカウントし、カウントした値を最初に読み出した累積点灯時間に加算して、累積点灯時間のデータを更新する。更新されたデータは定期的にメモリ120にバックアップされ、ランプ1への電力供給が停止された時点で最後にバックアップされたデータがメモリ120に保存される。マイコン121は、このようにしてメモリ120に保存された累積点灯時間のデータを、ランプ1への電力供給が再開されたときに読み出し、その時間から累積点灯時間のカウントを再開する。
【0027】
マイコン121には、発光素子11の累積点灯時間の増加に伴う光束の減退特性を表す光束減退特性に基づいて、照度補正特性が設定されている。照度補正特性は、照度補正値としての調光比と累積点灯時間との対応関係を表し、発光素子11の累積点灯時間が増加しても発光素子11の光出力が一定に保たれるように設定される。本実施形態では、照度補正特性は、一例として図5に示すように定格の70%の調光比を初期値として、累積点灯時間が増加するに伴って徐々に調光比が増加し、ランプ1の定格寿命で100%の調光比に達し、以降は100%を維持するような特性とする。マイコン121は、この照度補正特性を使用し、カウントした累積点灯時間の値に対応する調光比で発光素子11を点灯させるように、点灯回路装置2に指示を出す。なお、照度補正特性は累積点灯時間と同じメモリ120に記憶されていてもよいし、他のメモリに記憶されていてもよい。
【0028】
具体的に説明すると、照度補正部12はマイコン121にて照度補正特性を使用し調光比の目標値を決定する。照度補正部12は、発光素子11に流れる電流と光束との関係を考慮して、調光比の目標値をPWM(パルス幅変調)信号に変換しランプ1の端子T3から出力する。つまり、照度補正部12は、調光比の目標値に応じてPWM信号のデューティ比を変化させており、ここでは累積点灯時間が増加して調光比の目標値が大きくなるにつれてPWM信号のデューティ比を小さくする。
【0029】
点灯回路装置2は、ランプ1から出力されたPWM信号を、抵抗315,316およびコンデンサ317にて構成される平滑回路で直流電圧に変換し、コンパレータ310の基準電圧とする。つまり、平滑回路は、コンパレータ310の反転入力端子に対し、PWM信号のデューティ比に応じて大きさが決まる直流電圧を基準電圧として印加しており、PWM信号のデューティ比が小さくなるほど基準電圧を小さくする。
【0030】
一方、発光素子11は流れる電流が大きくなるほど光束が大きくなる。そこで、点灯回路装置は発光素子11に流れる電流を、ランプ1の端子T2とトランス24の2次巻線との間に挿入されている抵抗311で検出することによって、発光素子11の調光比を検出する。つまり、発光素子11の電流が大きくなるほど抵抗311での電圧降下が大きくなり、図2中の検出点X(抵抗311とトランス24の2次巻線との接続点)の電位が低下する。
【0031】
また、検出点Xには制御回路30の2次側に発生する直流電圧Vcc2(後述する)から抵抗313,312を介して直流バイアスがかけられ、抵抗313と抵抗312との接続点がコンパレータ310の非反転入力端子に接続されている。そのため、検出点Xの電位が下がるとコンパレータ310の非反転入力端子へ印加される電圧(以下、「検出電圧」という)が低下する。コンパレータ310は、検出電圧と基準電圧とを比較することによって、発光素子11の調光比と目標値との大小関係を判定することができる。
【0032】
制御回路30は、トランス24の2次巻線から得られる交流電圧をダイオード306とコンデンサ308とで平滑し、コンデンサ308の両端電圧をレギュレータ307で安定化して得られる直流電圧Vcc2を電源電圧として動作する。
【0033】
コンパレータ310の出力端子には、レギュレータ307の出力が抵抗323およびフォトカプラ303の発光ダイオードを介して接続されている。発光素子11の調光比が目標値よりも高い場合には、コンパレータ310の検出電圧が基準電圧を下回るので、コンパレータ310の出力が「L」となり、フォトカプラ303の発光ダイオードに電流が流れる。反対に、調光比が目標値よりも低い場合には、フォトカプラ303の発光ダイオードに電流は流れない。フォトカプラ303のフォトトランジスタについては後述する。
【0034】
次に、スイッチング素子25のスイッチング制御について説明する。スイッチング素子25は発振制御回路302によりオンオフ制御される。発振制御回路302は、点灯回路装置2の電源投入後にスイッチング素子25が発振を開始するまでの間、平滑コンデンサ23から起動用の抵抗301を介して印加される直流電圧Vcc1を電源電圧として動作する。スイッチング素子25が発振を開始した後は、発振制御回路302は、トランス24の2次巻線から得られる交流電圧をダイオード305とコンデンサ304とで平滑して得られる直流電圧Vcc1を電源電圧として動作する。
【0035】
