照明装置、及び画像表示装置
【課題】発光ダイオードを使用する照明装置の回路規模の縮小。
【解決手段】複数の発光ダイオードと1つの整流用ダイオードを直列接続したダイオード直列回路をブリッジ接続してLEDブリッジ回路10を形成し、このLEDブリッジ回路10の整流出力に負荷抵抗RLを接続して成り、交流電源を入力してLEDブリッジ回路10が整流動作を行うことで、その整流電流を駆動電流として発光ダイオードを発光駆動するLED駆動ユニット1を照明装置の基本構成とする。
【解決手段】複数の発光ダイオードと1つの整流用ダイオードを直列接続したダイオード直列回路をブリッジ接続してLEDブリッジ回路10を形成し、このLEDブリッジ回路10の整流出力に負荷抵抗RLを接続して成り、交流電源を入力してLEDブリッジ回路10が整流動作を行うことで、その整流電流を駆動電流として発光ダイオードを発光駆動するLED駆動ユニット1を照明装置の基本構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード素子を用いた照明装置、及びこの照明装置の構成を光源とする画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイデバイスでは、バックライトといわれる光源(照明)を使用して可視光による画像表示を行うようにされているが、近年では、このバックライトとして、発光ダイオード素子(LED:Light Emitting Diode、以降、「発光ダイオード」という)を使用するものが知られるようになってきている。発光ダイオードをバックライトとして使用するのにあたっては、赤(R)、緑(G)、青(B)の各原色を発光する発光ダイオードを使用して、これらを発光させて得た光を加法合成により光学的な混色を行って白色光を得る、という手法を採ることが一般に行われている。
【0003】
このようなR,G,Bの3原色に対応する発光ダイオードを使用する光源を実際に発光駆動するのにあたっては、画像表示に用いるマトリクス駆動方式に準じた構成を採ることが考えられる。
マトリクス駆動方式は、周知のようにして、画素をX方向(水平方向)/Y方向(垂直方向)に沿ってマトリクス状に配置するとともに、これらの画素に対応させるようにして、X方向(水平方向)/Y方向(垂直方向)に沿って所要の電極を配置させる。そして、発光させるべき画素の設定と、発光させるべき時間設定とに基づいて、これらの電極を所要のタイミングで駆動するようにされる。なお、このときの駆動タイミングは、マトリクス駆動方式の範疇における駆動方式の相違により異なってくる。このようにして、画素が駆動されることで、例えば画素ごとに階調が表現されて、画面全体としては可視光による画像が表示されることになる。
しかしながら、このようなマトリクス方式の駆動回路系は複雑であり、コストも高い。特に、バックライトなどの照明用途では、各発光ダイオードにおける消費電力が比較的大きい。現状において、マトリクス駆動を実現するLSIなどの部品は、このような大電力駆動に対応するものがほとんどない状況にある。このような事情から、マトリクス方式の駆動回路系光源を駆動する構成として採用することは、現実的ではないとされている。
【0004】
また、R,G,Bの3原色に対応する発光ダイオードを使用したバックライトを構成することとした場合において問題に挙げられるのが、R,G,B各色の発光ダイオードの発光効率、降下電圧、消費電力等の差異である。発光ダイオードの半導体組成は、各色ごとに異なっており、このことが上記しているような発光ダイオードの特性の相違となって現れる。このために、R,G,B各色の発光ダイオードごとに対応させてそれぞれを独立的に駆動したうえで、各色ごとに光量調整することが、良好な白色光を得るのには有利であるとされている。
【0005】
上記したことなどを背景として、R,G,Bの3原色に対応する発光ダイオードを使用したバックライトを駆動するのにあたっては、次のような基本構成が一般的となっている。
先ず、バックライトを形成するユニットの最小単位として、図18(a)に示すようにして、発光ダイオードセル100を設ける。発光ダイオードユニットは、所定色の発光ダイオードを所定数用意して、これらの発光ダイオードを基板などの所定位置に配置し、さらに、配置した発光ダイオードについて所定パターンによる電気的接続を行って形成される。図18(a)の場合には、R(赤)に対応する赤色発光ダイオードDL-R、G(緑)に対応する緑色発光ダイオードDL-G、及びB(青)に対応する青色発光ダイオードDL-Bをそれぞれ2つずつ、合計で6つ用意している。そして、これらの発光ダイオードを、図に示すようにして、左側から右側にかけて、青−緑−赤−青−緑−赤の順に対応させて配置することとしている。そのうえで、各色ごとの発光ダイオードを、同じ極性により直列に接続する。
なお、LEDセルにおける発光ダイオード素子の配置パターンは、この図に示す以外のバリエーションがあり得る。発光ダイオード素子の配置パターンは、例えば、実際に使用する発光ダイオードの定格、発光効率などに応じて、R,G,Bによる混合色として得られる白色光が良質なものとなるようにすることを考慮して決定する。
【0006】
このようにして形成されるLEDセル100は、同じ図18(a)に示すようにして、R,G,B各色ごとの発光ダイオードの直列接続のアノード側とカソード側の何れについても、他の同型のLEDセル100と接続することができる。このようにして、LEDセル100を連結するようにして接続していくことで、接続されるLEDセル数に応じて、R,G,B各色ごとに対応する発光ダイオードの直列接続数が増加していくことになる。
【0007】
そこで、所要数のLEDセル100を接続したものを1つのユニットとして形成する。この具体例として、図18(b)には、3つのLEDセル100を連結するようにして接続して、1ユニットを形成している。ここでは、このユニットをLEDセルユニット101ということにする。1つのLEDセル100が備える発光ダイオードの色としては、R,G,Bがそれぞれ2つずつとなるので、LEDセル100における発光源としての色数を、(2R,2G,2B)として表現することとする。図18(b)の例では、LEDセルユニット101が3つのLEDセル100から成るので、3(2G,2R,2B)=(6G,6R,6B)として表すことができる。
【0008】
そして、上記のようにして形成したLEDセルユニット101単位で、平面的に配置することで、例えばバックライトとしての機能を持つパネルを構成するようにされる。上記図18(b)に示したLEDセルユニット101により形成したバックライトパネル110の例を図19に示す。
図19においては、行g1〜g5と列m1〜m4による4行×5列のマトリクスによりLEDセルユニット101を配置してバックライトパネル110を形成している。
このバックライトパネル110においては、赤色発光ダイオードDL-Rは、6×5×4=120個を備えることになる。同様にして、緑色発光ダイオードDL-Gと青色発光ダイオードDL-Bも120個を備え、合計360個(=120×3)の発光ダイオードを備えることになる。
【0009】
前述もしたように、このようにして、R,G,Bで発光色の異なる多数個の発光ダイオードについて、良好な白色光が得られるようにしてマトリクス駆動方式に準じた発光駆動を行うことは現実的ではないとされており、現状においては、例えば以降説明するような方式による駆動が一般に行われている。
【0010】
図20は、図19に例示した構造のバックライトパネルに対応して発光ダイオードを駆動する構成を概念的に示している。
バックライトパネルを形成するLEDセルユニット101については、行g1〜gnごとにおいて、水平方向に連結するようにして接続する。これにより、行g1〜gnの各行において、列m1〜mnに対応する順で、R,G,B各色に対応する発光ダイオードが直列接続されることになる。
【0011】
このようにして発光ダイオードを接続したうえで、図示するようにして、行g1〜gnの各行ごとにおいて、R,G,B各色に対応する3つのDC-DCコンバータ120−R、120−G、120−Bを設ける。そして、DC-DCコンバータ120−Rの出力を、赤色発光ダイオードDL-Rの直列接続回路のアノード側の端部(列m1に位置するLEDセルユニット101のアノード側の接続位置)と接続する。同様にして、DC-DCコンバータ120−G、120−Bの出力を、それぞれ、緑色発光ダイオードDL-Gの直列接続回路のアノード側端部、青色発光ダイオードDL-Bの直列接続回路のアノード側の端部に対して接続する。
このような構成が採られることで、DC-DCコンバータ120−Rから出力される直流電源により、1つの行において直列接続される赤色発光ダイオードDL-Rに直流の駆動電流を流すようにされ、これら赤色発光ダイオードDL-Rが発光するように駆動される。同様にして、DC-DCコンバータ120−Gから出力される直流電源により、同じ行において直列接続される緑色発光ダイオードDL-Gが発光駆動される。また、DC-DCコンバータ120−Bから出力される直流電源により、同じ行において直列接続される緑色発光ダイオードDL-Bが発光駆動される。このような駆動回路系の構成が、行ごとに形成されることになる。
【0012】
図21は、1つの発光ダイオードの直列接続回路に対応する駆動回路に相当するとされる部位の構成を、より実際的に示している。
この場合、DC-DCコンバータ120の出力である直流電源Vccは、抵抗R42を介するようにして、発光ダイオードを直列接続したLED直列回路130のアノード側端部に印加される。これにより、LED直列回路130を形成する発光ダイオードDLに駆動電流ILEDが流れる。
また、DC-DCコンバータ120は、所定の直流電源Vccの設定に対して、抵抗R42による電圧降下を所定タイミングで検出して、一定量の駆動電流ILEDが流れるように、定電流制御を行うようにもされている。この定電流制御のために、抵抗R41、コンデンサC41、スイッチ用トランジスタQ12、及びサンプルタイミング生成/スイッチ駆動回路131を付加している。この場合のサンプルタイミング生成/スイッチ駆動回路131は、ANDゲート132を介して入力されるPWM信号(矩形波信号)に基づいて、サンプルホールドタイミングを発生させ、このサンプルホールドタイミングで、サンプルホールドスイッチとして機能するトランジスタQ12のオン/オフ制御を行う。これにより、DC-DCコンバータでは、サンプルホールドタイミングに応じて抵抗R42による電圧降下を検出することになる。この検出した電圧降下レベルに応じて、直流電源Vccとして供給する電力についての定電流制御を行う。また、この図では、例えば温度などを検出するセンサ142の検出結果に応じて、制御部(CPU)140がレベルシフト回路141を制御することで、DC-DCコンバータ120が定電流制御のために使用する基準レベルLrefを可変できるようにしている。これにより、駆動電流ILEDとして、温度変化に対応した適切な定電流量が得られるようにもされている。
また、ここでは図示しないドライバから供給されるPWM信号により、PWM信号周期でトランジスタQ11のオン/オフコントロールを行って、駆動電流ILEDの導通/非導通を制御するようにされている。これにより、PWM信号の1周期内におけるパルス幅に応じて、単位時間あたりにおける駆動電流ILEDの導通時間が制御されることになる。つまり、発光ダイオードの発光量を制御することができる。また、この図では、PWM信号とオン/オフ信号とを入力するANDゲート132の出力をトランジスタQ11のゲートに印加することとしている。つまり、上記した発光ダイオードの光量制御(及び定電流制御)を、オン/オフ信号のHレベル/Lレベルの切り換えにより、オン/オフ設定できるようになっている。このオン/オフ信号は、例えば制御部140が、動作状況などに応じてHレベル/Lレベルの切り換えを行って出力する。
【0013】
また、図22に、上記した発光ダイオードの光量制御のための制御ループの構成を示しておく。なお、この図において図21と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
フォトセンサ150は、LED直列回路130を形成する発光ダイオードDLの光量を電流量として検出して出力し、この出力電流をI−Vアンプ151に対して入力する。I−Vアンプ151は、オペアンプOP、抵抗R31、コンデンサC31、抵抗R32、及びコンデンサC32を図示するようにして接続して形成される増幅器であり、入力された電流量を電圧値に変換するようにして動作する。このI−Vアンプ151から出力されたアナログの電圧値は、A/Dコンバータ152によりデジタル値に変換されて検出光量値の情報として制御部140に入力される。
制御部140では、例えば不揮発性のメモリ152に記憶されている光量制御データを参照して、入力された検出光量値に対応する制御値を取得し、この制御値によりドライバ154を制御する。ドライバ154は、この制御に応じて、PWM信号のパルス幅を可変してトランジスタQ11に印加する。これにより、適正光量が得られるようにして、発光ダイオードDLの発光量が可変制御されることになる。このような光量制御は、例えば適正な白色光を維持するために行われる。つまり、R(赤),G(緑),B(青)の各色ごとに対応して発光ダイオードの発光量を制御することで、適正な白色光を得ることのできるR(赤),G(緑),B(青)の各色の発光量のバランスをとるものである。前述委もしたように、発光ダイオードの発光効率は発光色に応じて異なるので、現状では、このようにして、各色ごとに独立した制御ループによって発光ダイオードの光量制御を行うことが適切であるとされている。
【0014】
【特許文献1】特開2001−272938号公報
【特許文献2】実開昭63−64059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記図18〜図22に示したバックライトとしての照明装置の構成は、例えば、マトリクス方式に準じた駆動を行う場合と比較すれば、回路規模を抑えることは可能であるが、依然として、回路規模は相応に大きなものとならざるを得ない。
例えば、図20に示したようにして、発光ダイオードを駆動するための電力を供給するのにはDC-DCコンバータを用いて直流により駆動することとしている。発光ダイオードを照明として使用する場合には電力も相応に必要となることから、DC-DCコンバータとしては、例えば発光ダイオードの直列接続回路に応じた数を設けるなどして、安定した発光動作を得るようにしている。つまり、比較的多数のDC-DCコンバータを必要とするものであり、これにより回路規模の縮小を困難にしている。DC-DCコンバータは、例えばトランスなどの大型の部品を備える。
また、このようにしてDC-DCコンバータを多数備えることによっては、DC-DCコンバータにおける総合的な電力損失もその分増加することとなって、消費電力の点でも不利となる。
さらに、図21及び図22に示したように、発光ダイオードの光量制御及び定電流制御等を行うための制御回路系についても、発光ダイオードの直列接続回路ごとに設ける必要があり、このことも、回路規模の縮小を阻害する要因となっている。
このようにして、現状においても、発光ダイオードを照明の発光源として使用する装置についての回路規模の縮小は或るレベルでとどまっており、より簡易で小規模な構成とすることが求められている、ということがいえる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そこで本発明は上記した課題を考慮して、照明装置として、交流を入力して整流を行うブリッジ整流回路を備えるようにする。そして、このブリッジ整流回路は、少なくとも所定の複数の発光ダイオード素子を直列接続して形成される単位直列回路をブリッジ接続して形成することとした。
【0017】
また、画像表示装置として次のように構成することとした。
本発明の画像表示装置は、光源としての光を入射して画像表示を行うために、光源としての光を出射する光源部を備え、この光源部について、交流を入力して整流を行うブリッジ整流回路を設ける。そして、このブリッジ整流回路について、所要の複数の発光ダイオード素子を直列接続して形成される単位直列回路をブリッジ接続して形成することとした。
【0018】
上記各構成においては、ブリッジ整流回路として、複数の発光ダイオード素子を直列接続した単位直列回路をブリッジ接続したものを備える。このようにして形成されるブリッジ整流回路は、単位直列回路を形成する発光ダイオード素子の数にもよるが、相応に多数の発光ダイオード素子を備えることになる。そして、このブリッジ整流回路に交流を入力すれば、その整流動作の結果として流れる整流電流が発光ダイオード素子の駆動電流となり、これらの発光ダイオード素子を発光させることになる。
つまり、本発明としては、交流を入力して比較的多数の発光ダイオード素子を発光駆動することが可能となっている。このことは、例えば発光ダイオード素子を駆動するのにあたって、従来のようにして、発光ダイオード素子の直列接続回路ごとにDC-DCコンバータを設ける必要がない、ということにつながる。
【発明の効果】
【0019】
このようにして、本発明は、発光ダイオード素子を照明(光源部)として使用する装置について、発光駆動のための構成を大幅に縮小することができる。これにより、装置の小型軽量化、低コスト化、及び低消費電力化などのメリットが得られることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
