照明装置
【課題】光源の光出力を調光した場合でも、光源の光出力を一定に維持することができる照明装置を提供する。
【解決手段】制御部10は、温度に関する諸量を取得して光源15近傍の温度を特定する。劣化度合算出部18は、特定された温度及び光源15への電力供給時間に基づいて、光源15の光出力の劣化度合いを算出する。制御部10は、劣化度合算出部18で算出した劣化度合いに応じて、光源15の光出力が略一定となるように電源部17が供給する電力を調整する。
【解決手段】制御部10は、温度に関する諸量を取得して光源15近傍の温度を特定する。劣化度合算出部18は、特定された温度及び光源15への電力供給時間に基づいて、光源15の光出力の劣化度合いを算出する。制御部10は、劣化度合算出部18で算出した劣化度合いに応じて、光源15の光出力が略一定となるように電源部17が供給する電力を調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関し、特に調光可能な照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED(発光ダイオード)を光源とする照明装置が様々な用途向けに開発されており、白熱電球や蛍光灯等の従来の光源を用いた照明装置に対する置換えが行われつつある。LEDは、一般的に所定の電流を流すことにより所要の照度を得ることができる。
【0003】
しかし、照明装置を長時間使用した場合には、LEDの輝度が低下し、照明装置の透光カバー、反射部材なども使用時間に応じて劣化し、照明装置としての光出力(照度)が低下する。また、蛍光灯を用いた照明装置も、同様に使用時間の経過とともに照度が低下する。そこで、蛍光灯の点灯時間を計時し、計時された点灯時間に応じて蛍光灯への供給電力を決定して光束の低下を抑制することができる照明装置が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、光源の光出力が使用時間の経過とともに低下するので、従来、照明装置の光源の寿命末期の明るさ(光出力、照度など)を基準に照明装置の配置などの照明設計を行うとともに、使用初期の段階では光源へ供給する電力を少なくし、光源の寿命末期に近づくにつれて光源へ供給する電力を増やすことにより、使用初期の過度の明るさを抑えつつ、使用時間の経過に関わらず一定の照度が得られるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−15276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、リモコンなどの遠隔操作端末装置からの調光信号によって、照明装置の光出力、すなわち照明装置により得られる照度を所望の値に可変することができる照明装置も要望されている。しかし、従来、このような調光可能な照明装置の使用時間の経過に伴う光源の光出力の低下については考慮されておらず、光源の光出力(照度)を一定にすることができない。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、光源の光出力を調光した場合でも、光源の光出力(照度)を一定に維持することができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る照明装置は、光源と、該光源へ電力を供給する電源部とを備える照明装置において、前記光源近傍の温度に関する諸量を取得する諸量取得部と、前記光源の使用時間を計時する計時部と、前記光源の光出力が使用時間の経過と共に変化することを防止すべく、前記計時部で計時した使用時間及び前記諸量取得部で取得した諸量に基づいて前記電源部が供給する電力を調整する調整部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、光源近傍の温度に関する諸量を取得する。温度に関する諸量は、光源近傍の温度自身、光源近傍の温度を推定することができる光源への供給電力、光源への供給電力を求めることができる調光率などである。光源の光出力に対する調光率を変更した場合、光源への供給電力が変わり、光源近傍の温度も変化することになる。調整部は、計時部で計時した光源の使用時間及び取得した諸量に基づいて電源部が供給する電力を調整する。例えば、取得した諸量及び光源の使用時間に対応する供給電力を予め求めておき、計時した使用時間及び取得した諸量に対応する電力を電源部から光源へ供給する。これにより、温度変動により光源の劣化度合いが変わる場合でも、使用時間と諸量とに基づいて供給電力を調整するので、光源の光出力(照度)を使用初期でも寿命末期でも略一定にすることができる。また、光源の光出力に対する調光率を変更した場合でも、調光率に応じた電力を供給することで、光源の劣化度合いを反映することができ、調光率に応じた略一定の光出力(照度)を得ることができる。
【0010】
本発明に係る照明装置は、前記取得部が取得した諸量に基づいて前記光源近傍の温度を特定する特定部と、該特定部で特定した温度及び前記計時部で計時した使用時間に基づいて、前記光源の光出力の劣化度合いを算出する算出部とを備え、前記調整部は、前記算出部で算出した劣化度合いに応じて、前記電源部が供給する電力を調整するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、特定部は、温度に関する諸量を取得して光源近傍の温度を特定する。算出部は、特定した温度及び光源の使用時間に基づいて、光源の光出力の劣化度合いを算出する。使用時間は、光源の点灯時間であり、光源へ電力を供給した供給時間である。なお、これらの時間は累積の時間である。また、劣化度合いは、例えば、光源の光出力低下率である。一般的に、温度が10℃変動した場合、劣化度合いは2倍変動する。そこで、例えば、所定の温度(例えば、使用時の最高温度として90℃など)における単位時間(例えば、1時間)当たりの劣化係数を定めておき、光源近傍で特定した温度(例えば、1時間当たりの平均温度)と予め定めた劣化係数に応じて、任意の使用時点での光源の劣化度合いを算出することができる。例えば、温度が90℃の場合の劣化係数が、1時間当たり0.00075%である場合、温度が80℃の場合の劣化係数は、1時間当たり0.000375%となり、劣化係数に光源への電力供給時間を乗算することにより、電力供給時間が経過した時点での劣化度合いを求めることができる。他の温度についても同様に劣化度合いを求めることができる。
【0012】
調整部は、算出した劣化度合い(光出力低下率)に応じて、電源部が供給する電力を調整する。例えば、温度が90℃の場合において、光源の電力供給時間(使用時間)が光源の寿命時間に相当するとき(光源の寿命末期)の光出力低下率が30%であるとする。光出力低下率は、電力供給時間×劣化係数により求めることができ、1時間当たりの劣化係数が0.00075%であり、寿命時間が40000時間であるとすると、光源の寿命末期での光出力低下率は、0.00075×40000=30%となる。そこで、使用時間が0である初期段階では、光出力低下率が0%であるとするとともに、光源に供給する電力を70%(=100%−30%)とし、使用時間が光源の寿命時間に相当する寿命末期段階では、光出力低下率が30%であるとするとともに、光源に供給する電力が100%として、光源へ供給する電力と光出力低下率との関係を定めておく。
【0013】
そして、光源の使用時の任意の時点での電力を、当該時点での劣化度合い(光出力低下率)に対応する電力として光源へ供給する。これにより、温度変動により光源の劣化度合いが変わる場合でも、劣化度合いに応じて供給電力を調整するので、光源の光出力(照度)を使用初期でも寿命末期でも略一定にすることができる。また、光源の光出力に対する調光率を変更した場合でも、調光率に応じた電力を供給することで、光源の劣化度合いを反映することができ、調光率に応じた略一定の光出力(照度)を得ることができる。
【0014】
本発明に係る照明装置は、所定温度での前記光源の光出力の経年劣化を示す劣化情報を記憶する記憶部を備え、前記算出部は、前記所定温度と前記特定部で特定した温度との温度差及び前記計時部で計時した使用時間に基づいて、前記光源の光出力の劣化度合いを算出するように構成してあることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、所定温度での光源の光出力の経年劣化を示す劣化情報を記憶しておく。所定温度は、例えば、光源の使用時(点灯時)の光源近傍の最高温度とすることができ、一例として90℃とすることができる。劣化情報は、例えば、光源の使用時間と光出力低下率との関係を示す情報である。使用時間が0である初期段階では、光出力低下率が0%であり、使用時間の経過とともに光出力低下率が増加し、光源の使用時間が寿命時間に相当するとき(光源の寿命末期)の光出力低下率が30%であるとすることができる。
【0016】
算出部は、所定温度と特定した温度との温度差及び計時した使用時間に基づいて、光源の光出力の劣化度合いを算出する。例えば、所定温度(例えば、90℃)において、光源の使用時間が0から40000時間となる間に劣化度合い(光出力低下率)が0%から30%まで徐々に増加するとした場合、特定した温度が80℃である場合、温度差が10℃あるので、劣化度合いは半減し、光源の使用時間が0から40000時間となる間に劣化度合い(光出力低下率)は0%から15%まで徐々に増加するものとして求めることができる。他の特定した温度についても同様に求めることができる。これにより、温度が変動する場合でも精度よく劣化度合いを求めることができ、温度が変動する場合でも光源の光出力(照度)の変動を補償することができる。
【0017】
本発明に係る照明装置は、前記光源の光出力の調光率を含む調光信号を取得する信号取得部を備え、前記調整部は、前記信号取得部で取得した調光率及び前記算出部で算出した劣化度合いに応じて、前記電源部が供給する電力を調整するように構成してあることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、光源の光出力の調光率を含む調光信号を取得し、調整部は、取得した調光率及び算出した劣化度合いに応じて、電源部が供給する電力を調整する。光源の光出力に対する調光率を変更した場合でも、調光率に応じた電力を供給することで、光源の劣化度合いを反映することができ、調光率に応じた略一定の光出力(照度)を得ることができる。
【0019】
本発明に係る照明装置は、温度センサを備え、前記特定部は、前記温度センサで取得した温度により前記光源近傍の温度を特定するように構成してあることを特徴とする。
【0020】
本発明にあっては、特定部は、温度センサで取得した温度により光源近傍の温度を特定する。これにより、光源近傍の温度を直接取得することができる。
【0021】
本発明に係る照明装置は、前記光源へ供給する電力を計測する計測部を備え、前記特定部は、前記計測部で計測した電力を取得して前記光源近傍の温度を特定するように構成してあることを特徴とする。
【0022】
本発明にあっては、特定部は、計測部で計測した電力を取得して光源近傍の温度を特定する。例えば、照明装置の構造が定まれば、光源から外部の雰囲気までの熱抵抗が定まり、環境温度(例えば、照明装置の周囲の雰囲気温度)を一定と仮定すれば、計測した電力により光源の温度を推定することができる。これにより、光源近傍の温度を取得することができる。また、光源の光出力の調光率は、光源に供給する電力に比例するので、調光率に応じて光源の温度を推定することもできる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、光源の光出力を調光した場合でも、光源の光出力(照度)を一定に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態1の照明装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】光源の光出力の経年劣化を示す劣化情報の一例を示す説明図である。
【図3】光源の入力電力当たりの光出力の一例を示す説明図である。
【図4】光源への入力電力の設定例を示す説明図である。
【図5】光源の使用時間に伴う光出力の一例を示す説明図である。
【図6】比較例としての光源の光出力の劣化度合いを示す説明図である。
【図7】比較例としての光源の入力電力の設定例を示す説明図である。
【図8】比較例としての光源の使用時間に伴う光出力の一例を示す説明図である。
【図9】所定値を50%とした場合の消費電力の対比例を示す説明図である。
【図10】所定値を100%から50%へ切り替えた場合の光出力の劣化度合いの一例を示す説明図である。
【図11】所定値を100%から50%へ切り替えた場合の光源の入力電力の設定例を示す説明図である。
【図12】所定値を50%から100%へ切り替えた場合の光出力の劣化度合いの一例を示す説明図である。
【図13】所定値を50%から100%へ切り替えた場合の光源の入力電力の設定例を示す説明図である。
【図14】実施の形態2の照明装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図15】光源の劣化係数の一例を示す説明図である。
【図16】光源近傍の温度毎の光出力の劣化度合いを示す説明図である。
【図17】実施の形態2の照明装置の光源への入力電力の設定例を示す説明図である。
【図18】光源の入力電力と劣化度合との関係の一例を示す説明図である。
【図19】光源近傍の温度変化に伴う入力電力の設定例を示す説明図である。
【図20】調光率を変更した場合の光源近傍の温度変化に伴う入力電力の設定例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施の形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は実施の形態1の照明装置100の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、照明装置100は、光源15、光源15へ電力を供給する電源部12、光源15へ供給する電力を調整する調整部としての制御部10、光源15の光出力(照度)を複数の所定値のいずれかに切り替える切替部としてのディップスイッチ11、記憶部13、光源15の使用時間を計時するタイマ14などを備える。また、制御部10は、照明装置100全体を制御する。
【0026】
光源15は、例えば、複数のLEDが直列接続された一群のLEDを有する。なお、光源15は、一群のLEDが複数並列に接続した構成でもよい。また、1個のLEDを備える構成でもよい。また、LEDに代えて、EL(Electro-Luminescence)等の他の光源を用いてもよい。
【0027】
LEDは、所定の順方向電流Ifが流れた場合、所定の順方向電圧Vfを生ずるとともに所定の光出力(例えば、光度)Iを得ることができる。所定の光出力により所定の照度を得ることができる。LED1個当たりの電力は、Vf×Ifで表すことができ、光源15のLEDの数をN個とすると光源15の点灯時の電力(消費電力)Wは、LEDでの損失を無視すれば、W=N×Vf×Ifで表すことができる。また、LEDの順方向電圧Vfが一定であると仮定すれば、供給電力は、LEDの順方向電流、光源15の光出力に比例する。
【0028】
ディップスイッチ(DISPSW)11は、光源15の光出力を最大100%として予め定めた複数の所定値に切り替えることができる。例えば、ディップスイッチ11は、所定値が100%、90%、75%、50%に対応してオン/オフするスイッチ(SW)を4つ備え、いずれか1つのスイッチ(SW)をオンにすることにより、所定値を切り替えることができる。ディップスイッチ11は、切り替えた所定値を示す切替信号を制御部10へ出力する。
【0029】
電源部12は、AC/DC変換回路、定電流回路などを備え、商用電源(例えば、AC100V、AC200Vなど)からの交流電圧を直流電圧に変換し、変換した直流電圧を光源15へ出力することにより、光源15へ電力を供給する。
【0030】
また、電源部12は、制御部10からの制御信号に基づいて、光源15へ流す出力電流を変更することができる。例えば、ディップスイッチ11で所定値が100%に切り替えられた場合に、制御部10が出力する制御信号により電源部12が出力電流Ioを出力するときには、ディップスイッチ11で所定値が90%、75%、50%のいずれかに切り替えられた場合には、電源部12は、それぞれ出力電流0.9×Io、0.75×Io、0.5×Ioを出力する。
【0031】
ディップスイッチ11で所定値を100%に切り替えた場合には、照明装置100は、最大出力を、例えば、定格光出力の100%とし、ディップスイッチ11で所定値を90%に切り替えた場合には、照明装置100は、最大出力を90%(例えば、定格光出力の90%)とし、所定値を75%に切り替えた場合には、照明装置100は、最大出力を75%(例えば、定格光出力の75%)とし、で所定値を50%に切り替えた場合には、照明装置100は、最大出力を50%(例えば、定格光出力の50%)とする。なお、所定値は、100%、90%、75%、50%に限定されるものではなく、他の値でもよい。なお、所定値の切り替えとは、最大出力値の切り替えに限定されるものではなく、調光信号などにより調光率を変化する場合も含む。
