説明

照明装置、車両用前照灯、およびダウンライト

【課題】発光点の位置を変化させることなく、色度の異なる照明光を照射することが可能なヘッドランプ1を提供する。
【解決手段】ヘッドランプ1は、レーザ光を出射する複数のレーザ素子2と、複数のレーザ素子から出射されるレーザ光を受けて発光する発光部4と、を備え、複数のレーザ素子はそれぞれ、互いに異なる波長のレーザ光を出射し、かつ、その出力を変化させうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光点の位置を変化させることなく、色度の異なる照明光を照射することが可能な照明装置、車両用前照灯、及びダウンライトに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、励起光源としてLED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)等の半導体発光素子を用い、これらの励起光源から生じた励起光を、蛍光体を含む発光部に照射して照明光を発生させる発光装置の研究が盛んになってきている。
【0003】
このような発光装置に関する技術の例として特許文献1が開示されている。
【0004】
特許文献1の発光装置は、波長450nm以下のレーザ光を発するGaN系半導体レーザを励起光源として用い、レーザ光で励起されて可視域の蛍光を発する蛍光体を上記レーザと組み合わせている。そして、当該発光装置は、青色光や紫外線などの波長450nm以下の短い波長の光により蛍光体を励起し、それにより高輝度の発光を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−174346号公報(平成12年6月23日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の発光装置を含め、従来の技術には次のような課題がある。
【0007】
現在、LEDの小型化・高出力化が進んでおり、また、要求される性能も高度化してきている。例えば、1つのLED電球によって低色温度から高色温度まで調光できる装置が生活の質を高めるために求められており、また製品化もされている。
【0008】
この調光手段としては、色度の異なる少なくとも2つ以上の光源の出力を変化させる構成であり、その発光点は、光源の個数に対応した数だけ存在する。すなわち、発光点は、複数存在する。そのため、複数の発光点を反射鏡やレンズなどの光学系に組み込む時には、発光点の位置が変化する、もしくは複数の発光点が存在するといった理由により複雑な光学設計が必要であり、なおかつ高効率の光学系を実現しようとすると、その光学系は大きなサイズのものが必要になるという課題がある。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、発光点の位置を変化させることなく、色度の異なる照明光を照射することが可能な照明装置、車両用前照灯、およびダウンライトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る照明装置は、上記の課題を解決するために、励起光を出射する複数の励起光源と、複数の上記励起光源から出射される励起光を受けて発光する発光部と、を備え、複数の上記励起光源はそれぞれ、互いに異なる波長の励起光を出射し、かつ、その出力を変化させうることを特徴としている。
【0011】
一般に、照明装置の発光部は、照射される励起光の波長によって吸収率および発光効率が異なってくるため、上記照明装置のように、異なる波長を有する励起光源それぞれの出力を変化させると、励起光のスペクトルは、従来のLEDにあるような、単一ピーク波長を有するスペクトルではなく、異なる波長の光が足しあわされたスペクトル、つまり、急峻なピークを複数有するスペクトル形状となるため、巨視的に見たときに発光部から発せられる光の波長成分が変化する。すなわち、発光部の発光スペクトル(発光強度)、および、発光部で透過(または、反射)する励起光のスペクトル形状が変化する。これにより、最終的に得られる照明光のスペクトル、すなわち、色度を変化させることができる。ここで、スペクトルとは、発光強度の波長依存性のことを指し、スペクトル形状が変化するということは、発光強度が変化したり、色度が変化したりすることを指す。
【0012】
この点、本発明に係る照明装置では、複数の上記励起光源それぞれが互いに異なる波長の励起光を出射し、かつ、その出力を変化させており、これにより、照明光のスペクトル形状、つまり、色度の異なる照明光を出射させることを可能としている。そして、その構造ゆえに、発光点は発光部1箇所となり、発光点の位置を変化させる必要もない。加えて、発光点が1箇所であることから、これに組み合わせる光学系は1ユニットでよく、それゆえ、照明装置の小型化、軽量化が可能になり、かつ、照明装置の光学設計も容易になる。
【0013】
また、本発明に係る照明装置は、上記照明装置の外部に照射される照明光は、上記発光部からの発光と、上記異なる波長の励起光とからなり、上記異なる波長の励起光の出力は、0より大きい構成であってよい。
【0014】
本発明に係る照明装置では、照明装置の外部に照射される照明光は、発光部からの発光と、(発光部を透過・反射した)上記異なる波長の励起光とからなる。このとき、上記異なる波長の励起光の出力は、0より大きく、なおかつ励起光源の波長はそれぞれ異なる。
【0015】
それゆえ、本発明に係る照明装置は、0より大きい励起光の出力を変化させることで、色度の異なる照明光を照射することができる。
【0016】
また、本発明に係る照明装置は、上記発光部で発光した光が所望の色度を有するように、複数の上記励起光源の出力の組み合わせを予め設定する設定部を備える構成であってよい。
【0017】
照明装置から所望の色度を有する光を得るために、異なる波長の励起光の出力を繰り返し調整するには時間と労力を要し、結果としてユーザの利便性を大きく損なう。
【0018】
この点、本発明に係る照明装置は、上記発光部で発光した光が所望の色度を有するように、複数の上記励起光源の出力の組み合わせを予め設定する設定部を備える。そのため、設定部での設定が予め行われておくことで、時間と労力を要することなく、照明装置から所望の色度を有する光を得ることができ、ユーザの利便性を高めることができる。
【0019】
また、本発明に係る照明装置は、上記発光部で発光した光が色度図内の所望の範囲に含まれるように、複数の上記励起光源の出力をそれぞれ設定する設定部を備える構成であってよい。
【0020】
上記発光部で発光した光が色度図内の所望の範囲に含まれるように、異なる波長の励起光の出力を繰り返し調整するには時間と労力を要し、結果としてユーザの利便性を大きく損なう。
【0021】
この点、本発明に係る照明装置は、上記発光部で発光した光が色度図内の所望の範囲に含まれるように、複数の上記励起光源の出力をそれぞれ設定する設定部を備える。そのため、設定部での設定が予め行われておくことで、時間と労力を要することなく、上記発光部で発光した光が色度図内の所望の範囲に含まれるように調整でき、ユーザの利便性を高めることができる。
【0022】
また、本発明に係る照明装置は、複数の上記励起光源から出射された励起光を導光する導光部を備え、上記導光部は、導光した励起光を上記発光部に集光する構成であってよい。
【0023】
上記構成によれば、複数の励起光源と発光部とを距離を保って配置することができ、励起光源および発光部で発生する熱を分散させることができる。
【0024】
また、導光部を介する構造とすることで、複数の上記励起光源および発光部の配設位置(レイアウト)の自由度を高めることができる。これにより、本発明に係る照明装置、およびその照明装置を組み込む装置自体の設計自由度も向上するという効果を奏する。
【0025】
また、本発明に係る照明装置は、複数の上記励起光源から出射された励起光を導光する導光部を備え、上記導光部は、上記複数の励起光源のそれぞれから励起光を受け取る複数の光ファイバを有し、上記複数の光ファイバが有する励起光の出射端部は、バンドル化されている構成であってよい。
【0026】
光ファイバは、可撓性を有し、さらに、長さを容易に調整することができる。したがって、上記構成とすることにより、励起光源で照射された励起光を発光部に導光する際に、励起光源の位置を自在に変更できる、つまり、励起光源の設置位置(レイアウト)の自由度が向上する。
【0027】
さらに、上記複数の光ファイバが有する励起光の出射端部がバンドル化されることで、複数の光ファイバの出射端部すべてを発光部近傍に安定的に配置することが可能になる。また、光ファイバのバンドル化により、上記出射端部を1箇所に集束させることができ、照明装置のコンパクト化に寄与する。さらに、光ファイバのバンドル化により、発光部に対して励起光を安定的に照射することが可能になり、安定した配光を維持することが可能な照明装置をユーザに提供することができる。
【0028】
また、本発明に係る照明装置では、上記発光部は、上記励起光を受けて蛍光を発する蛍光体を含む構成であってよい。
【0029】
上記構成によれば、励起光源から照射された励起光が発光部に含まれる蛍光体によって蛍光に変換し、その蛍光と、発光部を透過・反射した上記異なる波長の励起光とが合成されて照明装置の外部に照明光として出射される。これにより、本発明に係る照明装置は、上記異なる波長の励起光の出力を変化させることで、照明光のスペクトル形状、つまり、色度の異なる照明光を容易に出射させることができる。
【0030】
このように、本発明に係る照明装置は、上記発光部が上記励起光を受けて蛍光を発する蛍光体を含む構成も好適に実現することができる。
【0031】
また、本発明に係る照明装置は、上記発光部は、上記励起光を散乱する散乱体を含む構成であってよい。
【0032】
上記構成によれば、励起光源から照射された励起光は発光部に含まれる散乱体によって散乱し、その散乱光と、発光部を透過・反射した上記異なる波長の励起光とが合成されて照明装置の外部に照明光として出射される。これにより、本発明に係る照明装置は、上記異なる波長の励起光の出力を変化させることで、照明光のスペクトル形状、つまり、色度の異なる照明光を容易に出射させることができる。
【0033】