先ず、図1〜図3により、本発明の実施の形態の前提となる構成について説明しておくこととする。
図1(a)(b)には、ブリッジ整流回路Diが示されている。このブリッジ整流回路Diは、図示するようにして、4本の整流素子である整流ダイオードD1,D2,D3,D4をいわゆるブリッジ接続して形成される。
このブリッジ整流回路Diにおいて、整流ダイオードD1のアノードと整流ダイオードD4のカソードとの接続点は正極入力端子とされ、商用交流電源ACの正極ラインと接続される。また、整流ダイオードD2のアノードと整流ダイオードD3のカソードとの接続点は負極入力端子とされ、商用交流電源ACの負極ラインと接続される。商用交流電源ACは、例えば実際には、図示するようにして、ACプラグPLGをコンセントに差し込むことで供給される。
また、整流ダイオードD1のカソードと整流ダイオードD2のカソードとの接続点は正極出力端子となり、整流ダイオードD3のアノードと整流ダイオードD2のアノードとの接続点は負極出力端子となる。
【0021】
図1(a)には、商用交流電源ACが正極性となる半波の期間における整流電流Irtの経路が示されている。商用交流電源ACが正極性であるときの整流電流Irtは、図示するようにして、整流ダイオードD1,D3を導通する経路により流れる。
図1(b)には、商用交流電源ACが負極性となる半波の期間における整流電流Irtの経路が示されている。このときの整流電流Irtは、整流ダイオードD2,D4を導通する経路により流れる。
【0022】
図2には、上記図1に示したブリッジ整流回路Diの動作波形として、交流電圧VACと、整流電圧Vrtを示している。交流電圧VACは、商用交流電源ACから供給されるもので、例えば図示するようにして、期間t1として示す半周期において正極性となり、期間t2として示す半周期において負極性に反転する正弦波形となる。
整流電圧Vrtは、ブリッジ整流回路Diの整流動作によって得られる正極出力端子の電位(アース電位)V1と、負極出力端子の電位(アース電位)V2の間の電位差(V1−V2)による波高を有する脈流の波形となる。
【0023】
上記のようにして、電位V1,V2の差分としてのレベル(波高値)を有する整流電圧Vrtは、商用交流電源ACが正/負の各期間において、それぞれ2本の整流ダイオードを導通する。このために、整流電圧Vrtは、交流電圧VACのレベル(波高値)に対して、これら2本の整流ダイオードによる電圧降下分を差し引いたレベル(波高値)となる。例えば、1本の整流ダイオードの電圧降下が0.3Vであるとすると、整流電圧Vrtは、交流電圧VACに対して0.6V(=0.3V×2)低いレベルであることになる。
【0024】
一般的には、図1に示したブリッジ整流回路Diは、図3に示すようにして、正極出力端子と負極出力端子間にコンデンサCoを接続するようにされる。これにより、脈流としての整流電圧VrtをコンデンサCoにより平滑して直流化し、負荷RLに電力として供給するようにされる。
【0025】
本実施の形態は、発光ダイオードを発光源として使用する照明(光源)装置とされる。本実施の形態の照明装置としての基本構成を図4に示す。
この図に示すようにして、本実施の形態の基本構成は、1つのLED駆動ユニット1として構成されるものとなる。このLED駆動ユニット1は、先ず、所定数の発光ダイオードを同極性により直列接続したダイオード直列回路20−1,20−2,20−3,20−4を備える。個々のダイオード直列回路20が、従来における1つの発光ダイオードの直列接続回路130に対応する。そして、これら4つのダイオード直列回路20−1,20−2,20−3,20−4を図示するようにしてブリッジ接続することで、全体としては1つのブリッジ整流回路を形成するようにされる。本実施の形態では、このブリッジ整流回路についてLEDブリッジ回路10ということにする。
【0026】
このLEDブリッジ回路10としては、ダイオード直列回路20−1のアノード側端部と、ダイオード直列回路20−4のカソード側端部との接続点が正極入力端子となり、ダイオード直列回路20−2のアノード側端部と、ダイオード直列回路20−3のカソード側端部との接続点が負極入力端子となる。また、ダイオード直列回路20−1,20−2の各カソード側端部が正極出力端子となり、ダイオード直列回路20−3,20−4の各アノード側端部が負極出力端子となる。
【0027】
そして、図1に示したブリッジ整流回路Diと同じようにして、LEDブリッジ回路10の正極入力端子と負極入力端子に対して、それぞれ商用交流電源ACの正極ラインと負極ラインを接続し、正極出力端子と負極出力端子間に対して負荷抵抗RLを挿入するようにしてLED駆動ユニット1を形成する。
【0028】
このようにして形成されるLED駆動ユニット1の動作を、図5により説明する。図5(a)(b)は、それぞれ、商用交流電源ACが正極性/負極性となる各半波の期間に得られる動作に対応する、LED駆動ユニット1についての等価回路図である。
商用交流電源ACが正極性となる半波の期間においては、図5(a)に示すようにして、ダイオード直列回路20−1→負荷抵抗RL→ダイオード直列回路20−3の経路で整流電流Irtが流れることになる。つまり、このときには、ダイオード直列回路20−1,20−3を形成する発光ダイオードDLに整流電流Irtが流れる。これにより、ダイオード直列回路20−1,20−3を形成する全ての発光ダイオードDLが発光することになる。
また、商用交流電源ACが負極性となる半波の期間においては、図5(b)に示すようにして、整流電流Irtは、ダイオード直列回路20−2→負荷抵抗RL→ダイオード直列回路20−4の経路で流れ、ダイオード直列回路20−2,20−4を形成する全ての発光ダイオードDLを発光させる。つまり、本実施の形態では、整流電流Irtが、発光ダイオードDLを発光駆動させる駆動電流となる。
【0029】
本実施の形態のLED駆動ユニット1においては、LEDブリッジ回路10の整流電圧Vrtは、負荷抵抗RLの両端電圧として得られる。本実施の形態における整流電圧Vrtとしても、図1及び図2による説明に従って、正極出力端子の電位V1と負極出力端子間の電位V2との差分によるレベルが得られることになる。
ただし、本実施の形態においては、整流電流Irtが流れる経路において、複数の発光ダイオードDLが挿入されているので、電位V1と電位V2の差分となる整流電圧Vrtのレベルとしては、交流電圧VACに対して、これらの発光ダイオードの電圧降下分を差し引いたものとなる。
具体例として、1つのダイオード直列回路20を形成する発光ダイオードDLの数が15であるとする。また、1つの発光ダイオードDLの電圧降下Vf=3.3Vとする。すると、商用交流電源ACが正/負の各期間において、それぞれ30(=15×2)の発光ダイオードに整流電流Irtが流れることになるので、商用交流電源ACが正/負の各期間において発光ダイオードが導通することにより生じる総合的な電圧降下レベルは、3.3V×30=99Vということになる。
従って、例えば商用交流電源ACから供給される交流電圧VACのピークレベルが141Vpeakであるとすれば、整流電圧Vrtは、141−99=42Vpeakであることになる。この整流電圧Vrtが抵抗RLの両端電圧となる。
【0030】
図6は、整流電圧Vrtの波形を基として、その波形の面積により電力量を示している。
上記したことに基づけば、LEDブリッジ回路10による整流動作によって、図6の波形においてハッチングがかけられた部分の面積Pに相当する電力を発光ダイオードDL群によって消費し、残る白抜きの部分の面積Qに相当する電力を負荷抵抗RLにより消費している、ということがいえる。
【0031】
上記図4〜図6により説明した、本実施の形態としてのLED駆動ユニット1の構成によれば、例えば商用交流電源ACを直接的に入力して、発光ダイオードDLを発光駆動することが可能になる。つまり、交流を直接的に印加するようにして発光駆動させている。このことは、発光ダイオードDLの発光駆動のために、例えば図20に示したDC-DCコンバータは不要にできることを意味している。また、ダイオード直列回路20は、従来における1つのLED直列回路130に相当するものであるので、LEDブリッジ回路10としては、単純には、従来における4つ分のLED直列回路13に相当する発光ダイオードDLの発光駆動をまかなえるものとして考えることができる。
このことから、本実施の形態のLED駆動ユニット1を照明(光源)として用いる装置では、従来と比較して大幅に回路規模を縮小することが可能になる。また、これに伴うコストダウンや、消費電力の低減なども図られることになる。
【0032】
ただし、商用交流電源ACは例えば50Hz程度と、交流として相当に低い周波数である。このために、図4にも示しているように、交流として商用交流電源ACを入力した場合には、その周期に応じた比較的遅いタイミングで発光ダイオードDLの発光/非発光が繰り返される。このために、発光ダイオードDLの発光を個々で見た場合には、人間の視覚としては定常的に発光しているようには見えずに、周期的にちらつくようにして見えることになる。例えばLCDのバックライトなどの照明(光源)装置としては、定常的に光が出射される必要がある。
しかしながら、このようなちらつきは、例えば、商用交流電源ACが正の期間に発光する発光ダイオードDLと、負の期間に発光する発光ダイオードDLとを隣接させるようにして配置させるなど、発光ダイオードDLの配置の態様によって問題がない程度に解消されることが確認されている。また、発光を維持できる蛍光体素材などと発光ダイオードDLとを組み合わせることでも解消できる。
【0033】
本実施の形態としての基本構成は、上記図4〜図6により説明したものとなる。しかしながら、実際的なこととして、図4に示したそのままの回路構成の形態でもって実用化することは現状では難しい。この理由について、図7を参照して説明する。
図7は、実施の形態のLED駆動ユニット1について、説明の便宜上、LEDブリッジ回路10を形成するダイオード直列回路20−1,20−2,20−3,20−4と負荷抵抗RLとの接続関係を、図5の回路パターンにならって示している。また、ここでの例として、1つのダイオード直列回路20は、発光ダイオードDL0〜DL33までの34個を直列接続して形成されているものとしている。
【0034】
先ず、7(a)に示すようにして、交流電圧VAC(商用交流電源AC)が正極性の期間では、図整流電流Irtは、ダイオード直列回路20−1→負荷抵抗RL→ダイオード直列回路20−3の経路で流れ、ダイオード直列回路20−2,20−4には流れない。しかしながら、実際には、上記した経路で整流電流Irtが流れるのに伴い、他方のダイオード直列回路20−4、20−2において直列接続されている発光ダイオードDLには、その極性に対して逆方向のリーク電流ILEAKが流れる。つまり、リーク電流ILEAKが流れるダイオード直列回路20−2→負荷抵抗RL→ダイオード直列回路20−4の経路が形成されている。
【0035】
発光ダイオードのリーク電流量は比較的大きく、また、素子ごとのばらつきの度合いも大きい。このために、ダイオード直列回路20を形成する発光ダイオードDLに印加される電圧の分圧は、上記したリーク電流量のばらつきに応じて不定となる。このときの発光ダイオードDLとしては、リーク電流の少ないものほど大きな抵抗値を有していることと等価となる。つまり、リーク電流の少ない発光ダイオードDLほど、リーク電流により印加される電圧は大きくなる。
図7(a)に示したダイオード直列回路20−4を形成する発光ダイオードDL0〜DL33について、図7(b)においては、そのリーク電流量に応じた抵抗Rd0〜Rd33として等価的に示す。ここでは、例えばリーク電流ILEAKがダイオード直列回路20−4に流れているとして、抵抗RdOの抵抗値が、他の抵抗Rd1〜Rd33の合計よりも大きいとする。つまり、実際としては、発光ダイオードDL0〜DL33のうちで、発光ダイオードDL0に流れるリーク電流ILEAKの量が、他の発光ダイオードDL1〜DL33よりも著しく小さい場合である。この場合には、例えば抵抗RdOの両端電圧Vd0が、他の抵抗Rd1〜Rd33の直列接続の両端電圧Vd1〜d33よりも大きくなる。このような状態の実際として、発光ダイオードDL0〜DL33のうち、発光ダイオードDL1〜DL33については耐圧以下の逆方向電圧がかかっているという状態が現実に生じ得る。発光ダイオードDL0には耐圧を越えた逆方向電圧がかかっているものとする。この場合には、発光ダイオードDL0が耐圧オーバーとなって破壊されることになる。
【0036】
ここまでの説明から分かるように、発光ダイオードの耐圧が低いことが理由で、図4に示したままの構成を照明として使用することは難しい。しかしながら、上記図7(b)の説明に基づけば、例えばダイオード直列回路20において、リーク電流に対して非常に抵抗値の大きい素子が存在する場合、他の素子にかかる逆方向電圧は非常に小さくなるということがいえる。このことから、リーク電流に対して抵抗値の大きい素子を直列回路に含めるようにしてダイオード直列回路20を形成すれば、この抵抗値の大きい素子により得られる大幅な電圧降下によって、残る発光ダイオードDLについては耐圧以下の逆方向電圧の印加状態を安定的に得ることが可能である、ということになる。
【0037】
このことに基づき、本実施の形態の実際としては、図8に示すようにして、LED駆動ユニット1を構成する。なお、この図において、図4と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
図8に示すようにして、本実施の形態の実際としては、ダイオード直列回路20のそれぞれについて、少なくとも1つの整流用ダイオードD0を直列回路に含めるようにして形成する。ここでは、ダイオード直列回路20−1においては、直列接続された発光ダイオードDL群のアノード側の端部に対して、1つの整流用ダイオードD0を同極性により直列に接続している。ダイオード直列回路20−2も同様にして、直列接続された発光ダイオードDL群のアノード側の端部に対して、1つの整流用ダイオードD0を同極性により直列に接続している。
これに対して、ダイオード直列回路20−3,20−4においては、直列接続された発光ダイオードDL群のカソード側の端部に対して、1つの整流用ダイオードD0を同極性により直列に接続している。
つまり、本実施の形態では、ダイオード直列回路20において、1つの整流用ダイオードD0を、正極入力端子又は負極入力端子と接続される位置に挿入することとしている。
【0038】
これら整流用ダイオードD0は、本来が整流用途であり発光しない。また、一般的なことであるが、整流用途のダイオードは、発光ダイオードと比較して非常に高い耐圧特性を有する。また、逆方向に流れるリーク電流量も非常に少ない。
【0039】
上記した性質の整流用ダイオードD0が挿入される結果、図7の説明から理解されるように、ダイオード直列回路20−1,20−2,20−3,20−4のそれぞれにおいて、リーク電流ILEAKが逆方向に流れることにより生じる逆方向電圧Vdは、整流用ダイオードD0において著しく大きくなる。そして、このようにして、整流用ダイオードD0による逆方向電圧の著しい電圧降下が生じることで、残る発光ダイオードDLの個々に印加される逆方向電圧としては、耐圧以下となることが保証される程度に充分に低減される。
つまり、商用交流電源ACをそのまま投入したとしても、発光ダイオードが耐圧オーバーとなって破壊されることがないわけであり、充分に実用的なLED駆動ユニット1が得られているものである。
【0040】
なお、LEDブリッジ回路10において備えられる発光ダイオードDLの数については駆動電力として入力される交流(例えば商用交流電源AC)のレベルと、発光ダイオードDLの総合的な電圧降下と、負荷抵抗との兼ね合いにより決まる最大数の範囲内であれば、任意に設定されてよい。ちなみに、効率を重視するのであれば、負荷抵抗RLはできるだけ小さくして、その分、可能な限りの発光ダイオードDLをダイオード直列回路20−1〜20−4の各々に備えることになる。
また、基本的には、発光ダイオードDL及び整流用ダイオードD0の数は、ダイオード直列回路20−1〜20−4の各々で同数とされればよいが、場合によっては、ダイオード直列回路20−1〜20−4の間で、異なる本数を備えるようにして形成してもかまわない。
【0041】
上記図8に示した構成のLED駆動ユニット1を基として、R,G,Bの発光ダイオードを使用して白色光を得るための照明(光源)装置としての基本構造例について、図9に示す。
この図においては、赤色(R)対応のLED駆動ユニット1−R、緑色(G)対応のLED駆動ユニット1−G、青色(B)対応のLED駆動ユニット1−Bが1つずつ示されている。これらLED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bの基本構成は、図8に示したLED駆動ユニット1と同様である。従って、LED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bの何れにおいても、ダイオード直列回路20−1〜20−4には、それぞれ、整流用のダイオードD0が含まれている。
ただし、LED駆動ユニット1−Rは、ダイオード直列回路20−1〜20−4の各々において直列接続される発光ダイオードとしては、赤色(R)の発光ダイオードDL−Rのみを備える。同様にして、LED駆動ユニット1−Gは、緑色(R)の発光ダイオードDL−Gのみを備え、LED駆動ユニット1−Bは、青色(B)の発光ダイオードDL−Bみを備える。また、LED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bがそれぞれ備える負荷抵抗は、ここでは可変負荷抵抗RLVとなっている。