【0032】
タイマ14は、光源15の使用時間を計時する。なお、光源15の使用時間とは、光源15の点灯時間、あるいは光源15への電力供給時間であり、照明装置の使用開始時点からの累積値(通算時間)である。
【0033】
記憶部13は、所定値毎に光源15の光出力の経年劣化を示す劣化情報を記憶する。劣化情報は、例えば、光源15の使用時間に対応した光出力低下率を示す情報であり、所定値毎に使用時間に対応した光出力低下率が異なる。なお、劣化情報を記憶部13に記憶する構成に代えて、すなわち、劣化情報を用いる構成に代えて、所定値に対応付けて光源15へ供給する電力の変化割合(使用時間の経過に伴う電力の変化割合)を定めておく構成でもよい。この場合、電力の変化割合は、劣化情報と別個独立の情報とすることができる。
【0034】
図2は光源15の光出力の経年劣化を示す劣化情報の一例を示す説明図である。図2に示すように、本実施の形態では、所定値毎に異なる劣化情報を用いる。図2において、横軸は光源15の使用時間である。図2の例では、40000時間が光源15の公証の寿命時間としているが、これに限定されるものではない。また、縦軸は光出力の低下率を示し、使用時間が0のときの光出力低下率を0とし、使用時間の増加(経年変化)とともに光出力が初期値よりどの程度低下するかを示す。すなわち、劣化情報は、光源15の使用時間に対する光出力の低下率を示すものである。
【0035】
図2において、符号Aで示す曲線は、所定値が100%(DISPSW=100%とも称する)の場合の光出力低下率を示す。例えば、使用時間が、10000時間、20000時間、30000時間、40000時間のときの光出力低下率は、それぞれ92.50%、85.00%、77.50%、70.00%である。すなわち、所定値を100%に切り替えて光源15を使用した場合、寿命末期(使用時間が40000時間程度)では、光出力は30%低下する。
【0036】
同様に、符号Bで示す曲線は、所定値が90%(DISPSW=90%とも称する)の場合の光出力低下率を示す。例えば、使用時間が、10000時間、20000時間、30000時間、40000時間のときの光出力低下率は、それぞれ93.25%、86.50%、79.75%、73.00%である。すなわち、所定値を90%に切り替えて光源15を使用した場合、寿命末期(使用時間が40000時間程度)では、光出力は27%低下する。
【0037】
同様に、符号Cで示す曲線は、所定値が75%(DISPSW=75%とも称する)の場合の光出力低下率を示す。例えば、使用時間が、10000時間、20000時間、30000時間、40000時間のときの光出力低下率は、それぞれ94.38%、88.75%、83.13%、77.50%である。すなわち、所定値を75%に切り替えて光源15を使用した場合、寿命末期(使用時間が40000時間程度)では、光出力は22.5%低下する。
【0038】
また、符号Dで示す曲線は、所定値が50%(DISPSW=50%とも称する)の場合の光出力低下率を示す。例えば、使用時間が、10000時間、20000時間、30000時間、40000時間のときの光出力低下率は、それぞれ96.25%、92.50%、88.75%、85.00%である。すなわち、所定値を50%に切り替えて光源15を使用した場合、寿命末期(使用時間が40000時間程度)では、光出力は15%低下する。
【0039】
図3は光源15の入力電力当たりの光出力の一例を示す説明図である。光源15の入力電力とは、光源15へ供給する供給電力である。図3は、所定値毎(例えば、100%、90%、75%、50%)に光源15の使用時間の経過に伴う光出力の変化(劣化割合)を示すものであり、入力電力を一定とした場合の光出力の劣化割合を相対的に示す。
【0040】
次に、本実施の形態の照明装置100の動作について説明する。まず、ディップスイッチ11で所定値を100%に切り替えて使用する場合について説明する。すなわち、照明装置100を所定の設置個所に設置し、ディップスイッチ11を操作して所定値を100%に切り替えて照明装置100の使用を開始する。
【0041】
ディップスイッチ11で所定値を100%に切り替えたので、制御部10は、所定値が100%(DISPSW=100%)に対応する劣化情報に基づいて、光源15の光出力が略一定となるように、光源15へ供給する電力を調整する。
【0042】
図4は光源15への入力電力の設定例を示す説明図であり、図5は光源15の使用時間に伴う光出力の一例を示す説明図である。図4において、横軸は光源15の使用時間であり、図2と同様、使用時間が40000時間で寿命時(寿命末期)としている。また、縦軸は定格に対する入力電力であり、光源15の使用時間に応じた光源15への入力電力(供給電力)を示す。すなわち、所定値が100%の場合に光源15の寿命時(使用時間が40000時間)の入力電力(供給電力)を基準(100%)としたときの、所定値毎に使用時間に応じて光源15へ投入する入力電力の割合を示したものである。符号A、B、C、Dで示す曲線は、それぞれ所定値が100%、90%、75%、50%である場合の入力電力(供給電力)の変化割合を示す。
【0043】
また、図5において、横軸は光源15の使用時間であり、縦軸は光源15の光出力である。符号A、B、C、Dで示す曲線は、それぞれ所定値が100%、90%、75%、50%である場合を示す。
【0044】
まず、図4の符号Aで示す、所定値が100%の場合について説明する。図2に例示するように、所定値が100%の場合、光源15の使用時間が光源の寿命時間に相当する40000時間のときの光出力低下率が30%であるときは、使用時間が0である初期段階では、寿命時の光出力から逆算して、光源15に供給する電力を70%(=100%−30%)とし、初期段階の光出力(照度)を補正し、使用時間が光源15の寿命時間に相当する寿命末期段階では、光源15に供給する電力が100%となるように光源15へ供給する電力の変化割合を変更する。
【0045】
より具体的には、図4の符号Aで示す例では、光源15の使用時間が、例えば、0時間、10000時間、20000時間、30000時間、40000時間において、光源15への入力電力(供給電力)は、それぞれ70%、75.68%、82.35%、90.32%、100%となるように電力の変化割合を変更する。これにより、図5の符号Aで示すように、光源15の使用時間が初期の段階から寿命末期の段階に亘って光源15の光出力を寿命時の光出力と略同等に(略一定となるように)維持することができる。
【0046】
次に、図4の符号Bで示す、所定値が90%の場合について説明する。図2に例示するように、所定値が90%の場合、光源15の使用時間が光源の寿命時間に相当する40000時間のときの光出力低下率が27%であるとする。所定値が100%の場合に、使用時間が0である初期段階において光源15に供給する電力が70%であったので、所定値が90%である場合の使用時間が0である初期段階において光源15に供給する電力は、70%の0.9倍の63%として、初期段階の光出力(照度)を補正する。光源15の寿命時の光出力低下率が27%であるので、使用時間が光源15の寿命時間に相当する寿命末期段階では、光出力の劣化分を考慮して、光源15に供給する電力が86.30%(63%/0.73)となるように光源15へ供給する電力の変化割合を変更する。
【0047】
より具体的には、図4の符号Bで示す例では、光源15の使用時間が、例えば、0時間、10000時間、20000時間、30000時間、40000時間において、光源15への入力電力(供給電力)は、それぞれ63%、67.56%、72.83%、79.00%、86.30%となるように電力の変化割合を変更する。これにより、図5の符号Bで示すように、光源15の使用時間が初期の段階から寿命末期の段階に亘って光源15の光出力を寿命時の光出力と略同等に(略一定となるように)維持することができる。
【0048】
次に、図4の符号Cで示す、所定値が75%の場合について説明する。図2に例示するように、所定値が75%の場合、光源15の使用時間が光源の寿命時間に相当する40000時間のときの光出力低下率が22.5%であるとする。所定値が100%の場合に、使用時間が0である初期段階において光源15に供給する電力が70%であったので、所定値が75%である場合の使用時間が0である初期段階において光源15に供給する電力は、70%の0.75倍の52.5%として、初期段階の光出力(照度)を補正する。光源15の寿命時の光出力低下率が22.5%であるので、使用時間が光源15の寿命時間に相当する寿命末期段階では、光出力の劣化分を考慮して、光源15に供給する電力が67.74%(52.5%/0.775)となるように光源15へ供給する電力の変化割合を変更する。
【0049】
より具体的には、図4の符号Cで示す例では、光源15の使用時間が、例えば、0時間、10000時間、20000時間、30000時間、40000時間において、光源15への入力電力(供給電力)は、それぞれ52.50%、55.63%、59.15%、63.16%、67.74%となるように電力の変化割合を変更する。これにより、図5の符号Cで示すように、光源15の使用時間が初期の段階から寿命末期の段階に亘って光源15の光出力を寿命時の光出力と略同等に(略一定となるように)維持することができる。
【0050】
次に、図4の符号Dで示す、所定値が50%の場合について説明する。図2に例示するように、所定値が50%の場合、光源15の使用時間が光源の寿命時間に相当する40000時間のときの光出力低下率が15%であるとする。所定値が100%の場合に、使用時間が0である初期段階において光源15に供給する電力が70%であったので、所定値が50%である場合の使用時間が0である初期段階において光源15に供給する電力は、70%の半分の35%として、初期段階の光出力(照度)を補正する。光源15の寿命時の光出力低下率が15%であるので、使用時間が光源15の寿命時間に相当する寿命末期段階では、光出力の劣化分を考慮して、光源15に供給する電力が41.18%(35%/0.85)となるように光源15へ供給する電力の変化割合を変更する。
【0051】
より具体的には、図4の符号Dで示す例では、光源15の使用時間が、例えば、0時間、10000時間、20000時間、30000時間、40000時間において、光源15への入力電力(供給電力)は、それぞれ35%、36.36%、37.84%、39.44%、41.18%となるように電力の変化割合を変更する。これにより、図5の符号Dで示すように、光源15の使用時間が初期の段階から寿命末期の段階に亘って光源15の光出力を寿命時の光出力と略同等に(略一定となるように)維持することができる。
【0052】
上述のように、それぞれの所定値毎に光出力低下率が異なる劣化情報を用いることにより、光出力を所望の所定値に切り替えた場合でも、初期段階の光出力(照度)を補正し、劣化情報に基づいて供給電力の変化割合を変更するので、所定値に関わらず寿命末期段階に至るまでの光出力(照度)を略一定に維持することができる。
【0053】
次に、比較例について説明する。図6は比較例としての光源の光出力の劣化度合いを示す説明図であり、図7は比較例としての光源の入力電力の設定例を示す説明図であり、図8は比較例としての光源の使用時間に伴う光出力の一例を示す説明図である。図6乃至図8の例は、従来例を示すものである。図6において、横軸は光源の使用時間を示し、縦軸は光源の光出力の低下率を示す。図6に示すように、従来は光源の光出力の劣化度合いは、1つだけ定められており、例えば、使用時間が0時間においては、光源の光出力低下率が0%である。使用時間が増加するにつれて光出力低下率も増加し、使用時間が40000時間(光源の寿命時)においては、光出力低下率は30%である。
【0054】
図7は従来の入力電力の設定例を示すものであり、横軸は光源の使用時間であり、縦軸は定格に対する入力電力であり、光源の使用時間に応じた光源への入力電力(供給電力)を示す。すなわち、所定値が100%の場合に光源の寿命時(使用時間が40000時間)の入力電力(供給電力)を基準(100%)としたときの、所定値毎に使用時間に応じて光源へ投入する入力電力の割合を示したものである。符号A、B、C、Dで示す曲線は、それぞれ所定値が100%、90%、75%、50%である場合の入力電力の変化割合を示す。図7からわかるように、所定値に関わらず、入力電力の変化割合は同一となっている。なお、図7に示す例では、光出力の劣化度合いとして図6に例示したものを用いている。
【0055】
また、図8において、横軸は光源の使用時間であり、縦軸は光源の光出力である。符号A、B、C、Dで示す曲線は、それぞれ所定値が100%、90%、75%、50%である場合を示す。
【0056】
まず、図7の符号Aで示す、所定値が100%の場合について説明する。図6に例示するように、所定値が100%の場合、光源の使用時間が光源の寿命時間に相当する40000時間のときの光出力低下率が30%であるときは、使用時間が0である初期段階では、寿命時の光出力から逆算して、光源に供給する電力を70%(=100%−30%)とし、初期段階の光出力(照度)を補正し、使用時間が光源の寿命時間に相当する寿命末期段階では、光源に供給する電力が100%となるように光源へ供給する電力を調整する。
【0057】
より具体的には、図7の符号Aで示す例では、光源の使用時間が、例えば、0時間、10000時間、20000時間、30000時間、40000時間において、光源への入力電力(供給電力)は、それぞれ70%、75.68%、82.35%、90.32%、100%となるように調整する。これにより、図8の符号Aで示すように、光源の使用時間が初期の段階から寿命末期の段階に亘って光源の光出力を寿命時の光出力と略同等に(略一定となるように)維持することができる。
【0058】
次に、図7の符号Dで示す、所定値が50%の場合について説明する。図6に例示するように、所定値にかかわらず、光源の使用時間が光源の寿命時間に相当する40000時間のときの光出力低下率が30%である。所定値が100%の場合に、使用時間が0である初期段階において光源に供給する電力が70%であったので、所定値が50%である場合の使用時間が0である初期段階において光源に供給する電力は、70%の半分の35%として、初期段階の光出力(照度)を補正する。光源の寿命時の光出力低下率が30%で一定であるので、使用時間が光源の寿命時間に相当する寿命末期段階では、光出力の劣化分を考慮して、光源に供給する電力は50.00%(35%/0.70)となる。
【0059】
より具体的には、図7の符号Dで示す例では、光源の使用時間が、例えば、0時間、10000時間、20000時間、30000時間、40000時間において、光源への入力電力(供給電力)は、それぞれ35%、37.84%、41.184%、45.16%、50.00%となる。
【0060】
上述の比較例のように、所定値が100%、50%いずれの場合も光源の寿命末期段階での光出力低下率が同一の30%とすると、所定値が50%である場合、初期段階において光源に供給する電力は、70%(所定値が100%の場合に相当)の半分の35%となり、寿命末期段階では、光出力の劣化分を考慮して、光源に供給する電力が50%(35%/0.7)となり、本実施の形態の図4の符号Dで示す場合の41.18%より増加する。すなわち、初期段階から寿命末期段階に至るまでの供給電力が増加してしまうとともに、図8の符号Dで示すように、光源の光出力(照度)が略一定とならない。なお、他の所定値についても同様である。
【0061】
図9は所定値を50%とした場合の消費電力の対比例を示す説明図である。図9において、横軸は光源の使用時間を示し、縦軸は定格に対する入力電力を示し、光源の使用時間に応じた光源への入力電力(供給電力)を示す。すなわち、所定値が100%の場合に光源の寿命時(使用時間が40000時間)の入力電力(供給電力)を基準(100%)としたときに、所定値が50%のときの使用時間に応じて光源へ投入する入力電力の割合を示したものである。
【0062】
図9に示すように、図6乃至図8で示した比較例の場合には、使用時間が0時間から40000時間まで経過した場合、従来例として示す曲線のように、光源への入力電力は、35%から50%まで使用時間の経過とともに増加する。一方、本実施の形態の照明装置100では、使用時間が0時間から40000時間まで経過した場合、光源への入力電力は、本実施例として示す曲線のように、使用時間の経過とともに、比較例の場合の入力電力を常に下回る状態で、35%から41.18%まで使用時間の経過とともに増加する。本実施の形態では、所定値毎の劣化情報に応じて光源への供給電力の変化割合を変更するので、光出力低下率が所定値にかかわらず一定とする場合に比べて、従来例で示す曲線と本実施例で示す曲線との差分に相当する分だけ電力消費を抑制することができる。