つまり、本発明に係る照明装置は、上記発光部は、上記励起光を散乱する散乱体を含む構成にも好適に実現することができる。
【0034】
また、本発明に係る照明装置では、上記発光部は、上記励起光源から出射された励起光を受光する受光面を有し、当該受光面が、上記発光部から出射される光を反射することにより、所定の立体角内を進む光線束を形成する反射鏡と当該反射鏡の開口部とが形成する空間の外側となるように設けられている構成であってよい。
【0035】
上記構成によれば、受光面は、反射鏡と当該反射鏡の開口部とが形成する空間(反射鏡と当該反射鏡の開口部とで囲まれた空間)の外側にあるため、励起光(特に高出力の励起光;例えばレーザ光)をその空間の内部で受光することがない。このため、人体にとって有害な出力レベルの励起光がその空間を伝播して、外部(少なくとも発光部から出射された光の照射方向)に漏れ出てしまうことを防ぐことができる。
【0036】
また、例えば照明装置が何らかの衝撃を受けたときに、励起光が受光面に照射されない事態が生じた場合であっても、当該励起光が、少なくとも上記光の照射方向に直接漏れ出てしまう事態を防ぐことができる。
【0037】
このように、受光面が上記空間の外側となるように発光部を設けることにより、安全性の高い照明装置を実現できる。
【0038】
また、本発明に係る照明装置では、上記発光部は、上記導光部から出射された励起光を受光する受光面を有し、上記導光部は、上記励起光源から受け取った励起光を上記発光部に出射する出射端部を有し、上記受光面および上記出射端部の近傍に、上記出射端部から出射された励起光のうち、上記受光面に照射されなかった励起光、および上記受光面にて反射された励起光の少なくとも一方を遮光する遮光部を備える構成であってよい。
【0039】
上記構成によれば、本発明に係る照明装置は遮光部を備えているため、例えば照明装置への衝撃により、励起光が受光面に適切に照射されない事態が生じた場合に、当該励起光が外部に漏れ出ることを確実に防ぐことができる。この構成の場合、励起光が、反射鏡と反射鏡の開口部とが形成する空間を伝播することがないため、上記光の照射方向に出射されることを防ぐことができるとともに、それ以外の方向に漏れることも防ぐことが可能である。
【0040】
また、本発明に係る照明装置では、上記発光部は、上記導光部から出射された励起光を受光する受光面を有し、上記導光部は、上記励起光源から受け取った励起光を上記発光部に出射する出射端部を有し、上記受光面と上記出射端部とが近接している構成であってよい。
【0041】
上記構成によれば、発光部の受光面と導光部の出射端部とが近接しており、励起光(特に高出力の励起光)が、反射鏡と反射鏡の開口部とが形成する空間を伝播することがない。このため、例えば照明装置が何らかの衝撃を受けた場合に、人体にとって有害な出力レベルの励起光が受光面に照射されずに、直接外部に漏れ出てしまうという事態を防ぐことができる。それゆえ、安全性の高い照明装置を実現できる。
【0042】
また、本発明に係る照明装置では、上記発光部から出射される光を反射することにより、所定の立体角内を進む光線束を形成する反射鏡を備え、上記反射鏡は、上記出射端部が挿入される中空部を有し、上記中空部には、上記発光部に上記励起光が照射されることにより、当該発光部にて発生する熱を放散する放熱部材が備えられ、上記受光面と上記出射端部とは、上記放熱部材を介して近接している構成であってよい。
【0043】
受光面と出射端部とが近接すれば、その分、発光部における発熱量が大きくなる(発光部の温度が高くなる)ため、発光部が急速に劣化してしまう可能性がある。
【0044】
上記構成によれば、反射鏡の中空部に放熱部材が備えられ、当該放熱部材を介して出射端部と受光面とが近接している。そのため、受光面に照射される励起光に起因して発光部において発生した熱を、放熱部材を介して反射鏡へと放散させることができるので、発光部の長寿命化を図ることができる。
【0045】
それゆえ、安全性を担保するために受光面と出射端部とを近接させた場合であっても、発光部の温度上昇を抑制することができる。すなわち、安全性が高く、かつ長寿命な照明装置を実現できる。
【0046】
また、本発明に係る車両用前照灯は、上記いずれかに記載の照明装置を含む構成であってよい。
【0047】
本発明に係る照明装置は、車両用前照灯に好適に適用することができる。これにより、例えば本発明に係る照明装置を車両用前照灯に適用した場合、発光点の位置を変化させることなく、色度の異なる照明光を照射することが可能な車両用前照灯を実現することができ、上記従来の課題を容易に解決することができる。
【0048】
また、本発明に係るダウンライトは、上記いずれかに記載の照明装置を含む構成であってよい。
【0049】
上述したように、本発明に係る照明装置は、複数の上記励起光源それぞれが互いに異なる波長の励起光を出射し、かつ、その出力を変化させており、これにより、照明光のスペクトル形状、つまり、色度の異なる照明光を出射させることを可能としている。
【0050】
そのため、本発明に係る照明装置がダウンライトに適用されると、励起光の出力を変化させるだけで、照明光の色度を変化させることができる。これにより、当該ダウンライトは、人手を使って物理的に発光部を交換することなく、なおかつ、発光部を物理的に交換するための機械的駆動手段やフィルタなどを用いて発光部から出射される照明光の色度を変化させるための機構、異なる色の光を出射する光源を複数有し、それら光源の点灯・消灯によって照明光の色度を変化させる機構などの大掛かりな機構を発光部付近に設けることなく、色度を変えることが可能となる。
【0051】
これに対して、従来のダウンライトは、色度の異なるLEDを複数個用意し、それぞれのLEDの出力を変化させることで所望の色度に調整させる構成を採用することが多かった。そのため、従来のダウンライトは、複数の発光点を有し、かつ、大きな光学系を必要とする、その他の方法としては、機械的に光源にフィルタを着脱することで色度を変化させる構成があるが、この場合、機械的駆動手段を設ける必要がある、といった問題を抱えていた。
【0052】
この点、本発明に係るダウンライトは、従来のダウンライトの課題を解決し、発光点が一つであるために、小さな光学系であっても、電気的に光源の駆動方法を変化させるだけで自由に色度を変化させることが可能となる、という効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0053】
本発明に係る照明装置は、以上のように、励起光を出射する複数の励起光源と、複数の上記励起光源から出射される励起光を受けて発光する発光部と、を備え、複数の上記励起光源はそれぞれ、互いに異なる波長の励起光を出射し、かつ、その出力を変化させうる構成である。
【0054】
それゆえ、発光点の位置を変化させることなく、色度の異なる照明光を照射することが可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態に係るヘッドランプの概略構成を示す図である。
【図2】パラボラミラーの回転放物面を示す概念図である。
【図3】(a)はパラボラミラーの上面図、(b)はパラボラミラーの正面図、(c)はパラボラミラーの側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るヘッドランプの概略構成例を示す図である。
【図5】図4の構成を透過型ヘッドランプに用いた場合の他の実施例を説明する図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るヘッドランプの他の概略構成例を示す図である。
【図7】図6の構成を透過型ヘッドランプに用いた場合の他の実施例を説明する図である。
【図8】自動車におけるヘッドランプの配設方向を示す概念図である。
【図9】本実施形態に係るヘッドランプによって得られる効果を説明するための色度図である。
【図10】本発明のさらに他の実施形態であるヘッドランプの概略構成を示す断面図である。
【図11】本発明のさらに他の実施形態であるヘッドランプが備える発光部と光ファイバ出射端部との位置関係を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に係るレーザダウンライトが備える発光ユニットおよび従来のLEDダウンライトの外観を示す概略図である。
【図13】上記レーザダウンライトが設置された天井の断面図である。
【図14】上記レーザダウンライトの断面図である。
【図15】上記レーザダウンライトの設置方法の変更例を示す断面図である。
【図16】上記LEDダウンライトが設置された天井の断面図である。
【図17】上記レーザダウンライトおよび上記LEDダウンライトのスペックを比較するための図である。
【図18】(a)は、前記発光装置に関し、レーザ光源の一例(LD)の回路図であり、(b)は、前記LDの概観を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、図面を参照しつつ、本実施の形態に係るヘッドランプについて説明する。なお、以下では主にヘッドランプについて説明しているが、ヘッドランプは本願発明を適用する照明装置の一例であり、本願を任意の照明装置に適用可能であることは言うまでもない。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付している。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0057】
本発明の実施の一形態について図1等に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0058】
〔ヘッドランプ1の構成〕
図1は、本発明の一実施形態に係るヘッドランプ(照明装置)1の概略構成を示す断面図である。図1に示すように、ヘッドランプ1は、レーザ素子(励起光源)2、レンズ3、発光部4、パラボラミラー5、金属ベース7、およびフィン8を備えている。
【0059】
(レーザ素子2)
レーザ素子2は、励起光を出射する励起光源として機能する発光素子である。このレーザ素子2は、複数設けられており、複数のレーザ素子2のそれぞれから励起光としてのレーザ光が発振される。このレーザ素子2は、1チップに1つの発光点を有するものであってもよく、1チップに複数の発光点を有するものであってもよい。