そして、このようにして形成されるLED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bを、商用交流電源ACに対して並列に接続する。つまり、LED駆動ユニット1−R,1−G,1−BにおけるLEDブリッジ回路10の正極入力端子と負極入力端子に対して、商用交流電源ACの正極ラインと負極ラインをそれぞれ接続する。
【0042】
このような構成によれば、LED駆動ユニット1−Rは、商用交流電源ACを入力してLEDブリッジ回路10にて整流動作を行い、これにより、LEDブリッジ回路10を形成している赤色の発光ダイオードDL−Rが発光駆動される。同時に、LED駆動ユニット1−GにおいてもLEDブリッジ回路10にて整流動作が行われることで、LEDブリッジ回路10を形成している緑色の発光ダイオードDL−Gが発光駆動される。また、LED駆動ユニット1−Bにおいても、同様にしてLEDブリッジ回路10を形成している緑色の発光ダイオードDL−Bが発光駆動される。
このようにして、R,G,Bの各色に対応する発光ダイオードDLが同時的に発光駆動されることで、R,G,Bの光が加色混合されて白色光が得られることになる。
そのうえで、LED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bにおいては、上記しているように、負荷抵抗として可変負荷抵抗RLVが挿入されている。この可変負荷抵抗RLVを可変する(整流電圧Vrtを可変する)ことで、LEDブリッジ回路10における発光ダイオードDLの発光光量が可変される。つまり、可変負荷抵抗RLVを小さくしていけば、LEDブリッジ回路10に流れる整流電流(すなわち、発光ダイオードDLの駆動電流である)は増加して、発光ダイオードDLの発光光量も増加する。可変負荷抵抗RLVを大きくしていけば、LEDブリッジ回路10に流れる整流電流が減少して、発光ダイオードDLの発光光量も減少する。
図9の構成では、このような発光ダイオードDLの発光光量の調整は、LED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bごとに独立して行われるものとなる。つまり、発光ダイオードDLの発光光量をR,G,B各色ごとに独立して調整可能となっている。このことは、白色光の色調などの調整にあたり、この白色光を形成するR,G,Bの各色光ごとに光量調節が可能であることを意味する。白色光の色調などの調整には、R,G,Bごとに光量調節することが効率的である。本実施の形態としても、このことを考慮し、上記のようにして、LED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bごとに負荷抵抗を可変抵抗として機能させることで、R,G,B各色ごとに独立した光量調節ができるようにしている。
【0043】
なお、図9に示した構成は、あくまでもR,G,Bの発光ダイオードを使用して白色光を得るための本実施の形態の照明(光源)装置として、最小単位となる基本構成である。例えば、実際に照明(光源)装置として使用するのに必要とされるR,G,Bの発光ダイオード数を、1組のLED駆動ユニット1によりまかなうことができない場合には、例えば、図9に示した構成を基本として、必要に応じて、LED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bのそれぞれを、適宜追加していくようにして構成しても良い。この場合において追加するLED駆動ユニット1についても、図9と同様の接続態様により、商用交流電源ACの正極ラインと負極ラインに対して、それぞれ、LEDブリッジ回路10の正極入力端子と負極入力端子を接続するようにして設ければよい。
また、照明(光源)装置として備えるLED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bごとの数は、必ずしも同数である必要はない。例えば、R,G,Bごとの発光効率の違いなどに応じて、LED駆動ユニット1−R,1−G,1−B間で、異なるユニット数となってもかまわない。また、複数のLED駆動ユニット1間で、LEDブリッジ回路10が備える発光ダイオードDL及び整流用ダイオードD0の数が異なるようにして構成されてもかまわない。
【0044】
図10は、上記図9において光量調節のために負荷抵抗を可変することとした技術概念について、より実際的な構成を示している。なお、図10において、図4,図8,図9などと同一とされる部分については同一符号を付して説明を省略する。
この図においては、説明の便宜上、商用交流電源ACに対して1つのLED駆動ユニット1を接続した回路図が示されている。なお、実際には、この図に示す構成のLED駆動ユニット1が、図9に示したようにしてR,G,Bごとに対応して設けられる構成となっていてもよい。
【0045】
図10に示されるLED駆動ユニット1においては、駆動電流制御回路3を備えている。
この駆動電流制御回路3は、4本の通常の整流ダイオードをブリッジ接続したブリッジ整流回路Diを備える。このブリッジ整流回路Diの正極入力端子と負極入力端子は、商用交流電源ACの正極ラインと負極ラインに対してそれぞれ接続される。また、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子は抵抗R21−コンデンサC1を介して、LEDブリッジ回路10の負極入力端子と接続される。ブリッジ整流回路Diの負極出力端子は抵抗R20を介して、LEDブリッジ回路10の負極入力端子と接続される。このようにして接続されていることで、ブリッジ整流回路Diは、商用交流電源ACを入力して整流するようにされる。この整流出力がコンデンサC1にて平滑されて、コンデンサC1の両端電圧として、直流電源Vccが得られる。この場合の直流電源Vccは、商用交流電源ACのレベルから、抵抗R20,R21による電圧降下を差し引いたレベルとなる。この直流電源Vccは、オペアンプ2の正極電源に接続される。オペアンプ2の負極電源は、LEDブリッジ回路10の負極出力端子(アース電位)と接続される。
【0046】
オペアンプ2の反転入力端子には、光量情報としての電圧値を抵抗R22,R23により分圧した電圧値が入力される。なお、光量情報は、同じLED駆動ユニット1が備える発光ダイオードDLの発光光量を検出するようにして設けられたフォトセンサなどから得ることができる。オペアンプ2の非反転入力端子には基準電圧Vrefが入力される。この場合、抵抗R23に対しては、駆動電流制御回路3の感度調整のための時定数コンデンサC21が並列に接続されている。
オペアンプ2の出力は、抵抗RLと、LEDブリッジ回路10の負極出力端子との間に挿入されるようにして設けられるトランジスタQ1のゲートに接続される。
【0047】
このようにして形成される駆動電流制御回路3では、オペアンプ2により光量情報としての電圧値と基準値Vrefとを比較して、その差に応じた電圧レベルをトランジスタQ1のゲートに印加する。トランジスタQ1は、このゲート電圧の印加に応じて、ドレイン−ソース間に流れる電流量を可変する。つまり、LEDブリッジ回路10に流れる整流電流Irt(発光ダイオードDLの駆動電流)のレベルを可変する。つまり、図9にて負荷抵抗の抵抗値(RLV)を可変していることと等価の制御を行っているものであり、これによって、発光ダイオードDLの発光光量が可変制御されることになる。
このような制御ループの構成において、オペアンプ2が入力する基準電圧Vrefについて、同じLED駆動ユニット1内の発光ダイオードDLについて予め設定した所要の発光光量に応じた値を設定することで、駆動電流制御回路3の動作により、上記所要の発光光量となるようにして発光ダイオードDLの発光光量が制御されることになる。例えば、図9に示したLED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bについて、それぞれを図10に示した構成としたうえで、必要とされる白色光を得るために求めたR,G,B各色の発光光量に応じて、各LED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bにおけるオペアンプ2の基準電圧Vrefを設定すれば、常に最適な白色光となるようにして、LED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bごとに発光ダイオードDL−R,DL−G,DL−Bの光量制御が行われることになる。
【0048】
ところで、交流電力の可変制御として、いわゆる導通角制御、あるいは位相制御といわれる制御方式が知られている。この導通角制御のための構成について、図11を参照して説明する。
この図11では、導通角制御を行う回路部として導通角制御回路4を示している。また、ここでは、説明を分かりやすいものとするために、交流電力が供給される負荷として白熱電球を使用した場合を例に挙げることとする。周知のようにして、導通角制御による交流電力制御は、白熱電球以外にも、抵抗性の負荷全般について有効である。
【0049】
この場合の導通角制御回路4は、商用交流電源ACの一方の極(ここでは正極とする)のラインに対してACコンセント4aを挿入している。このACコンセント4aに対して、例えば白熱電球30のフィラメントと接続されているACプラグを差し込むことで、白熱電球30のフィラメントが、負荷として商用交流電源ACのラインに挿入される状態となる。
このACコンセント4a(負荷)を介した商用交流電源ACの正極ラインと、商用交流電源ACの負極ラインとの間には、可変抵抗VRと時定数コンデンサCtの直列回路を接続する。また、可変抵抗VRと時定数コンデンサCtの接続点に対しては、トリガダイオードDtgを介して、トライアックTRCのゲート(G)と接続する。トライアックTRCの端子T1は、商用交流電源ACの負極ラインと接続する。また、端子T2は、ACコンセント4a(負荷)を介して商用交流電源ACの正極ラインと接続する。
【0050】
トライアックTRCは、ゲート(G)に対して正極又は負極のトリガパルスptgが印加されると、端子T1−T2間をオフからオンの状態にターンオンさせる。端子T1−T2間がオンになると、商用交流電源ACが、ACコンセント4aに接続された負荷(白熱電球30のフィラメント)に供給されることになる。
このとき、トライアックTRCの端子T1−T2間に印加されるのは商用交流電源AC、つまり交流である。交流は、1周期における0°,180°,360°にて0クロスするが、この0クロスの状態に応じて端子T1−T2間の電圧差が0になると、これまでオン状態にあったトライアックTRCはターンオフして、以降はゲート(G)に対してトリガパルスptgが印加されるまでオフ状態を維持する。
【0051】
この場合、トリガパルスはトリガダイオードDtgにより出力する。
トリガダイオードDtgは、周知のようにして、その品種に応じて決まるブレークオーバー電圧以上の電位差が端子間に印加されると、パルス状のブレークオーバー電流が流れる素子である。また、このような動作が、交流波形に対して反応して得られる両極性の素子である。図示するようにして、トリガダイオードDtgの一端をトライアックTRCのゲート(G)と接続することで、上記パルス状のブレークオーバー電流に基づく出力が、トリガパルスptgとしてトライアックTRCのゲート(G)に印加されることになる。
【0052】
そして、可変抵抗VRと時定数コンデンサCtの直列接続から成る時定数回路が、上記トリガダイオードDtgに対してブレークオーバー電圧以上の電位差を与えるタイミングを可変する回路として機能する。
トリガダイオードDtgの他端は、可変抵抗VRと時定数コンデンサCtとの接続点と接続されている。このために、トリガダイオードDtgに印加される交流電圧としては、この時定数回路(VR,Ct)の時定数に応じて、交流電源ACに対して位相がシフトしたものとなる。そのうえで、可変抵抗VRの抵抗値を可変して、時定数回路として時定数を可変することで、トリガダイオードDtgに印加される交流電圧についての、交流電源ACに対する位相シフト量も可変されることになる。これに応じて、トリガダイオードDtgからトリガパルスptgが出力されるタイミングも、商用交流電源ACの周期タイミングに対して変化することになる。
【0053】
図12は、トリガパルスptgの出力タイミングに応じた交流電源の電力制御を模式的に示している。図12では、商用交流電源ACに対応する1周期分のsin波(正弦波)が示されている。この正弦波内においてハッチングを施すことで、トライアックTRCの端子T1−T2間がオンとなっている状態を示すこととする。また、このハッチングが施された領域の面積は、負荷に供給する電力量を1周期内における割合として示すものとなる。
先ず、図12(a)は、商用交流電源ACの1周期において、トライアックTRCの端子T1−T2が定常的にオンとなっている状態が示されている。この場合、商用交流電源ACとしての電力は、負荷に対して100%供給されている状態にあるとみることができる。この図12(a)での図示はしていないが、このときのトリガパルスptgは、例えば、正弦波の0°(360°),180°に対応するゼロクロスタイミングで出力される状態である。
【0054】
ここで、図12(a)に示される状態から、時定数回路(VR、Ct)の可変抵抗VRの抵抗値を可変して、トリガパルスptgの出力タイミングを、商用交流電源ACのゼロクロスタイミングから或る一定量遅延させていったとする。
つまり、図12(b)(c)(d)のトリガパルスptgとして示すようにして、トリガパルスptgの出力タイミングについて、商用交流電源ACの0°(及び180°)から段階的に遅延させたとする。
前述もしたように、トライアックTRCは、トリガパルスptgが印加されるタイミングでターンオンすると、次に端子T1−T2間の電位差が0となるタイミング(つまり商用交流電源ACのゼロクロスタイミング)に至ってターンオフする。このために、図12(a)(b)(c)に示すようにして、トリガパルスptgの出力タイミングが0°(及び180°)から遅延していくのに応じて、端子T1−T2間がオンとなって負荷に電力を供給する期間も短くなってくる。そして、これに伴って、商用交流電源ACの1周期において負荷に供給される交流電力量としても減少していくことが分かる。ちなみに、図12(b)(c)(d)は、それぞれ、交流電力の供給量について90%、50%、10%の場合を示しているものとされる。図12(c)に示す交流電力の供給量が50%のときには、トリガパルスptgがちょうど90°(及び270°)のときに出力され、これに応じて、負荷への電力供給期間(端子T1−T2のオン期間)は90°〜180°(及び270°〜360°)となる。
また、図11に示した構成に、図12(a)(b)(c)(d)に示した導通角制御状態を対応させると、図12(a)の制御状態のときが、白熱電球30は最大の発光量であり、最も明るくなる。そして、図12(b)(c)(d)の順に従って供給電力量が低減していくのに応じて、白熱電球30の発光量は低減して、明るさも低減していくことになる。
【0055】
本実施の形態のLED駆動ユニット1としても、交流電力の供給を受けて発光ダイオードDLを発光駆動する。従って、図11に示した導通角制御回路4の構成を備えることで、交流電力制御によって発光ダイオードDLの発光量を制御できるということがいえる。
図13は、図11に示した導通角制御回路4の構成を、本実施の形態のLED駆動ユニット1において備えることとした場合の回路構成を示している。例えばこの図に示すLED駆動ユニット1としては、図4に示したのと同じ構成の導通角制御回路4を商用交流電源ACと接続するようにして備えるようにされる。そのうえで、図11では白熱電球30のACプラグ31を差し込む部位とされていたACコンセント4aの箇所に対して、LEDブリッジ回路10の正極入力端子と負極入力端子を接続する。これにより、LED駆動ユニット1としては、LEDブリッジ回路10及び負荷抵抗RLVから成る回路を負荷として、導通角制御回路4により導通角制御を行うことが可能になる。
【0056】
このような図13に示す構成であれば、導通角制御回路4の可変抵抗VRの抵抗値を可変することで、図12にて説明した原理によって、負荷であるLEDブリッジ回路10及び負荷抵抗RLVから成る回路部に供給される交流電力量が変化することとなり、この結果、LEDブリッジ回路10を形成する発光ダイオードDLの発光量が可変されることになる。
その上で、この図では、図9の構成に準じて、負荷抵抗について可変抵抗RLVとしていることで、この可変抵抗RVLの可変による発光ダイオードDLの発光量制御も同時に行えるようになっている。なお、実際としては、可変抵抗RLVに代えて、図10に示した駆動電流制御回路3を備える構成としてよい。
【0057】
図14は、図13のLED駆動ユニット1において行われる、可変抵抗RLVの可変と、導通角制御回路4による交流電力制御とを併用した場合における電力供給の状態を、先の図12に倣って模式的に示している。