【0063】
なお、光出力の最大値が低くなるように所定値が切り替えられるに従い、使用時間の経過に対する光源15の劣化度合いが低下するので、所定値の切り替えにより、光出力の最大値を低下させることに応じて入力電力の増加割合を低減する必要がある。これは、所定値の切り替えに応じて使用時の光源15への温度負荷が変化するためである。具体的には、光出力が高いほど使用時の発熱量が大きく劣化度合いが大きくなり、低いほど発熱量が小さく劣化度合いが小さくなる。
【0064】
本実施の形態では、光源15への使用時間の経過に応じて光源15の光出力は、劣化情報に示される態様で減少するので、制御部10が、使用時間の経過に応じて、劣化情報に基づいて光源15への供給電力を増加させることにより、光源15の光出力(照度)を略一定にすることができる。すなわち、制御部10は、光源15の光出力が使用時間の経過と共に変化することを防止する。
【0065】
また、本実施の形態では、ディップスイッチ11で切り替えた所定値に対応する劣化情報に基づいて、光源15の寿命初期(例えば、光源15の使用時間が0のとき)及び寿命末期(例えば、光源15の使用時間が寿命時間になるとき)に光源15へ供給する電力を算出する。例えば、所定値が100%の場合の光出力低下率が30%であるときは、初期電力(光源15の寿命初期に供給する電力)を0.7×Wとし、末期電力(光源15の寿命末期に供給する電力)をWとする。電力Wは、光源15の寿命末期の設計照度(設計上の明るさ)を得るための電力である。また、所定値が50%の場合の光出力低下率が15%であるときは、初期電力(光源15の寿命初期に供給する電力)を0.35×Wとし、末期電力(光源15の寿命末期に供給する電力)を0.4118×Wとする。他の所定値の場合も同様である。これにより、初期段階の照度(光出力)を所定値に応じた値にすることができるとともに、光源15の寿命末期段階に至るまで光出力(照度)を一定に維持しつつ、消費電力を少なくすることができる。
【0066】
また、本実施の形態では、劣化情報は、光源15への使用時間の経過に応じた光源15の光出力の低下割合(例えば、光出力低下率)を含み、所定値が小さいほど低下割合を小さくしてある。例えば、所定値が100%の場合、光源15の寿命初期(例えば、光源15の使用時間が0のとき)の光出力低下率は0%であり、光源15の寿命末期(例えば、光源15の使用時間が寿命時間になるとき)の光出力低下率が30%である。また、所定値が50%の場合、光源15の寿命初期(例えば、光源15の使用時間が0のとき)の光出力低下率は0%であり、光源15の寿命末期(例えば、光源15の使用時間が寿命時間になるとき)の光出力低下率が15%である。光源15の光出力の低下割合は、所定値に応じて異なるので、所定値にかかわらず光出力低下率を一定とする場合に比べて、光源15の光出力(照度)を略一定にすることができるとともに、光源15に対する消費電力を低減することができる。
【0067】
上述の例では、ディップスイッチ11による所定値の切り替えを、照明装置100を設置するような初期段階で行う場合について説明したが、ディップスイッチ11による所定値の切り替えは、照明装置100の寿命前の任意の時点で行うことができる。以下、照明装置100の使用途中(経年劣化の途中)で所定値を切り替える場合について説明する。
【0068】
まず、ディップスイッチ11で所定値を小さい値へ切り替える場合について説明する。図10は所定値を100%から50%へ切り替えた場合の光出力の劣化度合いの一例を示す説明図であり、図11は所定値を100%から50%へ切り替えた場合の光源の入力電力の設定例を示す説明図である。図10において、横軸は光源15の使用時間を示し、縦軸は光源15の光出力低下率を示す。また、図11において、横軸は光源15の使用時間を示し、縦軸は定格に対する入力電力を示す。
【0069】
図10に示すように、光源15の使用時間が、例えば、20000時間の時点で所定値を100%から50%へ切り替えたとする。図11に示すように、光源の使用時間が0時間から20000時間までは、所定値が100%(DISPSW=100%)の場合の符号Aで示す劣化情報に基づいて光源15への入力電力(供給電力)を設定し、光源の使用時間が20000時間から40000時間までは、所定値が50%(DISPSW=50%)の場合の符号Dで示す劣化情報に基づいて光源15への入力電力(供給電力)を設定する。
【0070】
より具体的には、光源15の使用時間が0時間の時点で、入力電力は70%に設定する。これは、所定値が100%の場合の光源15の寿命末期(例えば、光源15の使用時間が40000時間になるとき)の光出力低下率が30%だからである。そして、任意の使用時間での入力電力は、使用時間が40000時間のときに100%となるような符号Aで示す曲線上に沿った値に設定する。例えば、使用時間が10000時間では入力電力は75.68%であり、使用時間が20000時間では入力電力は82.35%である。
【0071】
使用時間が20000時間の時点で所定値が100%から50%へ切り替えられたので、使用時間が20000時間の時点の入力電力を、82.35%の半分である41.18%にする。使用時間が20000時間以降の使用時間では、入力電力は41.18%を基準として、所定値が50%(DISPSW=50%)の場合の符号Dで示す劣化情報に基づいて光源15への入力電力(供給電力)が設定される。例えば、使用時間が30000時間では入力電力を43.08%、使用時間が40000時間では入力電力を45.16%とする。
【0072】
使用時間が0時間の初期から所定値50%として光源15を使用(点灯)した場合には、使用時間が20000時間の時点では入力電力は37.84%となるが、20000時間までの間に、所定値50%よりも大きな所定値100%で光源15を使用した場合には、光源15の劣化度合いも大きい。このため、所定値を100%から50%へ切り替えた時点での入力電力は、37.84%よりも大きい41.18%に設定している。所定値を切り替えた場合に、切替時点で入力電力を調整することにより、所定値を切り替えた場合でも、所定値に応じた光出力を得ることができる。
【0073】
上述のように、任意の時間(例えば、20000時間)が経過した時点で第1の所定値(例えば、100%)から第2の所定値(例えば、50%)へ切り替えた場合、当該切り替え時点(使用時間が20000時間の時点)での第1の所定値に応じた入力電力(82.35%)と、第2の所定値に応じて当該任意の時間(例えば、20000時間)使用した場合の入力電力(37.84%)との間の電力(41.18%)を、当該切り替え時点から光源へ供給するとともに、当該切り替え時点以降は、第2の所定値に応じた変化割合で光源15へ電力を供給する。これにより、光源15の使用時の任意の時点で所定値を切り替えても、切替前の所定値に応じた劣化度合いを反映しつつ、切替後の所定値に応じた変化割合で光源へ電力を供給することができる。
【0074】
次に、ディップスイッチ11で所定値を大きい値へ切り替える場合について説明する。図12は所定値を50%から100%へ切り替えた場合の光出力の劣化度合いの一例を示す説明図であり、図13は所定値を50%から100%へ切り替えた場合の光源の入力電力の設定例を示す説明図である。図12において、横軸は光源15の使用時間を示し、縦軸は光源15の光出力低下率を示す。また、図13において、横軸は光源15の使用時間を示し、縦軸は定格に対する入力電力を示す。
【0075】
図12に示すように、光源15の使用時間が、例えば、20000時間の時点で所定値を50%から100%へ切り替えたとする。図13に示すように、光源の使用時間が0時間から20000時間までは、所定値が50%(DISPSW=50%)の場合の符号Dで示す劣化情報に基づいて光源15への入力電力(供給電力)を設定し、光源の使用時間が20000時間から40000時間までは、所定値が100%(DISPSW=100%)の場合の符号Aで示す劣化情報に基づいて光源15への入力電力(供給電力)を設定する。
【0076】
より具体的には、光源15の使用時間が0時間の時点で、入力電力は35%に設定する。これは、所定値100%の場合の入力電力が70%であり、その半分だからである。そして、任意の使用時間での入力電力は、使用時間が40000時間のときに入力電力が41.18%となるような符号Dで示す曲線上に沿った値に設定する。例えば、使用時間が10000時間では入力電力は36.36%であり、使用時間が20000時間では入力電力は37.84%である。
【0077】
使用時間が20000時間の時点で所定値が50%から100%へ切り替えられたので、使用時間が20000時間の時点の入力電力を、37.84%の2倍である75.68%にする。使用時間が20000時間以降の使用時間では、入力電力は75.68%を基準として、所定値が100%(DISPSW=100%)の場合の符号Aで示す劣化情報に基づいて光源15への入力電力(供給電力)が設定される。例えば、使用時間が30000時間では入力電力を82.35%、使用時間が40000時間では入力電力を90.32%とする。
【0078】
使用時間が0時間の初期から所定値100%として光源15を使用(点灯)した場合には、使用時間が20000時間の時点では入力電力は82.35%となるが、20000時間までの間に、所定値100%よりも小さな所定値50%で光源15を使用した場合には、光源15の劣化度合いは小さい。このため、所定値を50%から100%へ切り替えた時点での入力電力は、82.35%よりも小さい75.68%に設定している。所定値を切り替えた場合に、切替時点で入力電力を調整することにより、所定値を切り替えた場合でも、電力消費を抑制しつつ所定値に応じた光出力を得ることができる。
【0079】
上述のように、任意の時間(例えば、20000時間)が経過した時点で第1の所定値(例えば、50%)から第2の所定値(例えば、100%)へ切り替えた場合、当該切り替え時点(使用時間が20000時間の時点)での第1の所定値に応じた入力電力(37.84%)と、第2の所定値に応じて当該任意の時間(例えば、20000時間)使用した場合の入力電力(82.35%)との間の電力(75.68%)を、当該切り替え時点から光源へ供給するとともに、当該切り替え時点以降は、第2の所定値に応じた変化割合で光源15へ電力を供給する。これにより、光源15の使用時の任意の時点で所定値を切り替えても、切替前の所定値に応じた劣化度合いを反映しつつ、切替後の所定値に応じた変化割合で光源へ電力を供給することができる。
【0080】
(実施の形態2)
実施の形態1では、光源15の最大光出力を切り替えるディップスイッチ11を備え、光出力を切り替えた場合でも光出力を略一定するための構成について説明した。光源15の光出力は、ディップスイッチ11による切替だけでなく、リモコンなどの遠隔操作端末で光源を調光することで変更することもできる。以下、光源15を調光する場合について説明する。
【0081】
図14は実施の形態2の照明装置200の構成の一例を示すブロック図である。図14に示すように、実施の形態1との相違点は、照明装置200は、受光部16、PWM回路を有する電源部17、劣化度合いを算出する算出部としての劣化度合算出部18、電力を計測する計測部としての電力計測部19、温度センサ20などを備える点である。なお、実施の形態1と同様の構成は同一符号を付して説明を省略する。
【0082】
受光部16は、リモコンから送信された調光信号を受信し、受信した調光信号を制御部10へ出力する。調光信号は、光源15の光出力の調光率を含む。調光率は、例えば、100%〜25%などとすることができる。なお、光源15を調光する場合、リモコンからの調光信号を受信する構成に限定されるものではなく、例えば、壁などに設けられた調光器などから調光信号を取得する構成でもよい。
【0083】
温度センサ20は、光源15の近傍の温度を検出し、検出した温度を制御部10へ出力する。温度センサ20は、例えば、LEDが実装された基板上に装着して、LED近傍の温度を検出する。
【0084】
電力計測部19は、電源部17から光源15へ供給される電力を計測し、計測した電力を制御部10へ出力する。なお、電力計測部19及び温度センサ20は、両方備える構成でもよく、いずれか一方だけを具備する構成でもよい。
【0085】
制御部10は、温度に関する諸量を取得して光源15の近傍の温度を特定する特定部としての機能を有する。すなわち、制御部10は、温度センサ20で得られた温度に基づいて、光源15の近傍の温度を特定する。また、制御部10は、電力計測部19で計測した電力に基づいて光源15の近傍の温度を特定する。例えば、照明装置の構造が定まれば、光源15から外部の雰囲気までの熱抵抗が定まり、環境温度(例えば、照明装置の周囲の雰囲気温度)を一定と仮定すれば、計測した電力により光源15の温度を推定することができる。これにより、光源15近傍の温度を取得することができる。また、光源15の光出力の調光率は、光源15に供給する電力に比例するので、調光率に応じて光源15の温度を推定することもできる。
【0086】
温度に関する諸量は、光源15近傍の温度自身、光源15近傍の温度を推定することができる光源15への供給電力、光源15への供給電力を求めることができる調光率などである。光源15の光出力に対する調光率を変更した場合、光源15への供給電力が変わり、光源15近傍の温度も変化することになる。
【0087】
劣化度合算出部18は、光源15近傍の温度及び光源15の使用時間に基づいて、光源15の光出力の劣化度合いを算出する。光源15の使用時間とは、光源15の点灯時間、あるいは光源15への電力供給時間であり、照明装置の使用開始時点からの累積値(通算時間)である。また、劣化度合いは、例えば、光源15の光出力低下率である。
【0088】
一般的に、温度が10℃変動した場合、劣化度合いは2倍変動する。そこで、例えば、所定の温度(例えば、使用時の最高温度として90℃など)における単位時間(例えば、1時間)当たりの劣化係数を定めておき、光源15近傍で特定した温度(例えば、1時間当たりの平均温度)と予め定めた劣化係数に応じて、任意の使用時点での光源15の劣化度合いを算出することができる。
【0089】
図15は光源15の劣化係数の一例を示す説明図である。図15において、横軸は温度を示し、縦軸は劣化係数の値を示す。劣化係数は、例えば、1時間当たりに光源15の光出力がどの程度劣化するかを示す割合である。
【0090】
図15に示すように、光源15近傍の温度が90℃の場合の劣化係数が、1時間当たり0.00075%である場合、光源15近傍の温度が80℃の場合の劣化係数は、1時間当たり0.000375%となり、光源15近傍の温度が70℃の場合の劣化係数は、1時間当たり0.000188%となり、光源15近傍の温度が60℃の場合の劣化係数は、1時間当たり0.000094%となる。
【0091】
特定した温度に対応する劣化係数に光源15の使用時間を乗算することにより、使用時間が経過した時点での劣化度合いを求めることができる。
【0092】
図16は光源15近傍の温度毎の光出力の劣化度合いを示す説明図である。図16において、横軸は光源15の使用時間を示し、縦軸は光源15の光出力低下率を示す。なお、図16に示す劣化度合いは、調光率(調光)が100%の場合を示す。図15に示すように、温度が90℃の場合の1時間当たりの劣化係数は0.00075%である。すなわち、温度が90℃の場合、使用時間が5000時間での劣化度合いは、5000×0.00075=3.75%となる。同様に、10000時間、15000時間、20000時間、25000時間、30000時間、35000時間、40000時間での劣化度合いは、それぞれ7.50%、11.25%、15.00%、18.75%、22.50%、26.25%、30.00%となり、図16の符号T=90℃で示す直線で表すことができる。
【0093】
同様に、図15に示すように、温度が80℃の場合の1時間当たりの劣化係数は0.000375%である。すなわち、温度が80℃の場合、使用時間が5000時間での劣化度合いは、5000×0.000375=1.875%となる。同様に、10000時間、15000時間、20000時間、25000時間、30000時間、35000時間、40000時間での劣化度合いは、それぞれ3.750%、5.625%、7.500%、9.375%、11.250%、13.125%、15.000%となり、図16の符号T=80℃で示す直線で表すことができる。
【0094】
同様に、図15に示すように、温度が70℃の場合の1時間当たりの劣化係数は0.000188%である。すなわち、温度が70℃の場合、使用時間が5000時間での劣化度合いは、5000×0.000188=0.938%となる。同様に、10000時間、15000時間、20000時間、25000時間、30000時間、35000時間、40000時間での劣化度合いは、それぞれ1.875%、2.813%、3.750%、4.688%、5.625%、6.563%、7.500%となり、図16の符号T=70℃で示す直線で表すことができる。
