説明

照明装置

【課題】灯体ごと照射したい方向に向けたり、光源部分も同時に動かしたりすることなく、配光の方向を容易に変化させることができる照明装置を提供することを目的とする。
【解決手段】照明装置100において、LED102は、筐体101の内部にて、筐体101の下面に配設されている。LED102は、照明装置100の光源であり、開口部111へ向けて光を放射する。フレネルレンズ103は、開口部111を閉塞する位置に変位自在に設置されている。フレネルレンズ103は、LED102から放射された光を透過させるが、その際に光を屈折させ、屈折した光を筐体101の外側に照射する。この光の屈折方向は、フレネルレンズ103を前後左右に変位させることで調節することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、照明装置自体の向きを変えることなく、LEDが発する光の照射方向を変える技術があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−35381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の照明装置において配光の方向を変化させるには、灯体ごと照射したい方向に向ける必要があった。そのため、照明装置が大型化したり、照明装置の厚みが増したりするという課題があった。また、灯体を動かす際に光源部分も同時に動かさなければならないため、照明装置から光源が分離することとなり、照明装置全体での放熱構造が取れなくなってしまうという課題があった。
【0005】
本発明は、例えば、灯体ごと照射したい方向に向けたり、光源部分も同時に動かしたりすることなく、配光の方向を容易に変化させることができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様に係る照明装置は、1つの面に開口部を有する筐体と、前記開口部を有する面と対向する前記筐体内部の面に配設され、前記開口部へ向けて光を放射するLEDと、前記開口部の少なくとも一部を閉塞する位置に変位自在に設置され、前記LEDから放射された光を屈折させるレンズであって、変位することで当該屈折方向を調節可能なレンズとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一の態様によれば、照明装置において、筐体が有する開口部の少なくとも一部を閉塞する位置に変位自在に設置されたレンズが、筐体内部の、開口部を有する面と対向する面に配設されたLEDから放射された光を屈折させる構成を採用し、レンズが変位することで当該屈折方向を調節できるようにしているため、灯体ごと照射したい方向に向けたり、光源部分も同時に動かしたりすることなく、配光の方向を容易に変化させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1に係る照明装置の斜視図、上面図、断面図、部分断面図である。
【図2】実施の形態1の変形例に係る照明装置の部分斜視図である。
【図3】実施の形態1〜4に係る照明装置の断面図である。
【図4】実施の形態4に係る照明装置の上面図、断面図である。
【図5】実施の形態5に係る照明装置の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1(a)は本実施の形態に係る照明装置100の斜視図、図1(b)は照明装置100の上面図、図1(c)は照明装置100の断面図、図1(d)は照明装置100の部分断面図である。
【0011】
図1(a)〜(d)において、照明装置100は、円筒状の筐体101、LED102、円形状のフレネルレンズ103を備える。
【0012】
筐体101は、その上面に開口部111を有する。また、筐体101は、その内部にて、開口部111を有する面(ここでは上面)と隣り合う面(即ち内周面)の互いに対向する位置に2つの溝112a,bを有する。
【0013】
LED102は、筐体101の内部にて、筐体101の下面に配設されている。LED102は、照明装置100の光源であり、開口部111へ向けて光を放射する。
【0014】
フレネルレンズ103は、開口部111を閉塞する位置に変位自在に設置されている。具体的には、フレネルレンズ103は、溝112a,bに係合して支持されており、溝112a,b内をスライドして前後(矢印131aの方向)及び左右(矢印131bの方向)に変位することができる。フレネルレンズ103は、LED102から放射された光を透過させるが、その際に光を屈折させ、屈折した光を筐体101の外側に照射する。この光の屈折方向は、フレネルレンズ103を前後左右に変位させることで調節することができる。これにより、本実施の形態では、照明装置100において、灯体ごと照射したい方向に向けたり、光源部分も同時に動かしたりすることなく、配光の方向を容易に変化させることが可能となる。
【0015】
なお、筐体101としては、様々な形状のものを用いることができる。例えば、筐体101は、円筒状ではなく、箱状であってもよい。この場合、筐体101は、その内部にて、開口部111を有する面(ここでは上面)と隣り合う面(例えば内側の左右両面)の互いに対向する位置に2つの溝112a,bを有することになる。
