説明

照明装置および車両用前照灯

【課題】励起光源からの励起光が発光部に当たらなくなっても、励起光源からの励起光が装置の外部に放出されることを防止できる照明装置を提供する。
【解決手段】本発明の照明装置1は、一方向に励起光C1を発光する励起光源3と、励起光C1を受けて非励起光C3を発光する発光部5と、非励起光C3を、励起光C1の発光方向と異なる方向である照明方向Hに反射させるリフレクタ9とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザ等の励起光源と蛍光体等の発光部とを組み合わせた照明装置およびこの照明装置を備えた車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
励起光源からの励起光を発光部に照射することで発光部から非励起光を放出させ、その非励起光を照明光として利用する照明光源として、特許文献1および2が知られている。
【0003】
特許文献1では、短波長のレーザ光(励起光)を出射するレーザダイオード(励起光源)と、該レーザダイオードからのレーザ光を平行光線束とするコリメータと、該コリメータからの平行光線束のレーザ光を集光するコンデンサと、該コンデンサで集光したレーザ光を吸収し自然光としてインコヒーレント光を放出する蛍光体(発光部)と、該蛍光体が放物反射面または楕円反射面のほぼ焦点に位置するように設けられた可視光反射鏡と、上記蛍光体を通過したレーザ光を反射して上記蛍光体に集中させるレーザ光反射鏡とを備えた光源装置が開示されている。この光源装置では、蛍光体から放出されたインコヒーレント光は、可視光反射鏡によって一定方向に反射されて照明光になる。
【0004】
また、特許文献2では、波長450nmのレーザ光(励起光)を発するGaN系半導体レーザを励起光源として用い、該励起光源からの上記レーザ光によって励起されて可視域の蛍光(非励起光)を発するように、蛍光体(発光部)が上記励起光源と組み合わされた発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−295319号公報(2003年10月15日公開)
【特許文献2】特開2000−174346号公報(2000年6月23日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1および2では、何らかの拍子で発光部が所定の場所からずれる、あるいは励起光源の光軸がずれて励起光源からの励起光が発光部に当たらなくなると、励起光源からの励起光が装置外部に放出され、その励起光が人の目に照射されると、人の目を害する場合がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、励起光源からの励起光を発光部に照射することで発光部から非励起光を放出させ、その非励起光を照明光として利用する照明装置であって、発光部がずれる、あるいは励起光源の光軸がずれて励起光源からの励起光が発光部に当たらなくなっても、励起光源からの励起光が装置外部に放出されることを防止することができる照明装置およびこの照明装置を備えた車両用前照灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る照明装置は、一方向に励起光を発光する励起光源と、上記励起光を受けて非励起光を発光する発光部と、上記非励起光を、上記励起光の発光方向と異なる方向である照明方向に反射させる反射部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、励起光源からの励起光が発光部によって非励起光に変換され、その非励起光が照明光として放出される。よって、励起光源を用いて輝度の高い照明光を得ることできる。
【0010】
また、励起光の発光方向は、照明光の照明方向と異なる方向に設定される。よって、発光部の位置または励起光の発光方向がずれて、励起光が発光部から外れても、励起光が照明方向に出射されること(すなわち、励起光が照明光として放出されること)を防止できる。
【0011】
上記発光部を介して上記励起光源と対向する位置に、上記励起光を終端させる励起光終端部をさらに備えることが望ましい。
【0012】
上記の構成によれば、発光部を介して励起光源と対向する位置に励起光終端部が配置されるので、発光部の位置がずれる、あるいは励起光源の光軸がずれて励起光が発光部から外れると、励起光源からの励起光は、励起光終端部に入射して終端される。
【0013】
よって、発光部の位置がずれる、あるいは励起光源の光軸がずれて励起光が発光部から外れても、励起光が当該照明装置の外部に放出されることを防止できる。
【0014】
上記励起光終端部は、その内部で上記励起光を散乱させて減衰させる積分球であることが望ましい。
【0015】
上記の構成によれば、励起光終端部に入射した励起光は、この内部で散乱して減衰して行き、最終的に消滅(すなわち終端)する。よって、簡単な構成で励起光終端部を構成できる。
【0016】
上記励起光終端部は、上記励起光を入射する開口部を有する有底筒部と、上記有底筒部の底面において、上記底面側から上記開口部側に向かって先細りするように形成され、その先端部は尖り、且つ、その基端面は上記底面と同じ大きさであるテーパ部と、を有することが望ましい。
【0017】
上記の構成によれば、開口部から励起光終端部に入射した励起光は、有底筒部の内側面とテーパ部の外周面との間で反射を繰り返して有底筒部の奥側に進む。この励起光終端部では、テーパ部の先端部は尖っており、且つ、テーパ部の基端面は有底筒部の底面と同じ大きさである(すなわち、有底筒部の底面はテーパ部に完全に占められている)。