発振制御回路302は、内部に設けられている電流源(図示せず)でコンデンサ(図示せず)を充電することにより三角波を発生させ、この三角波の電圧値と基準になる判定閾値とを比較する。発振制御回路302は、三角波の電圧値が判定閾値に達するまでの間に、スイッチング素子25に対しドライブ信号を出力してスイッチング素子25をオンさせる。つまり、三角波の電圧値が判定閾値以上の期間には、スイッチング素子25はオフとなる。
【0036】
発振制御回路302はフォトカプラ303のフォトトランジスタと接続されており、このフォトトランジスタがオンすると判定閾値が下がり、フォトトランジスタがオフすると判定閾値が上がるように構成されている。したがって、調光比が目標値よりも高いときには、フォトカプラ303の発光ダイオードに電流が流れてフォトトランジスタがオンし、判定閾値が下がる。そのため、スイッチング素子25がオンするオン時間は短くなり、発光素子11に印加される電圧が下がって調光比が低下する。反対に、調光比が目標値よりも低いときには、スイッチング素子25のオン時間が長くなり発光素子11の調光比が上がるため、調光比は目標値に近づくようにフィードバック制御されることになる。
【0037】
上述した構成により、照度補正部12は、ランプ1の点灯初期には、コンパレータ310の基準電圧を大きくして発光素子11に流れる電流を小さくし、累積点灯時間が増加するにつれて基準電圧を下げ発光素子11の電流を増加させる。すなわち、照度補正部12は、図5に示す照度補正特性に従って、発光素子11の累積点灯時間が増加するにつれて発光素子11に流れる電流を大きくし調光比を上げることにより、発光素子11の光出力を略一定に維持する。
【0038】
図6には、上述したランプ1および点灯回路装置2からなる照明装置を組み込んだ照明器具50の外観の一例を示す。点灯回路装置2は照明器具50の筐体51に収納されており、筐体51に固定された2個1組のソケット52と電気的に接続されている。2個のソケット52は、それぞれ図3に示すランプ1の端子T1、T4と、端子T2、T3とを接続可能なように、直管形のランプ1の各口金部18に対応する形状に形成され、各口金部18に対応する位置に配置されている。そのため、ランプ1はソケット52に取り付けられることにより、点灯回路装置2と電気的に接続されるとともに照明器具50の筐体51に保持される。この構造により、照明器具50はランプ1のみを取り替えて使用することが可能である。
【0039】
以上説明した構成の照明装置によれば、ランプ1に照度補正部12のメモリ120が内蔵されているため、ランプ1の寿命、破損等によりランプ1が交換される場合、ランプ1が発光素子11の累積点灯時間を記憶したメモリ120ごと交換されることになる。すなわち、照度補正部12は、ランプ1の交換を判別するための複雑な制御を行うことなく、ランプ1の交換後にはメモリ120内の累積点灯時間を確実にリセットし、照度補正値としての調光比も確実に初期値に戻すことができる。その結果、照度補正部12は、交換後のランプ1に合わせた最適な照度補正が可能となる。
【0040】
また、累積点灯時間が増加してもランプ1の光出力を一定に保つ機能を有する点灯回路装置2は通常、予め記憶されたランプの光束減退特性に基づいて照度補正特性が設定されている。そのため、ランプ1が別の光色のランプ1など光束減退特性が異なる他種類のランプ1に交換された場合などには、点灯時間が経過するにつれて光束と所定の目標値との差が徐々に大きくなるという問題がある。これに対して、本実施形態の構成によれば、照度補正特性が設定されたマイコン121がランプ1に設けられているので、ランプ1の種類に合わせて最適な照度補正特性を用いて照度補正を行うことができる。したがって、点灯回路装置2は、ランプ1の種類に応じた最適な明るさでランプ1を点灯させることができる。
【0041】
また、点灯装置にフライバック型コンバータを用いたことにより、商用電源21からの入力を高効率で直流電圧に変換してランプ1に印加できるという利点もある。なお、ここでいう点灯装置は、ランプ1に電力を供給し発光素子11を点灯させる装置であって、点灯回路装置2から制御回路30を除いた部分とする。
【0042】
ところで、本実施形態の変形例として、照明装置は、図7に示すように、ランプ1の内部に発光素子11の出力を制御するスイッチ要素14を有する構成であってもよい。図7に示すスイッチ要素14は、npn型のトランジスタからなり、発光素子11と直列に接続されている。照度補正部12は、これら発光素子11およびスイッチ要素14の直列回路と並列に接続されており、出力端子がスイッチ要素14の制御端子(ベース)に接続されている。
【0043】
図7に示す構成では、照度補正部12はスイッチ要素14に対し、調光比の目標値が大きくなるにつれてデューティ比が大きくなるPWM信号を出力する。スイッチ要素14はPWM信号に応じてオンとオフとを繰り返す。ここで、PWM信号のデューティ比によって決まるスイッチ要素14のオン時間が短くなるほど、発光素子11の出力が小さくなって調光比が低下する。この場合、PWM信号のデューティ比と調光比とは略比例関係にあるので、照度補正部12は、調光比の目標値を設定した後、その目標値をそのままデューティ比とするPWM信号をスイッチ要素14に出力でき、照度補正制御が簡単になる。