【0016】
また、筐体101は、少なくとも1つの面に開口部111を有していればよい。例えば、開口部111は、筐体101の上面ではなく、下面に設けられていてもよい。
【0017】
また、筐体101は、2つ以上の溝を有していてもよい。例えば、筐体101は、その内周面の互いに対向する位置であって、2つの溝112a,bがある位置とは別の位置に、さらに2つの溝を有していてもよい。このとき、これらの溝を、2つの溝112a,bを結んだ線と直角に交差する線上に位置するように設けることで(このとき、溝112aが筐体101の内周の0度に位置していると考えると、溝112bは略180度に位置し、他の2つの溝は略90度及び略270度に位置することになる)、フレネルレンズ103をバランスよく溝に係合して支持することができる。
【0018】
また、筐体101は、溝112a,bに代えて、フレネルレンズ103を変位自在に設置するための可動機構を有していてもよい。
【0019】
LED102は、筐体101の内部にて、筐体101の開口部111を有する面と対向する面に配設されていればよい。例えば、開口部111が筐体101の下面に設けられているのであれば、LED102は、筐体101の内部にて、筐体101の下面ではなく、上面に配設されることになる。
【0020】
また、LED102は、筐体101の内部にて、複数配設されていてもよい。
【0021】
フレネルレンズ103としては、様々な形状のものを用いることができる。例えば、図2に示すようにフレネルレンズ103は、円形状ではなく、矩形状であってもよい。図2では一部を省略しているが、この場合、フレネルレンズ103が溝112a,b内をスライドしてフレネルレンズ103の短手方向(矢印131aの方向、即ち前後方向)に変位するといった形態が可能である。なお、フレネルレンズ103の形状は、開口部111の形状に合わせるのが望ましい。筐体101が円筒状で開口部111が円形状であれば、フレネルレンズ103も円形状であることが望ましい。一方、筐体101が箱状で開口部111が矩形状であれば、フレネルレンズ103も矩形状であることが望ましい。
【0022】
また、フレネルレンズ103は、開口部111の少なくとも一部を閉塞する位置に変位自在に設置されていればよい。例えば、フレネルレンズ103が開口部111の半分を閉塞する程度の大きさをもつものであっても、上記のように変位自在に設置されていれば、配光の方向を容易に変化させることができるという一定の効果が期待できる。
【0023】
また、フレネルレンズ103は、他のレンズであってもよい。例えば、フレネルレンズ103の代わりに、凸レンズを用いることができる。
【0024】
以上説明したように、本実施の形態では、照明装置100において、使用目的により、配光の向きを任意の方向に変えることが容易にできる。本実施の形態によれば、灯体を照射方向に向けなくてすむため、照明装置100の厚みを抑え、照明装置100の薄型化が可能となる。また、光源の向きを移動させる必要がないため、照明装置100から光源を分離する必要がなく、照明装置100全体で放熱させる構造を採用することが可能となる。
【0025】
実施の形態2.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0026】
図3(a)は実施の形態1に係る照明装置100の断面図(一部省略)である。そして、図3(b)は本実施の形態に係る照明装置100の断面図(一部省略)である。
【0027】
図3(b)において、照明装置100は、図3(a)に示した実施の形態1の照明装置100と同様にLED102、フレネルレンズ103を備えるほか、反射板104、レンズ105を備えている。
【0028】
反射板104は、LED102から放射された光の方向を一定の方向に調整する。レンズ105は、反射板104で方向が調整された光を透過させ、開口部111へ向けて放射する。
【0029】
以上説明したように、本実施の形態では、照明装置100において、LED102を光源としてレンズ105を通して配光を制御しているが、そのレンズ105の前面(即ち上方)にフレネルレンズ103を配置し、フレネルレンズ103を前後左右に移動させることにより、配光の向きを変えることができる。
【0030】
実施の形態3.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0031】
図3(c)は本実施の形態に係る照明装置100の断面図(一部省略)である。
【0032】
図3(c)において、照明装置100は、図3(a)に示した実施の形態1の照明装置100と同様にLED102、フレネルレンズ103を備えるほか、反射板104を備えている。
【0033】
反射板104は、LED102から放射された光の方向を一定の方向に調整する。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態では、照明装置100において、配光を制御している反射板104の前面(即ち上方)にフレネルレンズ103を配置し、フレネルレンズ103を前後左右に移動させることにより、配光の向きを変えることができる。