【0018】
よって、開口部から励起光終端部に入射した励起光は、励起光終端部内では、開口部側に反射できず、反射の度に減衰して最終的に消滅(すなわち終端)する。故に、簡単な構成で励起光終端部を構成できる。
【0019】
上記励起光終端部は、上記励起光源からの上記励起光を吸収する光吸収部材を有することが望ましい。
【0020】
上記の構成によれば、上記励起光終端部は、上記励起光源からの上記励起光を吸収する光吸収部材を有するので、簡単な構成で、励起光終端部を構成できる。
【0021】
補助照明光を発光する補助照明光源をさらに備えることが望ましい。
【0022】
上記の構成によれば、発光部が所定の場所からずれる、あるいは励起光源の光軸がずれて励起光源からの励起光が発光部に当たらなくなると、装置から照明光が全く出てこなくなることを防止することができる。
【0023】
そのため、上記構成を有しない照明装置の場合に起こり得る、人若しくは/且つ物体を認識するための装置が人若しくは/且つ物体を認識するため、若しくは/且つ照明装置の存在を周囲の人に知らしめるために光を放出している光源がない場合は、物体を認識することができなくなる、若しくは/且つ、照明装置の存在を周囲に知らしめることができなくなるという問題を解決することができる。
【0024】
つまり、発光部の位置がずれる、あるいは励起光源の光軸がずれて励起光が発光部から外れることで非励起光が消灯した場合においても、補助照明光源により最低限の照明光を確保できる。
【0025】
上記補助照明光は、上記励起光の波長と異なる波長であることが望ましい。
【0026】
照明光は、励起光によって励起された発光部から発光される非励起光と、補助照明光との合成光により構成される。
【0027】
上記の構成によれば、補助照明光は、励起光の波長と異なる波長であるので、補助照明光の波長を調整することで、照明光の色温度を調整することができる。
【0028】
また、波長が異なると色温度が異なってくるので、照明光が非励起光および補助照明光により構成される場合の照明光の色温度と、照明光が補助照明光だけで構成される場合の照明光の色温度とは異なる。よって、照明光の色温度により、当該照明装置の故障の有無を判断することができる。
【0029】
上記発光部は、上記補助照明光に対する吸収率よりも、上記励起光に対する吸収率の方が高い特性を有することが望ましい。
【0030】
発光部において、励起光に対する吸収率が高いほど、励起光を非励起光に変換する変換効率が高くなる。また、発光部において、補助照明光に対する吸収率が低いほど、補助照明光が発光部を透過する透過率が高くなり、補助照明光を非励起光と共に照明光として活用し易くなる。
【0031】
よって、上記の構成によれば、上記補助照明光に対する光吸収率よりも、上記励起光に対する光吸収率の方が高いので、励起光を非励起光に変換する変換効率が比較的高く、また、補助照明光が発光部を透過する透過率も比較的高くなる。故に、励起光の非励起光への変換効率を損なうことなく、補助照明光を非励起光と共に照明光として活用し易くなる。
【0032】
上記発光部における上記照明方向の側に配置された励起光カットフィルタをさらに備えることが望ましい。
【0033】
上記の構成によれば、励起光カットフィルタによって、照明光に含まれた励起光が除去される。よって、励起光が照明光に混ざって外部に射出されることを防止できる。
【0034】
上記補助照明光源は、発光素子と、上記発光素子からの光を受けて白色光を発光する蛍光体と、を有することが望ましい。
【0035】
上記の構成によれば、補助照明光源は、白色の補助照明光を照射することができる。
【0036】
また、上記照明装置を備えている車両用前照灯も本発明の技術的範囲に含まれる。この車両用前照灯では、励起光源が発光部に照射されなくても、周囲から車両の存在を確認することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の照明装置は、一方向に励起光を発光する励起光源と、上記励起光を受けて非励起光を発光する発光部と、上記非励起光を、上記励起光の発光方向と異なる方向である照明方向に反射させる反射部と、を備えている。
【0038】
よって、発光部の位置または励起光の発光方向がずれて、励起光が発光部から外れても、励起光が照明方向に出射されること(すなわち、励起光が照明光として放出されること)を防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施の形態に係る照明装置の構成を説明する断面図である。
【図2】図1の励起光終端部を説明する断面図である。
【図3】励起光終端部の変形例を説明する断面図である。
【図4】励起光終端部の他の変形例を説明する斜視図である。
【図5】(a)は、半導体レーザの回路図を模式的に示したものであり、(b)は、半導体レーザの基本構造を示す斜視図である。
【図6】本発明の他の実施の形態に係る照明装置の構成を説明する断面図である。
【図7】発光部、金属板および励起光排出用開口部の位置関係を説明する説明図であり、(a)は、図6の矢印Xの方向から見た概念図、(b)は、発光部の、金属板の励起光排出用開口部上への配設の仕方を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0041】
(1.構成)
本発明の照明装置に関する実施の一形態について、図1および図2に基づいて説明すれば以下のとおりである。
【0042】