【0044】
また、図7に示す構成では、照度補正部12は、調光比の制御についてもランプ1の内部で行うので、端子T3から点灯回路装置2にPWM信号を出力する必要がなく、点灯回路装置2は一定の直流電圧をランプ1に印加する構成であればよい。
【0045】
そのため、制御装置30は、点灯回路装置2の出力端子となる端子T1−T2間に接続された抵抗318、319の直列回路と、直流電圧Vcc2が両端間に印加される抵抗320、321の直列回路とを有している。抵抗318と抵抗319との接続点はコンパレータ310の反転入力端子、抵抗320と抵抗321との接続点はコンパレータ310の非反転入力端子にそれぞれ接続されている。コンパレータ310は、抵抗318、319によって分圧される電圧を検出電圧として、抵抗320、321によって分圧される基準電圧と比較する。点灯回路装置2は、コンパレータ310の出力に基づいてスイッチング素子25のオン時間を発振制御回路302で決定することにより、ランプ1に印加する電圧が一定に保たれるようにフィードバック制御する。
【0046】
このように、図7に示す構成によれば、図2に示す構成に比べて照明装置の構成を簡略化することができるという利点がある。
【0047】
また、本実施形態の照明装置は、図8に示すように、ランプ1の周囲温度を測定する温度測定部16がランプ1に付加されていてもよい。この温度測定部16は、メモリ120やマイコン121と共に照度補正部を構成する。
【0048】
すなわち、発光素子11は、周囲温度によって光束減退特性が大きく変化することが一般に知られている。これは、発光素子11が発光ダイオードの場合、たとえば発光ダイオードチップを覆う合成樹脂に含まれている蛍光体や、反射板として使用される樹脂の劣化等によって発光効率が低下することに起因している。つまり、周囲温度が高くなるほど樹脂の劣化が早まり、より発光効率が低下することになる。
【0049】
ランプ1が取り付けられる位置によっては周囲温度が異なり光束減退特性に差が生じるので、図8に示す構成では、照度補正部12は、温度測定部16の測定結果を用いて周囲温度が変化してもランプ1の光出力が一定に保たれるように調光比を補正する。具体的には、照度補正部12は、周囲温度ごとの光束減退特性を予めメモリ120に記憶しておき、温度測定部16の測定値に応じて使用する照度補正特性を切り替える。
【0050】
図8に示す構成では、NTC(negative temperature coefficient)サーミスタからなる温度測定部16がランプ1内に設けられている。ランプ1の端子T1−T2間には温度測定部16と抵抗15とが直列に接続され、点灯回路装置2の出力電圧が温度測定部16と抵抗15との直列回路で分圧される。つまり、ランプ1の周囲温度が高くなると、温度測定部16の抵抗値が小さくなるので、温度測定部16の両端にかかる電圧は低くなる。照度補正部12は、温度測定部16の両端にかかる電圧を入力としてランプ1の周囲温度を判定し、予めメモリ120に記憶された温度別の複数の光束減退特性の中から対応する温度の光束減退特性を選択する。照度補正部12は、選択した光束減退特性に基づいて照度補正特性を決定し、この照度補正特性を使用して、ランプ1の累積点灯時間に対応する調光比を決定する。
【0051】
以上説明したようにランプ1に温度測定部16が付加された構成の照明装置によれば、ランプ1の周囲温度がランプ1の取り付け位置等によって変化しても、この温度変化分を補正して光束を略一定に維持することが可能になる。また、ここでは、温度測定部16としてNTCサーミスタを用いる例を示したが、これに限らず温度測定部16は周囲温度を電気的特性として計測できるものであればよい。たとえば、温度測定部は、発光素子11の順方向電圧の温度特性を利用してランプ1の周囲温度を計測するようにしてもよい。
【0052】
また、本実施形態の変形例として、照明装置は、図9に示すように点灯回路装置2の制御回路30内にランプ判別部322を有する構成であってもよい。
【0053】
すなわち、ランプ1内にメモリ120とマイコン121とが設けられていると、ランプ1が寿命に至り新しいランプ1に交換された場合に、新旧それぞれのランプ1にマイコン121が必要となり、ランプ1のコストアップの要因になる。
【0054】
これに対して、図9に示す構成では、ランプ1内部のマイコン121が省略され、代わりに、ランプ1の累積点灯時間のカウント等を行うランプ判別部322が点灯回路装置2に設けられている。ランプ判別部322は、直流電圧Vcc2が印加されることにより動作し、照度補正部12の端子T3と抵抗315との間に接続されている。つまり、ランプ判別部322の出力は、抵抗315を介してコンパレータ310の反転入力端子に入力される。
【0055】