【0060】
より具体的に、レーザ素子2は、第一の発振波長を有するレーザ素子2aと、第二の発振波長を有するレーザ素子2bとからなる(レーザ素子2a、およびレーザ素子2bを区別しないときは、単にレーザ素子2と称する場合もある)。レーザ素子2aは、405nm近傍の青紫領域、または350nmから420nmの紫外線から青紫領域の発振波長を有する。レーザ素子2bは、440nmから480nmの領域の発振波長を有する。ヘッドランプ1は、このレーザ素子2aおよびレーザ素子2bを用いて、1つの発光部4を照射する。その発光部4は、レーザ素子2から出射される励起光を受けて蛍光を発する蛍光体を含み、レーザ素子2からのレーザ光と蛍光体からの蛍光とが混色されて照明光が得られる。
【0061】
さらに、レーザ素子2aおよびレーザ素子2bはそれぞれ、その出力を変化させることができる。ただし、レーザ素子2aおよびレーザ素子2bがそれぞれ出力を変化させるのではなく、一方の出力は固定され、他方の出力が変化するという構成であってもよい。この構成によれば、少なくとも出力を固定している側のレーザ素子は出力調整が不要となり、出力を制御するレーザ素子の個数を減らすことができるため、ヘッドランプ1に用いられるプログラムを簡易にすることができる。そして、ヘッドランプ1は、所望の照明光に色度を調整するまでの時間を短縮でき、かつ、部品点数が少なくなることで小型化、軽量化を実現することができる。
【0062】
また、上記説明では、レーザ素子2aおよびレーザ素子2bは、その発振波長が異なるものとして説明しているが、その発振波長は同じか、あるいは極めて近い波長であってもよい。さらに、この構成に限られるわけではないが、2つのレーザ素子の出力を増減させることで多彩な色度の変化をユーザに提供できるため、レーザ素子2aおよびレーザ素子2bは何れも出力が0よりも大きいことが好ましい。
【0063】
なお、励起光源として、レーザ素子の代わりに、発光ダイオード(LED)を用いてもよい。また、レーザ素子2の数量は、2つに限られず、3つ以上であってもよい。
【0064】
(レーザ素子2の構造)
次にレーザ素子2の基本構造について説明する。図18(a)は、レーザ素子2の回路図であり、図18(b)は、レーザ素子2の基本構造を示す斜視図である。同図に示すように、レーザ素子2は、カソード電極19、基板18、クラッド層113、活性層111、クラッド層112、アノード電極17がこの順に積層された構成である。
【0065】
基板18は、半導体基板であり、一般的には、化合物半導体であるGaAsやGaNが用いられているが、Si、GeおよびSiC等のIV属半導体、GaAs、GaP、InP、AlAs、GaN、InN、InSb、GaSbおよびAlNに代表されるIII−V属化合物半導体、ZnTe、ZeSe、ZnSおよびZnO等のII−VI属化合物半導体、ZnO、Al、SiO、TiO、CrOおよびCeO等の酸化物絶縁体、並びに、SiNなどの窒化物絶縁体のいずれの半導体で構成されていてもよい。
【0066】
アノード電極17は、クラッド層112を介して活性層111に電流を注入するためのものである。
【0067】
カソード電極19は、基板18の下部から、クラッド層113を介して活性層111に電流を注入するためのものである。なお、電流の注入は、アノード電極17・カソード電極19に順方向バイアスをかけて行う。
【0068】
活性層111は、クラッド層113及びクラッド層112で挟まれた構造になっている。
【0069】
また、活性層111の材料としては、アンドープのGaAs、GaP、InP、AlAs、GaN、InN、InSb、GaSbおよびAlNに代表されるIII−V属化合物半導体、並びに、ZnTe、ZeSe、ZnSおよびZnO等のII−VI属化合物半導体のいずれの半導体によって構成されていてもよい。
【0070】
また、活性層111は、誘導放出によって増幅される光を閉じ込めるためのものである。
【0071】
なお、活性層111には、誘導放出によって増幅される光を閉じ込めるために互いに対向して設けられる表側へき開面114・裏側へき開面115が形成されており、この表側へき開面114・裏側へき開面115が鏡の役割を果す。
【0072】
ただし、完全に光を反射する鏡とは異なり、誘導放出によって増幅される光は、ある程度増幅されると、活性層111の表側へき開面114・裏側へき開面115のうちのどちらか一方(本実施の形態では、便宜上表側へき開面114とする)から出射され、励起光L0となる。なお、活性層111は、多層量子井戸構造を形成していてもよい。
【0073】
なお、表側へき開面114と対向する裏側へき開面115には、レーザ発振のための反射膜(図示せず)が形成されており、表側へき開面114と裏側へき開面115との反射率に差を設けることで、低反射率端面である、例えば、表側へき開面114より励起光L0が発光点103から照射される。
【0074】
クラッド層113・クラッド層112は、n型およびp型それぞれのGaAs、GaP、InP、AlAs、GaN、InN、InSb、GaSb、及びAlNに代表されるIII−V属化合物半導体、並びに、ZnTe、ZeSe、ZnSおよびZnO等のII−VI属化合物半導体のいずれの半導体によって構成されていてもよく、順方向バイアスをアノード電極17及びカソード電極19に印加することで活性層111に電流を注入できるようになっている。
【0075】
クラッド層113・クラッド層112および活性層111などの各半導体層との膜形成については、MOCVD(有機金属化学気相成長)法やMBE(分子線エピタキシー)法、CVD(化学気相成長)法、レーザアブレーション法、スパッタ法などの一般的な成膜手法を用いて構成できる。各金属層の膜形成については、真空蒸着法やメッキ法、レーザアブレーション法、スパッタ法などの一般的な成膜手法を用いて構成できる。
【0076】
(レンズ3)
レンズ3は、レーザ素子2から出射したレーザ光が発光部4に適切に照射されるように、当該レーザ光の照射範囲を調節(例えば、拡大)するためのレンズであり、レーザ素子2のそれぞれに配設されている。
【0077】
(発光部4)
発光部4は、レーザ素子2から出射されたレーザ光を受けて蛍光を発するものであり、レーザ光を受けて発光する蛍光体を含んでいる。具体的には、発光部4は、封止材の内部に蛍光体が分散されているもの、または蛍光体を適切な処理により固めたものであり、例えば、蛍光体を押し固めて熱処理をしたものである。発光部4は、レーザ光を蛍光に変換するため、波長変換素子であると言える。
【0078】
この発光部4は、金属ベース7の上、かつ、パラボラミラー5の焦点位置を含むように配置されている。そのため、発光部4から出射した蛍光は、パラボラミラー5の反射曲面に反射することで、その光路が制御される。
【0079】
発光部4の蛍光体として、例えば、酸窒化物蛍光体(例えば、サイアロン蛍光体)またはIII−V族化合物半導体ナノ粒子蛍光体(例えば、インジュウムリン:InP)を用いることができる。これらの蛍光体は、レーザ素子2から発せられた高い出力(および/または光密度)のレーザ光に対しての耐熱・耐光性が高く、レーザ照明光源に最適である。ただし、発光部4の蛍光体は、上述のものに限定されず、窒化物蛍光体など、その他の蛍光体であってもよい。
【0080】
また、ヘッドランプの照明光は、所定の範囲の色度を有する白色にしなければならないことが、法律により規定されている。そのため、発光部4には、照明光が白色となるように選択された蛍光体が含まれている。
【0081】
例えば、青色、緑色および赤色の蛍光体を発光部4に含め、405nmのレーザ光を照射すると白色光が発生する。または、黄色の蛍光体(または緑色および赤色の蛍光体)を発光部4に含め、450nm(青色)のレーザ光(または、440nm以上490nm以下の波長範囲にピーク波長を有する、いわゆる青色近傍のレーザ光)を照射することでも白色光が得られる。
【0082】
発光部4の封止材は、例えば、ガラス材(無機ガラス、有機無機ハイブリッドガラス)、シリコーン樹脂等の樹脂材料である。ガラス材として低融点ガラスを用いてもよい。封止材は、透明性の高いものが好ましく、レーザ光が高出力の場合には、耐熱・耐光性の高いものが好ましい。
【0083】
なお、蛍光体を含む発光部4の代わりに、あるいは蛍光体とともに、レーザ光を乱反射して散乱する散乱体を、パラボラミラー5の焦点近傍に配置してもよい。レーザ素子からのレーザ光を受けた散乱体がレーザ光を散乱させ、パラボラミラー5の反射面の各位置に光を照射させてもよい。このとき、ヘッドランプ1は、光の波長が異なる複数のレーザ素子2を組み合わせているため、複数の色を混色させることにより、白色光、または擬似白色光を容易に生成することができる。
【0084】
(パラボラミラー5)
パラボラミラー5は、発光部4が発生させた蛍光を反射し、所定の立体角内を進む光線束(照明光)を形成する。このパラボラミラー5は、例えば、金属薄膜がその表面に形成された部材であってもよいし、金属製の部材であってもよく、パラボラミラーで所定の立体角内を進む光線束(照明光)を形成するときに、照明光を反射させる面を形成する部材の、照明光の波長範囲における反射率が高いことが好ましい。
【0085】
図2は、パラボラミラー5の回転放物面を示す概念図であり、図3(a)はパラボラミラー5の上面図、図3(b)は正面図、図3(c)は側面図である。図3(a)〜(c)は、説明図面をわかりやすく例示するよう直方体の部材の内部をくり抜くことでパラボラミラー5を形成した例を示している。
【0086】
図2に示すように、パラボラミラー5は、放物線の対称軸を回転軸として当該放物線を回転させることによって形成される曲面(放物曲面)を、上記回転軸を含む平面で切断することによって得られる部分曲面の少なくとも一部をその反射面に含んでいる。図3(a)および(c)において、符号5aで示す曲線が放物曲面を示している。また、図3(b)に示すように、パラボラミラー5を正面から見た場合、その開口部5b(照明光の出口)は半円である。
【0087】