本発明の照明装置1は、例えば自動車用の走行用前照灯(ハイビーム)の配光特性基準を満たすヘッドランプに利用可能である。ただし、本発明の照明装置は、自動車用のすれ違い用前照灯(ロービーム)の配光特性基準を満たすヘッドランプ、および、自動車以外の車両・移動物体(例えば、人間・船舶・航空機・潜水艇・ロケットなど)のヘッドランプとして実現されてもよい。また、その他の照明装置として、例えば、サーチライト、プロジェクター、家庭用照明器具、店舗用照明器具、オフィス用照明器具、さらに、屋外照明器具として実現されてもよい。
【0043】
この照明装置1は、図1に示すように、励起光C1を発光する励起光源3と、励起光C1を受けて非励起光C3を発光する発光部5と、補助照明光C2を発光する補助照明光源7と、非励起光C3および補助照明光C2からなる照明光C4を所定の照明方向Hに照射させるリフレクタ(反射部)9と、励起光源3からの励起光C1を終端させる励起光終端部11と、励起光C1が照明装置1の外部に漏れることを防止するための励起光カットフィルタ13とを備えている。
【0044】
(リフレクタ9)
リフレクタ9(反射部)は、中心線L1回りに回転対称な放物面状に形成されている。リフレクタ9の内面9aは、放物面状の反射面(放物反射面)になっている(以後、放物反射面9aとも呼ぶ)。リフレクタ9の中心線L1方向の一端側は開放されており、照明光C4を外部に出射する照明光用開口部9bになっている。すなわち、このリフレクタ9では、放物反射面9aによって、発光部5からの光C2およびC3を照明方向Hに反射させて開口部9bから外部に放出させる。なお、照明方向Hは、中心線L1に平行である。リフレクタ9の部材は、例えば、金属薄膜がその表面に形成された部材であってもよいし、金属製の部材であってもよく、照明光C4の波長範囲における反射率が高い部材であることが好ましい。
【0045】
(発光部5)
発光部5は、リフレクタ9の内部(例えば焦点位置)に配置される。発光部5は、例えば、励起光源3からの励起光C1を受けて励起されて蛍光(非励起光)C3を発する蛍光体(不図示)と、上記蛍光体を封止する蛍光体保持物質(不図示)とから構成される。上記蛍光体保持物質は、無機材料であることが好ましい。
【0046】
より詳細には、発光部5は、蛍光体保持物質としての低融点ガラスの内部に蛍光体が分散されているものである。低融点ガラスと蛍光体との割合は、10:1程度である。また、発光部5は、蛍光体を適切な処理により固めたものであってもよく、例えば、蛍光体を押し固めて熱処理を加えたものであってもよい。蛍光体保持物質は、低融点ガラスに限定されず、有機無機ハイブリッドガラス(HBG)や無機ガラス、シリコーン樹脂であってもよい。
【0047】
上記蛍光体は、例えば、酸窒化物系、または窒化物系のものであり、青色、緑色および赤色の蛍光体が低融点ガラスに分されている。励起光源3は、後述のように例えば半導体レーザとして構成されており、405nm(青紫色)のレーザ光を発振するため、発光部5に当該レーザ光が照射されると白色光が発生する。それゆえ、発光部5は、波長変換材料であるといえる。
【0048】
なお、上記半導体レーザは、上述したように450nm(青色)のレーザ光(または、440nm以上490nm以下の波長範囲にピーク波長を有する、いわゆる青色近傍のレーザ光)を発振するものでもよく、この場合には、上記蛍光体は、黄色の蛍光体、または緑色の蛍光体と赤色の蛍光体との混合物である。黄色の蛍光体とは、560nm以上590nm以下の波長範囲にピーク波長を有する光を発する蛍光体である。緑色の蛍光体とは、510nm以上560nm以下の波長範囲にピーク波長を有する光を発する蛍光体である。赤色の蛍光体とは、600nm以上680nm以下の波長範囲にピーク波長を有する光を発する蛍光体である。
【0049】
上記蛍光体のうちの例えば緑色の蛍光体は、サイアロンと通称されるものを用いることができる。サイアロンとは、窒化ケイ素のシリコン原子の一部がアルミニウム原子に、窒素原子の一部が酸素原子に置換された物質である。窒化ケイ素(Si)にアルミナ(Al)、シリカ(SiO)および希土類元素などを固溶させて作ることができる。
【0050】
蛍光体の別の好適な例としては、III−V族化合物半導体のナノメータサイズの粒子を用いた半導体ナノ粒子蛍光体を例示することができる。
【0051】
半導体ナノ粒子蛍光体の特徴の一つは、同一の化合物半導体(例えばインジュウムリン:InP)を用いても、その粒子径をナノメータサイズに変更することにより、量子サイズ効果によって発光色を変化させることができる点である。例えば、InPでは、粒子サイズが3〜4nm程度のときに赤色に発光する。ここで、粒子サイズは透過型電子顕微鏡(TEM)にて評価した。
【0052】
また、この半導体ナノ粒子蛍光体は、半導体ベースであるので蛍光寿命が短く、レーザ光のパワーを素早く蛍光として放射できるのでハイパワーのレーザ光に対して耐性が強いという特徴もある。これは、この半導体ナノ粒子蛍光体の発光寿命が10ナノ秒程度と、希土類を発光中心とする通常の蛍光体材料に比べて5桁も小さいためである。
【0053】
さらに、上述したように、発光寿命が短いため、レーザ光の吸収と蛍光体の発光を素早く繰り返すことができる。その結果、強いレーザ光に対して高い変換効率を保つことができ、蛍光体からの発熱を低減させることができる。
【0054】
よって、発光部5が熱により劣化(変色や変形)するのをより抑制することができる。これにより、発光部5の寿命を延ばすことができる。
【0055】
(励起光源3)
励起光源3は、例えば半導体レーザ(以下、半導体レーザ3とも呼ぶ)として構成されており、励起光C1であるレーザ光(以後、レーザ光C1とも呼ぶ)を一方向に出射(発振)する。励起光C1の波長は、上述のように、例えば紫外線または青紫光である。