【0095】
同様に、図15に示すように、温度が60℃の場合の1時間当たりの劣化係数は0.000094%である。すなわち、温度が60℃の場合、使用時間が5000時間での劣化度合いは、5000×0.000094=0.47%となる。同様に、10000時間、15000時間、20000時間、25000時間、30000時間、35000時間、40000時間での劣化度合いは、それぞれ0.94%、1.41%、1.88%、2.35%、2.82%、3.29%、3.75%となり、図16の符号T=60℃で示す直線で表すことができる。
【0096】
制御部10は、劣化度合算出部18で算出した劣化度合い(光出力低下率)に応じて、光源15の光出力が略一定となるように電源部17が供給する電力を調整する。すなわち、制御部10は、光源15の光出力が使用時間の経過と共に変化することを防止する。
【0097】
また、制御部10は、受光部16から取得した調光率に応じて、電源部17が供給する電力を調整する。
【0098】
電源部17は、制御部10の制御のもと、PWM回路のデューティ比を変更することにより、光源15へ供給する電力を調整する。
【0099】
図17は実施の形態2の照明装置200の光源15への入力電力の設定例を示す説明図である。図17において、横軸は光源15の使用時間であり、使用時間が40000時間で寿命時(寿命末期)としている。また、縦軸は定格に対する入力電力であり、光源15の使用時間に応じた光源15への入力電力(供給電力)を示す。すなわち、光源近傍の温度Tが90℃の場合に光源15の寿命時(使用時間が40000時間)の入力電力(供給電力)を基準(100%)としたときの、他の温度(T=80℃、70℃、60℃)毎に使用時間に応じて光源15へ投入する入力電力の割合を示したものである。
【0100】
例えば、光源15の近傍の温度Tが90℃の場合において、光源15の使用時間(電力供給時間)が光源15の寿命時間に相当するとき(光源の寿命末期)の光出力低下率が30%であるとする。光出力低下率は、使用時間×劣化係数により求めることができ、1時間当たりの劣化係数が0.00075%であり、寿命時間が40000時間であるとすると、光源の寿命末期での光出力低下率は、0.00075×40000=30%となる。そこで、使用時間が0である初期段階では、光出力低下率が0%であるとするとともに、光源15に供給する電力を70%(100%−30%)とし、使用時間が光源15の寿命時間に相当する寿命末期段階では、光出力低下率が30%であるとし、光源15に供給する電力が100%(70%/0.7)として、光源15へ供給する電力と使用時間との関係を定めることができる。
【0101】
また、光源15の近傍の温度Tが80℃の場合には、1時間当たりの劣化係数が0.000375%であり、寿命時間が40000時間であるとすると、光源の寿命末期での光出力低下率は、0.000375×40000=15%となる。そこで、使用時間が0である初期段階では、光出力低下率が0%であるとするとともに、光源15に供給する電力を70%とし、使用時間が光源15の寿命時間に相当する寿命末期段階では、光出力低下率が15%であるとし、光源15に供給する電力が82.353%(70%/0.85)として、光源15へ供給する電力と使用時間との関係を定めることができる。
【0102】
また、光源15の近傍の温度Tが70℃の場合には、1時間当たりの劣化係数が0.000188%であり、寿命時間が40000時間であるとすると、光源の寿命末期での光出力低下率は、0.000188×40000=7.5%となる。そこで、使用時間が0である初期段階では、光出力低下率が0%であるとするとともに、光源15に供給する電力を70%とし、使用時間が光源15の寿命時間に相当する寿命末期段階では、光出力低下率が7.5%であるとし、光源15に供給する電力が75.676%(70%/0.925)として、光源15へ供給する電力と使用時間との関係を定めることができる。
【0103】
また、光源15の近傍の温度Tが60℃の場合には、1時間当たりの劣化係数が0.000094%であり、寿命時間が40000時間であるとすると、光源の寿命末期での光出力低下率は、0.000094×40000=3.75%となる。そこで、使用時間が0である初期段階では、光出力低下率が0%であるとするとともに、光源15に供給する電力を70%とし、使用時間が光源15の寿命時間に相当する寿命末期段階では、光出力低下率が3.75%であるとし、光源15に供給する電力が72.72%(70%/0.965)として、光源15へ供給する電力と使用時間との関係を定めることができる。
【0104】
これにより、温度変動により光源15の劣化度合いが変わる場合でも、劣化度合いに応じて供給電力を調整するので、光源15の光出力(照度)を使用初期でも寿命末期でも略一定にすることができる。また、光源15の光出力に対する調光率を変更した場合でも、調光率に応じた電力を供給することで、光源15の劣化度合いを反映することができ、調光率に応じた略一定の光出力(照度)を得ることができる。
【0105】
図18は光源15の入力電力と劣化度合との関係の一例を示す説明図である。図18において、横軸の入力電力は、図17で示した定格に対する入力電力である。また、図18のグラフは、調光(調光率)100%の場合のグラフを示す。図18は、光源15の近傍の温度、使用時間などに基づいて算出された劣化度合いに応じて、光源15への入力電力(供給電力)をいくらにすればよいかを定めたものである。例えば、任意の使用時間において、算出した劣化度合いが7.5%であるとすると、光源15への入力電力は75.676%となる。また、算出した劣化度合いが15%であるとすると、光源15への入力電力は82.353%となる。なお、調光率が100%以外の場合には、図18で示す入力電力に調光率を乗算すれば、調光時の入力電力を求めることができる。
【0106】
上述のように、本実施の形態2では、所定温度での光源15の光出力の経年劣化を示す劣化情報を記憶しておく。所定温度は、例えば、光源15の使用時(点灯時)の光源15近傍の最高温度とすることができ、一例として90℃とすることができる。劣化情報は、例えば、光源15の使用時間(電力供給時間)と光出力低下率との関係を示す情報である。使用時間が0である初期段階では、光出力低下率が0%であり、使用時間の経過とともに光出力低下率が増加し、光源15の使用時間が寿命時間に相当するとき(光源の寿命末期)の光出力低下率が30%であるとすることができる。
【0107】
劣化度合算出部18は、所定温度と特定した温度との温度差及び計時した使用時間に基づいて、光源15の光出力の劣化度合いを算出する。例えば、所定温度(例えば、90℃)において、光源の使用時間が0から40000時間となる間に劣化度合い(光出力低下率)が0%から30%まで徐々に増加するとした場合、特定した温度が80℃である場合、温度差が10℃あるので、劣化度合いは半減し、光源の使用時間が0から40000時間となる間に劣化度合い(光出力低下率)は0%から15%まで徐々に増加するものとして求めることができる。他の特定した温度についても同様に求めることができる。これにより、温度が変動する場合でも精度よく劣化度合いを求めることができ、温度が変動する場合でも光源15の光出力(照度)の変動を補償することができる。
【0108】
図19は光源15近傍の温度変化に伴う入力電力の設定例を示す説明図である。図19においては、簡略化のため、5000時間の都度、光源15の近傍の温度が変化するものとするが、これに限定されるものではなく、使用時間が、例えば、30分、1時間毎の光源15近傍の温度の平均値を用い、30分、1時間の都度入力電力を設定することができる。
【0109】
図19に示すように、使用時間が0〜5000時間での光源15近傍の平均温度が90℃であるとし、以降40000時間に到るまでの間、5000時間の都度、平均温度が80℃、70℃、60℃、70℃、80℃、90℃、80℃であったとする。
【0110】
まず、使用時間が0〜5000時間では、平均温度が90℃であり、90℃で5000時間当たりの劣化度合いは3.75%であるので、図18に例示のグラフにより、定格に対する入力電力は72.727%となる。
【0111】
使用時間が5000〜10000時間では、平均温度が80℃であり、80℃で5000時間当たりの劣化度合いは1.875%であるので、直近の劣化度合い3.75%に1.875%を加算すると劣化度合いは、5.625%となる。図18に例示のグラフにより、定格に対する入力電力は74.172%となる。
【0112】
また、使用時間が10000〜15000時間では、平均温度が70℃であり、70℃で5000時間当たりの劣化度合いは0.938%であるので、直近の劣化度合い5.625%に0.938%を加算すると劣化度合いは、6.563%となる。図18に例示のグラフにより、定格に対する入力電力は74.916%となる。
【0113】
また、使用時間が15000〜20000時間では、平均温度が60℃であり、60℃で5000時間当たりの劣化度合いは0.469%であるので、直近の劣化度合い6.563%に0.469%を加算すると劣化度合いは、7.032%となる。図18に例示のグラフにより、定格に対する入力電力は75.294%となる。
【0114】
また、使用時間が20000〜25000時間では、平均温度が70℃であり、70℃で5000時間当たりの劣化度合いは0.938%であるので、直近の劣化度合い7.032%に0.938%を加算すると劣化度合いは、7.97%となる。図18に例示のグラフにより、定格に対する入力電力は76.061%となる。
【0115】
また、使用時間が25000〜30000時間では、平均温度が80℃であり、80℃で5000時間当たりの劣化度合いは1.875%であるので、直近の劣化度合い7.97%に1.875%を加算すると劣化度合いは、9.845%となる。図18に例示のグラフにより、定格に対する入力電力は77.643%となる。
【0116】
また、使用時間が30000〜35000時間では、平均温度が90℃であり、90℃で5000時間当たりの劣化度合いは3.75%であるので、直近の劣化度合い9.845%に3.75%を加算すると劣化度合いは、13.595%となる。図18に例示のグラフにより、定格に対する入力電力は81.013%となる。
【0117】
また、使用時間が35000〜40000時間では、平均温度が80℃であり、80℃で5000時間当たりの劣化度合いは1.875%であるので、直近の劣化度合い13.595%に1.875%を加算すると劣化度合いは、15.47%となる。図18に例示のグラフにより、定格に対する入力電力は82.810%となる。
【0118】
これにより、温度が変動する場合でも劣化度合いを求め、求めた劣化度合いに応じて光源15への入力電力を調整することができるので、温度が変動する場合でも光源15の光出力(照度)の変動を補償することができる。
【0119】
なお、図19の例では、調光率を100%(全点灯)としたが、100%未満の調光率で光源15を点灯させた場合には、劣化度合いにより求めた入力電力に調光率を乗算して光源15への入力電力とすればよい。
【0120】
図20は調光率を変更した場合の光源15近傍の温度変化に伴う入力電力の設定例を示す説明図である。図20の例では、使用時間が0〜10000時間では調光率を100%とし、使用時間が10000〜20000時間では調光率が75%とし、使用時間が20000〜30000時間では調光率が50%とし、使用時間が30000〜40000時間では調光率が100%であるとしている。
【0121】
図20に示すように、使用時間が10000〜15000時間では、調光率が75%であるので、使用時間が10000〜15000時間での入力電力は、図19に例示した使用時間が10000〜15000時間での入力電力74.916%の0.75倍である56.187%としている。他の使用時間での調光率に対しても同様にして入力電力を求めることができる。
【0122】
上述のように、光源15の光出力の調光率を含む調光信号を取得し、制御部10は、取得した調光率及び算出した劣化度合いに応じて、電源部17が供給する電力を調整する。光源15の光出力に対する調光率を変更した場合でも、調光率に応じた電力を供給することで、光源15の劣化度合いを反映することができ、調光率に応じた略一定の光出力(照度)を得ることができる。すなわち、光源15の光出力を調光した場合でも、光源15の光出力(照度)を一定に維持することができる。
【0123】
上述の実施の形態2では、制御部10で光源15近傍の温度を特定するとともに、劣化度合算出部18で劣化度合いを算出する構成であったが、温度を特定し、劣化度合いを算出する構成は必須ではなく、省略することができる。この場合には、以下のようにして光源15への供給電力を調整することができる。
【0124】
例えば、光源15近傍の温度に関する諸量を取得する。温度に関する諸量は、光源15近傍の温度自身、光源15近傍の温度を推定することができる光源15への供給電力、光源15への供給電力を求めることができる調光率などである。光源15の光出力に対する調光率を変更した場合、光源15への供給電力が変わり、光源15近傍の温度も変化することになる。制御部10は、タイマ14で計時した光源15の使用時間及び取得した諸量に基づいて電源部17が供給する電力を調整する。例えば、取得した諸量及び光源15の使用時間に対応する供給電力を予めテーブルとして求めておき、計時した使用時間及び取得した諸量に対応する電力を電源部17から光源15へ供給する。これにより、温度変動により光源15の劣化度合いが変わる場合でも、使用時間と諸量とに基づいて供給電力を調整するので、光源15の光出力(照度)を使用初期でも寿命末期でも略一定にすることができる。また、光源15の光出力に対する調光率を変更した場合でも、調光率に応じた電力を供給することで、光源15の劣化度合いを反映することができ、調光率に応じた略一定の光出力(照度)を得ることができる。
【0125】
実施の形態2によれば、光源15の劣化による照度低下(光出力低下)を推定することにより、照度の低下を補償することができ、光源の使用初期でも寿命末期でも同一の調光指示(調光率)で調光率に対応した同等の照度(光出力)を得ることができる。また、光源の劣化度合いに応じて供給電力を調整するので、一律の劣化度合いで供給電力を調整する場合に比べて、劣化度合いが少ない使用時間が多いほど、供給電力を少なくすることができ、照明装置の寿命末期に至るまでの間の電力消費を抑制することができる。
【符号の説明】
【0126】
10 制御部
11 ディップスイッチ
12、17 電源部
13 記憶部
14 タイマ
15 光源
16 受光部
18 劣化度合算出部
19 電力計測部
20 温度センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関し、特に調光可能な照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED(発光ダイオード)を光源とする照明装置が様々な用途向けに開発されており、白熱電球や蛍光灯等の従来の光源を用いた照明装置に対する置換えが行われつつある。LEDは、一般的に所定の電流を流すことにより所要の照度を得ることができる。
【0003】