また、レーザ素子2は、パラボラミラー5の外部に配置されており、パラボラミラー5には、レーザ光を透過または通過させる窓部6が形成されている。この窓部6は、開口部であってもよいし、励起光源であるレーザ素子2から出射されるレーザ光の波長範囲の光を透過可能な透明部材を含むものであってもよい。例えば、レーザ光を透過し、白色光(発光部4の蛍光)を反射するフィルタを設けた透明板を窓部6として設けてもよい。この構成では、発光部4の蛍光が窓部6から漏れることを防止でき、なおかつ蛍光の利用効率を高くすることができる。
【0088】
窓部6は、複数のレーザ素子2に共通のものが1つ設けられていてもよいし、各レーザ素子2に対応した複数の窓部6が設けられていてもよい。
【0089】
なお、パラボラミラー5の一部にパラボラではない部分を含めてもよい。また、反射鏡は、閉じた円形の開口部を有するパラボラミラーまたはその一部を含むものであってもよい。また、反射鏡は、パラボラミラーに限定されず、楕円面ミラーや自由曲面ミラーであってもよい。すなわち、反射鏡は、回転軸を中心として図形(楕円、円、放物線)を回転させることによって形成される曲面の少なくとも一部をその反射面に含んでいるものであればよい。
【0090】
(金属ベース7)
金属ベース7は、発光部4を支持する板状の支持部材であり、金属(例えば、銅や鉄)からなっている。それゆえ、金属ベース7は熱伝導性が高く、発光部4において発生した熱を効率的に放熱することができる。なお、発光部4を支持する部材は、金属からなるものに限定されず、金属以外の熱伝導性が高い物質(セラミックスなど)を含む部材でもよい。ただし、発光部4と当接する金属ベース7の表面は反射面として機能することが好ましい。上記表面が反射面であることにより、発光部4の上面から入射したレーザ光が蛍光に変換された後に、蛍光を当該反射面で反射させてパラボラミラー5へ向かわせることができる。または、発光部4の上面から入射したレーザ光を上記反射面で反射させて、再度発光部4の内部に向かわせて蛍光に変換することができる。
【0091】
金属ベース7は、パラボラミラー5によって覆われているため、金属ベース7は、パラボラミラー5の反射曲面(放物曲面)と対向する面を有していると言える。金属ベース7の発光部4が設けられている側の表面は、パラボラミラー5の回転放物面の回転軸と概ね平行であり、当該回転軸を概ね含んでいることが好ましい。
【0092】
(フィン8)
フィン8は、金属ベース7を冷却する冷却部として機能する。このフィン8は、複数の放熱板を有するものであり、大気との接触面積を増加させることにより放熱効率を高めている。フィン8は、黒アルマイト処理されたアルミニウムからなっている。金属ベース7を冷却する冷却部は、冷却(放熱)機能を有するものであればよく、ヒートパイプ、水冷方式や、空冷方式のものであってもよい。
【0093】
〔実施例1〕
ここで、ヘッドランプ1が複数のレーザ素子2を有する例を図4により説明する。図4は、本実施形態の一実施例を説明するための概略図である。なお、図1等を参照して説明した内容は、その説明を省略する。
【0094】
同図では、ヘッドランプ1は、少なくとも、2つのレーザ素子2aと、3つのレーザ素子2bと、発光部4と、テーパ型導光部20とを含む。
【0095】
テーパ型導光部20は、レーザ素子2が発振したレーザ光を発光部4へと導くものである。テーパ型導光部20は、レーザ素子2から出射されたレーザ光が入射される入射端部と、入射端部から入射したレーザ光が出射される出射端部とを有している。
【0096】
また、テーパ型導光部20は、入射端部に入射したレーザ光を反射する光反射側面で囲まれた囲繞構造を有しており、テーパ型導光部20の出射端部の断面積は、入射端部の断面積よりも小さくなっている。
【0097】
具体的には、テーパ型導光部20は、全体が四角錐台形状の筒形をなしており、出射端部の断面(開口)は、例えば1mm×3mmの矩形であり、入射端部の断面(開口)は、例えば15mm×15mmの矩形である。テーパ型導光部20の形状は四角錐台形状に限られず、四角錐台形状以外の多角錐台形状、円錐台形状、楕円錐台形状など様々な形状を採用することができる。また、入射端部から出射端部までの長さは、任意に設定できる。
【0098】
この囲繞構造により、テーパ型導光部20は、入射端部に入射したレーザ光を、入射端部の断面積よりも小さい断面積を有する出射端部に集光した上で発光部4に出射できる。このため、複数のレーザ素子2を用いて高出力化を図ったとしても、発光部4を小さく設計することができる。すなわち、高出力・高輝度なヘッドランプ1を実現できる。
【0099】
また、テーパ型導光部20は、BK(ボロシリケート・クラウン)7、石英ガラス、アクリル樹脂その他の透明素材で構成される。
【0100】
本実施例によれば、2つのレーザ素子2a、および3つのレーザ素子2bから出射されたレーザ光が、テーパ型導光部20の出射端部に集光され、その集光されたレーザ光が発光部4に照射される。
【0101】
(アイセーフの観点からのフィルタ設置について)
実施例1のヘッドランプ1は、パラボラミラー5の開口部側からレーザ光が照射される発光部(本願ではこれを「反射型発光部」と称する。)を備えており、反射型発光部を備えたヘッドランプを反射型ヘッドランプと称する。
【0102】
この反射型ヘッドランプでは、パラボラミラー5が配設されている側から発光部4に対してレーザ光が照射され、それにより、発光部4は、レーザ光の照射面において蛍光を発する。そして、その蛍光がパラボラミラー5で反射して、ヘッドランプの外部に照射される。
【0103】
このとき、高出力のレーザ光が人間の目に入射すると、目に損傷を与える可能性があり、レーザ光が発光部4で反射してそのまま照明装置の外部に照射されて問題となる場合がありうる。よって、レーザ光が人間の目に損傷を与える出力で照明装置の外部に漏れないことが重要であるため、アイセーフの観点から、パラボラミラー5の開口部に透過フィルタを設けることが好ましい。この透過フィルタは、レーザ素子2から放出されるレーザ光の波長範囲の光を一部遮断し、照明装置の外部に出てくる照明光のスペクトルのうち、レーザ光の波長範囲の光の出力が人の目に損傷を与えないレベルにまで減衰させる機能を有している。かつ、この透過フィルタは発光部4においてレーザ光を変換することにより生成された(擬似)白色光(インコヒーレントな光)を透過する材質で形成され、例えば透明な樹脂板や無機ガラス板等が用いられる。
【0104】
次に、図4の構成を透過型ヘッドランプに用いた場合の例を図5により説明する。図5は、図4の構成を透過型ヘッドランプに用いた場合の他の実施例を説明する図である。なお、図1等を参照して説明した事項と同様の内容は、その説明を省略する。
【0105】
まず、図5を参照しつつ、透過型ヘッドランプについて説明する。透過型ヘッドランプは、パラボラミラー5の開口部とは反対側から、発光部4に対してレーザ光が照射されるヘッドランプである。そして、図示するように、テーパ型導光部20の出射端部から出射されたレーザ光は透明高熱伝導板40および発光部4を透過する。レーザ光は発光部4の内部を透過・散乱する過程で発光部4に含まれる蛍光体を励起し、蛍光を発生させる、すなわち、発光部からは蛍光が発生する。発光部4から発生した蛍光は、パラボラミラー5で反射して、ヘッドランプの外部に照射される。本実施の形態では、このようなタイプのヘッドランプを透過型ヘッドランプと称する。
【0106】
図5に示す透過型のヘッドランプは、少なくとも、2つのレーザ素子2aと、3つのレーザ素子2bと、発光部4と、テーパ型導光部20と、さらに、パラボラミラー5と、設定部30(詳細は後述)と、透明高熱伝導板40とを備える。
【0107】
透明高熱伝導板40は、レーザ素子2aおよびレーザ素子2bから出射されるレーザ光の波長の光を透過させる。また、透明高熱伝導板40は、発光部4のレーザ光照射面側において、発光部4およびパラボラミラー5に当接する。これにより、透明高熱伝導板40は、発光部4において発生した熱をパラボラミラー5に伝導させる。これにより、透明高熱伝導板40は、発光部4において発生した熱を効率的に放熱することができ、熱による発光部4の劣化を抑えることができ、さらに発光部4の温度上昇を抑えることができるため、発光部4の発光効率が温度上昇により低くなってしまうことを抑制することができる。
【0108】
なお、透明高熱伝導板40は、上記の機能を有するものであれば、その材質は特に限定されない。
【0109】
このように、図4の構成は、反射型および透過型ヘッドランプの何れにも好適に適用することができる。
【0110】
〔実施例2〕
次に、ヘッドランプ1が複数のレーザ素子2を有する例を図6により説明する。図6は、本実施形態の他の実施例を説明するための概略図である。なお、図1等を参照して説明した事項と同様の内容は、その説明を省略する。
【0111】
同図では、ヘッドランプ1は、少なくとも、2つのレーザ素子2aと、3つのレーザ素子2bと、発光部4と、光ファイバ10と、フェルール15とを含む。
【0112】
光ファイバ10は、レーザ素子2が発振したレーザ光を発光部4へと導く、可撓性を有する導光部材である。この光ファイバ10は、レーザ光を受け取る入射端部と、その入射端部から入射したレーザ光を出射する出射端部とを有している。
【0113】
光ファイバ10は、中芯のコアを、当該コアよりも屈折率の低いクラッドで覆った2層構造をしている。コアは、レーザ光の吸収損失がほとんどない石英ガラス(酸化ケイ素)を主成分とするものであり、クラッドは、コアよりも屈折率の低い石英ガラスまたは合成樹脂材料を主成分とするものである。例えば、光ファイバ10は、コアの径が200μm、クラッドの径が240μm、開口数NAが0.22の石英製のものであるが、光ファイバ10の構造、太さおよび材質は上述のものに限定されず、光ファイバ10の長軸方向に対して垂直な断面は矩形であってもよい。
【0114】
なお、導光部材として光ファイバ以外の部材、または光ファイバと他の部材とを組み合わせた可撓性を有する部材を用いてもよい。この導光部材は、レーザ素子2が発振したレーザ光を受け取る入射端部と当該入射端部から入射したレーザ光を出射する出射端部とを有するものであればよい。例えば、入射端部を有する入射部、および出射端部を有する出射部を光ファイバとは別の部材として形成し、これら入射部および出射部を光ファイバの両端部に接続してもよい。
【0115】