【0056】
上述のように、半導体レーザ3は、レーザ光C1を出射する励起光源として機能するものである。半導体レーザ3からレーザ光(励起光)C1が発振される。もちろん、半導体レーザ3は複数設けられていてもよい。その場合、複数の半導体レーザ3のそれぞれからレーザ光C1が発振される。
【0057】
半導体レーザ3から出射されるレーザ光C1は、発光部5の構成要素である蛍光体を励起するための励起光であり、コヒーレント性を有するコヒーレント光である。コヒーレント光は、一般的には、空間的および時間的に位相がそろっている光とされており、その波長は単一波長である。
【0058】
半導体レーザ3は、1チップに10個の発光点(10ストライプ)を有するものであり、例えば、405nm(青紫色)のレーザ光を発振し、出力11.2W、動作電圧5V、電流6.4Aのものであり、直径15mmのステムに実装されているものである。半導体レーザ3を上で述べた11.2Wでレーザ光C1を出力させれば、その消費電力は32W(5V×6.4A)となる。もちろん、半導体レーザ3が発振するレーザ光C1は、405nmに限定されず、400nm以上420nm以下の波長範囲にピーク波長を有するレーザ光であればよい。
【0059】
また、半導体レーザ3から出射されるレーザ光C1は、420nm以上の、例えば青色(450nm)のレーザ光、または青色近傍(440nm以上490nm以下)の波長範囲にピーク波長を有するレーザ光であってもよい。
【0060】
図5(a)は、半導体レーザ3の回路図を模式的に示したものであり、図5(b)は、半導体レーザ3の基本構造を示す斜視図である。同図に示すように、半導体レーザ3は、カソード電極23、基板22、クラッド層113、活性層111、クラッド層112、アノード電極21がこの順に積層された構成である。
【0061】
基板22は、半導体基板であり、本願のように蛍光体を励起する為の青色〜紫外のレーザ光を得る為にはGaN、サファイア、SiCを用いることが好ましい。一般的には、半導体レーザ用の基板の他の例として、Si、GeおよびSiC等のIV属半導体、GaAs、GaP、InP、AlAs、GaN、InN、InSb、GaSbおよびAlNに代表されるIII−V属化合物半導体、ZnTe、ZeSe、ZnSおよびZnO等のII−VI属化合物半導体、ZnO、Al、SiO、TiO、CrOおよびCeO等の酸化物絶縁体、ならびに、SiNなどの窒化物絶縁体のいずれかの材料が用いられる。
【0062】
アノード電極21は、クラッド層112を介して活性層111に電流を注入するためのものである。
【0063】
カソード電極23は、基板22の下部から、クラッド層113を介して活性層111に電流を注入するためのものである。なお、電流の注入は、アノード電極21・カソード電極23に順方向バイアスをかけて行なう。
【0064】
活性層111は、クラッド層113およびクラッド層112で挟まれた構造になっている。
【0065】
また、活性層111およびクラッド層の材料としては、青色〜紫外のレーザ光を得る為にはAlInGaNから成る混晶半導体が用いられる。一般に半導体レーザの活性層・クラッド層としては、Al、Ga、In、As、P、N、Sbを主たる組成とする混晶半導体が用いられ、そのような構成としても良い。また、Zn、Mg、S、Se、TeおよびZnO等のII−VI属化合物半導体によって構成されていてもよい。
【0066】
また、活性層111は、注入された電流により発光が生じる領域であり、クラッド層112およびクラッド層113との屈折率差により、発光した光が活性層111内に閉じ込められる。
【0067】
さらに、活性層111には、誘導放出によって増幅される光を閉じ込めるために互いに対向して設けられる表側へき開面114・裏側へき開面115が形成されており、この表側へき開面114・裏側へき開面115が鏡の役割を果す。
【0068】
ただし、完全に光を反射する鏡とは異なり、誘導放出によって増幅される光の一部は、活性層111の表側へき開面114・裏側へき開面115(本実施の形態では、便宜上表側へき開面114とする)から出射され、レーザ光L0となる。なお、活性層111は、多層量子井戸構造を形成していてもよい。
【0069】
なお、表側へき開面114と対向する裏側へき開面115には、レーザ発振のための反射膜(図示せず)が形成されており、表側へき開面114と裏側へき開面115との反射率に差を設けることで、低反射率端面である、例えば、表側へき開面114よりレーザ光L0の大部分を発光点116から照射されるようにすることができる。
【0070】
クラッド層113・クラッド層112は、n型およびp型それぞれのGaAs、GaP、InP、AlAs、GaN、InN、InSb、GaSb、およびAlNに代表されるIII−V属化合物半導体、ならびに、ZnTe、ZeSe、ZnSおよびZnO等のII−VI属化合物半導体のいずれの半導体によって構成されていてもよく、順方向バイアスをアノード電極21およびカソード電極23に印加することで活性層111に電流を注入できるようになっている。
【0071】
クラッド層113・クラッド層112および活性層111などの各半導体層との膜形成については、MOCVD(有機金属化学気相成長)法やMBE(分子線エピタキシー)法、CVD(化学気相成長)法、レーザアブレーション法、スパッタ法などの一般的な成膜手法を用いて構成できる。各金属層の膜形成については、真空蒸着法やメッキ法、レーザアブレーション法、スパッタ法などの一般的な成膜手法を用いて構成できる。
【0072】