しかし、照明装置を長時間使用した場合には、LEDの輝度が低下し、照明装置の透光カバー、反射部材なども使用時間に応じて劣化し、照明装置としての光出力(照度)が低下する。また、蛍光灯を用いた照明装置も、同様に使用時間の経過とともに照度が低下する。そこで、蛍光灯の点灯時間を計時し、計時された点灯時間に応じて蛍光灯への供給電力を決定して光束の低下を抑制することができる照明装置が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、光源の光出力が使用時間の経過とともに低下するので、従来、照明装置の光源の寿命末期の明るさ(光出力、照度など)を基準に照明装置の配置などの照明設計を行うとともに、使用初期の段階では光源へ供給する電力を少なくし、光源の寿命末期に近づくにつれて光源へ供給する電力を増やすことにより、使用初期の過度の明るさを抑えつつ、使用時間の経過に関わらず一定の照度が得られるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−15276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、リモコンなどの遠隔操作端末装置からの調光信号によって、照明装置の光出力、すなわち照明装置により得られる照度を所望の値に可変することができる照明装置も要望されている。しかし、従来、このような調光可能な照明装置の使用時間の経過に伴う光源の光出力の低下については考慮されておらず、光源の光出力(照度)を一定にすることができない。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、光源の光出力を調光した場合でも、光源の光出力(照度)を一定に維持することができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る照明装置は、光源と、該光源へ電力を供給する電源部とを備える照明装置において、前記光源近傍の温度に関する諸量を取得する諸量取得部と、前記光源の使用時間を計時する計時部と、前記光源の光出力が使用時間の経過と共に変化することを防止すべく、前記計時部で計時した使用時間及び前記諸量取得部で取得した諸量に基づいて前記電源部が供給する電力を調整する調整部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、光源近傍の温度に関する諸量を取得する。温度に関する諸量は、光源近傍の温度自身、光源近傍の温度を推定することができる光源への供給電力、光源への供給電力を求めることができる調光率などである。光源の光出力に対する調光率を変更した場合、光源への供給電力が変わり、光源近傍の温度も変化することになる。調整部は、計時部で計時した光源の使用時間及び取得した諸量に基づいて電源部が供給する電力を調整する。例えば、取得した諸量及び光源の使用時間に対応する供給電力を予め求めておき、計時した使用時間及び取得した諸量に対応する電力を電源部から光源へ供給する。これにより、温度変動により光源の劣化度合いが変わる場合でも、使用時間と諸量とに基づいて供給電力を調整するので、光源の光出力(照度)を使用初期でも寿命末期でも略一定にすることができる。また、光源の光出力に対する調光率を変更した場合でも、調光率に応じた電力を供給することで、光源の劣化度合いを反映することができ、調光率に応じた略一定の光出力(照度)を得ることができる。
【0010】
本発明に係る照明装置は、前記取得部が取得した諸量に基づいて前記光源近傍の温度を特定する特定部と、該特定部で特定した温度及び前記計時部で計時した使用時間に基づいて、前記光源の光出力の劣化度合いを算出する算出部とを備え、前記調整部は、前記算出部で算出した劣化度合いに応じて、前記電源部が供給する電力を調整するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、特定部は、温度に関する諸量を取得して光源近傍の温度を特定する。算出部は、特定した温度及び光源の使用時間に基づいて、光源の光出力の劣化度合いを算出する。使用時間は、光源の点灯時間であり、光源へ電力を供給した供給時間である。なお、これらの時間は累積の時間である。また、劣化度合いは、例えば、光源の光出力低下率である。一般的に、温度が10℃変動した場合、劣化度合いは2倍変動する。そこで、例えば、所定の温度(例えば、使用時の最高温度として90℃など)における単位時間(例えば、1時間)当たりの劣化係数を定めておき、光源近傍で特定した温度(例えば、1時間当たりの平均温度)と予め定めた劣化係数に応じて、任意の使用時点での光源の劣化度合いを算出することができる。例えば、温度が90℃の場合の劣化係数が、1時間当たり0.00075%である場合、温度が80℃の場合の劣化係数は、1時間当たり0.000375%となり、劣化係数に光源への電力供給時間を乗算することにより、電力供給時間が経過した時点での劣化度合いを求めることができる。他の温度についても同様に劣化度合いを求めることができる。
【0012】
調整部は、算出した劣化度合い(光出力低下率)に応じて、電源部が供給する電力を調整する。例えば、温度が90℃の場合において、光源の電力供給時間(使用時間)が光源の寿命時間に相当するとき(光源の寿命末期)の光出力低下率が30%であるとする。光出力低下率は、電力供給時間×劣化係数により求めることができ、1時間当たりの劣化係数が0.00075%であり、寿命時間が40000時間であるとすると、光源の寿命末期での光出力低下率は、0.00075×40000=30%となる。そこで、使用時間が0である初期段階では、光出力低下率が0%であるとするとともに、光源に供給する電力を70%(=100%−30%)とし、使用時間が光源の寿命時間に相当する寿命末期段階では、光出力低下率が30%であるとするとともに、光源に供給する電力が100%として、光源へ供給する電力と光出力低下率との関係を定めておく。
【0013】
そして、光源の使用時の任意の時点での電力を、当該時点での劣化度合い(光出力低下率)に対応する電力として光源へ供給する。これにより、温度変動により光源の劣化度合いが変わる場合でも、劣化度合いに応じて供給電力を調整するので、光源の光出力(照度)を使用初期でも寿命末期でも略一定にすることができる。また、光源の光出力に対する調光率を変更した場合でも、調光率に応じた電力を供給することで、光源の劣化度合いを反映することができ、調光率に応じた略一定の光出力(照度)を得ることができる。
【0014】
本発明に係る照明装置は、所定温度での前記光源の光出力の経年劣化を示す劣化情報を記憶する記憶部を備え、前記算出部は、前記所定温度と前記特定部で特定した温度との温度差及び前記計時部で計時した使用時間に基づいて、前記光源の光出力の劣化度合いを算出するように構成してあることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、所定温度での光源の光出力の経年劣化を示す劣化情報を記憶しておく。所定温度は、例えば、光源の使用時(点灯時)の光源近傍の最高温度とすることができ、一例として90℃とすることができる。劣化情報は、例えば、光源の使用時間と光出力低下率との関係を示す情報である。使用時間が0である初期段階では、光出力低下率が0%であり、使用時間の経過とともに光出力低下率が増加し、光源の使用時間が寿命時間に相当するとき(光源の寿命末期)の光出力低下率が30%であるとすることができる。
【0016】
算出部は、所定温度と特定した温度との温度差及び計時した使用時間に基づいて、光源の光出力の劣化度合いを算出する。例えば、所定温度(例えば、90℃)において、光源の使用時間が0から40000時間となる間に劣化度合い(光出力低下率)が0%から30%まで徐々に増加するとした場合、特定した温度が80℃である場合、温度差が10℃あるので、劣化度合いは半減し、光源の使用時間が0から40000時間となる間に劣化度合い(光出力低下率)は0%から15%まで徐々に増加するものとして求めることができる。他の特定した温度についても同様に求めることができる。これにより、温度が変動する場合でも精度よく劣化度合いを求めることができ、温度が変動する場合でも光源の光出力(照度)の変動を補償することができる。
【0017】
本発明に係る照明装置は、前記光源の光出力の調光率を含む調光信号を取得する信号取得部を備え、前記調整部は、前記信号取得部で取得した調光率及び前記算出部で算出した劣化度合いに応じて、前記電源部が供給する電力を調整するように構成してあることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、光源の光出力の調光率を含む調光信号を取得し、調整部は、取得した調光率及び算出した劣化度合いに応じて、電源部が供給する電力を調整する。光源の光出力に対する調光率を変更した場合でも、調光率に応じた電力を供給することで、光源の劣化度合いを反映することができ、調光率に応じた略一定の光出力(照度)を得ることができる。
【0019】
本発明に係る照明装置は、温度センサを備え、前記特定部は、前記温度センサで取得した温度により前記光源近傍の温度を特定するように構成してあることを特徴とする。
【0020】
本発明にあっては、特定部は、温度センサで取得した温度により光源近傍の温度を特定する。これにより、光源近傍の温度を直接取得することができる。
【0021】
本発明に係る照明装置は、前記光源へ供給する電力を計測する計測部を備え、前記特定部は、前記計測部で計測した電力を取得して前記光源近傍の温度を特定するように構成してあることを特徴とする。
【0022】
本発明にあっては、特定部は、計測部で計測した電力を取得して光源近傍の温度を特定する。例えば、照明装置の構造が定まれば、光源から外部の雰囲気までの熱抵抗が定まり、環境温度(例えば、照明装置の周囲の雰囲気温度)を一定と仮定すれば、計測した電力により光源の温度を推定することができる。これにより、光源近傍の温度を取得することができる。また、光源の光出力の調光率は、光源に供給する電力に比例するので、調光率に応じて光源の温度を推定することもできる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、光源の光出力を調光した場合でも、光源の光出力(照度)を一定に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態1の照明装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】光源の光出力の経年劣化を示す劣化情報の一例を示す説明図である。
【図3】光源の入力電力当たりの光出力の一例を示す説明図である。
【図4】光源への入力電力の設定例を示す説明図である。
【図5】光源の使用時間に伴う光出力の一例を示す説明図である。
【図6】比較例としての光源の光出力の劣化度合いを示す説明図である。
【図7】比較例としての光源の入力電力の設定例を示す説明図である。
【図8】比較例としての光源の使用時間に伴う光出力の一例を示す説明図である。
【図9】所定値を50%とした場合の消費電力の対比例を示す説明図である。
【図10】所定値を100%から50%へ切り替えた場合の光出力の劣化度合いの一例を示す説明図である。
【図11】所定値を100%から50%へ切り替えた場合の光源の入力電力の設定例を示す説明図である。
【図12】所定値を50%から100%へ切り替えた場合の光出力の劣化度合いの一例を示す説明図である。
【図13】所定値を50%から100%へ切り替えた場合の光源の入力電力の設定例を示す説明図である。
【図14】実施の形態2の照明装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図15】光源の劣化係数の一例を示す説明図である。
【図16】光源近傍の温度毎の光出力の劣化度合いを示す説明図である。
【図17】実施の形態2の照明装置の光源への入力電力の設定例を示す説明図である。
【図18】光源の入力電力と劣化度合との関係の一例を示す説明図である。
【図19】光源近傍の温度変化に伴う入力電力の設定例を示す説明図である。
【図20】調光率を変更した場合の光源近傍の温度変化に伴う入力電力の設定例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施の形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は実施の形態1の照明装置100の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、照明装置100は、光源15、光源15へ電力を供給する電源部12、光源15へ供給する電力を調整する調整部としての制御部10、光源15の光出力(照度)を複数の所定値のいずれかに切り替える切替部としてのディップスイッチ11、記憶部13、光源15の使用時間を計時するタイマ14などを備える。また、制御部10は、照明装置100全体を制御する。
【0026】
光源15は、例えば、複数のLEDが直列接続された一群のLEDを有する。なお、光源15は、一群のLEDが複数並列に接続した構成でもよい。また、1個のLEDを備える構成でもよい。また、LEDに代えて、EL(Electro-Luminescence)等の他の光源を用いてもよい。
【0027】
LEDは、所定の順方向電流Ifが流れた場合、所定の順方向電圧Vfを生ずるとともに所定の光出力(例えば、光度)Iを得ることができる。所定の光出力により所定の照度を得ることができる。LED1個当たりの電力は、Vf×Ifで表すことができ、光源15のLEDの数をN個とすると光源15の点灯時の電力(消費電力)Wは、LEDでの損失を無視すれば、W=N×Vf×Ifで表すことができる。また、LEDの順方向電圧Vfが一定であると仮定すれば、供給電力は、LEDの順方向電流、光源15の光出力に比例する。
【0028】
ディップスイッチ(DISPSW)11は、光源15の光出力を最大100%として予め定めた複数の所定値に切り替えることができる。例えば、ディップスイッチ11は、所定値が100%、90%、75%、50%に対応してオン/オフするスイッチ(SW)を4つ備え、いずれか1つのスイッチ(SW)をオンにすることにより、所定値を切り替えることができる。ディップスイッチ11は、切り替えた所定値を示す切替信号を制御部10へ出力する。
【0029】
電源部12は、AC/DC変換回路、定電流回路などを備え、商用電源(例えば、AC100V、AC200Vなど)からの交流電圧を直流電圧に変換し、変換した直流電圧を光源15へ出力することにより、光源15へ電力を供給する。
【0030】
また、電源部12は、制御部10からの制御信号に基づいて、光源15へ流す出力電流を変更することができる。例えば、ディップスイッチ11で所定値が100%に切り替えられた場合に、制御部10が出力する制御信号により電源部12が出力電流Ioを出力するときには、ディップスイッチ11で所定値が90%、75%、50%のいずれかに切り替えられた場合には、電源部12は、それぞれ出力電流0.9×Io、0.75×Io、0.5×Ioを出力する。
【0031】
ディップスイッチ11で所定値を100%に切り替えた場合には、照明装置100は、最大出力を、例えば、定格光出力の100%とし、ディップスイッチ11で所定値を90%に切り替えた場合には、照明装置100は、最大出力を90%(例えば、定格光出力の90%)とし、所定値を75%に切り替えた場合には、照明装置100は、最大出力を75%(例えば、定格光出力の75%)とし、で所定値を50%に切り替えた場合には、照明装置100は、最大出力を50%(例えば、定格光出力の50%)とする。なお、所定値は、100%、90%、75%、50%に限定されるものではなく、他の値でもよい。なお、所定値の切り替えとは、最大出力値の切り替えに限定されるものではなく、調光信号などにより調光率を変化する場合も含む。
【0032】
タイマ14は、光源15の使用時間を計時する。なお、光源15の使用時間とは、光源15の点灯時間、あるいは光源15への電力供給時間であり、照明装置の使用開始時点からの累積値(通算時間)である。
【0033】
記憶部13は、所定値毎に光源15の光出力の経年劣化を示す劣化情報を記憶する。劣化情報は、例えば、光源15の使用時間に対応した光出力低下率を示す情報であり、所定値毎に使用時間に対応した光出力低下率が異なる。なお、劣化情報を記憶部13に記憶する構成に代えて、すなわち、劣化情報を用いる構成に代えて、所定値に対応付けて光源15へ供給する電力の変化割合(使用時間の経過に伴う電力の変化割合)を定めておく構成でもよい。この場合、電力の変化割合は、劣化情報と別個独立の情報とすることができる。
【0034】
図2は光源15の光出力の経年劣化を示す劣化情報の一例を示す説明図である。図2に示すように、本実施の形態では、所定値毎に異なる劣化情報を用いる。図2において、横軸は光源15の使用時間である。図2の例では、40000時間が光源15の公証の寿命時間としているが、これに限定されるものではない。また、縦軸は光出力の低下率を示し、使用時間が0のときの光出力低下率を0とし、使用時間の増加(経年変化)とともに光出力が初期値よりどの程度低下するかを示す。すなわち、劣化情報は、光源15の使用時間に対する光出力の低下率を示すものである。
【0035】
図2において、符号Aで示す曲線は、所定値が100%(DISPSW=100%とも称する)の場合の光出力低下率を示す。例えば、使用時間が、10000時間、20000時間、30000時間、40000時間のときの光出力低下率は、それぞれ92.50%、85.00%、77.50%、70.00%である。すなわち、所定値を100%に切り替えて光源15を使用した場合、寿命末期(使用時間が40000時間程度)では、光出力は30%低下する。
【0036】
同様に、符号Bで示す曲線は、所定値が90%(DISPSW=90%とも称する)の場合の光出力低下率を示す。例えば、使用時間が、10000時間、20000時間、30000時間、40000時間のときの光出力低下率は、それぞれ93.25%、86.50%、79.75%、73.00%である。すなわち、所定値を90%に切り替えて光源15を使用した場合、寿命末期(使用時間が40000時間程度)では、光出力は27%低下する。
【0037】
同様に、符号Cで示す曲線は、所定値が75%(DISPSW=75%とも称する)の場合の光出力低下率を示す。例えば、使用時間が、10000時間、20000時間、30000時間、40000時間のときの光出力低下率は、それぞれ94.38%、88.75%、83.13%、77.50%である。すなわち、所定値を75%に切り替えて光源15を使用した場合、寿命末期(使用時間が40000時間程度)では、光出力は22.5%低下する。