フェルール15は、光ファイバ10の複数の出射端部を発光部4のレーザ光照射面に対して所定のパターンで保持する。このフェルール15は、光ファイバ10の出射端部を挿入するための孔が所定のパターンで形成されているものでもよいし、上部と下部とに分離できるものであり、上部および下部の接合面にそれぞれ形成された溝によって当該出射端部を挟み込むものでもよい。
【0116】
このフェルール15は、パラボラミラー5から延出する棒状または筒状の部材などによってパラボラミラー5に対して固定されていればよい。フェルール15の材質は、特に限定されず、例えばステンレススチール等であってよい。
【0117】
本実施例によれば、2つのレーザ素子2a、および3つのレーザ素子2bから出射されたレーザ光が、各レーザ素子2に接続された光ファイバ10を介して、発光部4に照射される。
【0118】
次に、図6の構成を透過型ヘッドランプに用いた場合の例を図7により説明する。図7は、図6の構成を透過型ヘッドランプに用いた場合の他の実施例を説明する図である。
【0119】
図7の透過型のヘッドランプ1は、少なくとも、2つのレーザ素子2aと、3つのレーザ素子2bと、発光部4と、光ファイバ10と、フェルール15と、さらに、パラボラミラー5と、設定部30(詳細は後述)と、透明高熱伝導板40とを備える。なお、これらの各構成部材については、図5、図6等を参照して既に説明しているため、ここでの説明は繰り返さない。ただし、図6の構成は、反射型および透過型ヘッドンランプの何れにも好適に適用することができるという点は改めて述べておく。
【0120】
〔実施例1・2で使用される発光部の構成等について〕
実施例1および実施例2で使用される発光部4は、蛍光体と、蛍光体を封止するための封止剤とからなる。上記蛍光体としては、CASN:Eu2+、およびCaα−SiAlON:Ce3+が用いられている。封止材には無機ガラスが用いられ、その無機ガラスの基本組成は、SiO−B−CaO−BaO−LiO−NaOである。発光部4は、無機ガラス中に蛍光体が分散している状態である。無機ガラスおよび蛍光体の重量比は、無機ガラス:(Caα−SiAlON:Ce3+):(CASN:Eu2+)=92:6:2の割合である。
【0121】
レーザ素子2aは発振波長が405nmであり、レーザ素子2bは発振波長が445nmである。レーザ素子2aおよびレーザ素子2bから放出されたレーザ光を効率よく発光部4に照射するために、集光部材としてBK−7からなるガラス材料が使用されている。
【0122】
そして、実施例1、2のヘッドランプ1では、レーザ素子2aおよびレーザ素子2bそれぞれが互いに異なる波長のレーザ光を出射し、かつ、その出力を変化させており、これにより、色度の異なる照明光を外部に照射している。そのため、天候の変化、路面状態などに応じてヘッドランプ1の色度を変更することができ、視認性に優れた照明光を得ることができる。
【0123】
さらに、ヘッドランプ1では、レーザ素子2aおよびレーザ素子2bはそれぞれ、互いに異なる波長のレーザ光を出射し、かつ、その出力を変化させることができるため、色度のみならず、光束をも変更することができる。
【0124】
本実施の形態では、色温度が低い照明光ほど車両の前方を広く照射できるので、悪天候時(雨天時、霧発生時など)における照射に適したヘッドランプを提供できる。
【0125】
〔ヘッドランプ1の配設方法〕
図8は、ヘッドランプ1を自動車(車両)50の前照灯に適用した場合の、ヘッドランプ1の配設方向を示す概念図である。図8に示すように、ヘッドランプ1は、パラボラミラー5が鉛直下側に位置するように自動車50のヘッドに配設されてもよい。この配設方法では、上述のパラボラミラー5の投光特性により、自動車50の正面が明るく照らされるとともに、自動車50の前方下側も適度に照らしている。
【0126】
なお、ヘッドランプ1を自動車用の走行用前照灯(ハイビーム)に適用してもよいし、すれ違い用前照灯(ロービーム)に適用してもよい。また、自動車50の走行中に、走行状態に応じて、発光部4の照射面に照射されるレーザ光の光強度分布の制御を行ってよい。これにより、自動車50の走行中に任意の投光パターンにより投光することができ、ユーザの利便性を高めることができる。
【0127】
〔他の適用例〕
ヘッドランプ1は、車両用前照灯のみならず、その他の照明装置に適用されてもよい。ヘッドランプ1の適用例として、ダウンライトを挙げることができる(詳細は後述)。ダウンライトは、家屋、乗物などの構造物の天井に設置される照明装置である。その他にも、本発明の照明装置は、車両以外の移動物体(例えば、人間・船舶・航空機・潜水艇・ロケットなど)のヘッドランプとして実現されてもよいし、サーチライト、プロジェクタ、ダウンライト以外の室内照明器具(スタンドランプなど)、屋外照明器具として実現されてもよい。
【0128】
〔レーザ素子2の出力の増減〕
上記構成によれば、ヘッドランプ1は、従来のヘッドランプの課題を解決することができる。つまり、従来のヘッドランプは、色度の異なる少なくとも2つ以上の光源の出力を変化させる構成において、発光点は、光源の個数に対応した数だけ存在していた。そのため、従来のヘッドランプでは、複数の発光点を反射鏡やレンズなどの光学系に組み込むときに、複雑な光学設計が必要であった。また従来のヘッドランプでは、高効率の光学系を実現しようとすると、その光学系は大きなサイズのものが必要になっていた。
【0129】
これに対して、本実施形態に係るヘッドランプ1は、異なる波長を有するレーザ素子2aおよびレーザ素子2bそれぞれの出力を変化させることができる。発光部4は、波長によって吸収率および発光効率が異なるため、異なる波長を有するレーザ素子2aおよびレーザ素子2bそれぞれの出力を変化させると、異なる波長の合成励起光として波長成分が変化する。その結果、発光部4の発光スペクトル(発光強度)、および、発光部4で透過(または、反射)する励起光のスペクトル形状も変化する。これにより、最終的に得られる照明光のスペクトル、すなわち色度も変化する。
【0130】
加えて、ヘッドランプ1は、その構造ゆえに、発光点は発光部4の1箇所だけであり、発光点の位置を変化させる必要もない。しかも、発光点が1箇所であることから、これに組み合わせる光学系は1ユニットでよく、それゆえ、ヘッドランプの小型化および軽量化が可能になり、かつ、ヘッドランプの光学設計も容易になる。
【0131】
〔各レーザ素子の出力の設定〕
さらに、ヘッドランプ1は、発光部4で発光した光が所望の色度を有するように、レーザ素子2aおよびレーザ素子2bの出力の組み合わせを予め設定する設定部30を備えていてよい。
【0132】
また、ヘッドランプ1は、発光部4で発光した光が色度図内の所望の範囲に含まれるように、レーザ素子2aおよびレーザ素子2bの出力をそれぞれ設定する設定部30を備えていてよい。
【0133】
この設定部30は、いかなる態様で実現されてもよい。一例として、ヘッドランプ1の内部または外部に、レーザ素子2aおよびレーザ素子2bの出力を調整することが可能なキーボード等の入力装置が設けられる。また、ヘッドランプ1の内部または外部に記憶装置が設けられる。そして、レーザ素子2aおよびレーザ素子2bの出力(出力値)と、それら出力(出力値)に対応する、ヘッドランプ1の外部に照射される照明光の色度とを対応づけたテーブルを記憶装置に格納する。
【0134】
これにより、ある色度の光が求められるときに、その色度の光に対応する数字等をキーボードから入力する。そして、ヘッドランプ1の内部または外部に設けられた制御部が上記入力と記憶装置に格納されたテーブルとを参照して、レーザ素子2aおよびレーザ素子2bの出力を自動的に調整する。その結果、ヘッドランプ1は、上記ある色度の光を装置外部に照射する。
【0135】
他の例として、ヘッドランプ1の外部に照射される光の色度を5種類ほど準備し、その5種類に対応する5つの押し釦をヘッドランプ1に設ける。そして、色度Aに対応する押し釦Aを押すと、その色度Aを実現するように、レーザ素子2aおよびレーザ素子2bの出力が自動的に調整される。また、色度Bに対応する押し釦Bを押すと、その色度Bを実現するように、レーザ素子2aおよびレーザ素子2bの出力が自動的に調整される。このようにして、ヘッドランプ1は、上記ある色度の光を装置外部に照射する。なお、押し釦は、ヘッドランプ1に設けられたタッチパネルとして実現されてもよい。
【0136】
このように、設定部30は、様々な態様で実現することができる。そして、ヘッドランプ1は、設定部30を備えることにより、異なる波長の励起光の出力を繰り返し調整する時間と労力とを軽減できるため、ユーザの利便性を高めることが可能となる。
【0137】
〔色温度の変化について〕
次に、ヘッドランプ1によって得られる効果を図9により説明する。図9は、ヘッドランプ1によって得られる効果を説明するための色度図である。
【0138】
図中の点Pは、レーザ素子2aおよびレーザ素子2bから出射されたレーザ光により発光部4が発する蛍光の色度点を示す。点Qは、レーザ素子2aおよびレーザ素子2bの出力を変化させた後の色度点を示す。
【0139】
ヘッドランプ1では、レーザ素子2aおよびレーザ素子2bそれぞれが互いに異なる波長のレーザ光を出射し、かつ、その出力を変化させることができる。そして、図示するように、レーザ素子2aおよびレーザ素子2bの出力を変化させることで、発光部4が発する蛍光の色度点を点Pから点Qに変化させることができる。なお、色度点の変化位置は、点Pおよび点Qに限られるものではなく、図9はあくまで一例を示す。
【0140】
このとき、発光点は発光部1箇所のみであり、発光点の位置を変化させる必要もない。加えて、発光点が1箇所であることから、これに組み合わせる光学系は1ユニットでよく、それゆえ、ヘッドランプ1の小型化および軽量化が可能になり、かつ、ヘッドランプ1の光学設計も容易になる。
【0141】
このように、ヘッドランプ1は、簡易な構造によりスペクトル、色度、色温度などの照明光の特性を容易に変化させることができる。
【0142】
上記発光部で発光した光が色度図内の所望の範囲に含まれるように、複数の上記励起光源の出力をそれぞれ設定する設定部を備える構成であってよい。
【0143】
〔ヘッドランプ100の構成〕