励起光源3は、リフレクタ9の外側の所定位置(より詳細には、リフレクタ9に設けられた励起光入射用開口部9cの外側の位置)に配置されており、開口部9cを介して、発光部5に向けてレーザ光C1を出射する。
【0073】
ここでは、開口部9cは、図1に示すように、リフレクタ9の焦点位置P1を通り中心線L1に直交する所定の仮想線L2がリフレクタ9を通過する点を含む箇所に形成されている。なお、開口部9cの形成位置は、このように限定されない。励起光源3から出射されるレーザ光C1の出射方向が、照明方向Hと異なる方向になれば、リフレクタ9のどの箇所に励起光入射用開口部9cが形成されてもよい。すなわち、励起光源3は、励起光源3から出射されるレーザ光C1の出射方向が照明方向Hと異なる方向になれば、リフレクタ9の外側のどの箇所に配置されてもよい。
【0074】
励起光終端部11は、励起光源3から出射されて発光部5で吸収されずに通過した励起光C1を終端させるものである。
【0075】
なお、終端とは、有効な光路の末端において、適切な反射率および適切な熱特性を有する拡散反射体または吸収体で励起光C1を終端させることを指す。ここで、適切な反射率とは、励起光C1が反射しても、その反射した励起光C1の出力が人に対して害を及ぼさない程度の出力になるような反射率のことであり、適切な熱特性とは、励起光C1を吸収した際に発生する局所的な熱が励起光終端部11を破壊しない程度に拡散されうる熱伝導率を有することを指す。
【0076】
(励起光終端部11)
励起光終端部11は、リフレクタ9の、発光部5を介して励起光源3と対向する位置に配設される。リフレクタ9の当該配設位置には、励起光排出用開口部9dが形成されている。
【0077】
ここでは、励起光終端部11は、例えば、図2に示すような、ビームダンパー11Aとして構成されている。このビームダンパー11Aは、励起光C1を入射する開口部11aを有する有底筒部11bと、有底筒部11bの底面11eに形成されたテーパ部11cと、有底筒部11bの外面に形成された放熱用フィン11dとを備えている。
【0078】
有底筒部11bは、その筒軸方向L3が、励起光終端部11(すなわちビームダンパー11A)と励起光源3との対向方向(L2と同じ方向)に平行となるように配置されている。また、有底筒部11bの開口部11aは、励起光排出用開口部9dに対向するように配置されている。
【0079】
テーパ部11cは、筒軸方向L3に沿って有底筒部11bの底面11e側から開口部11a側に向かって先細りするように形成されている。その先端部11fは尖り、且つ、その基端面11gは底面11eと同じ大きさに形成されている。すなわち、有底筒部11bの内側面11hとテーパ部11cの外周面11iとの間の間隔は、開口部11a側から底面11e側へ行くに連れて狭くなり、底面11e上ではゼロになる。これにより、開口部11aからビームダンパー11Aの内部に入射した励起光C1は、有底筒部11bの内側面11hとテーパ部11cの外周面11iとの間で反射を繰り返して、開口部11a側に反射することなく、有底筒部11bの奥に伝搬して行き、減衰して消滅する。
【0080】
なお、有底筒部11bの内側面11hおよびテーパ部11cの外周面11iに、励起光C1を無反射させる黒色のコーティング(黒無反射コーティング)が施されてもよい。これにより、励起光C1を減衰させる効果を高めることができる。
【0081】
なお、開口部11aの口径は、励起光源3の励起光C1の出射方向がずれた場合でも、励起光源3から出射されて発光部5を透過した励起光C1が、ビームダンパー11Aの内部に入射されるように、適宜大きさに設定されることが望ましい。
【0082】
(補助照明光源7)
補助照明光源7は、例えば発光ダイオードにより構成される。補助照明光源7は、励起光源3から出射される励起光C1の波長(例えば紫外線または青紫光)と異なる波長の光(例えば青色光または青紫光)を補助照明光C2として出射する。
【0083】
ここでは、補助照明光源7は、自然光(非励起光)を出射するが、励起光を出射するものであっても構わない。
【0084】
なお、補助照明光源7は、自然光を出射する発光素子と、該発光素子からの光を受けて白色光を発光する蛍光体とを備えて構成されてもよい。これにより、補助照明光源7から白色光は出射させることができる。これにより、発光部5がずれて照明光C4が補助照明光源7からの補助照明光C2だけになった場合、白色の照明光C4を放出させることができる。
【0085】
補助照明光源7は、リフレクタ9の外側の所定位置(より詳細には、リフレクタ9に形成された補助照明光入射用開口部9eに対向する位置)に配置されており、開口部9eを介して、発光部5に向けて補助照明光C2を出射する。
【0086】
ここでは、開口部9eは、リフレクタ9の頂点部(すなわち、リフレクタ9の焦点位置P1を通り中心線L1に平行な仮想線L4がリフレクタ9を通過する点を含む箇所)に形成されている。なお、開口部9eの形成位置は、このように限定されない。開口部9eは、その開口部9eを介して補助照明光源7から出射される補助照明光C2が発光部5に照射できる位置であれば、どの位置に形成されてもよい。
【0087】
(発光部5の、励起光C1および補助照明光C2に対する吸収率について)
発光部5は、補助照明光C2に対する吸収率よりも、励起光C1に対する吸収率の方が高い特性を有する。例えば、補助照明光源7からの補助照明光C2が青色光または青紫光であり、励起光源3からの励起光C1が紫外線または青紫光である場合は、上記蛍光体は、紫外線または青紫光で励起した時の外部量子効率が高く(少なくとも60%以上)、且つ、青色または青紫色の光の吸収率は40%以下であることが好ましい。
【0088】