ランプ判別部322は、基本的に図4に示すマイコン121と同等の機能を有している。すなわち、ランプ判別部322は、発光素子11の累積点灯時間を計時する計時部としての機能を有し、ランプ1内のメモリ120と共に照度補正部を構成する。さらに、ランプ判別部322は、発光素子11の光束減退特性に基づく照度補正特性が設定されており、この照度補正特性を使用して、カウントした累積点灯時間の値に対応する調光比の目標値を決定する。
【0056】
具体的には、ランプ判別部322は、ランプ1の点灯を開始する際にランプ1のメモリ120から累積点灯時間を読み出し、累積点灯時間のカウントとデータの更新とを行って、累積点灯時間に応じた調光比の目標値を決定する。ランプ判別部322からの出力は、調光比の目標値に対応したPWM信号であり、抵抗315、316、コンデンサ317で直流電圧に変換され、コンパレータ310に基準電圧として入力される。これにより、点灯初期には、コンパレータ310の基準電圧が大きくなって発光素子11に流れる電流が小さくなり、累積点灯時間が増加するにつれて基準電圧が下がるため発光素子11の電流が徐々に増加する。
【0057】
図4に示す構成の照明装置によれば、ランプ1にはメモリ120があればよく、マイコン121を省略することができるので、ランプ1のコストを低く抑えることができ、事務所のようにランプ1が多数使用される場所においてはその効果は顕著になる。
【0058】
また、たとえばランプ1が別の光色のランプ1など光束減退特性が異なるランプに交換された場合でも、ランプ判別部322に対応可能な複数種類のランプ1の光束減退特性をそれぞれ記憶させておくことにより、交換後のランプ1に適した照度補正が可能となる。すなわち、メモリ120にランプの種類を表す判別データを保存しておけば、ランプ判別部322は判別データに基づいてランプ1の種類を判別し、判別結果に応じて光束減退特性を判断して最適な照度補正特性を用いて照度補正を行うことが可能になる。このように、ランプ1内のマイコン121を省略しながらも、ランプ1にメモリ120を設けたことにより、ランプ1の種類に応じて最適な明るさでランプ1を点灯させることができる。
【0059】
なお、本実施形態では、ランプ1は、発光素子11と照度補正部12とが端子T1−T2間に並列接続されているが、この構成に限らず、照度補正部12に対して所定の直流電圧が印加される構成であればよい。たとえば、照度補正部12は、直列接続された複数の発光素子11の一部と並列に接続されていてもよい。
【0060】
(実施形態2)
本実施形態の照明装置は、図10に示すように、点灯回路装置2の点灯装置に降圧チョッパ方式のコンバータ(降圧チョッパ回路)を用いた点が実施形態1の照明装置と相違する。なお、以下では実施形態1と同様の構成および機能については説明を省略し、実施形態1と異なる点のみ説明する。
【0061】
降圧チョッパ回路では、MOSFETからなるスイッチ素子31とダイオード32との直列回路が平滑コンデンサ23と並列に接続されている。ここで、ダイオード32のカソードはスイッチ素子31を介して平滑コンデンサ23の正極に接続されている。ダイオード32には、チョークコイル33とコンデンサ34との直列回路が並列に接続されている。
【0062】
この構成により、スイッチ素子31がオンすると、整流回路22からスイッチ素子31およびチョークコイル33を介してコンデンサ34に電流が流れ、この電流によってチョークコイル33にエネルギが蓄えられる。次に、スイッチ素子31がオフすると、チョークコイル33からコンデンサ34およびダイオード32を介して電流が流れ、チョークコイル33に蓄えられたエネルギがコンデンサ34へ供給される。スイッチ素子31のオンオフが繰り返し行われ、繰り返しの周期は、チョークコイル33のインダクタンスとコンデンサ34の容量とで決定される時定数よりも十分に短く設定される。これによりコンデンサ34の両端間には略一定の直流電圧が発生し、この直流電圧がランプ1の端子T1−T2間に印加される。
【0063】
また、抵抗311が発光素子11を流れる電流を検出する点は実施形態1と同様であるが、本実施形態ではコンパレータ310での基準電圧との比較手段が一部異なる。すなわち、コンパレータ310の反転入力端子には、抵抗311の両端電圧がそのまま入力され、発光素子11の電流が大きくなる程、反転入力端子に入力される検出電圧が大きくなる。したがって、調光比を大きくするために発光素子11に流す電流を増やす場合には、コンパレータ310の非反転入力端子に入力される基準電圧も大きく設定する必要がある。制御回路30は、コンパレータ310の検出電圧と基準電圧との大小関係に基づいて、スイッチ素子31のオン時間を調節して点灯回路装置2の出力電圧を変化させ、発光素子11に所望の電流が流れるようにする。具体的には、制御回路30は、コンパレータ310の検出電圧が基準電圧より小さい場合には、コンパレータ310の出力を「H」とし、発振制御回路302の判定閾値を上げてスイッチ素子31のオン時間が長くなるように制御する。
【0064】