【0038】
また、符号Dで示す曲線は、所定値が50%(DISPSW=50%とも称する)の場合の光出力低下率を示す。例えば、使用時間が、10000時間、20000時間、30000時間、40000時間のときの光出力低下率は、それぞれ96.25%、92.50%、88.75%、85.00%である。すなわち、所定値を50%に切り替えて光源15を使用した場合、寿命末期(使用時間が40000時間程度)では、光出力は15%低下する。
【0039】
図3は光源15の入力電力当たりの光出力の一例を示す説明図である。光源15の入力電力とは、光源15へ供給する供給電力である。図3は、所定値毎(例えば、100%、90%、75%、50%)に光源15の使用時間の経過に伴う光出力の変化(劣化割合)を示すものであり、入力電力を一定とした場合の光出力の劣化割合を相対的に示す。
【0040】
次に、本実施の形態の照明装置100の動作について説明する。まず、ディップスイッチ11で所定値を100%に切り替えて使用する場合について説明する。すなわち、照明装置100を所定の設置個所に設置し、ディップスイッチ11を操作して所定値を100%に切り替えて照明装置100の使用を開始する。
【0041】
ディップスイッチ11で所定値を100%に切り替えたので、制御部10は、所定値が100%(DISPSW=100%)に対応する劣化情報に基づいて、光源15の光出力が略一定となるように、光源15へ供給する電力を調整する。
【0042】
図4は光源15への入力電力の設定例を示す説明図であり、図5は光源15の使用時間に伴う光出力の一例を示す説明図である。図4において、横軸は光源15の使用時間であり、図2と同様、使用時間が40000時間で寿命時(寿命末期)としている。また、縦軸は定格に対する入力電力であり、光源15の使用時間に応じた光源15への入力電力(供給電力)を示す。すなわち、所定値が100%の場合に光源15の寿命時(使用時間が40000時間)の入力電力(供給電力)を基準(100%)としたときの、所定値毎に使用時間に応じて光源15へ投入する入力電力の割合を示したものである。符号A、B、C、Dで示す曲線は、それぞれ所定値が100%、90%、75%、50%である場合の入力電力(供給電力)の変化割合を示す。
【0043】
また、図5において、横軸は光源15の使用時間であり、縦軸は光源15の光出力である。符号A、B、C、Dで示す曲線は、それぞれ所定値が100%、90%、75%、50%である場合を示す。
【0044】
まず、図4の符号Aで示す、所定値が100%の場合について説明する。図2に例示するように、所定値が100%の場合、光源15の使用時間が光源の寿命時間に相当する40000時間のときの光出力低下率が30%であるときは、使用時間が0である初期段階では、寿命時の光出力から逆算して、光源15に供給する電力を70%(=100%−30%)とし、初期段階の光出力(照度)を補正し、使用時間が光源15の寿命時間に相当する寿命末期段階では、光源15に供給する電力が100%となるように光源15へ供給する電力の変化割合を変更する。
【0045】
より具体的には、図4の符号Aで示す例では、光源15の使用時間が、例えば、0時間、10000時間、20000時間、30000時間、40000時間において、光源15への入力電力(供給電力)は、それぞれ70%、75.68%、82.35%、90.32%、100%となるように電力の変化割合を変更する。これにより、図5の符号Aで示すように、光源15の使用時間が初期の段階から寿命末期の段階に亘って光源15の光出力を寿命時の光出力と略同等に(略一定となるように)維持することができる。
【0046】
次に、図4の符号Bで示す、所定値が90%の場合について説明する。図2に例示するように、所定値が90%の場合、光源15の使用時間が光源の寿命時間に相当する40000時間のときの光出力低下率が27%であるとする。所定値が100%の場合に、使用時間が0である初期段階において光源15に供給する電力が70%であったので、所定値が90%である場合の使用時間が0である初期段階において光源15に供給する電力は、70%の0.9倍の63%として、初期段階の光出力(照度)を補正する。光源15の寿命時の光出力低下率が27%であるので、使用時間が光源15の寿命時間に相当する寿命末期段階では、光出力の劣化分を考慮して、光源15に供給する電力が86.30%(63%/0.73)となるように光源15へ供給する電力の変化割合を変更する。
【0047】
より具体的には、図4の符号Bで示す例では、光源15の使用時間が、例えば、0時間、10000時間、20000時間、30000時間、40000時間において、光源15への入力電力(供給電力)は、それぞれ63%、67.56%、72.83%、79.00%、86.30%となるように電力の変化割合を変更する。これにより、図5の符号Bで示すように、光源15の使用時間が初期の段階から寿命末期の段階に亘って光源15の光出力を寿命時の光出力と略同等に(略一定となるように)維持することができる。
【0048】
次に、図4の符号Cで示す、所定値が75%の場合について説明する。図2に例示するように、所定値が75%の場合、光源15の使用時間が光源の寿命時間に相当する40000時間のときの光出力低下率が22.5%であるとする。所定値が100%の場合に、使用時間が0である初期段階において光源15に供給する電力が70%であったので、所定値が75%である場合の使用時間が0である初期段階において光源15に供給する電力は、70%の0.75倍の52.5%として、初期段階の光出力(照度)を補正する。光源15の寿命時の光出力低下率が22.5%であるので、使用時間が光源15の寿命時間に相当する寿命末期段階では、光出力の劣化分を考慮して、光源15に供給する電力が67.74%(52.5%/0.775)となるように光源15へ供給する電力の変化割合を変更する。
【0049】
より具体的には、図4の符号Cで示す例では、光源15の使用時間が、例えば、0時間、10000時間、20000時間、30000時間、40000時間において、光源15への入力電力(供給電力)は、それぞれ52.50%、55.63%、59.15%、63.16%、67.74%となるように電力の変化割合を変更する。これにより、図5の符号Cで示すように、光源15の使用時間が初期の段階から寿命末期の段階に亘って光源15の光出力を寿命時の光出力と略同等に(略一定となるように)維持することができる。
【0050】
次に、図4の符号Dで示す、所定値が50%の場合について説明する。図2に例示するように、所定値が50%の場合、光源15の使用時間が光源の寿命時間に相当する40000時間のときの光出力低下率が15%であるとする。所定値が100%の場合に、使用時間が0である初期段階において光源15に供給する電力が70%であったので、所定値が50%である場合の使用時間が0である初期段階において光源15に供給する電力は、70%の半分の35%として、初期段階の光出力(照度)を補正する。光源15の寿命時の光出力低下率が15%であるので、使用時間が光源15の寿命時間に相当する寿命末期段階では、光出力の劣化分を考慮して、光源15に供給する電力が41.18%(35%/0.85)となるように光源15へ供給する電力の変化割合を変更する。
【0051】
より具体的には、図4の符号Dで示す例では、光源15の使用時間が、例えば、0時間、10000時間、20000時間、30000時間、40000時間において、光源15への入力電力(供給電力)は、それぞれ35%、36.36%、37.84%、39.44%、41.18%となるように電力の変化割合を変更する。これにより、図5の符号Dで示すように、光源15の使用時間が初期の段階から寿命末期の段階に亘って光源15の光出力を寿命時の光出力と略同等に(略一定となるように)維持することができる。
【0052】
上述のように、それぞれの所定値毎に光出力低下率が異なる劣化情報を用いることにより、光出力を所望の所定値に切り替えた場合でも、初期段階の光出力(照度)を補正し、劣化情報に基づいて供給電力の変化割合を変更するので、所定値に関わらず寿命末期段階に至るまでの光出力(照度)を略一定に維持することができる。
【0053】
次に、比較例について説明する。図6は比較例としての光源の光出力の劣化度合いを示す説明図であり、図7は比較例としての光源の入力電力の設定例を示す説明図であり、図8は比較例としての光源の使用時間に伴う光出力の一例を示す説明図である。図6乃至図8の例は、従来例を示すものである。図6において、横軸は光源の使用時間を示し、縦軸は光源の光出力の低下率を示す。図6に示すように、従来は光源の光出力の劣化度合いは、1つだけ定められており、例えば、使用時間が0時間においては、光源の光出力低下率が0%である。使用時間が増加するにつれて光出力低下率も増加し、使用時間が40000時間(光源の寿命時)においては、光出力低下率は30%である。
【0054】
図7は従来の入力電力の設定例を示すものであり、横軸は光源の使用時間であり、縦軸は定格に対する入力電力であり、光源の使用時間に応じた光源への入力電力(供給電力)を示す。すなわち、所定値が100%の場合に光源の寿命時(使用時間が40000時間)の入力電力(供給電力)を基準(100%)としたときの、所定値毎に使用時間に応じて光源へ投入する入力電力の割合を示したものである。符号A、B、C、Dで示す曲線は、それぞれ所定値が100%、90%、75%、50%である場合の入力電力の変化割合を示す。図7からわかるように、所定値に関わらず、入力電力の変化割合は同一となっている。なお、図7に示す例では、光出力の劣化度合いとして図6に例示したものを用いている。
【0055】
また、図8において、横軸は光源の使用時間であり、縦軸は光源の光出力である。符号A、B、C、Dで示す曲線は、それぞれ所定値が100%、90%、75%、50%である場合を示す。
【0056】
まず、図7の符号Aで示す、所定値が100%の場合について説明する。図6に例示するように、所定値が100%の場合、光源の使用時間が光源の寿命時間に相当する40000時間のときの光出力低下率が30%であるときは、使用時間が0である初期段階では、寿命時の光出力から逆算して、光源に供給する電力を70%(=100%−30%)とし、初期段階の光出力(照度)を補正し、使用時間が光源の寿命時間に相当する寿命末期段階では、光源に供給する電力が100%となるように光源へ供給する電力を調整する。
【0057】
より具体的には、図7の符号Aで示す例では、光源の使用時間が、例えば、0時間、10000時間、20000時間、30000時間、40000時間において、光源への入力電力(供給電力)は、それぞれ70%、75.68%、82.35%、90.32%、100%となるように調整する。これにより、図8の符号Aで示すように、光源の使用時間が初期の段階から寿命末期の段階に亘って光源の光出力を寿命時の光出力と略同等に(略一定となるように)維持することができる。
【0058】
次に、図7の符号Dで示す、所定値が50%の場合について説明する。図6に例示するように、所定値にかかわらず、光源の使用時間が光源の寿命時間に相当する40000時間のときの光出力低下率が30%である。所定値が100%の場合に、使用時間が0である初期段階において光源に供給する電力が70%であったので、所定値が50%である場合の使用時間が0である初期段階において光源に供給する電力は、70%の半分の35%として、初期段階の光出力(照度)を補正する。光源の寿命時の光出力低下率が30%で一定であるので、使用時間が光源の寿命時間に相当する寿命末期段階では、光出力の劣化分を考慮して、光源に供給する電力は50.00%(35%/0.70)となる。
【0059】
より具体的には、図7の符号Dで示す例では、光源の使用時間が、例えば、0時間、10000時間、20000時間、30000時間、40000時間において、光源への入力電力(供給電力)は、それぞれ35%、37.84%、41.184%、45.16%、50.00%となる。
【0060】
上述の比較例のように、所定値が100%、50%いずれの場合も光源の寿命末期段階での光出力低下率が同一の30%とすると、所定値が50%である場合、初期段階において光源に供給する電力は、70%(所定値が100%の場合に相当)の半分の35%となり、寿命末期段階では、光出力の劣化分を考慮して、光源に供給する電力が50%(35%/0.7)となり、本実施の形態の図4の符号Dで示す場合の41.18%より増加する。すなわち、初期段階から寿命末期段階に至るまでの供給電力が増加してしまうとともに、図8の符号Dで示すように、光源の光出力(照度)が略一定とならない。なお、他の所定値についても同様である。
【0061】
図9は所定値を50%とした場合の消費電力の対比例を示す説明図である。図9において、横軸は光源の使用時間を示し、縦軸は定格に対する入力電力を示し、光源の使用時間に応じた光源への入力電力(供給電力)を示す。すなわち、所定値が100%の場合に光源の寿命時(使用時間が40000時間)の入力電力(供給電力)を基準(100%)としたときに、所定値が50%のときの使用時間に応じて光源へ投入する入力電力の割合を示したものである。
【0062】
図9に示すように、図6乃至図8で示した比較例の場合には、使用時間が0時間から40000時間まで経過した場合、従来例として示す曲線のように、光源への入力電力は、35%から50%まで使用時間の経過とともに増加する。一方、本実施の形態の照明装置100では、使用時間が0時間から40000時間まで経過した場合、光源への入力電力は、本実施例として示す曲線のように、使用時間の経過とともに、比較例の場合の入力電力を常に下回る状態で、35%から41.18%まで使用時間の経過とともに増加する。本実施の形態では、所定値毎の劣化情報に応じて光源への供給電力の変化割合を変更するので、光出力低下率が所定値にかかわらず一定とする場合に比べて、従来例で示す曲線と本実施例で示す曲線との差分に相当する分だけ電力消費を抑制することができる。
【0063】
なお、光出力の最大値が低くなるように所定値が切り替えられるに従い、使用時間の経過に対する光源15の劣化度合いが低下するので、所定値の切り替えにより、光出力の最大値を低下させることに応じて入力電力の増加割合を低減する必要がある。これは、所定値の切り替えに応じて使用時の光源15への温度負荷が変化するためである。具体的には、光出力が高いほど使用時の発熱量が大きく劣化度合いが大きくなり、低いほど発熱量が小さく劣化度合いが小さくなる。
【0064】
本実施の形態では、光源15への使用時間の経過に応じて光源15の光出力は、劣化情報に示される態様で減少するので、制御部10が、使用時間の経過に応じて、劣化情報に基づいて光源15への供給電力を増加させることにより、光源15の光出力(照度)を略一定にすることができる。すなわち、制御部10は、光源15の光出力が使用時間の経過と共に変化することを防止する。
【0065】
また、本実施の形態では、ディップスイッチ11で切り替えた所定値に対応する劣化情報に基づいて、光源15の寿命初期(例えば、光源15の使用時間が0のとき)及び寿命末期(例えば、光源15の使用時間が寿命時間になるとき)に光源15へ供給する電力を算出する。例えば、所定値が100%の場合の光出力低下率が30%であるときは、初期電力(光源15の寿命初期に供給する電力)を0.7×Wとし、末期電力(光源15の寿命末期に供給する電力)をWとする。電力Wは、光源15の寿命末期の設計照度(設計上の明るさ)を得るための電力である。また、所定値が50%の場合の光出力低下率が15%であるときは、初期電力(光源15の寿命初期に供給する電力)を0.35×Wとし、末期電力(光源15の寿命末期に供給する電力)を0.4118×Wとする。他の所定値の場合も同様である。これにより、初期段階の照度(光出力)を所定値に応じた値にすることができるとともに、光源15の寿命末期段階に至るまで光出力(照度)を一定に維持しつつ、消費電力を少なくすることができる。
【0066】
また、本実施の形態では、劣化情報は、光源15への使用時間の経過に応じた光源15の光出力の低下割合(例えば、光出力低下率)を含み、所定値が小さいほど低下割合を小さくしてある。例えば、所定値が100%の場合、光源15の寿命初期(例えば、光源15の使用時間が0のとき)の光出力低下率は0%であり、光源15の寿命末期(例えば、光源15の使用時間が寿命時間になるとき)の光出力低下率が30%である。また、所定値が50%の場合、光源15の寿命初期(例えば、光源15の使用時間が0のとき)の光出力低下率は0%であり、光源15の寿命末期(例えば、光源15の使用時間が寿命時間になるとき)の光出力低下率が15%である。光源15の光出力の低下割合は、所定値に応じて異なるので、所定値にかかわらず光出力低下率を一定とする場合に比べて、光源15の光出力(照度)を略一定にすることができるとともに、光源15に対する消費電力を低減することができる。