この場合、発光部5において、励起光C1に対する吸収率が高いほど、励起光C1を非励起光に変換する変換効率が高くなる。また、発光部5において、補助照明光C2に対する吸収率が低いほど、補助照明光C2が発光部5を透過する透過率が高くなり、補助照明光C2を非励起光と共に照明光C4として活用し易くなる。
【0089】
すなわち、発光部5は、励起光C1を非励起光に変換する変換効率が比較的高く、一方、補助照明光C2が発光部5を透過する透過率も比較的高くなる。故に、励起光C1の非励起光への変換効率を損なうことなく、補助照明光C2を非励起光と共に照明光として活用し易くなる。
【0090】
(励起光カットフィルタ13)
励起光カットフィルタ13は、リフレクタ9の照明光用開口部9bを覆うように配設されている。すなわち、励起光カットフィルタ13は、発光部5から見て照明方向H側に配置される。
【0091】
励起光カットフィルタ13は、励起光源3から出射された励起光C1が照明装置1の外部に放出されることを防止するために、励起光源3から出射される励起光C1の透過率が10%以下であり、且つ、補助照明光源7から出射された補助照明光C2の透過率は70%以上であることが望ましい。なお、励起光カットフィルタ13は、無くても構わない。
【0092】
(2.動作)
次に、図1に基づいて、この照明装置1の動作を説明する。
【0093】
励起光源3から出射された励起光C1は、開口部9cを介してリフレクタ9内の発光部5に照射される。励起光源3からの励起光C1の大部分は、発光部5に吸収され、蛍光体を励起する。励起光C1により励起された発光部5からは、蛍光(非励起光)C3が全方向に発光され、その蛍光C3は、リフレクタ9の放物反射面9aで照明方向Hに収斂されて、励起光カットフィルタ13を透過して、リフレクタ9の開口部9bから照明装置1の外部に放出される。
【0094】
その際、励起光源3からの励起光C1の一部は、発光部5に吸収されずに、発光部5で散乱または拡散され、リフレクタ9の放物反射面9aで照明方向Hに収斂されて、励起光カットフィルタ13に吸収される。これにより、発光部5で散乱または拡散された励起光C1が照明装置1の外部に放出されることが防止される。
【0095】
また、励起光源3からの励起光C1の一部(発光部5で吸収されなかった励起光C1)は、発光部5を透過して、リフレクタ9の開口部9dを介して励起光終端部11に入射して、励起光終端部11に吸収されて終端する。これにより、励起光源3から出射されて発光部5を透過した励起光C1が、リフレクタ9の放物反射面9aで反射されて照明装置1の外部に放出されることが防止される。なお、発光部5で吸収されなかった、励起光C1の一部の中には、発光部5で散乱あるいは拡散された結果、励起光終端部11に向かわずに、照明方向Hに沿ってリフレクタ9の開口部9bに向かう光も存在する。
【0096】
他方、補助照明光源7から出射された補助照明光C2は、開口部9eを介してリフレクタ9内の発光部5に照射され、発光部5の透過、発光部5内での散乱または発光部5表面での反射の何れかまたはそれらが組合わさった経路をとって、発光部5から発光された蛍光C3と共に照明光C4を構成して、リフレクタ9の開口部9bから外部に放出される。
【0097】
なお、発光部5を透過した補助照明光C2は、リフレクタ9の放物反射面9aで反射されずに、照明方向Hに伝搬して、蛍光C3と共にリフレクタ9の開口部9bから外部に放出される。また、発光部5で散乱または反射された補助照明光C2は、リフレクタ9の放物反射面9aで照明方向Hに反射されて、蛍光C3と共にリフレクタ9の開口部9bから外部に放出される。
【0098】
このように、この照明装置1では、発光部5から発光された蛍光C3と、発光部5で透過、散乱または反射された補助照明光C2との合成光により照明光C4が構成される。すなわち、照明光C4は、蛍光C3と補助照明光C2との混色により構成される。
【0099】
(主要な効果)
この構成により、照明装置1では、コヒーレント性の高いレーザ光C1は照明装置1の外部には放出されないので、人の目に対して安全な照明装置となる。また、万が一、発光部5がずれても、励起光カットフィルタ13および励起光終端部11が設けられているので、励起光C1が照明装置1の外部に放出されることはない。
【0100】
また、補助照明光源7からの補助照明光C2は、発光部5が所望の位置にあるか否かに関わらず外部に放出される。発光部5が所定の位置からずれた場合でも、照明装置1の外部に放出されるので、照明装置1から照明光C4が放出されなくなるということを防ぐことができる。これにより、発光部5が所定の位置からずれて発光部5から蛍光C3が発光されなくなった場合でも、照明装置1の存在を周囲に知らせることができる。
【0101】
また、照明光C4に蛍光C3が含まれる場合と含まれない場合とでは、照明光C4の色温度は異なるので、照明装置1の使用者(励起光源3の駆動状態、少なくとも励起光源3からの励起光C1の出射のオンオフを自らの意志で制御できる人)以外の人にも、照明装置1の異常(発光部5の位置ずれ、発光部5に孔が開く等の異常)を知らせることができる。
【0102】
また、補助照明光源7からの補助照明光C2の出力(すなわち波長)を任意に調整することで、照明光C4の色度を変えることができる。
【0103】
なお、この照明装置1では、例えば405nm近傍もしくはそれ以下の波長の励起光C1で発光部5を励起しつつ、発光部5から発光される蛍光C3の色温度を高める(あるいは、青色領域の光を足す)目的として、発光部5に青色レーザ光C2を照射し、発光部5で青色レーザ光C2を散乱・拡散させて、発光部5から発光される蛍光C3をインコヒーレント化している。
【0104】