ここで、発振制御回路302は、実施形態1と同様に、判定閾値の大きさに応じてスイッチ素子31のオン時間を決定する。ただし、本実施形態では、スイッチ素子31のソース電位が制御回路30の安定電位と異なるので、スイッチ素子31のゲート−ソース間にドライブ信号を伝達するレベルシフタ回路が発振制御回路302に内蔵されている。チョークコイル33に設けられた2次巻線は、チョークコイル33の発振を利用して制御回路30に電源を供給するとともに、チョークコイル33に流れる電流を検出する。たとえば、この2次巻線に発生する電圧を発振制御回路302に入力すると、スイッチ素子31がオフしているモードではチョークコイル33に流れる電流が徐々に減少し、この電流がゼロになると、2次巻線に発生する電圧の極性が反転する。そこで、発振制御回路302は、この極性反転のタイミングを検出してスイッチ素子31をターンオンすることにより、スイッチ素子31のスイッチングロスを抑制して点灯装置の効率を向上させることができる。
【0065】
以上説明したように、点灯装置に降圧チョッパ回路を用いたことにより、商用電源21からの入力を高効率で直流電圧に変換してランプ1に印加できるという利点がある。
【0066】
また、本実施形態では、ランプ1内にメモリ120とマイコン121とを有する照度補正部12を備え、ランプ1から点灯回路装置2にPWM信号を出力する構成とするが、この構成に限らない。すなわち、図11に示すように、図9に示した構成と同様に点灯回路装置2側にメモリ120と共に照度補正部を構成するランプ判別部322を設け、このランプ判別部322からPWM信号が出力される構成としてもよい。
【0067】
さらに、図11に示す構成の照明装置は、ランプ1の累積点灯時間がランプ1の定格寿命を超えてさらに所定時間経過すると、点灯装置にランプ1への電力供給を停止させる出力停止部(図示せず)としての機能をランプ判別部322に有している。
【0068】
すなわち、たとえば図5に示すような照度補正特性に基づいて照度補正制御を行う場合、照度補正部12は、ランプ1の累積点灯時間が定格寿命を超えるとその後は調光比100%を維持するように動作する。これは、ランプ1が定格寿命を大幅に超えて使用される場合においても光束を一定に保つよう制御すると、点灯装置はランプ1の定格電力を超える電力をランプ1に供給する必要があり、その場合のランプ1や点灯回路装置2の発熱、故障等の不具合を回避するためである。
【0069】
ただし、ランプ1や点灯回路装置2を構成する電子部品等にも寿命があり、定格電力以下とはいえ、これらの部品が寿命を超えて使用されることは好ましくない。そこで、図11に示す照明装置は、これらの部品が寿命を超えて使用されることを回避するために、これらの部品が寿命を迎える前にランプ1や点灯回路装置2への電力供給が停止される構成とする。
【0070】
具体的には、ランプ判別部322は、ランプ1のメモリ120から読み出した累積点灯時間が所定の停止時間を超えている場合、もしくはランプ1の点灯中にカウントした累積点灯時間が停止時間を超えた場合に、発振制御回路302へ停止信号を出力する。ここで、停止時間はランプ1の定格寿命に所定時間を加えた時間とする。発振制御回路302は、停止信号を受けるとスイッチ素子31のスイッチング動作を停止させる。
【0071】
このように、出力停止部にて、ランプ1の累積点灯時間が所定の停止時間を超えた場合に、点灯装置に対しランプ1への出力を停止させるように指示(停止信号)を与えることにより、ランプ1を構成する電子部品等が寿命を超えて使用されることを回避できる。
【0072】
また、ランプ1の累積点灯時間だけでなく、ランプ判別部322が点灯回路装置2の使用時間をカウントし、カウント値を制御回路30内に設けたメモリ(図示せず)に記憶できるようにしてもよい。この場合、ランプ1が交換されて累積点灯時間のデータがリセットされても、点灯回路装置2の使用時間のカウントは継続されるので、点灯回路装置2の使用時間に応じてスイッチ素子31のスイッチングを停止させることも可能である。これにより、点灯回路装置2を構成する電子部品等が、寿命を超えて使用されることも回避できる。
【0073】
なお、ランプ1の累積点灯時間がランプ1の定格寿命を超えてさらに所定時間経過したときにランプ1への電力供給を停止する機能は省略することも可能である。この場合、図11に示す構成から、ランプ判別部322−発振制御回路302間を直接結ぶ停止信号の出力経路を省略可能である。
【0074】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0075】
(実施形態3)
本実施形態の照明装置は、図12に示すように発光素子(たとえば発光ダイオード)11を用いた第1のランプ1aの他に、一般的な蛍光ランプからなる第2のランプ1bもランプとして使用可能である点が実施形態2の照明装置と相違する。なお、ここではランプ1bは直管形の蛍光ランプからなり、ランプ1a、1bは外観形状が共通している。
【0076】