図14(a)(b)に、導通角制御回路4による交流電力供給制御として、50%の状態と10%の状態を示す。ここで、可変抵抗RLVの抵抗値として、或る基準値をRLとする。可変抵抗RLVの抵抗値について、基準値RLを設定した場合には、図14(a)(b)において破線で示す正弦波の領域内に対応する電力供給となるのであるが、例えば可変抵抗RLVの抵抗値について基準値RLから低減させていったとすると、これに応じて整流電流(駆動電流)Irtが増加することになって、ダイオード直列回路20において消費される電力量が増加する。図14(a)(b)によれば、可変抵抗RLVの抵抗値について基準値RLの1/2を設定したとすると、単位時間あたりの供給電力量はほぼ2倍に増加することがわかる。このときには、発光ダイオードDLの発光量も供給電力量に応じて増加する。
【0058】
このようにして、本実施の形態のLED駆動ユニット1としては、発光ダイオードDLの光量制御について、負荷抵抗RL(RLV)の可変による駆動電流量の可変と、導通角制御による電力量制御との、2つの自由度を持つ制御を行うことが可能とされている。これにより、例えば、LED駆動ユニット1ごとに必要とされる発光量を得るための調整が容易になる。
また、例えば従来においては、図21にて説明したように、DC-DCコンバータにより直流電圧を生成して定電流化を行ったうえで、PWM制御によって光量調整をする構成を採っていた。つまり、光量制御に関しても、DC-DCコンバータが必要となる。これに対して、本実施の形態では、パルス幅の制御に代えて、導通角制御によって光量制御を行っている。導通角制御は、交流のままの波形を対象として制御するものであり、従って、図13からも分かるように、一次側での制御が可能となっている。また、負荷抵抗の可変による駆動電流(Irt)の可変も、基本的には一次側において負荷抵抗RLの値を可変するものであり、また、負荷抵抗RLの可変と等価の制御を行うための構成としても、図10の駆動電流制御回路3のようにして、小数の部品により形成できる。このことから、本実施の形態としては、発光ダイオードDLの発光量を制御する構成を付加したとしても、DC-DCコンバータを備えることと比較すれば、回路規模は大幅に縮小されることになる。DC-DCコンバータは、トランスなどをはじめとする大型で重量のある部品も含むことから、実際における回路の小型軽量化、及び低コスト化などの効果は著しい。また、発光ダイオードDLの光量制御が、一次側にてほぼ直接的に行われることで、電力変換の損失も低減される。
【0059】
なお、導通角制御回路としては、トリガパルスptgの出力タイミングを、制御部(CPU:マイクロコンピュータ)により制御する構成を採ることもできる。これに対応する導通角制御回路4Aの構成を図15に示しておく。
図15に示す導通角制御回路4Aにおいては、先ず、商用交流電源ACの一方の極のライン(ここでは正極ラインとする)に対して抵抗RLが接続されている。本実施の形態のLED駆動ユニット1の場合、ここでの抵抗RL1は、電力供給対象となる負荷を示すもので、図13の場合であれば、LEDブリッジ回路10と負荷抵抗RL(RLV)から成る整流回路系を、この抵抗RL1に代えて接続していることになる。
そのうえで、上記抵抗RL1を介した商用交流電源ACの正極ラインと、商用交流電源ACの負極ライン間に対して、抵抗RsとコンデンサCsの直列接続回路を挿入する。また、し、トライアックTRCは、上記抵抗RL1を介した商用交流電源ACの正極ラインに対して端子T2を接続し、商用交流電源ACの負極ラインに対して端子T1を接続するようにして設ける。
また、フォトトライアックカプラ41のフォトトライアックの一端を、抵抗Rtを介して、抵抗RL1側と接続し、フォトトライアックの他端を抵抗Rgを介して商用交流電源ACの負極ラインと接続する。トライアックTRCのゲート(G)は、フォトトライアックと抵抗Rgとの接続点に対して接続される。
また、フォトトライアックカプラ41のフォトダイオードのアノードは、抵抗Rbを介して所定レベルの直流電源と接続され、カソードは、スイッチSWを介して接地される。
スイッチSWは、ここでは図示していない制御部が出力するスイッチオン/オフ制御信号S1によりオン/オフ制御される。
【0060】
例えば制御部は、商用交流電源ACの波形を成形するなどの所定の処理を施してゼロクロスタイミングを検出する。そして、検出したゼロクロスタイミングを基準として、必要とされる電力量に応じて、スイッチSWを、トリガパルスptgに対応するタイミングでオン/オフ制御する。これにより、フォトトライアックカプラ41においては、パルス的な信号がフォトダイオードからフォトトライアックに伝達されることとなって、フォトトライアックもパルス的に導通する状態となる。このタイミングで、トライアックTRCのゲートに対してトリガパルスptgが印加されることになる。トリガパルスptgが印加されたトライアックTRCの動作は、例えば図12により説明したとおりである。このようにして、図15に示す構成では、制御部によって交流電力供給量の制御が行われる。制御部が検出する上記ゼロクロスタイミングは、相応に高い精度を有している。そこで、この構成は、例えば、図13の導通角制御回路4における時定数回路(VR,Ct)では、トリガパルスptgの出力タイミングについて要求される精度を満たすことが難しいような場合に採用することができる。
【0061】
図16は、本実施の形態のLED駆動ユニット1に対応した、発光ダイオードの光量制御のための制御ループの構成例を示している。なお、この図において、図22と同一とされる部分については同一符号を付して説明を省略する。
この場合には、LEDブリッジ回路10が備える発光ダイオードDLの発光光量をフォトセンサ150にて電流として検出して、I−Vアンプ151により電流−電圧変換を行い、さらにA/Dコンバータ152によりデジタル値に変換して制御部140に出力する。
制御部140は、入力された光量情報としての電圧値と、メモリ153に記憶される光量制御データに基づいて、駆動電流制御回路3を制御するための制御値と、導通角制御回路4を制御するための制御値を得る。そして、この制御値に基づいて、駆動電流制御回路3及び導通角制御回路4を制御する。駆動電流制御回路3の制御は、例えば図10に示した駆動電流制御回路3において、オペアンプ2に入力される基準電圧Vrefを可変するようにされる。また、導通角制御回路4の制御としては、可変抵抗VRの抵抗値を可変制御して時定数回路(VR,Ct)の時定数を変更するようにされる。あるいは、図15に示す導通角制御回路4Aの構成を採用して、スイッチSWのオン/オフタイミングを制御するようにされる。
これにより、LED駆動ユニット1における発光ダイオードDLの発光量は常に適正となるようにして制御されることになる。
【0062】
前述もしているが、従来においては、このような発光ダイオードDLの発光制御は、図21、図22に示したように、DC-DCコンバータを備えて定電流化を図ったうえで、PWM制御をかけていたものである。
これに対して、本実施の形態では、一次側における駆動電流制御と導通角制御により発光ダイオードDLの発光量制御が可能となっている。制御部は、これら駆動電流制御と導通角制御のためのパラメータを制御すればよい。
【0063】
これまでにおいては、本実施の形態のLED駆動ユニット1は、商用交流電源ACを入力して動作させるものとして説明してきたが、商用交流電源AC以外の交流を入力して動作させることも可能である。つまり、商用電源周波数以外の交流電力を入力して動作可能である。
つまり、例えば図17に示すようにして、商用交流電源ACをAC-DCコンバータ50(整流平滑回路でもよい)により直流化する。そして、このAC-DCコンバータ50の出力をDC-ACコンバータ51に入力して、例えば商用交流電源ACよりも高い所定周波数の交流電力を出力させるようにする。LED駆動ユニット1は、このAC-DCコンバータ50の出力を入力して動作する。このようにして高い周波数による交流電力でLED駆動ユニット1を駆動することのメリットとしては、交流の半波ごとの期間で繰り返される発光ダイオードDLの発光/非発光の周期が短くなることで、容易に発光のちらつきを解消できることが挙げられる。
なお、ここで留意すべきことは、図17に示すようにしてAC-DCコンバータ50、及びDC-ACコンバータを備えてLED駆動ユニット1を駆動する構成とした場合においても、従来の構成と比較して、回路規模の縮小効果は失われないことである。従来としては、図20に示したように、1つのLED直列回路ごとにDC-DCコンバータを備える必要がある。これに対して、本実施の形態では、第1に、従来におけるLED直列回路が、LEDブリッジ回路を形成するブリッジ接続単位である、ダイオード直列回路20−1,20−2,20−3,20−4の個々に対応する。つまり、単純には、1つのLED駆動ユニット1により、従来の4つのLED直列回路をまかなっていると考えることができる。また、図9に示したように、本実施の形態では、複数のLED駆動ユニット1を、共通の交流入力電源に対して並列的に接続して使用することができる。従って、図17の構成の下でも、DC-ACコンバータの出力を交流入力電源として接続されるLED駆動ユニット1は、複数もうけることができる。つまり、本実施の形態では、1つの電力変換系統(AC-DCコンバータ50、及びDC-ACコンバータ)に対して、実質的に複数のLED直列回路を接続することが可能となっている。この点で、従来におけるDC-DCコンバータとは相違している。
【0064】
これまでに説明した本実施の形態のLED駆動ユニット1を用いた照明装置の用途としては、1つには、LCDなどの自発光でないディスプレイデバイスにおいて使用される光源(光源部)を考えることができる。このような光源装置は、一般にはバックライトなどともいわれる。
本実施の形態のLED駆動ユニット1を使用するバックライトとしては、例えば次のように構成することが考えられる。
先ず、ディスプレイデバイスのバックライトは、通常は、白色光であることが要求される。このために、発光ダイオードの種類としてはR,G,B各色に対応したものを必要とする。そして、実際のバックライトパネルのサイズなどに対応して必要とされる数の、R,G,Bの発光ダイオードを用意して、各種の条件を考慮して適切とされる配置パターンにより、これらの発光ダイオードをバックパネルとしての基板に取り付ける。
そして、これらの発光ダイオードDLを使用して、例えば図9に例示したようにして、R,G,Bの発光ダイオードごとに、LED駆動ユニット1としての回路を形成する。この際、1つのダイオード直列回路20に備えられる発光ダイオードの数などは、発光ダイオードの直列群による電圧降下レベル、実際の配線、放熱、電力消費、などを考慮して設定されるべきものとなる。また、先にも述べたことであるが、R,G,B各色に対応するLED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bは、必要に応じて複数が設けられてよく、このバックライトを構成する場合においても、LED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bごとに必要数を設けることになる。そして、このようにして構成したバックライトを、例えばLCDパネルと組み合わせて、LCDの画像表示装置を構成する。
【0065】
また、本実施の形態のLED駆動ユニット1に基づいた照明装置は、バックライト以外の光源として使用することも可能である。例えば画像をスクリーンに投影するプロジェクタ装置などの光源として使用することも考えられる。また、このような表示装置の光源としてだけではなく、通常の照明として使用することも可能である。通常の照明として使用した場合にも、発光ダイオードを使用する照明としては、従来よりも大幅な回路規模の縮小、及びコストダウンなどの効果が得られるものである。また、さらには、発光ダイオードの配置などを文字的なものとするなどして、表示器として使用することも可能である。これらのことから、本発明としては、R,G,Bの光3原色に限定されることなく任意の単色、あるいは複数の色の発光ダイオードを用途に応じて使用してかまわない、といえる。
また、例えば将来的に発光ダイオードとして耐圧が充分に高いものが入手可能となった状況が来た場合には、図4に示した基本構成により、本発明に基づいた照明装置を構成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施の形態の前提となるブリッジ整流回路を示す回路図である。
【図2】図1に示すブリッジ整流回路の動作を示す波形図である。
【図3】ブリッジ整流回路に対して平滑用のコンデンサを付加した一般的な整流平滑回路の構成例を示す回路図である。
【図4】実施の形態のLED駆動ユニットの基本構成を示す回路図である。
【図5】図4に示すLED駆動ユニットについて、交流入力電源が正/負の各期間での動作を示す回路図である。
【図6】実施の形態のLED駆動ユニットにおける電力消費の状態を模式的に示す図である。
【図7】実施の形態のLED駆動ユニットに関して、発光ダイオードのリーク電流により生じる逆方向電圧を説明するための回路図である。
【図8】実用化のための実施の形態のLED駆動ユニットの構成を示す回路図である。
【図9】実施の形態のLED駆動ユニットを使用して白色光を得る照明装置の基本構成を示す回路図である。
【図10】駆動電流制御回路を備える実施の形態のLED駆動ユニットの構成例を示す回路図である。
【図11】一般的な導通角制御回路の構成を示す回路図である。
【図12】導通角制御回路による交流電力制御を説明する図である。
【図13】導通角制御回路を備えた実施の形態のLED駆動ユニットの構成例を閉めず回路図である。
【図14】実施の形態のLED駆動ユニットについて、駆動電流制御と導通角制御とを併用した場合の発光量制御を説明する図である。
【図15】導通角制御回路の他の構成例を示す回路図である。
【図16】実施の形態のLED駆動ユニットに対応する発光ダイオードの発光量を制御するための制御ループ構成を示す図である。
【図17】商用交流電源AC以外の交流電源により、実施の形態のLED駆動ユニットを駆動する場合の構成例を示す図である。
【図18】従来としてのバックライトを形成する、LEDセル及びLEDセルユニットの構造例を示す図である。
【図19】従来としてのバックライトパネルにおけるLEDセルユニットの配置パターン例を示す図である。
【図20】従来において、バックライトパネルの発光ダイオードを駆動するための構成例を示す図である。
【図21】従来における発光ダイオードの発光量制御の構成を示す図である。
【図22】従来における発光ダイオードの発光量制御ループの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1(1−R,1−G,1−B) LED駆動ユニット、2 オペアンプ、3 駆動電流制御回路、4,4A 導通角制御回路、10 LEDブリッジ回路、20(20−1,20−2,20−3,20−4) ダイオード直列回路、30 白熱電球、31 ACプラグ、41 フォトトライアックカプラ、140 制御部、150 フォトセンサ、151 I−Vアンプ、152 A/Dコンバータ、153 メモリ、RL 負荷抵抗、RLV 可変負荷抵抗、VR 可変抵抗、Ct 時定数コンデンサ、Dtg トリガダイオード、TRC トライアック
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード素子を用いた照明装置、及びこの照明装置の構成を光源とする画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイデバイスでは、バックライトといわれる光源(照明)を使用して可視光による画像表示を行うようにされているが、近年では、このバックライトとして、発光ダイオード素子(LED:Light Emitting Diode、以降、「発光ダイオード」という)を使用するものが知られるようになってきている。発光ダイオードをバックライトとして使用するのにあたっては、赤(R)、緑(G)、青(B)の各原色を発光する発光ダイオードを使用して、これらを発光させて得た光を加法合成により光学的な混色を行って白色光を得る、という手法を採ることが一般に行われている。
【0003】
このようなR,G,Bの3原色に対応する発光ダイオードを使用する光源を実際に発光駆動するのにあたっては、画像表示に用いるマトリクス駆動方式に準じた構成を採ることが考えられる。
マトリクス駆動方式は、周知のようにして、画素をX方向(水平方向)/Y方向(垂直方向)に沿ってマトリクス状に配置するとともに、これらの画素に対応させるようにして、X方向(水平方向)/Y方向(垂直方向)に沿って所要の電極を配置させる。そして、発光させるべき画素の設定と、発光させるべき時間設定とに基づいて、これらの電極を所要のタイミングで駆動するようにされる。なお、このときの駆動タイミングは、マトリクス駆動方式の範疇における駆動方式の相違により異なってくる。このようにして、画素が駆動されることで、例えば画素ごとに階調が表現されて、画面全体としては可視光による画像が表示されることになる。
しかしながら、このようなマトリクス方式の駆動回路系は複雑であり、コストも高い。特に、バックライトなどの照明用途では、各発光ダイオードにおける消費電力が比較的大きい。現状において、マトリクス駆動を実現するLSIなどの部品は、このような大電力駆動に対応するものがほとんどない状況にある。このような事情から、マトリクス方式の駆動回路系光源を駆動する構成として採用することは、現実的ではないとされている。
【0004】