本発明のさらに他の実施形態であるヘッドランプ100について、図10および図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、ヘッドランプ1と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。本実施の形態では、発光部4がパラボラミラー5に保持されている構成について説明する。図10は、本実施の形態に係るヘッドランプ1の概略構成を示す断面図であり、図11は、発光部4と光ファイバ10の出射端部10rとの位置関係を示す図である。
【0144】
図10に示すように出射端部10rは、レーザ光照射面(受光面)4aに接触していてもよいし、僅かに間隔を置いて配置されてもよい。ここで、出射端部10rがレーザ光照射面4aと僅かに間隔を置いて配置されている場合、ヘッドランプに対する衝撃により、出射端部10rから出射されたレーザ光がレーザ光照射面4aに適切に照射されない可能性がある。この場合、レーザ光が発光部4によってインコヒーレントな光に変換されることなく、パラボラミラー5から出射されてしまうことになる。例えば、上述したように発光部4が透過フィルタ60に設けられている場合には、パラボラミラー5と透過フィルタ60とで囲まれた空間(パラボラミラー5と、パラボラミラー5の開口部とが形成する空間)中をレーザ光が伝播し、パラボラミラー5から出射される。
【0145】
つまり、出射端部10rがレーザ光照射面4aと僅かに間隔を置いて配置されている場合には、人体にとって有害な出力レベルのコヒーレントなレーザ光が、ヘッドランプの外部(前方)に出射されてしまう可能性がある。特に、レーザ素子2が出射するレーザ光は高出力であるため、ヘッドランプ1の外部、特に前方に出射されてしまうことを防ぐ必要がある。
【0146】
この点を考慮すれば、出射端部10rとレーザ光照射面4aとは接触している(近接している)か、もしくはレーザ光の光路が覆われていることが好ましい。すなわち、出射端部10rとレーザ光照射面4aとが離間している場合に形成される、その間のレーザ光の光路と、その光路の外の空間(例えば、パラボラミラー5と透過フィルタ60とで囲まれた空間)とを空間的に遮断することが好ましい。
【0147】
図10では、パラボラミラー5の底部には、出射端部10rが挿入される中空部70が形成されており、その中空部70の中心に、発光部4のレーザ光照射面4aの中心が位置するように、発光部4が設けられている。また、出射端部10rを保持するフェルール15が中空部70に挿入されている。つまり、図10では、パラボラミラー5の中空部70において、レーザ光照射面4aと出射端部10rとが近接している。
【0148】
レーザ光照射面4aと出射端部10rとが近接することにより、出射端部10rから出射されたレーザ光を確実にレーザ光照射面4aに照射できる。このため、例えばヘッドランプ100が何らかの衝撃を受けた場合に、人体にとって有害な出力レベルのレーザ光がレーザ光照射面4aに照射されずに(すなわち、レーザ光がインコヒーレントな光に変換されずに)直接外部に漏れ出てしまうのを防ぐことができる。それゆえ、安全性の高いヘッドランプ100を実現できる。
【0149】
また、パラボラミラー5と透過フィルタ60とで囲まれる空間(領域)をレーザ光が伝播することを防ぐ目的であれば、レーザ光照射面4aと出射端部10rとが近接していなくてもよい。すなわち、発光部4は、レーザ光照射面4aが、パラボラミラー5とパラボラミラー5の開口部とが形成する空間の外側となるように設けられていればよい。なお、上記「空間の外側」は、上記空間の境界面と上記空間の外部とを含む概念である。
【0150】
例えば、図10および図11では、レーザ光照射面4aが、発光部4から出射された光を反射するパラボラミラー5の反射面と少なくとも同一面(パラボラミラー5の外部に面した側、すなわち上記空間の外側)となるように、発光部4が設けられている。また、発光部4自体が、パラボラミラー5の外部であって、ヘッドランプ100の内部に設けられていてもよい。この場合、例えば、中空部70を延伸した筒(当該筒の材質は、レーザ光を遮断する材質)の内部に、発光部4が備えられる。さらに、発光部4の一部が上記空間内に存在し、レーザ光照射面4aが当該空間の外部(中空部70の内部)に存在してもよい。この場合、レーザ光照射面4aの形状および大きさは、中空部70の開口面の形状および大きさに一致している。
【0151】
このような構成の場合、発光部4が、高出力のレーザ光を上記空間の内部で受光することがない。すなわち、人体にとって有害な出力レベルのレーザ光が上記空間を伝播して、ヘッドランプ100の光の照射方向に漏れ出てしまうことを防ぐことができる。また、例えばヘッドランプ100が何らかの衝撃を受けたときに、レーザ光がレーザ光照射面4aに照射されない事態が生じた場合であっても、レーザ光が、少なくとも上記光の照射方向に直接漏れ出てしまう事態を防ぐことができる。
【0152】
なお、図10では、中空部70は、パラボラミラー5の底部に形成されているが、これに限らず、パラボラミラー5のどの位置に形成されてもよい。
【0153】
また、発光部4は、中空部70を完全に覆うように配置されている。これにより、出射端部10rから出射されたレーザ光がパラボラミラー5と透過フィルタ60とで囲まれる領域に出射され、パラボラミラー5の開口部から出射されてしまうことを防ぐことができる。このため、中空部70は、レーザ光照射面4aの大きさ以下(レーザ光照射面4aが3mm×1mmの矩形の場合、中空部70の開口面は3mm以下)となるように形成されている。なお、発光部4が中空部70を完全に覆うことができれば、中空部70の形状は、レーザ光照射面4aと必ずしも同じ形状でなくてよい。
【0154】
なお、パラボラミラー5と透過フィルタ60とで囲まれる空間をレーザ光が伝播することを確実に防ぐためには、(1)発光部4を、透過フィルタ60ではなくパラボラミラー5に保持し、(2)レーザ光照射面4aと出射端部10rとを近接させ、(3)発光部4が中空部70を完全に覆うように配置されることが好ましい。
【0155】
さらに、図10中には、エクステンション11、およびレンズ12が記載されている。このうち、エクステンション11は、パラボラミラー5の前方の側部に設けられており、ヘッドランプ100の内部構造を隠して見栄えを良くするとともに、パラボラミラー5と車体との一体感を高めている。このエクステンション11もパラボラミラー5と同様に金属薄膜がその表面に形成された部材である。また、レンズ12は、ハウジング13の開口部に設けられており、ヘッドランプを密封している。発光部4が発した光は、レンズ12を通ってヘッドランプ100の前方へ出射される。
【0156】
図11に示すように、発光部4とフェルール15とは、放熱部材71を介して設けられている。すなわち、レーザ光照射面4aと出射端部10rとは、放熱部材71を介して近接している。
【0157】
放熱部材71は、発光部4にレーザ光が照射されることにより、発光部4にて発生する熱を放散するものであり、レーザ光照射面4aと接して設けられている。放熱部材71の材質は、透明でかつ熱伝導率が高い材質、例えば窒化ガリウムやマグネシア(MgO)、サファイアなどが用いられる。
【0158】
また、放熱部材71は、板状の部材であり、中空部70の開口面を覆うように中空部70の内部に設けられている。放熱部材71の一方の表面(レーザ光出射面)にはレーザ光照射面4aが熱的に結合するように接着され、もう一方の表面(レーザ光受光面)には出射端部10rが接触または近接するように、発光部4と出射端部10rとが配置されている。
【0159】
なお、放熱部材71の形状は、発光部4にて発生する熱を、例えばパラボラミラー5に放散することができれば、中空部70の開口面を覆うような形状には限られない。すなわち、レーザ光照射面4aの一部に接する、パラボラミラー5から延出する棒状、筒状を含む線状の部材であってもよい。
【0160】
例えば、放熱部材71が線状の部材であり、光軸中心から離れた位置(レーザ光照射面4aの端部)にのみ設けられている場合には、必ずしも透明である必要はない。ただし、レーザ光の利用効率の観点からいえば、透明であることが好ましい。また、放熱部材71を筒状として、レーザ光照射面4aの端部にのみ設けた場合であれば、その筒の中を液体、あるいは気体等を流す、あるいは、循環させることで、より放熱効果を高めることも可能である。
【0161】
一般に、蛍光体を含む微小な発光部をハイパワーの励起光で励起すると(すなわち高いパワー密度で発光部を励起すると)、発光部が激しく劣化するという問題が生ずる。
【0162】
発光部を劣化させる原因の1つとして、励起光が照射される当該発光部の照射領域およびその近傍の領域(昇温領域と称する)における温度上昇が挙げられる。この場合、半導体レーザから高出力の励起光(レーザ光)が発光部に照射されると、当該発光部の昇温領域だけが局所的に極めて高温になるため、当該領域が急速に劣化してしまうという問題が生じる。
【0163】
したがって、蛍光体を含む微小な発光部をハイパワーの励起光で励起する構成において、発光部の劣化を防ぎ、明るく長寿命な光源を実現するためには、上記昇温領域における温度上昇を抑制することが望まれている。
【0164】
特に、図10および図11に示すように、レーザ光照射面4aと出射端部10rとが近接している場合には、レーザ光照射面4aと出射端部10rとの間隔がほとんどなくなるため、上記照射領域に対して、より強いレーザ光が照射されることとなる。このため、レーザ光照射面4aにおける上記昇温領域での発熱量が極めて大きくなり、当該昇温領域での温度上昇により発光部4が急速に劣化してしまう可能性がある。
【0165】
図11に示すヘッドランプ100では、中空部70に放熱部材71を備え、放熱部材71を介して出射端部10rと発光部4とが近接している。そのため、レーザ光照射面4aに照射されるレーザ光に起因して発光部4において発生した熱を、放熱部材71を介してパラボラミラー5へと放散させることができるので、発光部4の長寿命化を図ることができる。なお、この点を考慮しなければ、放熱部材71を必ずしも備える必要はない。
【0166】