本実施形態の点灯回路装置2は、実施形態2で説明した図11の点灯回路装置2と基本的な構成が共通する。本実施形態では、点灯回路装置2は、図11に示すダイオード32に代えてMOSFETからなる第2のスイッチ素子35を備えている。この点灯回路装置2は、点灯装置を降圧チョッパ回路として動作させる場合、第2のスイッチ素子35のゲート−ソースを「L」に固定してスイッチ素子35に内蔵される寄生ダイオード(図示せず)を降圧チョッパ回路用のダイオードとして使用する。
【0077】
ここにおいて、点灯回路装置2は、第1のランプ1aを接続するための端子として、ランプ1aの端子T1a、T2a、T3aとそれぞれ接続される端子T11、T12、T13を有している。ランプ1aの端子T1a、T2aは端子T1aを高電位側とするようにそれぞれ発光素子11の直列回路の両端に接続され、端子T3aは照度補正部12の出力に接続されている。また、端子T11はコンデンサ34の高電位側に接続され、端子T12はコンデンサ34の低電位側に抵抗311を介して接続されている。端子T13はランプ判別部322に接続されている。
【0078】
すなわち、点灯装置は第2のスイッチ素子35のゲート−ソースが「L」に固定されると、降圧チョッパ回路として動作し、実施形態2の構成と同様にコンデンサ34の両端間に発生する直流電圧をランプ1aに印加して、発光素子11を点灯させることができる。点灯回路装置2は、このように第1のランプ1aが接続された状態で、点灯装置を降圧チョッパ回路として動作させて第1のランプ1aを点灯させる動作モードを第1の動作モードとする。
【0079】
次に、蛍光ランプからなる第2のランプ1bを点灯させるための点灯回路装置2の構成および動作について説明する。
【0080】
平滑コンデンサ23には、第1のスイッチ素子31および第2のスイッチ素子35の直列回路が並列に接続される。この直列回路のうち下段(低電位側)となる第2のスイッチ素子35は、チョークコイル36およびコンデンサ37、38からなる共振回路と接続されており、いわゆるハーフブリッジ型のインバータ回路を構成する。チョークコイル36およびコンデンサ37の直列回路は、第2のスイッチ素子35と並列に接続されている。
【0081】
ここにおいて、第2のランプ1bの両端には一対のフィラメント(電極)が設けられ、一方のフィラメントには端子T1b、T4bが接続され、他方のフィラメントには端子T2b、T3bが接続されている。点灯回路装置2は、第2のランプ1bを接続するための端子として、ランプ1bの端子T1b、T3b、T4bとそれぞれ接続される端子T15、T16、T14を有している。ランプ1bの端子T2bは、点灯回路装置2の端子T12に接続される。また、端子T15はチョークコイル36とコンデンサ37との接続点にコンデンサ38を介して接続されている。
【0082】
第1および第2のスイッチ素子31、35は、発振制御回路302によってたとえば約50kHzの周波数で交互にオンオフを繰り返し、商用電源21からの入力を整流して得られる直流電圧を高周波の矩形波電圧に変換する。点灯装置は、この矩形波電圧を上述した共振回路によって正弦波状の電圧とし、端子T15−T12からランプ1bに印加することによりランプ1bを点灯させる。
【0083】
また、蛍光ランプからなるランプ1bを点灯させるには、ランプ1bの両フィラメントがそれぞれ十分に加熱され、且つその直後に両フィラメント間に放電開始可能な高電圧が印加される必要がある。そのため、蛍光ランプからなるランプ1bに対応するには、点灯装置にフィラメント予熱用の予熱回路が必要である。
【0084】
そこで、本実施形態では、降圧チョッパ回路を構成するチョークコイル33に3本の2次巻線が設けられ、そのうち2本の2次巻線の各々が各フィラメントにそれぞれコンデンサ39、40を介して接続されている。具体的には、一方の2次巻線は一端がコンデンサ39を介して端子T14に接続され、他端がコンデンサ38を介して端子T15に接続されている。他方の2次巻線は一端がコンデンサ40を介して端子T16に接続され、他端が端子T12に接続されている。したがって、ランプ1bの端子T1b、T2b、T3b、T4bがそれぞれ点灯回路装置2の端子T15、T12、T16、T14と接続されることにより、各2次巻線が各フィラメントにそれぞれ接続される。
【0085】
これにより、点灯装置は、予熱モードにおいてチョークコイル33の2次巻線からコンデンサ39、40を介してランプ1bのフィラメントに予熱電流を供給しフィラメントを予熱する。ここで、点灯装置は、チョークコイル33の1次巻線と2次巻線との巻数比やコンデンサ39、40の容量が調節されることにより、使用するランプ1bに最適な予熱電流を供給可能となる。なお、チョークコイル33の予熱用以外の2次巻線は、チョークコイル33の発振を利用して制御回路30に電源を供給するとともに、チョークコイル33に流れる電流を検出する。
【0086】