これにより、照明装置1の発光部5を大きくすることなく、発光部5から発光される蛍光C3の色温度を向上させることができる。これにより、高輝度な発光特性を維持しつつ色温度を上げることができる。また、高効率な青色蛍光体がなかなか開発されない中、高効率で色温度が高く、かつ演色性のよい固体照明装置を実現できる。
【0105】
(変形例1)
上記実施の形態では、励起光終端部11はビームダンパー11Aとして構成されたが、この変形例では、励起光終端部11は、その内部で励起光C1を散乱させて減衰させる積分球11Bとして構成される。
【0106】
この積分球11Bは、図3に示すように、中空の球体状に形成されており、励起光C1を入射する小さな光入射口11jを有している。この積分球11Bは、リフレクタ9の外側において、光入射口11jがリフレクタ9の開口部9dと対向するように配置される。これにより、発光部5を透過して開口部9dに入射した励起光C1を、光入射口11jから積分球11B内に入射させることができる。
【0107】
この積分球11Bでは、光入射口11jから積分球11Bの内部に入射した励起光C1は、積分球11Bの内部で散乱して減衰して消滅する。
【0108】
なお、積分球11Bの内面に、励起光C1を吸収する黒色等の粉末物質が塗布されてもよい。これにより、積分球11B内での励起光C1をより効果的に減衰させることができる。
【0109】
(変形例2)
上記実施の形態では、励起光終端部11はビームダンパー11Aとして構成されたが、この変形例では、励起光終端部11は、励起光C1を吸収する光吸収部材11Cにより形成される。この光吸収部材11Cは、例えば図4に示すように、例えばレーザカーテン(すなわち、軟質塩化ビニル等の光吸収材料からなるシート部材)として形成されている。この光吸収部材11Cは、リフレクタ9の外側において、リフレクタ9の開口部9dと対向するように配置される。これにより、発光部5を透過して開口部9dに入射した励起光C1を、光吸収部材11Cにより吸収して消滅させることができる。
【0110】
なお、ここでは、光吸収部材11Cはシート状である場合で説明したが、シート状に限定されない。
【0111】
〔実施の形態2〕
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図6は、本発明の実施の形態2に係る照明装置の概略構成図である。なお、実施の形態1と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0112】
本発明の実施の形態2の照明装置30と上記の実施の形態1の照明装置1とが異なる点は、リフレクタ9に代えて、パラボラミラー(反射部)41と、金属板(反射部)42と、を備えた点である。さらに、励起光終端部11に代えて、励起光終端部44を備えた点である。
【0113】
(パラボラミラー41)
パラボラミラー41は、発光部5が発生させた蛍光(非励起光)C3を反射し、所定の立体角内を進む光線束(照明光)を形成する。このパラボラミラー41は、例えば、金属薄膜がその表面に形成された部材であってもよいし、金属製の部材であってもよい。
【0114】
パラボラミラー41は、その一部が、発光部5の上面の上方に配置されている。すなわち、パラボラミラー41は、発光部5の上面を覆う位置に配置されている。別の観点から説明すれば、発光部5の側面の一部は、パラボラミラー41の一方の開口部である照明光用開口部51の方向を向いている。
【0115】
発光部5とパラボラミラー41との位置関係を上述のものにすることで、発光部5の非励起光C3を所定の立体角内に集光する効率を高めることができ、その結果、非励起光C3の利用効率を高めることができる。
【0116】
また、励起光源3は、パラボラミラー41の外部に配置されており、パラボラミラー41には、レーザ光C1を通過させる励起光入射用開口部52が形成されている。この励起光入射用開口部52は、パラボラミラー41の外部(励起光源3側)と内部(発光部5側)とを貫通する孔である。
【0117】
一方、補助照明光源7から出射された補助照明光C2は、パラボラミラー41の他方の開口部である補助照明光入射用開口部54を介してパラボラミラー41内の発光部5に照射され、発光部5の透過、発光部5内での散乱または発光部5表面での反射の何れかまたはそれらが組合わさった経路をとって、発光部5から発光された非励起光C3と共に照明光C4を構成して、パラボラミラー41の開口部51から外部に放出される。
【0118】
なお、パラボラミラー41に代えて、楕円面ミラーや半球面ミラーであってもよい。
【0119】
(金属板42)
金属板42は、発光部5を支持する板状の支持部材であり、金属(例えば、銅や鉄)からなっている。それゆえ、金属板42は熱伝導性が高く、発光部5を冷却できる。なお、発光部5を支持する部材は、金属からなるものに限定されず、金属以外の熱伝導性が高い物質(ガラス、サファイアなど)を含む部材でもよい。
【0120】
金属板42のパラボラミラー41側の面(発光部5の貼り付け面を除く)には、金属薄膜43を蒸着し、発光部5から発せられた非励起光C3を反射するようになっている。発光部5の上面から入射した励起光C1が非励起光C3に変換された後に反射させ、パラボラミラー41側へ向かわせることができる。このようにして、非励起光C3の利用効率を向上させることができる。
【0121】
金属板42は、パラボラミラー41によって覆われているため、金属板42は、パラボラミラー41の反射面と対向する面を有していると言える。金属板42のパラボラミラー41側の面は、パラボラミラー41の回転放物面の回転軸と概ね平行であり、当該回転軸を概ね含んでいる。