【0035】
実施の形態4.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0036】
図3(d)は本実施の形態に係る照明装置100の断面図(一部省略)である。
【0037】
図3(d)において、照明装置100は、図3(a)に示した実施の形態1の照明装置100と同様にLED102を備えるが、フレネルレンズ103の代わりに、凸レンズ106を備えている。
【0038】
凸レンズ106は、実施の形態1のフレネルレンズ103と同様に、開口部111を閉塞する位置に変位自在に設置されている。凸レンズ106は、LED102から放射された光を透過させる際に光を屈折させ、屈折した光を筐体101の外側に照射する。
【0039】
図4(a)は照明装置100の上面図(凸レンズ106以外は省略)、図4(b)は照明装置100の断面図である。なお、図4(b)は図3(d)と同じものである。
【0040】
図4(a)に示すように、凸レンズ106は、実施の形態1のフレネルレンズ103と同様に、前後(矢印161aの方向)及び左右(矢印161bの方向)に変位することができる。凸レンズ106がLED102から放射された光を屈折させる方向は、凸レンズ106を前後左右に変位させることで調節することができる。これにより、本実施の形態でも、照明装置100において、灯体ごと照射したい方向に向けたり、光源部分も同時に動かしたりすることなく、配光の方向を容易に変化させることが可能となる。
【0041】
実施の形態5.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0042】
図5は本実施の形態に係る照明装置100の筐体101内部の部分斜視図である。
【0043】
図5において、照明装置100は、LED102を複数備えている。また、照明装置100は、円形状のフレネルレンズ103の代わりに、矩形状のリニアフレネルレンズ107を備えている。
【0044】
複数のLED102は、リニアフレネルレンズ107の長手方向と略平行な線状に配設されている。
【0045】
リニアフレネルレンズ107は、短手方向(矢印171aの方向、即ち前後方向)に変位することで複数のLED102から放射された光の屈折方向を一括して調節することができる。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態では、ライン状に配置された複数個の光源からの配光の方向を、まとめて1枚のリニアフレネルレンズ107で変化させることが可能である。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、これらのうち、2つ以上の実施の形態を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらのうち、1つの実施の形態を部分的に実施しても構わない。あるいは、これらのうち、2つ以上の実施の形態を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
【符号の説明】
【0048】
100 照明装置、101 筐体、102 LED、103 フレネルレンズ、104 反射板、105 レンズ、106 凸レンズ、107 リニアフレネルレンズ、111 開口部、112a,b 溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの面に開口部を有する筐体と、
前記開口部を有する面と対向する前記筐体内部の面に配設され、前記開口部へ向けて光を放射するLEDと、
前記開口部の少なくとも一部を閉塞する位置に変位自在に設置され、前記LEDから放射された光を屈折させるレンズであって、変位することで当該屈折方向を調節可能なレンズとを備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記レンズは、矩形状のリニアフレネルレンズであり、
前記LEDは、前記リニアフレネルレンズの長手方向と略平行な線状に配設された複数のLEDであり、
前記リニアフレネルレンズは、短手方向に変位することで前記複数のLEDから放射された光の屈折方向を一括して調節可能であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記レンズは、フレネルレンズと凸レンズとのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記筐体は、前記開口部を有する面と隣り合う面の互いに対向する位置に溝を有し、
前記レンズは、前記溝に係合して支持されるとともに、前記溝内をスライドして変位することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−192205(P2010−192205A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34120(P2009−34120)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】