また、点灯装置は、蛍光ランプからなるランプ1bを放電させるために共振回路の共振特性を利用してランプ1bに高電圧を印加するように構成されている。すなわち、点灯回路装置2は、フィラメントを予熱後すぐにインバータ回路の動作周波数をチョークコイル36およびコンデンサ37、38の固有振動周波数(共振周波数)に近づけることにより、始動モードに移行してランプ1bに高電圧を印加する。ランプ1bは、両フィラメントが予熱された状態で両フィラメント間に高電圧が印加されると、放電を開始(始動)する。点灯回路装置2は、ランプ1bの始動後、所定の光出力が安定して得られる点灯モードに移行するようにインバータ回路の動作周波数を切り替える。
【0087】
発振制御回路302は、ハーフブリッジ回路を構成するスイッチ素子31、35をスイッチングを制御する場合、上述した予熱、始動、点灯の各モードに合わせて周波数を切り替える。これにより、所望の予熱電流、始動電圧、および点灯特性が得られることになる。
【0088】
また、降圧チョッパ回路の場合と同様に、上段のスイッチ素子31を駆動させるためにレベルシフタ回路が発振制御回路302に内蔵されている。さらに両スイッチ素子31、35が同時にオンすることがないように、一方のスイッチ素子31、35がオフしてから所定時間(デッドタイム)経過後にオン信号を出力させるディレイ回路が、それぞれの駆動回路に設けられている。
【0089】
点灯回路装置2は、このように第2のランプ1bが接続された状態で、点灯装置をインバータ回路として動作させて第2のランプ1bを点灯させる動作モードを第2の動作モードとする。すなわち、点灯回路装置2は、第1のランプ1aが接続された状態でランプ1aを点灯させる第1の動作モードと、第2のランプ1bが接続された状態でランプ1bを点灯させる第2の動作モードとを切替可能に構成されている。
【0090】
また、本実施形態の点灯回路装置2を備える照明器具50(図6参照)は、発光素子11を用いたランプ1aの他に一般的な蛍光ランプからなるランプ1bも適合ランプとするように構成される。
【0091】
以上説明した本実施形態の照明装置によれば、第1の動作モードと第2の動作モードとを切替可能としたことにより、発光素子11を用いた第1のランプ1aだけでなく、広く普及している蛍光ランプからなる第2のランプ1bも使用可能となる。
【0092】
また、上記照明装置では、第1の動作モードで降圧チョッパ回路(スイッチング電源)の構成要素の一部となるスイッチ要素31が、第2の動作モードではインバータ回路の構成要素として共用される。さらに、第1の動作モードで降圧チョッパ回路の構成要素の一部となるチョークコイル33が、第2の動作モードでは予熱用トランスの1次巻線として共用される。このように、点灯回路装置2はスイッチング電源の構成要素の一部が第1の動作モードと第2の動作モードとで共用されるので、各動作モード用に別々のスイッチング電源を用いる場合に比べて部品点数を削減できるという利点がある。
【0093】
ところで、ランプ判別部322には、発光素子11を用いた第1のランプ1aと、蛍光ランプからなる第2のランプ1bとのどちらが点灯回路装置2に接続されているかを判別する機能が付加されている。
【0094】
ランプ判別部322は、発光素子11を用いた第1のランプ1aが点灯回路装置2に接続されているか否かについては、端子T13から累積点灯時間のデータの読み込みの有無で判断する。つまり、ランプ判別部322は、端子T13から累積点灯時間のデータを読み込むことができた場合に、第1のランプ1aが接続されていると判断する。
【0095】
一方、ランプ判別部322は、蛍光ランプからなる第2のランプ1bが点灯回路装置2に接続されているか否かについては、端子T16−T12間に直流バイアスをかけて電流が流れるか否かによって判断する。つまり、ランプ判別部322は、端子T16−T12間に直流バイアスをかけて電流が流れれば、第2のランプ1bが接続されていると判断する。なお、端子T16−T12間に直流バイアスを印加するため、ランプ判別部322は端子T16にも接続されている。
【0096】
このように、ランプ判別部322は、ランプの種別を判別する機能を有することにより、発光素子11を用いたランプ1aと蛍光ランプからなるランプ1bとのどちらが装着されているか、あるいはいずれも装着されていないのかを自動的に判別することができる。したがって、ランプ判別部322が判別結果を発振制御回路302に出力することによって、発振制御回路302は、装着された負荷(ランプ)に応じて第1の動作モードと第2の動作モードとを自動的に切替可能となる。
【0097】
また、照明器具50においては、装着されるランプの種別に応じて、ソケット52に接続する端子の組み合わせを端子T11〜13の組み合わせと、端子T12、T14〜T16の組み合わせとで切り替える必要がある。したがって、ランプ判別部322の判別結果は切替スイッチ(図示せず)にも出力され、この切替スイッチによってソケット52と端子T11〜T16との接続関係が自動的に切り替えられる構成とする。
【0098】