また、ヘッドランプ100は、図11に示すように、レーザ光照射面4aおよび出射端部10rの近傍に、出射端部10rから出射されたレーザ光のうち、レーザ光照射面4aに照射されなかったレーザ光、およびレーザ光照射面4aの表面で反射されたレーザ光の少なくとも一方を遮光する遮光部72を備えている。遮光部72がパラボラミラー5に接続されることにより、遮光部72およびパラボラミラー5が、少なくともレーザ光照射面4aおよび出射端部10rの近傍を覆う密閉空間を形成している。図11では、フェルール15、レーザ光照射面4aおよび放熱部材71を覆う密閉空間を形成している。遮光部72の材質は、レーザ光が有する波長およびその近傍の波長を遮断するものであれば、どのような材質であってもよい。
【0167】
ここで、例えば発光部4が中空部70の開口面を覆うことにより、パラボラミラー5と透過フィルタ60とが囲む空間にレーザ光が漏れ出ないようにして、ヘッドランプ100の前方に当該レーザ光が出射されるのを防ぐことはできる。しかし、この構成の場合、例えばヘッドランプ100への衝撃により、レーザ光がレーザ光照射面4aに適切に照射されない事態が生じた場合に、当該レーザ光が、中空部70(発光部4とフェルール15との接続部)から漏れ出てしまう可能性がある。この場合、使用者が、ヘッドランプ1が収容されている筐体の覆い(自動車であればボンネット)を開けたときに、人体にとって有害な出力レベルのレーザ光が、直接使用者の目に入ってしまうという危険な事態が生じてしまう可能性がある。
【0168】
遮光部72を備えることにより、レーザ光照射面4aと出射端部10rとを近接させてもなお、例えばヘッドランプ1への衝撃により、レーザ光がレーザ光照射面4aに適切に照射されない事態が生じた場合であっても、当該レーザ光が、中空部70から外部に漏れ出ることを確実に防ぐことができる。また、レーザ光照射面4aと出射端部10rとが離間している場合であっても、レーザ光が遮光部72により密閉された空間から出射されてしまう、すなわち中空部70から外部に漏れ出ることを防ぐことができる。なお、少なくともヘッドランプ100の前方にレーザ光が出射されるのを防ぐことを目的とするのであれば、遮光部72は必ずしも備えていなくてもよい。
【0169】
なお、図11では、遮光部72は、特に、パラボラミラー5の外部に向かう方向(上記光の照射方向以外の方向)に、レーザ光が中空部70から漏れ出ることを防ぐために設けられている。しかし、この構成に限らず、遮光部72は、上記光の照射方向に、レーザ光が出射されてしまうことを防ぐために設けられるものであってもよい。
【0170】
すなわち、遮光部72は、例えば、発光部4(レーザ光照射面4a)が、パラボラミラー5の内部に設けられている場合に、少なくとも、レーザ光照射面4aと出射端部10rとの間に形成されるレーザ光の光路の近傍を覆うように設けられてもよい。その場合、遮光部72は、少なくとも、レーザ光照射面4aとフェルール15とを覆う密閉空間を形成し、その形状は例えば筒状である。また、遮光部72の材質は、レーザ光が有する波長およびその近傍の波長を遮断するとともに、発光部4から出射された光を透過する材質であることが好ましい。
【0171】
このように、遮光部72がパラボラミラー5の内部に設けられる場合には、レーザ光が、パラボラミラー5と透過フィルタ60とで囲まれた空間を伝播し、パラボラミラー5の開口部から出射されてしまうことを防ぐことができる。
【0172】
なお、図10および図11では、レーザ光照射面4aと中空部70の開口面とが略同一の大きさとなっているが、当該開口面は、レーザ光照射面4aよりも小さくてもよい。この場合、レーザ光照射面4aの端部がパラボラミラー5に直接接続され、パラボラミラー5により保持される構成であってもよい。
【0173】
〔ダウンライトの実施例〕
本発明の他の実施形態について図12〜図16に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、上記と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0174】
ここでは、本発明の照明装置の一例としてのレーザダウンライト200について説明する。レーザダウンライト200は、家屋、乗物などの構造物の天井に設置される照明装置であり、レーザ素子2から出射したレーザ光を発光部4に照射することによって発生する蛍光を照明光として用いる、もしくは、レーザ素子2から出射したレーザ光を発光部4に照射することによって発生する蛍光と、発光部4の内部を散乱・透過して出てきた励起光の波長を有する光との混色を照明光として用いるものである。
【0175】
なお、レーザダウンライト200と同様の構成を有する照明装置を、構造物の側壁または床に設置してもよく、上記照明装置の設置場所は特に限定されない。
【0176】
図12は、発光ユニット210および従来のLEDダウンライト300の外観を示す概略図である。図13は、レーザダウンライト200が設置された天井の断面図である。図14は、レーザダウンライト200の断面図である。図12〜図14に示すように、レーザダウンライト200は、天板400に埋設され、照明光を出射する発光ユニット210と、光ファイバ10を介して発光ユニット210へレーザ光を供給するLD光源ユニット220とを含んでいる。LD光源ユニット220は、天井には設置されておらず、ユーザが容易に触れることができる位置(例えば、家屋の側壁)に設置されている。このようにLD光源ユニット220の位置を自由に決定できるのは、LD光源ユニット220と発光ユニット210とが光ファイバ10によって接続されているからである。この光ファイバ10は、天板400と断熱材401との間の隙間に配置されている。
【0177】
(発光ユニット210の構成)
発光ユニット210は、図14に示すように、筐体211、光ファイバ10、発光部4および透光板213を備えている。
【0178】
筐体211には、凹部212が形成されており、この凹部212の底面に発光部4が配置されている。凹部212の表面には、金属薄膜が形成されており、凹部212は反射鏡として機能する。
【0179】
また、筐体211には、光ファイバ10を通すための通路214が形成されており、この通路214を通って光ファイバ10が発光部4まで延びている。光ファイバ10の出射端部と発光部4との位置関係は上述したものと同様である。
【0180】
透光板213は、凹部212の開口部をふさぐように配置された透明または半透明の板である。発光部4の蛍光は、透光板213を透して照明光として出射される。透光板213は、筐体211に対して取外し可能であってもよく、省略されてもよい。
【0181】
図12では、発光ユニット210は、円形の外縁を有しているが、発光ユニット210の形状(より厳密には、筐体211の形状)は特に限定されない。
【0182】
なお、ダウンライトでは、ヘッドランプの場合とは異なり、理想的な点光源は要求されず、発光点が1つというレベルで十分である。それゆえ、発光部4の形状、大きさおよび配置に関する制約は、ヘッドランプの場合よりも少ない。
【0183】
(LD光源ユニット220の構成)
LD光源ユニット220は、レーザ素子2、レンズ3および光ファイバ10を備えている。
【0184】
光ファイバ10の一方の端部である入射端部は、LD光源ユニット220に接続されており、レーザ素子2から発振されたレーザ光は、レンズ3を介して光ファイバ10の入射端部に入射される。
【0185】
図14に示すLD光源ユニット220の内部には、レーザ素子2およびレンズ3が一対のみ示されているが、発光ユニット210が複数存在する場合には、発光ユニット210からそれぞれ延びる光ファイバ10の束を1つのLD光源ユニット220に導いてもよい。この場合、1つのLD光源ユニット220に複数のレーザ素子2とレンズ3との対(または、複数のレーザ素子2と1つのロッド状レンズとの対)が収納されることになり、LD光源ユニット220は集中電源ボックスとして機能する。
【0186】
(レーザダウンライト200の設置方法の変更例)
図15は、レーザダウンライト200の設置方法の変更例を示す断面図である。同図に示すように、レーザダウンライト200の設置方法の変形例として、天板400には光ファイバ10を通す小さな穴402だけを開け、薄型・軽量の特長を活かしてレーザダウンライト本体(発光ユニット210)を強力な粘着テープ等を使って天板400に貼り付けるということもできる。この場合、レーザダウンライト200の設置に係る制約が小さくなり、また工事費用が大幅に削減できるというメリットがある。
【0187】
(レーザダウンライト200と従来のLEDダウンライト300との比較)
従来のLEDダウンライト300は、図12に示すように、複数の透光板301を備えており、各透光板301からそれぞれ照明光が出射される。すなわち、LEDダウンライト300において発光点は複数存在している。LEDダウンライト300において発光点が複数存在しているのは、個々の発光点から出射される光の光束が比較的小さいため、複数の発光点を設けなければ照明光として十分な光束の光が得られないためである。
【0188】
これに対して、レーザダウンライト200は、高光束の照明装置であるため、発光点は1つでもよい。それゆえ、照明光による陰影がきれいに出るという効果が得られる。また、発光部4の蛍光体を高演色蛍光体(例えば、数種類の酸窒化物蛍光体の組み合わせ)にすることにより、照明光の演色性を高めることができる。
【0189】
図16は、LEDダウンライト300が設置された天井の断面図である。同図に示すように、LEDダウンライト300では、LEDチップ、電源および冷却ユニットを収納した筐体302が天板400に埋設されている。筐体302は比較的大きなものであり、筐体302が配置されている部分の断熱材401には、筐体302の形状に沿った凹部が形成される。筐体302から電源ライン303が延びており、この電源ライン303はコンセント(不図示)につながっている。
【0190】
このような構成では、次のような問題が生じる。まず、天板400と断熱材401との間に発熱源である光源(LEDチップ)および電源が存在しているため、LEDダウンライト300を使用することにより天井の温度が上がり、部屋の冷房効率が低下するという問題が生じる。
【0191】
また、LEDダウンライト300では、光源ごとに電源および冷却ユニットが必要であり、トータルのコストが増大するという問題が生じる。
【0192】
また、筐体302は比較的大きなものであるため、天板400と断熱材401との間の隙間にLEDダウンライト300を配置することが困難な場合が多いという問題が生じる。