また、R,G,Bの3原色に対応する発光ダイオードを使用したバックライトを構成することとした場合において問題に挙げられるのが、R,G,B各色の発光ダイオードの発光効率、降下電圧、消費電力等の差異である。発光ダイオードの半導体組成は、各色ごとに異なっており、このことが上記しているような発光ダイオードの特性の相違となって現れる。このために、R,G,B各色の発光ダイオードごとに対応させてそれぞれを独立的に駆動したうえで、各色ごとに光量調整することが、良好な白色光を得るのには有利であるとされている。
【0005】
上記したことなどを背景として、R,G,Bの3原色に対応する発光ダイオードを使用したバックライトを駆動するのにあたっては、次のような基本構成が一般的となっている。
先ず、バックライトを形成するユニットの最小単位として、図18(a)に示すようにして、発光ダイオードセル100を設ける。発光ダイオードユニットは、所定色の発光ダイオードを所定数用意して、これらの発光ダイオードを基板などの所定位置に配置し、さらに、配置した発光ダイオードについて所定パターンによる電気的接続を行って形成される。図18(a)の場合には、R(赤)に対応する赤色発光ダイオードDL-R、G(緑)に対応する緑色発光ダイオードDL-G、及びB(青)に対応する青色発光ダイオードDL-Bをそれぞれ2つずつ、合計で6つ用意している。そして、これらの発光ダイオードを、図に示すようにして、左側から右側にかけて、青−緑−赤−青−緑−赤の順に対応させて配置することとしている。そのうえで、各色ごとの発光ダイオードを、同じ極性により直列に接続する。
なお、LEDセルにおける発光ダイオード素子の配置パターンは、この図に示す以外のバリエーションがあり得る。発光ダイオード素子の配置パターンは、例えば、実際に使用する発光ダイオードの定格、発光効率などに応じて、R,G,Bによる混合色として得られる白色光が良質なものとなるようにすることを考慮して決定する。
【0006】
このようにして形成されるLEDセル100は、同じ図18(a)に示すようにして、R,G,B各色ごとの発光ダイオードの直列接続のアノード側とカソード側の何れについても、他の同型のLEDセル100と接続することができる。このようにして、LEDセル100を連結するようにして接続していくことで、接続されるLEDセル数に応じて、R,G,B各色ごとに対応する発光ダイオードの直列接続数が増加していくことになる。
【0007】
そこで、所要数のLEDセル100を接続したものを1つのユニットとして形成する。この具体例として、図18(b)には、3つのLEDセル100を連結するようにして接続して、1ユニットを形成している。ここでは、このユニットをLEDセルユニット101ということにする。1つのLEDセル100が備える発光ダイオードの色としては、R,G,Bがそれぞれ2つずつとなるので、LEDセル100における発光源としての色数を、(2R,2G,2B)として表現することとする。図18(b)の例では、LEDセルユニット101が3つのLEDセル100から成るので、3(2G,2R,2B)=(6G,6R,6B)として表すことができる。
【0008】
そして、上記のようにして形成したLEDセルユニット101単位で、平面的に配置することで、例えばバックライトとしての機能を持つパネルを構成するようにされる。上記図18(b)に示したLEDセルユニット101により形成したバックライトパネル110の例を図19に示す。
図19においては、行g1〜g5と列m1〜m4による4行×5列のマトリクスによりLEDセルユニット101を配置してバックライトパネル110を形成している。
このバックライトパネル110においては、赤色発光ダイオードDL-Rは、6×5×4=120個を備えることになる。同様にして、緑色発光ダイオードDL-Gと青色発光ダイオードDL-Bも120個を備え、合計360個(=120×3)の発光ダイオードを備えることになる。
【0009】
前述もしたように、このようにして、R,G,Bで発光色の異なる多数個の発光ダイオードについて、良好な白色光が得られるようにしてマトリクス駆動方式に準じた発光駆動を行うことは現実的ではないとされており、現状においては、例えば以降説明するような方式による駆動が一般に行われている。
【0010】
図20は、図19に例示した構造のバックライトパネルに対応して発光ダイオードを駆動する構成を概念的に示している。
バックライトパネルを形成するLEDセルユニット101については、行g1〜gnごとにおいて、水平方向に連結するようにして接続する。これにより、行g1〜gnの各行において、列m1〜mnに対応する順で、R,G,B各色に対応する発光ダイオードが直列接続されることになる。
【0011】
このようにして発光ダイオードを接続したうえで、図示するようにして、行g1〜gnの各行ごとにおいて、R,G,B各色に対応する3つのDC-DCコンバータ120−R、120−G、120−Bを設ける。そして、DC-DCコンバータ120−Rの出力を、赤色発光ダイオードDL-Rの直列接続回路のアノード側の端部(列m1に位置するLEDセルユニット101のアノード側の接続位置)と接続する。同様にして、DC-DCコンバータ120−G、120−Bの出力を、それぞれ、緑色発光ダイオードDL-Gの直列接続回路のアノード側端部、青色発光ダイオードDL-Bの直列接続回路のアノード側の端部に対して接続する。
このような構成が採られることで、DC-DCコンバータ120−Rから出力される直流電源により、1つの行において直列接続される赤色発光ダイオードDL-Rに直流の駆動電流を流すようにされ、これら赤色発光ダイオードDL-Rが発光するように駆動される。同様にして、DC-DCコンバータ120−Gから出力される直流電源により、同じ行において直列接続される緑色発光ダイオードDL-Gが発光駆動される。また、DC-DCコンバータ120−Bから出力される直流電源により、同じ行において直列接続される緑色発光ダイオードDL-Bが発光駆動される。このような駆動回路系の構成が、行ごとに形成されることになる。
【0012】
図21は、1つの発光ダイオードの直列接続回路に対応する駆動回路に相当するとされる部位の構成を、より実際的に示している。
この場合、DC-DCコンバータ120の出力である直流電源Vccは、抵抗R42を介するようにして、発光ダイオードを直列接続したLED直列回路130のアノード側端部に印加される。これにより、LED直列回路130を形成する発光ダイオードDLに駆動電流ILEDが流れる。
また、DC-DCコンバータ120は、所定の直流電源Vccの設定に対して、抵抗R42による電圧降下を所定タイミングで検出して、一定量の駆動電流ILEDが流れるように、定電流制御を行うようにもされている。この定電流制御のために、抵抗R41、コンデンサC41、スイッチ用トランジスタQ12、及びサンプルタイミング生成/スイッチ駆動回路131を付加している。この場合のサンプルタイミング生成/スイッチ駆動回路131は、ANDゲート132を介して入力されるPWM信号(矩形波信号)に基づいて、サンプルホールドタイミングを発生させ、このサンプルホールドタイミングで、サンプルホールドスイッチとして機能するトランジスタQ12のオン/オフ制御を行う。これにより、DC-DCコンバータでは、サンプルホールドタイミングに応じて抵抗R42による電圧降下を検出することになる。この検出した電圧降下レベルに応じて、直流電源Vccとして供給する電力についての定電流制御を行う。また、この図では、例えば温度などを検出するセンサ142の検出結果に応じて、制御部(CPU)140がレベルシフト回路141を制御することで、DC-DCコンバータ120が定電流制御のために使用する基準レベルLrefを可変できるようにしている。これにより、駆動電流ILEDとして、温度変化に対応した適切な定電流量が得られるようにもされている。
また、ここでは図示しないドライバから供給されるPWM信号により、PWM信号周期でトランジスタQ11のオン/オフコントロールを行って、駆動電流ILEDの導通/非導通を制御するようにされている。これにより、PWM信号の1周期内におけるパルス幅に応じて、単位時間あたりにおける駆動電流ILEDの導通時間が制御されることになる。つまり、発光ダイオードの発光量を制御することができる。また、この図では、PWM信号とオン/オフ信号とを入力するANDゲート132の出力をトランジスタQ11のゲートに印加することとしている。つまり、上記した発光ダイオードの光量制御(及び定電流制御)を、オン/オフ信号のHレベル/Lレベルの切り換えにより、オン/オフ設定できるようになっている。このオン/オフ信号は、例えば制御部140が、動作状況などに応じてHレベル/Lレベルの切り換えを行って出力する。
【0013】
また、図22に、上記した発光ダイオードの光量制御のための制御ループの構成を示しておく。なお、この図において図21と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
フォトセンサ150は、LED直列回路130を形成する発光ダイオードDLの光量を電流量として検出して出力し、この出力電流をI−Vアンプ151に対して入力する。I−Vアンプ151は、オペアンプOP、抵抗R31、コンデンサC31、抵抗R32、及びコンデンサC32を図示するようにして接続して形成される増幅器であり、入力された電流量を電圧値に変換するようにして動作する。このI−Vアンプ151から出力されたアナログの電圧値は、A/Dコンバータ152によりデジタル値に変換されて検出光量値の情報として制御部140に入力される。
制御部140では、例えば不揮発性のメモリ152に記憶されている光量制御データを参照して、入力された検出光量値に対応する制御値を取得し、この制御値によりドライバ154を制御する。ドライバ154は、この制御に応じて、PWM信号のパルス幅を可変してトランジスタQ11に印加する。これにより、適正光量が得られるようにして、発光ダイオードDLの発光量が可変制御されることになる。このような光量制御は、例えば適正な白色光を維持するために行われる。つまり、R(赤),G(緑),B(青)の各色ごとに対応して発光ダイオードの発光量を制御することで、適正な白色光を得ることのできるR(赤),G(緑),B(青)の各色の発光量のバランスをとるものである。前述委もしたように、発光ダイオードの発光効率は発光色に応じて異なるので、現状では、このようにして、各色ごとに独立した制御ループによって発光ダイオードの光量制御を行うことが適切であるとされている。
【0014】
【特許文献1】特開2001−272938号公報
【特許文献2】実開昭63−64059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記図18〜図22に示したバックライトとしての照明装置の構成は、例えば、マトリクス方式に準じた駆動を行う場合と比較すれば、回路規模を抑えることは可能であるが、依然として、回路規模は相応に大きなものとならざるを得ない。
例えば、図20に示したようにして、発光ダイオードを駆動するための電力を供給するのにはDC-DCコンバータを用いて直流により駆動することとしている。発光ダイオードを照明として使用する場合には電力も相応に必要となることから、DC-DCコンバータとしては、例えば発光ダイオードの直列接続回路に応じた数を設けるなどして、安定した発光動作を得るようにしている。つまり、比較的多数のDC-DCコンバータを必要とするものであり、これにより回路規模の縮小を困難にしている。DC-DCコンバータは、例えばトランスなどの大型の部品を備える。
また、このようにしてDC-DCコンバータを多数備えることによっては、DC-DCコンバータにおける総合的な電力損失もその分増加することとなって、消費電力の点でも不利となる。
さらに、図21及び図22に示したように、発光ダイオードの光量制御及び定電流制御等を行うための制御回路系についても、発光ダイオードの直列接続回路ごとに設ける必要があり、このことも、回路規模の縮小を阻害する要因となっている。
このようにして、現状においても、発光ダイオードを照明の発光源として使用する装置についての回路規模の縮小は或るレベルでとどまっており、より簡易で小規模な構成とすることが求められている、ということがいえる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そこで本発明は上記した課題を考慮して、照明装置として、交流を入力して整流を行うブリッジ整流回路を備えるようにする。そして、このブリッジ整流回路は、少なくとも所定の複数の発光ダイオード素子を直列接続して形成される単位直列回路をブリッジ接続して形成することとした。
【0017】
また、画像表示装置として次のように構成することとした。
本発明の画像表示装置は、光源としての光を入射して画像表示を行うために、光源としての光を出射する光源部を備え、この光源部について、交流を入力して整流を行うブリッジ整流回路を設ける。そして、このブリッジ整流回路について、所要の複数の発光ダイオード素子を直列接続して形成される単位直列回路をブリッジ接続して形成することとした。
【0018】
上記各構成においては、ブリッジ整流回路として、複数の発光ダイオード素子を直列接続した単位直列回路をブリッジ接続したものを備える。このようにして形成されるブリッジ整流回路は、単位直列回路を形成する発光ダイオード素子の数にもよるが、相応に多数の発光ダイオード素子を備えることになる。そして、このブリッジ整流回路に交流を入力すれば、その整流動作の結果として流れる整流電流が発光ダイオード素子の駆動電流となり、これらの発光ダイオード素子を発光させることになる。
つまり、本発明としては、交流を入力して比較的多数の発光ダイオード素子を発光駆動することが可能となっている。このことは、例えば発光ダイオード素子を駆動するのにあたって、従来のようにして、発光ダイオード素子の直列接続回路ごとにDC-DCコンバータを設ける必要がない、ということにつながる。
【発明の効果】
【0019】
このようにして、本発明は、発光ダイオード素子を照明(光源部)として使用する装置について、発光駆動のための構成を大幅に縮小することができる。これにより、装置の小型軽量化、低コスト化、及び低消費電力化などのメリットが得られることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
先ず、図1〜図3により、本発明の実施の形態の前提となる構成について説明しておくこととする。
図1(a)(b)には、ブリッジ整流回路Diが示されている。このブリッジ整流回路Diは、図示するようにして、4本の整流素子である整流ダイオードD1,D2,D3,D4をいわゆるブリッジ接続して形成される。
このブリッジ整流回路Diにおいて、整流ダイオードD1のアノードと整流ダイオードD4のカソードとの接続点は正極入力端子とされ、商用交流電源ACの正極ラインと接続される。また、整流ダイオードD2のアノードと整流ダイオードD3のカソードとの接続点は負極入力端子とされ、商用交流電源ACの負極ラインと接続される。商用交流電源ACは、例えば実際には、図示するようにして、ACプラグPLGをコンセントに差し込むことで供給される。
また、整流ダイオードD1のカソードと整流ダイオードD2のカソードとの接続点は正極出力端子となり、整流ダイオードD3のアノードと整流ダイオードD2のアノードとの接続点は負極出力端子となる。
【0021】
図1(a)には、商用交流電源ACが正極性となる半波の期間における整流電流Irtの経路が示されている。商用交流電源ACが正極性であるときの整流電流Irtは、図示するようにして、整流ダイオードD1,D3を導通する経路により流れる。
図1(b)には、商用交流電源ACが負極性となる半波の期間における整流電流Irtの経路が示されている。このときの整流電流Irtは、整流ダイオードD2,D4を導通する経路により流れる。
【0022】
図2には、上記図1に示したブリッジ整流回路Diの動作波形として、交流電圧VACと、整流電圧Vrtを示している。交流電圧VACは、商用交流電源ACから供給されるもので、例えば図示するようにして、期間t1として示す半周期において正極性となり、期間t2として示す半周期において負極性に反転する正弦波形となる。
整流電圧Vrtは、ブリッジ整流回路Diの整流動作によって得られる正極出力端子の電位(アース電位)V1と、負極出力端子の電位(アース電位)V2の間の電位差(V1−V2)による波高を有する脈流の波形となる。
【0023】
上記のようにして、電位V1,V2の差分としてのレベル(波高値)を有する整流電圧Vrtは、商用交流電源ACが正/負の各期間において、それぞれ2本の整流ダイオードを導通する。このために、整流電圧Vrtは、交流電圧VACのレベル(波高値)に対して、これら2本の整流ダイオードによる電圧降下分を差し引いたレベル(波高値)となる。例えば、1本の整流ダイオードの電圧降下が0.3Vであるとすると、整流電圧Vrtは、交流電圧VACに対して0.6V(=0.3V×2)低いレベルであることになる。
【0024】
一般的には、図1に示したブリッジ整流回路Diは、図3に示すようにして、正極出力端子と負極出力端子間にコンデンサCoを接続するようにされる。これにより、脈流としての整流電圧VrtをコンデンサCoにより平滑して直流化し、負荷RLに電力として供給するようにされる。
【0025】
本実施の形態は、発光ダイオードを発光源として使用する照明(光源)装置とされる。本実施の形態の照明装置としての基本構成を図4に示す。