ところで、本実施形態の照明装置は、第1のランプ1aが用いられている場合には、ランプ1a内の照度補正部12とランプ判別部322とのいずれにおいても照度補正制御が可能である。この場合の照度補正制御は、実施形態1または実施形態2で説明した照度補正制御と同様であり、ランプ1aの交換後にはメモリ120内の累積点灯時間を確実にリセットし、照度補正値としての調光比も確実に初期値に戻すことができる。
【0099】
一方、照明装置は、蛍光ランプからなる第2のランプ1bが用いられている場合には、ランプ判別部322においてのみ照度補正制御が可能である。ランプ1bの照度補正制御を行う場合、ランプ判別部322は、蛍光ランプの光束減退特性に応じた照度補正特性を予め記憶したメモリ(図示せず)を有し、ランプ1bの累積点灯時間をカウントする機能を有する。これにより、ランプ判別部322は、蛍光ランプからなるランプ1bが用いられている場合においても、ランプ1bの光束減退特性に応じた照度補正制御が可能となる。
【0100】
なお、本実施形態では、実施形態2の構成を基本構成として、発光素子11を用いたランプ1aの他に一般的な蛍光ランプからなるランプ1bも適合ランプとする例を示したが、これに限らず、実施形態1で説明した構成を基本構成としてもよい。その他の構成および機能は実施形態2と同様である。
【符号の説明】
【0101】
1 ランプ
1a 第1のランプ
1b 第2のランプ
2 点灯回路装置
11 発光素子
12 照度補正部
16 温度測定部
120 メモリ(記憶部)
121 マイコン(計時部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの発光素子を有し交換可能なランプと、前記ランプに電力を供給し前記発光素子を点灯させる点灯装置と、前記ランプを調光制御する照度補正部とを備え、前記照度補正部は、前記発光素子の累積点灯時間を計時する計時部と、前記計時部にて計時された前記累積点灯時間を記憶する記憶部とを有し、前記発光素子の前記累積点灯時間が増加しても前記発光素子の光出力が一定に保たれるように前記累積点灯時間と前記発光素子の調光比との対応関係が設定された照度補正特性を使用し、前記記憶部に記憶されている累積点灯時間に基づいて前記発光素子の前記調光比を決定し、前記記憶部は前記ランプに設けられていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記計時部は前記ランプに設けられていることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記照度補正部は、前記発光素子の前記累積点灯時間が所定の停止時間を超えると、前記点灯装置に対して前記ランプへの出力を停止させるように指示を与える出力停止部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記照度補正部は、前記ランプの周囲温度を測定する温度測定部を有し、前記温度測定部で測定された周囲温度に応じて、使用する前記照度補正特性を決定することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記点灯装置はフライバック型コンバータを有し、前記フライバック型コンバータの出力電圧を前記ランプに印加することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記点灯装置は降圧チョッパ回路を有し、前記降圧チョッパ回路の出力電圧を前記ランプに印加することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の照明装置に用いられることを特徴とするランプ。
【請求項8】
請求項7記載のランプと共に請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の照明装置を構成する点灯回路装置であって、スイッチング電源を有しており、請求項7記載のランプからなる第1のランプが接続された状態で当該第1のランプを点灯させる第1の動作モードと、蛍光ランプからなる第2のランプが接続された状態で当該第2のランプを点灯させる第2の動作モードとを切替可能であって、前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとで前記スイッチング電源の構成要素の一部が共用されることを特徴とする点灯回路装置。
【請求項9】
請求項8記載の点灯回路装置を備え、前記第1のランプと前記第2のランプとの両方を適合ランプとすることを特徴とする照明器具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−222320(P2011−222320A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90734(P2010−90734)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】