【0122】
なお、図示はしないが、金属板42はフィンを備えていてもよい。このフィンは、金属板42を冷却する冷却部として機能する。フィンは、複数の放熱板を有するものであり、大気との接触面積を増加させることにより放熱効率を高めている。金属板42を冷却する冷却部は、冷却(放熱)機能を有するものであればく、フィンの代わりに、ヒートパイプ、水冷方式や、空冷方式のものであってもよい。
【0123】
(励起光終端部44)
励起光終端部44は、金属板42の、発光部5を介して励起光源3と対向する位置に配設される。金属板42の当該配設位置には、励起光排出用開口部53が形成されている。なお、励起光終端部44の構造については、上記実施の形態1の励起光終端部11と同様であり、ここでは説明を繰り返さない。
【0124】
図7は、発光部5、金属板42および励起光排出用開口部53の位置関係を説明する説明図であり、(a)は、図6の矢印Xの方向から見た概念図、(b)は、発光部5の、金属板42の励起光排出用開口部53上への配設の仕方を説明する概念図である。図7に示すように、励起光排出用開口部53上に発光部5が配設されている。
【0125】
励起光源3からの励起光C1の一部(発光部5で吸収されなかった励起光C1)は、発光部5を透過して、金属板42の開口部53を介して励起光終端部44に入射して、励起光終端部44に吸収されて終端する。これにより、励起光源3から出射されて発光部5を透過した励起光C1が、パラボラミラー41および金属板42により反射されて照明装置30の外部に放出されることが防止される。
【0126】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、車両のヘッドランプ等に利用することができる。
【符号の説明】
【0128】
1、30 照明装置
3 励起光源
5 発光部
7 補助照明光源
9 リフレクタ(反射部)
9a 内面
9b、51 照明光用開口部
9c、52 励起光入射用開口部
9d、53 励起光排出用開口部
9e、54 補助照明光入射用開口部
11、44 励起光終端部
11B 積分球
11C 光吸収部材
11a 開口部
11b 有底筒部
11c テーパ部
11d 放熱用フィン
11e 底面
11f 先端部
11g 基端面
11h 内側面
11i 外周面
11j 光入射口
13 励起光カットフィルタ
41 パラボラミラー(反射部)
42 金属板(反射部)
43 金属薄膜
C1 励起光
C2 補助照明光
C3 非励起光
C4 照明光
H 照明方向
L1 中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に励起光を発光する励起光源と、
上記励起光を受けて非励起光を発光する発光部と、
上記非励起光を、上記励起光の発光方向と異なる方向である照明方向に反射させる反射部と、
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
上記発光部を介して上記励起光源と対向する位置に、上記励起光を終端させる励起光終端部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
上記励起光終端部は、その内部で上記励起光を散乱させて減衰させる積分球であることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
上記励起光終端部は、
上記励起光を入射する開口部を有する有底筒部と、
上記有底筒部の底面において、上記底面側から上記開口部側に向かって先細りするように形成され、その先端部は尖り、且つ、その基端面は上記底面と同じ大きさであるテーパ部と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項5】
上記励起光終端部は、上記励起光源からの上記励起光を吸収する光吸収部材を有することを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項6】
補助照明光を発光する補助照明光源をさらに備えることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
上記補助照明光は、上記励起光の波長と異なる波長であることを特徴とする請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
上記発光部は、上記補助照明光に対する吸収率よりも、上記励起光に対する吸収率の方が高い特性を有することを特徴とする請求項6または7に記載の照明装置。
【請求項9】
上記発光部における上記照明方向の側に配置された励起光カットフィルタをさらに備えることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項10】
上記補助照明光源は、
発光素子と、
上記発光素子からの光を受けて白色光を発光する蛍光体と、
を有することを特徴とする請求項6に記載の照明装置。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか1項に記載の照明装置を備えていることを特徴とする車両用前照灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−101887(P2013−101887A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245923(P2011−245923)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】