この図に示すようにして、本実施の形態の基本構成は、1つのLED駆動ユニット1として構成されるものとなる。このLED駆動ユニット1は、先ず、所定数の発光ダイオードを同極性により直列接続したダイオード直列回路20−1,20−2,20−3,20−4を備える。個々のダイオード直列回路20が、従来における1つの発光ダイオードの直列接続回路130に対応する。そして、これら4つのダイオード直列回路20−1,20−2,20−3,20−4を図示するようにしてブリッジ接続することで、全体としては1つのブリッジ整流回路を形成するようにされる。本実施の形態では、このブリッジ整流回路についてLEDブリッジ回路10ということにする。
【0026】
このLEDブリッジ回路10としては、ダイオード直列回路20−1のアノード側端部と、ダイオード直列回路20−4のカソード側端部との接続点が正極入力端子となり、ダイオード直列回路20−2のアノード側端部と、ダイオード直列回路20−3のカソード側端部との接続点が負極入力端子となる。また、ダイオード直列回路20−1,20−2の各カソード側端部が正極出力端子となり、ダイオード直列回路20−3,20−4の各アノード側端部が負極出力端子となる。
【0027】
そして、図1に示したブリッジ整流回路Diと同じようにして、LEDブリッジ回路10の正極入力端子と負極入力端子に対して、それぞれ商用交流電源ACの正極ラインと負極ラインを接続し、正極出力端子と負極出力端子間に対して負荷抵抗RLを挿入するようにしてLED駆動ユニット1を形成する。
【0028】
このようにして形成されるLED駆動ユニット1の動作を、図5により説明する。図5(a)(b)は、それぞれ、商用交流電源ACが正極性/負極性となる各半波の期間に得られる動作に対応する、LED駆動ユニット1についての等価回路図である。
商用交流電源ACが正極性となる半波の期間においては、図5(a)に示すようにして、ダイオード直列回路20−1→負荷抵抗RL→ダイオード直列回路20−3の経路で整流電流Irtが流れることになる。つまり、このときには、ダイオード直列回路20−1,20−3を形成する発光ダイオードDLに整流電流Irtが流れる。これにより、ダイオード直列回路20−1,20−3を形成する全ての発光ダイオードDLが発光することになる。
また、商用交流電源ACが負極性となる半波の期間においては、図5(b)に示すようにして、整流電流Irtは、ダイオード直列回路20−2→負荷抵抗RL→ダイオード直列回路20−4の経路で流れ、ダイオード直列回路20−2,20−4を形成する全ての発光ダイオードDLを発光させる。つまり、本実施の形態では、整流電流Irtが、発光ダイオードDLを発光駆動させる駆動電流となる。
【0029】
本実施の形態のLED駆動ユニット1においては、LEDブリッジ回路10の整流電圧Vrtは、負荷抵抗RLの両端電圧として得られる。本実施の形態における整流電圧Vrtとしても、図1及び図2による説明に従って、正極出力端子の電位V1と負極出力端子間の電位V2との差分によるレベルが得られることになる。
ただし、本実施の形態においては、整流電流Irtが流れる経路において、複数の発光ダイオードDLが挿入されているので、電位V1と電位V2の差分となる整流電圧Vrtのレベルとしては、交流電圧VACに対して、これらの発光ダイオードの電圧降下分を差し引いたものとなる。
具体例として、1つのダイオード直列回路20を形成する発光ダイオードDLの数が15であるとする。また、1つの発光ダイオードDLの電圧降下Vf=3.3Vとする。すると、商用交流電源ACが正/負の各期間において、それぞれ30(=15×2)の発光ダイオードに整流電流Irtが流れることになるので、商用交流電源ACが正/負の各期間において発光ダイオードが導通することにより生じる総合的な電圧降下レベルは、3.3V×30=99Vということになる。
従って、例えば商用交流電源ACから供給される交流電圧VACのピークレベルが141Vpeakであるとすれば、整流電圧Vrtは、141−99=42Vpeakであることになる。この整流電圧Vrtが抵抗RLの両端電圧となる。
【0030】
図6は、整流電圧Vrtの波形を基として、その波形の面積により電力量を示している。
上記したことに基づけば、LEDブリッジ回路10による整流動作によって、図6の波形においてハッチングがかけられた部分の面積Pに相当する電力を発光ダイオードDL群によって消費し、残る白抜きの部分の面積Qに相当する電力を負荷抵抗RLにより消費している、ということがいえる。
【0031】
上記図4〜図6により説明した、本実施の形態としてのLED駆動ユニット1の構成によれば、例えば商用交流電源ACを直接的に入力して、発光ダイオードDLを発光駆動することが可能になる。つまり、交流を直接的に印加するようにして発光駆動させている。このことは、発光ダイオードDLの発光駆動のために、例えば図20に示したDC-DCコンバータは不要にできることを意味している。また、ダイオード直列回路20は、従来における1つのLED直列回路130に相当するものであるので、LEDブリッジ回路10としては、単純には、従来における4つ分のLED直列回路13に相当する発光ダイオードDLの発光駆動をまかなえるものとして考えることができる。
このことから、本実施の形態のLED駆動ユニット1を照明(光源)として用いる装置では、従来と比較して大幅に回路規模を縮小することが可能になる。また、これに伴うコストダウンや、消費電力の低減なども図られることになる。
【0032】
ただし、商用交流電源ACは例えば50Hz程度と、交流として相当に低い周波数である。このために、図4にも示しているように、交流として商用交流電源ACを入力した場合には、その周期に応じた比較的遅いタイミングで発光ダイオードDLの発光/非発光が繰り返される。このために、発光ダイオードDLの発光を個々で見た場合には、人間の視覚としては定常的に発光しているようには見えずに、周期的にちらつくようにして見えることになる。例えばLCDのバックライトなどの照明(光源)装置としては、定常的に光が出射される必要がある。
しかしながら、このようなちらつきは、例えば、商用交流電源ACが正の期間に発光する発光ダイオードDLと、負の期間に発光する発光ダイオードDLとを隣接させるようにして配置させるなど、発光ダイオードDLの配置の態様によって問題がない程度に解消されることが確認されている。また、発光を維持できる蛍光体素材などと発光ダイオードDLとを組み合わせることでも解消できる。
【0033】
本実施の形態としての基本構成は、上記図4〜図6により説明したものとなる。しかしながら、実際的なこととして、図4に示したそのままの回路構成の形態でもって実用化することは現状では難しい。この理由について、図7を参照して説明する。
図7は、実施の形態のLED駆動ユニット1について、説明の便宜上、LEDブリッジ回路10を形成するダイオード直列回路20−1,20−2,20−3,20−4と負荷抵抗RLとの接続関係を、図5の回路パターンにならって示している。また、ここでの例として、1つのダイオード直列回路20は、発光ダイオードDL0〜DL33までの34個を直列接続して形成されているものとしている。
【0034】
先ず、7(a)に示すようにして、交流電圧VAC(商用交流電源AC)が正極性の期間では、図整流電流Irtは、ダイオード直列回路20−1→負荷抵抗RL→ダイオード直列回路20−3の経路で流れ、ダイオード直列回路20−2,20−4には流れない。しかしながら、実際には、上記した経路で整流電流Irtが流れるのに伴い、他方のダイオード直列回路20−4、20−2において直列接続されている発光ダイオードDLには、その極性に対して逆方向のリーク電流ILEAKが流れる。つまり、リーク電流ILEAKが流れるダイオード直列回路20−2→負荷抵抗RL→ダイオード直列回路20−4の経路が形成されている。
【0035】
発光ダイオードのリーク電流量は比較的大きく、また、素子ごとのばらつきの度合いも大きい。このために、ダイオード直列回路20を形成する発光ダイオードDLに印加される電圧の分圧は、上記したリーク電流量のばらつきに応じて不定となる。このときの発光ダイオードDLとしては、リーク電流の少ないものほど大きな抵抗値を有していることと等価となる。つまり、リーク電流の少ない発光ダイオードDLほど、リーク電流により印加される電圧は大きくなる。
図7(a)に示したダイオード直列回路20−4を形成する発光ダイオードDL0〜DL33について、図7(b)においては、そのリーク電流量に応じた抵抗Rd0〜Rd33として等価的に示す。ここでは、例えばリーク電流ILEAKがダイオード直列回路20−4に流れているとして、抵抗RdOの抵抗値が、他の抵抗Rd1〜Rd33の合計よりも大きいとする。つまり、実際としては、発光ダイオードDL0〜DL33のうちで、発光ダイオードDL0に流れるリーク電流ILEAKの量が、他の発光ダイオードDL1〜DL33よりも著しく小さい場合である。この場合には、例えば抵抗RdOの両端電圧Vd0が、他の抵抗Rd1〜Rd33の直列接続の両端電圧Vd1〜d33よりも大きくなる。このような状態の実際として、発光ダイオードDL0〜DL33のうち、発光ダイオードDL1〜DL33については耐圧以下の逆方向電圧がかかっているという状態が現実に生じ得る。発光ダイオードDL0には耐圧を越えた逆方向電圧がかかっているものとする。この場合には、発光ダイオードDL0が耐圧オーバーとなって破壊されることになる。
【0036】
ここまでの説明から分かるように、発光ダイオードの耐圧が低いことが理由で、図4に示したままの構成を照明として使用することは難しい。しかしながら、上記図7(b)の説明に基づけば、例えばダイオード直列回路20において、リーク電流に対して非常に抵抗値の大きい素子が存在する場合、他の素子にかかる逆方向電圧は非常に小さくなるということがいえる。このことから、リーク電流に対して抵抗値の大きい素子を直列回路に含めるようにしてダイオード直列回路20を形成すれば、この抵抗値の大きい素子により得られる大幅な電圧降下によって、残る発光ダイオードDLについては耐圧以下の逆方向電圧の印加状態を安定的に得ることが可能である、ということになる。
【0037】
このことに基づき、本実施の形態の実際としては、図8に示すようにして、LED駆動ユニット1を構成する。なお、この図において、図4と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
図8に示すようにして、本実施の形態の実際としては、ダイオード直列回路20のそれぞれについて、少なくとも1つの整流用ダイオードD0を直列回路に含めるようにして形成する。ここでは、ダイオード直列回路20−1においては、直列接続された発光ダイオードDL群のアノード側の端部に対して、1つの整流用ダイオードD0を同極性により直列に接続している。ダイオード直列回路20−2も同様にして、直列接続された発光ダイオードDL群のアノード側の端部に対して、1つの整流用ダイオードD0を同極性により直列に接続している。
これに対して、ダイオード直列回路20−3,20−4においては、直列接続された発光ダイオードDL群のカソード側の端部に対して、1つの整流用ダイオードD0を同極性により直列に接続している。
つまり、本実施の形態では、ダイオード直列回路20において、1つの整流用ダイオードD0を、正極入力端子又は負極入力端子と接続される位置に挿入することとしている。
【0038】
これら整流用ダイオードD0は、本来が整流用途であり発光しない。また、一般的なことであるが、整流用途のダイオードは、発光ダイオードと比較して非常に高い耐圧特性を有する。また、逆方向に流れるリーク電流量も非常に少ない。
【0039】
上記した性質の整流用ダイオードD0が挿入される結果、図7の説明から理解されるように、ダイオード直列回路20−1,20−2,20−3,20−4のそれぞれにおいて、リーク電流ILEAKが逆方向に流れることにより生じる逆方向電圧Vdは、整流用ダイオードD0において著しく大きくなる。そして、このようにして、整流用ダイオードD0による逆方向電圧の著しい電圧降下が生じることで、残る発光ダイオードDLの個々に印加される逆方向電圧としては、耐圧以下となることが保証される程度に充分に低減される。
つまり、商用交流電源ACをそのまま投入したとしても、発光ダイオードが耐圧オーバーとなって破壊されることがないわけであり、充分に実用的なLED駆動ユニット1が得られているものである。
【0040】
なお、LEDブリッジ回路10において備えられる発光ダイオードDLの数については駆動電力として入力される交流(例えば商用交流電源AC)のレベルと、発光ダイオードDLの総合的な電圧降下と、負荷抵抗との兼ね合いにより決まる最大数の範囲内であれば、任意に設定されてよい。ちなみに、効率を重視するのであれば、負荷抵抗RLはできるだけ小さくして、その分、可能な限りの発光ダイオードDLをダイオード直列回路20−1〜20−4の各々に備えることになる。
また、基本的には、発光ダイオードDL及び整流用ダイオードD0の数は、ダイオード直列回路20−1〜20−4の各々で同数とされればよいが、場合によっては、ダイオード直列回路20−1〜20−4の間で、異なる本数を備えるようにして形成してもかまわない。
【0041】
上記図8に示した構成のLED駆動ユニット1を基として、R,G,Bの発光ダイオードを使用して白色光を得るための照明(光源)装置としての基本構造例について、図9に示す。
この図においては、赤色(R)対応のLED駆動ユニット1−R、緑色(G)対応のLED駆動ユニット1−G、青色(B)対応のLED駆動ユニット1−Bが1つずつ示されている。これらLED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bの基本構成は、図8に示したLED駆動ユニット1と同様である。従って、LED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bの何れにおいても、ダイオード直列回路20−1〜20−4には、それぞれ、整流用のダイオードD0が含まれている。
ただし、LED駆動ユニット1−Rは、ダイオード直列回路20−1〜20−4の各々において直列接続される発光ダイオードとしては、赤色(R)の発光ダイオードDL−Rのみを備える。同様にして、LED駆動ユニット1−Gは、緑色(R)の発光ダイオードDL−Gのみを備え、LED駆動ユニット1−Bは、青色(B)の発光ダイオードDL−Bみを備える。また、LED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bがそれぞれ備える負荷抵抗は、ここでは可変負荷抵抗RLVとなっている。
そして、このようにして形成されるLED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bを、商用交流電源ACに対して並列に接続する。つまり、LED駆動ユニット1−R,1−G,1−BにおけるLEDブリッジ回路10の正極入力端子と負極入力端子に対して、商用交流電源ACの正極ラインと負極ラインをそれぞれ接続する。
【0042】
このような構成によれば、LED駆動ユニット1−Rは、商用交流電源ACを入力してLEDブリッジ回路10にて整流動作を行い、これにより、LEDブリッジ回路10を形成している赤色の発光ダイオードDL−Rが発光駆動される。同時に、LED駆動ユニット1−GにおいてもLEDブリッジ回路10にて整流動作が行われることで、LEDブリッジ回路10を形成している緑色の発光ダイオードDL−Gが発光駆動される。また、LED駆動ユニット1−Bにおいても、同様にしてLEDブリッジ回路10を形成している緑色の発光ダイオードDL−Bが発光駆動される。
このようにして、R,G,Bの各色に対応する発光ダイオードDLが同時的に発光駆動されることで、R,G,Bの光が加色混合されて白色光が得られることになる。
そのうえで、LED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bにおいては、上記しているように、負荷抵抗として可変負荷抵抗RLVが挿入されている。この可変負荷抵抗RLVを可変する(整流電圧Vrtを可変する)ことで、LEDブリッジ回路10における発光ダイオードDLの発光光量が可変される。つまり、可変負荷抵抗RLVを小さくしていけば、LEDブリッジ回路10に流れる整流電流(すなわち、発光ダイオードDLの駆動電流である)は増加して、発光ダイオードDLの発光光量も増加する。可変負荷抵抗RLVを大きくしていけば、LEDブリッジ回路10に流れる整流電流が減少して、発光ダイオードDLの発光光量も減少する。
図9の構成では、このような発光ダイオードDLの発光光量の調整は、LED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bごとに独立して行われるものとなる。つまり、発光ダイオードDLの発光光量をR,G,B各色ごとに独立して調整可能となっている。このことは、白色光の色調などの調整にあたり、この白色光を形成するR,G,Bの各色光ごとに光量調節が可能であることを意味する。白色光の色調などの調整には、R,G,Bごとに光量調節することが効率的である。本実施の形態としても、このことを考慮し、上記のようにして、LED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bごとに負荷抵抗を可変抵抗として機能させることで、R,G,B各色ごとに独立した光量調節ができるようにしている。
【0043】