【0067】
上述の例では、ディップスイッチ11による所定値の切り替えを、照明装置100を設置するような初期段階で行う場合について説明したが、ディップスイッチ11による所定値の切り替えは、照明装置100の寿命前の任意の時点で行うことができる。以下、照明装置100の使用途中(経年劣化の途中)で所定値を切り替える場合について説明する。
【0068】
まず、ディップスイッチ11で所定値を小さい値へ切り替える場合について説明する。図10は所定値を100%から50%へ切り替えた場合の光出力の劣化度合いの一例を示す説明図であり、図11は所定値を100%から50%へ切り替えた場合の光源の入力電力の設定例を示す説明図である。図10において、横軸は光源15の使用時間を示し、縦軸は光源15の光出力低下率を示す。また、図11において、横軸は光源15の使用時間を示し、縦軸は定格に対する入力電力を示す。
【0069】
図10に示すように、光源15の使用時間が、例えば、20000時間の時点で所定値を100%から50%へ切り替えたとする。図11に示すように、光源の使用時間が0時間から20000時間までは、所定値が100%(DISPSW=100%)の場合の符号Aで示す劣化情報に基づいて光源15への入力電力(供給電力)を設定し、光源の使用時間が20000時間から40000時間までは、所定値が50%(DISPSW=50%)の場合の符号Dで示す劣化情報に基づいて光源15への入力電力(供給電力)を設定する。
【0070】
より具体的には、光源15の使用時間が0時間の時点で、入力電力は70%に設定する。これは、所定値が100%の場合の光源15の寿命末期(例えば、光源15の使用時間が40000時間になるとき)の光出力低下率が30%だからである。そして、任意の使用時間での入力電力は、使用時間が40000時間のときに100%となるような符号Aで示す曲線上に沿った値に設定する。例えば、使用時間が10000時間では入力電力は75.68%であり、使用時間が20000時間では入力電力は82.35%である。
【0071】
使用時間が20000時間の時点で所定値が100%から50%へ切り替えられたので、使用時間が20000時間の時点の入力電力を、82.35%の半分である41.18%にする。使用時間が20000時間以降の使用時間では、入力電力は41.18%を基準として、所定値が50%(DISPSW=50%)の場合の符号Dで示す劣化情報に基づいて光源15への入力電力(供給電力)が設定される。例えば、使用時間が30000時間では入力電力を43.08%、使用時間が40000時間では入力電力を45.16%とする。
【0072】
使用時間が0時間の初期から所定値50%として光源15を使用(点灯)した場合には、使用時間が20000時間の時点では入力電力は37.84%となるが、20000時間までの間に、所定値50%よりも大きな所定値100%で光源15を使用した場合には、光源15の劣化度合いも大きい。このため、所定値を100%から50%へ切り替えた時点での入力電力は、37.84%よりも大きい41.18%に設定している。所定値を切り替えた場合に、切替時点で入力電力を調整することにより、所定値を切り替えた場合でも、所定値に応じた光出力を得ることができる。
【0073】
上述のように、任意の時間(例えば、20000時間)が経過した時点で第1の所定値(例えば、100%)から第2の所定値(例えば、50%)へ切り替えた場合、当該切り替え時点(使用時間が20000時間の時点)での第1の所定値に応じた入力電力(82.35%)と、第2の所定値に応じて当該任意の時間(例えば、20000時間)使用した場合の入力電力(37.84%)との間の電力(41.18%)を、当該切り替え時点から光源へ供給するとともに、当該切り替え時点以降は、第2の所定値に応じた変化割合で光源15へ電力を供給する。これにより、光源15の使用時の任意の時点で所定値を切り替えても、切替前の所定値に応じた劣化度合いを反映しつつ、切替後の所定値に応じた変化割合で光源へ電力を供給することができる。
【0074】
次に、ディップスイッチ11で所定値を大きい値へ切り替える場合について説明する。図12は所定値を50%から100%へ切り替えた場合の光出力の劣化度合いの一例を示す説明図であり、図13は所定値を50%から100%へ切り替えた場合の光源の入力電力の設定例を示す説明図である。図12において、横軸は光源15の使用時間を示し、縦軸は光源15の光出力低下率を示す。また、図13において、横軸は光源15の使用時間を示し、縦軸は定格に対する入力電力を示す。
【0075】
図12に示すように、光源15の使用時間が、例えば、20000時間の時点で所定値を50%から100%へ切り替えたとする。図13に示すように、光源の使用時間が0時間から20000時間までは、所定値が50%(DISPSW=50%)の場合の符号Dで示す劣化情報に基づいて光源15への入力電力(供給電力)を設定し、光源の使用時間が20000時間から40000時間までは、所定値が100%(DISPSW=100%)の場合の符号Aで示す劣化情報に基づいて光源15への入力電力(供給電力)を設定する。
【0076】
より具体的には、光源15の使用時間が0時間の時点で、入力電力は35%に設定する。これは、所定値100%の場合の入力電力が70%であり、その半分だからである。そして、任意の使用時間での入力電力は、使用時間が40000時間のときに入力電力が41.18%となるような符号Dで示す曲線上に沿った値に設定する。例えば、使用時間が10000時間では入力電力は36.36%であり、使用時間が20000時間では入力電力は37.84%である。
【0077】
使用時間が20000時間の時点で所定値が50%から100%へ切り替えられたので、使用時間が20000時間の時点の入力電力を、37.84%の2倍である75.68%にする。使用時間が20000時間以降の使用時間では、入力電力は75.68%を基準として、所定値が100%(DISPSW=100%)の場合の符号Aで示す劣化情報に基づいて光源15への入力電力(供給電力)が設定される。例えば、使用時間が30000時間では入力電力を82.35%、使用時間が40000時間では入力電力を90.32%とする。
【0078】
使用時間が0時間の初期から所定値100%として光源15を使用(点灯)した場合には、使用時間が20000時間の時点では入力電力は82.35%となるが、20000時間までの間に、所定値100%よりも小さな所定値50%で光源15を使用した場合には、光源15の劣化度合いは小さい。このため、所定値を50%から100%へ切り替えた時点での入力電力は、82.35%よりも小さい75.68%に設定している。所定値を切り替えた場合に、切替時点で入力電力を調整することにより、所定値を切り替えた場合でも、電力消費を抑制しつつ所定値に応じた光出力を得ることができる。
【0079】
上述のように、任意の時間(例えば、20000時間)が経過した時点で第1の所定値(例えば、50%)から第2の所定値(例えば、100%)へ切り替えた場合、当該切り替え時点(使用時間が20000時間の時点)での第1の所定値に応じた入力電力(37.84%)と、第2の所定値に応じて当該任意の時間(例えば、20000時間)使用した場合の入力電力(82.35%)との間の電力(75.68%)を、当該切り替え時点から光源へ供給するとともに、当該切り替え時点以降は、第2の所定値に応じた変化割合で光源15へ電力を供給する。これにより、光源15の使用時の任意の時点で所定値を切り替えても、切替前の所定値に応じた劣化度合いを反映しつつ、切替後の所定値に応じた変化割合で光源へ電力を供給することができる。
【0080】
(実施の形態2)
実施の形態1では、光源15の最大光出力を切り替えるディップスイッチ11を備え、光出力を切り替えた場合でも光出力を略一定するための構成について説明した。光源15の光出力は、ディップスイッチ11による切替だけでなく、リモコンなどの遠隔操作端末で光源を調光することで変更することもできる。以下、光源15を調光する場合について説明する。
【0081】
図14は実施の形態2の照明装置200の構成の一例を示すブロック図である。図14に示すように、実施の形態1との相違点は、照明装置200は、受光部16、PWM回路を有する電源部17、劣化度合いを算出する算出部としての劣化度合算出部18、電力を計測する計測部としての電力計測部19、温度センサ20などを備える点である。なお、実施の形態1と同様の構成は同一符号を付して説明を省略する。
【0082】
受光部16は、リモコンから送信された調光信号を受信し、受信した調光信号を制御部10へ出力する。調光信号は、光源15の光出力の調光率を含む。調光率は、例えば、100%〜25%などとすることができる。なお、光源15を調光する場合、リモコンからの調光信号を受信する構成に限定されるものではなく、例えば、壁などに設けられた調光器などから調光信号を取得する構成でもよい。
【0083】
温度センサ20は、光源15の近傍の温度を検出し、検出した温度を制御部10へ出力する。温度センサ20は、例えば、LEDが実装された基板上に装着して、LED近傍の温度を検出する。
【0084】
電力計測部19は、電源部17から光源15へ供給される電力を計測し、計測した電力を制御部10へ出力する。なお、電力計測部19及び温度センサ20は、両方備える構成でもよく、いずれか一方だけを具備する構成でもよい。
【0085】
制御部10は、温度に関する諸量を取得して光源15の近傍の温度を特定する特定部としての機能を有する。すなわち、制御部10は、温度センサ20で得られた温度に基づいて、光源15の近傍の温度を特定する。また、制御部10は、電力計測部19で計測した電力に基づいて光源15の近傍の温度を特定する。例えば、照明装置の構造が定まれば、光源15から外部の雰囲気までの熱抵抗が定まり、環境温度(例えば、照明装置の周囲の雰囲気温度)を一定と仮定すれば、計測した電力により光源15の温度を推定することができる。これにより、光源15近傍の温度を取得することができる。また、光源15の光出力の調光率は、光源15に供給する電力に比例するので、調光率に応じて光源15の温度を推定することもできる。
【0086】
温度に関する諸量は、光源15近傍の温度自身、光源15近傍の温度を推定することができる光源15への供給電力、光源15への供給電力を求めることができる調光率などである。光源15の光出力に対する調光率を変更した場合、光源15への供給電力が変わり、光源15近傍の温度も変化することになる。
【0087】
劣化度合算出部18は、光源15近傍の温度及び光源15の使用時間に基づいて、光源15の光出力の劣化度合いを算出する。光源15の使用時間とは、光源15の点灯時間、あるいは光源15への電力供給時間であり、照明装置の使用開始時点からの累積値(通算時間)である。また、劣化度合いは、例えば、光源15の光出力低下率である。
【0088】
一般的に、温度が10℃変動した場合、劣化度合いは2倍変動する。そこで、例えば、所定の温度(例えば、使用時の最高温度として90℃など)における単位時間(例えば、1時間)当たりの劣化係数を定めておき、光源15近傍で特定した温度(例えば、1時間当たりの平均温度)と予め定めた劣化係数に応じて、任意の使用時点での光源15の劣化度合いを算出することができる。
【0089】
図15は光源15の劣化係数の一例を示す説明図である。図15において、横軸は温度を示し、縦軸は劣化係数の値を示す。劣化係数は、例えば、1時間当たりに光源15の光出力がどの程度劣化するかを示す割合である。
【0090】
図15に示すように、光源15近傍の温度が90℃の場合の劣化係数が、1時間当たり0.00075%である場合、光源15近傍の温度が80℃の場合の劣化係数は、1時間当たり0.000375%となり、光源15近傍の温度が70℃の場合の劣化係数は、1時間当たり0.000188%となり、光源15近傍の温度が60℃の場合の劣化係数は、1時間当たり0.000094%となる。
【0091】
特定した温度に対応する劣化係数に光源15の使用時間を乗算することにより、使用時間が経過した時点での劣化度合いを求めることができる。
【0092】
図16は光源15近傍の温度毎の光出力の劣化度合いを示す説明図である。図16において、横軸は光源15の使用時間を示し、縦軸は光源15の光出力低下率を示す。なお、図16に示す劣化度合いは、調光率(調光)が100%の場合を示す。図15に示すように、温度が90℃の場合の1時間当たりの劣化係数は0.00075%である。すなわち、温度が90℃の場合、使用時間が5000時間での劣化度合いは、5000×0.00075=3.75%となる。同様に、10000時間、15000時間、20000時間、25000時間、30000時間、35000時間、40000時間での劣化度合いは、それぞれ7.50%、11.25%、15.00%、18.75%、22.50%、26.25%、30.00%となり、図16の符号T=90℃で示す直線で表すことができる。
【0093】
同様に、図15に示すように、温度が80℃の場合の1時間当たりの劣化係数は0.000375%である。すなわち、温度が80℃の場合、使用時間が5000時間での劣化度合いは、5000×0.000375=1.875%となる。同様に、10000時間、15000時間、20000時間、25000時間、30000時間、35000時間、40000時間での劣化度合いは、それぞれ3.750%、5.625%、7.500%、9.375%、11.250%、13.125%、15.000%となり、図16の符号T=80℃で示す直線で表すことができる。
【0094】
同様に、図15に示すように、温度が70℃の場合の1時間当たりの劣化係数は0.000188%である。すなわち、温度が70℃の場合、使用時間が5000時間での劣化度合いは、5000×0.000188=0.938%となる。同様に、10000時間、15000時間、20000時間、25000時間、30000時間、35000時間、40000時間での劣化度合いは、それぞれ1.875%、2.813%、3.750%、4.688%、5.625%、6.563%、7.500%となり、図16の符号T=70℃で示す直線で表すことができる。
【0095】
同様に、図15に示すように、温度が60℃の場合の1時間当たりの劣化係数は0.000094%である。すなわち、温度が60℃の場合、使用時間が5000時間での劣化度合いは、5000×0.000094=0.47%となる。同様に、10000時間、15000時間、20000時間、25000時間、30000時間、35000時間、40000時間での劣化度合いは、それぞれ0.94%、1.41%、1.88%、2.35%、2.82%、3.29%、3.75%となり、図16の符号T=60℃で示す直線で表すことができる。
【0096】
制御部10は、劣化度合算出部18で算出した劣化度合い(光出力低下率)に応じて、光源15の光出力が略一定となるように電源部17が供給する電力を調整する。すなわち、制御部10は、光源15の光出力が使用時間の経過と共に変化することを防止する。
【0097】
また、制御部10は、受光部16から取得した調光率に応じて、電源部17が供給する電力を調整する。
【0098】
電源部17は、制御部10の制御のもと、PWM回路のデューティ比を変更することにより、光源15へ供給する電力を調整する。
【0099】
図17は実施の形態2の照明装置200の光源15への入力電力の設定例を示す説明図である。図17において、横軸は光源15の使用時間であり、使用時間が40000時間で寿命時(寿命末期)としている。また、縦軸は定格に対する入力電力であり、光源15の使用時間に応じた光源15への入力電力(供給電力)を示す。すなわち、光源近傍の温度Tが90℃の場合に光源15の寿命時(使用時間が40000時間)の入力電力(供給電力)を基準(100%)としたときの、他の温度(T=80℃、70℃、60℃)毎に使用時間に応じて光源15へ投入する入力電力の割合を示したものである。
【0100】
例えば、光源15の近傍の温度Tが90℃の場合において、光源15の使用時間(電力供給時間)が光源15の寿命時間に相当するとき(光源の寿命末期)の光出力低下率が30%であるとする。光出力低下率は、使用時間×劣化係数により求めることができ、1時間当たりの劣化係数が0.00075%であり、寿命時間が40000時間であるとすると、光源の寿命末期での光出力低下率は、0.00075×40000=30%となる。そこで、使用時間が0である初期段階では、光出力低下率が0%であるとするとともに、光源15に供給する電力を70%(100%−30%)とし、使用時間が光源15の寿命時間に相当する寿命末期段階では、光出力低下率が30%であるとし、光源15に供給する電力が100%(70%/0.7)として、光源15へ供給する電力と使用時間との関係を定めることができる。
【0101】