【0193】
また、LEDダウンライトは、LEDチップの放熱のために放熱フィンなどの金属ブロックと一体となっているため、LEDダウンライトとして見たときにその重量が重くなる。そのため、天井に保持するためには特別な取り付け用の筺体が必要になるという問題が生じる。
【0194】
これに対して、レーザダウンライト200では、発光ユニット210には、大きな発熱源は含まれていないため、部屋の冷房効率を低下させることはない。その結果、部屋の冷房コストの増大を避けることができる。
【0195】
また、発光ユニット210ごとに電源および冷却ユニットを設ける必要がないため、レーザダウンライト200を小型および薄型および軽量にすることができる。その結果、レーザダウンライト200を設置するためのスペースの制約が小さくなり、既存の住宅への設置が容易になる。
【0196】
また、レーザダウンライト200は、小型および薄型および軽量であるため、上述したように、発光ユニット210を天板400の表面に設置することができ、天板裏側のスペースもほとんど必要ないためにLEDダウンライト300よりも設置に係る制約を小さくすることができるとともに工事費用を大幅に削減できる。
【0197】
図17は、レーザダウンライト200およびLEDダウンライト300のスペックを比較するための図である。同図に示すように、レーザダウンライト200は、その一例では、LEDダウンライト300に比べて体積は94%減少し、質量は86%減少する。
【0198】
また、LD光源ユニット220をユーザの手が容易に届く所(高さ)に設置できるため、レーザ素子2が故障した場合でも、手軽にレーザ素子2を交換できる。また、複数の発光ユニット210から延びる光ファイバ10を1つのLD光源ユニット220に導くことにより、複数のレーザ素子2を一括管理できる。そのため、複数のレーザ素子2を交換する場合でも、その交換が容易にできる。
【0199】
なお、LEDダウンライト300において、高演色蛍光体を用いたタイプの場合、消費電力10Wで約500lmの光束が出射できるが、同じ明るさの光をレーザダウンライト200で実現するためには、3.3Wの光出力が必要である。この光出力は、LD効率が35%であれば、消費電力10Wに相当し、LEDダウンライト300の消費電力も10Wであるため、消費電力では、両者の間に顕著な差は見られない。それゆえ、レーザダウンライト200では、LEDダウンライト300と同じ消費電力で、上述の種々のメリットが得られることになる。
【0200】
以上のように、レーザダウンライト200は、レーザ光を出射するレーザ素子2を少なくとも1つ備える光源ユニット220と、発光部4および反射鏡としての凹部212を備える少なくとも1つの発光ユニット210と、発光ユニット210のそれぞれへ上記レーザ光を導く光ファイバ10とを含んでいる。
【0201】
光ファイバ10の複数の出射端部は、発光ユニット210が備える1つの発光部4に対して複数配置されており、複数配置された出射端部から出射されるレーザ光がそれぞれ有する光強度分布における最も光強度の大きい部分が、配置の対象となる発光部4の互いに異なる部分に対して照射される。
【0202】
それゆえ、レーザダウンライト200において、レーザ光が発光部4の一箇所に集中的に照射されることによって発光部4が著しく劣化する可能性を低減できる。その結果、長寿命のレーザダウンライト200を実現できる。
【0203】
また、レーザダウンライト200は、次の効果も実現することができる。
【0204】
すなわち、レーザダウンライト200は、発光点が1つでありながら、レーザ光の出力を変化させるだけで、照明光の色度を変化させることができる。このため、レーザダウンライト200は、人手を使って物理的に発光部を交換することなく、なおかつ、発光部4を物理的に交換するための機械的駆動手段やフィルタなどを用いて発光部4から出射される照明光の色度を変化させるための機構、異なる色の光を出射する光源を複数有し、それら光源の点灯・消灯によって照明光の色度を変化させる機構などの大掛かりな機構を発光部付近に設けることなく、1つの発光点から出射される照明光の色度を変えることができる。そのため、レーザダウンライト200は、発光点が1つであるが故の照明光による陰影がきれいに出るという効果を得つつ、シチュエーション(食事中、テレビ鑑賞中、家族団欒中など)や、時間帯(朝、昼、夜など)、気分(リラックスしたい場合など)に応じた色度の変更を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0205】
本発明は、発光点の位置を変化させることなく、色度の異なる照明光を照射することが可能な照明装置に適用され、特に車両用前照灯、およびダウンライトに好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0206】
1 ヘッドランプ(照明装置)
2 レーザ素子(励起光源)
3 レンズ(励起光)
4 発光部
5 パラボラミラー
7 金属ベース
8 フィン
10 光ファイバ(導光部)
15 フェルール
30 設定部
40 透明高熱伝導板
50 自動車(車両)
60 透過フィルタ
70 中空部
71 放熱部材
72 遮光部
20 テーパ型導光部
30 設定部
200 レーザダウンライト
210 発光ユニット
211 筐体
212 凹部
213 透光板
214 通路
220 光源ユニット
300 LEDダウンライト
301 透光板
302 筐体
303 電源ライン
400 天板
401 断熱材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を出射する複数の励起光源と、
複数の上記励起光源から出射される励起光を受けて発光する発光部と、を備え、
複数の上記励起光源はそれぞれ、互いに異なる波長の励起光を出射し、かつ、その出力を変化させうることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
上記照明装置の外部に照射される照明光は、上記発光部からの発光と、上記異なる波長の励起光とからなり、
上記異なる波長の励起光の出力は、0より大きいことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
上記発光部で発光した光が所望の色度を有するように、複数の上記励起光源の出力の組み合わせを予め設定する設定部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
上記発光部で発光した光が色度図内の所望の範囲に含まれるように、複数の上記励起光源の出力をそれぞれ設定する設定部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項5】
複数の上記励起光源から出射された励起光を導光する導光部を備え、
上記導光部は、導光した励起光を上記発光部に集光することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
複数の上記励起光源から出射された励起光を導光する導光部を備え、
上記導光部は、上記複数の励起光源のそれぞれから励起光を受け取る複数の光ファイバを有し、
上記複数の光ファイバが有する励起光の出射端部は、バンドル化されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
上記発光部は、上記励起光を受けて蛍光を発する蛍光体を含むことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
上記発光部は、上記励起光を散乱する散乱体を含むことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項9】
上記発光部は、上記励起光源から出射された励起光を受光する受光面を有し、当該受光面が、上記発光部から出射される光を反射することにより、所定の立体角内を進む光線束を形成する反射鏡と当該反射鏡の開口部とが形成する空間の外側となるように設けられていることを特徴とする請求項1から8までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項10】
上記発光部は、上記導光部から出射された励起光を受光する受光面を有し、
上記導光部は、上記励起光源から受け取った励起光を上記発光部に出射する出射端部を有し、
上記受光面および上記出射端部の近傍に、上記出射端部から出射された励起光のうち、上記受光面に照射されなかった励起光、および上記受光面にて反射された励起光の少なくとも一方を遮光する遮光部を備えることを特徴とする請求項5または6に記載の照明装置。
【請求項11】
上記発光部は、上記導光部から出射された励起光を受光する受光面を有し、
上記導光部は、上記励起光源から受け取った励起光を上記発光部に出射する出射端部を有し、
上記受光面と上記出射端部とが近接していることを特徴とする請求項5または6に記載の照明装置。
【請求項12】
上記発光部から出射される光を反射することにより、所定の立体角内を進む光線束を形成する反射鏡を備え、
上記反射鏡は、上記出射端部が挿入される中空部を有し、
上記中空部には、上記発光部に上記励起光が照射されることにより、当該発光部にて発生する熱を放散する放熱部材が備えられ、
上記受光面と上記出射端部とは、上記放熱部材を介して近接していることを特徴とする請求項10または11に記載の照明装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の照明装置を含むことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか1項に記載の照明装置を含むことを特徴とするダウンライト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−109928(P2013−109928A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253191(P2011−253191)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】