なお、図9に示した構成は、あくまでもR,G,Bの発光ダイオードを使用して白色光を得るための本実施の形態の照明(光源)装置として、最小単位となる基本構成である。例えば、実際に照明(光源)装置として使用するのに必要とされるR,G,Bの発光ダイオード数を、1組のLED駆動ユニット1によりまかなうことができない場合には、例えば、図9に示した構成を基本として、必要に応じて、LED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bのそれぞれを、適宜追加していくようにして構成しても良い。この場合において追加するLED駆動ユニット1についても、図9と同様の接続態様により、商用交流電源ACの正極ラインと負極ラインに対して、それぞれ、LEDブリッジ回路10の正極入力端子と負極入力端子を接続するようにして設ければよい。
また、照明(光源)装置として備えるLED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bごとの数は、必ずしも同数である必要はない。例えば、R,G,Bごとの発光効率の違いなどに応じて、LED駆動ユニット1−R,1−G,1−B間で、異なるユニット数となってもかまわない。また、複数のLED駆動ユニット1間で、LEDブリッジ回路10が備える発光ダイオードDL及び整流用ダイオードD0の数が異なるようにして構成されてもかまわない。
【0044】
図10は、上記図9において光量調節のために負荷抵抗を可変することとした技術概念について、より実際的な構成を示している。なお、図10において、図4,図8,図9などと同一とされる部分については同一符号を付して説明を省略する。
この図においては、説明の便宜上、商用交流電源ACに対して1つのLED駆動ユニット1を接続した回路図が示されている。なお、実際には、この図に示す構成のLED駆動ユニット1が、図9に示したようにしてR,G,Bごとに対応して設けられる構成となっていてもよい。
【0045】
図10に示されるLED駆動ユニット1においては、駆動電流制御回路3を備えている。
この駆動電流制御回路3は、4本の通常の整流ダイオードをブリッジ接続したブリッジ整流回路Diを備える。このブリッジ整流回路Diの正極入力端子と負極入力端子は、商用交流電源ACの正極ラインと負極ラインに対してそれぞれ接続される。また、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子は抵抗R21−コンデンサC1を介して、LEDブリッジ回路10の負極入力端子と接続される。ブリッジ整流回路Diの負極出力端子は抵抗R20を介して、LEDブリッジ回路10の負極入力端子と接続される。このようにして接続されていることで、ブリッジ整流回路Diは、商用交流電源ACを入力して整流するようにされる。この整流出力がコンデンサC1にて平滑されて、コンデンサC1の両端電圧として、直流電源Vccが得られる。この場合の直流電源Vccは、商用交流電源ACのレベルから、抵抗R20,R21による電圧降下を差し引いたレベルとなる。この直流電源Vccは、オペアンプ2の正極電源に接続される。オペアンプ2の負極電源は、LEDブリッジ回路10の負極出力端子(アース電位)と接続される。
【0046】
オペアンプ2の反転入力端子には、光量情報としての電圧値を抵抗R22,R23により分圧した電圧値が入力される。なお、光量情報は、同じLED駆動ユニット1が備える発光ダイオードDLの発光光量を検出するようにして設けられたフォトセンサなどから得ることができる。オペアンプ2の非反転入力端子には基準電圧Vrefが入力される。この場合、抵抗R23に対しては、駆動電流制御回路3の感度調整のための時定数コンデンサC21が並列に接続されている。
オペアンプ2の出力は、抵抗RLと、LEDブリッジ回路10の負極出力端子との間に挿入されるようにして設けられるトランジスタQ1のゲートに接続される。
【0047】
このようにして形成される駆動電流制御回路3では、オペアンプ2により光量情報としての電圧値と基準値Vrefとを比較して、その差に応じた電圧レベルをトランジスタQ1のゲートに印加する。トランジスタQ1は、このゲート電圧の印加に応じて、ドレイン−ソース間に流れる電流量を可変する。つまり、LEDブリッジ回路10に流れる整流電流Irt(発光ダイオードDLの駆動電流)のレベルを可変する。つまり、図9にて負荷抵抗の抵抗値(RLV)を可変していることと等価の制御を行っているものであり、これによって、発光ダイオードDLの発光光量が可変制御されることになる。
このような制御ループの構成において、オペアンプ2が入力する基準電圧Vrefについて、同じLED駆動ユニット1内の発光ダイオードDLについて予め設定した所要の発光光量に応じた値を設定することで、駆動電流制御回路3の動作により、上記所要の発光光量となるようにして発光ダイオードDLの発光光量が制御されることになる。例えば、図9に示したLED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bについて、それぞれを図10に示した構成としたうえで、必要とされる白色光を得るために求めたR,G,B各色の発光光量に応じて、各LED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bにおけるオペアンプ2の基準電圧Vrefを設定すれば、常に最適な白色光となるようにして、LED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bごとに発光ダイオードDL−R,DL−G,DL−Bの光量制御が行われることになる。
【0048】
ところで、交流電力の可変制御として、いわゆる導通角制御、あるいは位相制御といわれる制御方式が知られている。この導通角制御のための構成について、図11を参照して説明する。
この図11では、導通角制御を行う回路部として導通角制御回路4を示している。また、ここでは、説明を分かりやすいものとするために、交流電力が供給される負荷として白熱電球を使用した場合を例に挙げることとする。周知のようにして、導通角制御による交流電力制御は、白熱電球以外にも、抵抗性の負荷全般について有効である。
【0049】
この場合の導通角制御回路4は、商用交流電源ACの一方の極(ここでは正極とする)のラインに対してACコンセント4aを挿入している。このACコンセント4aに対して、例えば白熱電球30のフィラメントと接続されているACプラグを差し込むことで、白熱電球30のフィラメントが、負荷として商用交流電源ACのラインに挿入される状態となる。
このACコンセント4a(負荷)を介した商用交流電源ACの正極ラインと、商用交流電源ACの負極ラインとの間には、可変抵抗VRと時定数コンデンサCtの直列回路を接続する。また、可変抵抗VRと時定数コンデンサCtの接続点に対しては、トリガダイオードDtgを介して、トライアックTRCのゲート(G)と接続する。トライアックTRCの端子T1は、商用交流電源ACの負極ラインと接続する。また、端子T2は、ACコンセント4a(負荷)を介して商用交流電源ACの正極ラインと接続する。
【0050】
トライアックTRCは、ゲート(G)に対して正極又は負極のトリガパルスptgが印加されると、端子T1−T2間をオフからオンの状態にターンオンさせる。端子T1−T2間がオンになると、商用交流電源ACが、ACコンセント4aに接続された負荷(白熱電球30のフィラメント)に供給されることになる。
このとき、トライアックTRCの端子T1−T2間に印加されるのは商用交流電源AC、つまり交流である。交流は、1周期における0°,180°,360°にて0クロスするが、この0クロスの状態に応じて端子T1−T2間の電圧差が0になると、これまでオン状態にあったトライアックTRCはターンオフして、以降はゲート(G)に対してトリガパルスptgが印加されるまでオフ状態を維持する。
【0051】
この場合、トリガパルスはトリガダイオードDtgにより出力する。
トリガダイオードDtgは、周知のようにして、その品種に応じて決まるブレークオーバー電圧以上の電位差が端子間に印加されると、パルス状のブレークオーバー電流が流れる素子である。また、このような動作が、交流波形に対して反応して得られる両極性の素子である。図示するようにして、トリガダイオードDtgの一端をトライアックTRCのゲート(G)と接続することで、上記パルス状のブレークオーバー電流に基づく出力が、トリガパルスptgとしてトライアックTRCのゲート(G)に印加されることになる。
【0052】
そして、可変抵抗VRと時定数コンデンサCtの直列接続から成る時定数回路が、上記トリガダイオードDtgに対してブレークオーバー電圧以上の電位差を与えるタイミングを可変する回路として機能する。
トリガダイオードDtgの他端は、可変抵抗VRと時定数コンデンサCtとの接続点と接続されている。このために、トリガダイオードDtgに印加される交流電圧としては、この時定数回路(VR,Ct)の時定数に応じて、交流電源ACに対して位相がシフトしたものとなる。そのうえで、可変抵抗VRの抵抗値を可変して、時定数回路として時定数を可変することで、トリガダイオードDtgに印加される交流電圧についての、交流電源ACに対する位相シフト量も可変されることになる。これに応じて、トリガダイオードDtgからトリガパルスptgが出力されるタイミングも、商用交流電源ACの周期タイミングに対して変化することになる。
【0053】
図12は、トリガパルスptgの出力タイミングに応じた交流電源の電力制御を模式的に示している。図12では、商用交流電源ACに対応する1周期分のsin波(正弦波)が示されている。この正弦波内においてハッチングを施すことで、トライアックTRCの端子T1−T2間がオンとなっている状態を示すこととする。また、このハッチングが施された領域の面積は、負荷に供給する電力量を1周期内における割合として示すものとなる。
先ず、図12(a)は、商用交流電源ACの1周期において、トライアックTRCの端子T1−T2が定常的にオンとなっている状態が示されている。この場合、商用交流電源ACとしての電力は、負荷に対して100%供給されている状態にあるとみることができる。この図12(a)での図示はしていないが、このときのトリガパルスptgは、例えば、正弦波の0°(360°),180°に対応するゼロクロスタイミングで出力される状態である。
【0054】
ここで、図12(a)に示される状態から、時定数回路(VR、Ct)の可変抵抗VRの抵抗値を可変して、トリガパルスptgの出力タイミングを、商用交流電源ACのゼロクロスタイミングから或る一定量遅延させていったとする。
つまり、図12(b)(c)(d)のトリガパルスptgとして示すようにして、トリガパルスptgの出力タイミングについて、商用交流電源ACの0°(及び180°)から段階的に遅延させたとする。
前述もしたように、トライアックTRCは、トリガパルスptgが印加されるタイミングでターンオンすると、次に端子T1−T2間の電位差が0となるタイミング(つまり商用交流電源ACのゼロクロスタイミング)に至ってターンオフする。このために、図12(a)(b)(c)に示すようにして、トリガパルスptgの出力タイミングが0°(及び180°)から遅延していくのに応じて、端子T1−T2間がオンとなって負荷に電力を供給する期間も短くなってくる。そして、これに伴って、商用交流電源ACの1周期において負荷に供給される交流電力量としても減少していくことが分かる。ちなみに、図12(b)(c)(d)は、それぞれ、交流電力の供給量について90%、50%、10%の場合を示しているものとされる。図12(c)に示す交流電力の供給量が50%のときには、トリガパルスptgがちょうど90°(及び270°)のときに出力され、これに応じて、負荷への電力供給期間(端子T1−T2のオン期間)は90°〜180°(及び270°〜360°)となる。
また、図11に示した構成に、図12(a)(b)(c)(d)に示した導通角制御状態を対応させると、図12(a)の制御状態のときが、白熱電球30は最大の発光量であり、最も明るくなる。そして、図12(b)(c)(d)の順に従って供給電力量が低減していくのに応じて、白熱電球30の発光量は低減して、明るさも低減していくことになる。
【0055】
本実施の形態のLED駆動ユニット1としても、交流電力の供給を受けて発光ダイオードDLを発光駆動する。従って、図11に示した導通角制御回路4の構成を備えることで、交流電力制御によって発光ダイオードDLの発光量を制御できるということがいえる。
図13は、図11に示した導通角制御回路4の構成を、本実施の形態のLED駆動ユニット1において備えることとした場合の回路構成を示している。例えばこの図に示すLED駆動ユニット1としては、図4に示したのと同じ構成の導通角制御回路4を商用交流電源ACと接続するようにして備えるようにされる。そのうえで、図11では白熱電球30のACプラグ31を差し込む部位とされていたACコンセント4aの箇所に対して、LEDブリッジ回路10の正極入力端子と負極入力端子を接続する。これにより、LED駆動ユニット1としては、LEDブリッジ回路10及び負荷抵抗RLVから成る回路を負荷として、導通角制御回路4により導通角制御を行うことが可能になる。
【0056】
このような図13に示す構成であれば、導通角制御回路4の可変抵抗VRの抵抗値を可変することで、図12にて説明した原理によって、負荷であるLEDブリッジ回路10及び負荷抵抗RLVから成る回路部に供給される交流電力量が変化することとなり、この結果、LEDブリッジ回路10を形成する発光ダイオードDLの発光量が可変されることになる。
その上で、この図では、図9の構成に準じて、負荷抵抗について可変抵抗RLVとしていることで、この可変抵抗RVLの可変による発光ダイオードDLの発光量制御も同時に行えるようになっている。なお、実際としては、可変抵抗RLVに代えて、図10に示した駆動電流制御回路3を備える構成としてよい。
【0057】
図14は、図13のLED駆動ユニット1において行われる、可変抵抗RLVの可変と、導通角制御回路4による交流電力制御とを併用した場合における電力供給の状態を、先の図12に倣って模式的に示している。
図14(a)(b)に、導通角制御回路4による交流電力供給制御として、50%の状態と10%の状態を示す。ここで、可変抵抗RLVの抵抗値として、或る基準値をRLとする。可変抵抗RLVの抵抗値について、基準値RLを設定した場合には、図14(a)(b)において破線で示す正弦波の領域内に対応する電力供給となるのであるが、例えば可変抵抗RLVの抵抗値について基準値RLから低減させていったとすると、これに応じて整流電流(駆動電流)Irtが増加することになって、ダイオード直列回路20において消費される電力量が増加する。図14(a)(b)によれば、可変抵抗RLVの抵抗値について基準値RLの1/2を設定したとすると、単位時間あたりの供給電力量はほぼ2倍に増加することがわかる。このときには、発光ダイオードDLの発光量も供給電力量に応じて増加する。
【0058】
このようにして、本実施の形態のLED駆動ユニット1としては、発光ダイオードDLの光量制御について、負荷抵抗RL(RLV)の可変による駆動電流量の可変と、導通角制御による電力量制御との、2つの自由度を持つ制御を行うことが可能とされている。これにより、例えば、LED駆動ユニット1ごとに必要とされる発光量を得るための調整が容易になる。
また、例えば従来においては、図21にて説明したように、DC-DCコンバータにより直流電圧を生成して定電流化を行ったうえで、PWM制御によって光量調整をする構成を採っていた。つまり、光量制御に関しても、DC-DCコンバータが必要となる。これに対して、本実施の形態では、パルス幅の制御に代えて、導通角制御によって光量制御を行っている。導通角制御は、交流のままの波形を対象として制御するものであり、従って、図13からも分かるように、一次側での制御が可能となっている。また、負荷抵抗の可変による駆動電流(Irt)の可変も、基本的には一次側において負荷抵抗RLの値を可変するものであり、また、負荷抵抗RLの可変と等価の制御を行うための構成としても、図10の駆動電流制御回路3のようにして、小数の部品により形成できる。このことから、本実施の形態としては、発光ダイオードDLの発光量を制御する構成を付加したとしても、DC-DCコンバータを備えることと比較すれば、回路規模は大幅に縮小されることになる。DC-DCコンバータは、トランスなどをはじめとする大型で重量のある部品も含むことから、実際における回路の小型軽量化、及び低コスト化などの効果は著しい。また、発光ダイオードDLの光量制御が、一次側にてほぼ直接的に行われることで、電力変換の損失も低減される。
【0059】
なお、導通角制御回路としては、トリガパルスptgの出力タイミングを、制御部(CPU:マイクロコンピュータ)により制御する構成を採ることもできる。これに対応する導通角制御回路4Aの構成を図15に示しておく。
図15に示す導通角制御回路4Aにおいては、先ず、商用交流電源ACの一方の極のライン(ここでは正極ラインとする)に対して抵抗RLが接続されている。本実施の形態のLED駆動ユニット1の場合、ここでの抵抗RL1は、電力供給対象となる負荷を示すもので、図13の場合であれば、LEDブリッジ回路10と負荷抵抗RL(RLV)から成る整流回路系を、この抵抗RL1に代えて接続していることになる。
そのうえで、上記抵抗RL1を介した商用交流電源ACの正極ラインと、商用交流電源ACの負極ライン間に対して、抵抗RsとコンデンサCsの直列接続回路を挿入する。また、し、トライアックTRCは、上記抵抗RL1を介した商用交流電源ACの正極ラインに対して端子T2を接続し、商用交流電源ACの負極ラインに対して端子T1を接続するようにして設ける。