また、光源15の近傍の温度Tが80℃の場合には、1時間当たりの劣化係数が0.000375%であり、寿命時間が40000時間であるとすると、光源の寿命末期での光出力低下率は、0.000375×40000=15%となる。そこで、使用時間が0である初期段階では、光出力低下率が0%であるとするとともに、光源15に供給する電力を70%とし、使用時間が光源15の寿命時間に相当する寿命末期段階では、光出力低下率が15%であるとし、光源15に供給する電力が82.353%(70%/0.85)として、光源15へ供給する電力と使用時間との関係を定めることができる。
【0102】
また、光源15の近傍の温度Tが70℃の場合には、1時間当たりの劣化係数が0.000188%であり、寿命時間が40000時間であるとすると、光源の寿命末期での光出力低下率は、0.000188×40000=7.5%となる。そこで、使用時間が0である初期段階では、光出力低下率が0%であるとするとともに、光源15に供給する電力を70%とし、使用時間が光源15の寿命時間に相当する寿命末期段階では、光出力低下率が7.5%であるとし、光源15に供給する電力が75.676%(70%/0.925)として、光源15へ供給する電力と使用時間との関係を定めることができる。
【0103】
また、光源15の近傍の温度Tが60℃の場合には、1時間当たりの劣化係数が0.000094%であり、寿命時間が40000時間であるとすると、光源の寿命末期での光出力低下率は、0.000094×40000=3.75%となる。そこで、使用時間が0である初期段階では、光出力低下率が0%であるとするとともに、光源15に供給する電力を70%とし、使用時間が光源15の寿命時間に相当する寿命末期段階では、光出力低下率が3.75%であるとし、光源15に供給する電力が72.72%(70%/0.965)として、光源15へ供給する電力と使用時間との関係を定めることができる。
【0104】
これにより、温度変動により光源15の劣化度合いが変わる場合でも、劣化度合いに応じて供給電力を調整するので、光源15の光出力(照度)を使用初期でも寿命末期でも略一定にすることができる。また、光源15の光出力に対する調光率を変更した場合でも、調光率に応じた電力を供給することで、光源15の劣化度合いを反映することができ、調光率に応じた略一定の光出力(照度)を得ることができる。
【0105】
図18は光源15の入力電力と劣化度合との関係の一例を示す説明図である。図18において、横軸の入力電力は、図17で示した定格に対する入力電力である。また、図18のグラフは、調光(調光率)100%の場合のグラフを示す。図18は、光源15の近傍の温度、使用時間などに基づいて算出された劣化度合いに応じて、光源15への入力電力(供給電力)をいくらにすればよいかを定めたものである。例えば、任意の使用時間において、算出した劣化度合いが7.5%であるとすると、光源15への入力電力は75.676%となる。また、算出した劣化度合いが15%であるとすると、光源15への入力電力は82.353%となる。なお、調光率が100%以外の場合には、図18で示す入力電力に調光率を乗算すれば、調光時の入力電力を求めることができる。
【0106】
上述のように、本実施の形態2では、所定温度での光源15の光出力の経年劣化を示す劣化情報を記憶しておく。所定温度は、例えば、光源15の使用時(点灯時)の光源15近傍の最高温度とすることができ、一例として90℃とすることができる。劣化情報は、例えば、光源15の使用時間(電力供給時間)と光出力低下率との関係を示す情報である。使用時間が0である初期段階では、光出力低下率が0%であり、使用時間の経過とともに光出力低下率が増加し、光源15の使用時間が寿命時間に相当するとき(光源の寿命末期)の光出力低下率が30%であるとすることができる。
【0107】
劣化度合算出部18は、所定温度と特定した温度との温度差及び計時した使用時間に基づいて、光源15の光出力の劣化度合いを算出する。例えば、所定温度(例えば、90℃)において、光源の使用時間が0から40000時間となる間に劣化度合い(光出力低下率)が0%から30%まで徐々に増加するとした場合、特定した温度が80℃である場合、温度差が10℃あるので、劣化度合いは半減し、光源の使用時間が0から40000時間となる間に劣化度合い(光出力低下率)は0%から15%まで徐々に増加するものとして求めることができる。他の特定した温度についても同様に求めることができる。これにより、温度が変動する場合でも精度よく劣化度合いを求めることができ、温度が変動する場合でも光源15の光出力(照度)の変動を補償することができる。
【0108】
図19は光源15近傍の温度変化に伴う入力電力の設定例を示す説明図である。図19においては、簡略化のため、5000時間の都度、光源15の近傍の温度が変化するものとするが、これに限定されるものではなく、使用時間が、例えば、30分、1時間毎の光源15近傍の温度の平均値を用い、30分、1時間の都度入力電力を設定することができる。
【0109】
図19に示すように、使用時間が0〜5000時間での光源15近傍の平均温度が90℃であるとし、以降40000時間に到るまでの間、5000時間の都度、平均温度が80℃、70℃、60℃、70℃、80℃、90℃、80℃であったとする。
【0110】
まず、使用時間が0〜5000時間では、平均温度が90℃であり、90℃で5000時間当たりの劣化度合いは3.75%であるので、図18に例示のグラフにより、定格に対する入力電力は72.727%となる。
【0111】
使用時間が5000〜10000時間では、平均温度が80℃であり、80℃で5000時間当たりの劣化度合いは1.875%であるので、直近の劣化度合い3.75%に1.875%を加算すると劣化度合いは、5.625%となる。図18に例示のグラフにより、定格に対する入力電力は74.172%となる。
【0112】
また、使用時間が10000〜15000時間では、平均温度が70℃であり、70℃で5000時間当たりの劣化度合いは0.938%であるので、直近の劣化度合い5.625%に0.938%を加算すると劣化度合いは、6.563%となる。図18に例示のグラフにより、定格に対する入力電力は74.916%となる。
【0113】
また、使用時間が15000〜20000時間では、平均温度が60℃であり、60℃で5000時間当たりの劣化度合いは0.469%であるので、直近の劣化度合い6.563%に0.469%を加算すると劣化度合いは、7.032%となる。図18に例示のグラフにより、定格に対する入力電力は75.294%となる。
【0114】
また、使用時間が20000〜25000時間では、平均温度が70℃であり、70℃で5000時間当たりの劣化度合いは0.938%であるので、直近の劣化度合い7.032%に0.938%を加算すると劣化度合いは、7.97%となる。図18に例示のグラフにより、定格に対する入力電力は76.061%となる。
【0115】
また、使用時間が25000〜30000時間では、平均温度が80℃であり、80℃で5000時間当たりの劣化度合いは1.875%であるので、直近の劣化度合い7.97%に1.875%を加算すると劣化度合いは、9.845%となる。図18に例示のグラフにより、定格に対する入力電力は77.643%となる。
【0116】
また、使用時間が30000〜35000時間では、平均温度が90℃であり、90℃で5000時間当たりの劣化度合いは3.75%であるので、直近の劣化度合い9.845%に3.75%を加算すると劣化度合いは、13.595%となる。図18に例示のグラフにより、定格に対する入力電力は81.013%となる。
【0117】
また、使用時間が35000〜40000時間では、平均温度が80℃であり、80℃で5000時間当たりの劣化度合いは1.875%であるので、直近の劣化度合い13.595%に1.875%を加算すると劣化度合いは、15.47%となる。図18に例示のグラフにより、定格に対する入力電力は82.810%となる。
【0118】
これにより、温度が変動する場合でも劣化度合いを求め、求めた劣化度合いに応じて光源15への入力電力を調整することができるので、温度が変動する場合でも光源15の光出力(照度)の変動を補償することができる。
【0119】
なお、図19の例では、調光率を100%(全点灯)としたが、100%未満の調光率で光源15を点灯させた場合には、劣化度合いにより求めた入力電力に調光率を乗算して光源15への入力電力とすればよい。
【0120】
図20は調光率を変更した場合の光源15近傍の温度変化に伴う入力電力の設定例を示す説明図である。図20の例では、使用時間が0〜10000時間では調光率を100%とし、使用時間が10000〜20000時間では調光率が75%とし、使用時間が20000〜30000時間では調光率が50%とし、使用時間が30000〜40000時間では調光率が100%であるとしている。
【0121】
図20に示すように、使用時間が10000〜15000時間では、調光率が75%であるので、使用時間が10000〜15000時間での入力電力は、図19に例示した使用時間が10000〜15000時間での入力電力74.916%の0.75倍である56.187%としている。他の使用時間での調光率に対しても同様にして入力電力を求めることができる。
【0122】
上述のように、光源15の光出力の調光率を含む調光信号を取得し、制御部10は、取得した調光率及び算出した劣化度合いに応じて、電源部17が供給する電力を調整する。光源15の光出力に対する調光率を変更した場合でも、調光率に応じた電力を供給することで、光源15の劣化度合いを反映することができ、調光率に応じた略一定の光出力(照度)を得ることができる。すなわち、光源15の光出力を調光した場合でも、光源15の光出力(照度)を一定に維持することができる。
【0123】
上述の実施の形態2では、制御部10で光源15近傍の温度を特定するとともに、劣化度合算出部18で劣化度合いを算出する構成であったが、温度を特定し、劣化度合いを算出する構成は必須ではなく、省略することができる。この場合には、以下のようにして光源15への供給電力を調整することができる。
【0124】
例えば、光源15近傍の温度に関する諸量を取得する。温度に関する諸量は、光源15近傍の温度自身、光源15近傍の温度を推定することができる光源15への供給電力、光源15への供給電力を求めることができる調光率などである。光源15の光出力に対する調光率を変更した場合、光源15への供給電力が変わり、光源15近傍の温度も変化することになる。制御部10は、タイマ14で計時した光源15の使用時間及び取得した諸量に基づいて電源部17が供給する電力を調整する。例えば、取得した諸量及び光源15の使用時間に対応する供給電力を予めテーブルとして求めておき、計時した使用時間及び取得した諸量に対応する電力を電源部17から光源15へ供給する。これにより、温度変動により光源15の劣化度合いが変わる場合でも、使用時間と諸量とに基づいて供給電力を調整するので、光源15の光出力(照度)を使用初期でも寿命末期でも略一定にすることができる。また、光源15の光出力に対する調光率を変更した場合でも、調光率に応じた電力を供給することで、光源15の劣化度合いを反映することができ、調光率に応じた略一定の光出力(照度)を得ることができる。
【0125】
実施の形態2によれば、光源15の劣化による照度低下(光出力低下)を推定することにより、照度の低下を補償することができ、光源の使用初期でも寿命末期でも同一の調光指示(調光率)で調光率に対応した同等の照度(光出力)を得ることができる。また、光源の劣化度合いに応じて供給電力を調整するので、一律の劣化度合いで供給電力を調整する場合に比べて、劣化度合いが少ない使用時間が多いほど、供給電力を少なくすることができ、照明装置の寿命末期に至るまでの間の電力消費を抑制することができる。
【符号の説明】
【0126】
10 制御部
11 ディップスイッチ
12、17 電源部
13 記憶部
14 タイマ
15 光源
16 受光部
18 劣化度合算出部
19 電力計測部
20 温度センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、該光源へ電力を供給する電源部とを備える照明装置において、
前記光源近傍の温度に関する諸量を取得する諸量取得部と、
前記光源の使用時間を計時する計時部と、
前記光源の光出力が使用時間の経過と共に変化することを防止すべく、前記計時部で計時した使用時間及び前記諸量取得部で取得した諸量に基づいて前記電源部が供給する電力を調整する調整部と
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記取得部が取得した諸量に基づいて前記光源近傍の温度を特定する特定部と、
該特定部で特定した温度及び前記計時部で計時した使用時間に基づいて、前記光源の光出力の劣化度合いを算出する算出部と
を備え、
前記調整部は、
前記算出部で算出した劣化度合いに応じて、前記電源部が供給する電力を調整するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
所定温度での前記光源の光出力の経年劣化を示す劣化情報を記憶する記憶部を備え、
前記算出部は、
前記所定温度と前記特定部で特定した温度との温度差及び前記計時部で計時した使用時間に基づいて、前記光源の光出力の劣化度合いを算出するように構成してあることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光源の光出力の調光率を含む調光信号を取得する信号取得部を備え、
前記調整部は、
前記信号取得部で取得した調光率及び前記算出部で算出した劣化度合いに応じて、前記電源部が供給する電力を調整するように構成してあることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
温度センサを備え、
前記特定部は、
前記温度センサで取得した温度により前記光源近傍の温度を特定するように構成してあることを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記光源へ供給する電力を計測する計測部を備え、
前記特定部は、
前記計測部で計測した電力を取得して前記光源近傍の温度を特定するように構成してあることを特徴とする請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項1】
光源と、該光源へ電力を供給する電源部とを備える照明装置において、
前記光源近傍の温度に関する諸量を取得する諸量取得部と、
前記光源の使用時間を計時する計時部と、
前記光源の光出力が使用時間の経過と共に変化することを防止すべく、前記計時部で計時した使用時間及び前記諸量取得部で取得した諸量に基づいて前記電源部が供給する電力を調整する調整部と
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記取得部が取得した諸量に基づいて前記光源近傍の温度を特定する特定部と、
該特定部で特定した温度及び前記計時部で計時した使用時間に基づいて、前記光源の光出力の劣化度合いを算出する算出部と
を備え、
前記調整部は、
前記算出部で算出した劣化度合いに応じて、前記電源部が供給する電力を調整するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
所定温度での前記光源の光出力の経年劣化を示す劣化情報を記憶する記憶部を備え、
前記算出部は、
前記所定温度と前記特定部で特定した温度との温度差及び前記計時部で計時した使用時間に基づいて、前記光源の光出力の劣化度合いを算出するように構成してあることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光源の光出力の調光率を含む調光信号を取得する信号取得部を備え、
前記調整部は、
前記信号取得部で取得した調光率及び前記算出部で算出した劣化度合いに応じて、前記電源部が供給する電力を調整するように構成してあることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
温度センサを備え、
前記特定部は、
前記温度センサで取得した温度により前記光源近傍の温度を特定するように構成してあることを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記光源へ供給する電力を計測する計測部を備え、
前記特定部は、
前記計測部で計測した電力を取得して前記光源近傍の温度を特定するように構成してあることを特徴とする請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−41725(P2013−41725A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177083(P2011−177083)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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