また、フォトトライアックカプラ41のフォトトライアックの一端を、抵抗Rtを介して、抵抗RL1側と接続し、フォトトライアックの他端を抵抗Rgを介して商用交流電源ACの負極ラインと接続する。トライアックTRCのゲート(G)は、フォトトライアックと抵抗Rgとの接続点に対して接続される。
また、フォトトライアックカプラ41のフォトダイオードのアノードは、抵抗Rbを介して所定レベルの直流電源と接続され、カソードは、スイッチSWを介して接地される。
スイッチSWは、ここでは図示していない制御部が出力するスイッチオン/オフ制御信号S1によりオン/オフ制御される。
【0060】
例えば制御部は、商用交流電源ACの波形を成形するなどの所定の処理を施してゼロクロスタイミングを検出する。そして、検出したゼロクロスタイミングを基準として、必要とされる電力量に応じて、スイッチSWを、トリガパルスptgに対応するタイミングでオン/オフ制御する。これにより、フォトトライアックカプラ41においては、パルス的な信号がフォトダイオードからフォトトライアックに伝達されることとなって、フォトトライアックもパルス的に導通する状態となる。このタイミングで、トライアックTRCのゲートに対してトリガパルスptgが印加されることになる。トリガパルスptgが印加されたトライアックTRCの動作は、例えば図12により説明したとおりである。このようにして、図15に示す構成では、制御部によって交流電力供給量の制御が行われる。制御部が検出する上記ゼロクロスタイミングは、相応に高い精度を有している。そこで、この構成は、例えば、図13の導通角制御回路4における時定数回路(VR,Ct)では、トリガパルスptgの出力タイミングについて要求される精度を満たすことが難しいような場合に採用することができる。
【0061】
図16は、本実施の形態のLED駆動ユニット1に対応した、発光ダイオードの光量制御のための制御ループの構成例を示している。なお、この図において、図22と同一とされる部分については同一符号を付して説明を省略する。
この場合には、LEDブリッジ回路10が備える発光ダイオードDLの発光光量をフォトセンサ150にて電流として検出して、I−Vアンプ151により電流−電圧変換を行い、さらにA/Dコンバータ152によりデジタル値に変換して制御部140に出力する。
制御部140は、入力された光量情報としての電圧値と、メモリ153に記憶される光量制御データに基づいて、駆動電流制御回路3を制御するための制御値と、導通角制御回路4を制御するための制御値を得る。そして、この制御値に基づいて、駆動電流制御回路3及び導通角制御回路4を制御する。駆動電流制御回路3の制御は、例えば図10に示した駆動電流制御回路3において、オペアンプ2に入力される基準電圧Vrefを可変するようにされる。また、導通角制御回路4の制御としては、可変抵抗VRの抵抗値を可変制御して時定数回路(VR,Ct)の時定数を変更するようにされる。あるいは、図15に示す導通角制御回路4Aの構成を採用して、スイッチSWのオン/オフタイミングを制御するようにされる。
これにより、LED駆動ユニット1における発光ダイオードDLの発光量は常に適正となるようにして制御されることになる。
【0062】
前述もしているが、従来においては、このような発光ダイオードDLの発光制御は、図21、図22に示したように、DC-DCコンバータを備えて定電流化を図ったうえで、PWM制御をかけていたものである。
これに対して、本実施の形態では、一次側における駆動電流制御と導通角制御により発光ダイオードDLの発光量制御が可能となっている。制御部は、これら駆動電流制御と導通角制御のためのパラメータを制御すればよい。
【0063】
これまでにおいては、本実施の形態のLED駆動ユニット1は、商用交流電源ACを入力して動作させるものとして説明してきたが、商用交流電源AC以外の交流を入力して動作させることも可能である。つまり、商用電源周波数以外の交流電力を入力して動作可能である。
つまり、例えば図17に示すようにして、商用交流電源ACをAC-DCコンバータ50(整流平滑回路でもよい)により直流化する。そして、このAC-DCコンバータ50の出力をDC-ACコンバータ51に入力して、例えば商用交流電源ACよりも高い所定周波数の交流電力を出力させるようにする。LED駆動ユニット1は、このAC-DCコンバータ50の出力を入力して動作する。このようにして高い周波数による交流電力でLED駆動ユニット1を駆動することのメリットとしては、交流の半波ごとの期間で繰り返される発光ダイオードDLの発光/非発光の周期が短くなることで、容易に発光のちらつきを解消できることが挙げられる。
なお、ここで留意すべきことは、図17に示すようにしてAC-DCコンバータ50、及びDC-ACコンバータを備えてLED駆動ユニット1を駆動する構成とした場合においても、従来の構成と比較して、回路規模の縮小効果は失われないことである。従来としては、図20に示したように、1つのLED直列回路ごとにDC-DCコンバータを備える必要がある。これに対して、本実施の形態では、第1に、従来におけるLED直列回路が、LEDブリッジ回路を形成するブリッジ接続単位である、ダイオード直列回路20−1,20−2,20−3,20−4の個々に対応する。つまり、単純には、1つのLED駆動ユニット1により、従来の4つのLED直列回路をまかなっていると考えることができる。また、図9に示したように、本実施の形態では、複数のLED駆動ユニット1を、共通の交流入力電源に対して並列的に接続して使用することができる。従って、図17の構成の下でも、DC-ACコンバータの出力を交流入力電源として接続されるLED駆動ユニット1は、複数もうけることができる。つまり、本実施の形態では、1つの電力変換系統(AC-DCコンバータ50、及びDC-ACコンバータ)に対して、実質的に複数のLED直列回路を接続することが可能となっている。この点で、従来におけるDC-DCコンバータとは相違している。
【0064】
これまでに説明した本実施の形態のLED駆動ユニット1を用いた照明装置の用途としては、1つには、LCDなどの自発光でないディスプレイデバイスにおいて使用される光源(光源部)を考えることができる。このような光源装置は、一般にはバックライトなどともいわれる。
本実施の形態のLED駆動ユニット1を使用するバックライトとしては、例えば次のように構成することが考えられる。
先ず、ディスプレイデバイスのバックライトは、通常は、白色光であることが要求される。このために、発光ダイオードの種類としてはR,G,B各色に対応したものを必要とする。そして、実際のバックライトパネルのサイズなどに対応して必要とされる数の、R,G,Bの発光ダイオードを用意して、各種の条件を考慮して適切とされる配置パターンにより、これらの発光ダイオードをバックパネルとしての基板に取り付ける。
そして、これらの発光ダイオードDLを使用して、例えば図9に例示したようにして、R,G,Bの発光ダイオードごとに、LED駆動ユニット1としての回路を形成する。この際、1つのダイオード直列回路20に備えられる発光ダイオードの数などは、発光ダイオードの直列群による電圧降下レベル、実際の配線、放熱、電力消費、などを考慮して設定されるべきものとなる。また、先にも述べたことであるが、R,G,B各色に対応するLED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bは、必要に応じて複数が設けられてよく、このバックライトを構成する場合においても、LED駆動ユニット1−R,1−G,1−Bごとに必要数を設けることになる。そして、このようにして構成したバックライトを、例えばLCDパネルと組み合わせて、LCDの画像表示装置を構成する。
【0065】
また、本実施の形態のLED駆動ユニット1に基づいた照明装置は、バックライト以外の光源として使用することも可能である。例えば画像をスクリーンに投影するプロジェクタ装置などの光源として使用することも考えられる。また、このような表示装置の光源としてだけではなく、通常の照明として使用することも可能である。通常の照明として使用した場合にも、発光ダイオードを使用する照明としては、従来よりも大幅な回路規模の縮小、及びコストダウンなどの効果が得られるものである。また、さらには、発光ダイオードの配置などを文字的なものとするなどして、表示器として使用することも可能である。これらのことから、本発明としては、R,G,Bの光3原色に限定されることなく任意の単色、あるいは複数の色の発光ダイオードを用途に応じて使用してかまわない、といえる。
また、例えば将来的に発光ダイオードとして耐圧が充分に高いものが入手可能となった状況が来た場合には、図4に示した基本構成により、本発明に基づいた照明装置を構成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施の形態の前提となるブリッジ整流回路を示す回路図である。
【図2】図1に示すブリッジ整流回路の動作を示す波形図である。
【図3】ブリッジ整流回路に対して平滑用のコンデンサを付加した一般的な整流平滑回路の構成例を示す回路図である。
【図4】実施の形態のLED駆動ユニットの基本構成を示す回路図である。
【図5】図4に示すLED駆動ユニットについて、交流入力電源が正/負の各期間での動作を示す回路図である。
【図6】実施の形態のLED駆動ユニットにおける電力消費の状態を模式的に示す図である。
【図7】実施の形態のLED駆動ユニットに関して、発光ダイオードのリーク電流により生じる逆方向電圧を説明するための回路図である。
【図8】実用化のための実施の形態のLED駆動ユニットの構成を示す回路図である。
【図9】実施の形態のLED駆動ユニットを使用して白色光を得る照明装置の基本構成を示す回路図である。
【図10】駆動電流制御回路を備える実施の形態のLED駆動ユニットの構成例を示す回路図である。
【図11】一般的な導通角制御回路の構成を示す回路図である。
【図12】導通角制御回路による交流電力制御を説明する図である。
【図13】導通角制御回路を備えた実施の形態のLED駆動ユニットの構成例を閉めず回路図である。
【図14】実施の形態のLED駆動ユニットについて、駆動電流制御と導通角制御とを併用した場合の発光量制御を説明する図である。
【図15】導通角制御回路の他の構成例を示す回路図である。
【図16】実施の形態のLED駆動ユニットに対応する発光ダイオードの発光量を制御するための制御ループ構成を示す図である。
【図17】商用交流電源AC以外の交流電源により、実施の形態のLED駆動ユニットを駆動する場合の構成例を示す図である。
【図18】従来としてのバックライトを形成する、LEDセル及びLEDセルユニットの構造例を示す図である。
【図19】従来としてのバックライトパネルにおけるLEDセルユニットの配置パターン例を示す図である。
【図20】従来において、バックライトパネルの発光ダイオードを駆動するための構成例を示す図である。
【図21】従来における発光ダイオードの発光量制御の構成を示す図である。
【図22】従来における発光ダイオードの発光量制御ループの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1(1−R,1−G,1−B) LED駆動ユニット、2 オペアンプ、3 駆動電流制御回路、4,4A 導通角制御回路、10 LEDブリッジ回路、20(20−1,20−2,20−3,20−4) ダイオード直列回路、30 白熱電球、31 ACプラグ、41 フォトトライアックカプラ、140 制御部、150 フォトセンサ、151 I−Vアンプ、152 A/Dコンバータ、153 メモリ、RL 負荷抵抗、RLV 可変負荷抵抗、VR 可変抵抗、Ct 時定数コンデンサ、Dtg トリガダイオード、TRC トライアック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流を入力して整流を行うブリッジ整流回路を備え、
上記ブリッジ整流回路は、少なくとも所定の複数の発光ダイオード素子を直列接続して形成される単位直列回路をブリッジ接続して形成される、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
上記単位直列回路は、上記発光ダイオード素子よりも高い所定の耐圧特性を有するダイオード素子を、少なくとも1つ、上記交流が入力されるブリッジ整流回路の入力端子と接続される位置に対してさらに直列に接続して形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
上記ブリッジ整流回路の整流出力に接続される負荷抵抗を備えるとともに、
上記ブリッジ整流回路に流れる電流量を可変する電流可変手段を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
上記電流可変手段は、
上記負荷抵抗を可変抵抗とすることで形成されることを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
上記電流可変手段は、
検出された上記発光ダイオード素子の発光光量に応じて、上記ブリッジ整流回路に流れる電流量を可変制御するようにして構成される、
ことを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
上記交流の導通角を可変制御する導通角可変手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
上記導通角可変手段は、
検出された発光ダイオード素子の発光光量に応じて、導通角を可変制御するようにされている、
ことを特徴とする請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
光源としての光を入射して画像表示を行うために、上記光源としての光を出射する光源部を有し、
上記光源部は、
交流を入力して整流を行うブリッジ整流回路を備え、
上記ブリッジ整流回路は、所要の複数の発光ダイオード素子を直列接続して形成される単位直列回路をブリッジ接続して形成される、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
上記光源部は、
赤、緑、青の各色に対応する上記発光ダイオード素子を備えることで、これら各色に対応する発光ダイオード素子の光を合成することで白色光を出射するように構成される、
ことを特徴とする請求項8に記載の画像表示装置。
【請求項1】
交流を入力して整流を行うブリッジ整流回路を備え、
上記ブリッジ整流回路は、少なくとも所定の複数の発光ダイオード素子を直列接続して形成される単位直列回路をブリッジ接続して形成される、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
上記単位直列回路は、上記発光ダイオード素子よりも高い所定の耐圧特性を有するダイオード素子を、少なくとも1つ、上記交流が入力されるブリッジ整流回路の入力端子と接続される位置に対してさらに直列に接続して形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
上記ブリッジ整流回路の整流出力に接続される負荷抵抗を備えるとともに、
上記ブリッジ整流回路に流れる電流量を可変する電流可変手段を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
上記電流可変手段は、
上記負荷抵抗を可変抵抗とすることで形成されることを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
上記電流可変手段は、
検出された上記発光ダイオード素子の発光光量に応じて、上記ブリッジ整流回路に流れる電流量を可変制御するようにして構成される、
ことを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
上記交流の導通角を可変制御する導通角可変手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
上記導通角可変手段は、
検出された発光ダイオード素子の発光光量に応じて、導通角を可変制御するようにされている、
ことを特徴とする請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
光源としての光を入射して画像表示を行うために、上記光源としての光を出射する光源部を有し、
上記光源部は、
交流を入力して整流を行うブリッジ整流回路を備え、
上記ブリッジ整流回路は、所要の複数の発光ダイオード素子を直列接続して形成される単位直列回路をブリッジ接続して形成される、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
上記光源部は、
赤、緑、青の各色に対応する上記発光ダイオード素子を備えることで、これら各色に対応する発光ダイオード素子の光を合成することで白色光を出射するように構成される、
ことを特徴とする請求項8に記載の画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2006−179672(P2006−179672A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−371234(P2004−371234)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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